JP2002076960A - ノイズ抑制方法及び携帯電話 - Google Patents

ノイズ抑制方法及び携帯電話

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JP2002076960A
JP2002076960A JP2000262326A JP2000262326A JP2002076960A JP 2002076960 A JP2002076960 A JP 2002076960A JP 2000262326 A JP2000262326 A JP 2000262326A JP 2000262326 A JP2000262326 A JP 2000262326A JP 2002076960 A JP2002076960 A JP 2002076960A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な雑音フレーム判定を行うことのできる
ノイズ抑制方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 送信入力信号を定められた時間単位のフ
レームに分割し、各フレームを所定の周波数帯域に分割
して各フレームについて雑音フレームか否かの判定を行
い、その判定を反映して帯域ごとにゲインを制御してフ
レームを再構成しノイズ抑制された送信信号を出力する
ノイズ抑制方式において、帯域別パワーと帯域別雑音パ
ワー推定値との差に所定の重み付けを行った帯域別有意
値(suby)の現フレームと前フレームとの差を合計した値
(sum)を、その平均値(sum#average)で正規化した比率
(r)をもとに現フレームが雑音フレームであるか否かの
判定を行うことを特徴とするノイズ抑制方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯電話などの音
声符号化を採用した音声通信システムにおけるノイズ抑
制方法に関する。
【0002】
【従来の技術】携帯電話など音声通信を行う機器では、
CELP(Code Excited Linear Prediction)方式などの
音声符号化方式が用いられている。
【0003】このような機器を背景雑音の大きい環境下
で使用すると、この背景雑音が取り込まれて符号化され
ると音声の明瞭感が低下してしまう。そのため、背景雑
音を除去もしくは抑制して音声のみの信号に近づけて音
声符号化を行う技術(ノイズキャンセラ)が研究されて
いる。
【0004】例えば特表平10−513030号に開示
されたノイズ抑圧方法がある。この公報には、音声入力
信号を時間単位のフレームに分け、各フレーム毎に周波
数帯域分割し、個々の帯域ごとのSNR(信号エネルギ
/雑音エネルギの対数値)に重み付けを行ったものの合
計であるボイスメトリックを用いる技術が開示されてい
る。
【0005】すなわちボイスメトリックが小さい場合は
音声信号が含まれていないと判断し、時間域の信号に戻
す際の各帯域の出力を低減するように制御されることに
なる。しかし、雑音エネルギの推定が正しくないとSN
Rが誤り、ノイズキャンセルが正しく行なわれない場合
がある。
【0006】そのような場合のために、個々の帯域ごと
の偏差(信号エネルギの対数値−過去の信号エネルギの
平均値の対数値)の絶対値をとったものの合計であるス
ペクトル偏差を用いて雑音推定値を更新する技術が開示
されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このスペクトル偏差が
しきい値を一定時間(例えば1秒間)下回った場合は推
定雑音値が更新されることになるが、雑音の種類により
不具合が生じることがある。
【0008】一般的には背景雑音(Background Noise)
は定常的なものであるが、例えば人ごみ雑音のように変
動の大きい場合もある。
【0009】定常的な雑音の場合はフレーム毎のばらつ
きが小さいため、大きい雑音が入った後に減少したスペ
クトル偏差は安定であり、スペクトル偏差がしきい値を
切ったときに推定雑音値を更新すればよい。
【0010】しかしながら、人ごみ雑音のようにフレー
ム毎のばらつきが大きい場合は、スペクトル偏差が減少
した後も変動が大きく、この変動がしきい値をはさんで
繰り返されると、一定時間しきい値を切ることがなくな
り、背景雑音が変化しており雑音推定値の更新が必要で
あるにもかかわらず推定雑音値の更新が行われないとい
う問題がある。すなわち、フレーム間のエネルギー変動
