以下,本発明の実施の形態を,図面を参照しながら説明する。図1に示すように,本発明にかかる内視鏡1は,体腔内に挿入される可撓性を有する細長い挿入部2と,挿入部2の基端に接続された操作部3と,操作部3から引出され可撓性を有するコード部4と,各種の外部装置のケーブル,チューブ類等が接続されるコネクタ部5とを備えている。コネクタ部5はコード部4の基端に接続されており,コード部4を介して,操作部3とコネクタ部5が連結された構成となっている。
また,図示はしないが,挿入部2の先端部には,観察対象物を照明する照明光を照射するための照明窓と,観察対象物からの反射光を取入れる撮像窓とが設けられている。また,挿入部2の先端部内には,照明窓に接続された光伝送路と,撮像窓に接続され,撮像素子等を備えた観察光学系とが内蔵されている。さらに,挿入部2の先端部には,撮像窓に向かって洗浄用流体として洗浄液とエアなどの気体とを噴射する洗浄流体供給口と,体腔内に向かって液体や色素等の様々な処理流体を噴射する処理流体供給口と,体腔内の液体等を吸引する吸引口とが設けられている。
これらのうち,挿入部2の先端部に設けられた洗浄流体供給口には,洗浄流体を供給する洗浄流体供給路7が接続されている。洗浄流体供給路7は挿入部2内に挿通されており,挿入部2内において,洗浄液を供給する洗浄液供給路8と,洗浄用の気体としてエアを供給するエア供給路9とに接続されている。洗浄液供給路8とエア供給路9は,それぞれコネクタ部5,コード部4,操作部3,挿入部2内に順に通して設けられ,挿入部2内の途中で合流して,洗浄流体供給路7の端部に接続されている。
挿入部2の先端部に設けられた処理流体供給口には,処理流体を供給する処理流体供給路10が接続されている。処理流体供給路10は,コネクタ部5,コード部4,操作部3,挿入部2内に順に通して設けられている。
なお,図示はしないが,挿入部2の先端部に設けた光伝送路には,照明光を供給するためのライトガイドが接続されている。観察光学系には,信号ケーブルが接続されている。吸引口には,吸引路が接続されている。これらライトガイド,信号ケーブル,及び吸引路も,コネクタ部5,コード部4,操作部3,挿入部2内に順に通して設けられている。
操作部3には,洗浄液供給路8とエア供給路9の開閉を切り換え操作する切換機構11が設けられている。洗浄液供給路8とエア供給路9のいずれか一方が切換機構11によって遮断されているときは,他方が連通されるようになっている。
コネクタ部5の側面には,外部機器かつ洗浄流体供給源としての洗浄液タンク15を接続するための送気・送液ポート16が突設されている。送気・送液ポート16には,前述した洗浄液供給路8の基端が内設されている。洗浄液タンク15には洗浄流体送液チューブ17が接続されており,この洗浄流体送液チューブ17の先端が,アダプタ18によって送気・送液ポート16に接続される。即ち,洗浄流体送液チューブ17,アダプタ18を介して洗浄液タンク15が内視鏡1内の洗浄液供給路8に接続されるようになっている。
洗浄流体送液チューブ17は,エアを送気するエア送気路19の内側に,洗浄液を送液する洗浄液送液路20を挿通させた二重管状になっている。洗浄液タンク15内には,洗浄液が貯留されており,洗浄流体送液チューブ17内の洗浄液送液路20の端部は,洗浄液タンク15内の洗浄液中に浸漬されている。一方,エア送気路19の端部は,洗浄液タンク15内の洗浄液上方の空間に開口している。
さらに,送気・送液ポート16には,前述したエア供給路9の基端が内設されている。また,送気・送液ポート16には,エアポンプ21に接続されアダプタ18側にエアを送気する加圧エア送気路22の基端が内設されている。この加圧エア送気路22は,コネクタ部5内に配設され,さらにコネクタ部5の外側に延設されてエアポンプ21に接続されている。そして,加圧エア送気路22,アダプタ18を介して,エアポンプ21がエア供給路9に接続されるとともに,加圧エア送気路22,アダプタ18,洗浄流体送液チューブ17を介して,エアポンプ21が洗浄液タンク15に接続されるようになっている。
洗浄液タンク15とエアポンプ21を送気・送液ポート16に接続した状態において,操作部3に備えた切換機構11の操作により,洗浄液供給路8を連通させ,かつ,エア供給路9を遮断させた状態に切り換え,この状態でエアポンプ21を駆動させると,加圧エア送気路22,アダプタ18,及び,洗浄流体送液チューブ17のエア送気路19内のエアを介して,洗浄液タンク15内の洗浄液上方の空間が加圧される。すると,洗浄液タンク15内の洗浄液が押されて洗浄液送液路20内に流入し,洗浄液送液路20,アダプタ18,洗浄液供給路8,洗浄流体供給路7を通じて洗浄液が送液され,挿入部2の先端部の洗浄流体供給口から撮像窓に向かって,洗浄液が噴射される。一方,切換機構11の操作により,エア供給路9を連通させ,かつ,洗浄液供給路8を遮断させた状態に切り換え,この状態でエアポンプ21を駆動させると,加圧エア送気路22,アダプタ18,エア供給路9,洗浄流体供給路7を通じてエアが送気され,挿入部2の先端部の洗浄流体供給口から撮像窓に向かって,エアが噴射されるようになっている。
また,送気・送液ポート16には,前述した処理流体供給路10の基端が内設されている。アダプタ18には,処理流体供給源25を接続するための処理流体供給用ポート26が設けられている。処理流体供給源25には,処理流体送液チューブ27が接続されており,この処理流体送液チューブ27の先端が,アダプタ18の処理流体供給用ポート26に装着される。即ち,処理流体送液チューブ27とアダプタ18を介して,送気・送液ポート16に処理流体供給源25が接続される構成となっており,処理流体送液チューブ27,アダプタ18,処理流体供給路10を通じて処理流体が送液され,挿入部2の先端部の処理流体供給口から体腔内に向かって,処理流体が噴射されるようになっている。このように,処理流体供給用ポート26をコネクタ部5ではなくアダプタ18に設けることにより,コネクタ部5に突設されるポートの数を少なくすることができる。なお,アダプタ18の構造については,後に詳細に説明する。
コネクタ部5の側面には,上述した送気・送液ポート16の他,外部機器としての図示しないビデオプロセッサ等の撮像信号処理装置を接続するための電気ポート30と,外部機器としての図示しない吸引装置を接続するための吸引ポート31と,外部機器としての図示しない高周波処置具の電源をリード線を介して接続するための高周波ポート32と,内視鏡1の内部の雰囲気を外部と連通させるための通気ポート33とが突設されている。また,コネクタ部5の先端には,外部機器としての光源装置34を接続するためのLGポート35が設けられている。
電気ポート30には,前述した信号ケーブルの基端が内設されている。また,図示しない撮像信号処理装置にはケーブルが接続されており,このケーブルの先端が電気ポート30に接続される。即ち,ケーブルを介して撮像信号処理装置が内視鏡1内の信号ケーブルに接続され,これにより,撮像信号が観察光学系からビデオプロセッサ等に送信されて処理され,撮像がモニター等に表示されるようになっている。
吸引ポート31には,前述した吸引路の基端が内設されている。また,図示しない吸引装置には吸引チューブが接続されており,この吸引チューブの先端が吸引ポート31に接続される。即ち,吸引チューブを介して,内視鏡1内の吸引路に吸引装置が接続され,先端部の吸引口から吸引を行うことができるようになっている。
高周波ポート32には,高周波処置具を挿入部2内に通して使用する際に,高周波処置具の電源に接続されたリード線が接続される。これにより,内視鏡1で発生した漏れ電流を高周波ポート32,リード線を介して電源に逃がすことができるようになっている。
LGポート35には,ライトガイドの基端が内設されている。光源装置34をLGポート35に接続すると,内視鏡1内に配設されたライトガイドに光源装置34が接続され,光源装置34から供給された照明光が先端部の照明窓から照射されるようになっている。
次に,アダプタ18の構造について詳細に説明する。図2は,送気・送液ポート16,洗浄液タンク15を送気・送液ポート16に接続するためのアダプタ18,及び,洗浄流体送液チューブ17の端部の縦断面図を示している。図3は,図2におけるA−A線による送気・送液ポート16及びアダプタ18の横断面図である。
図2に示すように,アダプタ18は,送気・送液ポート16の略円形の接続面41にアダプタ18の略円形の接続面42を密着させた状態で,送気・送液ポート16に取り付けられる。送気・送液ポート16の接続面41には,パッキン52が備えられており,パッキン52の表面がアダプタ18に接続される接続面41となっている。
送気・送液ポート16の接続面41の中央部には,洗浄液供給路8の基端が開口されている。また,洗浄液供給路8の開口の周囲に,エア供給路9の基端と,加圧エア送気路22の先端,処理流体供給路10の基端が開口している。
図4に示すように,パッキン52には,4個の孔53,54,55,56が設けられており,各孔53,54,55,56内に,洗浄液供給路8の基端,エア供給路9の基端,加圧エア送気路22の先端,処理流体供給路10の基端がそれぞれ嵌合されるようになっている。パッキン52の材質としては,ゴムなどの弾性体を用いると良く,例えばシリコンゴム(例えば信越化学工業株式会社製のKE108,KE66,KE119など)を用いると良い。
図2に示すように,アダプタ18は,アダプタ本体60と,アダプタ本体60と洗浄流体送液チューブ17の端部とを結合させる内側筒状部材61と,洗浄流体送液チューブ17を囲む外側筒状部材62と,アダプタ本体60を送気・送液ポート16に固定するためのアダプタ固定部材63とによって構成されている。
アダプタ本体60の一端面は,送気・送液ポート16の接続面41に接続される接続面42となっている。アダプタ本体60の接続面42には,パッキン52が密着されるようになっている。一方,アダプタ本体60の接続面42に対して反対側の他端面66には,筒部67が形成されている。筒部67の内面には,内側筒状部材61の外面を固定するためのネジ溝68が形成されている。アダプタ本体60の周面には,処理流体供給用ポート26が突設されている。
アダプタ本体60の中央部には,洗浄液を流通させる洗浄液流通路71が形成されている。洗浄液流通路71の一端は,アダプタ本体60の接続面42側に設けられており,洗浄液流通路71の他端は,アダプタ本体60の他端面66側に設けられている。
さらに,洗浄液流通路71の外側に,エアを流通させるための2個のエア流通路75A,75Bが形成されている。エア流通路75A,75Bの一端は,アダプタ本体60の接続面42に開口しており,エア流通路75A,75Bの他端は,アダプタ本体60の他端面66において,筒部67の内側に開口している。
また,アダプタ本体60には,処理流体供給用ポート26に連通して処理流体を流通させる処理流体流通路76が形成されている。処理流体流通路76の一端は,アダプタ本体60の接続面42に開口している。処理流体流通路76の他端は,処理流体供給用ポート26の端面に開口している。前述した処理流体送液チューブ27は,処理流体供給用ポート26内の処理流体流通路76に連通されるようになっている。
アダプタ本体60の接続面42を送気・送液ポート16の接続面41に連結させた状態では,洗浄液流通路71の開口は,洗浄液供給路8の基端に連通し,エア流通路75Bは,エア供給路9の基端に連通し,エア流通路75Aは,加圧エア送気路22の先端に連通するようになっている。処理流体流通路76の開口は,処理流体供給路10の基端に連通するようになっている。また,アダプタ本体60と内側筒状部材61とを連結させた状態では,エア流通路75A,75Bが内側筒状部材61の内部空間と連通するようになっている。
内側筒状部材61の外周面には,筒部67の内面に形成されたネジ溝68に嵌合させるためのネジ溝77と,外側筒状部材62を固定するためのネジ溝78が形成されている。また,内側筒状部材61の端部には,アダプタ本体60側より小径の筒部79が形成されており,この筒部79を,洗浄流体送液チューブ17の端部に挿入するようになっている。
アダプタ18に洗浄流体送液チューブ17を接続するときは,アダプタ18の外側筒状部材62の開口端から洗浄流体送液チューブ17を挿入して,さらに,洗浄流体送液チューブ17のエア送気路19内に内側筒状部材61の筒部79を挿入して,筒部79の外面をエア送気路19の内面に密着させるように結合させる。こうして,アダプタ18を洗浄流体送液チューブ17の端部に固定するようになっている。また,エア送気路19内の洗浄液送液路20は,筒部79の内側に挿入され,アダプタ本体60の洗浄液流通路71に連結されるようになっている。筒部79の内面と洗浄液送液路20の外面との間には筒状の隙間が形成され,エア送気路19とアダプタ本体60のエア流通路75A,75Bとの間でエアが流通できるようになっている。
そして,図1に示した洗浄液タンク15から洗浄液供給路8に向かって洗浄液が送液されるときは,エアポンプ21の駆動により,加圧エア送気路22内のエアが加圧され,さらにアダプタ本体60内のエア流通路75A,内側筒状部材61内,及び,洗浄流体送液チューブ17のエア送気路19内のエアを介して,洗浄液タンク15内の洗浄液上方の空間が加圧されることにより,洗浄液タンク15内の洗浄液が押されて,洗浄液送液路20内に洗浄液が流入し,洗浄液送液路20,アダプタ本体60内の洗浄液流通路71を通じて,洗浄液供給路8に洗浄液が送液されるようになっている。一方,図1に示したエアポンプ21からエア供給路9に向かってエアが送気されるときは,エアポンプ21の駆動により,加圧エア送気路22内のエアが加圧され,アダプタ18内のエア流通路75A,内側筒状部材61内,エア流通路75Bを通じて,エア供給路9にエアが送気されるようになっている。
図2に示すように,外側筒状部材62は,洗浄流体送液チューブ17を囲むように備えられている。また,外側筒状部材62の内周面には,内側筒状部材61の外周面に形成されたネジ溝78に螺合させるネジ溝80が形成されている。また,外側筒状部材62の外周面から周囲に突出するように,突起81が形成されており,突起81よりアダプタ本体60側の外周面とアダプタ固定部材63の内周面との間には,筒状の空間82が形成され,空間82にはバネ85が備えられている。
アダプタ固定部材63は,外側筒状部材62の外周とアダプタ本体60の外周とを囲むように備えられている。アダプタ固定部材63の内周面には,環状板86が形成されており,外側筒状部材62における突起81よりアダプタ本体60側の外周面を囲むように備えられている。バネ85の一端は,アダプタ本体60の他端面66において,円筒部67より外周側に接しており,バネ85の他端は,環状板86に接している。
図2に示すように,アダプタ18は,アダプタ本体60に形成されたネジ溝68と内側筒状部材61に形成されたネジ溝77とを螺合させ,内側筒状部材61に形成されたネジ溝78と外側筒状部材62に形成されたネジ溝80とを螺合させ,外側筒状部材62とアダプタ本体60とを囲むようにアダプタ固定部材63を備えることにより,一体的に組み立てることができる。
図5に示すように,アダプタ固定部材63の端部には,L字状の溝91が形成されている。この溝91は,図5において手前側と後側の2箇所に形成されている。各溝91の端部は,アダプタ固定部材63の縁部に開口されている。一方,図3に示したように,送気・送液ポート16の外周面には,2個の突起92が形成されている。各溝91には,この送気・送液ポート16の突起92がそれぞれ挿入されるようになっている。さらに,アダプタ固定部材63には,処理流体供給用ポート26をアダプタ固定部材63の外側に突出させるため,L字状の溝93が形成されている。また,各溝91,93において,アダプタ固定部材63の周方向に形成された部分は,アダプタ固定部材63の軸方向に形成された部分に対して,互いに同じ方向に曲がるように形成されている。
