JP4530116B2 - 半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体装置に係り、特に半導体基板上に形成された複数個の半導体素子がサブマウント部材にマウントされている半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、光デバイスの集積化の必要性が急速に認識され、例えば発信波長の異なる複数個の半導体レーザ素子を用いた集積化高機能光デバイスは、民生用機器に使用されるキーデバイスとして既に市場に送り出されている。
そして、このような集積化高機能光デバイスの製造方法としては、発信波長の異なる複数個の半導体レーザ素子を別々に作製し、その組立工程において、1つのデバイスに組み合わせる方法と、1つの基板上に発信波長の異なる複数個の半導体レーザ素子を作製し、通常の組立工程を用いてデバイスとする方法がある。
これら2つの製造方法においては、前者の製造方法が、後者の製造方法に比べて約2倍近い生産工程を必要とするだけでなく、集積化デバイスとして最も重要な半導体レーザ素子間の位置合わせ精度が後者の製造方法よりも劣る。従って、両者を比較すると、後者の製造方法が明らかに優位性を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、1つの基板上に発信波長の異なる半導体レーザ素子群を形成する場合、各々の発信波長に対して最適なレーザ構造を追求すると、複数個の半導体レーザ素子の形状は互いに異なったものとなる。
例えば図12に示されるように、共に光出力が2〜5mWの読取専用の2波長レーザ装置を作製する際に、n−GaAs基板10上に、互いに異なる種類のGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20とAlGaInP系赤色レーザ素子30をそれぞれ形成した場合、両レーザ素子の基板表面からの高さに差、所謂高低差が生じる。
【0004】
即ち、活性層21の上下をp−クラッド層22及びn−クラッド層23によって挟まれているGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20と、活性層31の上下をp−クラッド層32及びn−クラッド層33によって挟まれているAlGaInP系赤外色レーザ素子30のそれぞれのレーザ構造を最適なものにしようとすると、結果としてAlGaInP系赤外色レーザ素子30の高さがGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20の高さよりも高くなり、両レーザ素子間には例えば約1μmの高低差が生じる。
なお、ここで、n−GaAs基板10裏面上には、n−電極11が形成され、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20のp−クラッド層22上にはp−電極24が形成され、AlGaInP系赤外色レーザ素子30のp−クラッド層32上にはp−電極34が形成されている。
【0005】
そして、図13に示されるように、図12の2波長レーザ装置を組み立てる際には、n−GaAs基板10の上下を反転させ、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びAlGaInP系赤外色レーザ素子30のp−電極24,34を下向きにして、サブマウント部材80上に搭載する。このように半導体装置の上面電極を下向きにしてサブマウント部材上に搭載する方法は、一般にダウンマウントと呼ばれる。
なお、このサブマウント部材80は、そのサブマウント基体81の素子搭載面82上に、それぞれIn−Sn系のハンダからなるパターン電極83、84が形成されている。
【0006】
そして、所定のダイボンド装置を用いて、実際にダウンマウントを行うと、図14に示されるようになる。
即ち、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20のp−電極24とサブマウント部材80のパターン電極83とが接合し、AlGaInP系赤外色レーザ素子30のp−電極34とサブマウント部材80のパターン電極84とが接合する。そして、その際に、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20とAlGaInP系赤外色レーザ素子30との高低差に起因して、サブマウント部材80上にダウンマウントされたGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びAlGaInP系赤外色レーザ素子30は傾いてしまい、サブマウント部材80の底面に対して傾きθが発生する。
【0007】
このため、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びAlGaInP系赤外色レーザ素子30の発光点に位置ずれが生じ、発光点間の距離が短くなり、光軸ずれを引き起こして、光ピックアップなどの光学系アライメントを困難にするという問題を招いていた。
また、ダイボンド装置を用いたダウンマウントの際に、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びAlGaInP系赤外色レーザ素子30に加わる圧力が不均等になり、この不均等な圧力ダメージによってGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びAlGaInP系赤外色レーザ素子30に歪みが生じ、発光の際の偏向角がばらつきや特性不良を引き起こすという問題を招いていた。
【0008】
更に、このダウンマウントの際には、サブマウント部材80を加熱してIn−Sn系のハンダからなるパターン電極83、84を融解させ、この融解したパターン電極83、84にGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びAlGaInP系赤外色レーザ素子30のp−電極24,34を押圧するため、そのときに融解したパターン電極83、84が素子搭載面82上を流れて互いに接触し、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20のp−電極24とAlGaInP系赤外色レーザ素子30のp−電極34とをショートさせる事態が生じる恐れもあった。
【0009】
