JP4525176B2 - 繊維強化プラスチック、および、その製造方法 - Google Patents

繊維強化プラスチック、および、その製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4525176B2
JP4525176B2 JP2004152891A JP2004152891A JP4525176B2 JP 4525176 B2 JP4525176 B2 JP 4525176B2 JP 2004152891 A JP2004152891 A JP 2004152891A JP 2004152891 A JP2004152891 A JP 2004152891A JP 4525176 B2 JP4525176 B2 JP 4525176B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
reinforced plastic
component
fabric
filled
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004152891A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005336218A5 (ja
JP2005336218A (ja
Inventor
誠司 辻
俊英 関戸
慎太郎 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2004152891A priority Critical patent/JP4525176B2/ja
Publication of JP2005336218A publication Critical patent/JP2005336218A/ja
Publication of JP2005336218A5 publication Critical patent/JP2005336218A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4525176B2 publication Critical patent/JP4525176B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Reinforced Plastic Materials (AREA)

Description

本発明は、繊維強化プラスチック、および、その製造方法に関する。
繊維強化プラスチックは、軽量、高強度、高剛性であり、さらには耐腐食性にも優れていることなどから、従来は金属が用いられていた様々な用途への適用が拡大している。これに伴い、自動車をはじめとする輸送機器の外板部材など、高い外観品質が要求される用途へも適用機会が生じている。
従来、こうした高い外観品質が要求される用途に用いられる繊維強化プラスチックには、極端に高い物性は要求されなかったため、短く切断した非連続繊維を強化繊維として使用することが一般的であった。しかし、このような分野でも近年、高い物性を発現できる連続繊維を強化繊維に用いたものが求められるようになった。このため、連続繊維を強化繊維に用い優れた表面品位を有する繊維強化プラスチックを製造する技術の検討がなされている(例えば、特許文献1参照)。
非連続繊維を用いた繊維強化プラスチックでは、強化繊維がランダムに配向しているため、その機械的特性が等方性をもっているのに対し、連続繊維を強化繊維とした場合においては、繊維軸方向からはずれた方向では機械的特性が著しく低下するため、強化繊維を、その繊維軸方向が0°/90°の配列を持った織物とし、積層、成形し擬似等方性を与える方法が多く用いられる。
こうした長繊維により強化した繊維強化プラスチックは、例えば、平滑に形成された成形型上に強化繊維織物を積層した後にマトリクス樹脂を注入し硬化させる方法(RTM法)などで成形される。
強化繊維として織物を使用した繊維強化プラスチックにおいては、強化繊維が織物形態であるために、強化繊維の分布に織目に対応した粗密が生じ、例えば織目の格子領域においては強化繊維がほとんど無いマトリクス樹脂だけの部分が生じてしまう。
一般に、マトリクス樹脂として使用される熱硬化性樹脂は硬化時に収縮する(これを硬化収縮と呼ぶ)。また、マトリクス樹脂の硬化は高温下で行うため、冷却時には熱収縮が生じる。一方、強化繊維の熱膨張係数はマトリックス樹脂より小さいため、冷却時の熱収縮は樹脂含有率の高い部分の方が大きくなる。このような収縮挙動の不均質性に加え、強化繊維と平行な方向な面内方向は強化繊維の拘束により収縮が抑制されるのに対し、強化繊維が存在する面と垂直な方向には、マトリクス樹脂はなんらの拘束を得ずに収縮する。そのため面と垂直方向の収縮量にバラツキが生じ、硬化、冷却を終えた繊維強化プラスチックの表面には強化繊維織物の織目の格子領域に局所的な凹みや、織目の線に沿った線状の凹みが生じてしまい、成形型の面が平滑であっても成形体は平滑な表面を得ることができなかった。
こうした問題に対しこれまで、繊維強化プラスチック成形時に成形体の平滑性が必要な方の面に接する型の温度を、他方の面に接する型の温度より5℃以上高くし、平滑性が必要な面から硬化を進行させることで、平滑性が必要な面への硬化収縮の影響を抑制する方法などが試みられている(例えば、特許文献2参照)。しかしこの方法では、熱収縮による影響は排除することができず、充分な表面平滑性を得ることは出来なかった。
また繊維強化プラスチックを研磨することで、その表面を平滑にする方法もあるが、繊維強化プラスチックの表面近くに存在する強化繊維が研磨によって表出し、マトリックス樹脂と強化繊維の硬度差によりかえって表面凹凸を拡大するという問題があった
特開平8−300526号公報(3頁、課題を解決するための手段1段落) 特開平4−144723号公報(2頁、課題を解決するための手段1段落)
本発明の目的は、上述した従来の問題点を解決し、表面平滑性の高い繊維強化プラスチック、および、その製造法を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明によれば、次の構成要素[A]、[B]、[C]を必須とし、最表層の構成要素[A]の縦糸と横糸の格子領域に、5〜100μmの大きさを有し、構成要素[A]の平均糸幅Wに対して、格子領域の中心点から直径D=W/4の円形領域の面積の50%以上を覆うように構成要素[C]が充填されてなる繊維強化プラスチックが提供される。また、本発明の好ましい形態によれば構成要素[D]を最表層に有する繊維強化プラスチックが提供される。また、本発明の別の好ましい形態によれば、構成要素[A]の少なくとも最も表面側の1層はこれを構成する糸条の幅が4mm以上、厚さが0.2mm以下である繊維強化プラスチックが提供される。
また、本発明によれば、成形型上に、縦糸と横糸の格子領域に、5〜100μmの大きさを有し、構成要素[A]の平均糸幅Wに対して、格子領域の中心点から直径D=W/4の円形領域の面積の50%以上を覆うように構成要素[C]が充填された構成要素[A]、次いで構成要素[A]を積層し、液状の構成要素[B]を注入し含浸させて硬化させる繊維強化プラスチックの製造方法が提供される。
[A]:強化繊維織物、[B]マトリクス樹脂、[C]粉体、[D]不織布

