JP4532465B2 - 歯車システムの作製方法 - Google Patents

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Description

発明の分野
本発明は、鍛造で製造されたはすば傘歯車(skew bevel gear)及びすぐば傘歯車(straight bevel gear)のための配置(geometry)の設計に関する。
発明の背景
従来、はすば傘歯車およびすぐば傘歯車は、歯車とピニオン(小歯車)との間で線接触するように設計されていた。この場合、歯車とピニオンの独立した歯は、歯車とピニオンが回転した場合に歯の表面に沿って位置を変える接触の線に沿って相互に作用する。しかしながら、歯車とピニオンの調整不良のように、組立てや製造の誤差は、接触領域を歯の端部に移動させることができる。調整不良の従来の歯車の伝達関数(トランスミッションファンクション)φ2(φ1)を図1に示す。伝達関数φ2(φ1)の角度φ1およびφ2は、従来の、歯車とピニオンとの回転角度を表す。関数φ2(φ1)は、位置合わせの誤差に起因する伝達誤差の、一次関数と不連続な略一次関数との合計で表される。F.L.Litvin による「歯車と応用理論」Prentice Hall (1994) 参照。1組の歯が他に代わった場合に、そのような伝達誤差は大きな加速を招き、歯車の駆動の避けられない振動と騒音を発生させる。
更に、現行のはすば歯車および傘歯車の多くは、切削により作製されるように設計されている。切削により作製された歯車の製造は、少なくとも2つの理由から好ましくない。第1は、歯の表面の切削は、騒音の低減や良好なベアリング接触を保証するものではないことである。第2は、切削道具に載せることにより、歯車の組の間での整合性を得ることが難しいことである。切削の代替えとして、歯車の鍛造が行われる。
鍛造は、切削より好ましい。なぜなら、最適の配置(geometry)が選択でき、ベアリング接触を改良し、伝達誤差を低減できるからである。最適の配置は、好ましい型(ダイ)の使用を通して容易に得ることができる。最適の型の配置の適用は、局在したベアリング接触と伝達誤差の放物線状の関数を与える。そのような伝達誤差の放物線状の関数は、調整不良により起きる伝達誤差の一次関数を吸収でき、調整不良により発生する騒音や振動を避ける。F.L.Litvin による「歯車と応用理論」Prentice Hall (1994) 参照。
本発明は、鍛造で形成された、歯の表面の間で局在した安定したベアリング接触と、好ましい形状を有する伝達誤差の関数とを提供する、はすば傘歯車とすぐば傘歯車のための配置を提供する。ピニオン歯車の歯の表面の、部分的なベアリング接触は、歯の表面の中央部分に配置される。ベアリング接触の配置は、2つの方法で達成できる。
ベアリング接触の配置は、ピニオン又は歯車のいずれかの、噛み合った歯車の1つの接触の線を変形することにより達成できる。これにより、接触の線が、クラウン歯車の相手歯車の噛み合わせと一致する。接触する線の変形は、接触の理論的な線を放物線状に偏らせ、偏在したベアリング接触を歯の表面を横切るように配置し、歯の表面の中央部分に配置することにより達成される。
第2のアプローチでは、ベアリング接触の位置は、ピニオンと歯車との歯の表面を別々に生成される、仮想のクラウン歯車の2つの生成された表面を用いて達成される。生成された表面は、平面と、放物線状の円筒を表す。歯の間の実際の接触領域は、接触の瞬間理論点の周囲に配置される楕円の上に延びる。この局在したベアリング接触は、ベアリング領域が、組み立てや製造の誤差により歯の表面の端部に移動するのを低減し、これにより、より耐久性があり、より静かな歯車を製造する。更に、歯車の形状は十分に単純で、鍛造に使用される型は容易に製造できる。
提案された配置を備えた傘歯車の感度は、予め設計された伝達誤差の放物線状の関数の使用により低減される。関数は、調整不良により発生する、略一次関数の伝達誤差を吸収できる。F.L.Litvin による「歯車と応用理論」Prentice Hall (1994) 参照。歯車駆動の伝達関数は、歯車の噛み合わせが行われる傘歯車の回転角度をクラウン歯車に関係づける、非線形関数の適用により提供される。伝達関数は、一次関数と放物線状の関数の代数的な和である。
