JP4522434B2 - 血液採取用容器 - Google Patents
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Description
血液凝固防止剤および血液中の血漿成分の分離剤を含有する遺伝子検査用の採血管が開示されている。また、血液感染症検査の分野においては、採血された血液は血液培養検査を行うため、感染症原因菌の生存を保持する目的から血液凝固防止剤入りのものが使用されている。
することが多い。
前記採血管本体には、細菌あるいは真菌の細胞壁を溶解する分解酵素が乾燥状態で収容されていることを特徴とする血液採取用容器である。
(i)上記構成の容器に、被検血液を空気非透過に注入し、ついで該容器の密閉状態を維持しつつ該被検血液中の細胞を該容器内に配置した細胞構成成分取出し手段により、該細胞から核酸を被検血液中に取出す工程と、
(ii)前記工程(i)によって得られた被検血液から核酸を抽出する工程と、
(iii)前記工程(ii)によって抽出された核酸中の標的細胞由来の核酸を検出する工程と、
を有することを特徴とする核酸検出方法である。
(i)上記構成の採血管に、被検血液を空気非透過に注入し、ついで採血管の密閉状態を維持しつつ被検血液中の細胞をビーズにより破砕し、細胞から核酸を被検血液中に取り出す工程と、
(ii)前記工程(i)によって得られた被検血液から核酸を抽出する工程と、
(iii)前記工程(ii)によって抽出された核酸中の標的細胞由来の核酸を検出する工程と、
により行うことができる。
(実施例1)
(細菌溶解酵素入り採血管の作製)
内径1.2mm、長さ70mmのプラスチック製試験管にエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の2K(和光純薬工業(株)製)を、11.0mg/管を投入し、更にN-アセチルムラミダーゼ(生化学工業(株)製)を6.0mg/管を投入し、真空乾燥させた。その後、ブチルゴム栓を試験管の開放部に取り付け、封入した。
本発明の実施例を図5及び図6を用いて説明する。本実施例により、細菌溶解酵素入り採血管を用いて採血した血液からの核酸抽出をし、かつその核酸をPCR増幅することにより、以下核酸検査に用いることが出来ることを確認した。まず、Staplylococcus aureus JCM2151を羊血液寒天培地(日本ベクトンディッキンソン製)にて12時間培養し、生育した菌を生理食塩水に溶解し、107個/mLになるよう希釈液を作製した。また健常人の全血をエチレンジアミン四酢酸(EDTA)のアルカリ金属塩入の真空採血管(日本ベクトンディッキンソン製)にて採血した。そして菌希釈液0.6mLと全血5.4mLを混合し血液感染症モデル系を作成、細菌溶解酵素入り採血管に注入し、転倒混合した。同様な調製を3本分行い、それぞれを37℃、0分、30分、60分酵素反応させた。
Fプライマー:5'-GAGTTTGATCCTGGCTTCAG- 3'
Rプライマー:5'-AAGGAGGTGATCCAGCC- 3'
PCR反応組成および反応条件は図5の通りである。PCR増幅の結果、図6の電気泳動像が得られた。これにより、上記採血管にて酵素反応させることにより、細菌の16SrRNA遺伝子領域(約1500bp)のPCR増幅産物が認められ、核酸検査に用いることが可能な細菌由来のゲノムDNAの存在が明らかとなった。
(真菌溶解酵素入り採血管の作製)
内径1.2mm、長さ70mmのプラスチック製試験管にエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の2K(和光純薬工業(株)製)を、11.0mg/管の量で投入した。さらにエンド−β−1,4−グルカナーゼ、50mg/管、(sigma製:製品名 Cellulase)エンド−β−1,3−グルカナーゼ50mg/管(sigma製:製品名 Laminarinase)を投入し、真空乾燥させた。その後、ブチルゴム栓を試験管の開放部に取り付け、封入した。
本発明の実施例を図5及び図6を用いて説明する。本実施例により、真菌溶解酵素入り採血管を用いて採血した血液からの核酸抽出をし、かつその核酸をPCR増幅することにより、以下核酸検査に用いることが出来ることを確認した。
Fプライマー:5'-GCCCTATCAACTTTCGATGGTAGGATAG- 3'
Rプライマー:5'-CAGCACGACCCCTATCACGTAAG- 3'
PCR反応組成および反応条件は図5の通りである。PCR増幅の結果、図6と同様の電気泳動像が得られた。これにより、上記採血管にて酵素反応させることにより、真菌の18SrRNA遺伝子領域(約1240bp)のPCR増幅産物が認められ、核酸検査に用いることが可能な真菌由来のゲノムDNAの存在が明らかとなった。
(Escherichia coliが混入した血液を検体とした遺伝子検査)
(1)採血管の作製)