本発明によれば以下に説明するとおり、表面の平滑性に優れた外観品質の良い繊維強化樹脂成形体を得ることが出来る。
以下、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係わる繊維強化プラスチックの構成を示す概略断面図である。図1において、1は強化繊維織物を構成する縦糸、2は強化繊維織物を構成する横糸、3はマトリクス樹脂を示している。図1では、強化繊維織物を2層積層した状態を例示しているが、強化繊維織物が3層以上あっても同様の効果が得られることは言うまでもない。また、強化繊維織物の間にコア材や金属などの内挿物あるいはその他の基材の層を有しても良い。
本発明に係る繊維強化プラスチックでは、表面4に最も近い強化繊維織物の縦糸1と横糸2の格子領域には粉体5が充填されている必要がある。
また、少なくとも強化繊維織物の繊維強化プラスチックの表面側の面に粉体が充填されていれば効果的に凹凸を低減することができる。
ここで、格子領域とは強化繊維織物の概略平面図を示す図2における6で示される点である。すなわち、縦糸1と横糸2で囲まれる部分であるため強化繊維が非常に少なくなるか、あるいは全く存在しない状態(いわゆる目抜け)の場合もある。そのため、本発明に係る粉体が充填されていない場合、格子領域ではマトリクス樹脂の存在比率が高く、硬化収縮や熱収縮が大きくなり、その結果、表面に凹みが生じる。格子領域に粉体を充填することにより格子領域でのマトリクス樹脂の存在比率が少なくなり、また収縮量が低減される。その結果繊維強化プラスチック表面の凹みが小さくなり、平滑な表面を実現することができる。
格子領域における厚み方向の収縮を低減するためには、充填する粉体の冷却時の収縮率が小さいことが望ましい。そのため、粉体は線膨張係数が1.0×10−6 1/Kより小さいことが好ましく、0.1×10−6 1/Kより小さければさらに好ましい。
また、強化材となる粉体の剛性が高ければ、周囲のマトリクス樹脂を拘束するため冷却時の収縮を抑制するため好ましい。本点から粉体の引張弾性率は60GPa以上であることが好ましく、200GPa以上あればより好ましい。
該粉体としては、例えばシリカ粒子、ガラス粒子、炭酸カルシウム粒子、アルミナ粒子、あるいはミルド炭素繊維などが上記観点から好ましく用いられるが、これらに限られるものではない。
また、粒子の直径やミルド繊維の長さが大きすぎると、格子領域に収まりきらず繊維強化プラスチック表面に粒子や繊維の形状が現れる場合があり好ましくない。一方小さすぎる場合は、マトリクス樹脂の収縮を抑制する効果が十分得られず好ましくない。粒子の直径は、充填率が高くでき、繊維強化プラスチック表面の凹みを効果的に低減できることから1〜100μmであることが好ましく、5〜20μmであるとさらに好ましい。同様の理由から、ミルド炭素繊維などの繊維状物を用いる場合は繊維長さが、5μm〜100μmであることが好ましく、10μm〜50μmであるとより好ましく、20μm〜40μmであればさらに好ましい。
図3の概略平面図に示すように、少なくとも縦糸1と横糸2からなる格子領域に粉体5が充填されていれば、繊維強化プラスチック表面の凹みを低減する効果を発現できる。図4の概略平面図に示すように、縦糸1、横糸2それぞれの側面に生じる織物表面の段差に沿った線状の部分にも粉体を充填すれば、織物表面の繊維に沿った段差により生じる線状の凹みを低減することもでき、さらに良好な表面平滑性を得ることができて好ましい。
また、図5の概略断面図に示すように強化繊維織物の全面に充填すれば、図4と同様な効果が得られるとともに、粉体の充填を全面一斉に行うことができるため効率的である。