出願人の配置を用いた鍛造による、はすば傘歯車とすぐば傘歯車の製造は、現状の形状を用いた場合の製造コストに比較して、製造コストの増加を招かない。鍛造が高価でない型の適用によること、型の表面が、一つ一つ形成されることにより、コストには影響しない。それゆえに、新しい配置の型の形成は、付加的な製造の困難性を生じない。
好適な具体例の詳細な記載
以下の、好適な具体例の記載は、単なる例示に過ぎず、本発明、その応用、又は使用を限定する意図ではない。
歯車とピニオンとの歯の表面の数学的な生成は、ピニオンと歯車の歯の表面と噛み合う、仮想クラウン歯車の使用により達成される。ピニオンと歯車の歯の表面の配置は、仮想クラウン歯車の上の生成面の覆いとして生成される。この歯の表面の数学的生成は、好ましくは、ここで記載される方法を用いたコンピュータシミュレーションで行われる。
図面を参照すると、仮想クラウン歯車は、図2Aに示されている。仮想クラウン歯車は、ピニオンと歯車のそれぞれの歯の側面に噛み合う、2つの生成面により生成される。生成面ΣbおよびΣbは、軸Xb−Yb−Zbで定義される、補助の座標系Sbにより表される。生成面のそれぞれは、2つの直線により形成される。図2Bに示すように、例えば、生成面Σbは、線分ObDと線分ObEで形成される。パラメータ2μは、傾斜面(pitch plane)の空間の幅を表し、パラメータαは加圧角度を表し、補助パラメータqは、式により決定される。
Figure 0004532465
ピニオンと歯車の歯の表面を生成するために、クラウン歯車の座標系Sb(Xb,Yb,Zb)が、座標系Sc(Xc,Yc,Zc)に正確に接続される。座標系Sbは、Scに関して、図3に示すように挿入される。ここでは、はすば傘歯車が考慮される。すぐば傘歯車が生成された場合、パラメータαおよびρはゼロに等しく、座標系SbはScと同一となる。
ピニオンと歯車の歯の表面を生成する間、(座標系ScとSbを備えた)クラウン歯車は、図4に示すように、軸Xh−Yh−Zhにより規定される固定された座標系ShのXhの周りを回転する。角度ψcは、生成中に行われる、Shに対するScとSbの回転の瞬間角度を示す。図3および図4に示すように、クラウン歯車の回転中、軸Zbは、軸Zbの点Qによりなぞられる半径ρの円に対する接線となる。
図5に示すように、仮想クラウン歯車の回転と同時に、ピニオンと歯車は、軸Z1およびZ2の周りで相対的な回転を行う。ピニオンは、軸X1−Y1−Z1で規定された座標系S1に表され、歯車は、軸X2−Y2−Z2で規定された座標系S2に表される。図5の矢印ψc、ψ1、およびψ2は、仮想クラウン歯車、ピニオン、および歯車の、それぞれの回転を示す。
上で議論した関連した回転のプロセスの間、図2に示すように、仮想クラウン歯車の生成面Σbは、図5に示される、ピニオンと歯車に硬く接続された座標系S1およびS2の平面のファミリーを生成する。ピニオンと歯車の歯の表面は、Σb平面のファミリーに対する覆いとして規定される。F.L.Litvinによる「歯車と応用理論」Prentice Hall (1994) 参照。しかしながら、覆いは、以下に説明するように変形される。
Shに対する、SbおよびScの挿入は、はすば(skew teeth)の方向を規定する。図6は、左方向に傾いた歯を示す。一方、図7は、右方向に傾いた歯を示す。直線状のはすばは、参照番号10で示され、実線で図示されている。本発明で記載された方法により生成された、放物線状のはすばは、参照番号20で示され、破線で図示されている。平均傾き角βは、以下のように決められる。
Figure 0004532465
ここで、Reは、クラウン歯車の外方の半径を示す。
仮想ピニオンと歯車の生成プロセスでは、ピニオンと歯車が、仮想クラウン歯車と線接触する。局在したベアリング接触を得るために、歯の表面に沿った線接触が、点接触により置き換えられる。ピニオンと歯車の歯の表面の間の点接触を達成するための、2つの代わりの方法が、提案される。
