JP6063320B2 - 硫化物半導体微粒子の製造方法 - Google Patents

硫化物半導体微粒子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、分散安定剤等の添加物を使用することなく、粒子表面の残留有機物の量が低く、粒子径が小さく、酸素含有量が少ない硫化物半導体微粒子を、簡便な方法で製造することが可能な硫化物半導体微粒子の製造方法に関する。また、該硫化物半導体微粒子の製造方法を用いて製造した硫化物半導体微粒子に関する。
硫化物半導体の多くは、可視光領域において高い光吸収特性を示すため、太陽電池等の光電変換材料や可視光応答型光触媒材料として有望視されている。また、その赤外領域での高い透過性から、赤外線センサーとしても精力的に検討されている。更に、光照射によりその導電率が変化するため、光導電材料としても注目されている。
また、デバイス化する際の成膜方法として、従来のスパッタ法に代えて、ナノ粒子を印刷する方法が、プリンタブルエレクトロニクスのキー技術として注目されている。このような方法で使用されるナノオーダーの粒子径を有する微粒子の需要が高まっており、これまでに、水熱合成法、ポリオール法、ソルボサーマル法、マイクロ波法、熱分解法等の方法が検討されている。
例えば、特許文献1には、金属塩と硫黄含有物質とをオレイルアミン等の高沸点溶媒中で加熱させることにより、硫化物半導体微粒子を合成する方法(ソルボサーマル法)が開示されている。
また、非特許文献1には、クエン酸の存在下で水熱合成法により、直径300〜500nm、長さ5〜20μmの硫化物のナノロッドを作製する方法が開示されている。
更に、非特許文献2には、分散安定剤であるポリビニールピロリドン(PVP)の存在下で、加熱したエチレングリコール等の多価アルコール溶媒を用いて、金属の塩化物とチオ尿素とを反応させることによって、粒子径が800nm以下の硫化物を合成する方法(ポリオール法)が報告されている。
しかしながら、特許文献1、非特許文献1及び2のいずれの方法においても、分散安定剤として高沸点の有機物が使われている。このような有機物は分解され難く粒子に残留するため、粒子の物性(例えば、電気特性、半導体特性)に悪影響を与える恐れがある。例えば、このような残留有機物が付着した粒子を用いてデバイスを作製した場合に、デバイスの性能不良(例えば、導通不良)が生じる恐れがある。したがって、残留有機物の少ない硫化物微粒子が求められる。
また、硫化物微粒子は酸化されやすいことも知られている。硫化物微粒子が酸化されてしまうと、その電気特性や光吸収特性が低下するという問題があった。したがって、少ない残留有機物だけではなく、低い酸素含有量も求められる。
特開2013−14498号公報
Liang Chen et al.,Materials letters.,63,1258−1261(2009) Rui Zhang et al.,Journal of Crystal Growth., 262, 449455(2004)
本発明は上記現状に鑑み、分散安定剤等の添加物を使用することなく、粒子表面の残留有機物の量が低く、粒子径が小さく、酸素含有量が少ない硫化物半導体微粒子を、簡便な方法で製造することが可能な硫化物半導体微粒子の製造方法を提供することを目的とする。また、該硫化物半導体微粒子の製造方法を用いて製造した硫化物半導体微粒子を提供することを目的とする。