の大きい雑音は雑音検出がされにくいという問題があっ
た。
【0011】本発明はこの問題を考慮してなされたもの
であり、フレーム間のばらつきが大きい雑音に対しても
雑音としての認識を良好に行うことができるノイズ抑制
方法の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、スペクトル
偏差の値をそのまま判定に用いるのではなく、過去フレ
ームとの間で、帯域パワーと雑音パワーとの差の偏差合
計をその平均値で正規化し、この正規化値をもとに雑音
区間の判定を行うことで、フレーム間の変動の大きい雑
音を雑音として認識することができ、上記問題点を解消
できることを見出した。
【0013】すなわち本発明は、送信入力信号を定めら
れた時間単位のフレームに分割し、各フレームを所定の
周波数帯域に分割して各フレームについて雑音フレーム
か否かの判定を行い、その判定を反映して帯域ごとにゲ
インを制御してフレームを再構成しノイズ抑制された送
信信号を出力するノイズ抑制方式において:帯域別パワ
ーと帯域別雑音パワー推定値との差に所定の重み付けを
行った帯域別有意値(suby)の現フレームと前フレームと
の差を合計した値(sum)を、その平均値(sum#average)で
正規化した比率(r)をもとに現フレームが雑音フレーム
であるか否かの判定を行うことを特徴とするノイズ抑制
方法である。
【0014】このように過去フレームとの帯域別有意値
(suby)の偏差を利用し、この偏差合計値の平均値で偏差
を正規化した値を判定根拠に用いることでフレーム毎の
ばらつきを緩和することができるので、安定した雑音フ
レーム判定を行うことができる。
【0015】従ってフレーム間のばらつきが大きい雑音
に対しても雑音としての認識を良好に行うことができ
る。
【0016】より詳細に説明すると、送信入力信号を定
められた時間単位のフレームに分割するフレーム分割ス
テップと;各々のフレームについて複数の周波数帯域に
分割する周波数帯域分割ステップと;各々の周波数帯域
について帯域別パワー(channel#power)を算定する帯域
別パワー算定ステップと;各々の周波数帯域について帯
域別雑音パワー推定値(noise#power)と前記帯域別パワ
ー(chennel#power)との差(tmp)を算定し、この差(tmp)
に所定の重み付けを行って得た帯域別有意値(suby)を所
定の条件にて加算した有意値(y)を算定する有意値算定
ステップと;現フレームと前のフレームとの間で、各々
の周波数帯域について帯域別有意値(suby)の差の絶対値
和(sum)をとる帯域別有意値和算定ステップと;前記絶
対値和(sum)の平均値(sum#average)を算定し、前記絶対
値和(sum)をこの絶対値和の平均値(sum#average)で正規
化した比率(r)を算定する有意値正規化ステップと;を
有し、前記雑音パワー推定値の更新は以下の2種類のス
テップを有する。
【0017】すなわち、前記有意値(y)が所定のしきい
値を下回った場合に現フレームを雑音フレームと判断
し、前記帯域別雑音パワー推定値(noise#power)を更新
する第1の雑音パワー推定値更新ステップと;前記比率
(r)が所定のしきい値を所定の期間連続して下回った際
に現フレームを雑音フレームと判断し、前記帯域別雑音
パワー推定値(noise#power)の更新を行う第2の雑音パワ
ー推定値更新ステップとである。
【0018】上記第1の雑音パワー推定値更新ステップ
は、良好に雑音推定が行われて有意値判定により雑音フ
レームであると判定される場合であり、第2の雑音パワ
ー推定値更新ステップは、有意値がフレーム間でばらつ
いたりして有意値では良好な雑音フレーム判定ができな
い場合でも強制更新を可能とするものである。
【0019】なお正規化に用いる平均値は、前記絶対値
和(sum)のリーク積分を用いての推定値を使用すること
ができる。また、前記絶対値和(sum)の標準偏差のリー
ク積分を用いて得られた前記平均値(sum#average)の推
定値を用いることも可能である。
【0020】この様な本発明は、ACELP,EVR
C,EFR,AMRなどの各種音声符号化方式を用いた
ディジタル音声符号化方法を採用する携帯電話に用いる
ことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明のノイズ抑制方法は、デジ
タル方式の音声入力を扱う機器一般に利用することがで
きる。一例として携帯電話の場合を説明する。
【0022】図1は本発明のノイズ抑制方法を搭載した
