JP2010110234A - 乾式破砕を用いた微生物細胞からの核酸抽出法 - Google Patents

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尚理 山本
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幸雄 柳沢
Hiromi Koyama
博巳 小山
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Abstract

【課題】微生物細胞を乾式破砕する方法などの提供
【解決手段】帯電性素材で構成される容器内で破砕媒体と微生物細胞(好ましくは粒子径10μm以下の真菌または芽胞菌の細胞)とを混合し、該微生物細胞と該破砕媒体、容器壁との間の粘着力を増強させた系に物理的衝撃を加えて、該微生物細胞を乾式破砕することを特徴とする微生物細胞破砕処理方法である。該破砕媒体がビーズ、このましくはジルコニアビーズ、特にフッ素樹脂でコーティングされたジルコニアビーズであり、100〜1000μmの粒子径を有することが望ましい。物理的衝撃は振動および/または撹拌が好ましい。かかる方法により乾式破砕された微生物細胞についての核酸抽出方法も提供される。
【選択図】図1

Description

本発明は、乾式破砕を用いた微生物細胞破砕処理方法および前記処理した微生物細胞からの核酸抽出方法に関する。
現在、試料または材料としての核酸の用途は、科学研究、医療、産業界などの各分野に拡大しており、様々な試料から効率的かつ好収率に核酸を抽出、単離できる方法が求められている。
細菌、真菌など微生物細胞からの核酸抽出手法として、細胞壁の酸・アルカリ処理、Zymolyaseなどの酵素消化などがあるが、いずれの手法も、全ての菌種に対し一様に有効と
は限らない。また、微生物の種類や細胞壁の化学組成に依存しない手法として、微細ビーズやすり鉢・すりこぎを用いた物理的な破砕手法が挙げられる。なかでも、微細ビーズを用いた手法は、比較的簡便であることから、核酸抽出のための前処理法として最も一般的に用いられているひとつである。通常、微細ビーズを用いた微生物の破砕は、検体処理溶液などの溶液とともに、湿式にて行われており、溶液中の微生物濃度によっては、核酸抽出速度が充分でない場合も多く、核酸抽出に多大な時間を要することが問題となっている(特許文献1参照)。
一方、細胞を含む食品および飼料などの細胞壁を振動ミルで乾式破砕して破壊することを特徴とする細胞壁の破壊方法が提案されている(特許文献2参照)。この方法は、消化・吸収効率の向上を狙いとする細胞壁の破壊方法であって、核酸の記載は一切なく、よって核酸抽出を意図したものではない。
ところで、多くの微生物細胞の粒子径は一般的に2μm〜数十μmであるといわれている。特に粒子径10μm以下の粒子が高い粘着力を示すことは既に知られており、そのような
粘着力の駆動力として分子間力、静電力、表面張力が含まれることが記載されている(非
特許文献1)。しかしながらこのような粒子の粘着力を積極的に活用して細胞破砕を行い
、細胞から核酸を抽出する方法は、これまで全く知られていない。
特開2006-141292号公報 特開2004-65230号公報 Hinds, W.C., 1999. Aerosol technology: properties, behavior, and measurement of airborne particles, 2nd ed. Wiley, NY.
本発明者は、細胞、特に微生物細胞の破壊と核酸抽出に係る上記問題に鑑み、特に粒子径10μm以下の粒子が示す高い粘着力に着目し、粒子の粘着力を積極的に活用した細胞破
砕を乾式で行なう着想のもと、鋭意研究した結果、効率的な核酸抽出と核酸収率の安定化とを実現する本発明を完成させるに至った。すなわち本発明は、乾式破砕により真菌や芽胞菌などの微生物から核酸抽出を迅速かつ効率的に行うこと、ならびにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に適したサイズフラグメントの核酸を迅速に準備することを課題とする。
本発明は、乾式破砕の利点を活かすとともに、乾式破砕で予想されるDNA抽出挙動の特性を積極的に活用した特徴を有し、そのために本発明は以下の構成を有する。
本発明の微生物細胞破砕処理方法は、微生物細胞を乾式破砕する方法であって、
帯電性素材で構成される容器内に微生物細胞と破砕媒体とを入れて混合し、
該微生物細胞と、該破砕媒体および容器壁との間の粘着力が増強された系(該破砕媒体と該微生物細胞の乾燥混合物)に物理的衝撃を加えて、該微生物細胞を乾式破砕することを特徴としている。
前記微生物細胞が粒子径10μm以下であることが望ましい。
好ましい前記破砕媒体がビーズ、特にフッ素樹脂コーティングされたジルコニアビーズであり、また好ましい容器は帯電性を有するプラスチック製容器であり、好ましい容器形態はチューブである。前記の破砕媒体が100〜1000μmの粒子径を有するビーズであることが望ましい。
前記の物理的衝撃は、好ましくは振動および/または撹拌である。
前記微生物細胞として、特に真菌または芽胞菌の細胞が好ましい。
本発明の別の面として前記の微生物細胞破砕処理方法によって、乾式破砕された微生物細胞に検体処理溶液を加えて核酸抽出を行なうことを特徴とする核酸抽出方法がある。好ましくはPCR用の核酸を調製するための核酸抽出方法である。