図6の概略平面図に示すように、任意の格子領域において、強化繊維織物を構成する織糸の平均糸幅Wとしたとき、格子領域の中心点(格子領域を形成する左右上下の織糸の中心点)から直径D=W/4の円形領域の面積の30%以上が粉体で覆われるように充填されていることが好ましく、より好ましくは、50%以上であり、70%以上であればさらに好ましい。
本発明に係る繊維強化プラスチックでは、図7に示すように、最表層に不織布を含む層7を配置すればさらに表面の凹凸を低減することができ好ましい。強化繊維織物は、一般に数百から数千本のフィラメントからなる太い糸条を織物にしているために表面の織構造に由来する強化繊維の粗密が存在するのに対し、不織布は織物に比べ全体に均一な構造を持つために、不織布とマトリクス樹脂からなる層においてマトリクス樹脂はほぼ一様に収縮する。不織布とマトリクス樹脂からなる層が強化繊維織物の表層面側に存在すると、強化繊維織物部で生じた樹脂の収縮のバラツキは、不織布とマトリクス樹脂からなる層で緩和され、結果として繊維強化プラスチック表面に生じる凹みは深さが小さく、なだらかな凹みとなり、表面平滑性をさらに向上する効果を得ることができる。不織布の材質は特に限定されるものではないが、たとえばポリエステル、ナイロンなどの合成繊維、あるいはガラス繊維、炭素繊維などから構成されるものを用いることができる。
強化繊維織物部分での樹脂の収縮が表面に与える影響をより効果的に緩和するためには、最表層の不織布とマトリクス樹脂からなる層の剛性が高いことが好ましく、その層の厚みを大きくすると、強化繊維織物部分での樹脂の収縮バラツキをより効果的に緩和することができる。そのためには、前記不織布の目付は、20g/m以上であることが好ましく、30g/m以上であればより好ましい。不織布の目付が大きすぎると、不織布に含浸されるマトリクス樹脂の量も増加し、軽量で強度剛性に優れるという繊維強化プラスチック本来のメリットが損なわれるため、成形体の厚さにもよるが、例えば厚さ2mm程度までの板状の繊維強化プラスチックでは、不織布の目付が100g/mを越えることは重量と機械的特性のバランスが悪くなるため好ましくない。
不織布とマトリクス樹脂からなる層を構成する不織布の剛性を高めることも効果的であり、前記不織布を構成する繊維の弾性率が60GPa以上であることが好ましい。不織布を構成する繊維の弾性率が200GPa以上あれば、さらに好ましい。
また、繊維強化プラスチックの最表層にポリエステル、ナイロンなどの合成繊維からなる不織布を含んだ層を配置した場合には、表面の平滑性をより向上するためにその表面を研磨することも可能となる。
また、最表層の強化繊維織物を構成する糸条の幅が4mm以上、厚さが0.2mm以下であることが好ましく、幅が6mm以上、厚さが0.15mm以下であるとより好ましくい。ここで糸条の幅とは強化繊維を構成する縦糸あるいは横糸それぞれの長手方向に対して直交する面で切断した場合の断面の幅、厚さとは縦糸あるいは横糸それぞれの前記断面での厚さのことであり、それぞれ、糸条と直交する方向に任意の位置で切断し、糸条の幅および厚さをそれぞれ20箇所測った平均値で測定した。
このような幅が広く厚みの小さい糸条から構成された織物は、幅が狭く厚みの大きい糸条から構成された織物に比べて、縦糸と横糸で囲まれる部分で織物の目抜けが生じにくく、同時に、織糸の上下のうねりが小さくなるため織物自体の表面凹凸が極めて小さくなる。すなわち、織目の格子領域や、織糸それぞれの側面に生じる織物表面の段差に充填されるマトリクス樹脂の量が少ないためにマトリクス樹脂の収縮量の絶対値が小さくなり、その結果、繊維強化プラスチック表面の凹みが生じたとしても絶対値が小さくなるため最表層の強化繊維織物として用いることが好ましく、また、内部も含めて複数枚使用することはさらに好ましい。