最初の具体例では、図8に示すように、ピニオンと歯車の歯の表面上の接触の理論的な線が、上述の方法を用いた歯の表面の生成後に修正される。ピニオン又は歯車歯の表面上の理論的な線のファミリーは、L1により表される。修正された線は、Liで表される。L1からLiのずれは、以下の条件を満足させる。ずれの大きさは、M点でのずれがゼロに等しい、放物線状の関数により決定され、歯の表面の垂線Nに沿って完成される。上述のずれは、点Mの軌跡からなる噛み合う歯の表面上の、接触の経路を形成する。点Mは、歯の表面の中心に配置され、ずれはゼロに等しい。現実の接触は、図9に示すように、噛み合う歯の表面の弾性的な変形により、点Mの軌跡の周囲を中心とする楕円領域の上に、それぞれの点において拡がる。
第2の具体例では、局在したベアリング接触が、ピニオンと歯車の歯の表面を、別々に生成される2つのクラウン歯車を用いることにより達成される。図10に示すように、生成された表面の1つは平坦で、他の生成された表面は放物線状の円筒である。2つの生成された表面は、図2Aおよび図2Bの生成された表面ΣbおよびΣbを置き換える。放物線状の円筒と平面の接線は、形成された表面上の接触の経路である。歯車およびピニオンは、上述の方法を用いて設計される。ここでは、生成された放物線状の円筒が、それが回転することにより、歯車とピニオンが噛み合った場合にベアリング接触する放物線状の歯の表面を生成する。
高度な配置が、調整不良により起きる伝達誤差の一次関数を吸収する、予め設計された放物線状の関数の使用を可能とする。この伝達関数φ2(φ1)は、図11に示されるように、伝達誤差の一次関数と放物線関数との和として表される。伝達関数φ2(φ1)は、歯車駆動中のピニオンと歯車との噛み合うプロセス中に形成される回転角度φ1およびφ2により規定される。しかしながら、回転角度φ1およびφ2は、図4および図5に見られる歯車生成プロセス中に生成された回転角度ψc、ψ1、およびψ2とは異なっている。
生成プロセス中、クラウン歯車の回転角度ψcと歯車の回転角度ψ2との間に以下の関係が成立する。ここで、kは放物線係数である。
Figure 0004532465
歯車とピニオンの生成プロセスで、ピニオンと歯車との回転角度は、以下の式で関係づけられる。
Figure 0004532465
ピニオンと歯車を生成するために出願人が使用したコンピュータシミュレーションは、以下の歯車駆動伝達関数である。
Figure 0004532465
上記歯車駆動伝達関数は、以下のような放物線関数の伝達誤差を与える。
Figure 0004532465
予め設定した放物線関数の伝達誤差の適用は、調整不良に起因する一次関数の伝達誤差の吸収を許容する。
歯車理論と同様に、異なった配置で表されたアプローチを用いて、生成された表面の覆いとして、ピニオンと歯車の表面は数値で規定される。F.L.Litvin による「歯車と応用理論」Prentice Hall (1994) 参照。例えば、ピニオンの歯の表面Σ1は、以下の式により、クラウン歯車Σcの覆いとして規定される。
Figure 0004532465
Figure 0004532465
ここで、rc(Uc,θc)は、クラウン歯車の生成表面Σcを表すベクトル式である。(Uc,θc)は、Σcの表面パラメータである。マトリックスM1cは、クラウン歯車に固く取り付けられた座標系Sc(Xc,Yc,Zc)から、ピニオンに固く取り付けられた座標系S1(X1,Y1,Z1)への座標変換を示す。Ψcは、クラウン歯車とピニオンの回転角度を定義する動作の生成されたパラメータである。ベクトル関数r1(Uc,θc,ψc)は、座標系S1中の生成表面Σcのファミリーを規定する。上記式(8)は、噛み合いfc1=0の式である。上記式(7)および(8)は、3つの関連するパラメータでピニオン歯の表面Σ1を規定する。歯車の歯の表面Σ2も、同様に規定される。