本発明は、平均粒子径が50nm以下の硫化物半導体微粒子を製造する方法であって、バンドギャップが3.0eV以下の硫化物半導体原料と溶媒とを含有する原料液を不活性ガスでガス置換する工程、及び、前記原料液にレーザー光を照射する工程を有し、前記レーザー光の1パルスあたりのエネルギー密度は、2.0J/cm 以下であることを特徴とする硫化物半導体微粒子の製造方法である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、硫化物半導体原料と溶媒とを含有する原料液を不活性ガスでガス置換する工程、及び、前記原料液にレーザー光を照射する工程を行うことによって、粒子径が小さく、酸素含有量が少ない硫化物半導体微粒子を簡便な方法で製造することが可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の硫化物半導体微粒子の製造方法は、硫化物半導体原料と溶媒とを含有する原料液を不活性ガスでガス置換する工程(以下、ガス置換工程ともいう)、及び、前記原料液にレーザー光を照射する工程(以下、レーザー照射工程ともいう)を有する。
本発明の硫化物半導体微粒子の製造方法を行うための液相レーザーアブレーション装置の一例を図1に示す。液相レーザーアブレーション装置は、レーザー発振器100と、ミラー101と、処理容器102と、溶媒103と、硫化物半導体原料104、スターラー台105、攪拌子106、ガスボンベ107とを備えるものである。なお、図1中、符号Mはレーザー光を示す。
本発明の硫化物半導体微粒子の製造方法では、まず、硫化物半導体原料104と溶媒103とを含有する原料液を不活性ガスでガス置換する工程を行う。なお、上記ガス置換工程は、レーザー照射工程の前に行ってもよく、レーザー照射工程の途中に行ってもよい。
具体的には、処理容器102内の硫化物半導体原料104と溶媒103とを含有する原料液に、ガスボンベ107からガス管108を通じて不活性ガスを通気した後、排気口109を介して排出する方法を用いることができる。
このようなガス置換工程を行うことで、原料液中の溶存酸素が除去され、得られる硫化物半導体微粒子の酸化を抑えることができる。特に、硫化物半導体微粒子の場合は、溶媒に由来する酸化よりも、溶存酸素に由来する酸化の割合が大きいことが本発明者らの検討によって分かった。従って、ガス置換工程を行うことで、効果的に酸素含有量を低減することが可能となる。
上記ガス置換工程を行う時間は特に限定されないが、1〜120分間が好ましく、より好ましくは5〜60分間である。
また、上記ガス置換工程を行う際のガス流量は10〜1000ml/minが好ましい。
上記不活性ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスや窒素が挙げられ、これらの混合ガスであってもよい。なかでも、酸素含有量を低減する観点とコストの観点からアルゴンを用いることが好ましい。
上記ガス置換工程の具体的な方法としては、上述した不活性ガスを直接導入する方法等が挙げられる。
また、上記ガス置換工程は、上記硫化物半導体原料を分散させた状態で行うことが好ましい。
これにより、溶存酸素を効率よく除去することができる。具体的には、攪拌子106を用いて攪拌しながら、不活性ガスを導入する方法等が挙げられる。
本発明の硫化物半導体微粒子の製造方法では、次いで、前記原料液にレーザー光を照射する工程を行う。このような工程を行うことで、硫化物半導体原料を平均粒子径が50nm以下の硫化物半導体微粒子に小粒径化することが可能となる。
具体的には、図1に示すように、レーザー発振器100から発生させたレーザー光Mをミラー101で反射させ、処理容器102内の硫化物半導体原料104に照射する。
なお、ミラー101を回転させることで、その反射面の角度を変えて、硫化物半導体原料104の同じ位置に繰り返し照射されないように、レーザー光Mの照射位置を移動させることもできる。
レーザー発振器100は、レーザー光Mを発生させることが可能なものであれば特に制限されず、例えば、YAGレーザー装置、エキシマレーザー装置によって構成されるものが挙げられ、中でも、YAGレーザー装置によって構成されるものがより好ましい。
ミラー101は、特に制限されるものではなく、公知の反射板等(例えば鏡等)を適宜用いることができる。また、ミラー101は、ターゲットに対して、より均一にレーザー光を照射するという観点から、その反射面の角度を変えることができるように回転可能な状態にして利用することが好ましい。