しかも、上記図12においては、n−GaAs基板10上にGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20とAlGaInP系赤色レーザ素子30が形成されている読取専用の2波長レーザ装置の場合について述べたが、光出力が3〜5mWの読取用のレーザ素子と光出力が20〜30mWのCD−R/RWなどの書込用の高出力レーザ素子とが同一基板上に形成されている2波長レーザ装置の場合には、高出力レーザ素子のクラッド層の層厚を十分に厚くする必要があるため、両レーザ素子間の高低差は、上記図12に示される場合よりも遥かに大きくなり、サブマウント部材上にダウンマウントされたレーザ素子の傾きθも更に大きくなる。従って、このレーザ素子間の高低差に起因する上記の問題も更に深刻なものとなる。
【0010】
なお、このような問題を解決する方法として、例えば高さが相対的に低いGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20のp−電極24の厚さを相対的に高いAlGaInP系赤外色レーザ素子30のp−電極34の厚さよりも十分に厚くし、両レーザ素子の高さが実効的に等しくなるようにすることが考えられる。
しかし、この場合、p−電極24は一般にAuを材料とし、蒸着法によって形成されるため、高価な原料の使用量の増大によるコスト上昇や、リードタイム面においける生産性の低下を招く結果となり、好ましいものではない。
【0011】
また、他の解決方法として、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20のp−電極24とサブマウント部材80のパターン電極83との間に相対的に厚さの厚いハンダ層を介在させ、AlGaInP系赤外色レーザ素子30のp−電極34とサブマウント部材80のパターン電極84との間に相対的に厚さの薄いハンダ層を介在させる方法も提案されている(特開平7−235729号公報参照)。
しかし、この場合、ダウンマウント時に溶融したハンダ層が冷却されて固化する際や例えばAuからなるp−電極24、34と合金化する際に、その進行は各部において必ずしも均一ではないため、体積変化等にばらつきが生じ、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びAlGaInP系赤外色レーザ素子30をサブマウント部材80上に水平にマウントした状態を精度よく保持することは困難で、結局傾きを生じてしまうことになる。
しかも、上記2つの解決方法においては、ダウンマウントの際に融解したハンダがサブマウント部材の素子搭載面上を流れて、素子間ショートを生じるという問題に対する解決にならないばかりか、却ってその恐れを強くする危険を有している。
【0012】
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、半導体基板上に形成された複数個の半導体素子がサブマウント部材上にダウンマウントされる場合に、複数個の半導体素子に高低差があっても、これら複数個の半導体素子がサブマウント部材に水平に搭載され、安定した特性と高い信頼性が得られる半導体装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る半導体装置(第1半導体装置)は、半導体基板上に形成された複数個の半導体素子が、複数個の半導体素子の各々の上面電極を下向きにして、各々の上面電極に対応する複数のパターン電極を有するサブマウント部材の素子搭載面上に搭載されている半導体装置であって、複数個の半導体素子は、半導体基板の表面からの高さが互いに異なる半導体レーザ素子およびnpnバイポーラトランジスタであり、半導体レーザ素子およびnpnバイポーラトランジスタの半導体基板の表面からの高さの差に対応して、サブマウント部材の素子搭載面に段差が設けられていることを特徴とする。
本発明の請求項3に係る半導体装置(第2半導体装置)は、第1半導体装置において、npnバイポーラトランジスタに代えてフォトダイオードを用いたものである。
【0014】
このように本発明の半導体装置においては、半導体基板上に形成された複数個の半導体素子の半導体基板表面からの高さの差、即ち複数個の半導体素子の高低差に対応して、サブマウント部材の素子搭載面に段差が設けられていることにより、これら高低差をもつ複数個の半導体素子がサブマウント部材の素子搭載面上にダウンマウントされても、複数個の半導体素子の高低差はサブマウント部材の素子搭載面の段差よって吸収されることから、複数個の半導体素子はサブマウント部材上に水平に搭載されることになる。このため、ダウンマウントの際に、複数個の半導体素子の高低差に起因して、サブマウント部材上に搭載された複数個の半導体素子が傾いた状態になって半導体装置の組立位置精度が低下する事態は防止される。
【0015】
また、ダウンマウントの際に、半導体素子に加わる圧力が均等になるため、半導体素子に歪みを生じて特性不良を引き起こす事態も防止される。また、パターン電極の材料にハンダを用い、このハンダが融解して素子搭載面上を流れることがあっても、素子搭載面上の複数のパターン電極の間には段差が設けられているため、複数のパターン電極の間が容易に導通して複数個の半導体素子がショートすることは従来よりも抑制される。
【0016】
また、一般に半導体基板裏面には下面電極が形成され、ダウンマウントに伴ってこの下面電極面が上方に露出した状態となるが、この下面電極面も水平になり、サブマウント部材の底面と平行になるため、この下部電極面上へのワイヤボンディングが容易に且つ精度よく行われる。
【0017】
また、サブマウント部材は一般にヒートシンクの機能も有しているが、特に半導体素子が高出力の発光素子のように動作時に大量の発熱を伴う素子の場合、サブマウント部材の素子搭載面に段差が設けられると、その表面積が増大するため、放熱効果が向上する。
【0018】
更に、複数個の半導体素子をサブマウント部材上に水平に搭載するために、複数個の半導体素子に厚さの異なる上面電極を設けたり、複数個の半導体素子の上面電極とサブマウント部材のパターン電極との間に厚さの異なるハンダ層を介在させたりする従来の場合と比較すると、電極材料の増大に伴うコスト上昇や工程の煩雑化による生産性の低下を招くことはない。
なお、サブマウント部材の素子搭載面に段差を設ける加工は、例えば所定のマスクパターンを用いたウェットエッチング等によって容易に行うことが可能であるため、この加工に伴うコストの上昇は殆ど無視できる程度の微々たるものである。
【0019】
また、請求項5に係る半導体装置は、上記請求項1,3に係る半導体装置において、サブマウント部材の素子搭載面の両端部に、所定の高さの凸部が設けられ、この凸部表面に半導体基板表面が当接されている構成とすることにより、上記請求項1,3に係る半導体装置の作用に加え、複数個の半導体素子をサブマウント部材の素子搭載面上にマウントする際の精度が飛躍的に高まり、半導体装置の組立位置精度が飛躍的に向上する。
【0022】
