JP4522519B2 - エレクトロクロミックミラー用セルの製造方法及びエレクトロクロミックミラー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光などの電磁波に対する反射率を可逆的に変化させることが可能なエレクトロクロミックミラーの製造に用いるセルの製造方法、及びエレクトロクロミックミラーに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
エレクトロクロミック防眩ミラーは、電磁波に対する反射率を可逆的に変化させて後方車のヘッドライトの眩しさを防ぐために用いられているが、近年その需要は大幅に伸びている。
エレクトロクロミック防眩ミラーは、一般に透明導電性基板と反射性導電性基板の二枚の導電性基板の周縁部をシール剤によって貼り合わせた構造のセルに、電解質、そして必要によりエレクトロクロミック性化合物を注入することにより製造されている。
【0003】
エレクトロクロミック防眩ミラーに要求される性能としては、後方車のヘッドライトの反射光による眩しさを充分に防ぐことができることは勿論であるが、最近ではそれに加えて軽量化や高耐久性の要求が出てきている。
上記要求の一つである高耐久性は、ミラー内部にあるエレクトロクロミック部(エレクトロクロミック性化合物を含有する部分)を外環境から遮断して保護しているセルの周辺シールの性能に依存するところが非常に大きい。そしてシール剤としては通常エポキシ樹脂などの硬化性樹脂が用いられているが、本発明者らの検討では、従来のエレクトロクロミック防眩ミラーではシール部分に気泡ぶくれや亀裂によるシールの不具合(密封不良)が発生し、内部のエレクトロクロミック部がダメージを受け、性能が低下し易いことが判明した。
【0004】
従って、本発明の目的は、シールの密封不良を解消して、セル内部の性能の低下を抑制したエレクトロクロミックミラー用セルの製造方法、及びこのセルを用いたエレクトロクロミックミラーを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らの研究では、密封不良を生じさせるシール部分の気泡ぶくれや亀裂は、シール剤が硬化した後にシール剤に含まれている溶媒や低分子量成分が脱ガスすることが原因していると考えている。特に、エレクトロクロミック防眩ミラーでは、シールの幅が比較的太く、また二枚の基板間隔も比較的大きいために、シール剤の塗布量も多くなり、従って、シール後の脱ガスも非常に多くなる。本発明者らは、シール剤の硬化前に脱ガスが十分に行われるようにシール剤をプレキュアさせることで上記のようなシール不具合を防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明は、二枚の導電性基板の少なくとも一方の導電性基板の面上周縁部の所定の位置にエポキシ系シール剤を塗布する工程、二枚の導電性基板を重ね合わせる前に塗布したシール剤を加熱によりプレキュアし、シール剤が硬化途中にあり、まだ変形可能な状態で維持する工程、次いで二枚の基板同士を重ね合わせた状態で加熱により上記シール剤を変形のない状態に硬化させて基板同士を貼り合せる工程を含むことを特徴とする高分子固体電解質組成物含有エレクトロクロミックミラー用セルの製造方法にある。
【0007】
また、本発明は、前記の方法で製造したエレクトロクロミックミラー用セルに電解質前駆体を注入し、該電解質前駆体を硬化させてなることを特徴とする高分子固体電解質組成物含有エレクトロクロミックミラーにもある。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のエレクトロクロミックミラー用セルの製造方法を工程順に説明する。
まず、二枚の導電性基板の少なくとも一方の導電性基板の面上周縁部の所定の位置にエポキシ系シール剤を塗布する。
【0009】
導電性基板について説明する。