処理容器102は、レーザー光Mを透過可能なものであれば特に限定されず、材質としては、石英、サファイア、ガラスなどが挙げられる。また、処理容器102の形状としては、例えば、コップ状の形状のもの、丸底フラスコ、ナス型のフラスコ、梨型フラスコ、試験管等を適宜使用することができる。
溶媒103としては、特に制限されず、水、有機溶媒、無機溶媒を適宜利用できる。
上記有機溶媒としては、例えば、アルコール類、クロロホルム、ケトン類、ニトリル系、アミン系、チオール類系、キシレン、ケロシン等が挙げられ、無機溶媒としては、例えば、超臨界二酸化炭素、液体窒素等が挙げられる。中でも、有機コンタミを防ぐ点からは水が好適であり、処理後の組成の保持性や分散性からはクロロホルムやケトン類が好適である。
特に、ケトン等の有機溶媒で生成した硫化物半導体微粒子は、分散剤を添加しなくても、従来法で作製した粒子に比べ、分散安定性が非常に優れたものとすることができる。
レーザー光を照射することによって得られる硫化物半導体微粒子が、安定剤を使用しなくても高い安定性を有する原因は必ずしも明らかではないが、下記のような理由が考えられる。通常の溶液化学合成法では、化学反応を起こさせるために、一般的に加熱(数十度〜数百度)が必要になる。このような加熱の条件では、硫化物半導体微粒子の凝集・合一が促進されやすいと考えられる。
一方、上記レーザー照射工程では、反応液を加熱する必要がない。レーザー光照射時に、被照射物の極近傍は加熱されるが、加熱される領域は粒子の極近傍に限定されるため、溶液全体の温度は殆ど上がらず、レーザー光の照射後に処理容器を触っても殆ど熱くは感じられない程度である。また、レーザー光により高いエネルギーを照射することによって、粒子表面が活性化され、イオン化されやすいことも考えられる。粒子表面がイオン化されて、粒子の表面電荷が増加すると、粒子間の静電反発力が向上し、その結果、粒子が安定化する。
上記原料液にレーザー光を照射する工程は、波長λ1のレーザー光を照射した後に、更にλ1より波長が短い波長λ2のレーザー光を照射することが好ましい。
波長λ1のレーザー光を照射した後に、更に波長λ2のレーザー光を照射することによって、得られる硫化物半導体微粒子の分散液中での分散性を更に向上させることができる。
硫化物半導体微粒子の安定性が更に向上する原因は下記のように推測される。硫化物半導体原料は、長波長(λ1)のレーザー光よりも、短波長(λ2)のレーザー光をより吸収する。そのため、長波長(λ1)のレーザー光を一段階で照射して硫化物半導体微粒子を分散させた後に、λ1より短波長(λ2)のレーザー光を更に二段階で照射すると、粒子表面が更に活性化され、イオン化されることが推測される。その結果、粒子の表面電荷量は、一段階照射の後よりも、二段階照射した後の方がより多くなるため、硫化物半導体微粒子の安定性をより向上させることができると予想される。
λ1は500〜3000nmであることが好ましく、λ2は190〜2000nmであることが好ましい。
λ1とλ2との波長の差は、100〜2000nmであることが好ましく、200〜1000nmであることがより好ましい。
硫化物半導体原料104は、粉末状、粒子状であってもよく、棒状、板状、ペレット状であってもよい。小粒径化の効率の観点から、粉末状、粒子状のものがより好ましい。粉末状、粒状状の場合は、図1のように硫化物半導体原料を溶媒の全体に分散すれば良く、板状、ペレット状の場合は、処理容器の内側面に配置すればよい。
硫化物半導体原料104として、板状のものを用いる場合を図2に示す。硫化物半導体原料104は、処理容器の内側面に配置されている。
硫化物半導体原料104としては、融点が1500℃以下の硫化物半導体を用いることが好ましい。融点が1500℃以下の硫化物半導体は、レーザー光照射時に発生した熱によって溶融しやすく、微粒子化の効率を向上させることができる。
