JP4524405B2 - スズ含有インジウム酸化物ナノ粒子およびその分散溶液の製造方法 - Google Patents

スズ含有インジウム酸化物ナノ粒子およびその分散溶液の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、可視光領域で透明であり、赤外線遮蔽性にすぐれた特性を有するスズ含有インジウム酸化物のナノ粒子およびその分散溶液ならびにその製造方法に関するものである。
スズ含有インジウム酸化物(Indium Tin Oxide、以下「ITO」ともいう。)半導体の導電性物質は金属と同様にある波長よりも長波長の光を反射するという固有の性質を持っておりこの性質をプラズマ反射という。金属などの高い導電性を有する材料の場合はそのプラズマ反射が観測される波長は短く、可視光領域の光よりも長い波長の光を反射する。一方、ITOなどの半導体酸化物はプラズマ反射の立ち上がりは近赤外領域にあり、赤外線は反射し、可視光は透過することが知られている。効率よく赤外線を反射させるためにITOでは酸化インジウムに5から10重量%の酸化スズを添加してキャリア濃度を増加させてその赤外反射効率を高めることも行われている。このようなITOを用いた薄膜やITO粒子をコーティングしたフィルムなどが赤外線遮蔽材料として利用されている。
粒子を利用した赤外線遮蔽材料の場合、可視光に於いて高い透明性を確保するために、可視光領域における反射、吸収および散乱が少ないことが要求される。可視光での反射・吸収特性は材料固有の性質であることからITOの場合プラズマ反射の立ち上がりが近赤外領域にあることから可視光での透明性は確保される。一方、散乱については粒子のサイズと波長に依存しており回折散乱、ミー散乱、レイリー散乱により計算することができる。光の波長より十分小さい粒子による散乱であるレイリー散乱は、波長のおよそ二分の一の時に最大となり、それ以下では粒径の6乗に比例して急激に小さくなる。従って、可視光の波長が400nm〜800nmであることから粒子サイズを100nm以下にすることによって可視光の散乱を抑制することが可能となる。
このような赤外線遮蔽用スズ含有インジウム酸化物粒子はこれまで化学的な手法で製造されてきた。例えば、塩化インジウムおよび塩化スズの混合水溶液とアンモニウム炭酸塩とを混合し、温度5℃〜95℃、最終pH2〜8の条件下でインジウムとスズの水酸化物を共沈させ、該沈殿を加熱分解することにより、超微粒低抵抗ITO粉末を得る方法(特許文献1参照)、塩化インジウムと塩化スズの酸性混合水溶液にカリウム化合物の水溶液を加えることにより生成したインジウムとスズの水酸化物を、洗浄、乾燥し、還元ガスを含む不活性ガス中で焼成することによってスズドープ酸化インジウム粉末を製造する方法(特許文献2参照)、酸化スズおよび酸化インジウムの水和物を湿式解砕した後に加熱処理して、平均粒子径が40nm以下であり、粒子径10nm以下および粒子径50nm以上の粒子の含有率がそれぞれ15%以下であるスズ含有酸化インジウム微粒子粉体およびITO微粒子の製造方法(特許文献3参照)、並びに、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ホウ素、およびアルカリ金属やアルカリ土類金属の酸化物からなる溶融物を急速冷却して非晶質物質とする工程と、前記非晶質物質からスズドープ酸化インジウム結晶を析出させる工程と、得られた結晶化物から前記スズドープ酸化インジウム結晶を分離する工程とを順に含むことを特徴とするスズドープ酸化インジウム微粒子の製造方法(特許文献4参照)などの化学的合成法が知られている。
このような化学的合成法の場合、中和、洗浄、乾燥や加熱処理等の非常に多くの工程が必要である。また、加熱処理を行った場合には、熱処理のために得られる粒子が凝集し、得られた粒子を基に塗料やコーティング液を調製する際に、形成された凝集粒子を超音波照射などによる機械的な分散化や界面活性剤等の添加による化学的な分散化を施しても、凝集が強い場合には凝集体が完全に壊れることがなく、その結果凝集粒子からの散乱による透明度の低下が起こることがある。また、このような化学合成で得られるITOナノ粒子の場合、所定の赤外線反射特性を出現するために、金属元素の含有量(スズの含有量)を調整の上、合成することから、一度合成した後にその赤外反射特性を向上させることは出来ない等の問題点があった。
特開平5−201731号公報 特開2001−220137号公報 特開2001−261336号公報 特開2005−35882号公報