一端が開口し、多端が閉塞してなるポリエチレンテレフタラートの有底管(外径12.6mmφ×75mm)に、比重が5.5のジルコニアビーズを収容した。該ビーズは粒径0.2mm、0.5mmのビーズを重量比5:5で、該有底管内に容積1.5mlになるように収容した。次に、ビーズを収容した該有底管の内壁表面に、小型噴霧器によってEDTA二ナトリウムの水溶液(25mg/ml)の霧を30μl噴霧した。噴霧は小型噴霧器のノズル先端部分を有底管の管底から開口部へと一定の速度で移動させ、該水溶液が均一に該内壁表面に付着するようにした。そして該有底管を定法に従って真空凍結乾燥し、ブチルゴム製の栓体を該有底管の開口部に装着し、内部を減圧状態とした採血管を作製した。
全血試料と滅菌PBSにEscherichia coli(以下 E.coli)を懸濁させた液体を以下の量で混合し、E.coliを混入させた血液モデル検体を作製した。
全血試料:1900μl
E.coli 懸濁液(104菌 / tube):100μl
(3) 増幅用プライマーの設計
E.coliの16S rRNA遺伝子領域をコードする配列を標的配列とし、その領域を増幅することが可能である以下に記載の2種類のプライマーを設計した。E.coliの16S rRNA遺伝子領域の配列情報は、公開されているデータベースから入手した。
(3)で設計した2種の増幅用プライマーを合成した。プライマーの合成は定法に従ってDNA合成機で合成した。精製はカートリッジ精製により行い、2種のプライマーを得た。
(2)で作製したE.coliを混入させた血液モデル検体をシリンジで吸引し、(1)で作製した容器に注入したのち、10分間容器を振盪させて細胞破砕を行った。破砕後、定法に従い、フェノール/クロロホルム混合液を添加して混合後に上清を回収した。回収した上清をエタノール沈殿し、20μlの超純水に溶解した。
(4)で合成したプライマー、血液モデル検体から抽出した核酸、タカラバイオ株式会社製PCRキット TaKaRa Ex Taqを用いてPCR反応を行った。PCRの反応条件は以下のようなプロトコルによって行った。
(3)に記載の方法によりプライマー配列を決定した。また、配列R1の5'末端部分にCy3を標識した。
R1:(Cy3) 5’ atccaaccgcaggttcccctac 3'
(8)標識用プライマーの合成
(7)で設計したプライマーを合成した。プライマーの合成は定法に従ってDNA合成機で合成した。精製はHPLC精製によって行った。また、配列R1の5'末端部分にCy3を結合させた。合成後、TEバッファにて10μMになるように調製した。
(7)で合成した標識プライマー、実施例1の(6)で調製したPCR産物、タカラバイオ株式会社製PCRキット TaKaRa Ex Taqを用いてPCR反応を行った。PCRの反応条件は以下のようなプロトコルによって行った。
(9)-1ガラス基板の洗浄
合成石英のガラス基板(サイズ:25mmx75mmx1mm、飯山特殊ガラス社製)を耐熱、耐アルカリのラックに入れ、所定の濃度に調製した超音波洗浄用の洗浄液に浸した。一晩洗浄液中で浸した後、20分間超音波洗浄を行った。続いて基板を取り出し、軽く純水ですすいだ後、超純水中で20分超音波洗浄をおこなった。次に80℃に加熱した1N水酸化ナトリウム水溶液中に10分間基板を浸した。再び純水洗浄と超純水洗浄を行い、DNAチップ用の石英ガラス基板を用意した。
シランカップリング剤KBM-603(信越シリコーン社製)を、1%の濃度となるように純水中に溶解させ、2時間室温で攪拌した。続いて、先に洗浄したガラス基板をシランカップリング剤水溶液に浸し、20分間室温で放置した。ガラス基板を引き上げ、軽く純水で表面を洗浄した後、窒素ガスを基板の両面に吹き付けて乾燥させた。次に乾燥した基板を120℃に加熱したオーブン中で1時間ベークし、カップリング剤処理を完結させ、基板表面にアミノ基を導入した。次いで同仁化学研究所社製のN-マレイミドカプロイロキシスクシイミド(N-(6-Maleimidocaproyloxy)succinimido)(以下EMCSと略す)を、ジメチルスルホキシドとエタノールの1:1混合溶媒中に最終濃度が0.3mg/mlとなるように溶解したEMCS溶液を用意した。ベークの終了したガラス基板を放冷し、調製したEMCS溶液中に室温で2時間浸した。この処理により、シランカップリング剤によって表面に導入されたアミノ基とEMCSのスクシイミド基が反応し、ガラス基板表面にマレイミド基が導入された。EMCS溶液から引き上げたガラス基板を、先述のEMCSを溶解した混合溶媒を用いて洗浄し、さらにエタノールにより洗浄した後、窒素ガス雰囲気下で乾燥させた。
E. coli由来の核酸に特有の塩基配列部分に対してハイブリッド体を形成可能な塩基配列を有するプローブとして、下記の配列を有するプローブ5種を合成した。なおこの配列は、E.coliの16S rRNA遺伝子領域をコードする配列に相補的な配列となっている。プローブDNAはガラス基板に対して共有結合させるため、定法に従って5'末端にチオール化処理を施したのち、DNA合成時に副反応を避けるために結合してある保護基を全て除去し、さらにHPLC精製および脱塩処理を施した。