本発明の一態様として、前記の微生物細胞破砕処理方法を応用した乾式細胞破砕処理キットがある。それは少なくともビーズおよびプラスチック製チューブを含む乾式細胞破砕処理キットが望ましい。
本発明の方法では、破砕媒体と微生物細胞との間の粘着力を積極的に増強した乾式破砕系を確立しているため、湿式法では困難であった堅固な細胞壁の微生物細胞、胞子形態の細胞などであっても核酸抽出に必要な細胞壁の破砕を迅速におこなうことができる。加えて、効率的な核酸抽出と核酸収率の安定性も実現する。すなわち核酸抽出に有効な細胞壁破砕が迅速になされ、それ以降は抽出される核酸収率が安定しているため、破砕時間の設定が容易であり、かつ、核酸の分解消失が起きにくい。
細胞壁の強度が異なる2種以上の菌種を含む微生物細胞の混合物であっても、本発明の乾式破砕方法では個々の細胞壁破砕が迅速に起こり、所定の破砕時間内にそれぞれ固有の破砕極大値に達している。よって、そのような混合物からでも一様な核酸の抽出を実現することができる。
本発明では、特別な道具、特殊な装置をあえて使わずに通常の設備および材料、試薬類で容易に実施できる方法を提供する。従来、核酸抽出に使用されている有害な試薬、溶剤(例えばフェノール、クロロホルムなど)を使用しない態様、あるいは後で実施されるDNA増幅、遺伝子検査に悪影響を及ぼす試薬(界面活性剤、変性剤、カオトロピック物質な
ど)、溶剤を使用しない態様にも対応できる細胞破砕方法である。
湿式破砕と比較し、本発明の方法による乾式破砕はDNAを適度に断片化することが可能
になるため、定量的PCRに適したサイズフラグメントの核酸を迅速に準備することが可能
である。
[発明の詳細な説明]
本明細書で「検体」とは、本発明の直接の処理対象とする細胞含有試料をいう。例えば、培養液、尿、便、喀痰、血液、食品、耳漏、分泌液、髄液、関節液、腹水、土壌、水、空気などの試料から、必要な前処理が行なわれたものが含まれる。また、DNA増幅、PC
R(ポリメラーゼ連鎖反応)、リアルタイムPCR、核酸のフラグメント、プライミング効率などの用語は、当業者が通常理解し、使用している意味で記載されている。
微生物細胞破砕処理方法
本発明は、微生物細胞を乾式破砕する方法であって、
帯電性素材で構成される容器内に微生物細胞と破砕媒体とを入れて混合し、
該微生物細胞と、該破砕媒体および容器壁との間の粘着力が増強された系に物理的衝撃を加えて、該微生物細胞を乾式破砕することを特徴とする微生物細胞破砕処理方法である。
「乾式」とはドライプロセスで処理されることであり、「湿式(ウェットプロセス)」と対照する手法であり、当業者により通常に理解されている概念である。「乾式破砕」は、対象物を乾式で破砕することであるが、具体的には乾燥状態もしくはそれに近い状態で対象物を破砕することである。なかでも乾燥状態で破砕することが好ましく、破砕対象物がごく微量の水分または湿気を含有していてもよいが、実質的に溶媒を含む液体、液状物が存在しない態様での破砕が望ましい。
・微生物細胞
微生物細胞は、細菌、真菌、酵母などを含む細胞であって特に限定されない。細菌として、グラム陽性菌、グラム陰性菌などを含み、特に効率良く破砕することが困難であるために、遺伝子検査の感度を上昇させるための障害であることに変わりがなかった芽胞を形成する菌、またはカビの細胞も対象となる。本発明方法では、従来の湿式破砕では著しく困難であった真菌または芽胞菌の細胞の破砕に極めて有効である。特に胞子形態の微生物細胞については、極めて堅固なその細胞壁を湿式方法により破砕することは困難を極め、核酸の抽出効率を問題とする前の難問であるのが実状である。これに対して、本発明方法の乾式破砕では、そうした微生物細胞も好適な対象細胞に含められる。
さらに通常の湿式プロセスにおいては、粒子が小さくなればなるほどその破砕が難しく、特に粒子径10μm以下の微生物細胞ではその傾向が強まる。これに対して、本発明方法においては、小さい微生物細胞ほど破砕が容易である傾向にあり、特に粒子径10μm以下の微生物細胞が好適である。細胞のサイズとして粒子径10μm以下が好適であるとするのは、粒子径10μm以下の粒子が高い粘着力を示す事実に基づく(非特許文献1)
。後記するように該細胞と破砕媒体との間に働く粘着力が、本発明の微生物細胞破砕処理において重要な鍵になっているからである。好ましくは粒子径が2〜5μm程度の細胞で
ある。このようなサイズの細胞としてAspergillus niger、Bacillus subtilis、Penicillium chrysogenum、Cladosporium sphaerospermumなどが例示される。もっとも粒子径が10μmを超える微生物細胞であっても有効に破砕されるので、本発明方法の破砕対象に含められる。
本方法の対象となる微生物細胞の好適な順位は、以下のとおりとなる。
1.細胞壁が非常に堅固な真菌の胞子、および芽胞菌の芽胞(粒径10μm以下)
例えば真菌として、Aspergillus spp., Cladosporium spp., Penicillium spp., Botrytis spp., Wallemia sebi などの胞子が対象となる。芽胞菌としてBacillus spp., Clostridium spp. などの芽胞が対象となる。
2.細胞壁が堅固な真菌細胞(胞子以外の形状のもの:例:菌糸など)や酵母細胞(粒径10μm以下)
例えば酵母細胞として、Candida albicans, Saccharomyces cerevisiaeなどが挙げられる。
3.粒子径10μmを超える、細胞壁が非常に堅固な真菌胞子
例えばAlternaria, Stachybotrys chartrumなどが含まれる。
