JP4522524B2 - 金属メッキ用黒鉛材及び金属メッキ被覆黒鉛部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属メッキ用黒鉛材及びその表面に金属メッキが施された金属メッキ被覆黒鉛部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、プラスチックの成形用成形型として鉄メッキを施した黒鉛製の成形型が採用されつつある。この成形型は、表面をメッキにより被覆された鉄の錆防止用に下地処理として電解メッキでニッケル皮膜を形成した後に、厚い鉄メッキ膜が被覆されている。
【0003】
ところが、下地処理として形成されたニッケル皮膜にピンホールがあると、鉄をメッキする際に、鉄のメッキ液がピンホールを通って黒鉛材にまで達し、鉄の錆の原因となり、これに起因して、黒鉛材からメッキ膜が剥離する原因となる。また、黒鉛材は、多孔質材料であるため、酸素が、これら黒鉛材の気孔を通過して鉄メッキ層に供給され、鉄メッキ層の錆を発生させることがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、表面に鉄メッキ等の金属メッキを施しても該金属メッキが錆びることがないように封孔処理が施された金属メッキ用黒鉛材、及びその表面に形成される金属メッキ層の錆の発生が抑制された金属メッキ被覆黒鉛部材を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明者らは、黒鉛材にアクリルモノマーを含浸させて、黒鉛材の気孔中で重合を行うことで、黒鉛材表面の気孔を封孔することができ、黒鉛材表面の金属メッキ被覆の防錆効果が得られ、更には、この金属メッキ被覆面の耐剥離性が向上することを見出し本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明の請求項1記載の金属メッキ用黒鉛材は、アクリルモノマーにより気孔が封孔され、開気孔率が5%以下であることを特徴とする。
アクリルモノマーは、親水性に富み、粘度が低いため、黒鉛材表面の気孔に入りやすく、低い温度で硬化することができる。そして、硬化しても収縮することがないという寸法安定性を有していることから、容易にかつ確実に黒鉛材表面の気孔を封孔することができる。ここで、アクリルモノマーは、次の化学式1で表され、分子量が100〜400の、メタクリル酸エステル等が好ましい。
【0007】
【化1】
【0008】
また、請求項2記載の金属メッキ被覆黒鉛部材は、アクリルモノマーにより気孔が封孔され、開気孔率が5%以下である黒鉛材の表面の一部若しくは全面に金属メッキが施されたものであることを特徴とする。
黒鉛材の表面がアクリルモノマーで確実に封孔処理されているため、金属メッキ層を黒鉛材の表面に直接形成することができる。また、金属メッキ処理液が黒鉛材気孔内に残存することがなくなり、表面に形成される金属メッキ層の錆の発生を抑制することができる。
【0009】
また、請求項3記載の金属メッキ用黒鉛材は、黒鉛材の表面の気孔に、アクリルモノマーを含浸して、前記表面の気孔から溢れ出た余剰のアクリルモノマーを除去して、前記気孔内のアクリルモノマーを硬化した前記黒鉛材の表面に、金属メッキを施したものである。
気孔から溢れ出た余剰のアクリルモノマーの除去程度によって、封孔された気孔内の、黒鉛材表面からのアクリルモノマーの含浸深さを調整することが可能となる。これによって、表面に施される金属メッキのアンカー効果の発現程度を調整することができる。すなわち、固着力を調整することができる。また、アクリルモノマーは、前述したように親水性に富むことから、メッキ液との馴染みが良く、金属メッキを施した時に、金属メッキにメッキむらが起こりにくくなる。
【0010】
また、請求項4記載の金属メッキ被覆黒鉛部材は、黒鉛材の表面の気孔に、アクリルモノマーを含浸して、前記表面の気孔から溢れ出た余剰のアクリルモノマーを除去して、前記気孔内のアクリルモノマーを硬化した前記黒鉛材の表面の一部若しくは全面に、金属メッキを施したものである。
気孔から溢れ出た余剰のアクリルモノマーの除去程度によって、封孔された気孔内の、黒鉛材表面からのアクリルモノマーの含浸深さが調整されているため、金属メッキの剥離や、メッキむらを抑制できる。
