(実施例)
穀粒乾燥機Kは公知の構成で、縦に長い機枠1の内部に貯留タンク2、乾燥室3、集穀室4の順に積み重ねられる。乾燥室3内には、通気性網体5a,5bを左右に対向させて傾斜状の穀粒流下通路5,5を形成し、該左右一対の穀粒流下通路5,5は正面視V字型に形成している。
穀粒流下通路5,5下端の左右合流部下方には、繰出バルブ7を設ける。該繰出バルブ7は断面円形の筒体に構成されていて、正回転及び逆回転に伴って外周の一部に形成した導入部から穀粒を受け入れて、正・逆回転に従って下方の集穀室4に落下させる構成である。
乾燥室3内側の空間部に形成した熱風室6内にバーナ13を接続し、後部側の吸引ファン15の起風によって加熱された導入外気が熱風室6から穀物流下通路5,5を経て、穀物流下通路5,5の外側に形成される排風路16,16に向けて通風するように構成している。
集穀室4にはその中央に移送螺旋を備えた下部搬送装置25を設け、繰出バルブ7から繰り出した穀粒をこの下部搬送装置25で受けて例えば機体の正面側に移送する。機体の正面側には昇降機18を設け、内部にバケットを備え、下部搬送装置25からの穀粒を掬い上げて上部天井に設ける上部搬送装置31の始端部に揚穀するように構成している。移送螺旋を備えた上部搬送装置31の終端側の天井中央部には垂下軸32を設け、この垂下軸32に回転拡散板33を取り付けている。
前記バーナ13は気化型バーナとされ、正面向きの燃焼盤13aの中央部に横軸周りの回転気化筒13bを備え、気化筒13bの内側に設ける燃料ノズル(図示せず)からの噴出燃料は燃焼火炎を受けて加熱する気化筒13bによって気化され燃焼盤13aから噴出しながら燃焼を継続する構成である。
気化型バーナ13は次のように装着される。基板23に対して断面矩形の支持筒13cをもって送風筒13dが支持されている。この基板23には該支持筒13cの左右に位置してイグナイタ13e用トランス13f及び上記燃料ノズルを接続する燃料ポンプ13gを装着し、該支持筒13c前側には外気導入口13h及び前面を導入口13hに形成した案内ガイド13iを設けている。13jは配線部、13kは燃料供給管である。
上記基板23の裏面側には上記外気導入口13hに接続しかつ上記支持筒13cに通じる送風ダクト13lを設け、風調ファン13mの回転により、上記導入口13hからの外気を送風筒13d内に供給すべく構成する。13nは風調ファンモータである。
図3、図5におけるように、風胴上面にはコントローラ(制御部)40を着脱ボルト等によって装着している。バーナ風胴14の正面にはコントローラ40操作盤41を備えている。この操作盤41には張込スイッチ42、通風スイッチ43、乾燥スイッチ44、排出スイッチ45、停止スイッチ46を備え、これらのスイッチ群により各種の運転モードに切り替えると共に運転停止を司る。また、緊急停止スイッチ47を設け、この緊急停止スイッチ47を操作すると、機体運転部の全体を略同時に停止することができる。
これらのスイッチ42〜47の他に、張込量を設定する張込量設定スイッチ48、最終仕上げ水分値を設定する水分設定スイッチ49、及び、乾燥設定スイッチ50(籾乾燥の場合には乾燥速度を速い・普通・遅いに設定し、また、他の穀粒乾燥の場合には、例えば小麦・大麦等の品種に関連付けて予め設定した乾燥速度に設定する)を備えている。更に、乾燥仕上がりを水分値によらないで処理時間により乾燥する等のためのタイマ増・減スイッチ51,52を備えている。
水分検出手段は一粒式の水分センサ53を採用し、所定時間毎に所定粒数単位で水分値を測定し、所定回数の検出結果を平均処理して水分値を算出し、前記操作盤41の表示部54に検出熱風温度等と交代的に表示する構成である。制御部40は併せて一粒水分値から水分のバラツキを判定したり、未熟粒の多少を判定できる構成とし、これらを3個のLED55,56により表示している。