本発明に適用するマトリクス樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル等の熱硬化性樹脂や、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、さらにはこれらの混合樹脂等も使用することができる。特にエポキシ樹脂は比重と強度剛性のバランスが良く、成形性にも優れることから好ましく用いられる。
本発明に用いられる強化繊維織物を構成する強化繊維は特に限定されず、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、それらを併用した強化繊維などを用いることができる。中でも炭素繊維を使用すると、特に強度、剛性などの機械的特性に優れ、寸法安定性が良好な繊維強化プラスチックを得ることができることから好ましい。
また、強化繊維織物の織形態は、平織り、綾織り、繻子織り、あるいは一方向に引き揃えた強化繊維を補助糸などで形態的に安定させた一方向織物など、その形態に限定されることなく発明の効果を得ることができる。
本発明の繊維強化プラスチックは、次のように製造される。
成形型上に縦糸と横糸の格子領域に粉体を充填した強化繊維織物を1枚積層し、次いで前記粉体を充填した強化繊維織物あるいは粉体を充填していない強化繊維織物を少なくとも1枚積層する。また、コア材や内挿物、あるいはその他の基材を強化繊維織物と共に積層しても良い。
また本発明の繊維強化プラスチックの製造方法では、成形型と縦糸と横糸の格子領域に粉体を充填した強化繊維織物の間に、不織布を積層しても良い。
縦糸と横糸の格子領域に粉体を充填した強化繊維織物の製造方法は、いかなる方法であっても構わないが、例えば、粉体を直接強化繊維織物上に散布する方法や、粉体を分散させた液体を強化繊維織物に吹き付けあるいは滴下させ、その後に乾燥させるなどの方法によっても製造することができる。
本発明に係る成形型は、片面が開放されている片面型、あるいは周囲を完全に覆う閉鎖形状の両面型のいずれであっても好適に用いることができる。材質は金属製、繊維強化プラスチック性、樹脂性、木製などのなかから使用樹脂の硬化温度などの条件に合わせて適宜選択すれば良い。
片面型を用いる場合は強化繊維織物を気密性フィルムで、両面型を用いる場合は上型で、積層された強化繊維織物を覆い、シール材で封止した後に真空ポンプ等で吸引し強化繊維織物が存在する空間を真空状態とする。その空間に樹脂の配管を接続し、マトリクス樹脂を吸引させることで強化繊維織物に含浸させる。さらに、使用する樹脂に適した温度と時間を保ちマトリクス樹脂を硬化させることで、本発明の繊維強化プラスチックを得る。
実施例1
表面を#1600番の研磨剤で研磨した後にメッキを施した平板金型の上に、ミルド炭素繊維を充填したフィラメント数3000本の炭素繊維糸条を用いた平織物(織物目付300g/m)からなる強化繊維織物を1枚、ミルド炭素繊維を充填した側が金型に接するように配置した。その上に、フィラメント数3000本の炭素繊維糸条を用いた平織物(織物目付300g/m)を3枚積層した後に、周囲をシール剤とフィルムで覆い内部を真空に保った状態で液状のエポキシ樹脂を注入し、炭素繊維織物に含浸した。この状態で金型温度を摂氏90度に保ちエポキシ樹脂を硬化させた後、常温まで冷却し脱型することで繊維強化プラスチックを得た。
この繊維強化プラスチックを強化繊維糸条の長手方向と直角方向に切断し、強化繊維糸条の糸幅および厚みをそれぞれ20箇所測定し、平均値を求めたところ、幅は2.0mm、厚さは0.2mmであった。
この繊維強化プラスチックの表面(金型に接していた側の面)を表面粗さ計(小坂研究所製サーフコーダSE−40C)で測定したところ、繊維強化プラスチック表面の最大高さRmaxは1.0μmであった。また繊維強化プラスチック表面を目視で確認したところ、強化繊維織物の格子領域や織糸の側面部に対応した部分の凹みは僅かであり、さらに、繊維強化プラスチック表面へ蛍光灯の像を映しこんだところ、像のエッジはややギザギザしているがほぼ直線に見えた。