硫化物半導体原料104として用いられる硫化物半導体としては、例えば、硫化モリブデン、硫化タングステン、硫化鉄、硫化カドミウム、硫化鉛、硫化錫、硫化インジウム、硫化アンチモン、硫化ビスマス、硫化砒素等の二元系硫化物、CuInS、CuGaS、CuAlS、CuSnS、CuZnS等の三元系硫化物、及びCuInGaSe(S)、CuZnSnS等の四元系硫化物が挙げられる。
また、硫化物半導体原料104として用いられる硫化物半導体は、バンドギャップが3.0eV以下である。バンドギャップが3.0eVを超えると、レーザー光の吸収が悪くなり、50nm以下の微粒子が形成されにくくなることがある。
上記のなかでも、硫化物半導体原料104としては、レーザー照射後に生成した粒子の組成、安定性および粒子生成の効率の観点から、周期律表第13〜15族の金属元素を含有する硫化物半導体が特に好ましい。
上記周期律表第13〜15族の金属元素を含有する硫化物半導体としては、周期律表第13〜15族の金属元素と硫黄元素からなる硫化物半導体であってもよいし、周期律表第13〜15族の金属元素と他族の金属元素を含有する硫化物半導体であってもよい。
上記周期律表第13〜15族の金属元素と硫黄元素からなる硫化物半導体としては、例えば、硫化ビスマス、硫化アンチモン、硫化ヒ素、硫化インジウム、硫化スズ等が挙げられる。
上記周期律表第13〜15族の金属元素と他族の金属元素を含有する硫化物半導体としては、例えば、硫化銅インジウム(CuInS)、硫化銅亜鉛錫(CuZnSnS)等が挙げられる。
上記硫化物半導体原料104の添加量は、原料液の0.001〜10重量%であることが好ましい。0.001重量%未満であると、生産性が極端に悪くなり、10重量%を超えると、仕込みの原料を全部ナノ粒子に転化するために長時間のレーザー光照射が必要となる。
本発明では、上記原料液に、上記硫化物半導体原料以外の絶縁性硫黄含有物質を添加してもよい。
上記絶縁性硫黄含有物質は硫化物半導体原料とは異なるものであり、バンドギャップが3.0eVを超える絶縁性のものである。
上記絶縁性硫黄含有物質としては、例えば、硫黄単体のほか、チオ尿素、チオアセトアミド等の硫黄含有有機物、硫化ナトリウム、硫化アンモニウム等の硫黄含有無機化合物等が挙げられる。このような絶縁性硫黄含有物質を含むことによって、レーザー光照射時の硫化物半導体微粒子の分解が抑えられ、元素組成比が化学量論比に近い硫化物半導体微粒子が得られる。
レーザー光Mとしては、容器の材料の種類、溶媒の種類、硫化物半導体原料の種類等に応じて、任意の波長、任意のエネルギーのレーザーを使用することができる。また、硫化物半導体原料104にレーザー光Mを照射する際のレーザー光Mの照射面形状(レンズ等により集光する場合には集光形状)やエネルギー密度(フルエンス)の条件等は、不純物の混入を防止するために処理容器102が破損しないような条件とすれば特に制限されず、公知の条件を適宜採用することができる。なお、このような条件は、処理容器102の種類や硫化物半導体原料104中の各材料の種類等に強く依存するため、その好適な条件は一概に言えるものではなく、容器の材料の種類、溶媒の種類、硫化物半導体原料の種類等に応じて、目的とする硫化物半導体微粒子を得ることが可能となるような条件に適宜変更すればよい。
レーザー光Mとしては、パルスレーザー光が好ましく、パルス幅が100フェムト秒〜100ナノ秒であることが好ましい。
また、レーザー光Mの波長は190〜5000nmが好ましい。より好ましくは300〜4000nmである。
更に、レーザー光Mの出力は0.1〜10Wが好ましい。
上記レーザー光を照射する工程を行う際のレーザー光Mの1パルスあたりのエネルギー密度(フルエンス)は特に制限されないが、例えば、処理容器102が硼珪酸ガラスである場合、0.4〜2.0J/cmであることが好ましい。上記レーザー光の1パルスあたりのエネルギー密度の上限は、1.5J/cmであることがより好ましく、1J/cmであることが更に好ましく、0.8J/cmであることが特に好ましい。また、レーザー光Mの照射面形状も特に制限されないが、直径0.5〜10mm程度が好ましい。