また、半導体レーザ素子の組成中に、3族元素であるGa、Al、Inの少なくとも1つの元素が含有されていることが望ましい(請求項6)。或いは、その半導体レーザ素子の組成中に、5族元素であるAs、P、Sbの少なくとも1つの元素が含有されていることが望ましい(請求項7)。更には、その半導体レーザ素子が、GaAs/AlGaAs系発光素子又はAlGaInP系発光素子であることが望ましい(請求項8)。
【0023】
また、半導体基板が、p型、n型、又は半絶縁性のGaAs基板であることが望ましい(請求項9)。或いは、その半導体基板が、p型、n型、又は半絶縁性の基板であって、AlAs、InAs、InP、GaP、GaSbの少なくとも1つの混晶を含有し、又はこれらの混晶のうちの少なくとも1つとGaAsとの混晶を含有する基板であることが望ましい(請求項10)。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る2波長レーザ装置を示す概略断面図であって、同一の半導体基板上に発信波長の異なる2個の半導体レーザ素子が形成されている状態を示すものである。図2は本発明の第1の実施形態に係る2波長レーザ装置に使用するサブマウント部材を示す概略断面図である。図3は本発明の第1の実施形態に係る2波長レーザ装置を示す概略断面図であって、図1の2個の半導体レーザ素子が図2のサブマウント部材上にダウンマウントされた状態を示すものである。
【0029】
図1に示されるように、本実施形態に係る2波長レーザ装置においては、n−GaAs基板10表面上に、CD読取専用のGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20とDVD読取専用のAlGaInP系赤色レーザ素子30がそれぞれ形成されている。これらGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びAlGaInP系赤色レーザ素子30は、共にその光出力が3〜5mWである。そして、n−GaAs基板10裏面上には、n−電極11が形成されている。
【0030】
また、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20は、活性層21の上下をp−クラッド層22及びn−クラッド層23によって挟まれたレーザ構造をなし、p−クラッド層22上にはp−電極24が形成されている。AlGaInP系赤外色レーザ素子30も、同様に、活性層31の上下をp−クラッド層32及びn−クラッド層33によって挟まれたレーザ構造をなし、p−クラッド層32上にはp−電極34が形成されている。
【0031】
そして、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びAlGaInP系赤外色レーザ素子30のレーザ構造をそれぞれ最適なものにした場合には、結果としてAlGaInP系赤外色レーザ素子30の高さがGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20の高さよりも高くなり、両レーザ素子間には約1μmの高低差が生じる。
【0032】
また、図2に示されるように、本実施形態に係る2波長レーザ装置に使用するサブマウント部材40においては、例えばSiからなるサブマウント基体41の素子搭載面に段差が設けられており、この段差を介して高さの異なる2つの素子搭載面、即ち素子搭載面42と素子搭載面43に分離されている。そして、これら高さの異なる2つ素子搭載面42、43上に、例えばIn−Sn系のハンダからなるパターン電極44、45がそれぞれ形成されている。
【0033】
なお、素子搭載面42、43を分離している段差の大きさは、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20とAlGaInP系赤外色レーザ素子30との高低差に対応するものであり、従ってここでは約1μmの段差となっている。
また、このSiからなるサブマウント基体41の素子搭載面に段差を設ける加工は、例えば所定のマスクパターンを用いたウェットエッチング等によって容易に行う。
【0034】
そして、所定のダイボンド装置を用いて、図1に示すGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びAlGaInP系赤外色レーザ素子30を、図2に示すサブマウント部材40上にダウンマウントすると、図3に示されるようになる。
即ち、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20のp−電極24とサブマウント部材40の素子搭載面42上のパターン電極44とが接合し、AlGaInP系赤外色レーザ素子30のp−電極34とサブマウント部材40の素子搭載面43上のパターン電極45とが接合する。
【0035】
そして、その際に、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20とAlGaInP系赤外色レーザ素子30との高低差はサブマウント部材40の素子搭載面42と素子搭載面43との段差によって吸収されるため、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びAlGaInP系赤外色レーザ素子30はサブマウント部材40上に水平に搭載されることになる。即ち、サブマウント部材40のサブマウント基体41の底面とn−GaAs基板10裏面上のn−電極11表面とが互いに平行面となる。
【0036】
以上のように本実施形態によれば、n−GaAs基板10表面上に形成されているGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20とAlGaInP系赤外色レーザ素子30とには高低差がある一方、サブマウント部材40の素子搭載面にGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20とAlGaInP系赤外色レーザ素子30との高低差に対応した段差が設けられ、高さの異なる素子搭載面42と素子搭載面43に分離されていることにより、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びAlGaInP系赤外色レーザ素子30をサブマウント部材40の素子搭載面42、43上にダウンマウントすると、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20とAlGaInP系赤外色レーザ素子30との高低差はサブマウント部材40の素子搭載面42、43間に設けられた段差よって吸収されることから、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びAlGaInP系赤外色レーザ素子30をサブマウント部材40上に水平に搭載することが可能になる。即ち、サブマウント部材40上に搭載したGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びAlGaInP系赤外色レーザ素子30がその高低差に起因して傾いた状態になることはなく、2波長レーザ装置の組立位置精度を向上することが可能になる。
