JP4522905B2 - トナー用樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法を利用した複写機、プリンター等の現像剤として用いるトナー用の樹脂組成物に関する。
電子写真法は、例えば、感光体上に静電荷の像を形成させ、この静電荷像にトナーを現像剤として付着させ、さらにトナーを紙等の基材シートへ転移させ、定着させる方法である。トナーをシートに定着させる方法としては、例えば、加熱されたローラーまたはフィルム等を用いた加熱圧着方式がある。例えば、加熱された回転ローラーに、トナーが付着したシートを接触、通過させ、融着させることができる。加熱圧着方式では、定着ローラー温度をトナーに含まれる樹脂の物性に合わせる必要がある。定着ローラー温度が低過ぎるかあるいは高過ぎると、トナーがシートから剥離してローラー面に転移し、汚染されたローラー面は次に接触するシートを汚染する。この現象をオフセットという。電子写真法を応用して、複写機、プリンターが開発されており、その要求性能は近年益々高度化しており、消費電力低減、カラー化、高速印刷化等におけるより一層の性能向上が求められている。
消費電力の低減のため定着ローラー温度を低くする場合、トナーにはより低温での定着性が必要になる。また、カラー化する場合、シート上のトナー層が多重になるので、定着ローラー近傍のトナー層とシート近傍のトナー層との間で温度差が生じ易くなるため、トナーにはより広い定着温度幅が必要になる。
印刷速度を高速化する場合も、また、シートの定着ユニット通過時間が短くなり、トナー層内の温度分布が大きくなるため、トナーにはより広い定着温度幅が必要になる。すなわち、低温定着性と同時に耐高温オフセット性が必要になる。
このように、複写機、プリンターの消費電力低減、カラー化、高速印刷化の要求に対応するため、トナーの低温定着性、耐高温オフセット性のより一層の向上が必要となっている。
一般に、トナーの結着剤として用いられる樹脂としては、分子量が低い場合、トナーは低温定着性に優れ、耐高温オフセット性に劣る。耐高温オフセット性の向上のため、結着剤樹脂中の架橋したゲル分を高くする方法が知られているが、低温定着性の低下を伴うという欠点がある。
ところで、トナー以外の分野でも同様の事例がある。例えば、熱可塑性樹脂組成物を押出成形、ブロー成形に用いる場合、樹脂が溶融したときの流動性が高く、かつ、弾性が高いことが必要である。樹脂の分子量は低い方が流動性に優れ、弾性に劣る。溶融弾性向上のため、架橋した重合体を含有させる方法が知られているが、この方法では、流動性の低下を伴うという欠点がある。
そこで、熱可塑性樹脂組成物の流動性を低下させず溶融張力を向上させる方法として、ポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体粒子とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体を、熱可塑性樹脂に添加し、押出機等で溶融混練する方法が、特許文献1に記載されている。
しかしながら、ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体を、トナー用樹脂に応用する試みは、いまだかつてなされてないのが現状である。
フッ素系重合体を、単純に、トナー用樹脂結着剤の一成分として用いた例としては、特許文献2〜5がある。特許文献2、3においては、テトラフロオロエチレン−ビニルエーテル共重合体が、トナー用樹脂結着剤の一成分として用いられているが、フッ素系共重合体の含有量は20質量%と多く、得られるトナーは光沢に劣るという欠点があった。特許文献4には、ポリテトラフロオロエチレン重合体またはテトラフロオロエチレン−ビニルエーテル共重合体を2〜3質量%含有するトナー用樹脂結着剤が記載されているが、特にポリテトラフロオロエチレンを用いた場合には、画像濃度が低く、カブリが発生し、高温オフセット性に劣ることが記載されており、定着性に劣っていた。特許文献5のトナーは、粉砕法トナーとは異なるため、トナー組成物を押出機等で溶融混練するものではない。
特許3272985号公報 特開2003−302789号公報 特開2003−302790号公報 特開2004−286820号公報 特開2002−123033号公報
本発明の課題は、上記の如き従来技術の問題点を解決し、低温定着性、耐高温オフセット性に優れるトナーを与えることのできるトナー用樹脂組成物を提供することにある。
そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、結着剤である重合体に、ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体を添加することにより、低温定着性、耐高温オフセット性に優れるトナーが得られることを見出し、本発明に到達した。
本発明は、すなわち、ポリテトラフルオロエチレン粒子(a−1)および有機系重合体粒子(a−2)を必須成分として含むポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(A)と、および重合体(B)とを含有するトナー用樹脂組成物を提供する。
本発明のトナー用樹脂組成物を用いることにより、低温定着性、耐高温オフセット性に優れるトナーを提供することができる。そして、これにより、複写機やプリンターによる電子写真記録における消費電力の低減、カラー化、高速印刷化を促進することができる。
以下に、本発明本の好ましい実施の形態について説明するが、本発明はこれらの形態のみに限定されるものではなく、その思想と精神の範囲内において様々な変形が可能であることはいうまでもないことである。
この明細書において、「重合体」には、単独重合体の外、共重合体も含まれる。また、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートもしくはアクリレートを意味する。