ディジタル携帯電話装置の回路ブロック図である。
【0023】同図において、図示しない基地局から無線
チャネルを介して送られてきた無線搬送波信号は、アン
テナ1で受信されたの後アンテナ共用器(DUP)2を
介して受信回路(RX)3に入力され、周波数シンセサ
イザ(SYN)4から出力される受信局部発信信号とミ
キシングされて中間波信号に周波数変換される。この受
信中間波信号は、図示しないA/D変換器においてサン
プリングされた後、ディジタル復調器(DEM)6に入
力される。
【0024】ディジタル復調器6は、ディジタル受信中
間波信号に対するフレーム同期およびビット同期を確立
した上で、ディジタル復調処理を行う。この復調処理に
より得られたベースバンドのディジタル復調信号は、時
分割多元接続回路(TDMA)8に入力され、ここで各
伝送フレームごとに自己宛のタイムスロットが分離抽出
される。なお、上記ディジタル復調器6において得られ
たフレーム同期及びビット同期に関する情報は制御回路
18に入力される。
【0025】TDMA回路8から出力されたディジタル
復調信号は、続いて誤り訂正符号複合回路(CH−CO
D)9に入力され、誤り訂正復号処理が施される。訂正
復号されたディジタル復調信号は、音声複合器(DE
C)10に入力され音声復号処理され、ディジタル受話
信号が再生される。このディジタル受話信号は、D/A
変換器11でアナログ受話信号に戻された後、図示しな
い音声増幅器を介してスピーカ12に供給され、拡声出
力される。
【0026】一方、話者の送話音声は、マイクロホン1
3で集音され電器信号に変換された後、A/D変換器1
4に入力され、所定のサンプリング周期でサンプリング
されてディジタル送話信号に変換される。このディジタ
ル送話信号は、後述のノイズキャンセラ17に通された
後、音声符号化回路(COD)16に入力され音声符号
化される。
【0027】音声符号化回路16から出力された符号化
音声データは制御回路18から出力された制御信号とと
もに誤り訂正符号復号回路(CH−COD)9に入力さ
れ、誤り訂正符号化される。誤り訂正符号化されたディ
ジタル送信信号はTDMA回路8に入力される。このT
DMA回路8では、時分割多元接続(TDMA)方式に
対応した伝送フレームが生成され、この伝送フレーム中
の自装置に割り当、てられたタイムスロットに上記ディ
ジタル送信信号を挿入するための処理が行われる。TD
MA回路8から出力されたディジタル送信信号はディジ
タル変調器(MOD)7に入力される。
【0028】ディジタル変調器7ではディジタル送信信
号によりディジタル変調された送信中間波信号が発生さ
れ、図示しないD/A変換器によりアナログ信号に変換
された後、送信回路(TX)5に入力される。
【0029】送信回路5では、変調された送信中間波信
号が周波数シンセサイザ4から出力された送信局部発信
信号とミキシングされ、通話チャネルに対応する無線搬
送波周波数に変換される。無線変調波信号は、送信電力
増幅器において制御回路18から制御信号TCSにより
指示された所定の送信電力レベルに制御された後、アン
テナ共用器2を介してアンテナ1から図示しない基地局
へ向けて送信される。
【0030】操作パネル部19には、発信キー,終了キ
ー,ダイヤルキー,及び各種機能キーを有するキー入力
部と、液晶表示素子(LCD)や発光ダイオード(LE
D)を有する表示部とが配設されている。
【0031】ノイズキャンセラ17は例えばDSP(Di
gital Signal Processor)により実現されるものであ
り、その処理プログラムはノイズキャンセラ内のメモリ
または制御回路18に付属するメモリに格納されてい
る。図2はこの処理プログラムにより実現される機能構
成を示すブロック図である。
【0032】A/D変換器14から出力されたディジタ
ル送話信号は、まずフレーム分割部21に入力される。
フレーム分割部は、例えば128サンプルに整えられた
フレームを出力する(フレーム分割ステップ)。このと
きディジタル送話信号を例えば80サンプルのフレーム
に分割した後、ウインドウがけを行うことによりフレー
ム端をオーバーラップさせても構わない。このディジタ
ル送話信号フレームを高速フーリエ変換部(FFT)2
2に入力する。
【0033】FFT22は、入力されたディジタル送話
信号フレームに対し高速フーリエ変換処理を行い、低域
から高域まで順に16帯域(k=0,1,2,・・・1
5)に周波数分割された変換係数を得る。この変換係数
は各帯域において同じである必要はない。この帯域分割