【0011】
また、請求項5の金属メッキ用黒鉛材は、請求項1又は3に記載の前記アクリルモノマーにより気孔が封孔された前記黒鉛材の、室温での吸液率が0.5%以下であるものである。
室温での吸液率が0.5%以下、さらに好ましくは0.3%以下とすることで、黒鉛材表面に存在する気孔を封孔することが可能となり、メッキ液の黒鉛材内部への浸透を防止するとともに、酸素が黒鉛材の裏面を通過し表面の金属メッキ層と直接触れることを抑制することができる。
【0012】
また、請求項6の金属メッキ被覆黒鉛部材は、請求項2又は4に記載の前記アクリルモノマーにより気孔が封孔された前記黒鉛材の、室温での吸液率が0.5%以下であるものである。
室温での吸液率が0.5%以下、好ましくは0.3%以下であるため、メッキ液の黒鉛材内部への浸透が抑制されるため、酸素が黒鉛材の裏面を通過し表面の金属メッキ層と直接触れることが抑制され、表面の金属メッキ被覆の錆びや剥離を抑制することができる。
【0013】
また、請求項7の金属メッキ用黒鉛材は、請求項1、3、5のいずれか1項に記載の金属メッキ用黒鉛材がプラスチック成形用成形型の基材として使用されるものである。プラスチック成形用成形型として使用する場合、型の温度は高くなっても、200℃前後であることから、アクリルモノマーによって、気孔を封孔した場合であっても、十分に使用に耐えうることができる。
【0014】
また、請求項8の金属メッキ被覆黒鉛部材は、請求項2、4、6のいずれか1項における金属メッキ被覆黒鉛部材が、プラスチック成形用成形型として使用されるものである。アクリルモノマーによって、黒鉛材表面の気孔が封孔されてあるので、金属メッキ層を黒鉛材表面に直接形成させることが可能となり、プラスチック成形用成形型として十分に使用可能となる強度とすることができる。
【0015】
以下、本発明のアクリルモノマーにより黒鉛材表面の気孔が封孔された金属メッキ用黒鉛材及びその表面の一部若しくは全面に金属メッキが施された金属メッキ被覆黒鉛部材について詳しく述べる。
【0016】
本発明で金属メッキが施される黒鉛材は、異方比が1.2以下、気孔率が18%以下、水銀圧入法による平均気孔半径が2μm以下であることが好ましい。なかでも、気孔率5〜18%、水銀圧入法で測定される平均気孔半径が0.1〜2.0μmの等方性黒鉛であることが好ましい。このような気孔率及び平均気孔半径の等方性黒鉛であると、アクリルモノマーで封孔処理することで、開気孔率を5%以下、好ましくは3%以下とすることができ、室温での吸液率を0.5%以下、さらには0.3%以下とすることができ、気孔内にアクリルモノマーを効率的にかつ十分に行き渡らせることができる。さらに、嵩密度が1.70〜1.95g/cm3 、室温での引っ張り強度が20〜100MPa、圧縮強度が50〜250MPa、曲げ強度が30〜120MPa、熱伝導率が50〜175W/(m・℃)、異方比1.00〜1.20のものが好ましい。このような等方性黒鉛基材を使用することで、プラスチック成形用成形型として使用することができる。
【0017】
以上のような特性の黒鉛材をアクリルモノマーに浸漬する。ここで、使用するアクリルモノマーは、分子量100〜400、室温での粘度0.8〜10Pa・sの、メタクリル酸エステル等が例示できる。これらは、粘度が低いため、黒鉛材の気孔内に容易にかつ確実に浸透する。そして、一般的な樹脂だと、硬化処理を行うと、収縮してしまい、1回の含浸処理では完全に封孔処理を行うことができないが、本発明で使用するアクリルモノマーは、90〜120℃で処理するとゲル状に硬化し、硬化の際に収縮することがないという優れた寸法安定性を有している。そのため、1回の含浸処理により気孔内の所定の深さにまで、これらアクリルモノマーを確実に浸透させることができ、気孔内で重合させることで、気孔内にゲル化したアクリルモノマーを形成させることができる。
【0018】
アクリルモノマーに1〜3日浸漬後、液から出して、表面に付着している余剰のアクリルモノマーを水洗するか、若しくは水に浸した布等で拭き取る等の任意の方法で、表面に付着したアクリルモノマーを除去する。
【0019】