制御部40には、操作盤41のスイッチから運転モード情報等を入力するほか、各種センサから検出情報が入力され、前記気化型バーナ13の燃料供給量を制御したり、穀粒の移送系手段を運転制御するように構成している。
次に、上記構成の穀粒乾燥機Kの作用について説明する。張込ホッパ(図示省略)に投入された穀粒は、張込スイッチ42をONすることにより駆動される昇降機17、上部搬送装置32等を経由して貯溜タンク2に張り込まれる。穀粒の張込が完了すると、乾燥作業に移行するが、前段階で水分設定スイッチ49及び乾燥設定スイッチ50により穀粒種類の設定や希望の乾燥仕上げ水分値を設定する。
前記の設定操作の終了後に乾燥スイッチ44をONすると、昇降機17、上・下搬送装置25,31、繰出バルブ7等の駆動が開始されると共に、バーナ13も駆動されて熱風が乾燥室3の菱形空間である熱風室6の入口部に向けて供給される。
ここで、バーナの火炎は吸引ファン15の回転により熱風化され、適宜に導入される外気と混合されながら熱風室6に流入し、熱風は流下通路5,5を流下中の穀粒に作用し、乾燥作用が行なわれる。
穀物流下通路5,5の前後に亘って熱風による乾燥作用がなされ、穀物流下通路5,5を通過した熱風は排風室16,16を経て排風される。乾燥室3で乾燥された穀粒は、集穀室4の下部搬送装置25、昇降機17、上部移送螺旋31を経由して再び貯溜タンク2に戻されて調質作用を受ける。このような行程を繰り返し、所定の水分値に達すると乾燥が終了するものである。
図6の制御ブロック図に示すように、制御部40の入力側には、上記張込スイッチ42等のスイッチ入力、水分センサ53入力、図外穀粒流れセンサ等のデジタルセンサ入力、熱風温度・外気温等の温度センサに代表されるアナログセンサ入力を有するほか、カード読込・書込装置57が入力回路、出力回路を介して該制御部40に接続されている。一方出力側には吸引ファン及び穀粒循環系モータ出力、繰出バルブモータ出力、バーナの燃焼系出力、表示部を有する。58はメモリ、59は通信装置である。
上記のように構成された穀粒乾燥機Kは、所定農家Aにおいて、複数台設置されて運用されており、周辺の小規模農家B、Cは自家用乾燥機を保有せずとも農家Aと契約して乾燥機Kを利用できるシステムである。図7に基づき更に説明すると、農家Aは複数台(図例では乾燥機K1〜K5の5台)を保有し、自らの収穫穀物を乾燥処理する一方で、周辺の小規模農家B,Cとは利用契約を締結してこれらB又はCの乾燥機利用に供している。各農家は夫々自らの経験や周囲の状況に鑑みてユーザ登録を行い、農家として乾燥機K1〜K5を契約利用するものである。
上記カード読込・書込装置57は、ユーザ毎に所有する磁気カード60を着脱自在に挿入して該カード60に書き込まれたデータを制御部40に読み込ませるよう構成する。すなわち、磁気カード60は記録手段としての一例であって、利用者データ、乾燥条件データが書き込まれる構成である。予め所有者Aの穀粒乾燥機に対して利用契約を締結している複数の利用者B,Cがいるとき、利用者データとしてA,B又はCを識別しうるデータを書きこんでおき、乾燥制御の種類(乾燥速度制御、定温乾燥制御等)と必要な制御基準値(0.8%/毎時、外気温度との差20℃等)を書き込んでおく。制御部40のカード読込・書込装置57はカード60の挿入口57aによって書込みデータを呼び出して乾燥条件を制御部40が認識する。カード60には基本情報としてのユーザ情報および運転情報、すなわち利用者に付与したコード番号、各種乾燥運転モード(例えば、乾燥速度制御運転モード、一定温度乾燥制御モード等)のうち、所定に選定した乾燥運転モードを記憶している。このほか、特殊情報として、外部指令信号に基づいて、例えば外気湿度に基づいた熱風温度補正制御、張込量自動設定制御等を実行すべく構成され、さらに後記の情報を書き込み入力するものである。また運転後には、各作業モードにおける運転開始時刻、運転終了時刻、消費燃料量等を書き込みできる。図8はこの書き込みデータの一例を示し、図例では併せて乾燥情報を書き込みできる構成としている。
