本発明は、寝返りと離床前動作とを区別することができ、かつ、離床前動作の速度が変化しても離床前動作を検出することのできる離床前動作検出装置、離床前動作検出システム、離床前動作検出プログラム、記録媒体及び離床前動作検出方法の提供を目的とする。
本発明に係る離床前動作検出装置、離床前動作検出システム、離床前動作検出プログラム、記録媒体及び離床前動作検出方法は、ベッド端部に設けられたベッドの手すりに加わる圧力を検出することによって、ベッド上の被介護者が上体を起こす動作を離床前動作として検出することを特徴とする。
具体的には、本発明に係る離床前動作検出装置は、人間の横たわるベッドの手すりに装着され、前記手すりが前記ベッドに加える圧力を検出圧力として検出する圧力検出手段を備える。
筋力の低下した被介護者は、離床前動作を行なう際、ベッドの手すりを支えにして上体を起こす。圧力検出手段がベッドの端部に設けられたベッドの手すりに加わる圧力を検出することによって、被介護者がベッドの手すりに力を加えたことを判定し、離床前動作を検出する。上体を起こす際に加わる圧力は寝返りに比べて大きいので、寝返りと離床前動作とを区別することができる。また、上体を起こす際に加わる力の大きさで判定するので、動作の速度が変化しても離床前動作を検出することができる。したがって、寝返りと離床前動作とを区別することができ、かつ、離床前動作の速度が変化しても離床前動作を検出することのできる離床前動作検出装置が提供できる。
本発明に係る離床前動作検出装置は、前記検出圧力が予め定められた離床基準圧力よりも大きいときに離床前動作と判定する離床判定手段をさらに備えることが好ましい。
上体を起こす際に被介護者が手すりに加える力の大きさが離床基準圧力よりも大きいことを離床前動作と判定するので、離床前動作の判定を自動化することができる。
本発明に係る離床前動作検出装置は、前記検出圧力の単位時間当たりの平均値を算出する平均値算出手段をさらに備え、前記離床判定手段は、前記平均値算出手段の算出した前記平均値が予め定められた離床基準圧力よりも大きいときに離床前動作と判定することが好ましい。
単位時間当たりの平均値を用いて離床前動作を判定するので、継続的な圧力が手すりに加わったときに離床前動作と判定することができる。これにより、離床前動作とは異なる突発的な圧力を離床前動作と判定しないので、離床前動作の誤判定を防ぐことができる。
前記検出圧力の単位時間当たりの最大値を算出する最大値算出手段をさらに備え、前記離床判定手段は、前記最大値算出手段の算出した前記最大値が予め定められた離床基準圧力よりも大きいときに離床前動作と判定することが好ましい。
単位時間当たりの最大値を用いて離床前動作を判定するので、前記単位時間内に離床基準圧力よりも大きい圧力が検出されたときを離床前動作と判定することができる。これにより、前記単位時間を長くしても離床前動作を判定することができる。
前記検出圧力の単位時間当たりの最小値を算出する最小値算出手段をさらに備え、前記離床判定手段は、前記最小値算出手段の算出した前記最小値が予め定められた離床基準圧力よりも大きいときに離床前動作と判定することが好ましい。
単位時間当たりの最小値を用いて離床前動作を判定するので、離床基準圧力よりも大きい圧力が前記単位時間にわたり継続したときに離床前動作と判定することができる。これにより、離床前動作とは異なる突発的な圧力を離床前動作と判定しないので、離床前動作の誤判定を防ぐことができる。
前記検出圧力の単位時間当たりの分散を算出する離床分散算出手段をさらに備え、前記離床判定手段は、前記離床分散算出手段の算出した分散が予め定められた離床基準分散よりも大きいときに離床前動作と判定することが好ましい。
被介護者が手すりを掴んだときに検出圧力の分散は大きくなるので、単位時間当たりの検出圧力の分散から離床前動作を判定することができる。これにより、離床前動作とは異なる突発的な圧力を離床前動作と判定しないので、離床前動作の誤判定を防ぐことができる。
前記圧力検出手段が検出する第1所定時間内での検出圧力の分散を第2所定時間ごとに算出する分散算出手段と、前記分散算出手段の算出した分散が予め定められた静止基準分散よりも小さいときに静止状態と判定する分散判定手段と、前記分散判定手段が静止状態と判定したとき、検出圧力を加算した離床基準圧力を前記離床基準圧力として設定する分散基準圧力設定手段と、をさらに備えることが好ましい。
検出圧力の分散が第1所定時間内で静止基準分散よりも小さいことを判定するので、離床前動作以外の原因によりベッドの手すりに力が加わっていることを判定することができる。このときを静止状態とし、このときに検出された検出圧力を離床基準圧力に加算することで、離床判定手段は、静止状態からさらに離床基準圧力が加わったときに離床前動作と判定することができる。これにより、離床前動作の誤判定を防ぐことができる。
前記圧力検出手段が検出する第1所定時間内での検出圧力の偏差を第2所定時間ごとに算出する偏差算出手段と、前記偏差算出手段の算出した偏差が予め定められた静止基準偏差よりも小さいときに静止状態と判定する偏差判定手段と、前記偏差判定手段が静止状態と判定したとき、検出圧力を加算した離床基準圧力を前記離床基準圧力として設定する偏差基準圧力設定手段と、をさらに備えることが好ましい。
検出圧力の偏差が第1所定時間内で静止基準偏差よりも小さいことを判定するので、離床前動作以外の原因によりベッドの手すりに力が加わっていることを判定することができる。このときを静止状態とし、このときに検出された検出圧力を離床基準圧力に加算することで、離床判定手段は、静止状態を基準にして被介護者が離床前動作を行なったか否かを判定することができる。これにより、離床前動作の誤判定を防ぐことができる。さらに、静止状態の判定に偏差を用いるので、検出圧力の大きさに応じて異なる判定基準を設けることができる。
前記離床判定手段が離床前動作と判定したときにアラーム信号を出力するアラーム出力手段をさらに備えることが好ましい。
離床判定手段が離床前動作と判定するときにアラーム信号を出力するので、ベッド上の被介護者が離床前動作を行なったことを関係者へ通知することができる。
前記圧力検出手段が、鉛直方向又は前記ベッドの長軸方向への圧力を検出することが好ましい。
被介護者が上体を起こす際にベッドの手すりに加わる力は、鉛直方向及びベッドの長軸方向が顕著となる。圧力検出手段が鉛直方向への圧力を検出する。これにより、寝返りで顕著となるベッドの横方向への圧力を離床前動作と判定しないので、離床前動作の誤判定を防ぐことができる。
前記圧力検出手段は、2以上の方向への圧力を検出する圧力検出部と、前記圧力検出部のそれぞれが検出する圧力をベクトル合成するベクトル合成部とを含み、前記ベクトル合成部の合成した圧力を検出圧力として検出することが好ましい。
検出圧力を多方向への圧力のベクトル和とするので、検出した複数方向への圧力を1の離床判定手段を用いて離床前動作を判定することができる。