図1には、表面のアクリルモノマーを除去後、硬化した黒鉛表面の断面模式図を示す。図1において、21は黒鉛材、22は気孔内に充填されたアクリルモノマーを示す。
【0020】
図1に示すように、表面のアクリルモノマー22を十分に除去すると、アクリルモノマー22は、表面から気孔内にある程度の深さまで除去される。そして、除去後、90〜120℃で硬化処理をした後でも、収縮しないため、確実に封孔された状態を維持することができる。このため、表面に金属メッキを施す時も、メッキ液が黒鉛材に浸透することがなくなる。また、金属メッキを施した金属メッキ被覆黒鉛部材とした場合は、アクリルモノマー22が、黒鉛材21の表面から気孔内にある程度の深さにまで除去されているため、これら気孔内に根を生やし、アンカー効果が発現し、金属メッキの固着力が高くなる。これらアクリルモノマー22が黒鉛材21の表面に残存した場合、金属メッキする際のメッキ液との濡れ性には特に影響はないが、金属メッキ被覆後の熱伝導率が低下するため、完全に除去する必要がある。
【0021】
次に、本発明にかかる金属メッキ被覆黒鉛部材の一実施形態例として、プラスチック成形用成形型として表面にニッケルメッキ層を介在させて鉄メッキ層を形成する場合について説明する。なお、本発明にかかる金属メッキ被覆黒鉛部材は、以下に限定されるものではない。
【0022】
所定形状に加工され、アクリルモノマーで封孔された黒鉛材表面は、前述の図1に示すように、アクリルモノマー22が、黒鉛材21の表面から気孔内にある程度の深さにまで除去されている。そのため、このままでも表面に金属メッキ層を形成すると、金属メッキが気孔内に根を生やし、アンカー効果によって黒鉛材表面に密着させることができる。さらに、黒鉛材の表面を、例えば、粒度が#120以下のブラスト材によってブラスト処理すると、黒鉛材と金属メッキ層間の密着性が一層向上する。このブラスト処理では、黒鉛材21の表面が比較的粗く粗面化されることが好ましく、特に、粒度が#100以下のブラスト材を使用することが好ましい。
【0023】
さらに、黒鉛材21の表面には、例えば、セラミックス表面をメッキする際に塗布されるパラジウム等の金属を含有する活性ペースト、例えば、奥野製薬工業株式会社製、商品名「CCP0−4280」を塗布することが好ましい。
【0024】
その後、図2(a)に示すように、黒鉛材21の表面には、厚さ10〜150μm程度のニッケルメッキ層32が、電気ニッケルメッキによって形成される。この電気ニッケルメッキ層32は、70〜170g/lの硫酸ニッケルと、15〜25g/lの塩化アンモニウムと、15〜30g/lのほう酸とが混合されてpH5.5になった20〜60℃程度のニッケルメッキ浴に黒鉛材21を浸漬して、そのニッケルメッキ浴に、1〜5A/dm2 の電流を所定時間にわたって通電することにより形成される。形成されたニッケルメッキ層32の硬度は、300〜450hv程度になっている。
【0025】
なお、電気ニッケルメッキ層32を形成する際の電気ニッケルメッキにおけるニッケルメッキ浴としては、上述したものに限定されるものではなく、例えば、一般的なスルフォン酸浴等も好適に使用することができる。
【0026】
黒鉛材21の表面にニッケルメッキ層32が形成されると、黒鉛材21全体が鉄メッキ浴に浸漬されて、黒鉛材21の表面に設けられたニッケルメッキ層32に、厚さ3mm程度の鉄メッキ層33が電鋳法によって形成される。鉄メッキ浴は、例えば、特公平2−59875号公報に開示されているように、220g/lの塩化第一鉄と、120g/lの硫酸第一鉄と、3価の鉄の悪影響を防止するための25g/lのフッ化ナトリウムと、3価の鉄から2価の鉄への還元剤として5g/lのピロガールとが混合されたpH3.5混合液によって構成されている。鉄メッキ浴は65℃の温床とされ、黒鉛材21が浸漬された状態で、1〜3A/dm2 の電流が、例えば、180時間にわたって通電される。
【0027】
このようにして、図2(b)に示すように、厚さ3mm程度の鉄メッキ層33がニッケルメッキ層32上に形成されると、図2(b)に示すように、鉄メッキ層33の表面が、プラスチック成形品の表面に対応した所定の表面形状となるように、例えばエンドミルによって、精密加工される。この場合、予め所定の形状に加工された黒鉛材21の表面に、ニッケルメッキ層32を介して鉄メッキ層33が設けられているために、鉄メッキ層33は、エンドミルによって細部が精密に機械加工される。その後、鉄メッキ層33の表面が研磨加工されて鏡面に仕上げられることで、所定の表面形状を有するプラスチック成形用成形型とすることができる。