4.細胞壁がそれほど堅固でない細菌(芽胞菌や芽胞の状態でないもの)の細胞(粒径10μm以下)であってもよい。例えば大腸菌、黄色ブドウ球菌などである。
このように本発明の乾式破砕技術は、従来法では実質的に対象外とされてきた堅固な細
胞壁を有する微生物細胞、湿式では破砕しにくい粒子径10μm以下の微生物細胞を好適な対象としている。このことは本発明の乾式破砕方法が、微生物細胞と、破砕媒体および容器壁との間に可能な限り増強した粘着力を持たせるように工夫したことに基づく。
・微生物細胞と破砕媒体、容器壁との間の粘着力が増強された系
本発明方法で、破砕媒体、容器壁と上記微生物細胞との間に増強した粘着力を持たせることは、それらの系に物理的衝撃を加える乾式破砕により効率良く細胞を破砕し、細胞内容物を細胞外に出す目的に適うものである。物理的衝撃による力が、そのような粘着力により破砕媒体に粘着している細胞に有効に伝播して、細胞壁の破壊に作用すると考えられる。これに対して湿式での破砕では、水などの溶媒分子、溶解している分子などとの相互作用が生じて、結果的に上記粘着力は実質的にないか、弱いものとなる。従って、湿式破砕の処理では、かかる粘着力が細胞壁破壊に有効に作用しないと想定される。湿式では粘着力が働かないと同時に、微生物細胞を取り囲む媒体が非圧縮性流体(すなわち、水、lysis バッファーなど)であることも、破砕媒体(例えばビーズ)と微生物細胞間の衝突効率を低減させている原因の一つとして考えられる。
そうした粘着力の駆動力として分子間力、静電力、表面張力などが含まれることが知られている(非特許文献1)。特に粒子径10μm以下の粒子では、粘着力が重要な因子にな
ることが知られている(非特許文献1の第144ページ参照)。したがって、粒子径10
μm以下の微生物細胞(例えば真菌胞子)であれば、破砕媒体との粘着力が有効に発現す
ることが想定される。
乾式破砕では、上記粘着力が細胞壁破砕に作用し、破砕効率の向上に関係する。細胞と代表的な破砕媒体であるビーズとの衝突の際のメカニズムは、以下のように考えられる。
微生物細胞(2〜数十μm)がビーズ(例えば、平均粒子径が500μm)により破砕されるには、微生物細胞は2つのビーズが衝突する瞬間において、それら2つのビーズに挟まれた位置に存在する必要がある。すなわち、2つのビーズの中心点を結んだ直線上に微生物
細胞が位置した状態で2つのビーズの衝突が行われる。一方、微生物細胞が分散した状態
で流体内(湿式では水などの液体、乾式では空気などの気体)に存在する場合、2つのビ
ーズに挟まれた位置に存在する微生物細胞は、2つのビーズが衝突する瞬間、ビーズの動
きにより作り出される流体の流れにより、2つのビーズの中心点を結んだ直線上からそれ
ることが予想される。
他方、微生物細胞とビーズの間に粘着力が働く系においては、微生物細胞はその粘着力によりビーズに固定されていることから、2つのビーズが衝突する瞬間に作り出される流
体の流れに関わらず、2つのビーズの中心点を結んだ直線上に位置し続けることが可能で
ある。したがって、粘着力の働く系においては、微生物細胞は2つのビーズの中心点を結
んだ直線上に高確率で位置することが可能であり、したがって粘着力の働かない分散した系と比較し、高効率で微生物細胞の破砕を行うことが可能になる。また、粘着力の存在することの別の意義として、乾式破砕では実質的に溶媒を使わないことから、細胞壁が破砕された細胞内のDNAはすべて細胞外に溶出してしまうことはない。
細胞破砕に使用する容器は、帯電性素材で構成される容器であって、破砕媒体と破砕対象の微生物細胞をともに収容し、内容物に加える物理的衝撃に耐えうるものであれば、形状、材質、サイズなどは特に限定されない。しかし形状、サイズは、それぞれ使用する破砕装置、検体の容量などによって制限されるであろう。「帯電性素材で構成される容器」とは、一般に電気抵抗が大きく帯電性の高い素材で形成された容器である。本発明の乾式破砕系では、粘着力増強の観点から粘着力として重要な静電力が働くように帯電性素材で構成される容器が好ましく使用される。これは破砕媒体、例えばビーズを含んだ帯電性を有する容器を振動もしくは撹拌することで、細胞の破砕を促すと同時に、粘着力の一つである静電力を積極的に発生させるためである。したがって、容器の材質として帯電性を有
する材料が望ましく、導電性の低いポリマーが例示され、具体的にはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルペンテンポリマー、ポリアミド、フッ素樹脂(例えばテフロン(R))な
どのプラスチック製のものが好ましいが、これらに限定されるものではない。帯電性を有する容器であれば、金属などの非帯電性物質を含む複合材料で形成される容器であってもよい。本発明方法では、帯電性素材で構成される容器として、通常は帯電性のプラスチック製容器が好ましく用いられる。特に取り扱い、入手などの観点からマイクロチューブを含むチューブが簡便であり、内容物を封入し、破砕処理中に飛散しないように蓋(好ましくはスクリューキャップ式の蓋)つきのチューブが好ましい。後続の処理で固液分離に遠心分離操作を行なう場合には、プラスチック製遠心チューブが好都合である。