【0037】
このため、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びAlGaInP系赤外色レーザ素子30がサブマウント部材40上に傾いて搭載され、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びAlGaInP系赤外色レーザ素子30の発光点の位置ずれが生じ、発光点の間の距離が短くなり、光軸ずれを引き起こして、光ピックアップなどの光学系アライメントを困難にするといった特性不良を招く事態を防止することができる。
【0038】
また、サブマウント部材40の素子搭載面42、43間に設けられた段差の存在によって、それぞれ素子搭載面42、43上にマウントされたGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びAlGaInP系赤外色レーザ素子30がマウント方向のz軸回りに回転することが阻止されるため、z軸回りの回転による位置精度不良も防止することができ、全体としての組立位置精度の向上に寄与することができる。
【0039】
また、ダウンマウントの際、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びAlGaInP系赤外色レーザ素子30に加わる圧力は均等になり、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びAlGaInP系赤外色レーザ素子30に歪みを生じなくなるため、発光の際の偏向角のばらつきや不良を引き起こす事態を防止して、特性の向上を実現することができる。
【0040】
また、ダウンマウントの際に、In−Sn系のハンダからなるパターン電極44、45が融解して素子搭載面43上を流れることがあっても、素子搭載面42、43間には段差が設けられているため、流れ出したハンダがこの段差を這い上がることは容易にはできず、この流れ出したハンダを介してGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20のp−電極24とAlGaInP系赤外色レーザ素子30のp−電極34とがショートすることを防止することができる。
【0041】
また、n−GaAs基板10裏面上に形成されているn−電極11は、ダウンマウントに伴って上方に露出した状態となるが、このn−電極11表面も水平になる、即ちサブマウント部材40のサブマウント基体41底面と平行になるため、このn−電極11表面へのワイヤボンディングを容易に且つ精度よく行うことが可能になる。
【0042】
更に、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びAlGaInP系赤外色レーザ素子30をサブマウント部材40上に水平に搭載する方法として、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子及びAlGaInP系赤外色レーザ素子のそれぞれのp−電極の厚さを変えたり、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子及びAlGaInP系赤外色レーザ素子の各々のp−電極とサブマウント部材のパターン電極との間に厚さの異なるハンダ層を介在させたりする従来の場合と比較すると、電極材料の増大に伴うコスト上昇や工程の煩雑化による生産性の低下を防止することができる。
【0043】
なお、サブマウント基体41の素子搭載面に段差を設ける加工は、例えば所定のマスクパターンを用いたウェットエッチング等によって容易に行うことが可能であるため、この加工に伴うコストの上昇は微々たるものであり、殆ど無視することができる。
【0044】
(第2の実施形態)
図4は本発明の第2の実施形態に係る2波長レーザ装置を示す概略断面図であって、同一の半導体基板上に発信波長の異なる2個の半導体レーザ素子(但し、一方は高出力の半導体レーザ素子)が形成されている状態を示すものである。図5は本発明の第2の実施形態に係る2波長レーザ装置を示す概略断面図であって、図4の2個の半導体レーザ素子がサブマウント部材上にダウンマウントされた状態を示すものである。なお、図4に示すサブマウント部材は上記第1の実施形態の図2に示すものと基本的に同様の構造をなしているため、その単独での図示は省略する。また、上記第1の実施形態の図1〜図3に示す構成要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0045】
図4に示されるように、本実施形態に係る2波長レーザ装置においては、n−GaAs基板10表面上に、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20と高出力用GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子50がそれぞれ形成されている。即ち、上記第1の実施形態の図1に示す2波長レーザ装置における光出力が3〜5mWのAlGaInP系赤外色レーザ素子30の代わりに、光出力が20〜30mWのCD−R/RWなどの書込用の高出力用GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子50が形成されているものである。なお、この高出力用GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子50の代わりに、高出力用のAlGaInP系赤外色レーザ素子が形成されていてもよい。
【0046】
そして、この高出力用GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子50も、上記図1のAlGaInP系赤外色レーザ素子30と同様に、活性層51の上下をp−クラッド層52及びn−クラッド層53によって挟まれたレーザ構造をなし、52上にはp−電極54が形成されている。但し、AlGaInP系赤外色レーザ素子30と比較すると、高出力化されているため、p−クラッド層52及びn−クラッド層53は、AlGaInP系赤外色レーザ素子30のそれよりも厚くなっている。このため、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20と高出力用GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子50との高低差は、上記第1の実施形態の場合よりも大きくなり、例えば約2μmの高低差が生じている。