【0028】
得られたプラスチック成形用成形型は、軽量な黒鉛材21に対して、鉄メッキ層33が、ニッケルメッキ層32を介して積層されて構成されているために、全体としてきわめて軽量になっており、取り扱いが容易である。また、表面の気孔がアクリルモノマー22によって封孔されているため、黒鉛材21の表面の、ニッケルメッキ層32にはピンホール等が形成されるおそれがない。たとえ、形成された場合であっても、黒鉛材21の気孔がアクリルモノマーによって封孔されているため、メッキ液が黒鉛材に浸透することがない。そして、ニッケルメッキ層32の上に鉄メッキ層33が密着状態で設けられているために、鉄メッキ層33は、黒鉛材21に対して容易に剥離するおそれがない。
【0029】
鉄メッキ層33は、多孔牲の黒鉛材21に対して、アクリルモノマー22によって封孔処理され、その表面に形成されたニッケルメッキ層32を介して積層された状態になっているために、多孔性の黒鉛材21内に進入した酸素が、アクリルモノマー22及びニッケルメッキ層32によって確実に遮断され、鉄メッキ層33に酸素が供給されるおそれがない。また、アクリルモノマーで黒鉛材21の気孔が封孔されているため、メッキ液が黒鉛材21中に浸透することもなく、そのため、鉄メッキ層33がメッキ液に触れることもなく、その結果、鉄メッキ層33が錆びることが確実に防止され、プラスチック成形用成形型として、長期にわたって安定的に使用することができる。
【0030】
さらに、基材として黒鉛材21を使用するため、プラスチック成形用成形型として使用すると、放熱性に優れているために加熱や冷却の為の媒体を付加する必要もなく、軽量で取り扱い性に優れたものとすることができる。また、プラスチック成形品を短時間で冷却することができ、プラスチック成形品の成形サイクルが短くなって、プラスチック成形品の製造効率を向上させることができる。
【0031】
鉄メッキ層33の厚さは、プラスチック成形用成形型として、十分な強度となり、長期にわたって安定的に使用することができるように、2mm以上であればよく、特に、3mm程度が好ましい。
【0032】
また、黒鉛材21と鉄メッキ層33との間に介在されるニッケルメッキ層32は、黒鉛材21の表面の気孔がアクリルモノマー22によって封孔されているため、従来よりも薄くすることが可能となる。また、用途によっては、ニッケルメッキ層32を形成することなく鉄メッキ層33を黒鉛材21の表面に直接メッキすることも可能である。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0034】
(実施例1)
嵩密度1.82g/cm3 、引張強度27MPa、曲げ強度44MPa、異方比が1.05の等方性黒鉛材(東洋炭素株式会社製)を基材として使用した。この黒鉛材を常温、常圧下で親水性アクリルモノマーに、1日浸漬し、浸漬後、液より取出、表面に付着したアクリルモノマーを除去した。除去後、120℃で処理し、気孔内のアクリルモノマーをゲル状に硬化し、試料とした。
【0035】
硬化処理後、アクリルモノマーの含浸率及び含浸深さを測定した。また、アクリルモノマーを含浸し、それをゲル状に硬化した黒鉛材の開気孔率を測定した。含浸率は、含浸前後の重量変化より求めた。また、含浸深さは、試料を切断し、実測して求めた。含浸率は2.5〜3.7重量%、含浸深さは13〜15mmであった。また、アクリルモノマー含浸後の黒鉛材の開気孔率は3.5〜4.5%であった。
【0036】
(比較例1)
比較用の試料として、アクリルモノマーを含浸していない実施例1と同じ等方性黒鉛材(東洋炭素株式会社製)を使用した。
【0037】
実施例1及び比較例1の試料について、メッキ用電解浴中に浸漬し、その吸液率をそれぞれ調べた。
【0038】
(吸液率の測定)
実施例1及び比較例1の試料を50×50×25mmに加工し、ニッケルメッキ浴に浸漬し、試料の重量増加率を測定することによって吸液率を求めた。浸漬時間は、吸液率が略飽和した時点とした。