本発明に用いられるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(A)は、ポリテトラフルオロエチレン粒子(a−1)と有機系重合体粒子(a−2)とが凝集したものである。このポリテトラフルオロエチレン粒子(a−1)は、粒子径が10μmを超える凝集体となっていないことが好ましく、粒子径0.05〜1.0μm、特に0.1〜0.7μmの粒子であることがさらに好ましい。このようなポリテトラフルオロエチレン粒子は乳化剤等を含んだ水に分散しているものであり、このポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液は、含フッ素界面活性剤を用いる乳化重合でテトラフルオロエチレンモノマーを重合させることにより得られる。
ポリテトラフルオロエチレン粒子の乳化重合の際、ポリテトラフルオロエチレンの特性を損なわない範囲で、共重合成分としてヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フルオロアルキルエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル等の含フッ素オレフィンや、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート等の含フッ素アルキル(メタ)アクリレートを用いることができる。共重合成分の含量は、テトラフルオロエチレン100質量部に対して10重量部以下であることが好ましい。
ポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液の市販品としては、旭ICIフロロポリマー(株)製のフルオンAD−1,AD−936、ダイキン工業(株)製のポリフロンD−1,D−2、三井デュポンフロロケミカル(株)製のテフロン(登録商標)30J等を挙げることができる。
本発明で用いる有機系重合体粒子(a−2)としては特に制限されるものではないが、重合体(B)に配合する際のポリテトラフルオロエチレン粒子の分散性の観点から重合体(B)に親和性を有するものであることが好ましい。
有機系重合体粒子を生成するための単量体の具体例としては、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−クロルスチレン、o−クロルスチレン、p−メトキシスチレン,o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレー等の(メタ)アクリル系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体;ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、グリシジルメタクリレート等の反応性単量体等を挙げることができる。これらの単量体は、単独であるいは2種以上混合して用いることができる。得られるトナーの低温定着性、耐ブロッキング性を考慮すると、スチレン、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリシジルメタクリレート等が好ましい。
本発明に用いられる有機系重合体粒子は、通常、その水性分散液として得られるものである。有機系重合体粒子の水性分散液の製造法としては、特に制限されるものではないが、例えば、イオン性乳化剤を用いる乳化重合法、イオン性重合開始剤を用いるソープフリー乳化重合法等を挙げることができる。
イオン性乳化剤としては、アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性イオン乳化剤のいずれを用いてもよい。また、所望によりこれらのイオン性乳化剤と共にノニオン性乳化剤を併用してもよい。
アニオン性乳化剤の具体例としては、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、液体脂肪油硫酸エステル塩類、脂肪族アミンおよび脂肪族アマイドの硫酸塩類、脂肪族アルコールリン酸エステル塩類、二塩基性脂肪酸エステルのスルホン酸塩類、脂肪酸アミドスルホン酸塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類、ホルマリン縮合物のナフタリンスルホン酸塩類等を挙げることができる。カチオン性乳化剤の具体例としては、脂肪族アミン塩類、第四アンモニウム塩類、アルキルピリジニウム塩等を挙げることができる。両性乳化剤の具体例としては、アルキルベタイン等を挙げることができる。
イオン性重合開始剤としては、過硫酸塩(例えば、過硫酸カリウムや過硫酸アンモニウム)、アゾビス(イソブチロニトリルスルホン酸塩)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアニオン性重合開始剤、2,2’−アゾビス(アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビスイソブチルアミド二水和物等のカチオン性重合開始剤を例示することができる。
本発明で用いる有機系重合体粒子(a−2)の粒子径dは、特に制限されるものではないが、ポリテトラフルオロエチレン粒子との凝集状態の安定性の観点から、ポリテトラフルオロエチレン粒子の粒子径Dに対して次式の範囲であるのが好ましい。
0.1D<d<10D