更に、上記レーザー光を照射する際の温度条件は特に制限されないが、原料液の温度上昇を防ぐために、室温(25℃)以下であることが好ましい。原料液の温度制御は、図1の処理容器102を温度制御可能な恒温槽の中に設置することにより行うことができる。
本発明の硫化物半導体微粒子の製造方法を用いることで、粒子表面の残留有機物の量が低く、平均粒子径が50nm以下と粒子径が小さく、酸素含有量が少ない硫化物半導体微粒子が得られる。
このように得られた硫化物半導体微粒子もまた、本発明の1つである。本発明の硫化物半導体微粒子は、太陽電池用材料や光触媒材料、または光導電材料として有用である。
本発明の硫化物半導体微粒子は、透過電子顕微鏡及びそれに付属するエネルギー分散型X線分析器(EDX)を用いて元素組成分析から得られた酸素の含有量が全元素の含有量の合計の5モル%以下である。5モル%を超えると、硫化物半導体微粒子の性質が変わることがある。
本発明では、分散安定剤等の添加物を使用することなく、粒子表面の残留有機物の量が低く、粒子径が小さく、酸素含有量が少ない硫化物半導体微粒子を、簡便な方法で製造することが可能な硫化物半導体微粒子の製造方法を提供することができる。また、該硫化物半導体微粒子の製造方法を用いて製造した硫化物半導体微粒子を提供することができる。
本発明の硫化物半導体微粒子の製造方法を行うための液相レーザーアブレーション装置の一例を示す模式図である。 本発明の硫化物半導体微粒子の製造方法を行うための液相レーザーアブレーション装置の他の一例を示す模式図である。 実施例1で用いたSb粉末の電界放射型透過電子顕微鏡を用いた顕微鏡写真である。 実施例1で得られたコロイド溶液の電子顕微鏡写真である。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(ガス置換工程)
容積30mlのガラス製バイアル瓶に、平均粒子径10μmのSb粉末(Aldrich社製)20mgを計量した後、20gの純水を添加した。その後、バイアル瓶のゴム栓をアルミキャップで封止し、密閉した。続いて、ゴム栓に注射針を挿入し、攪拌しながら、ガスボンベのアルゴンガスをバイアル瓶内に10分間導入することでガス置換を行った。
なお、Sb粉末の電界放射型透過電子顕微鏡を用いた顕微鏡写真を図3に示す。
(レーザー照射工程)
ガス置換を行った溶液をレーザー発振器から発生したNd:YAGレーザー(波長1064nm、パルス幅8ナノ秒)で15分間照射した。1パルスあたりのレーザー照射密度(J/cm)は、1.5J/cmになるように調整した。照射後は、ほぼ透明なコロイド液が得られた。得られたコロイド溶液の電子顕微鏡写真を図4に示す。
(実施例2)
溶媒として純水に代えてアセトンを用い、(レーザー照射工程)において、1パルスあたりのレーザー照射密度を0.76J/cmにした以外は、実施例1と同様の方法でコロイド液を得た。
(実施例3)
溶媒として純水に代えてクロロホルムを用い、(レーザー照射工程)において、1パルスあたりのレーザー照射密度を0.76J/cmにした以外は実施例1と同様の方法でコロイド液を得た。
(実施例4)
平均粒子径10μmのSb粉末(Aldrich社製)に代えて、平均粒子径30μmの硫化インジウム(In)粉末を原料として用い、(レーザー照射工程)において、1パルスあたりのレーザー照射密度を1.5J/cmにした以外は、実施例2と同様の方法でコロイド液を得た。
(実施例5)
平均粒子径10μmのSb粉末(Aldrich社製)に代えて、平均粒子径5μmの硫化ビスマス(Bi)粉末を原料として用い、(レーザー照射工程)において、1パルスあたりのレーザー照射密度を1.5J/cmにした以外は、実施例2と同様の方法でコロイド液を得た。
(実施例6)