本発明の目的は、上記の問題点を解消し、非常に単純な工程で、平均粒径が小さく、赤外線遮蔽効果を有する結晶性あるいは非晶質ITOナノ粒子およびそれらの分散溶液、ならびにその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究を進めたところ、ITO粒子を分散させた溶液に、溶液中でパルスレーザー光を集光照射すると、ITO粒子がレーザーアブレーションにより溶液中に原子、イオン、クラスターとして解離したのち溶液中で反応し、レーザー照射前のITO粒子よりも平均粒径が小さなITOナノ粒子を、熱処理等を必要とせずに、また副生成物の形成などもなく、非常に簡単な工程で製造しうることを見出した。また、得られたITOナノ粒子が分散する溶液は、レーザー照射前に比べて可視光領域の透過率を高くでき、また、得られたITOナノ粒子自身の赤外領域の反射特性も向上させることができることを見出した。本発明は、これらの知見に基づきなされたものである。
すなわち、本発明は、
(1)スズ含有インジウム酸化物(ITO)粒子を分散させた溶液に、レーザー光を照射して、該溶液中でITO粒子にレーザーアブレーションを発生させ、該レーザー光の照射前のITO粒子よりも平均粒径が小さく、かつ赤外線遮蔽性であるITOナノ粒子を形成することを特徴とするITOナノ粒子の製造方法、
(2)(1)項記載の製造方法で製造されたITOナノ粒子、
(3)前記スズ含有インジウム酸化物ナノ粒子からなる薄膜が、該薄膜と同じ厚さの前記レーザー光の照射前のスズ含有インジウム酸化物粒子からなる薄膜に対し、1100nm〜2500nmの波長領域の透過率が低いことを特徴とする(2)項記載のITOナノ粒子、
(4)平均粒径が2nm以上15nm以下であることを特徴とする(2)または(3)項記載のITOナノ粒子、
(5)ITO粒子を分散させた溶液に、レーザー光を照射して、該溶液中でITO粒子にレーザーアブレーション発生させ、該溶液の溶媒に該レーザー光の照射前のITO粒子よりも平均粒径が小さく、かつ赤外線遮蔽性であるITOナノ粒子を分散させたことを特徴とするITOナノ粒子分散溶液の製造方法、
(6)(5)記載の製造方法で製造されたITOナノ粒子分散溶液、
(7)前記レーザー光の照射前のスズ含有インジウム酸化物粒子を分散させた溶液に対し、該容液と同質量%かつ同溶媒において、400nm〜800nmで波長領域の透過率が高いことを特徴とする(6)項記載のスズ含有インジウム酸化物ナノ粒子分散溶液、および、
(8)スズ含有インジウム酸化物ナノ粒子分散溶液を満たした容器と、該容器中の溶液にスズ含有インジウム酸化物ナノ粒子がアブレーション現象を発現させることが可能な照射強度のレーザー光を照射するレーザー装置とを備えたスズ含有インジウム酸化物ナノ粒子製造装置、および、
(9)集光レンズを備え、前記レーザー光の集光点が前記スズ含有インジウム酸化物ナノ粒分散溶液中に存在することを特徴とする(8)項記載のスズ含有インジウム酸化物ナノ粒子製造装置
を提供するものである。
本発明によりレーザー照射前のITO粒子よりも平均粒径が小さなITOナノ粒子を、熱処理等を必要とせずに、また副生成物の形成などもなく非常に簡単な工程で製造することができる。また、本発明のITOナノ粒子分散溶液は、レーザー照射前に比べて可視光領域の透過率が高く、また本発明のITOナノ粒子自身の赤外領域の反射特性も向上させることができる。
図1に本発明のITOナノ粒子およびその分散溶液の製造装置の一例を概略断面図により示した。この装置では、レーザー装置1からレーザー光反射ミラー2、集光レンズ4を介して、ガラスセル6からなる容器に満たされたITO粒子を分散させた溶液5にレーザー光3を照射する。レーザー光照射中はガラスセル6内の底部に設置した、テフロン(登録商標)製回転子7を、マグネチックスターラー8を介して回転させて、ITO粒子分散溶液を攪拌する。
本発明において用いることのできるレーザーの種類は、高強度のパルス光を発生できるレーザーであれば良く、例えば、Nd:YAGレーザー、エキシマレーザー、Tiサファイアレーザーを用いることができ、Nd:YAGレーザーが好ましい。レーザー光の照射強度は溶液中のITO粒子がレーザー光照射をうけてアブレーションができるのに十分に足りる強度があれば良く、1パルスあたりの強度としては10mJ(10mJ/pulse)以上あれば十分であり、望ましくは50mJ/pulse〜500mJ/pulseである。また、レーザー光のパルス幅は限定されないが1nm〜20nsが好ましく、せん頭値(ピークパワー)は0.5〜500MWが好ましい。また、レーザーの発振周波数(パルス周期)は限定されないが、10〜60Hzが好ましく、平均パワーは、0.1〜30Wが好ましい。