された変換係数を、帯域パワー計算部26に出力する
(周波数帯域分割ステップ)。
【0034】帯域パワー計算部26は、各帯域ごとにエ
ネルギ(変換係数の二乗平均値)を求めて対数をとり、
帯域パワーchanel#power(m,k)、[mはフレーム番号,k
は帯域番号(0〜15)]を出力する(帯域別パワー算
定ステップ)。この帯域パワーは有意値計算部27に出
力される。
【0035】有意値計算部27では、後述する雑音リー
ク積分値更新部32から出力される雑音リーク積分値no
ise#power(m,k)と、上記帯域パワーchanel#power(m,k)
との差tmpをもとめ、帯域別の差tmpを所定のしきい値と
比較する。周波数順に配列された上記帯域別の差tmpの
内、隣接する複数の帯域の帯域別差tmpがしきい値を超
えると判定された場合に、これらの帯域別差tmpに所定
の重み付けを行った上で相互に加算する。この重み付け
後の値suby(m,k)の条件付き総和(隣接する複数の帯域
の帯域別差tmpがしきい値を超えると判定された場合)
を有意値yとして出力する(有意値算定ステップ)。
【0036】また有意値yの平均値(y#average:リー
ク積分による推定値で代用でき、例えば下記の式にて計
算)も出力する。
【0037】y(m):有意値、suby(m,k)の条件付き総和 y#average(m)=y#average(m-1)×0.9+y(m)×0.1 図3は有意値計算部27の処理手順を示すフローチャー
トである。有意値yを出力するフローを図3に基づいて
説明する。
【0038】ステップ3aでフレーム番号m=0にリセ
ット/初期値設定した後、ステップ3bでグループ番号
mをインクリメントするとともに有意値y,帯域番号k
及び連続数flag(しきい値を超える帯域別差tmpの連続
数フラグ)を“0”に初期設定する。
【0039】次にステップ3cで帯域k=0について、
帯域パワーと雑音リーク積分値との差tmpと、この帯域
別差tmpに対して重み付けを行った値suby(m,k)とを下記
のように計算する。
【0040】 tmp=chanel#power(m,k)−noise#power(m,k) sub#y(m,k)={200−(k−1)2}/100×(tmp−1) ただし、{200−(k−1)2}は重み付け係数である。この
場合、帯域の周波数が高くなるにつれ小さくなるように
設定されているが、適宜変更可能である。
【0041】帯域k=0における帯域別差tmpが算出さ
れると、有意値計算部27はステップ3dで帯域別差tm
pをしきい値(例えば1)と比較する。しきい値を超え
ていると音声である可能性があると判断してステップ3
e,ステップ3gを経てステップ3iに移行し、連続数
flgを1に設定する。ついでステップ3kで帯域番号kを
インクリメントしてk=1とした後、ステップcに戻っ
て帯域k=1についても同様の処理を実行する。
【0042】ここで帯域k=1においても帯域k=0に
引き続いて帯域別差tmpがしきい値を超えたとする。連
続数flgは既に1なのでステップ3eからステップ3f
に移行して、ここで y=y+suby(m,k−1) なる演算を実行する。そして連続数flgを2に設定し、
ステップ3gを経てステップ3hに移行して、下記演算
を実行する。
【0043】y=y+suby(m,k) ついでステップ3kで帯域番号kを更にインクリメント
しk=2として、ステップ3cに戻り、帯域k=2につ
いての処理を実行する。
【0044】以降同様に、隣接する帯域の帯域別差tmp
が連続してしきい値を超える毎に、その帯域のsuby(m,
k)が一つ前の帯域までに得られた有意値yに順次加算さ
れ、帯域別差tmpの重み付け加算値yが求められる。
【0045】なお、いずれかの帯域k=iにおいて、帯
域別差tmpがしきい値以下になると、有意値計算部27
はステップ3dからステップ3jに移行し、連続数flg
を0にリセットする。
【0046】こうして1フレームを構成する16個の全
ての帯域(k=0〜15)について処理が完了すると、
有意値計算部27は、ステップ3mからステップ3nに
移行し、有意値yと、帯域ごとに算出した重み付け後の
帯域別差suby(m,k)(k=0〜15)を夫々出力する。
【0047】このようにして各フレーム毎に有意値yが
求められ、音声フレームであるか雑音フレームであるか
の判定に供される。
【0048】また有意値計算部27では雑音パワー強制
更新を判定する有意区間のカウントをも行う。この処理