アダプタ18を送気・送液ポート16に固定する際は,アダプタ本体60を送気・送液ポート16に嵌合させた後,アダプタ固定部材63を送気・送液ポート16側に向かって移動させ,アダプタ固定部材63の縁部から各溝91の軸方向に突起92を進入させ,次いで,アダプタ固定部材63を周方向に回転させ,各溝91においてアダプタ固定部材63の周方向に沿って形成された部分に,突起92を進入させる。このように溝91に突起92を嵌合させた状態では,バネ85が圧縮され,アダプタ本体60の他端面66に,バネ85の弾性力が働き,アダプタ本体60が送気・送液ポート16に向かって押し付けられる。また,環状板86にバネ85の弾性力が働き,アダプタ固定部材63をアダプタ本体60から離隔させる向きに力が働くので,突起92に溝91の縁部が当接して,アダプタ固定部材63が送気・送液ポート16に対して確実に固定される。こうして,アダプタ本体60,アダプタ固定部材63が送気・送液ポート16に対して確実に固定されるようになっている。また,溝91に突起92を嵌合させる際,処理流体供給用ポート26は,アダプタ固定部材63に形成された溝93内を移動するので,アダプタ固定部材63を移動及び回転させる際,処理流体供給用ポート26が邪魔になることはない。このようにして,アダプタ18を送気・送液ポート16に簡単に取り付けることができる。また,アダプタ18に浄流体送液チューブ34と処理流体送液チューブ27とを予め取り付けておけば,アダプタ18を送気・送液ポート16に取り付けることにより,浄流体送液チューブ34と処理流体送液チューブ27を送気・送液ポート16に同時に接続することができる。従って,浄流体送液チューブ34と処理流体送液チューブ27を接続する作業を簡単にすることができる。
次に,本実施の形態にかかる管路構造を有する内視鏡1の操作について説明する。例えば,挿入部2の先端部から処理流体を噴射して,体腔内壁における付着物を除去する際は,処理流体供給源25から処理流体を送液する。処理流体供給源25から供給された処理流体は,処理流体送液チューブ27,アダプタ18内の処理流体流通路76,処理流体供給路10を通じて,挿入部2の先端部に備えた処理流体供給口から体腔内に向かって噴射される。こうして,処理流体によって体腔内壁の付着物を除去することができる。
挿入部2の先端部に設けた撮像窓が汚染されたときは,先ず,挿入部2の先端部に備えた洗浄流体供給口から洗浄液を噴射させる。術者は,操作部3の切換機構11を操作して,洗浄液供給路8を連通させ,かつ,エア供給路9を遮断させた状態に切り換える。すると,エアポンプ21の駆動により,加圧エア送気路22,アダプタ18内のエア流通路75A,内側筒状部材61内,及び,流体送液チューブ34のエア送気路19内のエアを介して,洗浄液タンク15内の洗浄液上方の空間が加圧される。これにより,洗浄液タンク15内の洗浄液が加圧され,洗浄液送液路20,アダプタ18内の洗浄液流通路71,洗浄液供給路8を通じて,洗浄流体供給口から洗浄液が噴射される。こうして,撮像窓を洗浄液によって洗浄することができる。
洗浄液による撮像窓の洗浄が終了したら,操作部3の切換機構11を操作して,エア供給路9を連通させ,かつ,洗浄液供給路8を遮断させた状態に切り換える。すると,エアポンプ21の駆動により,加圧エア送気路22,アダプタ18内のエア流通路75A,内側筒状部材61内,エア流通路75B,エア供給路9を通じて,洗浄流体供給口からエアが噴射される。こうしてエアを噴射させることにより,撮像窓に付着した液滴が除去される。
かかる内視鏡1によれば,洗浄液タンク15をコネクタ部5の送気・送液ポート16に接続するためのアダプタ18に,処理流体供給用ポート26を設けたことにより,コネクタ部5に設けられるポートの数を減少させることができる。従って,コネクタ部5の突起が少なくなるので,コネクタ部5の清浄性を向上させることができる。
また,コネクタ部5の突起が少なくなることにより,コネクタ部5の電気ポート30,吸引ポート31,高周波ポート32,LGポート35にそれぞれ外部機器としての撮像信号処理装置,吸引装置,高周波処置具の電源,光源装置34を接続するときや,各電気ポート30,吸引ポート31,高周波ポート32,LGポート35からそれぞれ撮像信号処理装置,吸引装置,高周波処置具の電源,光源装置34を取り外すときの作業性を向上させることができる。送気・送液ポート16からアダプタ18を取り外しておけば,処理流体供給用ポート26が邪魔にならず,作業性が良好になる。
さらに,処理流体供給路10の基端を送気・送液ポート16に開口させ,アダプタ18を送気・送液ポート16に取り付けた際に,アダプタ18の処理流体流通路76の開口が処理流体供給路10の基端に連通する構成としたことにより,アダプタ18を送気・送液ポート16に取り付けることで,洗浄液タンク15を送気・送液ポート16に設けた洗浄液供給路8,エア供給路9,及び,加圧エア送気路22に接続すると同時に,処理流体供給源25を処理流体供給路10に接続することができる。従って,コネクタ部5に洗浄液タンク15と処理流体供給源25を接続する作業や,コネクタ部5から洗浄液タンク15と処理流体供給源25を取り外す作業を,一度に簡単に行うことができる。