前記圧力検出部が鉛直方向及び前記ベッドの長軸方向への圧力を検出することが好ましい。
ベッドの手すりに加わる力は、被介護者が上体を起こす際、鉛直方向及びベッドの長軸方向が顕著となる。鉛直方向及び前記ベッドの長軸方向への圧力のベクトル和を検出圧力とするので、被介護者が鉛直方向又はベッドの長軸方向のいずれの方向へ圧力を加えた場合にも離床前動作を検出することができる。これにより、寝返りで顕著となるベッドの横方向への圧力を離床前動作と判定しないので、離床前動作の誤判定を防ぐことができる。
前記圧力検出手段の検出する鉛直方向又はベッドの長軸方向の少なくともいずれかの方向への圧力が基準長軸圧力よりも大きく、かつ、前記圧力検出手段の検出するベッドの短軸方向への圧力が基準短軸圧力より小さいときに非寝返り動作と判定する寝返り判定手段をさらに備え、前記圧力検出手段は、鉛直方向又は前記ベッドの長軸方向並びに前記ベッドの短軸方向への圧力を検出し、前記離床判定手段は、前記寝返り判定手段が非寝返り動作と判定し、かつ、前記検出圧力が予め定められた離床基準圧力よりも大きいときに離床前動作と判定することが好ましい。
ベッド上の被介護者が寝返りでベッドの手すりに接触したとき、ベッドの手すりに加わる圧力は、通常、ベッドの短軸方向への圧力がベッドの長軸方向への圧力よりも大きくなる。よって、ベッドの短軸方向への圧力がベッドの長軸方向への圧力よりも小さいことを判定することによって、寝返り動作ではないことを判定できる。寝返り動作ではないことを判定するので、離床前動作の誤判定を防ぐことができる。
前記ベッド上の人間の運動を検出する運動検出手段をさらに備え、前記圧力検出手段は、前記運動検出手段が運動を検出するときに前記検出圧力を検出することが好ましい。
ベッド上の人間の運動を検出するときに検出圧力を検出するので、離床前動作を行なう可能性の高いときに検出圧力を検出することができる。これにより、離床前動作検出装置の消費電力を節減することができる。
前記運動検出手段は、ベッドの振動を検出する振動センサであることが好ましい。振動センサを用いてベッドの振動を検出するので、ベッド上の被介護者が何らかの動作を行なったことを被介護者に非接触で検出することができる。
前記運動検出手段は、前記ベッド上の人間の加速度を検出する加速度センサであることが好ましい。加速度センサでベッド上の被介護者の一部の加速度の大きさを検出するので、ベッド上の被介護者のわずかな動作を検出することができる。
前記運動検出手段は、前記ベッド上の人間の移動を検出する光学センサであることが好ましい。光学センサでベッド上の人間の一部の移動を検出するので、ベッド上の被介護者のわずかな動作を検出することができる。
前記圧力検出手段は、前記ベッドと前記ベッドの手すりとの接合部分に装着されることが好ましい。
前記ベッドと前記ベッドの手すりとの接合部分に装着されれば、手すりがベッドに加える圧力を容易に検出することができる。
本発明に係る離床前動作検出システムは、前記離床前動作検出装置を少なくとも2個備え、1のみの前記離床判定手段が離床前動作と判定するときにアラーム信号を出力する比較アラーム出力手段を設けたことを特徴とする。
前記離床前動作検出装置を少なくとも2個備え、1のみの手すりに離床基準圧力よりも大きな圧力が加わったときにアラーム信号を出力する。これにより、複数の手すりに同時に圧力が印加されたときを離床前動作と判定しないので、離床前動作の誤判定を防ぐことができる。
本発明に係る離床前動作検出方法は、ベッドに取り付けられる手すりに装着された圧力検出手段が、前記手すりの前記ベッドに加える圧力を検出圧力として検出する圧力検出手順と、前記圧力検出手順において検出した検出圧力が予め定められた離床基準圧力よりも大きいとき、離床判定手段が、離床前動作と判定する離床判定手順と、を有する。
ベッドの端部に設けられたベッドの手すりに加わる圧力を検出することによって、被介護者がベッドの手すりに力を加えたことを判定し、離床前動作を検出する。上体を起こす際に加わる圧力は寝返りに比べて大きいので、寝返りと離床前動作とを区別することができる。また、上体を起こす際に加わる力の大きさで判定するので、動作の速度が変化しても離床前動作を検出することができる。さらに、上体を起こす際に被介護者が手すりに加える力の大きさが離床基準圧力よりも大きいことを離床前動作と判定するので、離床前動作の判定を自動化することができる。したがって、寝返りと離床前動作とを区別することができ、かつ、離床前動作の速度が変化しても離床前動作を検出することのできる離床前動作検出方法が提供できる。
平均値算出手段が、前記圧力検出手順において検出した検出圧力の単位時間当たりの平均値を算出する平均値算出手順を離床判定手順の前にさらに有し、前記平均値算出手順において算出した前記平均値が予め定められた離床基準圧力よりも大きいとき、前記離床判定手順において、前記離床判定手段が、離床前動作と判定することが好ましい。
単位時間当たりの平均値を用いて離床前動作を判定するので、継続的な圧力が手すりに加わったときに離床前動作と判定することができる。これにより、離床前動作とは異なる突発的な圧力を離床前動作と判定しないので、離床前動作の誤判定を防ぐことができる。
分散算出手段が、前記圧力検出手順において検出する第1所定時間内での検出圧力の分散を第2所定時間ごとに算出する分散算出手順と、前記分散算出手順において算出した分散が予め定められた静止基準分散よりも小さいとき、分散判定手段が、静止状態と判定する分散判定手順と、前記分散判定手順において前記分散判定手段が静止状態と判定したとき、分散基準圧力設定手段が、検出圧力を加算した離床基準圧力を前記離床基準圧力として設定する分散基準圧力設定手順と、を前記離床判定手順の前にさらに有することが好ましい。
検出圧力の分散が第1所定時間内で静止基準分散よりも小さいことを判定するので、離床前動作以外の原因によりベッドの手すりに力が加わっていることを判定することができる。このときを静止状態とし、このときに検出された検出圧力を離床基準圧力に加算することで、離床判定手段は、静止状態からさらに離床基準圧力が加わったときに離床前動作と判定することができる。これにより、離床前動作の誤判定を防ぐことができる。
偏差算出手段が、前記圧力検出手順において検出する第1所定時間内での検出圧力の偏差を第2所定時間ごとに算出する偏差算出手順と、前記偏差算出手順において算出した偏差が予め定められた静止基準偏差よりも小さいとき、偏差判定手段が、静止状態と判定する偏差判定手順と、前記偏差判定手順において前記偏差判定手段が静止状態と判定したとき、偏差基準圧力設定手段が、検出圧力を加算した離床基準圧力を前記離床基準圧力として設定する偏差基準圧力設定手順と、を前記離床判定手順の前にさらに有することが好ましい。