「破砕媒体」は、加えられる物理的衝撃を基に、有効に微生物細胞を破壊できるものであれば形状、材質、サイズなどは特に限定されない。具体的には、ビーズ、ペッスル、撹拌棒、振動ミル用ボールなどが挙げられる。この中で、特に好ましい媒体としてビーズが挙げられる。使用する微細ビーズとしては、硬度、密度の大きなジルコニアビーズが、強力かつ集中的な破壊力を細胞壁に及ぼす観点から望ましい。例えば帯電性素材で構成される容器内での撹拌、振動で静電気を帯びやすくするために、フッ素樹脂、例えばテフロン(商品名)でコーティングしたジルコニアビーズを使用してもよい。かかる帯電性も備えたジルコニアビーズを乾式破砕に用いると、一層、ビーズ同士、ビーズと細胞間の粘着力が増強されるためにより好ましい。
また破砕媒体は、DNAを吸着するガラスのビーズでもよい。ガラスも帯電性を有する材質である。ビーズの粒子径は100〜1000μmであればよく、好ましくは、200〜800μm、特に好ましくは400〜600μm程度のものが用いられる。平均粒子径が500μmのビーズが最も望ましい。
後続する核酸抽出操作において固液分離を簡便に行なう観点から、磁性ビーズの利用も好ましい。磁力によって容易に固液分離し、ビーズの回収をすることができるからである。また磁性ビーズであればこれを交番磁場の作用により振動させることができる。吸着マトリックスとしての作用も兼ね備えた磁性ガラスビーズ(例えばWO96/41811号記載の粒子)が好ましい。
前記破砕媒体が非磁性ビーズである場合、上記固液分離過程は、該ビーズの直径より小さい孔径を有するフィルターを用いるか、あるいは遠心分離により効率的に行われる。
・乾式破砕および破砕条件
微生物細胞の破砕のために、上記破砕媒体と該微生物細胞との間に粘着力を持たせた乾燥混合物に物理的衝撃が加えられる。「物理的衝撃」とは、細胞と破砕媒体とを物理的に接触させる結果として、該細胞を破砕させることを意味する。そうした物理的衝撃として、破砕媒体との衝突、ずり応力、摩擦力、遠心力(振動、撹拌)、加圧や浸透圧といった機械的な力が挙げられる。操作の簡便さから振動および/または撹拌が望ましい。具体的には、破砕媒体と該微生物細胞との間に粘着力を持たせた乾燥混合物を収容する容器全体を震盪して該混合物を振動させる方法、該混合物を激しく撹拌する方法、ならびに振動および撹拌する方法が含まれる。
振動もしくは機械的振盪を加えるためには、振動ミル(詳細は特許文献2を参照)、テストチューブ・ミキサー(MT-360 もしくは MT-300; TOMY Tech USA, Inc.など)、ミニ
ビーズビーター(バイオスペック・プロダクツ社)、マルチビーズ・ショッカー(安井器械)などの撹拌装置が利用できる。撹拌は、ミキサーでボルテックスしてもよい。ビーズ(破砕媒体)の振動は、上記装置の他にアクチュエータの使用も可能である。
帯電性素材で構成される容器内で微生物細胞(好ましくは粒子径10μm以下の微生物細胞)と破砕媒体とを混合し、該微生物細胞と該破砕媒体との間に粘着力を持たせた乾燥混合物を調製する工程が、本発明方法の乾式破砕前のステップである。容器内に破砕媒体と微生物細胞とを加える順序は、特に限定されない。試料が微生物細胞を含有する溶液または懸濁液である場合には、その容器内で細胞をペレットもしくは固形状態にすることが望ましく、その後に破砕媒体を添加する順序となる。
破砕処理時における微生物細胞は、物理的衝撃を加える前にペレット状態にあることが望ましい。微生物細胞を「ペレット状態」にする処理方法については後記する(参考例1)。このような状態にある細胞は、破砕媒体に対してより強い粘着力を示すようになる。
破砕媒体と該微生物細胞との間に粘着力を持たせた乾燥混合物とするために、充分に混合することが望ましく、そのために容器内に収容させた破砕媒体と微生物細胞には、撹拌、振盪などの手段が好ましく適用できる。
本発明で言う細胞の「破砕」とは、細胞内容物が外部に取り出せる程度に細胞壁を破壊することを意味しており、そうした破砕の程度を問題とする場合には、核酸を抽出した収率を指標として関係する条件を設定すればよい。一般的には、微生物細胞の種類と性状、破砕媒体の種類と数量、容器の材質と容量、振動などの強度、破砕時間などの条件が挙げられる。
乾式破砕する場合の具体的な条件、例えば細胞にかかる機械的な力(破砕装置における回転数などの設定)、適用時間、温度などを、使用する装置、検体の種類、核酸の分離する目的に応じて適切に設定する必要がある。単一の微生物細胞の検体であれば、核酸の変性を最小限にとどめて細胞壁の破砕が効率的に行われるように設定する。複数の菌種を含む微生物細胞混合物の検体の場合は、細胞壁の破砕がなるべく所定時間内に一律に起きるように最適の条件を見出す必要がある。抽出した核酸のPCR増幅を意図する場合、必要量の核酸を効率良く細胞外に出させるように、破砕媒体、例えばビーズの振動条件などを調整する。その反面、破砕媒体(好ましくはビーズ)の粒子衝突が強すぎると核酸鎖を物理的に切断して細分化が生じるが、その細分化の程度をも考慮に入れなければならない。
容器内で破砕媒体と微生物細胞とを混合する際の両者の割合は、該媒体および細胞の種類、検体の性状などにもよるが、最適な破砕媒体(好ましくはビーズ)の量は、細胞数ではなく容器の容積に依存するものと予想される。一例を示すと、頻用される2 mLのチューブ(特許文献1)に対し、真菌胞子の細胞数1×106に対する破砕媒体(例えばジルコニアビーズ)の重量として、200〜600mg、好ましくは300〜500mgである。それらの量比は核酸収率も考慮して適宜、設定される。
破砕処理の一具体例を挙げると、テストチューブミキサー (MT-360 or MT-300; TOMY Tech USA, Inc.) によりチューブを振動させる場合、振動強度を10に設定して0 ~ 60分間
振動させる。適用時間は、検体の性状、種類などにより適宜調整することが望ましい。