導電性基板とは電極としての機能を果たす基板を意味する。従って、本発明の導電性基板には、基板自体を導電性材料で製造したものと、導電性を持たない基板の片面又は両面に電極層を積層させて導電性を付与した積層板が包含される。導電性を備えているか否かに拘らず、基板自体は常温において平滑な面を有していることが必要であるが、その面は平面であっても、曲面であっても差し支えなく、応力で変形するものであっても差し支えない。二枚の導電性基板は、通常は共に同じ形状のものが用いられるが、互いに異なっていてもよい、また基板の厚さも特に制限はないが、通常0.2〜2.5mmである。
本発明で使用される二枚の導電性基板の一方は透明導電性基板であり、他方は、電磁波、典型的には光を反射できる反射性導電性基板である。
【0010】
透明導電性基板は、通常、透明基板上に透明電極層を積層させて製造される。ここで、透明とは可視光領域において10〜100%の光透過率を有することを意味する。
透明基板の材質は特に限定されず、例えば、無色あるいは有色ガラス、強化ガラスであっても差し支えなく、無色あるいは有色の透明性樹脂でもよい。基板材料としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、その他のポリアミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート及びポリスチレンが使用可能である。
【0011】
透明電極層としては、例えば、金、銀、クロム、銅及びタングステンの金属薄膜、金属酸化物からなる導電膜が使用できる。前記金属酸化物としては、例えば、ITO(In2O3−SnO2)、酸化錫、酸化銀、酸化亜鉛及び酸化バナジウムが挙げられる。電極層の膜厚は、通常10〜500nm、好ましくは50〜300nmの範囲にあり、表面抵抗(Rsq:単位面積当たりの抵抗)は、通常0.5〜500Ω/sq、好ましくは1〜50Ω/sqの範囲にある。透明電極層の形成には、公知の手段を任意に採用することができる。
【0012】
本発明で使用可能な反射性導電性基板としては、例えば、下記のような積層体あるいは板状体を挙げることができる。
(1)導電性を持たない透明又は不透明な基板上に反射性電極層を積層させた積層体、(2)導電性を持たない透明基板の一方の面に透明電極層を、他方の面に反射層を積層させた積層体、(3)導電性を持たない透明基板上に反射層を、その反射層上に透明電極層を積層させた積層体、(4)反射板を基板とし、これに透明電極層を積層させた積層体、および(5)基板自体が光反射層と電極層の両方の機能を備えた板状体。
【0013】
上記反射性電極層とは、鏡面を有し、しかも電極として電気化学的に安定な機能を発揮する薄膜を意味する。そのような薄膜としては、例えば、金、白金、タングステン、タンタル、レニウム、オスミウム、イリジウム、銀、ニッケル又はパラジウムの金属膜や、白金−パラジウム、白金−ロジウム又はステンレスの合金膜が挙げられる。このような鏡面を備えた薄膜の形成には、任意の方法、例えば、真空蒸着法、イオンプレーティング法又はスパッタリング法を適宜採用することができる。反射性電極層を設ける基板は透明であるか、不透明であるかを問わない。従って、反射性電極層を設ける基板としては、先に例示した透明基板の他、透明でない各種のプラスチック、ガラス、木材及び石材が使用可能である。なお、上記の反射性電極層自体が剛性を備えていれば、基板の使用を省略することができる。
上記反射板または反射層とは、鏡面を有する基板又は薄膜を意味し、これには、例えば、銀、クロム、アルミニウム、ステンレス又はニッケル−クロムの板状体及びその薄膜が含まれる。
なお、導電性基板上にエレクトロクロミック層(エレクトロクロミック性化合物層又は当該化合物を含有してなる層)が形成されていてもよい。
【0014】
本発明で用いられるシール剤はエポキシ系のシール剤であり、一般的に液晶ディスプレイ等の製造に使用されているシール剤を広く用いることができる。シール剤は熱硬化型、あるいは紫外線や可視光線による光硬化型のいずれであってもよい。
【0015】
エポキシ系シール剤としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、臭素含有ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フッ素含有ビスフェノールA型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、DPPノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂及びケイ素含有エポキシ樹脂が挙げられる。
