JP4533517B2 - 信号処理方法および信号処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話などの音声符号化を採用した音声通信システムにおけるノイズ抑制方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話など音声通信を行う機器では、CELP(Code Excited Linear Prediction)方式などの音声符号化方式が用いられている。
【0003】
このような機器を背景雑音の大きい環境下で使用すると、この背景雑音が取り込まれて符号化されると音声の明瞭感が低下してしまう。そのため、背景雑音を除去もしくは抑制して音声のみの信号に近づけて音声符号化を行う技術(ノイズキャンセラ)が研究されている。
【0004】
例えば特表平10−513030号に開示されたノイズ抑圧方法がある。この公報には、音声入力信号を時間単位のフレームに分け、各フレーム毎に周波数帯域分割し、個々の帯域ごとのSNR(信号エネルギ/雑音エネルギの対数値)に重み付けを行ったものの合計であるボイスメトリックを用いる技術が開示されている。
【0005】
すなわちボイスメトリックが小さい場合は音声信号が含まれていないと判断し、時間域の信号に戻す際の各帯域の出力を低減するように制御されることになる。しかし、雑音エネルギの推定が正しくないとSNRが誤り、ノイズキャンセルが正しく行なわれない場合がある。
【0006】
そのような場合のために、個々の帯域ごとの偏差(信号エネルギの対数値−過去の信号エネルギの平均値の対数値)の絶対値をとったものの合計であるスペクトル偏差を用いて雑音推定値を更新する技術が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このスペクトル偏差がしきい値を一定時間(例えば1秒間)下回った場合は推定雑音値が更新されることになるが、雑音の種類により不具合が生じることがある。
【0008】
一般的には背景雑音(Background Noise)は定常的なものであるが、例えば人ごみ雑音のように変動の大きい場合もある。
【0009】
定常的な雑音の場合はフレーム毎のばらつきが小さいため、大きい雑音が入った後に減少したスペクトル偏差は安定であり、スペクトル偏差がしきい値を切ったときに推定雑音値を更新すればよい。
【0010】
しかしながら、人ごみ雑音のようにフレーム毎のばらつきが大きい場合は、スペクトル偏差が減少した後も変動が大きく、この変動がしきい値をはさんで繰り返されると、一定時間しきい値を切ることがなくなり、背景雑音が変化しており雑音推定値の更新が必要であるにもかかわらず推定雑音値の更新が行われないという問題がある。すなわち、フレーム間のエネルギー変動の大きい雑音は雑音検出がされにくいという問題があった。
【0011】
本発明はこの問題を考慮してなされたものであり、フレーム間のばらつきが大きい雑音に対しても雑音としての認識を良好に行うことができるノイズ抑制方法の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、スペクトル偏差の値をそのまま判定に用いるのではなく、過去フレームとの間で、帯域パワーと雑音パワーとの差の偏差合計をその平均値で正規化し、この正規化値をもとに雑音区間の判定を行うことで、フレーム間の変動の大きい雑音を雑音として認識することができ、上記問題点を解消できることを見出した。
【0013】
すなわち本発明の信号処理方法は、入力信号を定められた単位のフレームに分割するとともに、このフレームを所定数の周波数帯域に分割してフレームごとに雑音フレームか否かの判定を行い、雑音フレームと判定した場合に、前記入力信号に含まれる周波数帯域ごとの雑音パワーの推定値である帯域別雑音パワー推定値を更新する信号処理方法において、前記入力信号に含まれる第1のフレームが雑音フレームか否かの判定は、第1のフレームに対して帯域ごとのエネルギの対数によって算出される帯域別パワーと前記帯域別雑音パワー推定値との差に帯域の周波数が高くなるほど小さくなるように設定された重み付けを行って帯域別有意値を算出し、前記第1のフレームよりも過去の第2のフレームに対して算出された帯域別有意値との差の絶対値和を算出し、その絶対値和を正規化した値によって定められる比率が所定のしきい値を所定の期間連続して下回った際に前記第1のフレームを雑音フレームと判断することを特徴とする。