【0039】
図3に吸液率の測定結果を示す。図3より、実施例1のアクリルモノマーを含浸した実施例1の試料は、ニッケルメッキ浴中の浸漬時間が長くなっても、また、液温が高くなっても、ほとんど重量増加が無く、ニッケルメッキ液が内部に浸透していないことがわかる。一方、比較例1のアクリルモノマーを含浸していない試料は、浸漬時間の経過とともに、また、液温が高くなるに従い、吸液率が大きくなっていることが判る。
【0040】
実施例1及び比較例1の黒鉛材をそれぞれ、プラスチック成形用成形型用の基材として、その表面にニッケルメッキ層を10μm、鉄を3mmの厚さでメッキして、成形型として使用したところ、アクリルモノマーを含浸してニッケル及び鉄をメッキした実施例1の黒鉛材からなる成形型は、10,000ショット使用しても表面の鉄メッキが剥離することがなかった。一方、比較例1の成形型は、100ショット使用すると、表面の鉄メッキに錆が発生し、黒鉛材から浮いたようになっていたので使用を中止した。
【0041】
【発明の効果】
本発明による金属メッキ用黒鉛材は、黒鉛材表面の気孔がアクリルモノマーによって確実に封孔処理されているため、金属メッキの際にメッキ液が黒鉛材に浸透しないため、メッキ液が黒鉛材中に閉じ込められることがなくなり、また、黒鉛中から侵入した酸素も遮断するため、メッキ層に酸素が供給されることもなく、金属メッキ被覆の錆の発生を抑制することが可能となる。さらに、気孔を確実に封孔できることから、金属メッキ被覆面を平滑な面とすることも可能となる。また、本発明による金属メッキ被覆黒鉛部材は、黒鉛材表面の気孔がアクリルモノマーによって確実に封孔処理されているため、表面の金属メッキにメッキむらもなく、また、金属メッキが黒鉛材に確実に固着しているため、剥離することが少なくなる。さらに、本発明による金属メッキ被覆黒鉛部材を、プラスチック成形用成形型等に使用すると、前述のような金属メッキ被覆の防錆効果等によって、プラスチック成形用成形型として長時間安定した特性を維持することが可能となる。加えて、本発明による金属メッキ用黒鉛材をプラスチック成形用成形型の基材として使用すると、前述のような金属メッキ被覆の防錆効果等によって、プラスチック成形用成形型として長時間安定した特性を維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアクリルモノマーを浸透、硬化させた黒鉛材の断面図の模式図である。
【図2】アクリルモノマーによって表面の気孔を封孔した黒鉛材の表面へのメッキ方法を説明するための図である。
【図3】本発明のアクリルモノマーで封孔処理した黒鉛材の吸液率を示す図である。
【符号の説明】
21 黒鉛材
22 アクリルモノマー
32 ニッケルメッキ層
33 鉄メッキ層
Claims (8)
- アクリルモノマーにより気孔が封孔され、開気孔率が5%以下である金属メッキ用黒鉛材。
- アクリルモノマーにより気孔が封孔され、開気孔率が5%以下である黒鉛材の表面の一部若しくは全面に金属メッキが施されてなる金属メッキ被覆黒鉛部材。
- 黒鉛材の表面の気孔に、アクリルモノマーを含浸して、前記表面の気孔から溢れ出た余剰のアクリルモノマーを除去して、前記気孔内のアクリルモノマーを硬化した金属メッキ用黒鉛材。
- 黒鉛材の表面の気孔に、アクリルモノマーを含浸して、前記表面の気孔から溢れ出た余剰のアクリルモノマーを除去して、前記気孔内のアクリルモノマーを硬化した前記黒鉛材の表面の一部若しくは全面に、金属メッキを施した金属メッキ被覆黒鉛部材。
- 前記アクリルモノマーにより気孔が封孔された前記黒鉛材の、室温での吸液率が0.5%以下である請求項1又は3に記載の金属メッキ用黒鉛材。
- 前記アクリルモノマーにより気孔が封孔された前記黒鉛材の、室温での吸液率が0.5%以下である請求項2又は4に記載の金属メッキ被覆黒鉛部材。
- プラスチック成形用成形型の基材として使用される請求項1、3、5のいずれか1項に記載の金属メッキ用黒鉛材。
- プラスチック成形用成形型として使用される請求項2、4、6のいずれか1項に記載の金属メッキ被覆黒鉛部材。
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