以上,本発明の実施の形態の一例を説明したが,本発明はかかるものに限定されない。例えば,本実施の形態においては,コネクタ部5の送気・送液ポート16に洗浄液タンク15を接続するためのアダプタ18に,処理流体供給用ポート26を設けることとしたが,処理流体供給用ポート26を設けるアダプタはかかるものに限定されず,他の種々の外部機器を接続するためのポートに取り付けるアダプタに設けても良い。例えば,コネクタ部5の電気ポート30に撮像信号処理装置を接続するためのアダプタ,吸引ポート31に吸引装置を接続するためのアダプタ,高周波ポート32に高周波処置具の電源を接続するためのアダプタ,又は,LGポート35に光源装置34を取り付けるためのアダプタなどに,処理流体供給用ポート26を設けるようにしても良い。この場合も,コネクタ部5のポートの個数を減少させることができ,コネクタ部5の清浄性が良好になる。また,この場合,実施の形態に示したアダプタ18において,洗浄液流通路71,エア流通路75A,75Bに代えて,各外部機器の接続手段を設ければ良い。このようなアダプタをポートに取り付けることにより,外部機器をポートに接続すると同時に,処理流体供給源25を処理流体供給路10に接続することができる。例えば,LGポート35に処理流体供給路10を設ける場合は,アダプタに処理流体流通路76とライトガイドを内設すれば良い。電気ポート30に処理流体供給路10を設ける場合は,アダプタに処理流体流通路76とケーブルを内設すれば良い。吸引ポート31に処理流体供給路10を設ける場合は,アダプタに処理流体流通路76と吸引用流路を内設すれば良い。高周波ポート32に処理流体供給路10を設ける場合は,アダプタに処理流体流通路76と導線を内設すれば良い。なお,LGポート35,電気ポート30,高周波ポート32に処理流体供給路10を設けるようにすると,洗浄液供給路8やエア供給路9中の洗浄液やエアに処理流体が混入する可能性や,処理流体供給路10中の処理流体に洗浄液やエアが混入する可能性を低くすることができる。
図6に示すように,処理流体供給用ポート26内の処理流体流通路76に,逆止弁110を設けても良い。この場合,処理流体供給源25から供給された処理流体が処理流体流通路76内で処理流体供給源25側に逆流することを防止でき,安全である。
本実施の形態においては,アダプタ18を送気・送液ポート16に取り付ける場合を説明したが,アダプタ18は,処理流体供給路10を具備しない通常のポートに取り付けることも可能である。図7に示す送気・送液ポート115は,処理流体供給路10を具備しない点を除けば,本実施の形態において説明した送気・送液ポート16と同様の構成を有している。このような送気・送液ポート115にアダプタ18を取り付ける場合は,パッキン52に代えて,図8に示すような,3個の孔53,54,55が設けられたパッキン116を用いれば良い。このパッキン116の各孔53,54,55内に,洗浄液供給路8の基端,エア供給路9の基端,加圧エア送気路22の先端をそれぞれ嵌合させ,パッキン116を送気・送液ポート16の接続面41に備えると,アダプタ本体60の接続面42に形成された処理流体流通路76の開口がパッキン116によって閉塞される。従って,アダプタ本体60の接続面42と送気・送液ポート16の接続面41との間を,確実に密閉することができる。また,処理流体送液チューブ27をアダプタ18に取り付けた状態でも,処理流体が処理流体流通路76から漏出するおそれが無いので,アダプタ18から処理流体送液チューブ27を取り外す作業を省略することができる。このように,アダプタ18は,パッキンを交換するだけで,処理流体供給路10を具備しない通常の送気・送液ポート115に取り付けることも可能であり,内視鏡の送気・送液ポートの構造に応じて洗浄流体送液チューブ17を他のアダプタに付け替えたり,処理流体送液チューブ27をアダプタ18から取り外したりする面倒な作業をする必要が無く,便利である。
アダプタ本体60の接続面42には,エア流通路75Aの開口から外側に向かって延びるように連通溝を形成して,アダプタ18を送気・送液ポート16に取り付けた際に,連通溝と送気・送液ポート16の接続面41との間に空間が形成されるようにしても良い。そうすれば,送気・送液ポート16において,加圧エア送気路22の先端がエア流通路75Aの開口に対向する位置からずれた位置に配置されていても,連通溝に対向する位置に配置されれば,連通溝と接続面41の間の空間を介して,加圧エア送気路22とエア流通路75Aを連通させることができる。従って,加圧エア送気路22の先端の配置が異なる送気・送液ポートに使用することができ,互換性が良好になる。また,アダプタ本体60の接続面42に,エア流通路75Bの開口から外側に向かって延びるように連通溝を形成して,アダプタ18を送気・送液ポート16に取り付けた際に,連通溝と送気・送液ポート16の接続面41との間に空間が形成されるようにしても良い。そうすれば,送気・送液ポート16において,エア供給路9の基端がエア流通路75Bの開口に対向する位置からずれた位置に配置されていても,連通溝に対向する位置に配置されれば,連通溝と接続面41の間の空間を介して,エア供給路9とエア流通路75Bを互いに連通させることができる。従って,エア供給路9の基端の配置が異なる送気・送液ポートに使用することができ,互換性が良好になる。
さらに,エア流通路75Aの開口からエア流通路75Bの開口に渡って連通溝を形成するようにしても良い。このようにすると,連通溝と接続面41の間の空間を介して,加圧エア送気路22,エア供給路9及びエア流通路75A,75Bを互いに連通させることができる。従って,加圧エア送気路22からエア流通路75A,75Bやエア供給路9にエアを流通させることができる。なお,連通溝に開口させるエア流通路の個数は2個に限定されず,1個又は3個以上であっても良い。
図9は,接続面42に形成された連通溝の一例を示しており,アダプタ117を接続面42側からみた状態を示している。図10は,図9に示したアダプタ117のB−B線による断面を示している。図9に示すように,アダプタ117の接続面42には,中央部に洗浄液流通路71が開口されていると共に,洗浄液流通路71の開口の周囲を囲むように,連通溝118が略C字形状に形成されている。エア流通路75A,75Bは,それぞれ連通溝118の端部に開口している。即ち,連通溝118は,エア流通路75Aの開口とエア流通路75Bの開口との間に渡って形成されている。処理流体流通路76は,連通溝118が形成されていない位置,即ち,連通溝118の両端部同士の間に開口している。エア流通路75Aの開口と処理流体流通路76の開口との間の中心角(洗浄液流通路71の開口を中心とした中心角),及び,処理流体流通路76の開口とエア流通路75Bの開口との間の中心角は,それぞれ約60°になっている。
図11,図12及び図13は,送気・送液ポートにおける加圧エア送気路22の先端,エア供給路9の基端,及び,処理流体供給路10の基端の配置例を示している。図11に示すように,第1例の送気・送液ポート16には,加圧エア送気路22の開口,エア供給路9の開口,処理流体供給路10の開口が,洗浄液供給路8の開口の周囲に配置されている。加圧エア送気路22の開口とエア供給路9の開口との間の中心角(洗浄液供給路8の開口を中心とした中心角),エア供給路9の開口と処理流体供給路10の開口との間の中心角,及び,処理流体供給路10の開口と加圧エア送気路22の開口との間の中心角は,それぞれ約120°になっている。図12に示す第2例の送気・送液ポート115は,処理流体供給路10を具備しない点を除けば,第1例の送気・送液ポート16と同様のものである。図13に示す第3例の送気・送液ポート115’は,加圧エア送気路22の開口,エア供給路9の開口が配置されている点は図12に示す第2例の送気・送液ポート115と同様であるが,加圧エア送気路22の開口とエア供給路9の開口が,洗浄液供給路8の開口を中心として対称な位置に配置されている点が異なる。
アダプタ117を第1例の送気・送液ポート16に取り付けると,図14に示すように,処理流体供給路10の開口は,処理流体流通路76の開口に連通され,加圧エア送気路22とエア供給路9の各開口に対向する位置には,エア流通路75A,75Bの間に形成された連通溝118が配置される。従って,連通溝118を介して加圧エア送気路22,エア供給路9,エア流通路75A,75Bが互いに連通した状態になる。加圧エア送気路22から供給されたエアは,連通溝118を介してエア流通路75A,75B及びエア供給路9に供給されるようになる。また,アダプタ117を第2例の送気・送液ポート115に取り付けると,図15に示すように,送気・送液ポート115の加圧エア送気路22とエア供給路9の各開口に対向する位置には,送気・送液ポート16の場合と同様に,連通溝118が配置される。アダプタ117を第3例の送気・送液ポート115’に取り付けると,図16に示すように,送気・送液ポート115’の加圧エア送気路22の開口に対向する位置には連通溝118が配置され,エア供給路9の開口に対向する位置に,エア流通路75Bの開口が配置される。
このように,アダプタ117は,エア供給路9や加圧エア送気路22の配置がそれぞれ異なる送気・送液ポート16,115,115’に取り付けても,連通溝118を介して加圧エア送気路22,エア供給路9,エア流通路75A,75Bを互いに連通させることができる。従って,アダプタ117は,様々な送気・送液ポートに使用することができ,互換性が良好である。
また,アダプタ117は,処理流体供給用ポート26を図15及び図16に示した向きとは反対側に向けた状態で,送気・送液ポート115,115’に取り付けて使用することもできる。即ち,図9に示すように,アダプタ117のアダプタ固定部材63において,2個の溝91A,91Bは,接続面42の中央部を挟んで互いに反対側の位置に対称に設けられており,図12及び図13に示すように,送気・送液ポート115,115’においては,2個の突起92A,92Bが,接続面41の中央部を挟んで互いに反対側の位置に対称に設けられており,溝91Aと突起92Aを連結させ溝91Bと突起92Bを連結させた状態(正姿勢)のほか,溝91Aと突起92Bを連結させ溝91Bと突起92Aを連結させた状態(逆姿勢)でも取り付けることができる構成になっている。
アダプタ117を第2例の送気・送液ポート115に正姿勢で取り付けた場合は,図15に示すように,処理流体流通路76の開口と加圧エア送気路22の開口との間,及び,処理流体流通路76の開口とエア供給路9の開口との間の中心角は,それぞれ約120°になる。一方,アダプタ117を第2例の送気・送液ポート115に逆姿勢で取り付けた場合は,図17に示すように,処理流体流通路76の開口と加圧エア送気路22の開口との間の中心角,及び,処理流体流通路76の開口とエア供給路9の開口との間の中心角は,それぞれ約60°になる。そして,送気・送液ポート115の加圧エア送気路22に対向する位置に,エア流通路75Bの開口が配置され,エア供給路9の開口に対向する位置に,エア流通路75Aの開口がそれぞれ配置される。従って,逆姿勢の場合も,連通溝118を介して加圧エア送気路22,エア供給路9,エア流通路75A,75Bが互いに連通した状態になる。
また,アダプタ117を第3例の送気・送液ポート115’に正姿勢で取り付けた場合は,図16に示すように,処理流体流通路76の開口と加圧エア送気路22の開口との間の中心角は約120°になり,処理流体流通路76の開口とエア供給路9の開口との間の中心角は約60°になる。一方,アダプタ117を第3例の送気・送液ポート115’に逆姿勢で取り付けた場合は,図18に示すように,処理流体流通路76の開口と加圧エア送気路22の開口との間の中心角は約60°になり,処理流体流通路76の開口とエア供給路9の開口との間の中心角は約120°になる。そして,送気・送液ポート115’の加圧エア送気路22の開口に対向する位置にはエア流通路75Bの開口が配置され,エア供給路9の開口に対向する位置には連通溝118が配置される。従って,逆姿勢の場合も,連通溝118を介して加圧エア送気路22,エア供給路9,エア流通路75A,75Bが互いに連通した状態になる。
このように,送気・送液ポート115,115’においては,アダプタ117を逆姿勢にした状態でも,加圧エア送気路22,エア供給路9,エア流通路75A,75Bを正常に連通させることができる。従って,送気・送液ポート115,115’にアダプタ117を取り付けるときに,処理流体供給用ポート26の向きを確認する必要はなく,アダプタ固定部材63の溝91A,91Bと送気・送液ポート115,115’の突起92A,92Bを互いに連結するだけで良いので,アダプタ117の向きを確認する手間が省け,取り付けが容易になる。
図19に示すように,第1例の送気・送液ポート16において,処理流体供給路10の基端は,接続面41であるパッキン52の表面から突出するようにして,処理流体供給路10の基端が処理流体流通路76の開口に挿入されて連通する構成としても良い。さらに,前述したアダプタ117の連通溝118と送気・送液ポート16の接続面41との間に形成された空間の高さは,処理流体供給路10における接続面41から突出させた部分の高さより低いことが好ましい。この場合,アダプタ117を図14に示した第1例の送気・送液ポート16に取り付ける際に,アダプタ117を逆姿勢で取り付けようとすると,処理流体供給路10の基端に連通溝118が当接するので,パッキン52とアダプタ117の接続面42とを接触させることができない。従って,第1例の送気・送液ポート16にはアダプタ117を正姿勢でのみ取り付けることが可能な構成にすることができる。これにより,アダプタ117の取り付け間違いを防止して,処理流体供給路10と処理流体流通路76とを確実に連通させることができる。
図20に示すように,処理流体供給路10の途中に,処理流体供給路10を外部に連通させる開口部120を備えるようにしても良い。図20において,開口部120は,操作部3の外面に開口している。処理流体供給路10は,開口部120より上流側の供給路10aと,開口部120より下流側の供給路10bとによって構成されており,開口部120の内面には,供給路10aの下流端と供給路10bの上流端とが開口している。また,操作部3の外面に形成された開口部120の開口を塞ぐ栓121が備えられている。栓121を開口部120に取り付けた状態では,栓121と供給路10aの下流端の間,及び,栓121と供給路10bの上流端の間に,それぞれ隙間が形成され,供給路10aから供給路10bに処理流体が流通できるようになっている。一方,栓121を開口部120から取り外すと,開口部120にシリンジ等を挿入して,供給路10bに所望の液体を注入することができる。かかる管路構造を有する内視鏡1において,処理流体を処理流体供給源25から送液するときは,開口部120を栓121によって塞ぎ,供給路10aから供給路10bに処理流体を送液する。一方,内視鏡を使用している術者が必要と判断した場合などには,栓121を取り外して開口部120にシリンジ等を挿入して,必要な量だけ所望の圧力で処理流体を供給路10bに送液して,挿入部2の先端部の処理流体供給口から体腔内に供給することができる。また,処理流体供給路10を洗浄するときは,栓121を開口部120から取り外して,給路11a,供給路10bにそれぞれブラシ等の器具を挿入して洗浄することができる。この場合,処理流体供給路10に開口部120が設けられていない場合と比較して,ブラシ等の器具を挿入しやすくなるので,処理流体供給路10内の洗浄を容易かつ確実に行うことができる。
なお,供給路10aの途中に,逆止弁122を設けても良い。この場合,開口部120に挿入したシリンジ等から供給路10bに処理流体を注入する際,注入された処理流体が開口部120から供給路10a内に逆流することを防止できる。
開口部は,図21に示すように,内面をテーパ状にした形状としても良い。図21において,開口部131は,操作部3の外面から内部に向かうほど断面の径が小さくなるように形成されている。一方,開口部131に挿入するシリンジ132の先端部133は,先端に向かうほど径が小さくなる略円錐状の形状に形成されている。また,開口部131にシリンジ132の先端部133を挿入すると,開口部131の内面に先端部133の外面が密着するようになっている。上流側の供給路10aは,開口部131のテーパ状の内面に開口しており,下流側の供給路10bは,開口部131の先端に開口している。即ち,開口部131にシリンジ132の先端部133を挿入すると,先端部133の外面によって供給路10aが閉塞されるようになっている。先端部133から注入される処理流体は,開口部131の先端部分から供給路10bに流入して,挿入部2の先端部の処理流体供給口から体腔内に噴射される。一方,供給路10aは先端部133によって閉塞されるので,先端部133から注入される処理流体が,供給路10aに流入することを防止できる。
開口部には,図22に示すような切換機構140を設けても良い。図22に示す開口部141において,上流側の供給路10aは開口部141の底面に開口しており,下流側の供給路10bは開口部141の内側面に開口している。切換機構140は,開口部141の開口端部の周縁部に固定された固定部材142と,固定部材142に形成された孔143に挿入された移動部材145を備えている。開口部141の外側において,固定部材142の孔143の外側に形成された溝147と,移動部材145の端部に形成された鍔148との間には,バネ150が備えられている。移動部材145の先端は,固定部材142の孔143を通じて開口部141内に挿入されている。また,移動部材145には,処理流体の供給孔151が形成されている。供給孔151は,鍔148が形成された外側の端部から,開口部141内に挿入された先端側に向かって延びるように,移動部材145の中央部に形成されており,さらに,移動部材145の先端付近において分岐し,それぞれ移動部材145の半径方向に向かって曲がり,移動部材145の外側面に開口するように形成されている。移動部材145の先端部外側面において,供給孔151の開口より先端側には,移動部材145の外側面と開口部141の内側面との間を密閉する環状のシール部材152が取り付けられている。また,移動部材145の外側面において,供給孔151の開口と鍔148との間には,突起153が形成されている。突起153は,固定部材142の孔143よりも内方に配置され,孔143より外周に突出するように形成されている。
かかる切換機構140は,通常の使用状態では,図22に示すように,移動部材145の鍔148がバネ150の弾性力によって開口部141の外側に向かって押され,また,突起153が固定部材142の孔143の周囲に当接した状態で,移動部材145が支持されている。このとき,移動部材145の先端部及びシール部材152は,供給路10bの開口よりも開口部141の開口端側に位置しており,移動部材145の先端面と開口部141の底面との間には隙間が形成されている。従って,供給路10aから送液された処理流体は,移動部材145の先端面と開口部141の底面との間を通じて,供給路10bに流入するようになっている。なお,供給孔151と供給路10bとの間にはシール部材152が設けられているので,供給路10aからの処理流体が供給孔151に流入しないようになっている。一方,図23に示すように,移動部材145の供給孔151にシリンジ156の先端部157を挿入しながら,シリンジ156によって移動部材145を押すと,バネ150が鍔148によって押されて収縮し,移動部材145が開口部141の内部に向かって移動する。そして,移動部材145の先端面を開口部141の底面に当接させると,移動部材145の先端面によって供給路10aの開口が閉塞された状態になる。このとき,シール部材152は,供給路10bの開口よりも開口部141の底面側に配置される。従って,シリンジ156の先端部157から処理流体を供給すると,シリンジ156から供給された処理流体は,供給孔151を通じて,移動部材145の外側面と開口部141の内側面との間に流出して,供給路10bに流入することとなる。供給路10aの開口は移動部材145の先端面によって閉塞されているので,シリンジ156から供給された処理流体が供給路10a内に流入することを防止できる。このように,切換機構140によれば,シリンジ156によって移動部材145を押すことにより,開口部141からシリンジ156によって処理流体を供給する状態と,処理流体供給源25から供給路10aを通じて処理流体を供給する状態とを,簡単に切り換えることができる。また,開口部141に対して栓を取り外したり装着したりするといった手間がかからないので,作業性が良く,便利である。