実施例2
実施例1に対して、金型とミルド炭素繊維を充填した炭素繊維織物の間に、炭素繊維から構成される不織布(目付30g/m)を配置した以外は、全く同様の積層構成、成形条件で繊維強化プラスチックを成形した。樹脂は炭素繊維不織布にも含浸しており、強化繊維織物とマトリクス樹脂から構成される部分と、不織布とマトリクス樹脂からなる部分が完全に一体化した繊維強化プラスチックを得た。
実施例1と同様にして強化繊維糸条の幅および厚みを測定したところ、その平均値は、幅は2.0mm、厚さは0.2mmであった。
この繊維強化プラスチックの表面(金型に接していた側の面)を実施例1と同様の方法で測定したところ、繊維強化プラスチック表面の最大高さRmaxは0.7μmであった。
また繊維強化プラスチック表面を目視で確認したところ、強化繊維織物の格子領域や織糸の側面部に対応した部分の凹みは非常に小さく、さらに、表面へ蛍光灯の像を映しこんだところ、像のエッジの乱れは非常に小さくほぼ直線に見えた。
実施例3:
ミルド炭素繊維を充填させる炭素繊維織物、およびミルド炭素繊維を充填した炭素繊維織物の上に積層する炭素繊維織物を、それぞれフィラメント数120000本の炭素繊維糸条を用いた平織物(織物目付200g/m)とした他は、実施例1と同じ条件で成形し、繊維強化プラスチックを得た。
実施例1と同様に、強化繊維糸条の幅および厚みを測定したところ、糸幅は8.0mm、厚さは0.1mmであった。
この繊維強化プラスチックの表面(金型に接していた側の面)を実施例1と同様に測定したところ、繊維強化プラスチック表面の最大高さRmaxは0.5μmであった。また繊維強化プラスチック表面を目視で確認したところ、強化繊維織物の格子領域や織糸の側面部に対応した部分の凹みはほとんど無かった。さらに、繊維強化プラスチック表面へ蛍光灯の像を映しこんだところ、像のエッジが完全に直線に見えた。
比較例1:
フィラメント数3000本の炭素繊維糸条を用いた平織物(織物目付300g/m)のみ4枚を積層した以外は実施例1と全く同じ条件で成形した繊維強化プラスチックを得た。
実施例1と同様に強化繊維糸条の幅および厚みを測定したところ、幅は2.0mm、厚さは0.2mmであった。
この繊維強化プラスチックの表面(金型に接していた側の面)を実施例1と同様に測定したところ、繊維強化プラスチック表面の最大高さRmaxは1.5μmであった。また繊維強化プラスチック表面を目視で確認したところ、強化繊維織物の格子領域や織糸の側面部に対応した部分には凹みが目立っていた。さらに、繊維強化プラスチック表面へ蛍光灯の像を映しこんだところ、像のエッジがほとんど分からないほど移り込みが粗い状態であった。
本発明は、自動車を始めとする輸送機器の外板部材に限らず、高い外観品質が要求される用途に応用することが出来るが、その応用範囲がそれらに限定されるものではない。
本発明の一実施態様に係わる繊維強化プラスチックの概略断面図である。 強化繊維織物の概略平面図である。 強化繊維織物上への粉体の充填状態の一態様を示す概略平面図である。 強化繊維織物上への粉体の充填状態の別の態様を示す概略平面図である。 本発明の別の実施態様に係わる繊維強化プラスチックの構成を示す概略断面図である。 強化繊維織物上への粉体の分布状態について説明のための平面図である。 本発明のさらに別の実施態様に係わる繊維強化プラスチックの概略断面図である。
符号の説明
1:強化繊維織物を構成する縦糸
2:強化繊維織物を構成する横糸
3:マトリクス樹脂
4:繊維強化プラスチックの表面
5:粉体
6:強化繊維織物の格子領域
7:不織布とマトリクス樹脂からなる層