検出圧力の偏差が第1所定時間内で静止基準偏差よりも小さいことを判定するので、離床前動作以外の原因によりベッドの手すりに力が加わっていることを判定することができる。このときを静止状態とし、このときに検出された検出圧力を離床基準圧力に加算することで、離床判定手段は、静止状態からさらに離床基準圧力が加わったときに離床前動作と判定することができる。これにより、離床前動作の誤判定を防ぐことができる。さらに、静止状態の判定に偏差を用いるので、検出圧力の大きさに応じて異なる判定基準を設けることができる。
また、本発明に係る離床前動作検出プログラムは、上記の離床前動作検出装置としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
離床前動作検出プログラムがコンピュータを上記の離床前動作検出装置として機能させるので、コンピュータ制御による上記の離床前動作検出装置を提供することができる。これにより、寝返りと離床前動作とを区別することができ、かつ、離床前動作の速度が変化しても離床前動作を検出することのできる離床前動作検出プログラムを提供することができる。
また、本発明に係る記録媒体は、上記の離床前動作検出プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であることを特徴とする。
記録媒体が上記の離床前動作検出プログラムを格納しているので、コンピュータ制御による上記の離床前動作検出装置を提供することができる。これにより、寝返りと離床前動作とを区別することができ、かつ、離床前動作の速度が変化しても離床前動作を検出することのできるコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することができる。
本発明によれば、ベッド端部に設けられたベッドの手すりに加わる圧力を検出することによって、ベッド上の被介護者が上体を起こす動作を離床前動作として検出する。これにより、寝返りと離床前動作とを区別することができ、かつ、離床前動作の速度が変化しても離床前動作を検出することのできる離床前動作検出装置、離床前動作検出システム、離床前動作検出プログラム、記録媒体及び離床前動作検出方法が提供できる。
添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下に説明する実施の形態は本発明の構成の例であり、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
(実施形態1)
図1は、ベッドの模式図である。本実施形態に係る離床前動作検出装置は、人間の横たわるベッド101の手すり102に装着され、手すり102がベッド101に加える圧力を検出圧力として検出する圧力検出手段(不図示)を備える。図1に示すベッド101は、ベッドの短軸方向の端部に配置されているフレームである。
図2は、実施形態1に係る離床前動作検出装置の構成の一例を示すブロック図である。図2に示す離床前動作検出装置91は、手すりがベッドに加える圧力を検出圧力1として検出する圧力検出手段11と、検出圧力1の単位時間当たりの平均値2を算出する平均値算出手段13と、検出圧力1が予め定められた離床基準圧力よりも大きいときに離床前動作と判定する離床判定手段12と、離床判定手段12が離床前動作と判定したときにアラーム信号5を出力するアラーム出力手段14と、圧力検出手段11が検出する第1所定時間内での検出圧力1の分散を第2所定時間ごとに算出する分散算出手段15と、分散算出手段15の算出した分散が予め定められた静止基準分散よりも小さいときに静止状態と判定する分散判定手段16と、分散判定手段16が静止状態と判定したとき、検出圧力1を加算した離床基準圧力3を離床基準圧力として設定する分散基準圧力設定手段17と、圧力検出手段11の検出する鉛直方向又はベッドの長軸方向の少なくともいずれかの方向への圧力が基準長軸圧力よりも大きく、かつ、圧力検出手段11の検出する短軸方向への圧力が基準短軸圧力より小さいときに非寝返り動作と判定する寝返り判定手段18と、ベッド上の人間の運動を検出する運動検出手段19と、を含む。
圧力検出手段11は、図1に示す接合部分103に配置されることが好ましいが、離床判定手段12、平均値算出手段13、アラーム出力手段14、分散算出手段15、分散判定手段16、分散基準圧力設定手段17、寝返り判定手段18及び運動検出手段19の配置は限定しない。例えば、上記の全てが、圧力検出手段11と共に図1に示す接合部分103に配置されていてもよい。また、圧力検出手段11を除く全てが圧力検出手段11と分離され、一体となっていてもよい。また、運動検出手段19は単体で配置されていてもよい。例えば、ベッドに固定されてもよいし、部屋の壁面又は部屋の天井に固定されていてもよいし、ベッド上の人間に装着されてもよい。
圧力検出手段11は、手すりがベッドに加える圧力を検出圧力1として検出するものである。例えば、手すり102とベッド101との接触面に配置され、手すり102外壁がベッド101を押圧する圧力を検出するものである。圧力を検出するものとしては、例えば、半導体式、歪ゲージ式又は光ファイバ式の圧力センサがある。光ファイバ式の圧力センサは、例えば、発泡材質内に照射された光の散乱を検出して当該発泡材質への圧力を検出するものであり、KINOTEXセンサ(商品名、ニッタ株式会社製)がある。圧力検出手段11は、人間の横たわるベッド101とベッド101に装着される手すり102との接合部分103に装着されることが好ましい。接合部分103は、ベッドの短軸方向の端部に設置された手すり102とベッド101との接合部分である。接合部分は、例えば、手すり102の足の先端とベッド101のフレームに設けられている差込口との勘合部である。
図2に示す圧力検出手段11は、手すりがベッドに加える圧力を検出する圧力検出部25と、圧力検出部25の検出した圧力をベクトル合成し、検出圧力1として出力するベクトル合成部26とを含む。圧力検出部25は、ベッドの短軸方向への圧力を検出するX軸方向圧力検出部31と、ベッドの長軸方向への圧力を検出するY軸方向圧力検出部32と、鉛直方向への圧力を検出するZ軸方向圧力検出部33とを含み、ベクトル合成部26はX軸方向圧力検出部31、Y軸方向圧力検出部32及びZ軸方向圧力検出部33の検出した圧力をベクトル合成し、検出圧力1として出力している。圧力検出部25は、3次元方向を検出することが好ましい。圧力検出手段11が3次元方向のベクトル和を検出圧力1とすれば、離床判定手段12は圧力検出手段11の検出する圧力の方向によらずに離床前動作を判定することができる。これにより、圧力検出手段の検出する圧力の方向の影響を減少させることができる。なお、圧力検出手段11は、圧力検出部25の検出した圧力をベクトル合成することなく検出圧力1として出力してもよい。この場合、検出圧力1の方向ごとに離床判定手段12を備えることが好ましい。