【0047】
また、図示は省略するが、本実施形態に係る2波長レーザ装置に使用するサブマウント部材40aは、上記第1の実施形態におけるサブマウント部材40と同様の構造をなしている。但し、そのサブマウント基体41aの素子搭載面に設けられている段差の大きさは、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20と高出力用GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子50との高低差に対応するものであり、従ってここでは約2μmの段差となっている。
【0048】
そして、所定のダイボンド装置を用いて、図4に示すGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及び高出力用GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子50をサブマウント部材40a上にダウンマウントすると、図5に示されるようになる。
即ち、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20のp−電極24とサブマウント部材40aの素子搭載面42a上のパターン電極44とが接合し、高出力用GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子50の54とサブマウント部材40aの素子搭載面43a上のパターン電極45とが接合する。
【0049】
そして、その際に、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20と高出力用GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子50との高低差はサブマウント部材40aの素子搭載面42aと素子搭載面43aとの段差によって吸収されるため、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及び高出力用GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子50はサブマウント部材40a上に水平に搭載されることになる。即ち、サブマウント部材40aのサブマウント基体41aの底面とn−GaAs基板10裏面上のn−電極11表面とが互いに平行面となる。
【0050】
以上のように本実施形態によれば、n−GaAs基板10表面上に形成されているGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20と高出力用GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子50との高低差は、上記第1の実施形態の場合のGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20とAlGaInP系赤外色レーザ素子30との高低差よりも大きくなっているが、このより大きな高低差に対応した段差がサブマウント部材40aの素子搭載面に設けられていることにより、上記第1の実施形態の場合と同様の効果をより有効に奏することができる。
【0051】
更に、本実施形態に係る2波長レーザ装置の高出力用GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子50は、その動作時における注入電流が多く、発熱量も大きいが、一般にヒートシンクの機能も有しているサブマウント部材40aの素子搭載面に段差が設けられ、そのサブマウント基体41aの表面積が増大するため、サブマウント部材40aの放熱効率を向上することができるという効果もある。
【0052】
(第3の実施形態)
図6は本発明の第3の実施形態に係る2波長レーザ装置に使用するサブマウント部材を示す概略断面図である。図7は本発明の第3の実施形態に係る2波長レーザ装置を示す概略断面図であって、2個の半導体レーザ素子が図6のサブマウント部材上にダウンマウントされた状態を示すものである。なお、図7に示す2個の半導体レーザ素子は上記第1の実施形態の図1に示すものと同一であるため、新たな図示は省略して図1を流用する。また、上記第1の実施形態の図1〜図3に示す構成要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0053】
図6に示されるように、本実施形態に係る2波長レーザ装置に使用するサブマウント部材40bは、基本的に上記第1の実施形態の図2に示すサブマウント部材40と同様の構造をなしているが、サブマウント基体41bの両端部に、図1のn−GaAs基板10表面上に形成されているGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びAlGaInP系赤外色レーザ素子30をダウンマウントする際のn−GaAs基板10表面を受け止めるための所定の高さの凸部46,47が設けられている点に特徴がある。
【0054】
そして、所定のダイボンド装置を用いて、図1に示すGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びAlGaInP系赤外色レーザ素子30を図6に示すサブマウント部材40b上にダウンマウントすると、図7に示されるようになる。
即ち、上記第1の実施形態の場合と同様に、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20のp−電極24とサブマウント部材40bの素子搭載面42b上のパターン電極44とが接合し、AlGaInP系赤外色レーザ素子30のp−電極34とサブマウント部材40bの素子搭載面43b上のパターン電極45とが接合し、その際にGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20とAlGaInP系赤外色レーザ素子30との高低差は素子搭載面42bと素子搭載面43bとの段差によって吸収されるため、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びAlGaInP系赤外色レーザ素子30はサブマウント部材40b上に水平に搭載されることになる。
【0055】