【0014】
このように過去フレームとの帯域別有意値の偏差を利用し、この偏差合計値の平均値で偏差を正規化した値を判定根拠に用いることでフレーム毎のばらつきを緩和することができるので、安定した雑音フレーム判定を行うことができる。
【0015】
従ってフレーム間のばらつきが大きい雑音に対しても雑音としての認識を良好に行うことができる。
【0020】
この様な本発明は、ACELP,EVRC,EFR,AMRなどの各種音声符号化方式を用いたディジタル音声符号化方法を採用する携帯電話に用いることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明のノイズ抑制方法は、デジタル方式の音声入力を扱う機器一般に利用することができる。一例として携帯電話の場合を説明する。
【0022】
図1は本発明のノイズ抑制方法を搭載したディジタル携帯電話装置の回路ブロック図である。
【0023】
同図において、図示しない基地局から無線チャネルを介して送られてきた無線搬送波信号は、アンテナ1で受信されたの後アンテナ共用器(DUP)2を介して受信回路(RX)3に入力され、周波数シンセサイザ(SYN)4から出力される受信局部発信信号とミキシングされて中間波信号に周波数変換される。この受信中間波信号は、図示しないA/D変換器においてサンプリングされた後、ディジタル復調器(DEM)6に入力される。
【0024】
ディジタル復調器6は、ディジタル受信中間波信号に対するフレーム同期およびビット同期を確立した上で、ディジタル復調処理を行う。この復調処理により得られたベースバンドのディジタル復調信号は、時分割多元接続回路(TDMA)8に入力され、ここで各伝送フレームごとに自己宛のタイムスロットが分離抽出される。なお、上記ディジタル復調器6において得られたフレーム同期及びビット同期に関する情報は制御回路18に入力される。
【0025】
TDMA回路8から出力されたディジタル復調信号は、続いて誤り訂正符号複合回路(CH−COD)9に入力され、誤り訂正復号処理が施される。訂正復号されたディジタル復調信号は、音声複合器(DEC)10に入力され音声復号処理され、ディジタル受話信号が再生される。このディジタル受話信号は、D/A変換器11でアナログ受話信号に戻された後、図示しない音声増幅器を介してスピーカ12に供給され、拡声出力される。
【0026】
一方、話者の送話音声は、マイクロホン13で集音され電器信号に変換された後、A/D変換器14に入力され、所定のサンプリング周期でサンプリングされてディジタル送話信号に変換される。このディジタル送話信号は、後述のノイズキャンセラ17に通された後、音声符号化回路(COD)16に入力され音声符号化される。
【0027】
音声符号化回路16から出力された符号化音声データは制御回路18から出力された制御信号とともに誤り訂正符号復号回路(CH−COD)9に入力され、誤り訂正符号化される。誤り訂正符号化されたディジタル送信信号はTDMA回路8に入力される。このTDMA回路8では、時分割多元接続(TDMA)方式に対応した伝送フレームが生成され、この伝送フレーム中の自装置に割り当、てられたタイムスロットに上記ディジタル送信信号を挿入するための処理が行われる。TDMA回路8から出力されたディジタル送信信号はディジタル変調器(MOD)7に入力される。
【0028】
ディジタル変調器7ではディジタル送信信号によりディジタル変調された送信中間波信号が発生され、図示しないD/A変換器によりアナログ信号に変換された後、送信回路(TX)5に入力される。
【0029】
送信回路5では、変調された送信中間波信号が周波数シンセサイザ4から出力された送信局部発信信号とミキシングされ、通話チャネルに対応する無線搬送波周波数に変換される。無線変調波信号は、送信電力増幅器において制御回路18から制御信号TCSにより指示された所定の送信電力レベルに制御された後、アンテナ共用器2を介してアンテナ1から図示しない基地局へ向けて送信される。
【0030】
操作パネル部19には、発信キー,終了キー,ダイヤルキー,及び各種機能キーを有するキー入力部と、液晶表示素子(LCD)や発光ダイオード(LED)を有する表示部とが配設されている。