圧力検出部25の検出する圧力の方向は限定しない。鉛直方向、ベッドの長軸方向又はベッドの短軸方向のいずれかの方向への圧力を検出するものでもよい。また、鉛直方向、ベッドの長軸方向又はベッドの短軸方向のいずれか2の方向への圧力を検出するものでもよい。また、鉛直方向、ベッドの長軸方向及びベッドの短軸方向への圧力を検出するものでもよい。圧力検出部25は、鉛直方向又はベッドの長軸方向への圧力の少なくともいずれかを検出することが好ましい。ベッドの手すりに加わる力は、被介護者が上体を起こす際、鉛直方向及びベッドの長軸方向が顕著となる。鉛直方向への圧力を検出するので、寝返りで顕著となるベッドの横方向への圧力の影響を排除することができる。これにより、離床前動作の誤判定を防ぐことができる。また、鉛直方向及びベッドの長軸方向への圧力を検出することが好ましい。この場合、ベクトル合成部26は、Y軸方向圧力検出部32及びZ軸方向圧力検出部33の検出した圧力をベクトル合成し、検出圧力1として出力する。これにより、鉛直方向及びベッドの長軸方向への圧力を、1の離床判定手段12で判定することができる。また、離床判定手段12は、ベッドの短軸方向の端部に沿った鉛直面上のいずれかの方向に加わる圧力の大きさによって離床前動作を判定することができるので、寝返りで顕著となるベッドの横方向への圧力の影響を排除することができる。
図3は、圧力検出手段の一例を示す模式図である。図3は、圧力検出手段が図1に示す接合部分103に装着されている様子を示し、ベッド101は省略している。図3に示す圧力検出手段は、手すり102の先端に加わる鉛直方向への圧力を検出するZ軸方向圧力検出部33と、手すり102の側面に加わるベッドの短手方向への圧力を検出するX軸方向圧力検出部31a、31bと、X軸方向圧力検出部31aとX軸方向圧力検出部31bを連結して一体とする支持体34と、を有する。X軸方向圧力検出部31a、31bは、支持体34を支点としてX軸方向へ加わる圧力を検出するものである。支持体34としては、手すりの圧力に耐え、かつ、X軸方向圧力検出部31a、31bの圧力の検出を妨げないものが好ましく、例えば、ゴム又は樹脂等の柔軟性のあるものを用いることができる。Z軸方向圧力検出部33は、手すり102の先端がベッドを押圧する圧力を検出するものである。
図3において、Z軸方向圧力検出部33とX軸方向圧力検出部31a、31bとは、一体となっていてもよいし、分離されていてもよい。一体となっていることで、ベッドと手すりとの接合部分への装着が容易になる。X軸方向圧力検出部31a、31bは、手すり102の側面の一部に配置されるものに限定しない。例えば、手すり102の側面の全周を覆っていてもよい。また、X軸方向圧力検出部31a、31bは、Y軸方向を検出してもよいし、X軸方向及びY軸方向を検出してもよい。さらにZ軸方向を検出してもよい。また、Z軸方向圧力検出部33が検出する圧力も、鉛直方向のみに限定しない。例えば、Z軸方向圧力検出部33が、X軸方向又はY軸方向を検出してもよいし、X軸方向又はY軸方向とZ軸方向とを検出してもよいし、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向を検出してもよい。
なお、図2に示す圧力検出手段11は、運動検出手段19が運動を検出するときに検出圧力1を検出することが好ましい。ベッド上の被介護者が運動したときに圧力検出手段11が検出圧力1を検出する結果、ベッド上の被介護者が離床前動作をする可能性の高いときに離床前動作を判定することができる。これにより、離床前動作検出装置の消費電力を節減することができる。
平均値算出手段13は、検出圧力1の単位時間当たりの平均値2を算出するものである。単位時間は、閾値として予め定められた時間である。例えば、被介護者が上体を起こすのにかかる時間よりも短い時間である。単位時間当たりの平均値を用いて離床前動作を判定するので、継続的な圧力が手すりに加わったときに離床前動作と判定することができる。これにより、離床前動作とは異なる突発的な圧力を離床前動作と誤判定することを防ぐことができる。
平均値算出手段13は、検出圧力1の単位時間当たりの最大値を算出する最大値算出手段であってもよい。この場合、離床判定手段12は、最大値算出手段の算出した最大値が予め定められた離床基準圧力よりも大きいときに離床前動作と判定する。ここで、単位時間は、閾値として予め定められた時間である。例えば、被介護者が上体を起こすのにかかる時間よりも長い時間である。単位時間当たりの最大値を用いて離床前動作を判定するので、前記単位時間内に離床基準圧力よりも大きい圧力が検出されたときを離床前動作と判定することができる。これにより、前記単位時間を長くしても離床前動作を判定することができる。
また、平均値算出手段13は、検出圧力1の単位時間当たりの最小値を算出する最小値算出手段であってもよい。この場合、離床判定手段12は、最小値算出手段の算出した最小値が予め定められた離床基準圧力よりも大きいときに離床前動作と判定する。ここで、単位時間は、閾値として予め定められた時間である。例えば、被介護者が上体を起こすのにかかる時間よりも短い時間である。単位時間当たりの最小値を用いて離床前動作を判定するので、離床基準圧力よりも大きい圧力が前記単位時間にわたり継続したときに離床前動作と判定することができる。これにより、離床前動作とは異なる突発的な圧力を離床前動作と誤判定することを防ぐことができる。
また、平均値算出手段13は、検出圧力1の単位時間当たりの分散を算出する離床分散算出手段であってもよい。この場合、離床判定手段12は、離床分散算出手段の算出した分散が予め定められた離床基準分散よりも大きいときに離床前動作と判定する。ここで、単位時間は、閾値として予め定められた時間である。例えば、被介護者が上体を起こすのにかかる時間よりも短い時間である。離床基準分散は、閾値として予め定められた値である。例えば、被介護者が手すりを掴んで上体を起こす際の検出圧力1の分散とすることができる。また、人体が物を掴むときの力の分散であってもよい。単位時間当たりの分散を用いて離床前動作を判定するので、被介護者による圧力の印加を検出することができる。これにより、離床前動作とは異なる突発的な圧力を離床前動作と誤判定することを防ぐことができる。
