JP4522677B2 - Al−Cu接合構造物およびその製造方法 - Google Patents

Al−Cu接合構造物およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アルミニウムまたはアルミニウム合金(以下、これらを総称して「Al(アルミニウム)」という)部材と、銅または銅合金(以下、これらを総称して「Cu(銅)」という)部材との接合構造物およびその製造方法に関する。
更に詳しくは、Al部材とCu部材との接合面のインサート材として銀または銀合金(以下、これらを総称して「Ag」という)を用いてろう付け接合をする場合に、適正なろう付け条件を選択することにより、延性的変形挙動を示し、優れた接合強度を発揮することができるAl−Cu接合構造物およびその製造方法に関するものである。
Al(アルミニウム)およびCu(銅)が具備する特性を併せて活用するため、Al−Cu接合部を有する構造物の開発が望まれている。AlおよびCuが有する熱伝導性を有効に活用する構造物としては、熱の発生源から伝熱によって熱を移動させる熱交換装置、例えば、半導体デバイスの冷却に使用されるヒートシンクのように、各種機器の放熱を助ける装置がある。また、AlおよびCuが有する導電効率に優れた特性を有効に活用する構造物としては、通電効率を高めることができる電極装置、例えば、アルマイト電極のように、通電ロスを極力少なくできる機器が対象となる。
従来から、AlとCuの異材接合に関して、拡散接合、摩擦圧接および爆着等の固相接合法の適用が検討されており、一部では実用化に至っている接合方法もある。しかし、これらの接合方法では、接合体の形状、寸法に制限があり、特に電子部品等に代表される精密部品への適用は困難である。
一方、ろう付は、金属の接合法として従来から汎用されている技術であり、簡易であるとともに、被接合材の自由度が大きいことから、精密部品への適用も容易である。したがって、今後の精密部品の加工において、さらなる低コスト化の要請も予測されることから、Al−Cuの異材接合においてろう付接合の適用が検討されている。
図1は、Al−Si系ろう材を用いてAlとCuを直接ろう付した異材接合における、接合部の代表的な組織を模式的に示した図である。このときの接合条件は、Al−Si−Mg−Bi系のろう材を用いて、ろう付け温度を803K、ろう付け時間を60secとしている。
同図に示すように、Al−Cuの接合部には、層状に生成したδ相および不定形なθ相の2種類の金属間化合物の形成が認められるが、これらはいずれもAl−Cuの金属間化合物である。
Al−Cuの接合部の特性を明確にするため、母材Al、母材Cuおよびこれらの金属間化合物の硬さを測定すると、母材Alおよび母材CuがともにHv100以下であるのに対し、層状に生成したδ相および不定形なθ相層状の金属間化合物の硬度はHv480〜620であり、母材に比べて著しく硬く、脆弱な組織であることが予測される。
さらに、ろう付接合部のせん断破壊試験の結果によれば、接合部の変形破壊は脆性的な挙動を示し、母材の変形を殆ど伴わないものである。具体的には、変形破壊は接合部で生じており、接合部の引張強さは12.5Mpa程度に留まり、母材Al(工業用純Al)の引張強さの65Mpaに比べ、著しく低い値となっている。
したがって、Al−Cuを直接ろう付した接合部では、接合部の引張強さはろう付部に形成される金属間化合物層の強度に支配され、脆性的な破壊機構であり、接合強度が確保できない。このため、Al−Cuを直接ろう付した接合部を設けた構造物は、前述した熱交換装置や電極装置として採用することができない。
前述の通り、Al−Cuを直接ろう付した接合部には、AlとCuからなる2種類の非常に硬い金属間化合物としてδ相とθ相が形成され、その強度および形成形態が構造物の接合強度に影響を及ばすことになる。
このため、Al−Cu接合部の強度改善を目的として、種々の金属をインサート材に用いたろう付け試験を実施した結果、Agをインサート材に用いた場合に最も接合強度を確保できることに着目した。すなわち、AgをAl−Cuの接合面に挿入することにより、Al−Cuの直接反応による金属間化合物の生成を抑制することでき、接合強度を改善することができる。