【0031】
ノイズキャンセラ17は例えばDSP(Digital Signal Processor)により実現されるものであり、その処理プログラムはノイズキャンセラ内のメモリまたは制御回路18に付属するメモリに格納されている。図2はこの処理プログラムにより実現される機能構成を示すブロック図である。
【0032】
A/D変換器14から出力されたディジタル送話信号は、まずフレーム分割部21に入力される。フレーム分割部は、例えば128サンプルに整えられたフレームを出力する(フレーム分割ステップ)。このときディジタル送話信号を例えば80サンプルのフレームに分割した後、ウインドウがけを行うことによりフレーム端をオーバーラップさせても構わない。このディジタル送話信号フレームを高速フーリエ変換部(FFT)22に入力する。
【0033】
FFT22は、入力されたディジタル送話信号フレームに対し高速フーリエ変換処理を行い、低域から高域まで順に16帯域(k=0,1,2,・・・15)に周波数分割された変換係数を得る。この変換係数は各帯域において同じである必要はない。この帯域分割された変換係数を、帯域パワー計算部26に出力する(周波数帯域分割ステップ)。
【0034】
帯域パワー計算部26は、各帯域ごとにエネルギ(変換係数の二乗平均値)を求めて対数をとり、帯域パワーchanel#power(m,k)、[mはフレーム番号,kは帯域番号(0〜15)]を出力する(帯域別パワー算定ステップ)。この帯域パワーは有意値計算部27に出力される。
【0035】
有意値計算部27では、後述する雑音リーク積分値更新部32から出力される雑音リーク積分値noise#power(m,k)と、上記帯域パワーchanel#power(m,k)との差tmpをもとめ、帯域別の差tmpを所定のしきい値と比較する。周波数順に配列された上記帯域別の差tmpの内、隣接する複数の帯域の帯域別差tmpがしきい値を超えると判定された場合に、これらの帯域別差tmpに所定の重み付けを行った上で相互に加算する。この重み付け後の値suby(m,k)の条件付き総和(隣接する複数の帯域の帯域別差tmpがしきい値を超えると判定された場合)を有意値yとして出力する(有意値算定ステップ)。
【0036】
また有意値yの平均値(y#average:リーク積分による推定値で代用でき、例えば下記の式にて計算)も出力する。
【0037】
y(m):有意値、suby(m,k)の条件付き総和
y#average(m)=y#average(m-1)×0.9+y(m)×0.1
図3は有意値計算部27の処理手順を示すフローチャートである。有意値yを出力するフローを図3に基づいて説明する。
【0038】
ステップ3aでフレーム番号m=0にリセット/初期値設定した後、ステップ3bでグループ番号mをインクリメントするとともに有意値y,帯域番号k及び連続数flag(しきい値を超える帯域別差tmpの連続数フラグ)を“0”に初期設定する。
【0039】
次にステップ3cで帯域k=0について、帯域パワーと雑音リーク積分値との差tmpと、この帯域別差tmpに対して重み付けを行った値suby(m,k)とを下記のように計算する。
【0040】
tmp=chanel#power(m,k)−noise#power(m,k)
suby(m,k)={200−(k−1)2}/100×(tmp−1)
ただし、{200−(k−1)2}は重み付け係数である。この場合、帯域の周波数が高くなるにつれ小さくなるように設定されているが、適宜変更可能である。
【0041】
帯域k=0における帯域別差tmpが算出されると、有意値計算部27はステップ3dで帯域別差tmpをしきい値(例えば1)と比較する。しきい値を超えていると音声である可能性があると判断してステップ3e,ステップ3gを経てステップ3iに移行し、連続数flgを1に設定する。ついでステップ3kで帯域番号kをインクリメントしてk=1とした後、ステップcに戻って帯域k=1についても同様の処理を実行する。
【0042】
ここで帯域k=1においても帯域k=0に引き続いて帯域別差tmpがしきい値を超えたとする。連続数flgは既に1なのでステップ3eからステップ3fに移行して、ここで
y=y+suby(m,k−1)
なる演算を実行する。そして連続数flgを2に設定し、ステップ3gを経てステップ3hに移行して、下記演算を実行する。
【0043】
y=y+suby(m,k)
ついでステップ3kで帯域番号kを更にインクリメントしk=2として、ステップ3cに戻り、帯域k=2についての処理を実行する。
【0044】
以降同様に、隣接する帯域の帯域別差tmpが連続してしきい値を超える毎に、その帯域のsuby(m,k)が一つ前の帯域までに得られた有意値yに順次加算され、帯域別差tmpの重み付け加算値yが求められる。
【0045】
なお、いずれかの帯域k=iにおいて、帯域別差tmpがしきい値以下になると、有意値計算部27はステップ3dからステップ3jに移行し、連続数flgを0にリセットする。
【0046】
こうして1フレームを構成する16個の全ての帯域(k=0〜15)について処理が完了すると、有意値計算部27は、ステップ3mからステップ3nに移行し、有意値yと、帯域ごとに算出した重み付け後の帯域別差suby(m,k)(k=0〜15)を夫々出力する。
【0047】
このようにして各フレーム毎に有意値yが求められ、音声フレームであるか雑音フレームであるかの判定に供される。
【0048】
また有意値計算部27では雑音パワー強制更新を判定する有意区間のカウントをも行う。この処理を図4のフローチャートに基づいて説明する。
【0049】
まず有意値y(m)の平均値y#average(m)を求める。
【0050】
ステップ4aでフレーム番号m=0,sum#average(0)=0.1,y#average(0)=10,counter(0)=0に初期値設定した後、ステップ4bでグループ番号mをインクリメントするとともに有意値y,sub(m,k)を入力する。
【0051】
ついでステップ4cで有意値yの平均値を算出する。平均値はメモリ容量,計算量などの関係から適宜期間を設定することができるが(例えば0.1〜0.3秒くらいの平均をとれば十分であるので、過去20フレーム分を加算して平均を求めるなど)、一般的にはリーク積分を用い下記のように推定算出する。平均値の求め方はリーク積分以外の手法を用いても良いことは言うまでもない。
【0052】
y#average(m)=y#average(m-1)×0.9+y(m)×0.1
次にステップ4dでsub(m,k)とsub(m-1,k)との差の絶対値和sumを求め(帯域別有意値和算定ステップ)、更にステップ4eにて、絶対和sumの平均値sum#averageで割り、比率rを算出する(有意値正規化ステップ)。
【0053】
sum(m)/sum#average(m−1)
この値を直接rとしても良いが、特異的な値を除去するため、r(m−1)に決められた減衰率(例えば0.99)を乗じた値との大きさを比べ、大きい方をr(m)として採用する。
【0054】
この比率rは有意値区間算定のカウンタ加算の判定基準となるものであり、例えば上限は8に設定される。従って、ステップ4fでr(m)が8を超えていると判定されるとステップ4gでr(m)=8に設定し直される。
【0055】
ついでステップ4hでsum#averageが更新される。この平均値もメモリ容量,計算量などの関係から適宜期間を設定することができるが(例えば0.1〜0.3秒くらいの平均をとれば十分であるので、過去20フレーム分を加算して平均を求めるなど)、一般的にはリーク積分を用い下記のように推定算出することができる。平均値の求め方はリーク積分以外の手法を用いても良いことは言うまでもない。
【0056】
sum#average(m)=sum#average(m−1)×0.9+sum(y)×0.1
なおsum#averageは標準偏差の推定値を用いても良い。その場合も下記式のリーク積分を用いて推定値を得ることができ、この値で代用する。
【0057】
sum#average(m)=sqrt(sum#average(m−1)2×0.9+sum(m)2×0.1)
続いて有意区間のカウンタcounter(m)を算出する。
【0058】
y>10かつcounter(m−1)<100かつr(m)≦THRのとき、counter(m−1)に1が加算された値をcounter(m)として算出する。
【0059】
THRは固定値でも構わないし、y#averageによって変化させることも可能である。本実施形態では、下記の式で変化するTHRを採用している。
【0060】
THR=1.7+(y#average−40)/200 ただし 1.7≦THR≦2.0
y#average>100 THR=2.0
y#average≦ 40 THR=1.7
40≦y#average≦100 THR=1.7+(y#average−40)/200
従ってステップ4iでy#average(m)が100を超えると判定された場合はステップ4jにてTHR=2.0に設定され、ステップ4kでy#average(m)が40を超えると判定された場合はステップ4lでTHRが上記式の可変値に設定される。その他の場合はステップ4mにてTHR=1.7に設定される。
【0061】
ステップ4nで有意値yが10を超えていると判定され、ステップ4oでカウンタcounter(m−1)が100未満と判定され、ステップ4pで比率rがTHR以下と判定された場合は、ステップ4qでカウンタcounter(m−1)に1が加算された値をcounter(m)として算出し、それ以外の場合はステップ4rにてカウンタcounter(m)は0にリセットされる。
【0062】
同様にステップ4nで有意値yが10以下と判定された場合はステップ4sでカウンタcounter(m)は0にリセットされ、ステップ4oでcounter(m−1)が100以上(すなわち100)の場合はステップ4tでcounter(m)=counter(m−1)に据え置かれる。
【0063】
以上の処理で各フレームmに対して、counter(m)とy#average(m)が出力されることになる(ステップ4u)。
【0064】
これらの出力(counter(m),suby(m,k),y(m),y#average(m))を受け更新判定部28で帯域別雑音パワー値noise#power(m,k)の更新の有無を判定し、雑音パワー値更新部29で帯域別雑音パワー値を更新する。
【0065】
有意値yは通常の音声の場合は20〜30程度であり雑音推定が良好に実施されている場合はy<15程度となる。従ってy<15のときには例えば下記の式により実施する(第1の雑音パワー推定値更新ステップ)。
【0066】
noise#power(m+1,k)=noise#power(m,k)×0.9+channel#power(m,k)×0.1
k=0,1,・・・,15
またIS127[米国規格の可変レート音声符号化方式:"Enhanced Variable Rate Codec, Speech Service Option 3 for Wideband Spread Spectrum Digital Systems" (TIA IS127)]に規定されているような通常の雑音パワー更新を行ってもよい。
【0067】
何らかの理由でyが正確に計算されない場合は、上記カウンタ値(counter)をもとに強制更新が実施される(第2の雑音パワー推定値更新ステップ)。たとえば、counter(m)≧100かつy<y#average(m)+5のときに、上記式に従って更新する。
【0068】
続いて帯域別ゲイン決定部30において帯域別のゲインを決定する。このとき有意値計算部において算出された有意値(y),帯域別有意値(suby)などを参照して、各帯域毎に設定される。ゲインの設定方法もIS127に規定されているのと同様の方法を採用することができる。
【0069】
すなわち、雑音と判定されたフレームのゲインを小さく設定したり、音声フレームの中の雑音が大きくでる帯域のゲインを小さく設定したりする。またフレーム間の不連続を緩和するように調整したりする。
【0070】
例えばフレームmの帯域ゲインをgain(m,k)とするとき、
gain(m,k)=μ×(channel#power(m,k)−noise#power(m,k)−σ)+γ
ただし0≧gain(m,k)≧γ:μ,σ,γは定数
帯域k内の変換係数に上記gain(m,k)を与える。これを全帯域について行う。
【0071】
この帯域別ゲインg(m,k)は乗算器23においてFFT22の出力に乗算され、ノイズキャンセルがなされた状態でIFFT24にて逆高速フーリエ変換がなされ時間軸上の信号フレームに戻されたのち、フレーム合成部25においてフレーム合成されてノイズキャンセラの出力となる。
【0072】
このような本発明のノイズキャンセラ(ノイズ抑制方法)によれば、各フレームの有意値yが大きく(通常は音声と判断される)、前フレームとの帯域別差の差分の変化が小さい(ただし平均値で正規化したもので判断)フレームが連続した場合(例えば100フレーム)は雑音フレームと判断し、雑音パワー推定値を強制更新する。
【0073】
この強制更新の判定の際には、スペクトル偏差の平均値で正規化した値をもって連続区間をカウントしているため、スペクトル偏差がフレーム間でばらつくような雑音の場合でも実質的に連続区間としてカウントすることができる。
【0074】
従って、良好な雑音フレーム判定がなされないような有意値の変動があっても強制更新がかかることにより良好な雑音パワー推定値の更新が可能となり、もって良好なノイズ抑制が行われることになる。
【0075】
上記実施形態ではTDMA方式の携帯電話を例にとって説明したが、CDMA方式(符号分割多重方式)でも同様であり、TDMA部分がCDMAに変更されそれに伴う信号処理が変るだけである。マイクロホンと音声符号化回路との間で処理されるノイズキャンセルの機能には変りはなく、どのような方式のディジタル電話にでも応用することができる。
【0076】
なお、図1に示す各ブロックは機能説明を行うために便宜上区分して記載したものであり、各ブロックが個別の素子である必要はなく、1個またはそれ以上の機能、たとえばCPU,DSP,モデム,音声符号化回路など、をまとめて1チップのLSIとしても良いことは言うまでもない。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、フレーム間でバラツキのある雑音でも良好に雑音フレームの判定ができ、もって良好なノイズ抑制を行うことができるノイズ抑制方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明のノイズ抑制方法を搭載したディジタル携帯電話装置の回路ブロック図。
【図2】 図2は本発明の実施形態のノイズキャンセラにより実現される機能構成を示すブロック図。
【図3】 図3は本発明の実施形態の有意値計算部の処理手順を示すフローチャート。
【図4】 図4は本発明の実施形態の雑音パワー強制更新を判定する有意区間のカウントの処理手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
17・・・ノイズキャンセラ
Claims (7)
- 入力信号を定められた単位のフレームに分割するとともに、このフレームを所定数の周波数帯域に分割してフレームごとに雑音フレームか否かの判定を行い、雑音フレームと判定した場合に、前記入力信号に含まれる周波数帯域ごとの雑音パワーの推定値である帯域別雑音パワー推定値を更新する信号処理方法において、
前記入力信号に含まれる第1のフレームが雑音フレームか否かの判定は、第1のフレームに対して帯域ごとのエネルギの対数によって算出される帯域別パワーと前記帯域別雑音パワー推定値との差に帯域の周波数が高くなるほど小さくなるように設定された重み付けを行って帯域別有意値を算出し、前記第1のフレームよりも過去の第2のフレームに対して算出された帯域別有意値との差の絶対値和を算出し、その絶対値和を正規化した値によって定められる比率が所定のしきい値を所定の期間連続して下回った際に前記第1のフレームを雑音フレームと判断することを特徴とする信号処理方法。 - 入力信号を定められた単位のフレームに分割するとともに、このフレームを所定数の周波数帯域に分割してフレームごとに雑音フレームか否かの判定を行い、雑音フレームと判定した場合に、前記入力信号に含まれる周波数帯域ごとの雑音パワーの推定値である帯域別雑音パワー推定値を更新する信号処理方法において、
前記入力信号に含まれる第1のフレームが雑音フレームか否かの判定は、第1のフレームに対して帯域ごとのエネルギの対数によって算出される帯域別パワーと前記帯域別雑音パワー推定値との差を求め、この差を周波数順に並べたときに、第1のしきい値を上回る差が複数個連続していれば、これらの第1のしきい値を上回る連続した差に対して帯域の周波数が高くなるほど小さくなるように設定された重み付けを行った値の総和を求め、前記総和が第2のしきい値を下回った際に第1のフレームを雑音フレームと判定することを特徴とする信号処理方法。 - 入力信号を定められた単位のフレームに分割するとともに、このフレームを所定数の周波数帯域に分割してフレームごとに雑音フレームか否かの判定を行い、雑音フレームと判定した場合に、前記入力信号に含まれる周波数帯域ごとの雑音パワーの推定値である帯域別雑音パワー推定値を更新する信号処理方法において、