【0016】
熱硬化型の具体例としては、エポキシ樹脂のみで硬化するタイプや、硬化剤と混合して硬化させるタイプが挙げられる。エポキシ樹脂のみで硬化するタイプには触媒系硬化剤が混ぜられているが、その種類としては、例えば、ベンジルスルホニウム塩、ベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、ベンジルホスホニウム塩、ヒドラジニウム塩、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル及びアミンイミドが挙げられる。また、硬化剤と混合して硬化するタイプの硬化剤の種類としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、メタキシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン及びポリアミドアミンのアミン系硬化剤;メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸及び無水メチルナジック酸の酸無水物系硬化剤;ナフトール化フェノール樹脂、ジシクロペンダジエン化フェノール樹脂及びスチレン化フェノール樹脂のフェノール系硬化剤が挙げられる。また、熱潜在性硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、アジピン酸ジヒドラジド、イミダゾール系化合物及びエポキシ−アミンアダクトが挙げられる。
【0017】
光硬化型の具体例としては、上述したエポキシ樹脂や、上述したエポキシ樹脂とアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ヘキシルアクリル酸、あるいは桂皮酸とを反応させたエポキシ変性アクリル樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂の光硬化触媒としては、例えば、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、β−ケトスルホン、イミノスルホナート及びベンゾインスルホナートが挙げられる。エポキシ変性アクリル樹脂の光硬化触媒としては、例えば、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシケトン及びα−アミノケトンが挙げられる。
【0018】
シール剤にはビーズを含有させることができる。ビーズは、主として二枚の導電性基板を貼り合せる時に基板間の間隔(セルギャップ)を一定に保つ働きをする。用いるビーズの粒径(平均粒子径)は通常200〜20μm、好ましくは150〜30μm、さらに好ましくは100〜40μm、特に好ましくは80〜50μmである。ビーズの材質としては、絶縁性を有するものである限り特に限定されることなく、例えば、石英や青板などのガラス材、アクリル系やポリ(プロピレンカーボネート)系やビニルベンゼン系の樹脂材を用いることができる。ビーズは無色でも着色していてもよく、また透明でも不透明でもよい。
【0019】
ビーズを含有させるときのシール剤中のビーズの含有量は、シール剤中に好ましくは0.01〜10質量%、更に好ましくは0.05〜5質量%、特に好ましくは0.1〜3質量%である。なお、シール剤にはアルミナやシリカなどのフィラー成分が入っていても良い。
ビーズを含む時のエポキシ系シール剤の粘度は、0.5〜500Pa.sの範囲にあることが好ましく、更に好ましくは2〜300Pa.sの範囲、特に好ましくは5〜150Pa.sの範囲である。
【0020】
シール剤は、通常一方の導電性基板の面上周縁部の所定の位置に塗布される。勿論、二枚の導電性基板の両方の面上周縁部にシール剤を塗布してもよい。導電性基板として、導電性層が設けられた基板などを用いる場合には、その導電層側の面上周縁部にシール剤を塗布する。なお、導電性基板には、電解質等を注入するために該基板のシール部分には少なくとも1箇所開口部を設けてもよい。