を図4のフローチャートに基づいて説明する。
【0049】まず有意値y(m)の平均値y#average(m)を
求める。
【0050】ステップ4aでフレーム番号m=0,sum#
average(0)=0.1,y#average(0)=10,counter(0)=0に
初期値設定した後、ステップ4bでグループ番号mをイ
ンクリメントするとともに有意値y,sub(m,k)を入力す
る。
【0051】ついでステップ4cで有意値yの平均値を
算出する。平均値はメモリ容量,計算量などの関係から
適宜期間を設定することができるが(例えば0.1〜
0.3秒くらいの平均をとれば十分であるので、過去2
0フレーム分を加算して平均を求めるなど)、一般的に
はリーク積分を用い下記のように推定算出する。平均値
の求め方はリーク積分以外の手法を用いても良いことは
言うまでもない。
【0052】 y#average(m)=y#average(m-1)×0.9+y(m)×0.1 次にステップ4dでsub(m,k)とsub(m-1,k)との差の絶対
値和sumを求め(帯域別有意値和算定ステップ)、更に
ステップ4eにて、絶対和sumの平均値sum#averageで割
り、比率rを算出する(有意値正規化ステップ)。
【0053】sum(m)/sum#average(m−1) この値を直接rとしても良いが、特異的な値を除去する
ため、r(m−1)に決められた減衰率(例えば0.99)
を乗じた値との大きさを比べ、大きい方をr(m)とし
て採用する。
【0054】この比率rは有意値区間算定のカウンタ加
算の判定基準となるものであり、例えば上限は8に設定
される。従って、ステップ4fでr(m)が8を超えて
いると判定されるとステップ4gでr(m)=8に設定
し直される。
【0055】ついでステップ4hでsum#averageが更新
される。この平均値もメモリ容量,計算量などの関係か
ら適宜期間を設定することができるが(例えば0.1〜
0.3秒くらいの平均をとれば十分であるので、過去2
0フレーム分を加算して平均を求めるなど)、一般的に
はリーク積分を用い下記のように推定算出することがで
きる。平均値の求め方はリーク積分以外の手法を用いて
も良いことは言うまでもない。
【0056】sum#average(m)=sum#average(m−1)×0.9
+sum(y)×0.1 なおsum#averageは標準偏差の推定値を用いても良い。
その場合も下記式のリーク積分を用いて推定値を得るこ
とができ、この値で代用する。
【0057】sum#average(m)=sqrt(sum#average(m−1)
2×0.9+sum(m)2×0.1) 続いて有意区間のカウンタcounter(m)を算出する。
【0058】y>10かつcounter(m)<100かつr(m)
≦THRのとき、counter(m)に1が加算される。この条
件を満たさない場合はcounter(m)=0にリセットされる。
【0059】THRは固定値でも構わないし、y#averag
eによって変化させることも可能である。本実施形態で
は、下記の式で変化するTHRを採用している。
【0060】THR=1.7+(y#average−40)/200
ただし 1.7≦THR≦2.0 y#average>100 THR=2.0 y#average≦ 40 THR=1.7 40≦y#average≦100 THR=1.7+(y#average−40)
/200 従ってステップ4iでy#average(m)が100を超えると
判定された場合はステップ4jにてTHR=2.0に設
定され、ステップ4kでy#average(m)が40を超えると
判定された場合はステップ4lでTHRが上記式の可変
値に設定される。その他の場合はステップ4mにてTH
R=1.7に設定される。
【0061】ステップ4nで有意値yが10を超えてい
ると判定され、ステップ4oでカウンタcounterが10
0未満と判定され、ステップ4pで比率rがTHR以下
と判定された場合は、ステップ4qでカウンタcounter
が加算され、それ以外の場合はステップ4rにてカウン
タcounterは0にリセットされる。
【0062】同様にステップ4nで有意値yが10以下
と判定された場合はステップ4sでカウンタcounter(m)
は0にリセットされ、ステップ4oでcounterが100
以上(すなわち100)の場合はステップ4tでcounte
r(m)=counter(m−1)に据え置かれる。
【0063】以上の処理で各フレームmに対して、coun
ter(m)とy#average(m)が出力されることになる(ステッ