平均粒子径10μmのSb粉末(Aldrich社製)に代えて、平均粒子径15μmの硫化錫(SnS)粉末を原料として用い、(レーザー照射工程)において、1パルスあたりのレーザー照射密度を1.5J/cmにした以外は、実施例2と同様の方法でコロイド液を得た。
(実施例7)
(レーザー照射工程)において、照射レーザーの波長を532nmに変更し、1パルスあたりのレーザー照射密度を0.154J/cmにした以外は実施例1と同様の方法でコロイド液を得た。
(実施例8)
(レーザー照射工程)において、照射レーザーの波長を355nmに変更し、1パルスあたりのレーザー照射密度を0.154J/cmにした以外は実施例1と同様の方法でコロイド液を得た。
(実施例9)
硫化アンチモンに代えて、平均粒子径13μmの硫化銅亜鉛錫(CuZnSnS)を原料として用いた以外は実施例1と同様の方法でコロイド液を得た。
(実施例10)
(レーザー照射工程)において、照射レーザーの波長を532nmに変更し、1パルスあたりのレーザー照射密度を0.76J/cmにした以外は実施例9と同様の方法でコロイド液を得た。
(実施例11)
(レーザー照射工程)において、照射レーザーの波長を355nmに変更し、1パルスあたりのレーザー照射密度を0.154J/cmにした以外は実施例9と同様の方法でコロイド液を得た。
(実施例12)
(レーザー照射工程)において、照射レーザーの波長を1064nmで15分間照射(1パルスあたりのレーザー照射密度1.5J/cm)した後、更に照射レーザーの波長を532nmとして10分間照射(1パルスあたりのレーザー照射密度1.5J/cm)した以外は実施例1と同様の方法でコロイド液を得た。
(実施例13)
(レーザー照射工程)において、照射レーザーの波長を1064nmで15分間照射(1パルスあたりのレーザー照射密度1.5J/cm)した後、更に照射レーザーの波長を355nmとして30分間照射(1パルスあたりのレーザー照射密度0.3J/cm)した以外は実施例1と同様の方法でコロイド液を得た。
(比較例1)
200mlのオレイルアミンを添加したナスフラスコ(容量:500ml)を窒素ガスでバーブリングしながら、塩化アンチモン0.1gを添加した。その後、溶液を攪拌しながら100℃まで昇温し、塩化アンチモンを溶解させた。上記溶液を100℃で10分間保持した後に、塩化アンチモンに対して4倍モルの硫黄を含有するオレイルアミン100mlを添加した。続いて、溶液を150℃まで急速昇温し、10分間反応させた。反応後、ナスフラスコを氷水に入れ、反応液を急速に冷却させた。上記溶液に300mlのエタノールを添加した後、溶液を遠心分離した。固液分離後の沈殿物に100mlのトルエンを添加し超音波で再分散させた。上記遠心分離と再分散作業を3回繰返することにより、Sb微粒子を得た。
(比較例2)
(ガス置換工程)において、アルゴンガスによるガス置換を行わなかった以外は実施例1と同様の方法でコロイド液を得た。
(比較例3)
(レーザー照射工程)において、1パルスあたりのレーザー照射密度を3.0J/cmにした以外は実施例1と同様の方法でコロイド液を得た。
(比較例4)
(ガス置換工程)において、アルゴンガスによるガス置換を行わなかった以外は実施例9と同様の方法でコロイド液を得た。
(比較例5)
平均粒子径10μmのSb粉末(Aldrich社製)に代えて、平均粒子径1.0μmの硫化亜鉛(バンドギャップ3.6eV、融点1700℃)粉末を原料として用いた以外は、実施例1と同様の方法で液体を得た。比較例5では、硫化亜鉛のナノ粒子が形成されなかった。これは、硫化物半導体原料として用いた硫化亜鉛のバンドギャップが3.0eVを超えており、レーザー光の吸収が悪かったためであると考えられる。
(評価)
実施例及び比較例で得られたコロイド液について、平均粒子径、酸素含有量、及び、粒子表面の残留有機物量を測定した。実施例12及び13については、粒子の表面電位の測定、及び、長期安定性評価を行った。
(平均粒子径)
得られたコロイド液の平均粒子径を粒度分布計を用いて測定した。
(酸素含有量)