しかも、このとき、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びAlGaInP系赤外色レーザ素子30が形成されているn−GaAs基板10表面がサブマウント部材40bの凸部46,47表面によって受け止めるため、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びAlGaInP系赤外色レーザ素子30のp−電極24,34とサブマウント部材40bのパターン電極44,45との位置合わせ精度が高くなるだけでなく、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びAlGaInP系赤外色レーザ素子30のp−電極24,34がサブマウント部材40bのパターン電極44,45に押圧される際の圧力が過不足なく適正に制御される。その結果、n−GaAs基板10表面上に形成されているGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びAlGaInP系赤外色レーザ素子30とサブマウント部材40bとの組立精度が更に向上する。
【0056】
以上のように本実施形態によれば、サブマウント部材40bの素子搭載面に、n−GaAs基板10表面上に形成されているGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20とAlGaInP系赤外色レーザ素子30との高低差に対応した段差が設けられているだけでなく、サブマウント基体41bの両端部に、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びAlGaInP系赤外色レーザ素子30をダウンマウントする際のn−GaAs基板10表面を受け止めるための所定の高さの凸部46,47が設けられていることにより、上記第1の実施形態の場合の効果に加え、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びAlGaInP系赤外色レーザ素子30とサブマウント部材40bとの組立精度が更に向上することができる。
【0057】
なお、上記第1〜第3の実施形態において、2波長レーザ装置として、n−GaAs基板10表面上に、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20やAlGaInP系赤色レーザ素子30や高出力用GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子50が形成されている場合について説明したが、ここで用いられる半導体基板はn−GaAs基板10に限定されるものではなく、例えばp−GaAs基板やSI−GaAs基板であってもよい。また、p型、n型、又は半絶縁性の基板であって、AlAs、InAs、InP、GaP、GaSbの少なくとも1つの混晶を含有し、又はこれらの混晶のうちの少なくとも1つとGaAsとの混晶を含有する基板であってもよい。また、そのような半導体基板上に形成されるレーザ素子は、その組成中に3族元素であるGa、Al、Inを含有し、また5族元素であるAs、Pを含有している本実施形態の場合の他に、5族元素であるSbを含有している場合であってもよい。
また、サブマウント部材40bのサブマウント基体41bの材料としてSiを用いているが、Siに限定されるものではなく、例えばAlN、BeO、CuW、又はBNを材料として用いてもよい。
【0058】
また、上記第1〜第3の実施形態においては、何れも2波長レーザ装置について説明したが、本発明は半導体基板上に半導体発光素子が形成されている場合に限定されるものではない。以下、本発明の実施形態の変形例として、半導体基板上にレーザ素子以外の半導体素子が形成されている場合を、図8〜図11を用いて説明する。但し、上記第1の実施形態の図1〜図7に示す構成要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0059】
図8に示されるように、本発明の実施形態の第1の変形例に係る半導体装置は、n−GaAs基板10表面上に、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20とnpnバイポーラトランジスタ60がそれぞれ形成されている。即ち、上記第1の実施形態の図1に示す2波長レーザ装置におけるAlGaInP系赤外色レーザ素子30の代わりに、npnバイポーラトランジスタ60が形成されている。なお、この場合、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20の代わりに、AlGaInP系赤外色レーザ素子30であってもよいし、高出力用GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子50であってもよい。
【0060】
このnpnバイポーラトランジスタ60は、n−GaAs基板10表面上に形成されたn−領域61と、このn−領域61上に形成されたp−領域62と、このp−領域62上に形成されたn−領域n−領域63とを有し、npn接合構造を形成している。また、p−領域62上には、p−電極64が形成され、n−領域63上には、n−電極65が形成されている。そして、このnpnバイポーラトランジスタ60の高さはGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20の高さよりも高くなり、両素子間に所定の高低差が生じている。
【0061】
このようにn−GaAs基板10表面上に高さの異なるGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びnpnバイポーラトランジスタ60が形成されている場合であっても、両素子間の高低差に対応する段差がサブマウント基体41cの素子搭載面に設けられているサブマウント部材40c上にダウンマウントすると、図9に示されるようになる。
【0062】
即ち、上記第1の実施形態の場合と同様に、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20のp−電極24とサブマウント部材40cの素子搭載面42c上のパターン電極44とが接合し、npnバイポーラトランジスタ60のp−電極64とサブマウント部材40cの素子搭載面43c上のパターン電極45とが接合し、その際にGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20とnpnバイポーラトランジスタ60との高低差はサブマウント部材40cの素子搭載面42cと素子搭載面43cとの段差によって吸収されるため、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びnpnバイポーラトランジスタ60はサブマウント部材40c上に水平に搭載されることになる。従って、上記第1の実施形態の場合と同様な効果を奏することができる。