乾式破砕の際に、局所過熱が発生し、それに伴う核酸の熱変性が生じる懸念がある場合には、その防止のために混合物及び容器を事前に冷却しておくか、あるいは破砕時に冷却して処理することが望ましい。
後記するように核酸抽出量と破砕時間との関係を調べた結果、乾式破砕の場合には、細胞壁の損傷は破砕開始後に急速に起こり、その後は核酸収率が落ちついて最終的には安定化するという特異なパターンを示すことがわかった(図2)。種々の破砕時間で破砕を行った後の最終的に安定化する抽出効率は、微生物細胞によって異なり、例えば Aspergill
usでは30%で安定化するのに対し、Cladosporiumなどでは40%で安定化する。微生物種により安定する効率が異なることは、細胞の大きさと細胞壁の堅固さに関係すると考えられる。以上より乾式破砕の系における破砕時間は、抽出される核酸の変性が最小限にとどまる限り、抽出効率が一定化している部分のいずれの時間でも採用できることを意味する。これに対して破砕に時間がかかって核酸収率が破砕時間とともに増える傾向にある湿式破砕の場合、核酸の収率とその変性も考慮した破砕時間の最適化は容易に設定できないので、この意味からも、湿式とは明らかに異なるメカニズムに基づく乾式破砕は、微生物細胞の破砕において極めて有利な手法である。
核酸抽出方法
本発明はまた、上記の微生物細胞破砕処理方法によって、乾式破砕された微生物細胞に検体処理溶液を加えて核酸抽出を行なうことを特徴とする核酸抽出方法である。好ましくはPCR用の核酸を調製するための核酸抽出方法である。このような核酸抽出は、その前処理として検体に含まれる微生物細胞について乾式の破砕処理をした後に、そこへ検体処理溶液を加えて行われる。その後の核酸の抽出処理は、従来の核酸抽出処理と同じように進めることができる。
本発明が抽出の対象とする核酸は主にDNAであるが、RNAであってもよい。DNAとしてゲノムDNA、cDNAなど、またRNAとしてmRNA、tRNA、rRNAなどが含まれる。さらには一本鎖または二本鎖を問わない。
「検体処理溶液」とは、検体の種類に応じて適宜選択される処理用溶液のことを意味している。検体溶解用の溶液、検体の希釈もしくは洗浄用の溶液などが該当する。検体溶解処理溶液には、必要に応じて、消化酵素(タンパク分解酵素、多糖類分解酵素を含む)や変性剤(グアニジン塩を含む)などを含有させることが好ましい。検体処理用溶液を加えた後の処理は、通常の核酸抽出方法と同じであるが、上記乾式破砕方法を用いた場合、迅速に細胞壁破壊が進むので、核酸抽出の操作も容易である。ガラスビーズを用いた場合には、該ビーズに吸着した核酸を回収すればよい。その他の破砕媒体の場合、細胞外に出た核酸およびそのフラグメントを最終的に固体支持体に吸着させて分離するか、あるいは溶媒を用いた抽出方法によってもよい。
・乾式破砕、湿式破砕による核酸抽出の比較
湿式でのビーズ破砕および乾式でのビーズ破砕による真菌胞子(Penicillium chrysogenum)からのDNA抽出について、破砕時間ごとのDNA抽出量が調べられた(実施例1)。湿
式破砕と比較し、乾式破砕のほうがDNA抽出速度は高いことがわかる(図2)。その理由
として乾式破砕では、微生物細胞と破砕媒体(例えばビーズ)の間に、分子間力、静電力、表面張力などの粘着力が働くことから、微生物細胞と破砕媒体(例えばビーズ)間の衝突がより高効率で行われることが考えられる。
一般には細胞を物理的に破砕してDNAを抽出する場合、過度の物理的破砕は、抽出したDNAをも分解してしまい、DNA収量の低下を招きかねない。今回の乾式破砕では、破砕時間
後期においてDNA収量が安定化することが確認されている(図2参照)。つまり、DNAの抽出に充分な細胞壁破砕は短時間で行なわれることから、破砕時間を延長してもDNA抽出量
の上昇につながらない。したがって乾式破砕では、破砕時間を徒に長くする必要性は全くなく、しかも過度の物理的破砕の影響を受けにくいことが示唆されている。乾式破砕では溶媒を使わないことから、破砕された細胞内のDNAは細胞外に溶出することなく(上述の
粘着力により)細胞内に保持され続ける(図1)。このように細胞内に保持された状態のDNAは、細胞外に剥き出しの状態のDNAと比較し、物理的破砕の影響を受けにくいことが推測される。
これに対して、湿式破砕ではDNA抽出量が破砕時間とともに漸増するパターンとなり(
図2)、湿式で細胞壁破砕を有効に行なうためには、どうしても破砕時間を長くする必要
がある。湿式法では、破砕された細胞内のDNAは細胞外に溶出し、よって遊離したDNA鎖の切断が起きることは避けられない(図1)。
上記のとおり、乾式破砕では抽出されるDNAの変性が、湿式の場合より起こりにくいと
いう予想外の効果とともに、最終的に得られるDNA鎖の長さについても極めて有利な点が
ある。湿式ビーズ破砕および乾式ビーズ破砕によって得た真菌DNAのPCR効率を検討したところ、湿式破砕によって得たDNAと比較し、乾式破砕によって得たDNAのほうがPCR効率も
高いことが判明した。湿式破砕と比較し、乾式破砕は、DNAを適度に断片化することが可
能になり、それがプライミング効率の高いDNAを生成していると予想される。したがって
、既存の湿式ビーズ法と比較し、本発明に係る乾式ビーズ破砕法は、微生物からの核酸抽出が迅速に行われると同時に、定量的PCRに適したサイズフラグメントの核酸を迅速に準
備することが可能といえる。上記の核酸抽出方法により得られた核酸は、PCRのみならず