上述のように形成されたピニオンと歯車の歯の表面Σ1およびΣ2は、それぞれの型の正確な複製として形成される。型は、コンピュータ数値制御(CNC)装置を用いて、一つ一つ形成される。所望の表面特性を備えたピニオンと歯車は、それらのそれぞれの表面の正確な複製ができる型から形成される。金属または他の適当な材料が、型に入れられて冷却され、本発明の提案された配置を備えた傘歯車が鍛造される。結果は、湾曲した表面を有する歯を備えたピニオン及び歯車である。ピニオン歯の湾曲した表面は、歯車の歯の湾曲した表面の接線であり、歯の間の相互作用は、それぞれの湾曲した噛み合った歯の表面の共通の点で、実質的に発生する。
歯車およびピニオンは、フィレットを含んでも構わない。歯車やピニオンのフィレットは、図12Aに示すクラウン歯車のフィレットにより形成される。クラウン歯車のフィレットは、2つの錐面と平面(図2B)から形成される。しかしながら、いくつかの場合、クラウン歯車フィレットは、1つの錐面から形成されてもよい。ピニオン(または歯車)のフィレットは、生成されたクラウン歯車の覆いとして生成される。
本発明の記載は、単に例示に過ぎず、それゆえに、本発明の要旨からはずれない変形は、本発明の範囲に入ることを意図する。そのような変形は、本発明の精神や範囲から離れるとは解しない。
本発明は、詳細な説明と以下の添付図面より、更に深く理解されるであろう。
従来の歯車配置により形成される伝達関数φ2(φ1)を示す図である。 本発明にかかる座標系Sb(Xb,Yb,Zb)に生成された仮想クラウン歯車の生成する間隔と平面とを示す図である。 本発明にかかる座標系Sb(Xb,Yb,Zb)に生成された仮想クラウン歯車の生成する間隔と平面との構成を示す図である。 本発明にかかる仮想クラウン歯車の座標系Sb(Xb,Yb,Zb)に対する、座標系Sc(Xc,Yc,Zc)の挿入を示す。 本発明にかかる固定された座標系Sh(Xh,Yh,Zh)に対する、仮想クラウン歯車の座標系Sb(Xb,Yb,Zb)および座標系Sc(Xc,Yc,Zc)の回転を示す。 本発明にかかる固定された座標系Sh(Xh,Yh,Zh)に対する、座標系S1(X1,Y1,Z1)を備えたピニオンと、座標系S2(X2,Y2,Z2)を備えた歯車との相対的な回転を示す。 本発明にかかる左斜め歯の模式図を示す。 本発明にかかる右斜め歯の模式図を示す。 本発明にかかる歯の表面上の、接触の理論線の修正を示す。 本発明にかかる歯の表面上の、接触の領域と接触の経路とを示す。 本発明にかかる生成された面と、生成された円筒を示す。 伝達関数φ2(φ1)を示す図である。伝達関数は、伝達関数の誤差の一次関数と放物線関数との和である。伝達関数の誤差は、本発明にかかる歯車の整列不良により発生する伝達誤差の一次関数の吸収のために予め設計される。 本発明のかかるクラウン歯車のフィレットを示す。

Claims (3)

  1. 複数の完成した歯車の歯を有する歯車を鍛造する工程と、
    複数の完成したピニオンの歯を有するピニオンを鍛造する工程と、
    完成した歯車の歯と完成したピニオンの歯とを噛み合わせる工程であって、完成した歯車の歯と完成したピニオンの歯との間が実質的に点接触となり、かつ放物線関数の伝達誤差を伴う工程と、
    仮想のクラウン歯車を用いて、歯車とピニオンの回転角に関する一次関数と二次関数の代数和を用いて伝達誤差を計算する工程と、を含む歯車システムの作製方法。
  2. 伝達誤差が、以下の式:
    =−k(sinγ(φ
    但し、eは伝達誤差、
    kは放物線係数、
    γはピニオンのピッチ円錐角、
    φはピニオンの回転角、
    に従って計算される請求項1に記載の作製方法。
  3. 傘歯車と傘ピニオンを形成する工程であって、
    傘歯車は複数の歯車の歯を含み、傘ピニオンは複数のピニオンの歯を含み、傘歯車と傘ピニオンは、互いに噛み合わされた場合に、伝達誤差が以下の式:
    =−k(sinγ(φ
    但し、eは伝達誤差、
    kは放物線係数、
    γはピニオンのピッチ円錐角、
    φはピニオンの回転角、
    に従って計算され、歯車の歯とピニオンの歯の少なくとも1つが鍛造作業により形成される工程を含む歯車システムの作製方法。
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