プ4u)。
【0064】これらの出力(counter(m),suby(m,k),y
(m),y#average(m))を受け更新判定部28で帯域別雑音
パワー値noise#power(m,k)の更新の有無を判定し、雑音
パワー値更新部29で帯域別雑音パワー値を更新する。
【0065】有意値yは通常の音声の場合は20〜30
程度であり雑音推定が良好に実施されている場合はy<
15程度となる。従ってy<15のときには例えば下記
の式により実施する(第1の雑音パワー推定値更新ステ
ップ)。
【0066】noise#power(m+1,k)=noise#power(m,k)
×0.9+channel#power(m,k)×0.1 k=0,1,・・・,15 またIS127[米国規格の可変レート音声符号化方
式:"Enhanced VariableRate Codec, Speech Service O
ption 3 for Wideband Spread Spectrum Digital Syste
ms" (TIA IS127)]に規定されているような通常の雑音
パワー更新を行ってもよい。
【0067】何らかの理由でyが正確に計算されない場
合は、上記カウンタ値(counter)をもとに強制更新が実
施される(第2の雑音パワー推定値更新ステップ)。た
とえば、counter(m)≧100かつy<y#average(m)+5
のときに、上記式に従って更新する。
【0068】続いて帯域別ゲイン決定部30において帯
域別のゲインを決定する。このとき有意値計算部におい
て算出された有意値(y),帯域別有意値(suby)などを参
照して、各帯域毎に設定される。ゲインの設定方法もI
S127に規定されているのと同様の方法を採用するこ
とができる。
【0069】すなわち、雑音と判定されたフレームのゲ
インを小さく設定したり、音声フレームの中の雑音が大
きくでる帯域のゲインを小さく設定したりする。またフ
レーム間の不連続を緩和するように調整したりする。
【0070】例えばフレームmの帯域ゲインをgain(m,
k)とするとき、 gain(m,k)=μ×(channel#power(m,k)−noise#power(m,
k)−σ)+γ ただし0≧gain(m,k)≧γ:μ,σ,γは定数 帯域k内の変換係数に上記gain(m,k)を与える。これを
全帯域について行う。
【0071】この帯域別ゲインg(m,k)は乗算器23にお
いてFFT22の出力に乗算され、ノイズキャンセルが
なされた状態でIFFT24にて逆高速フーリエ変換が
なされ時間軸上の信号フレームに戻されたのち、フレー
ム合成部25においてフレーム合成されてノイズキャン
セラの出力となる。
【0072】このような本発明のノイズキャンセラ(ノ
イズ抑制方法)によれば、各フレームの有意値yが大き
く(通常は音声と判断される)が前フレームとの帯域別
差の差分の変化が小さい(ただし平均値で正規化したも
ので判断)フレームが連続した場合(例えば100フレ
ーム)は雑音フレームと判断し、雑音パワー推定値を強
制更新する。
【0073】この強制更新の判定の際には、スペクトル
偏差の平均値で正規化した値をもって連続区間をカウン
トしているため、スペクトル偏差がフレーム間でばらつ
くような雑音の場合でも実質的に連続区間としてカウン
トすることができる。
【0074】従って、良好な雑音フレーム判定がなされ
ないような有意値の変動があっても強制更新がかかるこ
とにより良好な雑音パワー推定値の更新が可能となり、
もって良好なノイズ抑制が行われることになる。
【0075】上記実施形態ではTDMA方式の携帯電話
を例にとって説明したが、CDMA方式(符号分割多重
方式)でも同様であり、TDMA部分がCDMAに変更
されそれに伴う信号処理が変るだけである。マイクロホ
ンと音声符号化回路との間で処理されるノイズキャンセ
ルの機能には変りはなく、どのような方式のディジタル
電話にでも応用することができる。
【0076】なお、図1に示す各ブロックは機能説明を
行うために便宜上区分して記載したものであり、各ブロ
ックが個別の素子である必要はなく、1個またはそれ以
上の機能、たとえばCPU,DSP,モデム,音声符号
化回路など、をまとめて1チップのLSIとしても良い
ことは言うまでもない。
【0077】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、フ
レーム間でバラツキのある雑音でも良好に雑音フレーム
の判定ができ、もって良好なノイズ抑制を行うことがで