グリセリン7.5wt%、チオジグリコール7.5wt%、尿素7.5wt%、アセチレノールEH(川研ファインケミカル社製)1.0wt%を含む水溶液を用意した。続いて、先に用意したプローブを上記の混合溶媒に規定濃度(10μM)となるように溶解した。得られたDNA溶液をインクジェットプリンター(商品名:BJF-850 キヤノン社製)用インクタンクに充填し、印字ヘッドに装着した。
30分間の反応後、100mMのNaClを含む10mMのリン酸緩衝液(pH7.0)により表面に残ったDNA溶液を洗い流し、ガラス基板表面に一本鎖DNAが固定したDNAマイクロアレイを得た。
(9)で作製したDNAマイクロアレイと実施例1の(8)で作製したPCR産物(増幅核酸)を用いて検出反応を行った。
BSA(牛血清アルブミンFraction V:Sigma社製)を1wt%となるように100mM NaCl / 10mM Phosphate Bufferに溶解させ溶液を得た。この溶液に実施例1の(9)で作製したDNAマイクロアレイを室温で2時間浸し、ブロッキングを行った。ブロッキング終了後、0.1wt%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を含む2xSSC溶液(NaCl 300mM 、Sodium Citrate (trisodium citrate dihydrate, C6H5Na3・2H2O) 30mM、p.H. 7.0)で洗浄を行った。その後、純水でリンスしてからスピンドライ装置で水切りを行った。
最終濃度が下記の構成となるようハイブリダイゼーション溶液を調製した。
6 x SSPE / 10% Formamide /PCR産物
(6xSSPE: NaCl 900mM、NaH2PO4・H2O 60mM、EDTA 6mM、p.H. 7.4)
(10)-3 ハイブリダイゼーション
水切りしたDNAマイクロアレイをハイブリダイゼーション装置(Genomic Solutions Inc. Hybridization Station)にセットし、以下に示すハイブリダイゼーション条件でハイブリダイゼーション反応を行った。
Injection → 92℃ 2min → 45℃ 4hr → Wash 2xSSC / 0.1% SDS at 25℃ → Wash 2 x SSC at 20℃ → (Rinse with H2O : Manual) → Spin dry
(6) 蛍光測定
ハイブリダイゼーション反応終了後のDNAマイクロアレイをDNAマイクロアレイ用蛍光検出装置(Axon社製、GenePix 4000B)を用いで蛍光測定を行った。励起波長532nmの測定モードによってCy3の蛍光輝度を測定した。検出時のDNAマイクロアレイの様子を図10に示す。またそれぞれのCy3蛍光輝度の測定結果を下記に示す。なお、バックグランドに相当するスポットの無い部分からの蛍光強度を引いた値を蛍光輝度の実測値とした。また、測定は2回実施してその平均値を測定結果とした。
2:栓体
3:採血管本体
4:ビーズ
5:開口部
6:閉塞部
7:ホルダー
7a:ホルダー開口部
8:注射針
8a:注射針先端
9:血液
Claims (8)
- 採血管本体と前記採血管本体を減圧した状態で密閉している栓体とを有し、前記採血管本体は前記栓体に採血針が挿入された場合に前記密閉状態を維持したまま血液を採取する血液採血用容器であって、
前記採血管本体には、細菌あるいは真菌の細胞壁を溶解する分解酵素が乾燥状態で収容されていることを特徴とする血液採取用容器。 - 前記細菌あるいは真菌の細胞壁を物理的に破砕するためのビーズがさらに収容されていることを特徴とする請求項1に記載の血液採取用容器。
- 前記ビーズの直径が2.5mm以下である請求項1または2に記載の血液採取用容器。
- 前記ビーズの比重が1.0以上10.0以下である請求項1乃至3のいずれかに記載の血液採取用容器。
- 直径及び比重の少なくとも一方において異なる2種以上のビーズが内包されている請求項1乃至4のいずれかに記載の血液採取用容器。
- 前記ビーズの容積の総和が、前記容器に収容される血液の容積の30%から100%である請求項1乃至5のいずれかに記載の血液採取用容器。
- 前記細菌の細胞壁分解酵素が、N−アセチルムラミダーゼ、ラビアーゼ、アクロモペプチダーゼ、ペプチダーゼまたはリゾチームである請求項1乃至6のいずれかに記載の血液採取用容器。
- 前記真菌の細胞壁分解酵素が、エンド−β−1,4−グルカナーゼ、エキソ−β−1,4−グルカナーゼ、エンド−β−1,3−グルカナーゼ、エキソ−β−1,3−グルカナーゼ、β−1,6−グルカナーゼ、エンド−β−1,4−キシラナーゼ、エキソ−β−1,4−キシラナーゼ、エンド−β−1,3−キシラナーゼまたはエキソ−β−1,3−キシラナーゼである請求項1乃至6のいずれかに記載の血液採取用容器。
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