本発明において溶液の溶媒として水あるいはアルコールやヘキサンなどの有機溶媒を使用することができ、その溶媒はとくに制限されない。好ましくは、照射するレーザー光の波長に対して強い光吸収を有していない液体が望ましい。例えば、266〜1064nmの波長のNd:YAGレーザー光を用いる場合には、脱イオン水、エタノール、メタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコールが好ましい。また、溶液中には各種の界面活性剤あるいは金属塩、酸、アルカリ等の物質を添加剤として加えることができるが、溶液中に完全に溶解されればその物質は制限されない。溶液と同様に照射するレーザー光の波長に対して強い光吸収が無い物質を添加剤として用いることが特に望ましい。例えば、266〜1064nmの波長のNd:YAGレーザー光を用いる場合には、両イオン性界面活性剤や陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等の添加剤を用いることが好ましい。
レーザー光の波長は、溶液の溶媒として脱イオン水を使用した場合には特に限定されないが、266〜1064nmが好ましい。有機溶媒あるいは界面活性剤を用いた場合には、有機溶媒あるいは界面活性剤に対して強い吸収が無い波長が望ましく、355〜1064nmがさらに好ましい。例えば、脱イオン水、またはエタノール、メタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコールなどのアルコールの場合、ナノ秒パルス幅を有するNd:YAGレーザーの基本波(波長:1064nm)、第二高調波(波長:532nm)、第三高調波(波長:355nm)、第四高調波(波長:266nm)などが利用できる。
また、望ましくはレーザー光を、集光レンズを介して照射するが、レーザー光の強度が十分に強い場合は集光レンズを除外することも可能である。使用する集光レンズの焦点距離は50cm〜3cmが好ましく、さらに好ましくは10cm〜5cmである。また、レーザー光の集光点は液体表面近傍、特に望ましくは液体中に存在すればよい。
溶液に分散させるITO粒子は公知の方法で合成された粒子であれば良く、スズおよびインジウム以外にアルミニウム、亜鉛や銀、アンチモンなどをドーピングしたITO粒子でも良く、これらのものも本発明に包含する。使用するTIO粒子の平均粒径は20nm以上10μm以下が好ましく、さらに好ましくは30nm以上1μm以下である。またその濃度は、10g/L以下が好ましく、望ましくは0.02g/L以下、特に望ましくは0.005g/L以上0.01g/L以下である。
なお、本発明において平均粒径とは、個数分布に基づく平均粒径をいう。また、本発明においては、200個の平均径である。
ITO粒子がレーザーアブレーションにより溶液中に原子、イオン、クラスターとして解離したのち溶液中で反応し、レーザー照射前のITO粒子よりも平均粒径が小さなITOナノ粒子が形成される。溶液中で、アブレーションができたことは、例えば、アブレーションプラズマからの発光により確認することができる。
ITO粒子分散液が満たされる容器は、公知の容器の材質、形状などから適宜選択して用いることができる。
また、レーザー光照射中は容器内の底部に設置した、撹拌手段を用いてITO粒子分散溶液を攪拌することが好ましい。撹拌手段としては、公知のものを用いることができ、例えばマグネチックスターラーを介して設けられたテフロン(登録商標)製回転子などが挙げられる。撹拌速度は特に限定はないが50〜500rpmが好ましい。
また、レーザー光を照射する直前のITO分散液の温度は20〜35℃が好ましい。また、レーザー光照射中の溶液の温度は25〜40℃が好ましい。
上記条件でのレーザー光照射後、ITOナノ粒子を透過電子顕微鏡により観察するとレーザー照射後のITOナノ粒子分散溶液中の粒子の平均粒径は、好ましくは1nm以上30nm以下であり、より好ましくは2nm以上15nm以下である。また、レーザー照射後のITOナノ粒子の結晶性を電子線回折によって評価すると、レーザー照射条件によっては非晶質化したITOナノ粒子が得られる場合もある。このようにレーザー照射後に得られるITOナノ粒子が分散した溶液は、結晶性もしくは非晶質のITOナノ粒子が分散した溶液であり、このTIOナノ粒子分散溶液は、このまま保存して、あるいは濃縮して必要に応じて希望する用途に適用できる。
