以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図6は本発明の実施の形態の第1の例を示している。この実施の形態はパチンコ機におけるもので、図1はパチンコ機の裏面図、図2はパチンコ機の払出装置近傍の払出装置非作動時の拡大断面図(a)および払出装置作動時の拡大断面図(b)、図3はパチンコ機の制御系の電気的接続構成を示す全体ブロック図、図4は、パチンコ機の制御系の電気的接続構成の特徴部分を抜粋して示すブロック図、図5は図4のブロック図の詳細図、図6はパチンコ機の主制御基板に遊技球払出指示が入力されてから遊技球の払出が完了するまでの払出制御および切換制御のタイミングチャートである。
この実施の形態のパチンコ機は、CR第1種パチンコ機であって、図1に示すように、背面から見てパチンコ機本体1の右側方にプリペードカードユニット2を備えている。そして、パチンコ機本体1は、例えば、遊技盤面に発射された遊技球の案内を兼ねるレールによって遊技領域が区画され、遊技領域には、普通図柄を変動及び停止表示させる普通図柄表示装置、普通図柄作動領域として普通図柄の変動契機を与える左・右普通図柄作動ゲート、特別図柄の変動契機を与える第1種始動口を兼ね、普通図柄が所定の図柄で停止表示されることによって左・右開閉羽根の開閉により通常状態から開放状態に変換される普通電動役物、第1種始動口での遊技球の検知を契機として特別図柄を変動及び停止表示させる特別図柄表示装置、特別図柄表示装置の表示領域において変動表示後に確定表示された特別図柄が大当り図柄である場合に開放動作する大入賞口を備えるとともに内部に遊技球の通過が後述のように大当り遊技の次ラウンドへの進行の契機となる特定領域とそれ以外の一般領域を備える変動入賞装置が設けられ、また、普通入賞口として左・右入賞口が設けられている。また、遊技領域には、所定の配置で多数の釘が打ち込まれ、例えば上部左右および下部左右に風車が設けられ、入賞しなかった遊技球をアウト球として回収するよう遊技領域の下端位置にアウト口が設けられている。遊技盤面には、また、普通図柄始動記憶表示ランプ、特別図柄始動記憶表示ランプ等が設けられている。
このパチンコ機は、発射装置によって遊技領域に遊技球を打ち込み、遊技領域を流下する遊技球を各入賞口または始動口に入賞させるよう遊技を行うもので、発射装置により遊技領域に撃ち込まれた遊技球が大入賞口へ入賞した時は、入賞球1個につき例えば15個の遊技球が賞球として払い出され、その以外の入賞口(第1種始動口6を含む)に入賞した時は、例えば3個の遊技球が賞球として払い出される。
そして、このパチンコ機は、後述のように主制御基板を始めとする制御装置を備え、遊技球が左・右普通図柄作動ゲートを通過したことが検出されると、主制御基板において、その時点で当たりかハズレかを決めるための当たり乱数を抽選して当たり乱数値を抽出記憶するとともに、その当たり乱数値に基づいて、当たりか否かを判定し、普通図柄表示装置による普通図柄の変動を開始する。
普通図柄表示装置による図柄変動の変動時間は通常遊技状態では例えば29秒で、後述の確変遊技状態では例えば5秒となる。そして、その所定の変動時間が経過した後、普通図柄表示装置の図柄変動が停止し、抽出された乱数値が当たり値(例えば「3」や「7」)の場合は当たり図柄、ハズレ値の場合はハズレ図柄を停止表示する。
そして、当たり図柄の態様で停止表示すると、普通電動役物の左・右開閉羽根が開放状態に所定時間変換する。開放時間は、通常遊技状態では例えば0.5秒で、確変遊技状態では例えば2秒となる。
また、普通図柄表示装置の図柄変動中に新たに遊技球が左・右普通図柄作動ゲートを通過すると、その都度、当たり乱数か乱数値を抽出し、当たり乱数から抽出された乱数値に対応する始動情報(普通図柄始動情報)を最大4個まで記憶するとともに、普通図柄始動記憶表示ランプを点灯させる。そして、図柄変動停止後に、記憶された始動情報に基づいて新たに図柄変動を開始する。