離床判定手段12は、検出圧力1が予め定められた離床基準圧力よりも大きいときに離床前動作と判定するものである。例えば、離床前動作と判定するときに信号4を出力し、離床前動作と判定しないときは信号4を出力しないものである。また、離床前動作と判定するときと離床前動作と判定しないときとで出力する信号4の異なるものでもよい。離床前動作の判定は、例えば、閾値よりも大きいときに離床前動作と判定し、閾値より小さいときに離床前動作でないと判定する。また、閾値より小さいときに離床前動作と判定し、閾値より大きいときに離床前動作でないと判定してもよい。検出圧力1が閾値と同一のときについては限定するものではなく、実施の状況に応じてどちらに含めてもよい。離床基準圧力は、閾値として予め定められた圧力である。例えば、ベッド上の被介護者が腕を置いたときに加わる圧力よりも大きく、ベッド上の被介護者がベッドの手すりを支えにして上体を起こしたときにベッドの手すりに加わる圧力よりも小さい圧力である。なお、ベッド上の被介護者がベッドの手すりに加える圧力は、被介護者の体重及び筋力等、被介護者ごとに異なることから、離床基準圧力は被介護者に応じて可変であることが好ましい。上体を起こす際に被介護者が手すりに加える力の大きさが離床基準圧力よりも大きいことを離床前動作と判定すれば、離床前動作の判定を自動化することができる。
なお、離床判定手段12は、平均値算出手段13の算出した平均値が予め定められた離床基準圧力よりも大きいときに離床前動作と判定することが好ましい。また、平均値算出手段13が最大値算出手段であれば、離床判定手段12は、最大値算出手段の算出した最大値が予め定められた離床基準圧力よりも大きいときに離床前動作と判定することが好ましい。また、平均値算出手段13が最小値算出手段であれば、離床判定手段12は、最小値算出手段の算出した最小値が予め定められた離床基準圧力よりも大きいときに離床前動作と判定することが好ましい。このように、単位時間当たりの平均値、最大値又は最小値を用いて離床前動作を判定するので、誤判定を防ぐことが可能になる。
また、離床判定手段12は、寝返り判定手段18が非寝返り動作と判定し、かつ、検出圧力1が予め定められた離床基準圧力よりも大きいときに離床前動作と判定することが好ましい。寝返り判定手段18を含めば、検出圧力1が寝返りでないものによることを判定できるので、離床前動作の誤判定を防ぐことができる。
アラーム出力手段14は、離床判定手段12が離床前動作と判定したときにアラーム信号5を出力するものである。アラーム出力手段14は、例えば、アラーム信号5が音声であれば音声を出力するスピーカ、アラーム信号5がアナログ信号又はデジタル信号であればそれら信号を出力する送信手段である。アラーム信号5はナースコール用の信号であってもよい。アラーム信号を出力する結果、ベッド上の被介護者が離床前動作を行なったことを関係者へ通知することができる。
分散算出手段15は、圧力検出手段が検出する第1所定時間内での検出圧力の分散を第2所定時間ごとに算出するものである。第1所定時間は、ベッドの手すりに力を加えているのが被介護者でなく物であることを判定できる時間である。例えば、人間が同一の姿勢を保持することの困難な時間であり、30秒以上とすることができる。第2所定時間は、検出圧力1の分散を算出するタイミングの時間間隔である。例えば、圧力検出手段11が検出圧力1を検出する時間間隔である。第1所定時間としてもよい。なお、算出する分散は、標準偏差としてもよい。手すりへの圧力が人間によるものであれば検出圧力1は常時変動する。検出圧力1の分散を算出する結果、手すりに加わる圧力が人間によるものであるのか、或いは、物によるものであるのか、を判定することができる。
分散判定手段16は、分散算出手段15の算出した分散が予め定められた静止基準分散よりも小さいときに静止状態と判定するものである。例えば、静止状態と判定するときに信号を出力し、静止状態と判定しないときは信号を出力しないものである。また、静止状態と判定するときと静止状態と判定しないときとで出力する信号の異なるものでもよい。静止状態の判定は、例えば、閾値よりも大きいときに静止状態と判定し、閾値より小さいときに静止状態でないと判定する。また、閾値より小さいときに静止状態と判定し、閾値より大きいときに静止状態でないと判定してもよい。分散が閾値と同一のときについては限定するものではなく、実施の状況に応じてどちらに含めてもよい。静止基準分散は、閾値として予め定められた分散である。例えば、手すり上に物が接触しているときの検出圧力1の分散であり、物とは例えば布団等の寝具、テーブル又は衣類である。なお、分散算出手段15が標準偏差を算出する場合は、静止基準分散の平方根で判定すればよい。検出圧力1の分散が第1所定時間内で静止基準分散よりも小さいことを判定する結果、離床前動作以外の原因によりベッドの手すりに力が加わっていることを判定することができる。これにより、検出圧力1が、人間によるものではなく、物によるものであることを判定することができる。
分散基準圧力設定手段17は、分散判定手段16が静止状態と判定したとき、検出圧力1を加算した離床基準圧力3を前記離床基準圧力として設定するものである。例えば、分散判定手段16からの入力によって検出圧力1を離床基準圧力に加算し、加算した結果である新たな離床基準圧力3を離床判定手段12へ出力するものである。検出圧力1は、圧力検出手段11から出力されたものでもよいし、分散判定手段16からの入力により分散基準圧力設定手段17が圧力検出手段11から読み出すものでもよい。検出圧力1を加算する離床基準圧力は、予め定められている閾値である。離床基準圧力は、分散基準圧力設定手段17に記憶されているものでもよいし、分散判定手段16からの入力により分散基準圧力設定手段17が離床判定手段12から読み出すものでもよい。物による検出圧力1を離床基準圧力に加算するので、離床判定手段は、予め定められている離床基準圧力がその静止状態からさらに手すりに加えられたときを離床前動作と判定することができる。これにより、離床前動作を除く原因で加わっているベッドの手すりへの圧力を排除し、適正な閾値によって被介護者の離床前動作を判定することができる。したがって、離床前動作の誤判定を防ぐことができる。
なお、分散算出手段15は、圧力検出手段11が検出する第1所定時間内での検出圧力の偏差を第2所定時間ごとに算出する偏差算出手段であってもよい。この場合、分散判定手段16は、偏差算出手段の算出した偏差が予め定められた静止基準偏差よりも小さいときに静止状態と判定する偏差判定手段となる。また、分散基準圧力設定手段17は、偏差判定手段が静止状態と判定したとき、検出圧力1を加算した離床基準圧力を離床基準圧力として設定する偏差基準圧力設定手段となる。第1所定時間及び第2所定時間は、前述の分散算出手段15のものと同様の時間とすることができる。静止基準偏差は、閾値として予め定められた偏差である。静止基準偏差は前述の分散算出手段15の静止基準分散と同様に設定することができる。例えば、手すり上に物が接触しているときの検出圧力の偏差であり、物とは例えば布団等の寝具、テーブル又は衣類である。静止状態の判定に偏差を用いる結果、検出圧力の大きさに応じて異なる判定基準を設けることができる。これにより、離床前動作の誤判定を防ぐことができる。