さらにレーザー照射後のITOナノ微粒子が分散した溶液の250nm〜800nmの波長領域における光散乱について、紫外−可視透過スペクトルから評価すると可視光(400〜800nm)における光散乱が抑制され、透過率を向上させることができる。さらに、溶液中のTIOナノ粒子を石英ガラス上にキャストしてITOナノ粒子から成る薄膜を形成させ、その紫外−可視−赤外透過スペクトルを測定しITOの1100nmから1200nm以上(好ましくは、1100nm〜2500nm)で観測されるプラズマ反射を評価すると、レーザー光の照射前と比較してそのプラズマ反射も向上し、透過率を減少させることができる。
以上のように本発明によりITO粒子の分散溶液にパルスレーザー光を照射するだけで、その粒子サイズを小さくすることができるばかりでなく、本発明のITOナノ粒子からなる薄膜は、赤外反射特性が大幅に改善し、また、本発明のITOナノ粒子を用いた塗料やフィルムは赤外線遮蔽性を大幅に向上させることができる。
本発明では上記のようにTIO粒子へ溶液中でレーザー光を照射するといった極めて簡単な工程だけで粒子のサイズを小さく、またその赤外反射特性を向上させることができる。そこで本発明によるITOナノ粒子やその分散溶液をコーティングやフィルムにそのまま利用するばかりでなく、化学合成によって合成されたITO粒子を原料にして本発明の製造方法により赤外線遮蔽用ITOナノ粒子を製造し、赤外遮蔽用の塗料やフィルムを製造する工程の途中に導入することもできる。
また、本発明によって得られるITOナノ粒子は、粒径を10nmよりも小さくでき、またキャリア濃度を増加させることもできることから、ITOナノ粒子の高い導電性を利用した導電材料やセンサ材料としても利用が可能である。
以下に、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1で示される装置を用いてITOナノ粒子を製造した。まず、平均粒径が30nmのITO粒子(Sn:In比=1:9)を脱イオン水中に0.005g/L分散させてITO粒子分散溶液を調製した。25℃、40mlの分散溶液をガラスセル6(内径30mm、胴径35mm、高さ80mmのバイアルびん)中に分取し、そこへレーザー装置1である高出力ナノ秒Nd:YAGパルスレーザー(スペクトラ・フィジックス社製、LAB−150−10)の第三高調波(波長:355nm、発振周波数:10Hz、パルス幅:7ns)の20,50,100,および150mJ/pulseのレーザー光を集光レンズ4である焦点距離が50mmの合成石英製平凸レンズを介してそれぞれ照射した。レーザー光の集光位置は、溶液中になるように集光レンズ1とガラスセル6との距離を調整した。この際、脱イオン水だけをガラスセル中に溜めてレーザー光を照射すると、脱イオン水が集光点における強い電場強度よってブレイクダウンして、その結果形成されるプラズマからの発光が観測されることを確認した。また、マグネチックスターラー8(東京硝子器機社製、FS−05)を介してテフロン(登録商標)製回転子7(東京硝子器械社製)を回転(200rpm)させて、ITO粒子分散溶液を攪拌しながら上記レーザー光を60分間照射した。このような操作によって、平均粒径が3〜15nmのITOナノ粒子が分散した溶液が熱処理等の工程を必要とせずに、極めて簡単に得られた。
得られたITOナノ粒子の構造解析を透過電子顕微鏡(日本電子製JEM−200FXII)による観察ならびに電子線回折により行った。
図2−1にレーザー光を照射する前後のITO粒子および図2−2〜2−5にそれぞれ20,50,100,または150mJ/pulseのレーザー光を60分間照射した後のITOナノ粒子を倍率20万倍で撮影した透過電子顕微鏡写真、ならびにそれぞれの図の右上に電子線回折パターンを合わせて示した。また、図2−1〜2−5においては、長さ30nmを示すバーも記してある。図2−1〜2−5に示されるように、レーザー光の照射後に得られたITOナノ粒子のサイズは明らかにレーザー光を照射する前のITO粒子と比較して小さくり、また、レーザー照射強度が大きくなるに従い、得られたITOナノ粒子の粒径は小さくなっていることが分かる。また、電子線回折パターンから150mJ/pulseのレーザー強度のレーザー光を照射した場合(図2−5)には、ITO結晶基づく回折リングが認められずハロー・パターンとなっており、この場合レーザー光照射後のITOナノ粒子が非晶質化していることを示している。
図3にレーザー照射強度と得られたITOナノ粒子の平均粒径の関係を示した。レーザー照射強度が大きくなるに従い、得られたITOナノ粒子の平均粒径は小さくなっており、150mJ/pulseのレーザー強度のレーザー光を照射した場合には、平均粒径が3nmと極めて小さなナノ粒子が得られた。