それ以外の各種増幅方法、具体的にはSDA(Standard displacement amplification)
、アボット(株)社のLCR(Ligase chain reaction)法、栄研化学(株)社のLAMP
(Loop-mediated isothermal amplification of DNA)法、宝酒造(株)社のICAN(Isothermal and chimeric primer-initiated amplification of nucleic acid)、ジェン
・プローブ社のTMA(Transcription Mediated amplification-hybridization protection assay)法、TAS(Transcription-based amplification system)法、3SR(Self-sustained sequence replication)法、NASBA(Nucleic acid sequence based amplification)法などのDNA増幅法に適用して、例えば塩基配列決定、ハイブリダイゼーション法、サザンブロット分析などの解析に用いることもできる。
微生物種を特定する検査においては、問題とする微生物の存否が不明な状況から同定作業を開始するのが通例である。このため標的候補として遺伝子増幅可能なプライマーセットを網羅的に準備しておき、標的微生物の核酸を抽出した後に、これを増幅反応液中に添加してPCRなどによりDNA増幅反応を行うことになる。この場合に微生物ごとの核酸抽
出効率に差があると、混入数が仮に同程度であっても、ある微生物では検出できるが、別の微生物では検出できないといった事態が起こり得る。不明な病原微生物を特定しようとする目的に対して、その微生物の破砕および核酸抽出操作を一律に行えないことになってしまうと、これでは広く網羅的に微生物種を特定できる遺伝子操作の可能性に対して、操作処理に起因する制限を課すことになる。かかる事態を少なくし、菌種が異なったとしても高効率で微生物を破砕し、核酸が抽出可能となる方法を確立することが望まれる。本発明方法は、このような要請に充分応えるものである。すなわち本発明の方法においては、微生物細胞からの核酸抽出効率がそれぞれの菌種で固有の値に収束する特異パターンを示すことから、全体として細胞破砕が首尾良く進行し、ある微生物種の細胞では破砕が不充分なままに残るという事態は避けられる。
乾式細胞破砕処理キット
上記の微生物細胞破砕処理方法を応用したキットもまた本発明の一態様である。そのようなキットは、本発明の上記方法を実施するために必要とされる器材一式、具体的には、少なくとも破砕媒体、破砕に用いる容器などを含むものである。ここで用いる破砕媒体および容器は上記したものであってよい。該キットの望ましい態様は、乾式破砕を有効に実施するために少なくとも破砕媒体としてフッ素樹脂でコーティングされたジルコニアビーズおよびプラスチック(好ましくはポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタレート)製チューブを含み、これらを組合わせて使用する形態のキットである。
また、乾式細胞破砕処理キットは、さらに核酸抽出に必要な各種の試薬(検体処理溶液、洗浄液、各種緩衝液など)、核酸抽出器具を含めてもよい。これらは核酸抽出キットとして別個のキットを構成してもよいが、乾式細胞破砕処理キットの構成要素として組合わされ、一体化したキットの形態にしてもよい。該キットの全体または一部についても、構成、配置、形状形態、部材の寸法および材質、方式、方法などを本発明の趣旨に合致する
限り、種々のものにすることができる。
乾式ビーズ破砕による微生物細胞からのDNA抽出
本発明の微生物細胞破砕処理方法において最良の態様は、
帯電性を有するプラスチックチューブ内でジルコニアビーズと粒子径10μm以下の微生物細胞とを混合し、該ビーズと該微生物細胞との間に粘着力を増強した乾燥混合物に物理的衝撃を与えるためボルテックスして、該微生物細胞を乾式破砕する方法である。
本発明の乾式破砕方法に好適な微生物細胞として、粒子径2〜5μm程度の真菌細胞、例えばAspergillus niger、Penicillium chrysogenum、Cladosporium sphaerospermumの胞
子を含む検体が例示される。微生物細胞を含んだマイクロチューブ内に、検体処理溶液などの液体を添加することなく上記微細ビーズを同封し、チューブミキサーなどの撹拌装置により撹拌および振動を加えることで、微生物細胞から迅速に核酸抽出を行う。
・マイクロチューブ内に乾燥した微生物細胞を準備する方法
微生物の有無を確認するための試料については、必要な前処理を施した検体としておくことが好ましい。この前処理は、従来の微生物含有試料からの核酸抽出方法にも用いられていたもので実施することができる。前処理は、多くの場合に、微生物を濃縮する微生物濃縮工程が含まれる。具体的な前処理方法としては、例えば試料を遠心チューブに入れて遠心沈降させる(なお、沈殿の生成を促進させるために、ポリエチレングリコールといった沈殿促進剤を添加する場合がある)、酵素処理して分散させる(特に、喀痰検体の場合に有効な方法となる)、フィルターを用いて遠心濾過して濃縮する方法などがある。
検体の状態は、必ずしもペレット状である必要性はないが、検体の調製過程でペレット状に作成することが多い。もともとが懸濁状態の試料は、下記(1)の手法により乾燥状態のペレットにすることが望ましい。実用上においては、微生物細胞一個一個がチューブ内で分散した状態のものでも全く構わない。