寝返り判定手段18は、圧力検出手段11の検出する鉛直方向又はベッドの長軸方向の少なくともいずれかの方向への圧力が基準長軸圧力よりも大きく、かつ、圧力検出手段11の検出するベッドの短軸方向への圧力が基準短軸圧力より小さいときに非寝返り動作と判定するものである。寝返り判定手段18は、例えば、手すりがベッドに加える鉛直方向又はベッドの長軸方向の少なくともいずれかの方向への圧力が基準長軸圧力よりも大きいときに長軸加重と判定する長軸判定部と、手すりがベッドに加える短軸方向への圧力が基準短軸圧力より小さいときに短軸非加重と判定する短軸判定部と、長軸加重かつ短軸非加重と判定したときに非寝返り動作と判定する非寝返り動作判定部と、を含むものである。長軸判定部、短軸判定部及び非寝返り動作判定部は、前述の離床判定手段12と同様の構成とすることができる。この場合、離床判定手段12の判定する離床前動作は、長軸判定部であれば長軸加重となり、短軸判定部であれば短軸非加重となり、非寝返り動作判定部であれば非寝返り動作となる。また離床判定手段12の出力する信号4は、長軸判定部、短軸判定部又は動作判定部のそれぞれの出力する信号となる。なお、基準長軸圧力は、閾値として予め定められた圧力である。例えば、離床前動作で検出される検出圧力よりも小さな圧力であり、離床基準圧力であってもよい。基準短軸圧力は、閾値として予め定められた圧力であり、例えば、寝返り等の上体を倒した姿勢で検出されるベッドの短軸方向への圧力よりも小さい圧力である。ベッド上の被介護者が寝返りでベッドの手すりに接触したとき、ベッドの手すりに加わる圧力は、通常、ベッドの短軸方向への圧力がベッドの長軸方向への圧力よりも大きくなる。よって、ベッドの短軸方向への圧力がベッドの長軸方向への圧力よりも小さいことを判定する結果、寝返り動作ではないことを判定できる。これにより、離床前動作の誤判定を防ぐことができる。
運動検出手段19は、ベッド上の人間の運動を検出するものである。例えば、運動を検出するときに信号を出力し、運動を検出しないときは信号を出力しないものである。また、運動を検出するときと運動を検出しないときとで出力する信号の異なるものでもよい。運動の検出は、例えば、検出された加速度、振動又は移動の大きさが、閾値よりも大きいときに運動していると判定し、閾値より小さいときに運動していないと判定する。また、出された加速度、振動又は移動の大きさが、閾値より小さいときに運動していると判定し、閾値より大きいときに運動していないと判定してもよい。出された加速度、振動又は移動の大きさが、閾値と同一のときについては限定するものではなく、実施の状況に応じてどちらに含めてもよい。運動は、ベッド上の被介護者の何らかの動作である。例えば、ベッド上の被介護者が、足や腕等を動かしたり、ベッド上で寝返りをうったりする動作である。ベッド上の被介護者が運動したときに圧力検出手段が検出圧力を検出するので、ベッド上の被介護者が離床前動作をする可能性の高いときに離床前動作を判定することができる。これにより、離床前動作検出装置の消費電力を節減することができる。
運動検出手段19は、例えばベッドの振動を検出する振動センサである。振動センサは、例えば、電磁式振動計、圧電式振動計、ストレーンゲージ式振動計、レーザ式振動計がある。又、圧電型、電動式、歪ゲージ式、若しくは半導体式の加速度センサ、又は、電磁式、静電容量式、歪ゲージ式、光学式若しくは差動トランス式の変位センサを用いてもよい。振動センサを用いてベッドの振動を検出する結果、ベッド上の被介護者が何らかの動作を行なったことを被介護者に非接触で検出することができる。また、運動検出手段19は、ベッド上の人間の加速度を検出する加速度センサであってもよい。この場合、加速度センサは、例えば、頭部、頸部、足部、又は、腰部を含む胴体の加速度を検出する。加速度センサは、例えば、静電容量型のもの、圧電型のものがある。加速度センサでベッド上の被介護者の一部の加速度の大きさを検出する結果、ベッド上の被介護者のわずかな動作を検出することができる。また、運動検出手段19は、ベッド上の人間の移動を検出する光学センサであってもよい。光学センサは、例えば、CCD又はCMOS等の撮像素子で撮像した画像から人間を抽出し、人間の少なくとも一部の移動を算出するものである。人間の少なくとも一部とは、例えば、頭部、頸部、上肢、下肢、腹部、又はこれらの一部である。光学センサでベッド上の人間の移動を検出する結果、ベッドに振動の生じないベッド上の被介護者の動作を検出することができる。
本実施形態に係る離床前動作検出装置91を用いた離床前動作検出方法について、図1及び図2を用いて説明する。本実施形態に係る離床前動作検出方法は、ベッド101に取り付けられる手すり102に装着された圧力検出手段11が、手すり102がベッド101に加える圧力を検出圧力1として検出する圧力検出手順と、前記圧力検出手順において検出した検出圧力1が予め定められた離床基準圧力よりも大きいとき、離床判定手段12が、離床前動作と判定する離床判定手順と、を有する。
また、本実施形態に係る離床前動作検出方法は、平均値算出手段13が、前記圧力検出手順において検出した検出圧力1の単位時間当たりの平均値2を算出する平均値算出手順を離床判定手順の前にさらに有し、分散算出手段15が、前記圧力検出手順において検出する第1所定時間内での検出圧力1の分散を第2所定時間ごとに算出する分散算出手順と、前記分散算出手順において算出した分散が予め定められた静止基準分散よりも小さいとき、分散判定手段16が、静止状態と判定する分散判定手順と、前記分散判定手順において分散判定手段16が静止状態と判定したとき、分散基準圧力設定手段17が、検出圧力1を加算した離床基準圧力3を前記離床基準圧力として設定する分散基準圧力設定手順と、を前記離床判定手順の前にさらに有する。
圧力検出手順では、ベッド101に取り付けられる手すり102に装着された圧力検出手段11が、ベッドの手すり102に加える圧力を検出圧力1として検出する。圧力検出手順では、例えば圧力検出部25が、鉛直方向、ベッドの長軸方向、又はベッドの短軸方向の少なくともいずれかの方向への圧力を検出する。ベクトル合成部26は、圧力検出部25の検出した圧力をベクトル合成し、検出圧力1として出力する。
平均値算出手順では、平均値算出手段13が、前記圧力検出手順において検出した検出圧力1の単位時間当たりの平均値を算出する。平均値算出手段13は、計算した平均値を検出圧力1として離床判定手段12へ出力する。圧力検出手段11が方向ごとに検出圧力1を出力するとき、平均値算出手段13は、例えば方向ごとに平均値を算出する。単位時間当たりの平均値を用いて離床前動作を判定し、継続的な圧力が手すりに加わったときに離床前動作と判定することができる。これにより、離床前動作とは異なる突発的な圧力を離床前動作と誤判定することを防ぐことができる。
なお、平均値算出手順は、最大値算出手段が、前記圧力検出手順において検出した検出圧力1の単位時間当たりの最大値を算出する最大値算出手順であってもよい。この場合、離床判定手順では、最大値算出手順において算出した最大値が予め定められた離床基準圧力よりも大きいとき、離床判定手段12が離床前動作と判定する。