【0021】
二枚の導電性基板は通常上記のように共に同じ形状のものを用いるが、このような場合、二枚の該基板を上下の基板が互いに全く同じ位置となるように重ね合わせて貼り合わせる場合には、導電性基板の面上周縁部の基板の形状に沿って、基板の縁から0.2〜10mmの位置にシール剤を塗布すればよい。あるいは二枚の導電性基板を上下の基板が互いに平行方向に少しずれた状態で重ね合わせて貼り合わせる場合には、ずらす方向や位置に応じてシール剤の塗布位置を調整すればよい。
【0022】
シール剤の塗布は、公知の方法、例えば、ディスクペンス方式、あるいはスクリーン方式を利用して行うことができる。ディスペンス方式もスクリーン印刷方式も自動塗布方式であることが好ましい。ディスペンス方式ではXYの2軸あるいはXYZの3軸の制御ロボットにより吐出口の動きを制御し、基板の周縁部の所定の位置に塗布できるものが好ましく、また、スクリーン印刷方式ではスキージの動きを自動制御できるものが好ましい。
【0023】
シール剤の塗布は、二枚の導電性基板を貼り合せた後のシール幅が狭いことが実用上好ましい。貼り合せた後のシール幅は、通常2mm以下、好ましくは1.9mm以下、さらに好ましくは1.8mm以下、下限は特に限定されないが、通常0.5mm以上、好ましくは0.8mm以上になるようにシール剤の塗布を行うことが望ましい。シール幅を狭くすることで、ミラーケースを小さくすることができ、従って、ミラーの軽量化に効果がある。
【0024】
次いで、二枚の導電性基板を重ね合わせる前に塗布したシール剤をプレキュアする。
本発明でいうプレキュアとは、シール剤が硬化途中であり、もう一方の基板を貼り合せた際に押しつぶされて基板になじみ、その後の硬化で充分な接着力を発現する状態にすることである。ここで充分な接着力とは、ガラスとガラスとを接着した場合にその接着力が1MPa以上、好ましくは5MPa以上、さらに好ましくは10MPa以上であることを言う。プレキュアを行うことによって、シール剤からの脱ガス成分である溶媒や低分子量成分が除去され、二枚の基板を貼り合せた後に硬化させる時に脱ガスによるシール部分の気泡ぶくれや亀裂の発生を防止することができる。なお、ここでいう接着力はJIS K 6850により準拠し測定された値である。
【0025】
シール剤をプレキュアする方法としては、加熱する方法が好ましく、具体的には次のような方法を好適なものとして採用することができる。
(1)シール剤を塗布した基板をオーブン中に入れる。
(2)シール剤を塗布した基板をホットプレート上に置く。
(3)シール剤を塗布した基板をハロゲンランプあるいは赤外線や遠赤外線ランプで照射する。
【0026】
(1)オーブンによる加熱
オーブンを用いる場合には、ある一定温度に保持されているオーブン中に基板を入れて行う方法と、基板をオーブン中に入れてからある温度まで昇温して行う方法があるが、いずれの方法でも良い。オーブンの適切な温度は、通常40〜160℃、好ましくは50〜130℃、さらに好ましくは60〜100℃である。一定温度に保持されているオーブン中に入れる場合、オーブン中で加熱する時間はシール剤の種類、加熱温度により適宜選択されるが、通常1分〜180分、好ましくは5分〜120分、さらに好ましくは10分〜100分である。また、オーブン中に入れてからある温度まで昇温する場合、昇温速度は、通常0.5〜10℃/分、好ましくは1〜7℃/分、さらに好ましくは1〜5℃/分であり、一定温度に達した後さらにその温度で保持してもよく、通常180分間以下、好ましくは120分間以下、さらに好ましくは100分間以下、1分間以上続けて保持しても良い。
いずれの場合も、加熱が終了した後は直にオーブンから取り出して放冷しても良いし、オーブン中で徐冷しても良い。徐冷の場合の降温速度は、通常0.5〜100℃/分、好ましくは1〜70℃/分、さらに好ましくは1〜50℃/分である。
使用できるオーブンとしては、一般的な乾燥用オーブンの他、熱風を循環させるタイプのオーブンが挙げられる。また、オーブン内は空気雰囲気の他、窒素やアルゴンなどの不活性雰囲気にすることができる。
【0027】
(2)ホットプレート上での加熱