また、遊技球が第1種始動口を通過(入賞)したことが検知スイッチにより検出されると、それを契機として、遊技機の遊技動作の中で、特別図柄表示装置の図柄表示領域で図柄変動またはスクロールを開始するとともに、第1種始動口SW処理として、タイマデータ、大当り乱数、大当り図柄乱数、リーチ選択乱数を抽選して、タイマデータの値を取得し、大当り乱数の値、大当り図柄乱数の値、リーチ選択乱数の値を抽出し記憶する。そして、大当たり乱数から抽出した乱数値に対応する始動情報(特別図柄始動情報)を、図柄変動の停止まで記憶するとともに、特別図柄始動記憶表示ランプを点灯させる。そして、大当たり乱数の抽選結果、所定の大当たり確率(例えば1/315)で大当たりか否かを判定し、所定の態様で図柄を変動させた後、所定時間経過後に図柄変動を停止し、判定結果に基づいて大当たり図柄またはハズレ図柄を停止図柄として表示する。遊技開始時等の通常遊技状態で、大当たり図柄とならない場合(ハズレリーチ含む)、特別図柄の変動開始から確定停止までに要する時間(上記所定時間)は、約10秒から約50秒まで様々である。
そして、大当たりと判定され、図柄変動後、大当たり図柄が停止表示されると、「大当たり遊技」が発生し、特別電動役物が作動して大入賞口を所定開放時間(例えば30秒)だけ開放する。そして、開放した大入賞口に入賞した遊技球がカウントスイッチによって検出され、所定開放時間(約30秒)が経過するか、大入賞口に入賞した遊技球が所定数(例えば10個)に達すると、大入賞口は閉じる。
大当たり遊技は、1回の大入賞口開放から閉口までの期間、つまり、大入賞口が開放されてから例えば約30秒の所定開放時間が経過するか、大入賞口に入賞した遊技球が例えば10個に達したことによって大入賞口が閉じるまでの期間を1ラウンドとして、大入賞口の開放中または閉口後の一定時間内に入賞した遊技球が大入賞口内部の特定領域を通過することを条件に、次ラウンドへの移行を可能とし、その場合、大入賞口が閉じた後、所定のインターバル時間が経過した後に再び大入賞口が開放され、1回の大当たりにおいて初回を含め最高16ラウンドまで大当たり遊技が継続可能である。そして、ラウンド中に遊技球が特定領域を通過しなかった場合又は最高ラウンド数の例えば16ラウンドに達したときには、そのラウンドで大当たりが終了し、通常遊技状態に戻る。そして、最終ラウンドで大入賞口が閉口し、大当たり終了ディレー時間(例えば10秒)が経過すると、「大当たり遊技」を終了する。
また、特別図柄が大当たり図柄のうちの特定の図柄で停止表示されると、「大当たり遊技」終了後に、特別遊技状態として、特別図柄について単位時間あたりの変動回数が多くなるよう変動時間が短縮される「時短遊技」、大当たり確率が通常よりも高い確率に変更される「確変遊技」、普通電動役物の開放時間延長等の付加利得遊技が発生する。なお、これら時短遊技、確変遊技、普通電動役物の開放時間延長等の付加利得遊技を総称して「確変遊技」という場合もある。
そして、特別図柄表示装置による図柄変動の途中で、遊技球が普通電動役物(第1種始動口)に入賞すると、その都度、大当たり乱数から乱数値を抽出して、最大4個までを始動情報(特別図柄始動情報)として記憶し、変動中の図柄が停止した後、記憶された始動情報に基づいて順次新たな図柄変動を開始する。
以上の構成および動作は、従来のCR第1種パチンコ機と同様である。
そして、このパチンコ機には、図1に示すように、パチンコ機本体1の裏面(前枠の背面)に、裏セット機構板3が取り付けられている。そして、裏セット機構板3の左最上部には、島設備から供給される遊技球を払い出し用として一時的に多数貯留するための球貯留空間を構成する球タンク4が設けられている。そして、裏セット機構板3の左側部には、球タンク4の下に、遊技内容等に伴うLEDランプ等の点灯、点滅、消灯を制御するランプ制御基板5と、遊技内容等に伴う図柄、効果音等の演出制御を行う演出制御基板(図柄音声制御基板)6とが上下に並んで設けられている。
また、裏セット機構板3の略中央には、カバー7に覆われて各種の基板、端子板、スイッチ等が配置され、その下方に、遊技球の発射や払い出しおよび遊技盤面における遊技内容等の制御を含む遊技全般の制御を司る主制御基板8が配置されている。
また、裏セット機構板3の最上部右隅には、遊技機に関わる様々な遊技結果等の遊技情報を遊技店側に送信する盤用外部端子板9および枠用外部端子板10が配置されている。そして、裏セット機構板3の右下部には、各基板へ電力を供給する電源基板11と、遊技球の払い出しを制御する払出制御基板12とが重なる配置で設けられている。
また、裏セット機構板3の右側部には、賞球および貸球を払い出す払出装置13が配置されている。そして、裏セット機構板3の上部には、左最上部の球タンク4から遊技球を払出装置13へ向けて案内するための誘導通路を構成するタンクレール14、ケースレール15およびガイドレール16が設けられている。そして、ケースレール15には後述の球切れスイッチが設けられている。また、裏セット機構板3の下部には、払出装置13から払い出す遊技球をパチンコ機本体1の下部前面の球受皿へ導くための、後述のように払出通路と球抜き通路とに分岐させた誘導通路を構成する誘導樋17が設けられている。そして、誘導樋17の下部流出口18の側壁には後述の下皿満杯スイッチが設けられている。
また、裏セット機構板3の左最下部には、遊技球を発射する発射装置19と、それを駆動する発射モータ20が設けられ、発射モータ20の上方に、発射モータ20の駆動を制御する発射制御基板21が設けられている。
そして、プリペードカードニット2がプリペードカード接続端子22を介してプリペードカードニット2が主制御基板8に接続されている
払出装置13の内部には、通常時は図2の(a)に示すように遊技球を遮断し、賞球・貸球払出時は遊技球を通過可能とする球止片31と、それを駆動する払出ソレノイド32が設けられ、また、遊技球の通過を検出する払出センサ33(払出検知手段)が設けられている。そして、払出装置13の下方に連接する誘導樋17内部の誘導通路34は、遊技機前面の球受皿へ遊技球を導く払出通路35と機外へ遊技球を排出する球抜き通路36とに分岐し、その分岐部には、払出装置13から払い出された遊技球を球抜き通路36側(機外側)へ案内する第1の作動位置と、払出装置13から払い出された遊技球を払出通路35側(球受皿側)へ案内する第2の作動位置とに切り換える切換部材37が設けられている。切換部材37は、常時は球抜き通路36側(機外側)を開放する第1の作動位置に保持され、後述のように切換ソレノイドにより、球抜き通路36側(機外側)を開放する第1の作動位置と、払出通路35側(球受皿側)を開放する第2の作動位置とに切換えられる。
このパチンコ機の制御系の電気的接続構成は図3に示す全体ブロック図のとおりであり、その発明特徴部分は図4に示すとおりであり、詳細には図5に示すとおりである。
主制御基板8には、主基板CPU41および各種入出力ポートと、記憶装置(図示せず)が搭載され、また、切換ソレノイド駆動回路42が搭載されている。
そして、主制御基板8(主基板CPU41)には、遊技球が右入賞口に入賞したことを検出する右入賞口スイッチ43、遊技球が左入賞口に入賞したことを検出する左入賞口スイッチ44、遊技球が左・右普通図柄作動ゲートを通過したことを検出するゲートスイッチ45、遊技球が第1種始動口に入賞したことを検出する始動口1スイッチ(第1種始動口SW)46および始動口2スイッチ(普通電動役物SW)47からの検出信号が盤面中継端子板48を介して入力され、遊技球が大入賞口に入賞したことを検出する大入賞口スイッチ49からの検出信号が、大入賞口中継端子板50および盤面中継端子板48を介して入力される。
また、主制御基板8(主基板CPU41)には、払出制御基板12(出力ポート)を介して払出センサ33からの払出センサ信号が入力され、また、球切れスイッチ51および下皿満杯スイッチ52からの異常検出信号が入力される。
また、プリペードカードユニット2は、プリペードカード接続端子22に接続する遊技球等貸出装置接続端子板53を介して主制御基板8(主基板CPU41)に入出力可能に接続されている。
そして、主制御基板8(主基板CPU41)は、演出制御基板6、ランプ制御基板5および払出制御基板12に制御コマンドを出力し、発射制御基板21に発射開始・停止信号を出力する。また、主制御基板8(主基板CPU41)は、図柄中継端子板54を介して図柄表示基板55、図柄記憶表示右基板56および図柄記憶表示左基板57を制御し、切換部材中継端子板58を介して切換部材37(切換ソレノイド59)を制御する。
また、主制御基板8(主基板CPU41)は、盤面中継端子板48を介して普通電動役物ソレノイド64を制御し、また、盤面中継端子板48および大入賞口中継端子板50を介して大入賞口ソレノイド60を制御する。
また、主制御基板8(主基板CPU41)は、遊技球等貸出装置接続端子板53を介し度数表示基板61に接続されている。
演出制御基板6は、演出制御機能分離中継端子板62を介し主制御基板8からの制御コマンドを受けて演出表示器63を制御する。
ランプ制御基板5は、演出制御基板6の出力ポートを介して主制御基板8から制御コマンドを受け、ランプの点灯、点滅、消灯を制御する。
払出制御基板12には、払出基板CPU71および各種入出力ポートと、記憶装置(図示せず)が搭載され、また、払出ソレノイド駆動回路72が搭載されている。そして、払出制御基板12(払出基板CPU71)は、主制御基板8(主基板CPU41)からの制御コマンドを受けて、払出ソレノイド駆動回路72を介し払出装置13(払出ソレノイド32)を制御して賞球・貸球払出しの動作をさせるとともに、球切れスイッチ51、下皿満杯スイッチ52からの異常検出信号が入力されることにより主制御基板8(主基板CPU41)から出力される球切れ異常信号を受けて、払出動作を停止するように払出装置13(払出ソレノイド32)を制御する。
発射制御基板21は、発射スイッチ73、タッチセンサ74、発射強度電子ボリューム75からの信号入力を受け、また、払出制御基板12の出力ポートを介し主制御基板8(主基板CPU41)からの発射開始・停止信号を受けて、発射装置の発射ソレノイド76を制御し、球送り中継端子板77を介して球送りソレノイド78を制御する。
電源基板11は、AC24V(50Hz/60Hz)の主電源80から電力の供給を受け、主制御基板8、払出制御基板12、発射制御基板21にそれぞれ必要電力を供給し、また、演出電源機能分離中継端子板81を介して演出制御基板6に必要電力を供給する。
このパチンコ機は、始動口1スイッチ46、始動口2スイッチ47、左・右入賞口スイッチ43,44および大入賞口スイッチ49が、始動口、左・右入賞口および大入賞口(遊技盤面の所定領域)への入賞を契機として遊技球払出信号(賞球払出信号)を出力する払出信号発生手段を構成し、また、プリペードカードユニット2が、貸球指示の検出を契機として遊技球払出信号(貸球払出信号)を出力する払出信号発生手段を構成する。そして、これら始動口1スイッチ46、始動口2スイッチ47、左・右入賞口スイッチ43,44あるいは大入賞口スイッチ49からの遊技球払出信号(賞球払出信号)が主制御基板8(主基板CPU41)に入力され、また、プリペードカードユニット2からの遊技球払出信号が主制御基板8(主基板CPU44)に入力される。
そして、主制御基板8(主基板CPU41)は、遊技球払出信号が入力されたと判断すると、払出制御基板12に制御コマンド(遊技球払出コマンド)と転送信号(ストローブ信号)を出力するとともに、切換ソレノイド駆動回路42を介して切換ソレノイド59を「ON」にして、切換部材37を、球抜き通路36側(機外側)を開放する第1の作動位置から、払い出された遊技球を払出通路35側(球受皿側)に案内する第2の作動位置に切り換える。
そして、払出制御基板12(払出基板CPU71)は、転送信号(ストローブ信号)が入力されたと判断すると、入力された制御コマンド(遊技球払出コマンド)の内容を確認し、制御コマンド(遊技球払出コマンド)の内容に基いた遊技球の払出しを行うため、払出ソレノイド駆動回路72を介して払出装置13内部に設けられている払出ソレノイド32を「ON」にする。それにより、払出装置13から遊技球が誘導通路34下流に払い出される。このとき、切換部材37は払出通路35側(球受皿側)に切り換えられている。そのため、払出装置13から払い出された遊技球は、払出通路35を経由して遊技者側(球受皿)に払い出される。
また、払出装置13から払出された遊技球が払出センサ33を通過すると、その都度、払出センサ信号が主制御基板8(主基板CPU41)と払出制御基板12(払出基板CPU71)に出力される。そして、払出制御基板12(払出基板CPU71)は、主制御基板8(主基板CPU41)から出力された払出数から払出センサ信号が入力された数を減算し、減算結果が「0」になるまで、払出ソレノイド駆動回路72を介し払出装置13内部に設けられている払出ソレノイド32の「ON」状態を継続して遊技球の払出しを行い、減算結果が「0」になると、払出ソレノイド32を「OFF」にして遊技球の払出しを停止する。
また、主制御基板8(主基板CPU41)は、払出制御基板12(払出基板CPU71)に出力した払出数から払出センサ信号が入力された数を減算し、減算結果が「0」になると、切換ソレノイド駆動回路42を介して切換ソレノイド59を「OFF」にして、切換部材37を払出通路35側(球受皿側)に案内する第2の作動位置から、球抜き通路36側(機外側)に案内する第1の作動位置に切り換える。
こうして切換部材37が第1の作動位置に切り換えられると、それ以降は、例えば払出制御基板12(払出基板CPU71)の異常作動(暴走等)により払出装置13からの遊技球の払出しが止らなくなっても、遊技球は球抜き通路36を経由して機外へ排出され、球受皿には払い出されない。
また、払出装置13の未作動時および異状作動時に、払出制御基板12(払出基板CPU71)でのトラブルの発生によって払出装置13から遊技球が払い出された場合にも、切換部材37は第1の作動位置にあって、払い出された遊技球は球抜き通路36を経由して機外へ排出される。
このように、払出装置13の異常作動時のみならず、払出制御基板12(払出基板CPU71)でのトラブル発生により払出装置13から遊技球が払い出された場合でも、遊技球が遊技者側に無制限に払い出されるのを防止でき、店側が不利益を被らないようにすることができる。
図6は、主制御基板8(主基板CPU41)に遊技球払出指示(遊技球払出信号)が入力されてから遊技球の払出が完了するまでの払出制御および切換制御の一例として、始動口1スイッチ46(始動口1SW)から遊技球3個の賞球払出指示が入力され、次いで、プリペードカードユニット2からの「100円分」(遊技球25個)の貸球指示(BRQ信号)」が入力された場合のタイミングチャートを示している。
この場合、主制御基板8(主基板CPU41)は、始動口1スイッチ46「ON」を検出すると、その時点(a)で遊技球3個の払出しを行うために払出制御基板12(払出基板CPU71)に2バイトの制御コマンド(遊技球払出コマンド)「40H」「03H」と転送信号(ストローブ信号)「ON」を出力し、同時(1バイト目制御コマンド出力時)に、切換ソレノイド59を「ON」にして、切換部材37を球抜き通路36側(機外側)の第1の作動位置から払出通路35側(球受皿側)の第2の作動位置へ切り換える。
そして、主制御基板8(主基板CPU41)は、払出センサ33から入力された払出センサ信号が指示された払出数「3」と同数になった(減算結果が「0」)と判断すると、切換ソレノイド59を「OFF」にして、切換部材37を、払い出された遊技球を払出通路35側(球受皿側)に案内する第2の作動位置から、球抜き通路36側(機外側)を開放する第1の作動位置に切り換える。
ただし、この実施の形態のパチンコ機では、図2に示すように払出センサ33と切換部材37との間に距離があるため、3個目の払出センサ信号が主制御基板8(主基板CPU41)に入力し払出センサ信号が指示された払出数「3」と同数となった(減算結果が「0」)と判断した時点(b)で即座に切換ソレノイド59を「OFF」にして切換部材37を払出通路35側(球受皿側)の第2の作動位置から球抜き通路36側(機外側)の第1の作動位置へ切り換えてしまうと、3個目の遊技球が払出通路35側(球受皿側)に払出されない可能性がある。そのため、実際には、3個目の払出センサ信号が主制御基板8(主基板CPU41)に入力されてから所定時間ΔX(例えば1秒)経過した時点(c)で、切換ソレノイド59を「OFF」にして切換部材37を払出通路35側(球受皿側)の第2の作動位置から球抜き通路36側(機外側)の第1の作動位置へ切り換えるのが望ましい。
次に、主制御基板8(主基板CPU41)が「100円分」(遊技球25個)の貸球指示(BRQ信号「ON」)を検出すると、主制御基板8(主基板CPU41)は、遊技球25個の払出しを行うために払出制御基板12(払出基板CPU71)に2バイトの制御コマンド(遊技球払出コマンド)「40H」「19H」と転送信号(ストローブ信号)「ON」を出力し、同時に、切換ソレノイド59を「ON」にして、切換部材37を球抜き通路36側(機外側)の第1の作動位置から払出通路35側(球受皿側)の第2の作動位置へ切り換える。ただし、この場合も、25個目の払出センサ信号が主制御基板8(主基板CPU41)に入力し払出センサ信号が指示された払出数「25」と同数となった(減算結果が「0」)と判断した時点(e)で即座に切り換えてしまうと、25個目の遊技球が払出通路35側(球受皿側)に払出されない可能性があるため、実際には、25個目の払出センサ信号が主制御基板8(主基板CPU41)に入力されてから所定時間ΔX(例えば1秒)経過した時点(f)で、切換ソレノイド59を「OFF」にして切換部材37を払出通路35側(球受皿側)の第2の作動位置から球抜き通路36側(機外側)の第1の作動位置へ切り換えるのが望ましい。
なお、図6に示す例は、遊技球払出指示が単発的で、先の遊技球払出指示に基づく払出しが完了してから後の遊技球払出指示が発生した場合であるが、先の遊技球払出指示に基づく払出しが完了するまでに再度遊技球払出指示が発生する場合もある。その場合は、記憶装置に遊技球払出指示に基づく払出数(先の遊技球払出指示に基づく払出数の残数に後の遊技球払出指示に基づく払出数を加えたもの)を記憶し、記憶した払出数が「0」になるまで切換部材37を払出通路35側(球受皿側)の第2の作動位置へ切り換え、記憶した払出数が「0」になった時点で切換部材37を球抜き通路36側(機外側)の第1の作動位置へ切り換える。
また、図6に示す例では、主制御基板8(主基板CPU41)が払出制御基板12(払出基板CPU71)に出力する2バイトの制御コマンド(遊技球払出コマンド)は、賞球による払出指示なのか貸球による払出指示なのか区別ができない制御コマンドであるが、この制御コマンド(遊技球払出コマンド)は、賞球による払出指示なのか貸球による払出指示なのか区別できるように、2バイト目の特定ビット(例えば第7ビット目)を賞球・貸球区別ビットとすることもできる。
また、図6に示す例では、切換部材ソレノイド59を「ON」にして切換部材37を球抜き通路36側(機外側)の第1の作動位置から払出通路35側(球受皿側)の第2の作動位置に切り換えるタイミングを、1バイト目制御コマンド出力時としているが、2バイト目制御コマン出力時に切換部材ソレノイド59を「ON」にして切換部材37を球抜き通路36側(機外側)の第1の作動位置から払出通路35側(球受皿側)の第2の作動位置に切り換えてもよい。
払出制御基板12(払出基板CPU71)は、2バイト1命令の制御コマンドが入力されると、入力された2バイト1命令の制御コマンドの内容を解読した上で、遊技球払出命令であれば払出装置13を作動させる。そのようにして払出装置13が作動して初めて払出装置13から遊技球が払い出される。そのため、切換部材ソレノイド59を「ON」にして切換部材37を球抜き通路36側(機外側)の第1の作動位置から払出通路35側(球受皿側)の第2の作動位置に切り換えるタイミングとしては、払出装置13が作動して遊技球が払出されるまでに切り換えが間に合うタイミングであればよい。しかし、切換部材ソレノイド59を「ON」にしてから切換部材37が実際に球抜き通路36側(機外側)の第1の作動位置から払出通路35側(球受皿側)の第2の作動位置切り換わるまでに要する時間というものがある。図6に示す例は、この切換部材37が切り換わるまでの時間を考慮して、1バイト目制御コマンド出力時に切換部材を切り換えているのである。
図7〜図10は本発明の実施の形態の第2の例を示している。この実施の形態はパチンコ機におけるもので、図7はパチンコ機の裏面図、図8はパチンコ機の制御系の電気的接続構成を示す全体ブロック図、図9はパチンコ機の制御系の電気的接続構成の特徴部分を抜粋して示すブロック図、図10は図9のブロック図の詳細図である。先の実施の形態(第1の例)の図1〜図5と共通する部分については、図中同一の符号を付している。なお、図2に示す払出装置近傍の払出装置非作動時の拡大断面図(a)および払出装置作動時の拡大断面図(b)と、図6のタイミングチャートは、この実施の形態のパチンコ機にも当てはまる。以下、先の実施の形態(第1の例)と共通する部分の構成および動作等については重複する説明を適宜省略し、この実施の形態(第2の例)の特徴部分を中心に説明する。
先の実施の形態(第1の例)では、プリペードカードユニット2は主制御基板8(主基板CPU41)に入出力可能に接続されていたが、この実施の形態(第2の例)の場合、プリペードカードユニット2は、払出制御基板12(払出基板CPU71)に入出力可能に接続されるとともに、主制御基板8(主基板CPU41)に出力可能に接続されている。
つまり、この実施の形態では、プリペードカードユニット2から払出制御基板12(払出基板CPU71)に貸球指示(BRQ信号)が出力されるとともに、主制御基板8(主基板CPU41)に貸球払出切換指示信号(貸球払出を行うため切換部材37を機外側(第1の作動位置)から球受皿側(第2の作動位置)へ切り換えるための切換指示信号)が出力され、主制御基板8(主基板CPU41)は貸球払出切換指示信号が入力されたと判断すると切換部材37を機外側(第1の作動位置)から受皿側(第2の作動位置)へ切り換える。
この実施の形態のパチンコ機は、先の実施の形態(第1の例)と同様にCR第1種パチンコ機で、図7に示すように、背面から見てパチンコ機本体1の右側方にプリペードカードユニット2を備えている。また、パチンコ機本体1裏面の各基板および装置の配置も基本的には先の実施の形態(第1の例)と同様であり、払出装置13の構成も先の実施の形態(第1の例)と同様である。また、先の実施の形態(第1の例)と同様に、払出装置13の下方に連接する誘導樋17内部の誘導通路34は、遊技機前面の球受皿へ遊技球を導く払出通路35と機外へ遊技球を排出する球抜き通路36とに分岐し、その分岐部には、払出装置13から払い出された遊技球を球抜き通路36側(機外側)へ案内する第1の作動位置と、払出装置13から払い出された遊技球を払出通路35側(球受皿側)へ案内する第2の作動位置とに切り換える切換部材37が設けられている。そして、切換部材37は、常時は球抜き通路36側(機外側)を開放する第1の作動位置に保持され、後述のように切換ソレノイドにより、球抜き通路36側(機外側)を開放する第1の作動位置と、払出通路35側(球受皿側)を開放する第2の作動位置とに切換えられる。
ただし、先の実施の形態(第1の例)では、プリペードカード接続端子22を介してプリペードカードニット2が主制御基板8に接続されているが、この実施の形態(第2の例)では、プリペードカードユニット2はプリペードカード接続端子22Aを介して主制御基板8に接続されるとともに、もう1個のプリペードカード接続端子22Bを介して払出制御基板12に接続されている。
この実施の形態のパチンコ機の制御系の電気的接続構成は図8に示す全体ブロック図のとおりであり、その発明特徴部分は図9に示すとおりであり、詳細には図10に示すとおりであって、基本的には先の実施の形態(第1の例)と同様である。
主制御基板8には、主基板CPU41および各種入出力ポートと、記憶装置(図示せず)が搭載され、また、切換ソレノイド駆動回路42が搭載されている。
そして、主制御基板8(主基板CPU41)には、遊技球が右入賞口に入賞したことを検出する右入賞口スイッチ43、遊技球が左入賞口に入賞したことを検出する左入賞口スイッチ44、遊技球が左・右普通図柄作動ゲートを通過したことを検出するゲートスイッチ45、遊技球が第1種始動口に入賞したことを検出する始動口1スイッチ(第1種始動口SW)46および始動口2スイッチ(普通電動役物SW)47からの検出信号が盤面中継端子板48を介して入力され、遊技球が大入賞口に入賞したことを検出する大入賞口スイッチ49からの検出信号が、大入賞口中継端子板50および盤面中継端子板48を介して入力される。
また、主制御基板8(主基板CPU41)には、払出制御基板12(出力ポート)を介して払出センサ33からの払出センサ信号が入力され、また、球切れスイッチ51および下皿満杯スイッチ52からの異常検出信号が入力される。
払出制御基板12には、払出基板CPU71および各種入出力ポートと、記憶装置(図示せず)が搭載され、また、払出ソレノイド駆動回路72が搭載されている。そして、払出制御基板12(払出基板CPU71)は、主制御基板8(主基板CPU41)からの制御コマンドを受けて、払出ソレノイド駆動回路72を介し払出装置13(払出ソレノイド32)を制御して賞球・貸球払出しの動作をさせるとともに、球切れスイッチ51、下皿満杯スイッチ52からの異常検出信号が入力されることにより主制御基板8(主基板CPU41)から出力される球切れ異常信号を受けて、払出動作を停止するように払出装置13(払出ソレノイド32)を制御する。
また、プリペードカードユニット2は、遊技球等貸出装置接続端子板53を介し、またプリペードカード接続端子22Aを介して主制御基板8(主基板CPU41)に出力可能に接続され、遊技球等貸出装置接続端子板53を介し、またプリペードカード接続端子22Bを介して払出制御基板12(払出基板CPU71)に入出力可能に接続されている。
このパチンコ機は、始動口1スイッチ46、始動口2スイッチ47、左・右入賞口スイッチ43,44および大入賞口スイッチ49が、始動口、左・右入賞口および大入賞口(遊技盤面の所定領域)への入賞を契機として賞球払出信号(遊技球払出信号)を出力する払出信号発生手段を構成し、また、プリペードカードユニット2が、貸球指示の検出を契機として貸球払出信号(遊技球払出信号)を出力する払出信号発生手段を構成する。
そして、始動口1スイッチ46、始動口2スイッチ47、左・右入賞口スイッチ43,44あるいは大入賞口スイッチ49からの賞球払出信号が主制御基板8(主基板CPU41)に入力される。また、貸球払出信号は、貸球払出指示信号と貸球払出切換指示信号とからなり、プリペードカードユニット2から払出制御基板12(払出基板CPU71)に貸球払出指示信号が出力されるタイミングで主制御基板8(主基板CPU41)に貸球払出切換指示信号が入力される。
そして、主制御基板8(主基板CPU41)は、賞球払出信号が入力されたと判断すると、払出制御基板12に制御コマンド(遊技球払出コマンド)と転送信号(ストローブ信号)を出力するとともに、切換ソレノイド駆動回路42を介して切換ソレノイド59を「ON」にして、切換部材37を、球抜き通路36側(機外側)を開放する第1の作動位置から、払い出された遊技球を払出通路35側(球受皿側)に案内する第2の作動位置に切り換える。
また、主制御基板8(主基板CPU41)は、貸球払出切換指示信号が入力されたと判断すると、払出制御基板12に制御コマンド(遊技球払出コマンド)と転送信号(ストローブ信号)を出力するとともに、切換ソレノイド駆動回路42を介して切換ソレノイド59を「ON」にして、切換部材37を、球抜き通路36側(機外側)を開放する第1の作動位置から、払い出された遊技球を払出通路35側(球受皿側)に案内する第2の作動位置に切り換える。
そして、払出制御基板12(払出基板CPU71)は、転送信号(ストローブ信号)が入力されたと判断すると、入力された制御コマンド(遊技球払出コマンド)の内容を確認し、制御コマンド(遊技球払出コマンド)の内容に基いた遊技球の払出しを行うため、払出ソレノイド駆動回路72を介して払出装置13内部に設けられている払出ソレノイド32を「ON」にする。それにより、払出装置13から遊技球が誘導通路34下流に払い出される。このとき、切換部材37は払出通路35側(球受皿側)に切り換えられている。そのため、払出装置13から払い出された遊技球は、払出通路35を経由して遊技者側(球受皿)に払い出される。
また、払出装置13から払出された遊技球が払出センサ33を通過すると、その都度、払出センサ信号が主制御基板8(主基板CPU41)と払出制御基板12(払出基板CPU71)に出力される。そして、払出制御基板12(払出基板CPU71)は、主制御基板8(主基板CPU41)から出力された払出数から払出センサ信号が入力された数を減算し、減算結果が「0」になるまで、払出ソレノイド駆動回路72を介し払出装置13内部に設けられている払出ソレノイド32の「ON」状態を継続して遊技球の払出しを行い、減算結果が「0」になると、払出ソレノイド32を「OFF」にして遊技球の払出しを停止する。
また、主制御基板8(主基板CPU41)は、払出制御基板12(払出基板CPU71)に出力した払出数から払出センサ信号が入力された数を減算し、減算結果が「0」になると、切換ソレノイド駆動回路42を介して切換ソレノイド59を「OFF」にして、切換部材37を払い出された遊技球を払出通路35側(球受皿側)に案内する第2の作動位置から、球抜き通路36側(機外側)を開放する第1の作動位置に切り換える。
こうして切換部材37が第1の作動位置に切り換えられると、それ以降は、例えば払出制御基板12(払出基板CPU71)の異常作動(暴走等)により払出装置13からの遊技球の払出しが止らなくなっても、遊技球は球抜き通路36を経由して機外へ排出され、球受皿には払い出されない。
また、払出装置13の未作動時および異状作動時に、払出制御基板12(払出基板CPU71)でのトラブルの発生によって払出装置13から遊技球が払い出された場合にも、切換部材37は第1の作動位置にあって、払い出された遊技球は球抜き通路36を経由して機外へ排出される。
このように、払出装置13の異常作動時のみならず、払出制御基板12(払出基板CPU71)でのトラブル発生により払出装置13から遊技球が払い出された場合でも、遊技球が遊技者側に無制限に払い出されるのを防止でき、店側が不利益を被らないようにすることができる。
以上、CR第1種パチンコ機の例を説明したが、本発明は、CR機以外の第1種パチンコ機、第1種および第2種パチンコ機を組み合わせたパチンコ機、第1種パチンコ機および第3種パチンコ機を組み合わせたパチンコ機、あるいは、第1種〜第3種パチンコ機を組み合わせたパチンコ機にも適用することができ、パチンコ機に類する他の遊技機にも適用することができる。