また、平均値算出手順は、最小値算出手段が、前記圧力検出手順において検出した検出圧力1の単位時間当たりの最小値を算出する最小値算出手順であってもよい。この場合、離床判定手順では、最小値算出手順において算出した最小値が予め定められた離床基準圧力よりも小さいとき、離床判定手段12が離床前動作と判定する。
離床判定手順では、圧力検出手順において検出した検出圧力1が予め定められた離床基準圧力よりも大きいとき、離床判定手段12が、離床前動作と判定する。例えば、検出圧力1が方向ごとに検出される場合、離床判定手段12は方向ごとに離床前動作を判定する。検出圧力1がベクトル合成されて検出される場合、ベクトル合成された検出圧力1について離床前動作を判定する。離床基準圧力は、閾値として予め定められた圧力であり、前述の離床判定手段12で説明したとおりである。
離床判定手順の前に平均値算出手順を有するときは、平均値算出手順において算出した平均値が予め定められた離床基準圧力よりも大きいとき、離床判定手順において、離床判定手段12が離床前動作と判定する。
分散算出手順では、分散算出手段15が、前記圧力検出手順において検出する第1所定時間内での検出圧力1の分散を第2所定時間ごとに算出する。第1所定時間及び第2所定時間は、前述の分散算出手段15において説明したとおりである。なお、算出する分散は、標準偏差としてもよい。手すりへの圧力が人間によるものであれば検出圧力1は常時変動する。検出圧力1の分散を用いて、手すりに加わる圧力が人間によるものであるのか、或いは、物によるものであるのか、を判定することができる。
分散判定手順では、前記分散算出手順において算出した分散が予め定められた静止基準分散よりも小さいとき、分散判定手段16が、静止状態と判定する。静止基準分散は、閾値として予め定められた圧力であり、前述の分散判定手段16において説明したとおりである。なお、分散算出手段15が標準偏差を算出する場合は、静止基準分散の平方根で判定すればよい。検出圧力1の分散が静止基準分散よりも小さいことを判定する結果、検出圧力1が人間によるものではなく、物によるものであることを判定することができる。
分散基準圧力設定手順では、前記分散判定手順において分散判定手段16が静止状態と判定したとき、分散基準圧力設定手段17が、検出圧力1を加算した離床基準圧力3を前記離床基準圧力として設定する。分散基準圧力設定手順の後、離床判定手順では、新たな離床基準圧力3を用いて離床前動作を判定する。検出圧力1を加算する離床基準圧力は、予め定められている閾値である。離床基準圧力は、分散基準圧力設定手段17に記憶されているものでもよいし、分散判定手段16からの入力により分散基準圧力設定手段17が離床判定手段12から読み出すものでもよい。離床判定手段は、物による検出圧力1を加算した離床基準圧力を用いて判定するので、静止状態からさらに予め定められている離床基準圧力を手すりに加えたときを離床前動作と判定することができる。これにより、離床前動作を除く原因で加わっているベッドの手すりへの圧力を排除し、適正な閾値によって被介護者の離床前動作を判定することができる。したがって、離床前動作の誤判定を防ぐことができる。
分散算出手順は、偏差算出手段が、前記圧力検出手順において検出する第1所定時間内での検出圧力の偏差を第2所定時間ごとに算出する偏差算出手順としてもよい。この場合、分散判定手順は、前記偏差算出手順において算出した偏差が予め定められた静止基準偏差よりも小さいとき、偏差判定手段が、静止状態と判定する偏差判定手順となる。また、分散基準圧力設定手順は、前記偏差判定手順において前記偏差判定手段が静止状態と判定したとき、偏差基準圧力設定手段が、検出圧力を加算した離床基準圧力を前記離床基準圧力として設定する偏差基準圧力設定手順となる。第1所定時間及び第2所定時間は、前述の分散算出手段15のものと同様の時間とすることができる。静止基準偏差は、閾値として予め定められた偏差であり、前述の偏差算出手段で説明したものと同様のものとすることができる。検出圧力の偏差が第1所定時間内で静止基準偏差よりも小さいことを判定する結果、離床前動作以外の原因によりベッドの手すりに力が加わっていることを判定することができる。このときを静止状態とし、このときに検出された検出圧力を離床基準圧力に加算することで、離床判定手段は、静止状態を基準にして被介護者が離床前動作を行なったか否かを判定することができる。これにより、離床前動作の誤判定を防ぐことができる。さらに、静止状態の判定に偏差を用いるので、検出圧力の大きさに応じて異なる判定基準を設けることができる。
離床前動作検出装置91の動作について説明する。運動検出手段19は運動を検出する。運動検出手段19が運動を検出したとき、圧力検出手段11は検出圧力1を検出する。平均値算出手段13は、検出圧力1の単位時間当たりの平均値を算出し、算出した平均値2を離床判定手段12へ出力する。
分散算出手段15は、圧力検出手段11が検出圧力1の検出を開始した後、第2所定時間の経過の後に、第1所定時間内での検出圧力1の分散を算出する。分散判定手段16は、分散算出手段15の算出した分散が予め定められた静止基準分散よりも小さいとき、静止状態と判定し、分散基準圧力設定手段17へ信号を出力する。分散基準圧力設定手段17は、分散判定手段16から信号が入力されたとき、予め記憶している離床基準圧力に検出圧力1を加算して新たな離床基準圧力3を算出し、離床判定手段12に記憶されている離床基準圧力を新たな離床基準圧力3に更新する。
離床判定手段12は、検出圧力1が新たに設定された離床基準圧力3よりも大きいときに離床前動作と判定し、アラーム出力手段14へ信号4を出力する。
なお、上記において、離床前動作検出装置91は、離床判定手段12、平均値算出手段13、アラーム出力手段14、分散算出手段15、分散判定手段16、分散基準圧力設定手段17、寝返り判定手段18、運動検出手段19を含む例について説明したが、これに限定するものではない。例えば、圧力検出手段11のみで構成することもできる。また、圧力検出手段11と、離床判定手段12とで構成してもよい。また、圧力検出手段11と、離床判定手段12と、平均値算出手段13とで構成してもよい。また、圧力検出手段11と、離床判定手段12と、分散算出手段15、分散判定手段16、分散基準圧力設定手段17とで構成してもよい。また、圧力検出手段11と、離床判定手段12と、平均値算出手段13と、分散算出手段15、分散判定手段16、分散基準圧力設定手段17とで構成してもよい。また、これらにさらにアラーム出力手段14を設けた構成としてもよい。また、これらにさらに寝返り判定手段18を設けた構成としてもよい。また、これらにさらに運動検出手段19を設けた構成としてもよい。
また、前述の離床前動作検出装置91としてコンピュータを機能させるための離床前動作検出プログラムも実施形態の1つとして例示することができる。例えば、圧力検出手段11及び離床判定手段12として機能させるための離床前動作検出プログラムである。この場合、離床前動作検出プログラムは、圧力検出手順及び離床判定手順を実行させる。同様に、離床前動作検出プログラムは、圧力検出手段11、離床判定手段12及び平均値算出手段13として機能させるためのプログラムであってもよい。また、離床前動作検出プログラムは、圧力検出手段11と、離床判定手段12と、分散算出手段15、分散判定手段16、分散基準圧力設定手段17として機能させるためのプログラムであってもよい。また、離床前動作検出プログラムは、圧力検出手段11と、離床判定手段12と、平均値算出手段13と、分散算出手段15、分散判定手段16、分散基準圧力設定手段17として機能させるためのプログラムであってもよい。離床前動作検出プログラムは、さらにアラーム出力手段14として機能させるためのプログラムであってもよい。離床前動作検出プログラムは、さらに寝返り判定手段18として機能させるためのプログラムであってもよい。離床前動作検出プログラムは、さらに運動検出手段19として機能させるためのプログラムであってもよい。なお、離床前動作検出プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されていてもよい。
以上説明したように、図2に示す離床前動作検出装置91は、ベッドの端部に設けられたベッドの手すりとベッドとの接合部分に加わる圧力を検出することによって、被介護者がベッドの手すりに力を加えたことを判定し、離床前動作を検出する。上体を起こす際に加わる圧力は寝返りに比べて大きいので、寝返りと離床前動作とを区別することができる。また、上体を起こす際に加わる力の大きさで判定するので、動作の速度が変化しても離床前動作を検出することができる。したがって、寝返りと離床前動作とを区別することができ、かつ、離床前動作の速度が変化しても離床前動作を検出することのできる離床前動作検出装置及び離床前動作検出方法が提供できる。さらに、被介護者に非接触で離床前動作を検出できるので、衛生的である。
(実施形態2)
図4は、実施形態2に係る離床前動作検出システムの構成の一例を示すブロック図である。実施形態2に係る離床前動作検出システム95は、離床前動作検出装置92aと、離床前動作検出装置92bと、離床前動作と判定した離床判定手段が1のみであるときにアラーム信号5を出力する比較アラーム出力手段21と、運動検出手段19と、を有する。離床前動作検出装置92aは、圧力検出手段11aと、離床判定手段12aと、平均値算出手段13aと、分散算出手段15aと、分散判定手段16aと、分散基準圧力設定手段17aと、を含む。離床前動作検出装置92bは、圧力検出手段11bと、離床判定手段12bと、平均値算出手段13bと、分散算出手段15bと、分散判定手段16bと、分散基準圧力設定手段17bと、を含む。
圧力検出手段11a、11b、離床判定手段12a、12b、平均値算出手段13a、13b、分散算出手段15a、15b、分散判定手段16a、16b、分散基準圧力設定手段17a、17b、運動検出手段19は、前述の実施形態1で説明した圧力検出手段11、離床判定手段12、平均値算出手段13、分散算出手段15、分散判定手段16、分散基準圧力設定手段17、運動検出手段19と同様のものを用いることができる。
比較アラーム出力手段21は、離床前動作と判定した離床判定手段が1のみであるときにアラーム信号5を出力するものである。例えば、2の入力端子を有し、端子のいずれかのみから入力されたときにアラーム信号5を出力するものである。また、2の異なる信号のうち、1の信号のみが入力されたときにアラーム信号5を出力するものでもよい。比較アラーム出力手段21は、前述の実施形態1で説明したアラーム出力手段14と同様のものを用いることができる。
離床前動作検出システム95の動作について説明する。離床前動作検出装置92aと離床前動作検出装置92bはベッドの短軸方向の両端に対峙して配置される。運動検出手段19は運動を検出する。離床前動作検出装置92aは、運動検出手段19が運動を検出したとき、圧力検出手段11aが検出圧力1aを検出し、離床判定手段12aが離床前動作と判定したとき、信号4aを比較アラーム出力手段21へ出力する。離床前動作検出装置92bは、運動検出手段19が運動を検出したとき、圧力検出手段11bが検出圧力1bを検出し、離床判定手段12bが離床前動作と判定したとき、信号4bを比較アラーム出力手段21へ出力する。比較アラーム出力手段21は、離床前動作と判定した離床判定手段が1のみであるとき、例えば、信号4aのみが入力されたとき、アラーム信号5を出力する。
なお、離床前動作検出装置92aは、平均値算出手段13a、分散算出手段15a、分散判定手段16a、分散基準圧力設定手段17a、を含む例について説明したが、これに限定するものではない。例えば、これらを含まなくてもよい。また、平均値算出手段13aのみを含んでもよい。また、分散算出手段15a、分散判定手段16a及び分散基準圧力設定手段17aのみを含んでもよい。また、寝返り判定手段を含んでいてもよい。離床前動作検出装置92bについても同様である。さらに、離床前動作検出装置92aと離床前動作検出装置92bの構成が異なっていてもよい。
また、離床前動作検出システム95は、離床前動作検出装置を2個備える例について説明したが、これに限定されない。例えば、3以上であってもよい。また、離床前動作検出システム95は、運動検出手段19を含む例について説明したが、これを含まなくてもよい。
また、前述の離床前動作検出装置95としてコンピュータを機能させるための離床前動作検出プログラムも実施形態の1つとして例示することができる。例えば、離床前動作検出プログラムは、離床前動作検出装置92a、離床前動作検出装置92b及び比較アラーム出力手段21として機能させるためのプログラムである。なお、離床前動作検出プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されていてもよい。
以上説明したように、離床前動作検出システム95は、前述の実施形態1で説明した離床前動作検出装置を少なくとも2個備え、1のみの離床判定手段12が離床前動作と判定するときにアラーム信号5を出力する比較アラーム出力手段21を設けている。これにより、1のみの手すりに離床基準圧力よりも大きな圧力が加わったときにアラーム信号5を出力する。ベッドの手すりにはテーブルが配置されることがあり、このときは同時に2以上の手すりに圧力が加わる。一方、被介護者が離床前動作を行なうとき、1のみの手すりに圧力が加わることが多い。離床前動作検出システム95の構成であれば、複数の手すりに同時に圧力が印加されたときを離床前動作と判定しないので、手すりに設置されたテーブルが原因となって加わった手すりへの力を離床前動作として判定することを防ぐことができる。