ホットプレートを用いる場合には、ある一定温度に保持されているホットプレート上に基板を置いて行う方法と、基板をホットプレート上に置いてからある温度まで昇温して行う方法とあり、いずれの方法でも良い。ホットプレート板の適切な温度は、通常40〜200℃、好ましくは50〜150℃、さらに好ましくは60〜120℃である。一定温度に保持されているホットプレート上に置く場合、ホットプレート上に置いて加熱する時間は、通常0.5〜100分間、好ましくは1〜60分間、さらに好ましくは2〜30分間である。また、ホットプレート上に置いてからある温度まで昇温する場合、昇温速度は、通常0.5〜100℃/分、好ましくは1〜60℃/分、さらに好ましくは1〜30℃/分であり、一定温度に達した後さらにその温度で保持してもよく、その時間は、通常100分間以下、好ましくは60分間以下、さらに好ましくは30分間以下、1分間以上続けて保持しても良い。
いずれの場合も、加熱が終了した後は直にホットプレート上から取り除いても良いし、ホットプレート上で徐冷しても良い。徐冷の場合の降温速度は、通常0.5〜120℃/分、好ましくは1〜70℃/分、さらに好ましくは1〜50℃/分である。
ホットプレートは空気雰囲気の他、窒素やアルゴンなど不活性雰囲気の袋の中に入れることができる。
【0028】
(3)ハロゲンランプあるいは赤外線や遠赤外線ランプによる加熱
これらの光の照射による場合には、定常状態で点灯しているランプを基板に照射して行う方法と、基板上へのランプ照度を調整して、ある一定温度まで昇温して行う方法があるが、いずれの方法でも良い。定常状態で点灯しているランプで照射する場合、基板表面の適切な温度は、通常40〜160℃、好ましくは50〜130℃、さらに好ましくは60〜100℃である。また、ランプ照射時間は通常1分〜180分、好ましくは5分〜120分、さらに好ましくは10分〜100分である。ランプ照度を調整してある一定温度まで昇温する場合、昇温速度は、通常0.5〜10℃/分、好ましくは1〜7℃/分、さらに好ましくは1〜5℃/分であり、一定温度に達した後さらにその温度で保持してもよく、通常180分間以下、好ましくは120分間以下、さらに好ましくは100分間以下、1分間以上の照射を続けても良い。
いずれの場合も、加熱が終了した後はランプ照射を直に止めても良いし、ランプ照度を調整して徐冷しても良い。徐冷の場合の降温速度は、通常0.5〜100℃/分、好ましくは1〜70℃/分、さらに好ましくは1〜50℃/分である。
ランプを照射するときの雰囲気は空気雰囲気の他、窒素やアルゴンなどの不活性雰囲気にすることができる。
【0029】
上記のようにシール剤をプレキュアした一方の導電性基板と他方の導電性基板とを互いに対向させて(導電層が設けられた基板ではその導電面側)重ね合わせ、二枚の該基板を貼り合わせる。二枚の導電性基板の重ね合わせは、一方(下)の基板上に同じ位置となるように他方(上)の基板を乗せて二枚の導電性基板を所定の間隔で重ね合わせる場合や一方(下)の基板上に他方(上)の基板をずらして乗せ、所定の間隔で二枚の導電性基板を重ね合わせる場合があるが、目的のミラーに応じて調整される。
【0030】
貼り合わせは、シール剤を硬化させることにより行う。シール剤の硬化条件は、用いるシール剤、基板などの種類により適宜選択される。例えば、熱硬化型シール剤を用いた場合、加熱温度は、通常80〜200℃、好ましくは100〜180℃の範囲であり、硬化時間は通常1分〜3時間、好ましくは10分〜2時間程度である。また、光硬化型シール剤を用いた場合、光源としては高圧水銀灯、蛍光灯、あるいはキセノン灯等が挙げられる。また光照射量も特に制限はないが、通常100〜50000mJ/cm2、好ましくは1000〜20000mJ/cm2程度である。
【0031】
基板同士を貼り合わせる際の基板配置は、実質的に平行とするものであり、基板間の間隔、即ちセルギャップは特に限定されないが、通常20〜200μm、好ましくは30〜150μm、さらに好ましくは40〜100μmである。なお、セルギャップは例えば、シール剤にビーズを含有させ、該ビーズの粒径を選択することにより容易に調整することができる。また、セルギャップの調整のために、周縁部に任意形状のスぺーサーを配してもよい。
【0032】
上記の工程により、エレクトロクロミックミラー用セルを製造することができいる。本発明により得られたエレクトロクロミックミラー用セルを用いることにより、高い性能のエレクトロミックミラーを製造することが可能となる。
【0033】
次ぎに、本発明のエレクトロクロミックミラー用セルを用いてエレクトロクロミックミラーの製造方法を説明する。
エレクトロクロミックミラーの製造方法は、公知の方法が広く適用でき、特に限定されない。例えば、エレクトロクロミックミラー用セルに、液状電解質や、必要に応じエレクトロクロミック性化合物をさらに含有させた液状電解質組成物を、開口部を通じてセル内に注入したのち、開口部を封止し、さらに電源系の接続、ミラーケースの取り付けを行うことにより容易にミラーを製造することができる。
【0034】
また、エレクトロクロミックミラー用セルに、液状電解質と重合性モノマーからなる固体状電解質前駆体、又は任意成分であるエクトロクロミック性化合物をさらに含有させた固体状電解質組成物前駆体、あるいは高分子固体電解質前駆体、又は任意成分であるエクトロクロミック性化合物をさらに含有させた高分子固体電解質組成物前駆体を、開口部を通じてセル内に注入したのち、開口部を封止の前または後に当該前駆体を硬化させることにより電解質を形成し、さらに電源系の接続、ミラーケースの取り付けを行うことにより容易に全固体型のミラーを製造することができる。
【0035】
【発明の効果】
本発明のエレクトロクロミックミラー用セルの製造方法によれば、シール部分の気泡膨れや亀裂の発生を防止でき、従って、シールの密閉不良を解消することができ、セル内部の性能の低下を抑制することができる。その結果、性能の向上した高寿命のエレクトロクロミックミラーを製造することができる。
【0036】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらになんら制限されるものではない。
【0037】
[実施例1]
市販の熱硬化型エポキシ系接着剤(ストラクトボンドXN−21−S)20gに青板ガラスビーズ(粒径53〜63μm)0.4gを加えて良く混錬してシール剤を調製した(シール剤の粘度:40Pa・s)。これをディスペンサー用の30mlバレルに移し、通常の方法で泡抜きを行った。バレル先端に長さ13mm、口径19G(0.70mm)の吐出ニードルを付け、XYZの3軸制御のオートディスペンサーにセットした。
オートディスペンサーのワークベースに基板(ITO層付きガラス透明導電性基板)を固定し、ノズル掃引速度50mm/秒、吐出圧0.2MPa、吐出口と基板との距離0.5mmにてシール剤をその周縁部の基板形状に沿って塗布した。
シール剤を塗布した基板を、庫内を80℃に保持してある温風循環タイプのオーブンに入れて45分間加熱した。その後、庫内から直に取り出して放冷した。シール剤は、まだ硬化途中であり、局部的に圧力をかけると簡単に変形する状態であった。
【0038】
このようにしてシール剤をプレキュアした基板に、別に用意した反射性導電性基板をわずかな圧力をかけつつセットした。このとき、シール剤は押しつぶされ変形した。その後、セットしたセル(シール剤)を160℃、2時間処理して硬化させた。硬化後は局部的圧力をかけても変形しなく、また、基板同士は強力に接着し、シールされていた。
このようにして作製したエレクトロクロミック防眩ミラー用セルのシール部
分は、気泡ぶくれや亀裂は発生しなかった。
【0039】
[実施例2]
実施例1と同様にシール剤を基板に塗布した後、シール剤を塗布した基板を75℃に保持してあるホットプレート上に置いた。10分間置いた後、プレート上から基板を直に取り除いて放冷した。シール剤は、まだ硬化途中であり、局部的に圧力をかけると簡単に変形する状態であった。
【0040】
このようにしてシール剤をプレキュアした基板に、別に用意した反射性導電基板をわずかな圧力をかけつつセットした。このとき、シール剤は押しつぶされ変形した。その後、セットしたセル(シール剤)を180℃、1時間処理して硬化させた。硬化後は局部的圧力をかけても変形しなく、また、基板同士は強力に接着し、シールされていた。
このようにしてシール剤をプレキュアした基板を用いて作製したエレクトロクロミック防眩ミラー用セルのシール部分には、気泡ぶくれや亀裂は発生しなかった。
【0041】
[実施例3]
市販の熱硬化型エポキシ系接着剤(ストラクトボンドXN−21−S)100gにアクリル樹脂ビーズ(粒径63〜75μm)2.0gを加えて良く混錬してシール剤を調製した(シール剤の粘度:40Pa・s)。このシール剤をメッシュ(180)のスクリーン印刷版の上に置き、印刷版と導電性基板(材質:青板、厚み:1.1mm、形状:丸形長方形)間との間隔1.3mm、スキージ圧力0.2MPa、スキージ角度85°、及びスキージ掃引速度10mm/秒に設定して導電性基板の周縁部の基板形状に沿ってスクリーン印刷を行った。
シール剤を塗布した基板をハロゲンランプの下に置き、ランプを点灯させた。5分後、基板表面の温度が95℃に到達した。その後、95℃でランプ照射を20分間続けた後、ランプを消灯し、基板を放冷した。シール剤は、まだ硬化の途中であり、局部的に圧力をかけると簡単に変形する状態であった。
【0042】
このようにしてシール剤をプレキュアした基板に、別に用意した反射性導電基板をわずかな圧力をかけつつセットした。このとき、シール剤は押しつぶされ変形した。その後、セットしたセル(シール剤)を160℃、1.5時間処理して硬化させた。硬化後は局部的圧力をかけても変形しなく、また、基板同士は強力に接着し、シールされていた。
このようにしてシール剤をプレキュアした基板を用いて作製したエレクトロクロミック防眩ミラーのシール部分には、気泡ぶくれや亀裂は発生しなかった。
【0043】
[実施例4]
実施例1と同様にして、シール剤を電解質前駆体注入用開口部を除いて導電性基板の周縁部に塗布してエレクトロクロミックミラー用セルを作製した。
一方、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(新中村化学工業株式会社製、M40GN)1.0g、ポリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製、9G)0.02g、γーブチロラクトン4.0g、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシー2−メチルプロパンー1−オン0.02g、及び3−(5−メチルー2H−ベンゾトリアゾールー2−イル)−5−(1−メチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸0.15gの混合溶液に、過塩素酸リチウムを0.8M、ジヘプチルビオロゲン過塩素酸塩を30mM及びフェロセンを30mMの濃度になるように添加し、エクトロクロミック性化合物を含有した高分子固体電解質組成物前駆体の均一溶液を調製した。これを上記セルの開口部を通じて注入したのち、開口部を封止し、高分子固体電解質組成物前駆体を光硬化させた。その後、電極およびリード線を取り付け、制御回路に接続し、ミラーケースに収納してエレクトロクロミック防眩ミラーを作製した。
このミラーを80℃の雰囲気下で、1000時間放置した後、あるいは−30℃の雰囲気下で、70時間放置した。しかし、いずれの場合も放置後シール部分に変化は見られず、ミラーの性能も初期と全く変わらなかった。
Claims (2)
- 二枚の導電性基板の少なくとも一方の導電性基板の面上周縁部の所定の位置にエポキシ系シール剤を塗布する工程、二枚の導電性基板を重ね合わせる前に塗布したシール剤を加熱によりプレキュアし、シール剤が硬化途中にあり、まだ変形可能な状態で維持する工程、次いで二枚の基板同士を重ね合わせた状態で加熱により上記シール剤を変形のない状態に硬化させて基板同士を貼り合せる工程を含むことを特徴とする高分子固体電解質組成物含有エレクトロクロミックミラー用セルの製造方法。
- 請求項1に記載の方法により製造したセルに電解質前駆体を注入し、該電解質前駆体を硬化させてなることを特徴とする高分子固体電解質組成物含有エレクトロクロミックミラー。
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