Claims (6)

  1. 次の構成要素[A]、[B]、[C]を必須とし、最表層の構成要素[A]の縦糸と横糸の格子領域に、5〜100μmの大きさを有し、構成要素[A]の平均糸幅Wに対して、格子領域の中心点から直径D=W/4の円形領域の面積の50%以上を覆うように構成要素[C]が充填されてなる繊維強化プラスチック。
    [A]:強化繊維織物、[B]:マトリクス樹脂、[C]:粉体
  2. 構成要素[C]が構成要素[A]の表面全面に充填されている請求項1に記載の繊維強化プラスチック。
  3. 構成要素[C]の素材の線膨張係数が1.0×10−6 1/Kより小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の繊維強化プラスチック。
  4. 構成要素[C]の素材の弾性率が60GPa以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化プラスチック。
  5. 構成要素[A]の少なくとも最も表面側の1層はこれを構成する糸条の幅が4mm以上、厚さが0.2mm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の強化繊維プラスチック。
  6. 成形型上に、縦糸と横糸の格子領域に、5〜100μmの大きさを有し、構成要素[A]の平均糸幅Wに対して、格子領域の中心点から直径D=W/4の円形領域の面積の50%以上を覆うように構成要素[C]が充填された構成要素[A]、次いで構成要素[A]を積層し、液状の構成要素[B]を注入し含浸させて硬化させる繊維強化プラスチックの製造方法。
JP2004152891A 2004-05-24 2004-05-24 繊維強化プラスチック、および、その製造方法 Expired - Fee Related JP4525176B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004152891A JP4525176B2 (ja) 2004-05-24 2004-05-24 繊維強化プラスチック、および、その製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004152891A JP4525176B2 (ja) 2004-05-24 2004-05-24 繊維強化プラスチック、および、その製造方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2005336218A JP2005336218A (ja) 2005-12-08
JP2005336218A5 JP2005336218A5 (ja) 2007-05-24
JP4525176B2 true JP4525176B2 (ja) 2010-08-18