乾燥機Kの所有者は、登録ユーザの乾燥運転終了に際し、所定の算出基準に基づいて課金、すなわち使用料金を算出し登録ユーザに請求するものとなる。その際、上記図8(ロ)の表示データのうち、課金情報である運転時間による電気料金への換算、他の課金情報である消費燃料量からの代金換算、及び所定の基本料金を加味して合計金額が算出される構成とし、これらの算出式等は予めコントローラに記憶されていて、排出作業終了ごとに算出される構成である(図8(ハ))。
前記操作盤41の近傍にはカード読込・書込装置57を配設してなり、カード情報や予約情報を表示部に表示可能に設けられる。したがって、操作盤41の予約呼出スイッチ61を操作することで、表示部54には、ユーザ名、予約日時等の予約内容が表示されるものである。操作盤41に予約呼出スイッチ61を構成する場合には予約状況を確認把握できて便利であり、ユーザの作業計画立案に都合のよいものである。
上記カード60挿入操作は、穀粒乾燥機Kに所定の張込前に行う構成としている。即ち、カード60挿入すると(ステップ101)、カード入力ありか否か判定される(ステップ102)。カード情報が読み込まれると(ステップ103)、まずユーザ情報が確認され、乾燥条件が設定される(ステップ104,105)。
以上の条件設定がなされると、運転開始か否か判定され(ステップ106)、一方制御部40は、使用時間の管理を開始する(ステップ107)と共に、所定に張込、乾燥、排出の運転管理を実行し(ステップ108〜110)、これが終了すると使用時間管理を終了する(ステップ111)。この終了情報をカード60に運転時間と共に書き込みし(ステップ112)、併せてユーザ情報と運転情報を制御部40のメモリに書き込みする(ステップ113)。この一連の処理が終了するとカード60は自動排出される(ステップ114)。なお、前記ステップ106で運転開始でないときは、ステップ114にスキップしカード60排出される(図9)。
前記図7のシステム構成において、乾燥機K1〜K5の夫々には専用のコントローラ40を備え、かつこれらを接続して制御装置62を構成している。該制御装置62は各コントローラ40,40…とカード読取・書込装置57,57…の組合せ制御部を接続して、各種情報を授受できる構成であり、さらに、該制御装置62は通信装置63を介してインターネットに接続され、携帯端末機64等の外部通信手段によって必要情報を授受できる構成である。このように構成することで、ユーザの携帯端末機64と穀粒乾燥機Kのコントローラ40間で通信を行い、携帯端末機64からの情報により穀粒乾燥機Kコントローラ40側でユーザ情報と運転条件を認識して運転を行い、コントローラ40の情報を携帯端末機64に送信できるように構成している。なお、集中管理者Mは、例えば乾燥機K1〜K5の所有者である。なお当該集中管理者Mは当該地域における穀粒乾燥機Kの販売会社等が担当して運転状況を把握し正常な運転状態にあるかなどをチェックできるシステムとしてもよい。上記のように構成すると、コントローラ40とカード読取・書込装置57とを備えた穀粒乾燥機Kをネットワークでつないで運転管理できるようにしておき、穀粒乾燥機の所有者以外のユーザが当該乾燥機Kを利用したい場合には携帯端末機64によって穀粒乾燥機K1〜K5の空き状態を確認することができ、運用の効率化が図れる。なお乾燥機Kのコントローラ40に始動指令信号を出力することにより、該当のカード情報に基づいて乾燥運転を開始させる構成としてもよい。特に夜間の運転に際しては、いちいち乾燥機Kの乾燥スイッチ操作を要しないため便利である。
なお、上記の図7のシステム構成では、複数の乾燥機K1〜K5によって被契約乾燥機を構成したが、農家個々が所有する乾燥機K11〜K14を一括して管理する管理者を置き、農家個々で利用のほか契約農家の利用に供されるものとしてもよい(図10)。
