JP4525176B2 - 繊維強化プラスチック、および、その製造方法 - Google Patents
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従来、こうした高い外観品質が要求される用途に用いられる繊維強化プラスチックには、極端に高い物性は要求されなかったため、短く切断した非連続繊維を強化繊維として使用することが一般的であった。しかし、このような分野でも近年、高い物性を発現できる連続繊維を強化繊維に用いたものが求められるようになった。このため、連続繊維を強化繊維に用い優れた表面品位を有する繊維強化プラスチックを製造する技術の検討がなされている(例えば、特許文献1参照)。
強化繊維として織物を使用した繊維強化プラスチックにおいては、強化繊維が織物形態であるために、強化繊維の分布に織目に対応した粗密が生じ、例えば織目の格子領域においては強化繊維がほとんど無いマトリクス樹脂だけの部分が生じてしまう。
一般に、マトリクス樹脂として使用される熱硬化性樹脂は硬化時に収縮する(これを硬化収縮と呼ぶ)。また、マトリクス樹脂の硬化は高温下で行うため、冷却時には熱収縮が生じる。一方、強化繊維の熱膨張係数はマトリックス樹脂より小さいため、冷却時の熱収縮は樹脂含有率の高い部分の方が大きくなる。このような収縮挙動の不均質性に加え、強化繊維と平行な方向な面内方向は強化繊維の拘束により収縮が抑制されるのに対し、強化繊維が存在する面と垂直な方向には、マトリクス樹脂はなんらの拘束を得ずに収縮する。そのため面と垂直方向の収縮量にバラツキが生じ、硬化、冷却を終えた繊維強化プラスチックの表面には強化繊維織物の織目の格子領域に局所的な凹みや、織目の線に沿った線状の凹みが生じてしまい、成形型の面が平滑であっても成形体は平滑な表面を得ることができなかった。
[A]:強化繊維織物、[B]マトリクス樹脂、[C]粉体、[D]不織布
図1は、本発明の一実施態様に係わる繊維強化プラスチックの構成を示す概略断面図である。図1において、1は強化繊維織物を構成する縦糸、2は強化繊維織物を構成する横糸、3はマトリクス樹脂を示している。図1では、強化繊維織物を2層積層した状態を例示しているが、強化繊維織物が3層以上あっても同様の効果が得られることは言うまでもない。また、強化繊維織物の間にコア材や金属などの内挿物あるいはその他の基材の層を有しても良い。
図3の概略平面図に示すように、少なくとも縦糸1と横糸2からなる格子領域に粉体5が充填されていれば、繊維強化プラスチック表面の凹みを低減する効果を発現できる。図4の概略平面図に示すように、縦糸1、横糸2それぞれの側面に生じる織物表面の段差に沿った線状の部分にも粉体を充填すれば、織物表面の繊維に沿った段差により生じる線状の凹みを低減することもでき、さらに良好な表面平滑性を得ることができて好ましい。
このような幅が広く厚みの小さい糸条から構成された織物は、幅が狭く厚みの大きい糸条から構成された織物に比べて、縦糸と横糸で囲まれる部分で織物の目抜けが生じにくく、同時に、織糸の上下のうねりが小さくなるため織物自体の表面凹凸が極めて小さくなる。すなわち、織目の格子領域や、織糸それぞれの側面に生じる織物表面の段差に充填されるマトリクス樹脂の量が少ないためにマトリクス樹脂の収縮量の絶対値が小さくなり、その結果、繊維強化プラスチック表面の凹みが生じたとしても絶対値が小さくなるため最表層の強化繊維織物として用いることが好ましく、また、内部も含めて複数枚使用することはさらに好ましい。
成形型上に縦糸と横糸の格子領域に粉体を充填した強化繊維織物を1枚積層し、次いで前記粉体を充填した強化繊維織物あるいは粉体を充填していない強化繊維織物を少なくとも1枚積層する。また、コア材や内挿物、あるいはその他の基材を強化繊維織物と共に積層しても良い。
表面を#1600番の研磨剤で研磨した後にメッキを施した平板金型の上に、ミルド炭素繊維を充填したフィラメント数3000本の炭素繊維糸条を用いた平織物(織物目付300g/m2)からなる強化繊維織物を1枚、ミルド炭素繊維を充填した側が金型に接するように配置した。その上に、フィラメント数3000本の炭素繊維糸条を用いた平織物(織物目付300g/m2)を3枚積層した後に、周囲をシール剤とフィルムで覆い内部を真空に保った状態で液状のエポキシ樹脂を注入し、炭素繊維織物に含浸した。この状態で金型温度を摂氏90度に保ちエポキシ樹脂を硬化させた後、常温まで冷却し脱型することで繊維強化プラスチックを得た。
この繊維強化プラスチックを強化繊維糸条の長手方向と直角方向に切断し、強化繊維糸条の糸幅および厚みをそれぞれ20箇所測定し、平均値を求めたところ、幅は2.0mm、厚さは0.2mmであった。