(1)真菌などの微生物コロニーが生育したプラスチック容器にエタノールを加え、胞子や
その他微生物細胞を懸濁化させる。微生物細胞を含んだエタノール懸濁液をマイクロチューブに分注し、遠心分離を行うことで、微生物細胞をペレット化させる。遠心後のチューブ内の上澄みのエタノールを除去することで、ペレットのみを回収し、数日間、ペレットを乾燥することで、検体として乾燥状態の微生物をマイクロチューブ内に準備することが可能となる。
(2)Chenらが開発したマイクロチューブ型サイクロン(米国特許US 7,370,543)を用い
て、空気中の微生物を乾燥状態で直接チューブ内に捕集することが可能である(Chen et al., Aerosol Sci. Technol., 38:926-937, 2004)。この手法は環境保全のための検査、空気伝染性微生物の検査などに適用することができる。一例を挙げると、空気中に浮遊する炭疽菌を採集し、培養して検査することはその菌固有の安全上の問題があり、加えて著しく強固なその芽胞から核酸を分離することは困難であった。上記デバイスで捕集した該微生物を本発明方法で破砕すれば、目的の核酸を安全にかつ確実に取得することができる。
・乾式ビーズ破砕
本発明の微生物細胞破砕処理方法は、微生物細胞と、破砕媒体および容器壁との間に働く粘着力を増強して活用する乾式破砕法であることを特徴としている。したがって微生物細胞と、破砕媒体および容器壁との間に働く粘着力を可能な限り増強して利用するためには、微生物細胞、破砕媒体、容器、物理的衝撃について、以下の事項が検討されるべきである。
粒子径10μm以下の粒子が破砕媒体に高い粘着力を示すため、粒子径が10μm以下、好ましくは2〜5μm程度の細胞が好適である。破砕する際の容器は、静電気を帯びやす
いポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタレート製のチューブが好ましい。また破砕媒体は、静電気が帯電しやすく、しかも衝撃効率が優れたテフロン(R)コーティングされたジルコニアビーズの使用が好ましい。物理的衝撃は、静電力を積極的に発生させて粘着力とするボルテックス(vortex)、振動および撹拌が望ましい。
さらにその容器内に収容した検体は、ペレット状態であることが望ましい。このように破砕媒体と該微生物細胞との間に粘着力を持たせた乾燥混合物に対して、物理的衝撃として振動もしくは撹拌を加えればよい。
乾燥状態の微生物細胞を市販のマイクロチューブ(No. 72.695, Assist社製など) に
導入し、ジルコニアビーズ、好ましくはテフロン(R)コーティングされたジルコニアビーズ(φ500μm程度、400mg程度)をチューブに同封する。微生物、微細ビーズを同封し
たチューブは、検体処理溶液などの液体を導入することなく、市販のチューブミキサー(MT-360 もしくは MT-300; TOMY Tech USA, Inc.など)やミニビーズビーターなどの装置
により攪拌を行う。破砕後の微生物試料は、市販のDNA抽出・精製キット(Plant Geno-DNA-Template; G-Biosciences社製など)に付随の検体処理溶液を加え、キットのプロトコ
ルに従うことで、核酸精製が可能である。
[実施例]
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は、かかる実施例により限定されるものではない。なお、ここで使用している装置名、使用する材料、使用材料の濃度、使用量、ならびに処理時間、処理温度などの数値的条件、処理方法などは、本発明の範囲内の好適例にすぎない。
[参考例1]
真菌胞子からのDNA抽出効率を計算するために必要とする胞子数既知の標準真菌試料と
して、既知量の真菌胞子を有する標準真菌ペレットをまず次の手順で作成した。
(1)製品評価技術基盤機構(NBRC)より購入した標準真菌(Aspergillus niger (NBRC 31384), Penicillium chrysogenum (NBRC 6223), Cladosporium sphaerospermum (NBRC 4460))を添付の説明書に従って復元し、室温にて5日間程度培養してそれを親株とした。
その親株を使用しない時は、胞子が飛散しないよう密封した状態で冷蔵保存した。なお、実験で用いたAspergillus niger、Cladosporium sphaerospermum、Penicillium chrysogenumの胞子径は次の文献値よりそれぞれ3.5〜5 μm [1]、3〜4.5 μm [1]、2.5〜3.5 μm [2] であることが分かっている。
<文献>
[1] Cole, G.T., and R.A. Samson. 1984. The conidia. Chapter 5, p. 66-103. In Y. Al-Doory, and J.F. Domson (ed.), Mould allergy, Lea & Febiger, Philadelphia, PA.[2] Rydjord, B., E. Namork, U.C. Nygaard, H.G. Wiker, and G. Hetland. 2007. Quantification and characterisation of IgG binding to mould spores by flow cytometry
and scanning electron microscopy. J. Immunol. Methods 323:123-131.