また前記図7における例は、使用したいユーザの荷受穀粒を一時保管できる構成として品質低下を防止しようとする。契約農家であるユーザが使用したい先の個別農家の穀粒乾燥機Kの運転状況によっては直ちに乾燥できない場合もあるが、このようなときに、穀粒乾燥機Kとは別に通風タンクTを用意し、穀粒乾燥機Kと同様にカード60で運転可能に構成したものである。すなわち、穀粒乾燥機Kに隣接する通風タンクTにコントローラ40とカード読取・書込装置57を構成し、上記乾燥機K運転と同様にカード60入力を条件に、通風運転処理がなされる構成である。
一方、携帯端末機64からの情報の出力情報に運転情報を具備させることができる。このようにすると、所有者以外のユーザの携帯端末機を利用して当該ユーザの識別、運転条件判定を行うことにより、カード等の媒体を使用しないでデータの送受信が可能となる。すなわち、前記カード読込・書込装置57を設けて乾燥機Kを所有者以外の複数の任意のユーザが使用する構成に対し、図11の場合は携帯端末機64aとコントローラ40間で非接触でデータの送受信を行い(送受信システム)、該携帯端末機64からの情報に基づいてコントローラ40側ユーザ情報と運転条件を認識して運転を行う構成としたものである。なお送受信システムの具体例として、携帯端末機64aからのデータは携帯端末機64aをコントローラ40の検知部に接近させることにより、赤外線照射あるいは磁気作用によってデータ伝送される構成である。
したがって乾燥途中であってもユーザの携帯端末機64から乾燥条件のデータを送信し、コントローラ40の設定内容を変更可能であり、図12に示すように、乾燥機Kのコントローラ40が携帯端末機64aからの受信データを読み込むと、当該データの送信に係るユーザが登録済みの者であるか否か判定し、登録ユーザであり、また使用中、すなわち現在乾燥処理中のユーザであるかを判定してこれらに該当するときは、上記受信データを受け付け許可する旨を表示する(ステップ201〜205)。コントローラ40は改めて受信データのうち乾燥運転に必要なデータを読み込み乾燥運転を行うが(ステップ206)、変更入力があれば設定変更処理して乾燥を行うこととなる(ステップ207,208)。
前記の外部通信手段によるユーザ情報の送信によっても、乾燥機コントローラ40側に予め設定してあるユーザ情報データに該当しないとき、読み込んだ外部通信手段の固有情報(例えば携帯端末番号)をユーザ情報として新たにユーザ登録を実行し、運転処理に移行する構成とする。すなわち、携帯端末からの受信データを読込み、ユーザ情報を確認するが(ステップ301〜302)、コントローラ側に登録されてないと判断されるときは(ステップ303)、登録なし表示と共に、登録入力有りの確認を得てユーザ情報登録を行う(ステップ304〜306)。その後、ステップ307以降で運転開始され適宜に処理される(図13)。
図14は、穀粒乾燥機コントローラ40にカード読込・書込装置57を設けて読み込んだカード60の情報に基づいて運転管理を行うとき、穀粒乾燥機Kとは別に通風タンクTを構成し、穀粒乾燥機Kが使用中の場合は通風運転が可能なシステムとしたものにおいて、乾燥機Kが空いて乾燥作業が行えるようになったときには通風中のユーザに連絡する手段を構成したり、通風タンクを使用中のユーザがその後の乾燥作業を優先して行えるように構成している。
前記携帯端末機64からの情報の出力情報に運転情報を具備させると、所有者以外のユーザの携帯端末機64を利用して当該ユーザの識別、運転条件判定を行うことにより、カード60等の媒体を使用しないでデータの送受信が可能となるが、図15に示す例は、穀粒乾燥終了後一定時間経過しても排出運転されないときは上記ユーザに連絡する構成としたものである。すなわち、乾燥終了し(ステップ401)、燃焼系出力および穀粒循環を司るモータ系出力がオフして(ステップ402、403)、終了情報を当該乾燥に係るユーザの携帯端末に送信する(ステップ404)。乾燥終了時点、例えば燃焼系出力オフからの経過時間をカウントし(ステップ405)、排出開始が行われているか否かを図外穀粒検出手段の排出穀粒有無によって判定し(ステップ406)、一定時間経過してもなお排出運転されない場合は終了情報をユーザに再度送信する(ステップ407,408)。このように構成すると、終了情報の連絡を乾燥終了時だけでなく、排出が行われないときも連絡することにより、ユーザに早期の排出を促すことができ、乾燥機の運転を効率良く行うことができる。
また、運転情報を携帯端末機64に書き込んで使用料金の精算に利用できる。図9において、ステップ101〜110の一連の処理が実行された後、送信データを読み込み、ユーザ情報を確認ののち、利用情報を送信する処理を実行する(ステップ111〜113)。このように構成することによって、ユーザの携帯端末に対してコントローラ40はデータの送受を行い、乾燥終了後には使用状況、例えば運転時間、燃料消費量等をコントローラ40から携帯端末機64に送信することで、ユーザはその料金を携帯端末機64上で確認することができ、後に清算を行う。なお、料金の算出一例を示せば、前記のように基本料金に運転時間に要する電気料金、熱風乾燥に要する燃料量代金を加えた額である。
さらに、前記の通風タンクTを具備するシステムにおいては、該通風タンクT利用中のユーザに対して、当該穀粒乾燥機Kにおける乾燥終了や排出終了の情報を送受信しようとする。すなわち、穀粒乾燥機Kとは別に通風が可能な通風タンクを設け、乾燥機と同様にカードで運転が可能に構成する。このとき既に穀粒乾燥機Kに張り込まれた穀粒の乾燥進行状況をシステム全体の運転を管理する制御装置62で判定し、通風タンクTが使用中である場合は、該通風タンクTのユーザに対し、穀粒乾燥機Kの運転状態が乾燥終了でありあるいは排出終了であることを判定して、該乾燥機Kが直ちにあるいはまもなく使用可能であることを連絡するものである(図16)。なおこの乾燥終了情報の送信は当該乾燥に係るユーザにも送信するものとし、その際送信時刻を伴わせるが、終了時刻が深夜に及ぶ場合には、早朝まで待って連絡する形態とする。時刻管理を行うことで適切な連絡時刻とすることができ、ユーザにも不安感を生じさせない。
なお、通風タンクT使用中のユーザを優先的にその後の穀粒乾燥機K使用に供するべく乾燥運転予約手段を構成する。なお、運転予約は設定時刻になると乾燥運転を開始するもので、乾燥機Kのコントローラ40に予約時刻を設定できる構成とする。例えば、ユーザがカードを挿入すると、表示部54には当該ユーザに関する情報、運転情報が表示部54に表示出力する一方、この表示部54は予約スイッチ61操作によって予約時刻設定表示に切り替わり、希望の運転時刻を入力することで予約完了でき、当該時刻になると乾燥開始する。したがって、ユーザは当該予約時刻までに穀粒張込を完了するものとし、コントローラ40は、乾燥機Kの計時的利用状況を随時監視し、乾燥作業が重複しないように予約受付できる構成である。
すなわち、通風タンクTのコントローラ40に前記カード60の挿入口57aを構成しカード60を挿入すると(ステップ501、502)、当該カードに書き込まれた情報を読み込まれユーザ情報が確認されると(ステップ503、504)、適宜に運転開始のスイッチ操作を行うなどによって通風開始し(ステップ505)、同時に使用時間管理を開始する(ステップ506)。この通風運転中または通風運転開始前に、穀粒乾燥機が空くと優先的に使用できるようユーザ予約登録を行い(ステップ507)、この予約情報を上記制御装置に送信する(ステップ508)。以下通風運転処理を行い運転終了となると運転終了処理を行い、使用時間管理を終了するとともにカードに運転時間を書き込みする(ステップ509〜513)。したがって、通風タンクT使用中のユーザを優先して予約することにより、乾燥待ちユーザの穀物品質低下を防止し、効率的に乾燥システムを運用することができる(図17)。
運転予約が可能な穀粒乾燥機Kであるか、当該予約が不可の穀粒乾燥機Kであるかの相違により、予約できない乾燥機Kには通風タンクTを併設してなる。このように構成すると、連続使用したり、定期的使用のユーザについては予約可能な乾燥機を使用し、不定期使用や緊急時の場合のユーザに対しては標準の乾燥機Kに通風タンクTを併設するシステムを使用するように運用する。したがって、ユーザの状況に応じて効率的なシステム運用が可能となる。また、乾燥機Kと通風タンクTとを併設してセットでカード運転を可能に構成すると、乾燥待ちのユーザの穀粒品質の劣化を防止でき、かつ効率的に乾燥システムを運用できる。
図18は前記の乾燥運転予約手段を備えた乾燥機において、予約時刻になっても穀粒張込等の準備がなされない場合の措置について示すもので、運転予約がなされた場合、当該運転予約に係るユーザであることの認証を行う。例えば予約時間前所定時刻になると、予め挿入されたカード情報によってユーザと予約時刻とを照合することをもって認証できる。インターネットと携帯端末機64との通信回線手段を利用して当該ユーザに前回ユーザの終了情報を連絡することで当該ユーザの穀粒張込を促す(ステップ601〜604)。予約時刻に達しても張込運転が開始されてないなどの情報によって当該予約ユーザの穀粒乾燥準備が整わない場合には、念のためもう一度前回ユーザの終了情報を連絡する(ステップ606)。回答があって予約が取り消され、あるいは回答がない場合で一定時間が経過するときも同様予約が取り消される。このように、構成することによって、予約ユーザの使用の有無を速やかに確認でき、予約取り消しの処置を行うことで使用可能な乾燥機を確保して、効率的に乾燥システムを運用することができる。
また、上記の運転予約に係るユーザに対しては、前回乾燥の排出作業の終了に伴い、インターネット等を経由してユーザの携帯端末機等に終了情報を連絡する構成として、予約ユーザの作業管理を容易化しかつ効率的な乾燥システム運用が可能となる(図19)。
前記カード読込・書込装置57を備えた穀粒乾燥機Tにおいては、当該カード情報に基づいて乾燥運転を継続中、不意に運転継続に支障のある事態が引き起こされる。例えばカードがカード挿入口から外れるとき、すなわち、第三者ユーザの不知、使用中ユーザによる勘違いによるカード60の抜き出しが行われたり、停止スイッチ46が不意に押されるとき等である。当該カード60から読込しながらの乾燥運転では、元となるデータが失われ、乾燥継続不可能に陥る恐れがあり、停止スイッチ46が操作されたときも同等の混乱に陥る。このため次のように改良している。先ず、各種操作スイッチ入力について、カード読込・書込装置57によるユーザ情報を確認してユーザ情報があるときはこの操作スイッチ入力を受け付ける。張込スイッチ等の操作スイッチ入力があっても、ユーザ情報が入力されていないときはこれを受け付けない構成とするものである(図20)。
次いで乾燥運転中にカードが抜き出された場合の動作の規制措置について説明する。図21において、カード60を挿入すると、書き込まれた情報をコントローラ40が読み込むと共にユーザ情報を確認される(ステップ701〜704)。張込スイッチ42操作を行うと張込運転と判定され各部駆動モータが起動出力される等して張込運転処理がなされる(ステップ705,706)。同様に乾燥スイッチ43が操作されると乾燥運転と判定され乾燥運転に必要な穀粒循環系やバーナ13が起動され乾燥運転処理される(ステップ707,708)。この乾燥運転中に返却スイッチ65操作によってカード60の返却要求がなされると、カード60が挿入口57aから抜き出される動作が行われる(ステップ709,710)。この抜き出しによっていずれの操作スイッチが押されても当該操作スイッチの読込みを禁止処理して、乾燥運転に支障のないようにしている(ステップ711)。そして乾燥処理が終了し、排出スイッチ操作によって排出運転と判定されると排出搬送系を駆動し乾燥穀粒を機外に排出処理する(ステップ712〜715)。そして排出運転が終了するとカードに運転情報、例えば運転時間、使用燃料量等を書き込みするが、カード挿入口におけるカードの有無を判定し、カードがないときは挿入を促す表示をし、カード有りの場合は上記の情報を書き込み(ステップ716〜718)、その後カードを挿入口から排出する(ステップ719)。
上記のように、乾燥機使用のユーザが乾燥機からカードを取り外したとき、運転操作スイッチの入力があってもその読込みを禁止して操作スイッチによる動作を行わないようにすることで、使用しているユーザ以外の操作や誤操作により、乾燥中に設定内容が変わったり、機械が停止するなどの事態を防止することができるものとなる。
以上のように、カード60が抜かれて運転操作スイッチの入力を禁止する構成であっても、以下の場合にはその操作入力を受け付けるようになし、機械の合理的な運転を可能にしている。すなわち、(1)ユーザのカード60がカード挿入口57aから抜かれ操作入力を禁止するときに、緊急停止スイッチ47については入力禁止から除外し、カード60の有無に関わらず、操作したときはその入力を受け付けることとし、異常発生時に機械を安全に停止することができる(図22)。(2)ユーザのカードがカード挿入口57aから抜かれ操作入力を禁止するときに、予約スイッチ61による予約呼出し操作については入力禁止から除外し、カード60の有無に関わらず、操作したときはその入力を受け付けることとし、他のユーザが予約情報を確認することができる(図23)。(3)ユーザのカード60がカード挿入口57aから抜かれ操作入力を禁止するときに、乾燥機Kのすべての運転が可能なマスターカード66を作成し、このカード66の挿入によるときは操作スイッチの受付を可能とするもので、使用ユーザが不在で緊急の設定変更を余儀なくされるときでも設定変更等の操作を行うことができ、安心して作業を行うことができる(図24)。
図25に示す例は、穀粒乾燥機Kを貯蔵タンクに利用しようとするものである。穀粒乾燥機Kには温度調節装置70を設け、貯留タンク2部の温度を制御できる構成とする。例えばバーナ熱風を導入しうる通気ダクト71を貯留タンク2に構成し、コントローラ40には、貯蔵運転モードを構成して必要に応じて当該モードを運転する構成である。貯蔵運転が選択されると(ステップ801)、温度調節装置が運転オンして貯留タンク内温度を読み込み、低い場合にはバーナによる温度調節装置70の運転出力を変更する(ステップ802〜805)。運転終了の情報、例えば携帯端末機64または備え付けの停止スイッチ操作による停止出力情報を受けて温度調節装置70をオフする構成である(ステップ806、807)。
図26は、コントローラ40の構成の改良に関する。すなわち、コントローラ40を運転ユニット40aと操作/表示ユニット40bとに区別して設け、双方の間でCAN通信でデータの授受を行うようになし、運転ユニット40a側には緊急時の停止スイッチ47を設けてなる。従来一体型のコントローラとするため、取り付けや操作位置の自由度がなく、また、LEDまたはLCDなど表示の種類に対してコントローラの共用化が図れず改善の余地があったが、上記のように構成すると、ユーザは好みの位置で操作及び表示確認を行うことができ、また、運転ユニット40aは取り付け場所を選ばないため、乾燥機K自体の取り付け構成も簡略化する。また、個別のコントローラとしてCAN通信によるデータ送受信を行うことにより、信号線の引き回しを少なくし、耐ノイズ性の向上、電線数の削減を図ることができる。なお、図27はコントローラの区別を乾燥制御を司るメインコントローラ40A、燃料供給量や風調ファン回転を制御するバーナコントローラ40B、穀粒の圧砕抵抗値から水分値に換算し平均値を算出する水分測定コントローラ40Cで構成したもので、上記と同様に電線数の削減等の効果を得ることができる。
なお、これらコントローラで構成するとき、各コントローラの制御で使用する温度センサ値をメインコントローラ40Aで検出して、温度データとして他のコントローラ40B,40Cに送信する構成とすることができる。したがって、各コントローラで重複して使用する温度センサデータをメインコントローラ40Aで検出して温度計算した後で、他のコントローラへ送信するものである。このように構成すると、複数のコントローラで使用する温度センサデータをメインコントローラ40Aで検出し、他のコントローラ40B,40Cへのデータ送信を行うことにより、信号線の引き回しを少なくすることができ、耐ノイズ性の向上と電線数の削減が図れる。温度センサの具体例としては、メインコントローラ40Aと水分測定コントローラ40Cに必要な穀粒温度センサ、メインコントローラ40Aとバーナコントローラ40Bに必要な熱風温度センサや外気温度センサ、などが挙げられる。
図28は乾燥機76に必要な電力を機械に付随した燃料電池77で供給しうる構成としたものである。即ち、燃料電池77は、都市ガスの改質処理に伴う水素と空気の導入に伴う酸素との供給を受け燃料電池スタック78により融合させて発電する。この発電による電流をインバータ79で周波数調整したのち穀粒乾燥機76に供給され各部起動等に供されることとなる。一方、燃料電池スタック78で発生する排熱は、乾燥に必要な熱源として利用すべく送風装置86によって穀粒乾燥機76に供給できる構成としている。さらに、インバータ79から穀粒乾燥機76への供給ライン82を分岐して、商用電力から各家庭用屋内配線に至る途中の配電盤83に供給ライン84を接続して、穀粒乾燥機76の不使用時は家庭用電源として使用しうる構成である。また、燃料電池の出力側には蓄電部85を構成し、制御装置等への供給を行う。即ち、穀粒乾燥機等の乾燥機の運転に必要な電力を、機械に付随した燃料電池77で供給する構成で、燃料電池スタック78の後に一定の電気を蓄える蓄電部85を設け、発電が停止したときや乾燥機76の運転開始時の電力を供給可能な構成とすることで、燃料電池77の発電が停止したときでも継続して運転を行うことができる。更に乾燥機76の運転と燃料電池77の運転を連動して行うとき、燃料電池77の出力が定格に達するまでは補助電源として使用することができる。この構成は乾燥機のほか、電源を必要とする各種機械に応用できる。なお、水素を発生させる原燃料として都市ガスを利用したが、灯油を使用してもよい。
上記の送風装置86からの廃熱は、乾燥機Kの熱風室6やバーナ13部に分岐して供給可能に設けられる。すなわち、送風装置86からダクト87を経て乾燥機Kの正面側に誘導された廃熱は、二股に分岐し、一方87aは昇降機17内に、他方87bはバーナ風胴14内に夫々のぞませる。このうち、ダクト87bは、更に分岐して、径大のダクト87cは熱風室6入り口にのぞみ、径小のダクト87dは、バーナ13の前記支持筒13cに接続されている。また、それぞれの分岐部には調整弁88a,88bを備えて、閉じ姿勢から最大開口まで無段階に調整しうる構成である。したがって、張込運転中には、昇降機17内に主として供給することで、高水分穀粒の張込みであっても高温風が作用することで、乾燥に寄与して貯留タンク2内での蒸れを防止する。また、廃熱はその一部が熱風室6にも供給されるため、繰出バルブを駆動し所謂循環張込みを行いながら高温風を作用させることで蒸れを防止できる。乾燥作業開始にあたっては、外気温度が低い場合にはバーナ13の支持筒13cに供給することにより、送風筒から気化筒に渡り高温風が作用して燃料の拡散を良好となす。