得られたITOナノ粒子が分散した溶液は特別な処理をすることなく、そのままの状態で紫外−可視透過スペクトルを紫外線・可視分光光度計(島津製作所製UV1200PC)により測定した。
図4にITO粒子あるいはITOナノ粒子が分散した溶液の紫外−可視透過スペクトルを示した。レーザー光照射後のITOナノ微粒子が分散した溶液の250nm〜800nmの波長領域における透過率は、レーザー光照射前のITO粒子分散溶液と比較して2%〜20%ほど向上しており、これは、レーザー光を照射することによって溶液中のITO粒子がより小さなITOナノ粒子に変換されて可視光に対する散乱が少なくなったことを示している。
さらに、溶液中のITOナノ粒子(8nm)を遠心分離によって濃縮した後、石英ガラス基板上にキャスト、乾燥させてITOナノ粒子から成る薄膜(厚さ約200nm)を調製できた。得られた薄膜の紫外−可視−赤外透過スペクトルを紫外・可視・赤外分光光度計(バリアン社製、Cray5000)により記録した。図5に、各レーザー光照射による微細化により得られたITOナノ粒子から成る薄膜の紫外−可視−赤外透過スペクトルを示した。レーザー光照射前のITO粒子と比較してレーザー光照射後のITOナノ粒子の場合、1100nmから1200nm以上で観測されるITOのプラズマ反射に基づく透過率の減少幅が10%から最大で40%増えた。この結果はレーザー照射によって形成されたITOナノ粒子の赤外反射効率が大幅に向上していることを示している。
一般にITO中のキャリア濃度を増やすとITOのプラズマ反射特性が向上することがよく知れている。ITOのキャリア濃度を増加させるには、スズの含有量の増加または、銀やアルミといった第三成分あるいは第四成分をドーピングすることによって可能である。さらにITO中の酸素欠陥の数を増加させることによってもキャリア濃度は増加する。本実施例のレーザー照射後のITOナノ粒子のSn:In比を調べると、レーザー光照射前のSn:In比=1:9と同じであった。この結果は、レーザー光照射によるITOナノ粒子の赤外反射効率の大幅な向上は、レーザー照射によるTIO粒子の微細化と同時に粒子中へ酸素欠陥が導入されることによって発現していることを示している。
本発明のITOナノ粒子およびその分散溶液の製造装置の1例を示す概略断面図である。 レーザー照射前のITO粒子の透過電子顕微鏡写真および電子線回折パターンを示す図である。 20mJ/pulseの強度のレーザー照射によって得られたITO粒子ナノの透過電子顕微鏡写真および電子線回折パターンを示す図である。 50mJ/pulseの強度のレーザー照射によって得られたITO粒子ナノの透過電子顕微鏡写真および電子線回折パターンを示す図である。 100mJ/pulseの強度のレーザー照射によって得られたITO粒子ナノの透過電子顕微鏡写真および電子線回折パターンを示す図である。 150mJ/pulseの強度のレーザー照射によって得られたITO粒子ナノの透過電子顕微鏡写真および電子線回折パターンを示す図である。 レーザー照射強度と得られたITO粒子ナノの平均粒子サイズの関係を示すグラフである。 ITO粒子およびITOナノ粒子が分散した溶液の可視紫外スペクトルを示すグラフである。 溶液中に分散したITOナノ粒子を石英ガラス上にキャストして作製したITOナノ粒子から成る薄膜の紫外−可視−赤外透過スペクトルを示すグラフである。
符号の説明
1 レーザー装置
2 レーザー光反射ミラー
3 レーザー光
4 集光レンズ
5 ITO粒子分散溶液
6 ガラスセル
7 テフロン(登録商標)製回転子
8 マグネチックスターラー

Claims (2)

  1. スズ含有インジウム酸化物粒子を分散させた溶液に、レーザー光を照射して、該溶液中でスズ含有インジウム酸化物粒子にレーザーアブレーションを発生させ、該レーザー光の照射前のスズ含有インジウム酸化物粒子よりも平均粒径が小さく、かつ赤外線遮蔽性であるスズ含有インジウム酸化物ナノ粒子を形成することを特徴とするスズ含有インジウム酸化物ナノ粒子の製造方法。
  2. スズ含有インジウム酸化物粒子を分散させた溶液に、レーザー光を照射して、該溶液中でスズ含有インジウム酸化物粒子にレーザーアブレーション発生させ、該溶液の溶媒に該レーザー光の照射前のスズ含有インジウム酸化物粒子よりも平均粒径が小さく、かつ赤外線遮蔽性であるスズ含有インジウム酸化物ナノ粒子を分散させることを特徴とするスズ含有インジウム酸化物ナノ粒子分散溶液の製造方法。
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