前記入力信号に含まれる第1のフレームの帯域別雑音パワー推定値の更新は、
第1のフレームに対して帯域ごとのエネルギの対数によって算出される帯域別パワーを算定する帯域別パワー算定ステップと、
前記分割された周波数帯域について帯域別雑音パワー推定値と前記帯域別パワーとの差およびこの差に所定の重み付けを行った帯域別有意値を算定し、この差を周波数順に並べたときに、第1のしきい値を上回る差が複数個連続していれば、これらの第1のしきい値を上回る連続した差に対応する帯域別有意値を合計して有意値を算定する有意値算定ステップと、
前記第1のフレームと第1のフレームよりも過去の第2のフレームとの間で、前記分割された周波数帯域について前記帯域別有意値の差の絶対値和をとる帯域別有意値和算定ステップと、
前記絶対値和の平均値を算定し、前記絶対値和をこの絶対値和の平均値で正規化した比率を算定する有意値正規化ステップと、
前記有意値が第2のしきい値を下回った場合に前記第1のフレームを雑音フレームと判断し、前記帯域別雑音パワー推定値を更新する第1の雑音パワー推定値更新ステップと、
前記比率が第3のしきい値を所定の期間連続して下回った際に前記第1のフレームを雑音フレームと判断し、前記帯域別雑音パワー推定値の更新を行う第2の雑音パワー推定値更新ステップとによって行うことを特徴とする信号処理方法。 - 前記有意値正規化ステップにおいて絶対値和の平均値として、前記絶対値和のリーク積分を用いて得られた前記平均値の推定値を用いることを特徴とする請求項3記載の信号処理方法。
- 前記有意値正規化ステップにおいて絶対値和の平均値として、前記絶対値和の標準偏差のリーク積分を用いて得られた前記平均値の推定値を用いることを特徴とする請求項3記載の信号処理方法。
- 入力信号を定められた単位のフレームに分割するとともに、このフレームを所定数の周波数帯域に分割してフレームごとに雑音フレームか否かの判定を行う雑音フレーム判定手段と、前記雑音フレーム判定手段によって雑音フレームと判定した場合に前記入力信号に含まれる周波数帯域ごとの雑音パワーの推定値である帯域別雑音パワー推定値を更新する帯域別雑音パワー推定値更新手段とを有する信号処理装置であって、
前記雑音フレーム判定手段は、前記入力信号に含まれる第1のフレームに対して帯域ごとのエネルギの対数によって算出される帯域別パワーと前記帯域別雑音パワー推定値との差に帯域の周波数が高くなるほど小さくなるように設定された重み付けを行って帯域別有意値を算出し、前記第1のフレームよりも過去の第2のフレームに対して算出された帯域別有意値との差の絶対値和を算出し、その絶対値和を正規化した値によって定められる比率が所定のしきい値を所定の期間連続して下回った際に前記第1のフレームを雑音フレームと判断することを特徴とする信号処理装置。 - 入力信号を定められた単位のフレームに分割するとともに、このフレームを所定数の周波数帯域に分割してフレームごとに雑音フレームか否かの判定を行う雑音フレーム判定手段と、前記雑音フレーム判定手段によって雑音フレームと判定した場合に雑音フレームと判定した場合に、前記入力信号に含まれる周波数帯域ごとの雑音パワーの推定値である帯域別雑音パワー推定値を更新する帯域別雑音パワー推定値更新手段とを有する信号処理装置であって、
前記雑音フレーム判定手段は、前記入力信号に含まれる第1のフレームに対して帯域ごとのエネルギの対数によって算出される帯域別パワーと前記帯域別雑音パワー推定値との差を求め、この差を周波数順に並べたときに、第1のしきい値を上回る差が複数個連続していれば、これらの第1のしきい値を上回る連続した差に対して帯域の周波数が高くなるほど小さくなるように設定された重み付けを行った値の総和を求め、前記総和が第2のしきい値を下回った際に第1のフレームを雑音フレームと判定することを特徴とする信号処理装置。
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