本発明者らは、このような着目に基づいて、先に「Al部材とCu部材との接合に際して、前記Cu部材の接合面に金属層、すなわちAg層を形成し、このAg層と前記Al部材の接合面とろう付することを特徴とするAl部材とCu部材の接合方法および接合構造物」に関する発明を提案している(特願2002−321182、参照)。
図2は、Al−Si系ろう材を用いてAl−Cuの接合面にインサート材としてAgを挿入した異材接合における、接合部の代表的な組織を模式的に示した図である。このときの接合条件は、Al−Si−Mg−Bi系の合金ろう材を用いて、ろう付け温度を823K、ろう付け時間を600secとしている。
Ag−Cuの2元系平衡状態図によれば、この組み合わせは典型的な共晶反応系であり、すべての組成域で金属間化合物の生成は認められず、また共晶点温度は1052Kと高温である。このため、Cu−Agの接合部は、ろう付により組織的な変化は観察されず、AlやCuの反応やそれによる脆弱な金属間化合物の形成は認められない。
一方、Ag−Alの接合部における反応領域では複雑な形態をとっており、図2の模式図に示すように、4つの領域に分類される。ろう材とAgの反応界面には不定形相の第1相が生成しており、この第1相中に塊状の生成相からなる第2相が認められる。第1相からろう材側には板状の生成物が第4相中に網目状に生成して、第3相を構成している。
X線マイクロアナライザー(EPMA)による元素分析の結果から、第1相および第3相はAlとAgの金属間化合物であるAg2Alであることが認められる。また、第2相はろう材に含有されているSiであり、第4相はろう材中のAlである。
金属間化合物の硬さを確認すると、Ag2AlはHv300程度であり、前記図1に示したδ相やθ相に比べて柔らかいことが分かる。接合部の引張試験を行うと、破壊挙動は母材Alでの延性的な破壊を示しており、接合部の引張強さも母材Alと同等であって、Al−Cuを直接ろう付した接合に比べ、強度が飛躍的に向上している。
このように、Al−Cuの接合面にインサート材としてAgを挿入して、ろう付け接合することによって、ろう付部に初期のAgが残存し、AlとCuの直接反応を阻害することができる。これにより、AlとCuによる有害な金属間化合物の生成を抑制でき、さらに、金属間化合物として形成されるAg2Alは比較的柔らかく、かつAlマトリックス中に網目状に分散する形態になることから、前記図2に示すAg−Alの接合部は、優れた接合特性を発揮することができる。
ところが、Al−Cuとの接合面のインサート材としてAgを用いてろう付け接合する場合に、ろう付け条件によっては、接合強度が安定しないという問題がある。そこで、ろう付温度を793〜843K、およびろう付時間を60〜3600secの範囲で変動させてろう付試験を行い、各条件での試験片のろう付状況の外観調査を実施した。
図3は、このときの条件でインサート材としてAgを用いてろう付接合した試験片のろう付状況を外観調査した結果を示す図である。同図中では、十分な液相が発生せずろう付ができなかった場合を×印で、部分的な液相の発生が認められた場合を△印で、十分な液相の発生が認められ良好なろう付ができた場合を○印で、液相の発生が過度であり母材Alの溶融が著しかった場合を□印で、それぞれ示している。
図3に示す結果から、良好なろう付が得られるろう付け条件は制限されており、常時、安定した接合特性を発揮させるには、ろう付温度を適切な範囲を設定することに加えて、適切なろう付け時間を設定することが重要であることが分かる。
本発明は、上述したインサート材としてAgを用いてろう付けするAl−Cu接合構造物が包含する問題点に鑑みてなされたものであり、ろう付け接合に際し、適切なろう付け条件を選択することにより、安定した接合特性(接合部の引張強さ、変形・破壊挙動)を確保することができるAl−Cu接合構造物およびその製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、上述の課題を解決するため、種々の条件でAgをインサート材としてAl−Cuろう付け接合を行い、ろう付条件と接合強度の関係を詳細に調査した。
後述する実施例に示す図4は、各ろう付温度における接合部の引張強さとろう付時間の関係を示す図である。同図に示すように、ろう付温度が813Kでは、十分な液相が発生せず、ろう付けが充分に生ぜず、母材変形をほとんど伴わない脆性的な破壊となり、引張強さも著しく低い値になる。
一方、ろう付温度を818Kおよび823Kにした場合において、ろう付時間が長時間になると、ろう付時間の経過とともにAlの拡散によりAg層が減少し、残存Ag層が消滅することによって、Al−Cuの直接反応が起こり、引張強さも急激に低下することを示している。
したがって、このような結果から、接合部の接合強度および変形破壊挙動は残存するAg層に依存することに着目し、ろう付温度を適切な範囲に設定することによって、十分な液相を発生させ良好なろう付を行うとともに、初期Ag層を消滅させないようにろう付け時間を設定することが重要であることを知見した。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、下記(1)のAl−Cu接合構造物、および(2)のAl−Cu接合構造物の製造方法を要旨としている。
(1)Al部材とCu部材との接合面にインサート材としてAgを用いAl−Si系ろう材で構成されたろう付け接合構造物であって、ろう付け後に前記接合面に10μm以上のAg層が残存し、Ag−Al間に網目状のAg2Alが形成されたことを特徴とするAl−Cu接合構造物である。
(2)Al−Si系のろう材を用いてAl部材とCu部材とをろう付け接合するに際し、これらの接合面のインサート材としてAgを用い、ろう付け温度を813K超えとして、
当該Ag層を10μm以上残存させ、Ag−Al間に網目状のAg2Alを形成させることを特徴とするAl−Cu接合構造物の製造方法である。
上記(2)のAl−Cu接合構造物の製造方法では、インサート材の厚さを100μmとした場合に、ろう付け温度を823K±5Kとし、かつろう付け時間を1800sec以下とするのが望ましい。
さらに、上記(1)〜(3)で残存させることとしているAg層の厚さは、10μm以上にするのが望ましい。
本発明で採用する「ろう付け」は、特にその条件を限定するものでなく、Al−Ag接合に通常用いられる方法であればよい。ろう付け接合部に安定してAl−Agの金属間化合物であるAg2Alを形成させるには、Al−Si系ろう材を用いるのが望ましく、前記ろう材のうちでAl−Si−Mg−Bi系の合金ろうを使用するのが更に望ましい。
本発明のAl−Cu接合構造物の製造方法によれば、適切なろう付温度範囲とともに、適切な保持時間を設定するので、Al−Cu接合面に有効なAg層を残存させることができる。これにより、得られたAl−Cu接合構造物は延性的な変形・破壊挙動を示し、接合部の引張強さも母材Alと同等の強度を確保することができ、優れた接合特性を発揮すことができる。
本発明のAl−Cu接合構造物では、Al部材とCu部材との接合面のインサート材としてAgを用いたろう付け接合構造物であって、ろう付け後に前記接合面にAg層が残存していることを特徴としている。本発明で、Al−Cuの接合面にAg層が残存していることを必須としているのは、次の理由による。
第一には、ろう付されたAl−Cu接合部にAg層を残存させ、Al−Cuの直接反応を阻害することにより、Al−Cuによる有害な金属間化合物であるδ相やθ相の生成を抑制するためである。
第二としては、Al−Cu接合部にAg層を残存させることによって、Ag−Alの金属間化合物であるAg2Alを網目状に形成することを促進し、これを維持するためである。
一般に、金属間化合物は脆性的であり、Ag2Alもその硬さからみて、Al−Cuの金属間化合物であるδ相やθ相と同様に、低強度を示すことが予測される。しかし、Ag2Alは周辺のAl中に網目状に分散する形態で形成されているため、例え、その一部が破壊したとしても、直ちに全体の破壊に至らず、周辺のAlの延性的な変形・破壊挙動に応じた挙動を示すため、接合部の強度は、母材Alと同等の強度を示すことができる。
本発明では、上述したAg層の作用を確保するために、残留する層厚さを10μm以上とする必要がある。一方、AlとCuの直接反応を阻害できれば、Al−Agの金属間化合物であるAg2Alが形成される領域はAg層の厚さに依存しないので、直接、Ag層の厚さは接合強度に影響を及ぼさない。このため、本発明では、Ag層の厚さの上限を規定しない。
本発明の製造方法では、適切なろう付温度範囲を設定するのと同時に、そのろう付温度での保持時間中に残存Ag層を消滅させないように、ろう付け時間を設定することが必要になる。適切なろう付温度としては、接合部に十分な液相の発生が認められ、良好なろう付ができる温度を選択する。さらに、ろう付時間の経過とともにAlの拡散により減少するため、所定のAg層厚さを残存できるろう付け時間を選択する。
接合部の引張強さは、ろう付部にAg2Alが網目状に形成された領域に依存し、残存Ag層の幅には影響を受けずほば一定の値を示すが、ろう付け時間が不適切で残存Ag層が消滅すると、Al−Cuの直接反応が起こることによって、急激に低下することになる。
本発明の製造方法では、Al−Si系のろう材を用いる場合には、ろう付け温度を813K超えにする必要がある。例えば、Al−10Si−1.5Mg−0.1Bi系の合金ろうを使用すると、その固相線温度は832K、液相線温度は864Kであるが、ろう付の初期段階でろう材中にAgが拡散し、ろう材の融点が低下することになる。しかし、このようなろう材の融点低下を考慮しても、ろう付け温度が813K以下では、十分な液相が発生せずろう付けが進展しないことになる。
また、本発明の製造方法では、Al−Si系のろう材を用いる場合に、ろう付け温度を823K±5Kとするのが望ましい。上述の通り、ろう付け温度が前記規定する下限温度未満になると、十分な液相が発生せずろう付けが進展しない。一方、ろう付け温度が前記規定する上限温度を超えるようになると、母材Alの溶融が激しく、構造物の形状を維持できなくなるためである。
さらに、上記の製造方法では、インサート材の厚さが100μmとした場合に、ろう付け温度を823K±5Kとし、かつろう付け時間を1800sec以下にする。初期Ag層はろう材との反応により一部溶融し、ろう付時間の経過とともに減少するため、所定のAg層の厚さが残存するように、ろう付け時間を制限する。
ところが、上記のろう付け時間の制限は、インサートされる初期Ag層の厚さとの関係で規定されるものである。したがって、インサートされる初期Ag層が十分に厚く、Al−Cuをろう付け接合する際に、これらの接合面にAg層を残存させることができる限りにおいて、ろう付け時間は限定されない。
実製品のろう付条件を検討する際には、接合部全体が一様なろう付温度になるように、製品の大きさに応じて長時間保持することが必要になる。このような場合であっても、前述したように残存Ag層を消滅させないような条件設定を行なうとともに、必要なれば、初期Ag層の厚さを増加させるように設計する。
本発明のAl−Cu接合構造物およびその製造方法の効果を、具体的な実施例に基づいて説明する。
(1)供試材料および実験方法
実施例に使用した母材Alは、市販の工業用純アルミニウム(A1050)とし、ろう材は市販のAl−10Si−1.5Mg−0.1Bi系ろう材箔(4104相当、固相線温度:832K、液相線温度:864K、厚さ:100μm)とした。インサート材に用いたAgとして純銀箔(純度99.99%)を使用し、これを無酸素鋼(C1020)にクラッドした市販のAgクラッドCu板(Ag厚さ:100μm、Cu厚さ:3mm)を用いた。
試験片のろう付は、抵抗加熱ヒータを用いた高温真空炉によって行い、試験片の形状は、重ね継手試験片と軸方向引張試験片の2種類とした。軸方向引張試験片は、30mm角のAgクラッドCu板と、直径28mmのAl丸棒とをろう材を挟んで積層してろう付した後、所定の寸法に機械加工で仕上げたものである。これらをステンレス鋼製の専用治具にボルトで固定し、引張試験に供した。
ろう付条件は、スプリングにより初期荷重0.1Mpaを負荷し、炉内真空度を0.3〜0.4mPaとして保持して、ろう付温度:813〜830Kおよびろう付時間:60〜3600secとした。
ろう付接合部の引張試験は、オートグラフによる静的引張試験とし、クロスヘッドの移動速度は8.3×10-2mm/secとした。
(2)ろう付け試験結果
図4は、ろう付温度を変化させた場合(813〜830K)の接合部の引張強さとろう付時間の関係を示す図である。ろう付温度813Kでは、全てのろう付時間において母材変形を殆ど伴わない脆性的な破壊となり、破断位置はすべてろう付部であり、引張強さは平均で約15Mpaと極めて低い値であった。接合部は十分な液相が発生せず、ろう付けができなかった。
ろう付け温度が818Kおよび823Kの場合には、ろう付け時間が1800sec以下では、接合部の引張強さは65Mpaと母材Alの引張強さにまで上昇しており、母材Al側で破壊するものもみられる。また、破壊に至るまでに大きな母材変形をともなっており、延性的な変形・破壊挙動を示した。
しかしながら、ろう付け温度が818Kおよび823Kの場合でも、ろう付時間が3600secになると、引張強さの急激な低下が見られた。ろう付時間の経過とともに残存Ag層が消滅し、AlとCuの直接反応が起こったことによるものである。
ろう付け温度が830Kの場合は、ろう付時間が60secデータしかない。これは、ろう付時間がこれ以上長くなると、母材Alの溶融が激しく、試験片形状を維持できなかったためである。この場合は、母材変形を伴わない脆性的な変形破壊挙動を示し、破断位置はろう付部であった。
図5は、ろう付温度が818Kおよび823Kである場合における、ろう付時間と接合部の引張強さとの関係、およびろう付時間と残存Ag層の厚さと関係を示す図である。図中では、ろう付時間と接合部の引張強さとの関係を○、△印で、ろう付時間と残存Ag層の厚さと関係を●、▲印で示している。
前述の通り、初期Ag層はろう材との反応により一部溶融し、さらに、ろう付時間の経過とともにAlの拡散により減少する。このため、ろう付け時間が3000secを超えるようになると、残存するAg層が消滅し、AlとCuの直接反応が起こることにより、接合強度は急激に低下する。
図6は、ろう付温度が818Kおよび823Kである場合における残存Ag層の厚さと接合部の引張強さとの関係を示す図である。接合部の引張強さは、ろう付部にδ相(Ag2Al)が網目状に形成された領域が存在する範囲では、残存Ag層の厚さには影響を受けずほば一定の値を示すが、残存Ag層の厚さが10μm未満となり、さらに消滅する場合には、AlとCuの直接反応が発生し、著しく低下することになる。
上述の通り、本発明のAl−Cu接合構造物の製造方法によれば、Al−Cu接合面にAg層を有効に残存させることができ、接合部の引張強さも母材Alと同等の強度を確保し、優れた接合特性を発揮することができる。
本発明のAl−Cu接合構造物によれば、Al−Cu接合面にAg層を残存させることができるので、延性的な変形、破壊挙動を示し、接合部の引張強さも母材Alと同等の強度を確保することができ、優れた接合特性を示すことができる。これにより、AlとCuの異材接合による構造材として広く利用することができる。
Al−Si系ろう材を用いてAlとCuを直接ろう付した異材接合における、接合部の代表的な組織を模式的に示した図である。 Al−Si系ろう材を用いてAl−Cuの接合面にインサート材としてAgを挿入した異材接合における、接合部の代表的な組織を模式的に示した図である。 ろう付温度を793〜843Kおよびろう付時間を60〜3600secの条件でインサート材としてAgを用いてろう付接合した試験片のろう付状況を外観調査した結果を示す図である。 ろう付温度を変化させた場合(813〜830K)の接合部の引張強さとろう付時間の関係を示す図である。 ろう付温度が818Kおよび823Kである場合における、ろう付時間と残存Ag層の厚さと関係、およびろう付時間と接合部の引張強さとの関係を示す図である。 ろう付温度が818Kおよび823Kである場合における残存Ag層の厚さと接合部の引張強さとの関係を示す図である。

Claims (3)

  1. Al部材とCu部材との接合面にインサート材としてAgを用いAl−Si系ろう材で構成されたろう付け接合構造物であって、
    ろう付け後に前記接合面に10μm以上のAg層が残存し、
    Ag−Al間に網目状のAg2Alが形成されたことを特徴とするAl−Cu接合構造物。
  2. Al−Si系のろう材を用いてAl部材とCu部材とをろう付け接合するに際し、これらの接合面のインサート材としてAgを用い、
    ろう付け温度を813K超えとして、
    当該Ag層を10μm以上残存させ、Ag−Al間に網目状のAg2Alを形成させることを特徴とするAl−Cu接合構造物の製造方法。
  3. インサート材の厚さを100μmとした場合に、
    ろう付け温度を823K±5Kとし、かつろう付け時間を1800sec以下としたことを特徴とする請求項2に記載のAl−Cu接合構造物の製造方法。
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