電界放射型透過電子顕微鏡(FE−TEM、JEM−2010、日立製作所製)及び透過電子顕微鏡に附属したエネルギー分散型検出器(EDS)を用いて、粒子の元素組成を分析し、全元素中の酸素の含有量を測定した。
また、測定した酸素含有量について以下の評価を行った。
(粒子表面の残留有機物量)
粒子表面の残留有機物量は、炭素分析装置(堀場製作所製 EMIA−110)を用いて測定した。具体的には、実施例及び比較例で得られた硫化物微粒子0.5gをセットしたアルミナ製燃焼ボートを管状炉に入れ、酸素ガスを流しながら700℃で30分間加熱処理し、有機成分を燃焼しガス化させた。ガス化した炭素を赤外線吸収法により定量した。
表1に、平均粒子径、酸素含有量、及び、粒子表面の残留有機物量の測定結果を示した。なお、実施例12及び13については、実施例1と同様であるため省略した。
(粒子の表面電位)
実施例12及び13について、波長1064nmでレーザー光を照射した後(一段照射後)と、その後、波長532nm又は波長355nmレーザー光を照射した後(二段照射後)の粒子の表面電位(ζ電位)を測定した。粒子の表面電位は、NICOMP社製の粒度分布計及びζ電位計(NICOMP 380DLS)(測定機器等)により測定した。
実施例12で得られたコロイド溶液中の粒子の表面電位は、一段照射後では19.6mVであり、二段照射後では−56.3eVであった。実施例13で得られたコロイド溶液中の粒子の表面電位は、一段照射後では−19.6eVであり、二段照射後では−41.5eVであった。
実施例12、実施例13ともに、一段照射後よりも二段階照射後の方が粒子表面がよりマイナスに帯電していることが分かった。
(長期安定性評価)
実施例1、12及び13で得られたコロイド溶液を室温(25.6℃)で60分放置し、目視で観察した。
実施例1は、やや不透明となったが、実施例12及び13は実施例1と比較して透明なままであった。
長期安定性評価の結果から、長波長のレーザー光で照射した後、更に短波長のレーザー光で照射することで、長期安定性が向上することが分かった。
本発明によれば、分散安定剤等の添加物を使用することなく、粒子表面の残留有機物の量が低く、粒子径が小さく、酸素含有量が少ない硫化物半導体微粒子を、簡便な方法で製造することが可能な硫化物半導体微粒子の製造方法を提供することができる。また、該硫化物半導体微粒子の製造方法を用いて製造した硫化物半導体微粒子を提供することができる。
100 レーザー発振器
101 ミラー
102 処理容器
103 溶媒
104 硫化物半導体原料
105 スターラー台
106 攪拌子
107 ガスボンベ
108 ガス管(In)
109 排気口

Claims (5)

  1. 平均粒子径が50nm以下の硫化物半導体微粒子を製造する方法であって、
    バンドギャップが3.0eV以下の硫化物半導体原料と溶媒とを含有する原料液を不活性ガスでガス置換する工程、及び、
    前記原料液にレーザー光を照射する工程を有し、
    前記レーザー光の1パルスあたりのエネルギー密度は、2.0J/cm 以下である
    ことを特徴とする硫化物半導体微粒子の製造方法。
  2. 前記原料液にレーザー光を照射する工程は、波長λ1のレーザー光を照射した後に、更にλ1より波長が短い波長λ2のレーザー光を照射することを特徴とする請求項1記載の硫化物半導体微粒子の製造方法。
  3. 前記硫化物半導体原料の融点が1500℃以下であることを特徴とする請求項1記載の硫化物半導体微粒子の製造方法。
  4. 前記硫化物半導体原料は、周期律表第13〜15族の金属元素を含有する硫化物半導体からなることを特徴とする請求項1又は2記載の硫化物半導体微粒子の製造方法。
  5. 前記原料液は、絶縁性硫黄含有物質を含有することを特徴とする請求項1記載の硫化物半導体微粒子の製造方法。
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