この繊維強化プラスチックの表面(金型に接していた側の面)を表面粗さ計(小坂研究所製サーフコーダSE−40C)で測定したところ、繊維強化プラスチック表面の最大高さRmaxは1.0μmであった。また繊維強化プラスチック表面を目視で確認したところ、強化繊維織物の格子領域や織糸の側面部に対応した部分の凹みは僅かであり、さらに、繊維強化プラスチック表面へ蛍光灯の像を映しこんだところ、像のエッジはややギザギザしているがほぼ直線に見えた。
実施例2
実施例1に対して、金型とミルド炭素繊維を充填した炭素繊維織物の間に、炭素繊維から構成される不織布(目付30g/m2)を配置した以外は、全く同様の積層構成、成形条件で繊維強化プラスチックを成形した。樹脂は炭素繊維不織布にも含浸しており、強化繊維織物とマトリクス樹脂から構成される部分と、不織布とマトリクス樹脂からなる部分が完全に一体化した繊維強化プラスチックを得た。
実施例1と同様にして強化繊維糸条の幅および厚みを測定したところ、その平均値は、幅は2.0mm、厚さは0.2mmであった。
この繊維強化プラスチックの表面(金型に接していた側の面)を実施例1と同様の方法で測定したところ、繊維強化プラスチック表面の最大高さRmaxは0.7μmであった。
また繊維強化プラスチック表面を目視で確認したところ、強化繊維織物の格子領域や織糸の側面部に対応した部分の凹みは非常に小さく、さらに、表面へ蛍光灯の像を映しこんだところ、像のエッジの乱れは非常に小さくほぼ直線に見えた。
実施例3:
ミルド炭素繊維を充填させる炭素繊維織物、およびミルド炭素繊維を充填した炭素繊維織物の上に積層する炭素繊維織物を、それぞれフィラメント数120000本の炭素繊維糸条を用いた平織物(織物目付200g/m2)とした他は、実施例1と同じ条件で成形し、繊維強化プラスチックを得た。
実施例1と同様に、強化繊維糸条の幅および厚みを測定したところ、糸幅は8.0mm、厚さは0.1mmであった。
この繊維強化プラスチックの表面(金型に接していた側の面)を実施例1と同様に測定したところ、繊維強化プラスチック表面の最大高さRmaxは0.5μmであった。また繊維強化プラスチック表面を目視で確認したところ、強化繊維織物の格子領域や織糸の側面部に対応した部分の凹みはほとんど無かった。さらに、繊維強化プラスチック表面へ蛍光灯の像を映しこんだところ、像のエッジが完全に直線に見えた。
比較例1:
フィラメント数3000本の炭素繊維糸条を用いた平織物(織物目付300g/m2)のみ4枚を積層した以外は実施例1と全く同じ条件で成形した繊維強化プラスチックを得た。
実施例1と同様に強化繊維糸条の幅および厚みを測定したところ、幅は2.0mm、厚さは0.2mmであった。
この繊維強化プラスチックの表面(金型に接していた側の面)を実施例1と同様に測定したところ、繊維強化プラスチック表面の最大高さRmaxは1.5μmであった。また繊維強化プラスチック表面を目視で確認したところ、強化繊維織物の格子領域や織糸の側面部に対応した部分には凹みが目立っていた。さらに、繊維強化プラスチック表面へ蛍光灯の像を映しこんだところ、像のエッジがほとんど分からないほど移り込みが粗い状態であった。
2:強化繊維織物を構成する横糸
3:マトリクス樹脂
4:繊維強化プラスチックの表面
5:粉体
6:強化繊維織物の格子領域
7:不織布とマトリクス樹脂からなる層
Claims (6)
- 次の構成要素[A]、[B]、[C]を必須とし、最表層の構成要素[A]の縦糸と横糸の格子領域に、5〜100μmの大きさを有し、構成要素[A]の平均糸幅Wに対して、格子領域の中心点から直径D=W/4の円形領域の面積の50%以上を覆うように構成要素[C]が充填されてなる繊維強化プラスチック。
[A]:強化繊維織物、[B]:マトリクス樹脂、[C]:粉体 - 構成要素[C]が構成要素[A]の表面全面に充填されている請求項1に記載の繊維強化プラスチック。
- 構成要素[C]の素材の線膨張係数が1.0×10−6 1/Kより小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の繊維強化プラスチック。
- 構成要素[C]の素材の弾性率が60GPa以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化プラスチック。
- 構成要素[A]の少なくとも最も表面側の1層はこれを構成する糸条の幅が4mm以上、厚さが0.2mm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の強化繊維プラスチック。
- 成形型上に、縦糸と横糸の格子領域に、5〜100μmの大きさを有し、構成要素[A]の平均糸幅Wに対して、格子領域の中心点から直径D=W/4の円形領域の面積の50%以上を覆うように構成要素[C]が充填された構成要素[A]、次いで構成要素[A]を積層し、液状の構成要素[B]を注入し含浸させて硬化させる繊維強化プラスチックの製造方法。
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