【0063】
また、図10に示されるように、本発明の実施形態の第2の変形例に係る半導体装置は、n−GaAs基板10表面上に、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20とフォトダイオード70がそれぞれ形成されている。即ち、上記第1の実施形態の図1に示す2波長レーザ装置におけるAlGaInP系赤外色レーザ素子30の代わりに、フォトダイオード70が形成されている。この場合も、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20の代わりに、AlGaInP系赤外色レーザ素子30であってもよいし、高出力用GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子50であってもよい。
【0064】
このフォトダイオード70は、n−GaAs基板10表面上に、SI(半絶縁性)−GaAs層71を介して形成されたn−電極72と、このn−電極72上に形成されたi−高抵抗領域73と、このi−高抵抗領域73上に形成されたp−電極74とを有し、感光領域としてのi−高抵抗領域73をn−電極72及びp−電極74によって挟んでいる構造を形成している。そして、このフォトダイオード70の高さはGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20の高さよりも高くなり、両素子間に所定の高低差が生じている。
【0065】
このようにn−GaAs基板10表面上に高さの異なるGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及びフォトダイオード70が形成されている場合であっても、両素子間の高低差に対応する段差がサブマウント基体41dの素子搭載面に設けられているサブマウント部材40d上にダウンマウントすると、図11に示されるようになる。
【0066】
即ち、上記第1の実施形態の場合と同様に、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20のp−電極24とサブマウント部材40dの素子搭載面42d上のパターン電極44とが接合し、フォトダイオード70のp−電極74とサブマウント部材40dの素子搭載面43d上のパターン電極45とが接合し、その際にGaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20とフォトダイオード70との高低差はサブマウント部材40dの素子搭載面42dと素子搭載面43dとの段差によって吸収されるため、GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子20及び78はサブマウント部材40d上に水平に搭載されることになる。従って、上記第1の実施形態の場合と同様な効果を奏することができる。
【0067】
【発明の効果】
以上詳細に説明した通り、本発明に係る半導体装置によれば、次のような効果を奏することができる。即ち、請求項1〜4に係る半導体装置によれば、半導体基板上に形成された2つの半導体レーザ素子およびnpnパイポーラトランジスタ(またはフォトダイオード)の高低差に対応して、サブマウント部材の素子搭載面に段差が設けられていることにより、これら複数個の半導体素子がサブマウント部材の素子搭載面上にダウンマウントされても、複数個の半導体素子の高低差はサブマウント部材の素子搭載面の段差よって吸収されることから、複数個の半導体素子をサブマウント部材上に水平に搭載することが可能になる。このため、ダウンマウントの際に、複数個の半導体素子の高低差に起因して、サブマウント部材上に搭載された複数個の半導体素子が傾いた状態になって半導体装置の組立位置精度が低下する事態を防止することができ、安定した特性と高い信頼性を有する半導体装置を実現することができる。
【0068】
また、複数個の半導体素子がサブマウント部材の素子搭載面上にマウントされるマウント方向をz軸とすると、サブマウント部材の素子搭載面の段差の存在によって、半導体基板上に形成された複数個の半導体素子のz軸回りの回転による位置精度不良を防止することも可能になり、安定した特性と高い信頼性を有する半導体装置の実現に寄与することができる。
【0069】
また、ダウンマウントの際に、半導体素子に加わる圧力が均等になるため、半導体素子に歪みを生じて特性不良を引き起こす事態を防止することもできる。また、パターン電極の材料にハンダを用い、このハンダが融解して素子搭載面上を流れることがあっても、素子搭載面上の複数のパターン電極の間には段差が設けられているため、複数のパターン電極の間が容易に導通して複数個の半導体素子がショートすることを防止することができる。従って、安定した特性と高い信頼性を有する半導体装置の実現に寄与することができる。
【0070】
また、一般に半導体基板裏面に形成され、ダウンマウントに伴って上方に露出した状態となる下面電極面も水平になるため、この下部電極面上へのワイヤボンディングを容易に且つ精度よく行うことが可能になり、安定した特性と高い信頼性を有する半導体装置の実現に寄与することができる。
【0071】
また、特に半導体素子が高出力の発光素子のように動作時に大量の発熱を伴う素子の場合、ヒートシンクの機能も有しているサブマウント部材の素子搭載面に段差が設けられると、その表面積が増大するため、放熱効果を向上して、素子寿命を長くするなど、信頼性を高めることができる。
【0072】
また、請求項5に係る半導体装置によれば、上記請求項1,3に係る半導体装置において、サブマウント部材の素子搭載面の両端部に、所定の高さの凸部が設けられ、この凸部表面に半導体基板表面が当接されていることにより、上記請求項1に係る半導体装置の効果に加え、複数個の半導体素子をサブマウント部材の素子搭載面上にマウントする際の精度を飛躍的に高め、半導体装置の組立位置精度を飛躍的に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る2波長レーザ装置を示す概略断面図であって、同一の半導体基板上に発信波長の異なる2個の半導体レーザ素子が形成されている状態を示すものである。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る2波長レーザ装置に使用するサブマウント部材を示す概略断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る2波長レーザ装置を示す概略断面図であって、図1の2個の半導体レーザ素子が図2のサブマウント部材上にダウンマウントされた状態を示すものである。