きるノイズ抑制方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明のノイズ抑制方法を搭載したデ
ィジタル携帯電話装置の回路ブロック図。
【図2】 図2は本発明の実施形態のノイズキャンセラ
により実現される機能構成を示すブロック図。
【図3】 図3は本発明の実施形態の有意値計算部の処
理手順を示すフローチャート。
【図4】 図4は本発明の実施形態の雑音パワー強制更
新を判定する有意区間のカウントの処理手順を示すフロ
ーチャート。
【符号の説明】
17・・・ノイズキャンセラ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】送信入力信号を定められた時間単位のフレ
    ームに分割し、各フレームを所定の周波数帯域に分割し
    て各フレームについて雑音フレームか否かの判定を行
    い、その判定を反映して帯域ごとにゲインを制御してフ
    レームを再構成しノイズ抑制された送信信号を出力する
    ノイズ抑制方式において:帯域別パワーと帯域別雑音パ
    ワー推定値との差に所定の重み付けを行った帯域別有意
    値(suby)の現フレームと前フレームとの差を合計した値
    (sum)を、その平均値(sum#average)で正規化した比率
    (r)をもとに現フレームが雑音フレームであるか否かの
    判定を行うことを特徴とするノイズ抑制方法。
  2. 【請求項2】送信入力信号を定められた時間単位のフレ
    ームに分割し、各フレームを所定の周波数帯域のチャネ
    ルに分割して各フレームについて雑音フレームか否かの
    判定を行い、その判定を反映して帯域ごとにゲインを制
    御してフレームを再構成しノイズ抑制された送信信号を
    出力するノイズ抑制方式において:送信入力信号を定め
    られた時間単位のフレームに分割するフレーム分割ステ
    ップと;各々のフレームについて複数の周波数帯域に分
    割する周波数帯域分割ステップと;各々の周波数帯域に
    ついて帯域別パワー(channel#power)を算定する帯域別
    パワー算定ステップと;各々の周波数帯域について帯域
    別雑音パワー推定値(noise#power)と前記帯域別パワー
    (chennel#power)との差(tmp)を算定し、この差(tmp)に
    所定の重み付けを行って得た帯域別有意値(suby)を所定
    の条件にて加算した有意値(y)を算定する有意値算定ス
    テップと;現フレームと前のフレームとの間で、各々の
    周波数帯域について帯域別有意値(suby)の差の絶対値和
    (sum)をとる帯域別有意値和算定ステップと;前記絶対
    値和(sum)の平均値(sum#average)を算定し、前記絶対値
    和(sum)をこの絶対値和の平均値(sum#average)で正規化
    した比率(r)を算定する有意値正規化ステップと;前記
    有意値(y)が所定のしきい値を下回った場合に現フレー
    ムを雑音フレームと判断し、前記帯域別雑音パワー推定
    値(noise#power)を更新する第1の雑音パワー推定値更新
    ステップと;前記比率(r)が所定のしきい値を所定の期
    間連続して下回った際に現フレームを雑音フレームと判
    断し、前記帯域別雑音パワー推定値(noise#power)の更
    新を行う第2の雑音パワー推定値更新ステップとを有す
    ることを特徴とするノイズ抑制方法。
  3. 【請求項3】前記有意値正規化ステップにおいて絶対値
    和の平均値(sum#averge)として、前記絶対値和(sum)の
    リーク積分を用いて得られた前記平均値(sum#average)
    の推定値を用いることを特徴とする請求項2記載のノイ
    ズ抑制方法。
  4. 【請求項4】前記有意値正規化ステップにおいて絶対値
    和の平均値(sum#averge)として、前記絶対値和(sum)の
    標準偏差のリーク積分を用いて得られた前記平均値(sum
    #average)の推定値を用いることを特徴とする請求項2
    記載のノイズ抑制方法。
  5. 【請求項5】請求項1乃至4記載のノイズ抑制方法を用
    いたディジタル音声符号化方法を搭載した携帯電話。
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