本発明に用いられるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(A)は、ポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液と有機系重合体粒子水性分散液とを混合し、凝固またはスプレードライにより粉体化することにより得られ、ポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体粒子とが表面電荷の違いにより凝集した凝集粒子と、凝集せずに残存したそれぞれの単独粒子を含むものである。凝集粒子は、ポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体粒子とが一体となった構造を有するものであるが、そのモルフォロジーは両粒子の混合比や粒子径により様々なものがあり得る。すなわち、ポリテトラフルオロエチレン粒子の周りを有機系重合体が取り囲んだ形態や、その反対に有機系重合体粒子の周りをポリテトラフルオロエチレン粒子が取り囲んだ形態や、1つの粒子に対して数個の粒子が凝集した形態などが存在する。この際、ポリテトラフルオロエチレン粒子のみが凝集して10μm以上の凝集体を生成すると、熱可塑性樹脂への分散性の観点から好ましくない。
混合の際の凝集速度を低下させるために、混合する前に、ノニオン性乳化剤をポリテトラフルオロエチレン系粒子および/または炭素数が4以上のアルキル基を有する(メタ)アクリレートエステル単位を有する重合体粒子の表面上に吸着させておくこともできる。
ノニオン性乳化剤としては、特に制限はなく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、アルキルセルロース等を具体例として挙げることができる。
ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(A)は、上述したポリテトラフルオロエチレン粒子分散液と有機系重合体粒子分散液を混合した分散液中で、エチレン性不飽和結合を有する単量体を乳化重合し、凝固またはスプレードライにより粉体化することによっても得られる。
混合した分散液中で乳化重合させるエチレン性不飽和単量体としては、ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体の用途に応じて、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−クロルスチレン、o−クロルスチレン、p−メトキシスチレン,o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、−2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等の(メタ)アクリレート系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン単量体;ブタジエン、イソプレン、プレン、ジメチルブタジエン等のジエン系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、グリシジルメタクリレート等の反応性単量体等の中から選択することができる。これらの単量体は、単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(A)中に占めるポリテトラフルオロエチレンの含有量は、0.1〜90質量%であることが好ましい。
ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(A)は、その水性分散液を、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等の金属塩を溶解した熱水中に投入し、塩析、凝固した後に乾燥するか、スプレードライにより粉体化することができる。
通常のポリテトラフルオロエチレンファインパウダーは、粒子分散液の状態から粉体として回収する工程で100μm以上の凝集体となってしまうために熱可塑性樹脂に均一に分散させることが困難であるのに対して、本発明で用いるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体は、ポリテトラフルオロエチレンが単独で粒子径10μmを超えるドメインを形成していないために熱可塑性樹脂に対する分散性がきわめて優れている。
次に、本発明のトナー用樹脂組成物に含有される重合体(B)について説明する。
重合体(B)としては、特に限定されず、公知のものを用いることができるが、ポリエステル重合体、およびスチレン−アクリル重合体等が好ましい。
ポリエステル重合体としては、例えば、酸成分と、アルコール成分とからなる縮重合体を挙げることができる。
酸成分は、特に制限されず、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、マレイン酸、フマル酸、メタコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マロン酸、リノレイン酸、およびそれらの酸無水物等を挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上の混合物として使用することができる。
アルコール成分は、特に制限されず、例えば、芳香族ジオール、脂肪族ジオール等を挙げることができる。芳香族ジオールの例としては、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン−(2.4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(2.4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールA型芳香族ジオールを挙げることができる。脂肪族ジオールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。その他のアルコール成分として、3価以上の多価アルコールを用いることができ、例えば、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールブタン、グリセリン、テトラメチロールプロパン、テトラメチロールエタン、ペンタエリスリトール等を挙げることができる。これらのアルコール成分は単独でまたは2種以上の混合物として用いることができる。
ポリエステル重合体のガラス転移温度は、特に制限されないが、50〜70℃が好ましい。ポリエステル重合体のガラス転移温度が50℃以上の場合はトナーの耐ブロッキング性が良好となる傾向にあり、70℃以下の場合はトナーの低温定着性が良好となる傾向にある。
ポリエステル重合体の軟化温度は、特に制限されないが、110〜160℃が好ましい。ポリエステル重合体の軟化温度が110℃以上の場合にはトナーの高温オフセット性が良好となる傾向にあり、160℃以下の場合にはトナーの低温定着性が良好となる傾向にある。
ポリエステル重合体は、特に制限されないが、ゲル分を含有する架橋系重合体であることが好ましい。ポリエステル重合体のゲル分率は、特に制限されないが、0.5〜40質量%であるのが好ましい。ここで、ゲル分とは樹脂に含まれるテトラヒドロフラン不溶分のことである。
ポリエステル重合体の酸価は、特に制限されないが、0.1〜20mgKOH/gが好ましい。ポリエステル(共)重合体の酸価が20mgKOH/g以下の場合は、トナーの耐湿性が良好となる傾向にある。ポリエステル重合体(B)の酸価の下限値は0.3mgKOH/g以上が特に好ましく、上限値は15mgKOH/g以下が特に好ましい。
ポリエステル重合体は、1種を単独で用いてもよいし、組成等の異なる2種以上のポリエステル重合体を併用してもよい。
ポリエステル重合体の製造方法としては、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、酸成分とアルコール成分とのモル比を考慮して、直接エステル化法あるいはエステル交換法を行った後に縮合を行う方法を挙げることができる。その際、重合触媒として、チタンブトキサイド、ジブチルスズオキサイド、酢酸スズ、酢酸亜鉛、二硫化スズ、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム等を用いることができる。
スチレン−アクリル重合体としては、スチレン系単量体およびアクリル系単量体からなる重合体を用いることができる。
スチレン系単量体としては、特に制限されないが、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、αーメチルスチレン等を挙げることができ、中でも、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレンが好ましく、スチレンが特に好ましい。
アクリル系単量体としては、特に制限されないが、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2ーエチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2ーエチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルアクリレート、ウンデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、トリデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、エイコシルアクリレート、デシルメタクリレート、ウンデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、エイコシルメタクリレート等を挙げることができ、中でも、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートが好ましく、n−ブチルアクリレートが特に好ましい。
スチレン系単量体とアクリル系単量体の含有量は、特に制限されないが、スチレン−アクリル重合体を構成する全単量体成分中、スチレン系単量体20〜99質量%、アクリル系単量体1〜80質量%であることが好ましく、スチレン系単量体50〜95質量%、アクリル系単量体20〜50質量%がより好ましく、スチレン系単量体60〜90、アクリル系単量体10〜40質量%が特に好ましい。
アクリル系単量体の含有量が少ない場合、得られるトナーは低温定着性に劣る。アクリル系単量体の含有量が多い場合、得られるトナーは耐ブロッキング性に劣る。
スチレン系単量体、アクリル系単量体以外にも、スチレン−アクリル重合体を構成する全単量体成分中、50質量%を超えない範囲で、その他の成分を用いることができる。例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル単量体成分;エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ビスフェノールA誘導体のアクリレート化物等、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ビスフェノールA誘導体のメタクリレート化物等の多官能(メタ)アクリレート成分;アクリル酸、メタリル酸等の酸基含有ビニル単量体成分;ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基含有ビニル単量体成分;マレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチル、フマル酸、フマル酸ブチル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジイソブチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル等の不飽和ジカルボン酸およびそのエステル化物からなる成分等を挙げることができる。
スチレン−アクリル重合体の質量平均分子量は、特に制限されないが、300〜20万が好ましい。スチレン−アクリル重合体の質量平均分子量の下限値は、5000以上がより好ましく、2万以上が特に好ましい。また、スチレン−アクリル重合体の質量平均分子量の上限値は、10万以下がより好ましく、8万以下が特に好ましい。
スチレン−アクリル重合体のガラス転移温度は、特に制限されないが、40〜80℃が好ましい。スチレン−アクリル重合体のガラス転移温度が40℃以上の場合にトナーの耐ブロッキング性が良好となる傾向にあり、80℃以下の場合にトナーの低温定着性が良好となる傾向にある。スチレン−アクリル重合体のガラス転移温度の下限値は49℃以上が特により好ましく、上限値は56℃以下が特に好ましい。
スチレン−アクリル重合体の軟化温度は、特に制限されないが、120〜200℃が好ましい。スチレン−アクリル重合体の軟化温度が、120℃以上の場合にトナーの高温オフセット性が良好となる傾向にあり、200℃以下の場合にトナーの低温定着性が良好となる傾向にある。スチレン−アクリル重合体の軟化温度の下限値は130℃以上が特に好ましく、上限値は160℃以下が特に好ましい。
スチレン−アクリル重合体の酸価は、特に制限されないが、0.1〜20mgKOH/g以下が好ましい。酸価が20mgKOH/g以下である場合には、トナーの耐湿性が良好となる傾向にある。スチレン−アクリル重合体の酸価の下限値は0.3mgKOH/g以上が特に好ましく、上限値は15mgKOH/g以下が特に好ましい。
スチレン−アクリル重合体の製造方法としては、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法等の重合方法を用い、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合により重合を行うことができる。また、これらの重合方法を2種以上を組み合わせることもできる。乳化重合法または懸濁重合法で製造する際には、公知の乳化剤、分散剤を用いることができ、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ系分散剤、ポリエーテル系分散剤、エチレンオキサイド系分散剤等を挙げることができ、さらに分散助剤として硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、過酸化水素水、ほう酸等を用いることができる。
ラジカル重合の際には、公知の重合開始剤を用いることができ、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネイト、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート等の過酸化物;2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4’−ジメチルバレロニトリル)、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等のアゾ化合物等を挙げることができる。中でも、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、2,2’−アゾビス(2,4’−ジメチルバレロニトリル)等が好ましい。これらは単独でまたは2種以上の混合物として用いることができる。
重合体(B)は、1種を単独で用いてもよいし、組成および/または分子量の異なる2種以上の重合体を併用してもよい。
本発明のトナー用樹脂組成物は、前述のポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(A)および重合体(B)を含有する。
ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(A)および重合体(B)の含有量は、特に制限されないが、トナー用樹脂組成物100質量部当たり、ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(A)1〜70質量部および重合体(B)30〜99質量部であることが好ましく、ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(A)10〜40質量部および重合体(B)60〜90質量部であることが特に好ましい。
本発明は、また、上記本発明に係るトナー用樹脂組成物を含むトナーを提供する。
本発明のトナーは、前述のポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(A)および重合体(B)を含有する。
ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(A)の含有量は、特に制限されないが、トナー100質量部当たり、1〜70質量部であることが好ましい。ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(A)の含有量の下限値は10質量部がより好ましく、上限値は40質量部がより好ましい。
重合体(B)の含有量は、特に制限されないが、トナー100質量部当たり、30〜99質量部であることが好ましい。重合体(B)の含有量の下限値は60質量部がより好ましく、上限値は90質量部であることがより好ましい。
本発明のトナーには、前述のポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(A)および重合体(B)以外にも、必要に応じて、ワックス、着色剤、荷電制御剤等の添加剤を配合することができる。
本発明のトナーに用いることができるワックスとしては、特に制限されないが、ライスワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス、蜜蝋、ポリプロピレン系ワックス、ポリエチレン系ワックス、合成エステル系ワックス、パラフィンワックス、脂肪酸アミド、シリコーン系ワックス等を挙げることができる。これらは、単独でまたは2種以上の混合物として用いることができる。
ワックスの融点は、特に制限されないが、60〜100℃が好ましい。ワックスの融点が60℃以上の場合はトナーの耐ブロッキング性が良好となる傾向にあり、100℃以下の場合にはトナーの低温定着性が良好となる傾向にある。ワックスの融点の下限値は65℃以上が特に好ましく、上限値は95℃以下が特に好ましい。融点が60〜100℃のワックスの例として、例えば、ライスワックス(融点79℃)、カルナバワックス(融点83℃)、パラフィンワックス(融点40〜90℃)、蜜蝋(融点64℃)等を挙げることができる。
また、ワックスの25℃における針入度は、特に制限されないが、3以下であることが好ましい。また、ワックスとしては、アルコール成分を含有するものが好ましい。25℃における針入度が3以下であるワックスを使用すると、トナーの画像安定性が良好となる傾向にある。25℃における針入度が3以下であり、アルコール成分を含有するワックスの例としては、ライスワックス、カルナバワックス等を挙げることができ、特にカルナバワックスが好ましい。
ワックスの含有量としては、特に制限されないが、トナー全量中、0.1〜10質量%が好ましい。0.1質量%未満の場合、トナーの非オフセット性が悪くなる傾向にあるためである。より好ましくは0.5質量%以上である。また、含有量が10質量%を超えると、トナーの光沢性や画像安定性が悪くなる傾向にあるためである。より好ましくは、8質量%以下である。
着色剤としては、特に制限されず、カーボンブラック、ニグロシン、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、ローダミン系染顔料、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系染料または顔料等を使用することができる。これらの染料や顔料は、単独であるいは混合して使用することができる。フルカラートナーの場合には、イエローとしてベンジジンイエロー、モノアゾ系染顔料、縮合アゾ系染顔料など、マゼンタとしてキナクリドン、ローダミン系染顔料、モノアゾ系染顔料など、シアンとしてフタロシアニンブルー等を挙げることができる。着色剤の含有量は、特に制限されないが、トナーの色調や画像濃度、熱特性を考慮すると、トナー全量中、2〜10質量%が好ましい。
荷電制御剤としては、特に制限されず、4級アンモニウム塩、塩基性または電子供与性の有機物質等の正帯電制御剤;金属キレート類、含金属染料、酸性または電子求引性の有機物質等の負帯電制御剤を使用することができる。カラートナーの場合、帯電制御剤が無色ないし淡色で、トナーへの色調障害がない方が好ましいことを考慮すると、サリチル酸またはアルキルサリチル酸のクロム、亜鉛、アルミニウム等との金属塩、金属錯体、アミド化合物、フェノール化合物、ナフトール化合物等が好ましい。これらの荷電制御剤の含有量は、特に制限されないが、トナー全量中、0.5〜5質量%が好ましい。この含有量が0.5質量%以上の場合にはトナーの帯電量性能が充分となる傾向にあり、5質量%以下の場合には荷電制御剤の凝集による帯電量低下が抑制される傾向にある。
トナーのガラス転移温度は、特に制限されないが、30〜80℃が好ましい。トナーのガラス転移温度が30℃以上の場合に耐ブロッキング性が良好となる傾向にあり、80℃以下の場合に低温定着性が良好となる傾向にある。
トナーの軟化温度は、特に制限されないが、80〜200℃が好ましい。トナーの軟化温度が80℃以上の場合に高温オフセット性が良好となる傾向にあり、200℃以下の場合に低温定着性が良好となる傾向にある。
このようにして得られたトナー粒子には、外添剤を配合することができる。外添剤としては、特に制限されないが、例えば、微粉末状のシリカ、アルミナ、チタニア等の流動性向上剤、マグネタイト、フェライト、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、導電性チタニア等の無機微粉末、スチレン樹脂、アクリル樹脂などの抵抗調節剤、滑剤などを挙げることができる。
本発明のトナーは、磁性1成分現像剤、非磁性1成分現像剤、2成分現像剤の何れの現像剤としても使用できる。磁性1成分現像剤として用いる場合には磁性体を含有し、磁性体としては、例えば、フェライト、マグネタイト等を初めとする、鉄、コバルト、ニッケル等を含む強磁性の合金の他、化合物や強磁性元素を含まないが適当に熱処理することによって強磁性を表すようになる合金、例えば、マンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−スズ等のマンガンと銅とを含む所謂ホイスラー合金、二酸化クロム等を挙げることができる。また、2成分現像剤として用いる場合、キャリアと併用することができる。キャリアとしては、鉄粉、マグネタイト粉、フェライト粉などの磁性物質、それらの表面に樹脂コーティングを施したもの、磁性キャリア等の公知のものを用いることができる。樹脂コーティングキャリアのための被覆樹脂としては、一般に知られているスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル共重合系樹脂、シリコーン系樹脂、変性シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、それらの樹脂の混合物などを用いることができる。
次に、本発明のトナーの製造方法について説明する。本発明のトナーは、公知の方法によって製造することができる。例えば、前述のポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(A)、ポリエステル重合体(B)、ワックス、着色剤、荷電制御剤、および磁性体等のトナー用添加剤を混合し、単軸または多軸の押出機、バッチ型混練機、二本ロール等公知の混合機を用いて溶融混練した後、粗粉砕、微粉砕、分級を行って、トナー粒子を得ることができる。また、トナー粒子を球形にするなどの処理を行ってもよい。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明する。なお、例中において、特に記載がない限り、「部」は質量部を、「%」は質量%を意味する。
これらの実施例において示される物性、性能の測定、評価の方法は次の通りである。
(1)ガラス転移温度
100℃に加熱し、急冷した試料を、示差走差熱量計を用いて、昇温速度5℃/分で測定し、温度に対する熱量に関する曲線において、ガラス転移の開始前後の2つの接線の交点の温度とした。
(2)軟化温度
(株)島津製作所製フローテスターCFT−500を用いて、ノズル:D=1.0mm,L=10mm、荷重30kgf、昇温速度3℃/分で測定し、バレルに試料1gを投入し、試料量の1/2が押出された時の温度を軟化温度とした。
(3)酸価
KOH溶液を用いた滴定法により測定した。
(4)光沢
定着器を取外した市販のプリンターを用いて、紙上にベタ画像を現像した後、定着ローラーの回転速度および温度を変更できる定着装置を用いて、紙が定着ローラーを通過する速度を100mm/秒、定着ローラーの温度を175℃として、現像紙の定着を行った。印刷部分の光沢を、日本電色工業(株)製のグロスメーターPG−1を用いて、入射角75度の条件で測定した。
(5)定着率
定着器を取外した市販のプリンターを用いて、紙上にベタ画像を現像した後、定着ローラーの回転速度および温度を変更できる定着装置を用いて、紙が定着ローラーを通過する速度を100mm/秒、定着ローラーの温度を175℃として、現像紙の定着を行った。印刷部分を折り曲げて加重5kg/cmをかけた後、セロテープ(登録商標)を貼って剥がした。この操作の前後における印刷部分の光量をマクベス光量計を用いて測定し、(セロテープ(登録商標)剥離後の光量)/(セロテープ(登録商標)を貼る前の光量)×100を定着率とした。
(6)低温定着性
定着器を取外した市販のプリンターを用いて、紙上にベタ画像を現像した後、定着ローラーによる紙の送り速度を100mm/秒に設定し、定着ローラーの温度を変えながら、現像紙の定着を行って、トナーが紙に定着し始める下限の温度を測定した。
(7)高温オフセット性
定着器を取外した市販のプリンターを用いて、紙上にベタ画像を現像した後、定着ローラーによる紙の送り速度を30mm/秒に設定し、定着ローラーの温度を変えながら、現像紙の定着を行って、定着紙の光沢を測定した。光沢が低下しない上限の定着温度を測定した。
製造例1 ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(A−1)の製造
攪拌翼、コンデンサー、熱伝対、窒素導入口を備えたセパラブルフラスコに蒸留水190部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0部、スチレン75部、ブチルアクリレート25部、クメンヒドロパーオキシド0.4部、n−オクチルメルカプタン0.1部を仕込み、窒素気流下に40℃に昇温した。次いで、硫酸鉄(II)0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.003部、ロンガリット塩0.24部、蒸留水10部の混合液を加え、ラジカル重合を開始させた。発熱が終了した後、系内の温度を40℃で1時間保持して重合を完了させ、スチレン−ブチルアクリレート共重合体粒子分散液(L−1)を得た。重合体の重量平均分子量は2.5万であった。固形分濃度は33.2%、重量平均粒子径は102nmであった。
ポリテトラフルオロエチレン粒子分散液として旭ICIフロロポリマーズ(株)製のフルオンAD936を用いた。AD936の固形分濃度は63.0%であり、ポリテトラフルオロエチレンに対して5%のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルを含むものである。AD936の分散粒子の重量平均粒子径は290nmであった。83.3部のAD936に蒸留水116.7部を添加し、固形分濃度26.2%のポリテトラフルオロエチレン粒子分散液(L−2)を得た。このL−2は、25%のポリテトラフルオロエチレン粒子と1.2%のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルを含むものである。
180.7部のL−1(スチレン−ブチルアクリレート共重合体60部)と、160部のL−2(ポリテトラフルオロエチレン40部)とを、攪拌翼、コンデンサー、熱電対、窒素導入口を備えたセパラブルフラスコに仕込み、窒素気流下に室温で1時間攪拌した。その後、系内を80℃に昇温し、1時間保持して、粒子分散液を得た。得られた粒子分散液の固形分濃度は29.4%であり、重量平均粒子径は220nmであった。
この粒子分散液340.7部を塩化カルシウム10部を含む70℃の熱水800部に投入し、固形物を分離させ、濾過し、乾燥してポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(A−1)98部を得た。
製造例2
製造例1と同様の方法で得られたスチレン−ブチルアクリレート共重合体粒子分散液(L−1)を、塩化カルシウム10部を含む70℃の熱水800部に投入し、固形物を分離させ、濾過し、乾燥してスチレン−ブチルアクリレート共重合体粉体(A−2)を得た。
実施例1
ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(A−1)1質量%と、ポリエステル共重合体(B−1)(テレフタル酸81モル部、イソフタル酸1モル部、無水トリメリット酸18モル部、ポリオキシプロピレン(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン60モル部、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン10モル部、エチレングリコール32モル部からなり、軟化温度140℃、ガラス転移温度56℃、酸価6mgKOH/g)99質量%とを混合した樹脂組成物91.5部に、キナクリドン顔料4.5部、荷電制御剤(日本カーリット(株)製LR147)1部、並びにワックス(東洋ペトロライド(株)製カルナバワックス1号)3部を混合し、二軸押出機を用いて溶融混練した。得られた塊状物を日本ニューマティック工業(株)製チョッパーミルを用いて粉砕した後、日本ニューマティック工業(株)製ラボジェットを用いて平均粒径13〜17μmに粉砕し、分級機を用いて、得られた粉砕物から粒径5μm以下の粒子を除去した。分級後のトナー100部に対して、流動性向上剤(日本アエロジル(株)製RY200)2部を混合し、得られたトナーを用いて印刷性能を評価した。結果を表1に示す。
実施例2〜4および比較例1〜6
ポリテトラフルオロエチレン体含有混合粉体(A−1)またはスチレン−ブチルアクリレート共重合体粉体(A−2)、粉末状のポリテトラフルオロエチレン(A−3)およびポリエステル共重合体(B−2)、スチレン−ブチルアクリレート共重合体(B−3)または(B−4)の添加量を表1および2に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法でトナーを得た。評価結果を表1に示す。
尚、粉末状のポリテトラフルオロエチレン(A−3)としては、旭ICIフロロポリマーズ(株)製フルオンCD123を用いた。フルオンCD123は、粒子径0.2〜0.3μmのポリテトラフルオロエチレン一次粒子が凝集して数100μmの凝集体となっているものである。ポリエステル共重合体(B−2)は、テレフタル酸81モル部、イソフタル酸1モル部、無水トリメリット酸18モル部、ポリオキシプロピレン(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン60モル部、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン10モル部、エチレングリコール27モル部からなり、軟化温度150℃,ガラス転移温度56℃,酸価6mgKOH/gであった。
スチレン−ブチルアクリレート共重合体(B−3)は、スチレン70部、ブチルアクリレート30部からなり、ガラス転移温度63℃、軟化温度141℃、酸価10mgKOH/g、ゲル分率0%であった。
スチレン−ブチルアクリレート共重合体(B−4)は、スチレン70部、ブチルアクリレート30部、ジビニルベンゼン1部からなり、ガラス転移温度63℃、軟化温度141℃、酸価10mgKOH/g、ゲル分率50%であった。
Figure 0004522905
Figure 0004522905
実施例1〜4からわかる通り、本発明のトナーは、低温定着性、耐高温オフセット性、定着率、光沢に優れるものであった。
比較例1および6からわかる通り、ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体を含有しない場合、得られたトナーは、耐高温オフセット性に劣っていた。
比較例2からわかる通り、スチレン−ブチルアクリレート共重合体のみを添加した場合、得られたトナーは、耐高温オフセット性に劣っていた。
比較例3からわかる通り、粉末状のポリテトラフルオロエチレンのみを添加した場合、得られたトナーは、光沢、高温オフセット性、定着率に劣っていた。
比較例4からわかる通り、スチレン−ブチルアクリレート共重合体および粉末状のポリテトラフルオロエチレンを添加した場合、得られたトナーは、高温オフセット性、定着率、光沢に劣っていた。
比較例5からわかる通り、(共)重合体が架橋部分を含有する場合、得られたトナーは、粉砕性、低温定着性に劣っていた。
本発明は、複写機やプリンターによる電子写真記録における消費電力の低減、カラー化、高速印刷化を促進可能な、低温定着性、耐高温オフセット性に優れるトナーを提供するので、産業上有用である。

Claims (5)

  1. ポリテトラフルオロエチレン粒子(a−1)分散液およびスチレン−ブチルアクリレート共重合体粒子(a−2)分散液を混合し、粉体化して得られたポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(A)と、およびスチレンアクリル重合体(B)とを溶融混練した後、粉砕するトナーの製造方法。
  2. ポリテトラフルオロエチレン粒子(a−1)が10μmを超える粒子径を有する凝集体を含まない、請求項1に記載のトナーの製造方法。
  3. ポリテトラフルオロエチレン粒子(a−1)が0.05〜1.0μmの粒子径を有する、請求項1または2に記載のトナーの製造方法。
  4. ポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体(A)中に占めるポリテトラフルオロエチレン粒子(a−1)の含有量が0.1〜90質量%である、請求項1〜3のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載した製造方法により得られたトナー。
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