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る2波長レーザ装置を示す概略断面図であって、同一の半導体基板上に発信波長の異なる2個の半導体レーザ素子(但し、一方は高出力の半導体レーザ素子)が形成されている状態を示すものである。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る2波長レーザ装置を示す概略断面図であって、図4の2個の半導体レーザ素子がサブマウント部材上にダウンマウントされた状態を示すものである。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る2波長レーザ装置に使用するサブマウント部材を示す概略断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る2波長レーザ装置を示す概略断面図であって、2個の半導体レーザ素子が図6のサブマウント部材上にダウンマウントされた状態を示すものである。
【図8】本発明の実施形態の第1の変形例に係る半導体装置を示す概略断面図であって、同一の半導体基板上に半導体レーザ素子とバイポーラトランジスタとが形成されている状態を示すものである。
【図9】本発明の実施形態の第1の変形例に係る半導体装置を示す概略断面図であって、図8の半導体レーザ素子及びバイポーラトランジスタがサブマウント部材上にダウンマウントされた状態を示すものである。
【図10】本発明の実施形態の第2の変形例に係る半導体装置を示す概略断面図であって、同一の半導体基板上に半導体レーザ素子とフォトダイオードとが形成されている状態を示すものである。
【図11】本発明の実施形態の第2の変形例に係る半導体装置を示す概略断面図であって、図10の半導体レーザ素子及びフォトダイオードがサブマウント部材上にダウンマウントされた状態を示すものである。
【図12】同一の半導体基板上に形成された互いに種類の異なる2個の半導体レーザ素子を従来の方法によりサブマウント部材上にダウンマウントする様子を示す概略断面図(その1)である。
【図13】同一の半導体基板上に形成された互いに種類の異なる2個の半導体レーザ素子を従来の方法によりサブマウント部材上にダウンマウントする様子を示す概略断面図(その2)である。
【図14】同一の半導体基板上に形成された互いに種類の異なる2個の半導体レーザ素子を従来の方法によりサブマウント部材上にダウンマウントする様子を示す概略断面図(その3)である。
【符号の説明】
10……n−GaAs基板、11……n−電極、20……GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子、21……活性層、22……p−クラッド層、23……n−クラッド層、24……p−電極、30……AlGaInP系赤外色レーザ素子、31……活性層、32……p−クラッド層、33……n−クラッド層、34……p−電極、40、40a、40b、40c、40d……サブマウント部材、41、41a、41b、41c、41d……サブマウント基体、42、42a、42b、42c、42d、43、43a、43b、43c、43d……素子搭載面、44、45……パターン電極、46、47……凸部、50……高出力用GaAs/AlGaAs系赤外色レーザ素子、51……活性層、52……p−クラッド層、53……n−クラッド層、54……p−電極、60……npnバイポーラトランジスタ、61……n−領域、62……p−領域、63……n−領域、64……p−電極、65……n−電極、70……フォトダイオード、71……SI−GaAs層、72……n−電極、73……i−高抵抗領域、74……p−電極、80……サブマウント部材、81……サブマウント基体、82……素子搭載面、83、84……パターン電極。
Claims (10)
- 半導体基板上に形成された複数個の半導体素子が、前記複数個の半導体素子の各々の上面電極を下向きにして、前記各々の上面電極に対応する複数のパターン電極を有するサブマウント部材の素子搭載面上に搭載されている半導体装置であって、
前記複数個の半導体素子は、前記半導体基板の表面からの高さが互いに異なる半導体レーザ素子およびnpnバイポーラトランジスタであり、前記半導体レーザ素子およびnpnバイポーラトランジスタの前記半導体基板の表面からの高さの差に対応して、前記サブマウント部材の素子搭載面に段差が設けられている
半導体装置。 - 前記npnバイポーラトランジスタは、前記半導体基板の表面上に形成されたn−領域、前記n−領域上に形成されたp−領域、および前記p−領域上に形成されたn−領域からなるnpn接合構造を有し、その高さが前記半導体レーザ素子の高さよりも高い
請求項1記載の半導体装置。 - 半導体基板上に形成された複数個の半導体素子が、前記複数個の半導体素子の各々の上面電極を下向きにして、前記各々の上面電極に対応する複数のパターン電極を有するサブマウント部材の素子搭載面上に搭載されている半導体装置であって、
前記複数個の半導体素子は、前記半導体基板の表面からの高さが互いに異なる半導体レーザ素子およびフォトダイオードであり、前記半導体レーザ素子およびフォトダイオードの前記半導体基板の表面からの高さの差に対応して、前記サブマウント部材の素子搭載面に段差が設けられている
半導体装置。 - 前記フォトダイオードは、前記半導体基板の表面上にGaAs層を介して形成されたn−電極、前記n−電極上に形成された感光領域としてのi−高抵抗領域、および前記i−高抵抗領域上に形成されたp−電極からなり、その高さは前記半導体レーザ素子の高さよりも高い
請求項3記載の半導体装置。 - 前記サブマウント部材の素子搭載面の両端部に、所定の高さの凸部が設けられ、前記凸部表面に前記半導体基板表面が当接されている
請求項1または3に記載の半導体装置。 - 前記半導体レーザ素子の組成中に、3族元素であるGa、Al、Inの少なくとも1つの元素が含有されている
請求項1または3に記載の半導体装置。 - 前記半導体レーザ素子の組成中に、5族元素であるAs、P、Sbの少なくとも1つの元素が含有されている
請求項1または3に記載の半導体装置。 - 前記半導体レーザ素子が、GaAs/AlGaAs系発光素子又はAlGaInP系素子である
請求項1または3に記載の半導体装置。 - 前記半導体基板が、p型、n型、又は半絶縁性のGaAs基板である
請求項1または3に記載の半導体装置。 - 前記半導体基板が、p型、n型、又は半絶縁性の基板であって、AlAs、InAs、InP、GaP、GaSbの少なくとも1つの混晶を含有し、又はこれらの混晶のうちの少なくとも1つとGaAsとの混晶を含有する基板である
請求項1または3に記載の半導体装置。
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