Family

ID=35490136

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004152891A Expired - Fee Related JP4525176B2 (ja) 2004-05-24 2004-05-24 繊維強化プラスチック、および、その製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4525176B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5023785B2 (ja) * 2007-04-18 2012-09-12 トヨタ自動車株式会社 繊維強化プラスチック
JP6746973B2 (ja) * 2016-03-11 2020-08-26 東レ株式会社 プリフォーム用基材、強化繊維プリフォーム、繊維強化樹脂成形体および繊維強化樹脂成形体の製造方法
JP6715085B2 (ja) * 2016-05-27 2020-07-01 日産自動車株式会社 繊維強化樹脂成形品およびその製造方法
JP6947530B2 (ja) * 2017-04-25 2021-10-13 日産自動車株式会社 繊維強化樹脂成形品およびその製造方法
JP7083281B2 (ja) * 2018-06-25 2022-06-10 ダイキョーニシカワ株式会社 樹脂注入成形品およびその製造方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02137924A (ja) * 1988-11-18 1990-05-28 Sumitomo Bakelite Co Ltd 熱硬化性樹脂積層板の製造方法
JP2004123870A (ja) * 2002-10-01 2004-04-22 Sumitomo Bakelite Co Ltd プリプレグの製造方法および転写シート
JP2004122544A (ja) * 2002-10-01 2004-04-22 Sumitomo Bakelite Co Ltd プリプレグの製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02137924A (ja) * 1988-11-18 1990-05-28 Sumitomo Bakelite Co Ltd 熱硬化性樹脂積層板の製造方法
JP2004123870A (ja) * 2002-10-01 2004-04-22 Sumitomo Bakelite Co Ltd プリプレグの製造方法および転写シート
JP2004122544A (ja) * 2002-10-01 2004-04-22 Sumitomo Bakelite Co Ltd プリプレグの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005336218A (ja) 2005-12-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1464743B1 (en) Carbon fiber-made reinforcing woven fabric and prepreg and prepreg production method
JP6269826B2 (ja) 成形体及びその製造方法
JP4779754B2 (ja) プリプレグ積層体及び繊維強化プラスチック
KR101771287B1 (ko) 연속섬유 보강 수지 복합재 및 그 성형품
WO2016136791A1 (ja) 樹脂供給材料、プリフォーム、および繊維強化樹脂の製造方法
KR20120081976A (ko) 수지 적층판
JP5896048B2 (ja) 熱可塑性基材およびそれを用いた繊維強化成形体の製造方法
JP4525176B2 (ja) 繊維強化プラスチック、および、その製造方法
JP6665149B2 (ja) 繊維強化樹脂体及びその製造方法
TW201817782A (zh) 片材
JP5023785B2 (ja) 繊維強化プラスチック
JP5874802B1 (ja) 繊維構造体及び繊維強化複合材
JP2005262818A (ja) 強化繊維基材、プリフォームおよび強化繊維基材の製造方法
JP2005213469A (ja) 強化繊維基材、プリフォーム、複合材料および強化繊維基材の製造方法
JP2012051151A (ja) 繊維強化成形体
JPH07243147A (ja) 補強織物とそれを用いたfrp
JP4558398B2 (ja) 平滑な表面を有する複合材料
JP4370797B2 (ja) Frp製薄板の製造方法
JP6858541B2 (ja) 複合材料成形体の製造方法
JP2019177646A (ja) 樹脂複合体の製造方法
JP2006138040A (ja) 繊維強化複合材製ヘルドフレーム
JP7426492B2 (ja) 複合材料製パネル構造体およびその製造方法
KR20060045394A (ko) Cfrp 정반
WO2022201960A1 (ja) 筒状体及び筒状体の製造方法
KR102362204B1 (ko) 표면이 균일한 섬유보강 복합재료

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070402

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070402

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090810

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090825

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091016

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100511

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100524

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130611

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130611

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130611

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140611

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees