JP3648804B2 - 水中移動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、火力発電所の取水や排水のための水路の清掃や、船舶のスクリューの清掃や、原子炉の圧力容器の内面検査や、その他の水中構造物に対する各種水中作業に用いるための水中移動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、火力発電所等においては、冷却用海水を取水したり排水したりするために海と発電プラントとの間に比較的長い水路が設けられているが、この水路の路面には、種々の貝藻類が付着する。そこで、これら海洋付着生物を除去すべく、水路の路面に沿って自在に走行する水中移動装置が必要となる。
【0003】
この種の水中移動装置としては、図10(a)(b)に示すようなものが知られている(詳しくは、実開平3−79323号公報を参照のこと)。この水中移動装置aは、図示するように、装置本体に備えられたスラストファンbを回転させて噴流を発生させることにより装置本体を水路の水平な路面dへ押し付けさせ、この状態で駆動輪cを用いて水平な路面d上を走行させるようにしたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようにスラストファンbの噴流によって装置本体を水路の路面dへ押し付けさせるタイプの水中移動装置aにあっては、図示するように水平な路面dではなく垂直な壁面に沿って走行させようとすると、水中移動装置aを壁面に押し付けて駆動輪cに適正な接触圧を与えるために、スラストファンbの推力を著しく増大させなければならないという問題があり、不経済である。即ち、垂直な壁面に沿って水中移動装置a走行させるためには、スラストファンbのモータを大型化するか、その設置個数を増やすかしなければならなくなるため、台車全体が大型化、大重量化してしまう。
【0005】
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、垂直な壁面を走行するのに好適であり、且つ小型化、軽量化を図り得るようにした水中移動装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、腹側が開口された装置本体と、該装置本体の背側の左右両側に正逆回転自在に設けられたスラストファンと、前記装置本体の腹側の開口の周囲に設けられたシールスカートと、前記装置本体を壁面に沿って移動させるよう駆動輪を備えた移動機構と、前記装置本体を水中にて垂直に立った状態で浮遊させる浮体部と、前記装置本体の外側に設けられた作業工具取付け部と、該作業工具取付け部に取り付けられて水中にて各種作業を行わせる作業工具ユニットとを備え、
前記スラストファンは、左右の回転速度を変えることにより、垂直に立った状態で水中を移動しつつ方向転回させると共に、左右の回転方向を互いに反対にすることにより、垂直に立った状態で転回させ、
前記移動機構の駆動輪は、垂直に立った装置本体の腹側の下部に設けられて取付け位置を重心位置に近くにすると共に、装置本体が壁面に吸着したときに壁面に接し、
前記シールスカートは、壁面吸着時に装置本体内部を負圧に保つべく壁面と接するよう構成されたことを特徴とする水中移動装置にかかるものである。
【0007】
この場合において、作業工具ユニットが作業工具取付け部に対して変位可能に取付けられても良い。
【0008】
又、作業工具ユニットは、超音波探傷ユニットでも、清掃ユニットでも良い。
【0009】
上記構成によれば、スラストファンを正回転又は逆回転させると、装置本体は腹側又は背側へ移動する。
【0010】
そして、腹側の開口の周囲に設けられたシールスカートが水中の壁面に接すると、そのシールスカートによって装置本体内部が負圧となり、水中移動装置が壁面に吸着される。
【0011】
この状態で、移動機構を駆動することにより、水中移動装置は壁面上を走行することができる。
【0012】
ここで、シールスカートの内外間に適度な漏れ水流が生じることにより、スラストファンの駆動系に過負荷が掛ることが防止される。
【0013】
又、シールリング部と壁面との間の摩擦力が小さくなるため、適度なシール性を確保しつつ移動機構によって容易に移動することが可能となる。
【0014】
更に、装置本体の外側に作業工具取付け部を介して取付けた作業工具ユニットにより、装置本体を壁面に吸着させつつ、或いは、壁面に沿って走行させつつ、水中にて各種作業を行わせることができる。
【0015】
この場合において、作業工具ユニットを作業工具取付け部に対して変位可能に取付けることにより、広い範囲に対して一度に作業させることができる。
【0016】
又、作業工具ユニットは、超音波探傷ユニットや、清掃ユニットなどとすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0018】
図1〜図6は本発明の第一の実施の形態である。
【0019】
図示するように、この水中移動装置1は、直径に比べて高さ(全高H)の低い円筒体6の一端面を円板7で閉止して成る、腹側4が開口した装置本体5を備えている。
【0020】
そして、円板7の内側の面にはケーシング8が水密に取付けられており、ケーシング8内の上部には浮体部2が、又、下部には錘体部3が形成されている。
【0021】
前記浮体部2は、空気又は発泡スチロール等が充填された密閉タンク9から成っており、錘体部3は、後述するスラストファン10a,10bや移動機構としての駆動輪11を駆動するモータ12〜17からなっている。そして、これら密閉タンク9及びモータ12〜17によって、装置本体5が水中にて垂直に立った状態で浮遊するように浮力調節されている。より詳しくは、装置本体5が僅かに沈降するように浮力調節されている。
【0022】
スラストファン10a,10bは、円板7の左右両側に形成された腹側4へ向かって延びるダクト18内にそれぞれ1個ずつ配置されている。即ち、各スラストファン10a,10bは、装置本体5の背側19に設けられている。この構成によれば、スラストファン10a,10bを正逆回転させることにより、装置本体5を水中にて垂直に浮遊した状態で背側19又は腹側4へ移動させることができる。そして、左側のスラストファン10aは、直列に接続された2個のモータ12,13によって駆動され、同様に、右側のスラストファン10bは、直列に接続された2個のモータ14,15によって駆動される。各モータ12〜15は、電流値が一定になるように制御されており、従って、負荷が大きくなると回転速度が遅くなり、負荷が小さくなると回転速度が速くなるようになっている。
【0023】
各ファン用のモータ12〜15は、上記円板7と平行な面内に四角形状に配置されている。そして、モータ12と13の回転軸20は互いに連結されている。同様に、モータ14と15の回転軸21は互いに連結されている。この構成によれば、全高Hを抑えつつ、スラストファン10a,10bの推力を高めることができる。又、左側のスラストファン10a用のモータ12と13、右側のスラストファン10b用のモータ14と15は、それぞれ独立して回転速度及び回転方向を制御できるようになっている。
【0024】
スラストファン10a,10b用のモータ12,15の回転軸20,21には、それぞれ段付プーリ22が取付けられている。各段付プーリ22は、左右のスラストファン10a,10bの駆動軸に取付けられた段付プーリ23と、段付ベルト24によって連動されている。この構成によれば、モータ12,13によって左側のスラストファン10aが駆動され、モータ14,15によって右側のスラストファン10bが駆動される。よって、各モータ12〜15の回転速度及び回転方向を制御し、左右のスラストファン10a,10bの回転速度及び回転方向を適宜変更することにより、装置本体5が水中で垂直に浮遊している状態で背側19又は腹側4へ移動又は転回させることができる。
【0025】
上記円筒体6の開口の周囲即ち装置本体5の腹側4の開口の周囲には、装置本体5が垂直に立ったまま移動してその腹側4が水中の壁面25に突き当ったとき、その壁面25と接して装置本体5内部を負圧に保たせるためのシールスカート26が設けられている。
【0026】
シールスカート26は、図3・図4に示すように、円筒体6の開口の周囲に取付けられた、ゴムなどの自在に変形可能な膜状の樹脂材料からなるフレア部27と、フレア部27の外縁に取付けられた、ポリエステル樹脂などの部分的に変形可能な程度の柔軟性を有するドーナツリング状の樹脂材料からなるシールリング部28とで構成されている。
【0027】
フレア部27は、装置本体5内が負圧になるとその吸引力により図4に二線で示すように内方へ引っ張られ、壁面25に接するように変形する。但し、このときフレア部27は、装置本体5の内外を完全に液密にシールしてしまうようなことはなく、壁面25との間で装置本体5の外から内への水流を許容するようになっている。よって、装置本体5内が真空となって完全に壁面25に固定されてしまうようなことはない。
【0028】
又、シールリング部28の外縁には、壁面25に付着した障害物29(ゴミやボルトや溶接線や貝類等)を乗り越えるための傾斜面30が形成されている。
【0029】
更に、上記ケーシング8の左右には、装置本体5が壁面25に吸着したときにその壁面25に接する駆動輪11が取付けられている。各駆動輪11は、ケーシング8内に収容された駆動輪用のモータ16,17によって駆動される。各駆動輪用のモータ16,17は、ファン用のモータ14,15にそれぞれ隣接して配置されている。各駆動輪用のモータ16,17の回転軸には、ピニオン31が取付けられている。これらピニオン31は、各駆動輪11の駆動軸に取付けられたピニオン32と歯合されている。
【0030】
そして、左右の駆動輪用のモータ16,17は、それぞれ独立に回転速度及び回転方向を制御できるようになっている。この構成によれば、装置本体5を壁面25に吸着させた後、左右の駆動輪用のモータ16,17の回転速度及び回転方向を制御して左右の駆動輪11を独立に駆動させることにより、壁面25上を自在に直進又は旋回走行させることができる。
【0031】
上記駆動輪11は、垂直に立った装置本体5の腹側4の下部寄りに設けられている。よって、駆動輪11の取付け位置は、垂直に立った装置本体5の重心位置に近くなり、壁面25に接したときのトラクション(接触摩擦)が良好となる。その結果、駆動輪11の空回りを抑制することができる。又、上記ケーシング8の上部には、ボールキャスタ(従動輪)33が設けられている。ボールキャスタ33は、装置本体5の走行方向を自在に変更させ得るようになっている。
【0032】
上記ケーシング8内の上部には、様々な基板34及び各モータ12〜17用の制御装置35が設けられている。又、ケーシング8の上部には、コネクタ36が設けられている。コネクタ36には、給電用及び制御信号用のケーブル37(以下、動力伝達用ケーブル37という)が接続される。動力伝達用ケーブル37は、水中にて垂直に立った状態で浮遊する装置本体5に対する上下方向の移動を操作する操作ケーブルの機能をも兼ねている。
【0033】
上記ケーシング8の左右には、壁面25に対する走行距離を検出するプラニメータ38が設けられている。プラニメータ38は、装置本体5が壁面25上を走行するときに壁面25に接して転動されるフリクションローラ39と、フリクションローラ39の回転数をカウントするロータリエンコーダ(図示せず)とを備えており、これらによって壁面25上の走行距離を検出するものである。
【0034】
更に、装置本体5を垂直に立てた時の下部位置に作業工具取付け部40を突出形成する。該作業工具取付け部40は、下部に平坦な案内面41を有しており、該案内面41に沿って、リニアガイド42が延設され、リニアガイド42に沿って移動可能にガイド体43が取付けられている。
【0035】
そして、リニアガイド42の両端部近傍にはそれぞれタイミングプーリー44,45が取付けられ、該一対のタイミングプーリー44,45間にタイミングベルト46が掛け渡されて、タイミングベルト46にガイド体43が固定され、一方のタイミングプーリー44の回転軸に接続されたモータなどの工具往復駆動装置47により、リニアガイド42に沿ってガイド体43を往復移動可能としている。
【0036】
更に、ガイド体43に工具取付けアーム48が、図示しないスプリングなどの付勢装置を介して、壁面25側へ向けて付勢されるように枢着されると共に、工具取付けアーム48の先端に各種の作業工具ユニット49が交換可能に保持されている。
【0037】
作業工具ユニット49としては、図1〜図3に示すような超音波探傷ユニット50や、図5・図6に示すようなモータ51や傘歯車52,53を介してブラシ54を回転するようにした清掃ユニット55などを使用することが可能である。
【0038】
尚、56は作業工具ユニット49に対し電力を供給したり信号などの送受信を行わせるためのケーブルベアである。
【0039】
以上の構成からなる本発明の実施の形態の作動について述べる。
【0040】
上記構成の水中移動装置1は、ケーシング8内の上部に浮体部2としての密閉タンク9を有し、下部に錘体部3としてのモータ12〜17を有しているため、水中にて垂直に立った状態で浮遊する。よって、この状態でスラストファン10a,10bを正回転又は逆回転させると、水中移動装置1は水中にて垂直に立った状態で腹側4又は背側19へ移動する。
【0041】
そして、左右のスラストファン10a,10bの回転速度を変えることにより、水中移動装置1は垂直に立った状態で水中を移動しつつ方向転回する。又、左右のスラストファン10a,10bの回転方向を互いに反対にすることにより、水中移動装置1は垂直に立った状態でその場で転回する。又、装置本体5に接続された操作ケーブルを兼ねた動力伝達用ケーブル37を上方から操作することにより、水中移動装置1は垂直に立った状態で水中を上下方向へ移動する。
【0042】
上記スラストファン10a,10bの操作によって水中移動装置1をその腹側4が水中の垂直な壁面25に対向した状態で壁面25に近付け、図2に示すように、水中移動装置1の腹側4の開口の周囲に設けられたシールスカート26を水中の壁面25に当接させる。すると、当接されたシールスカート26により水中移動装置1の装置本体5内が閉空間となるので、スラストファン10a,10bによる排水作用で装置本体5内が負圧になり、このとき発生する吸引力によりシールスカート26のフレア部27が図4に示すように内方へ吸引されて変形すると共に、装置本体5内部が負圧に保たれて水中移動装置1が壁面25に吸着される。
【0043】
ここで、上記シールスカート26は、装置本体5よりも広い面積を囲うようにしているため、単位面積当りでは小さな負圧であっても、全体としては大きな吸着力を得ることが可能となる。よって、スラストファン10a,10bのモータ12〜15の出力を小さくでき、小型化を図ることができる。
【0044】
尚、吸引されて変形されたフレア部27は、壁面25との間を完全に液密にシールしてしまうようなものではなく、装置本体5の外から内へ流入される漏れ水流程度の水流は通過させることが可能である。よって、スラストファン10a,10bは、この水流分の水量及び負圧にするための水量を排出するように回転される。
【0045】
このようにして装置本体5が壁面25に吸着されると同時に、装置本体5の腹側4に設けられた駆動輪11が壁面25に接触する。よって、この後はこの駆動輪11を回転させることにより、水中移動装置1は壁面25上を走行することができる。ここで、シールスカート26によって装置本体5内部を負圧に保たせるようにしているため、必要なシール性を確保しつつ両者間の摩擦を小さくすることができるので、上記駆動輪11によって容易に壁面25上を走行させることができる。よって、駆動輪用のモータ16,17を小型化することができる。
【0046】
駆動輪11は、垂直に立った装置本体5の腹側4の下部に設けられているため、取付け位置が重心位置に近くなるので、壁面25に接したときのトラクション(駆動摩擦)が良好となる。よって、駆動輪11の空回りが抑制される。又、左右の駆動輪11の回転速度を変えることにより、水中移動装置1は壁面25上を旋回走行することができる。このとき、プラニメータ38によって壁面25上の走行距離を検出することにより、水中移動装置1の位置決め精度を向上させることができる。又、水中移動装置1の全高Hが低く抑えられているため、狭い隙間への侵入も容易にできる。
【0047】
図4に示すように壁面25上に障害物29(ゴミやボルトや溶接線や貝類等)がある場合であっても、水中移動装置1はシールスカート26のシールリング部28の傾斜面30によって容易に乗り越えることができる。このとき、柔軟性のあるシールリング部28が部分的に変形して多少装置本体5内外のシール性が悪化するため外から内への吸込水流(以下漏れ水流という)が増加するが、スラストファン10a,10bのモータ12〜15を電流値一定に制御しているので、装置本体5内をほぼ一定の負圧に保つことができる。即ち、電流値一定制御の場合、モータ12〜15は、漏れ水流が多くなれば負荷が小さくなるため回転速度が速まり、漏れ水流が少なくなれば負荷が大きくなるため回転速度が遅くなる。この結果、装置本体5内をほぼ一定の負圧に保つことができるのである。こうして、壁面25に沿って水中移動装置1を移動しつつ作業工具ユニット49を用いて水中で各種の作業を行わせる。
【0048】
即ち、水中移動装置1が壁面25に吸着される時に、図3に示すように、作業工具ユニット49も壁面25に吸着されるので、この状態で、モータなどの工具往復駆動装置47を駆動し、タイミングプーリー44を介して一対のタイミングプーリー44,45間に掛け渡されたタイミングベルト46を移動し、リニアガイド42に沿ってガイド体43を往復移動させ、ガイド体43に工具取付けアーム48を介して支持された作業工具ユニット49をガイド体43と一体的に往復移動させ、作業工具ユニット49の位置を壁面25に対して水平方向に変位させつつ各種作業を行わせるようにする。
【0049】
例えば、作業工具ユニット49が超音波探傷ユニット50の場合、水中移動装置1を壁面25に吸着された状態で、或いは、壁面25に沿って上下に走行させつつ、超音波探傷ユニット50を水平方向に変位させて壁面25を超音波探傷することができる。
【0050】
又、作業工具ユニット49が清掃ユニット55の場合、水中移動装置1を壁面25に沿って上下に走行させつつ、清掃ユニット55を水平方向に変位させて壁面25を回転するブラシ54で清掃することができる。
【0051】
図7・図8は、本発明の第二の実施の形態であり、水中移動装置1の平面形状を、前記実施の形態における円形から長円形或いは楕円形にしたものである。
【0052】
そのために、本実施の形態では、モータ12〜15とモータ16,17を立体的な配置とし、駆動力の伝達に傘歯車57〜60を用いるようにしている。
【0053】
このように、水中移動装置1の平面形状を、長円形或いは楕円形とすることにより、全高Hは多少高くなるものの、円形の場合に比べて狭隘箇所への接近性が向上され、作業工具ユニット49による作業可能範囲を広げることができるようになる。
【0054】
上記以外については、前記実施の形態と同様の構成を備えており、同様の作用・効果を得ることができる。
【0055】
図9は、本発明の第三の実施の形態であり、水中移動装置1の平面形状を、前記実施の形態における長円形或いは楕円形から長方形にしたものである。
【0056】
そのために、本実施の形態では、モータ12〜15とモータ16,17を立体的な配置とし、水中移動装置1が垂直に立った状態でスラストファン10a,10bを上下に配置させるようにしている。
【0057】
このように、水中移動装置1の平面形状を、長方形とすることにより、長円形或いは楕円形の場合と同様に狭隘箇所への接近性が向上され、作業工具ユニット49による作業可能範囲を広げることができるようになる。
【0058】
上記以外については、前記実施の形態と同様の構成を備えており、同様の作用・効果を得ることができる。
【0059】
尚、本発明は、上述の実施の形態にのみ限定されるものではなく、水中移動装置1の形状は任意であること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように本発明にかかる水中移動装置によれば、垂直な壁面を走行しつつ各種作業を行い得る小型、軽量の装置を提供することができる。又、スラストファンの左右の回転速度を変えることにより、垂直に立った状態で水中を移動しつつ方向転回させることができると共に、左右の回転方向を互いに反対にすることにより、垂直に立った状態で転回させることができる。更に、移動機構の駆動輪は、垂直に立った装置本体の腹側の下部に設けられて取付け位置を重心位置に近くにするので、壁面に接したときのトラクション(接触摩擦)を良好にすることができる。更に又、シールスカートは、壁面吸着時に装置本体内部を負圧に保つべく壁面と接するので、スラストファンのモータの出力を小さくして装置を小型化することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態を示す水中移動装置の概略斜視図である。
【図2】図1の部分破断平面図である。
【図3】図2の水中移動装置が壁面に吸着した状態を示す側断面図である。
【図4】図3の部分拡大図である。
【図5】清掃ユニットの概略平面図である。
【図6】図5のVI−VI矢視図である。
【図7】本発明の第二の実施の形態を示す水中移動装置の部分破断平面図である。
【図8】図7の水中移動装置が壁面に吸着した状態を示す側断面図である。
【図9】本発明の第三の実施の形態を示す水中移動装置の部分破断平面図である。
【図10】従来例を示す水中移動装置の説明図であり、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【符号の説明】
1 水中移動装置
2 浮体部
4 腹側
5 装置本体
10a,10b スラストファン
11 駆動輪(移動機構)
19 背側
25 壁面
26 シールスカート
28 シールリング部
40 作業工具取付け部
49 作業工具ユニット
50 超音波探傷ユニット
55 清掃ユニット
Claims (4)
- 腹側が開口された装置本体と、該装置本体の背側の左右両側に正逆回転自在に設けられたスラストファンと、前記装置本体の腹側の開口の周囲に設けられたシールスカートと、前記装置本体を壁面に沿って移動させるよう駆動輪を備えた移動機構と、前記装置本体を水中にて垂直に立った状態で浮遊させる浮体部と、前記装置本体の外側に設けられた作業工具取付け部と、該作業工具取付け部に取り付けられて水中にて各種作業を行わせる作業工具ユニットとを備え、
前記スラストファンは、左右の回転速度を変えることにより、垂直に立った状態で水中を移動しつつ方向転回させると共に、左右の回転方向を互いに反対にすることにより、垂直に立った状態で転回させ、
前記移動機構の駆動輪は、垂直に立った装置本体の腹側の下部に設けられて取付け位置を重心位置に近くにすると共に、装置本体が壁面に吸着したときに壁面に接し、
前記シールスカートは、壁面吸着時に装置本体内部を負圧に保つべく壁面と接するよう構成されたことを特徴とする水中移動装置。 - 作業工具ユニットが作業工具取付け部に対して変位可能に取付けられた請求項1記載の水中移動装置。
- 作業工具ユニットが超音波探傷ユニットである請求項1又は2記載の水中移動装置。
- 作業工具ユニットが清掃ユニットである請求項1又は2記載の水中移動装置。
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JPH0995925A (ja) | 1997-04-08 |
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