(2)冷蔵庫から上記親株を取り出し、ガスバーナーの火炎により滅菌した白金耳により親株から菌を釣菌して、液体培地(商品名m-Green Yeast and Mold Broth; Millipore社
製)を予め浸透させたマイクロチェックII(Pall Corp.)のメンブレンフィルター面に該白金耳を接触させ、室温で2週間培養して胞子形成を確認した。
(3)マイクロチェックII内に形成した真菌コロニーに70%エタノール(50 ml程度)を添加し、テストチューブミキサーを用いて10秒間振動を加え、真菌胞子を70%エタノールに
懸濁させた。その懸濁液を50 ml容量のファルコンチューブに移し、1時間放置して真菌胞子懸濁液を作成した。
(4)マイクロチューブ(商品名サンプリングチューブ, ポリプロピレン製, 型番72.695, Assist社製)にピペットを使って上記懸濁液2 mlを分注し、遠心分離機に14,000 rpmで10分間の条件でかけてチューブ内の真菌胞子をペレット化させた。その後、上澄みのエタノールをピペットを用いて除去し、テストチューブの口に綿栓を詰めて、ドラフト内で
3日間そのペレットを乾燥させた。
(5)その真菌胞子ペレット中の胞子数の定量は、マイクロチューブ内の乾燥ペレットにTween 80溶液(0.05% v/v)2 mlおよびゲンチアナバイオレット溶液(0.05% w/w in absolute ethanol)20μlを添加し、その懸濁液をセルカウントプレートに導入し顕微鏡観察
(400倍)によって計数した。
(6)真菌胞子は水溶液中で凝集性を示すことから、一般的に懸濁液中における濃度にばらつきが生じやすい。ここでは水の代わりに分散性の高い70%エタノールを懸濁溶媒とし
て用いたことから、胞子数にばらつき(CV; Coefficient of Variation)の少ない真菌胞子のペレットをマイクロチューブ内に作成することが可能になった。その結果を表1に示した。
参考例1で得た4種類の標準真菌ペレット試料(胞子数既知)を用いて、次の手順で乾
式法によるビーズ破砕を施し、市販のDNA抽出キット(商品名Plant Geno-DNA-Template, G-Biosciences社製)を利用してDNAの抽出と精製を行い、引き続いてDNA抽出量を測定し
た。
(1)参考例1で得た標準真菌ペレット試料の入っているテストチューブに、ジルコニア
ビーズ(φ500 μm、400 mg)を同封した。次にテストチューブミキサー(商品名マイク
ロチューブミキサー;型式MT-360またはMT-300; TOMY Tech USA社製)を用いて、0 ~ 60
分間チューブを振動させた(振動強度は10に設定)。その後、上記キット付属の抽出バッファー (lysis buffer) 600 μlをテストチューブに添加した。
(2)次いでクロロホルム200 μlをテストチューブに添加し、数回チューブを転倒させ
て内容物を混和させた。ピペットを利用して、クロロホルムが混入しないよう注意しながら、上澄みの抽出バッファー液部分を回収した。
(3)Plant Geno-DNA-Templateの説明書に従い、DNAの抽出と精製を行った。50 μl Tris EDTA buffer (TE buffer) による溶出を2回行うことで、最終的なDNA抽出液量を100 μlになるように調整し、冷蔵保存した。
(4)このようにして得た抽出DNA溶液 50 μl に、Tris EDTA buffer 50 μlおよびPicoGreen (1/200)(商品名PicoGreen dsDNA Quantitation Kit;インビトロジェン株式会社
製)100 μl を混合し、その混合液をウェルプレートに移した。PicoGreenに添付の説明
書に従い、プレートリーダでDNA溶液の濃度を定量した。
各試料からの抽出DNA量の定量結果を図2に示した。
[比較例1]
参考例1で得た4種類の標準真菌ペレット試料(胞子数既知)を用い、湿式破砕法で真
菌胞子の破砕、DNAの抽出と精製ならびに抽出DNAの定量を行った。
湿式法では、参考例1で得た標準真菌ペレット試料の入っているテストチューブに、Plant Geno-DNA-Templateに付属の抽出バッファー(lysis buffer) 600 μlとジルコニアビーズ(φ500 μm、400 mg)とを入れ、実施例1と同様の方法により同一の条件で振動させ
た。その後は、実施例1と同様に操作した。
各試料からの抽出DNA量の定量結果を図2に併せて示した。
図2に示した結果から、本発明に係る乾式破砕法の方が、従来法である湿式破砕法よりも、効率よく真菌胞子からDNAを抽出できていることがわかった。
実施例1で得た真菌胞子からの抽出DNAについて、サイズフラグメントの確認を行った

まず、実施例1で抽出されたDNA溶液 5 μl をフィルム(登録商標サランラップ)上に滴下し、そこへ6 × Loading buffer (1 μl) を添加して混合した。
電気泳動層として2.4%アガロースゲルを準備し、新しく調製したTris-acetate EDTA buffer (TAE) もしくはTris-borate EDTA buffer (TBE) をその液面がゲルの上面から5 mm
程度上になるように泳動槽内に注いだ。2.4%アガロースゲルに前記のDNAと6 × Loading bufferとの混合液をアプライし、また2.4%アガロースゲルにDNAマーカー(商品名Wide Range DNA Ladder;型番3415A;50-10,000 bp;タカラバイオ株式会社製)6 μlを平行してアプライした。電圧をかけてDNAを泳動させ、マーカーを確認しながらDNAがゲル上の適当な位置に来るように、20 V、25 分間を目安に条件を調節した。
泳動後のゲルをSYBR Green溶液(商品名SYBR(R) Green I Nucleic Acid Gel Stain;タカラバイオ株式会社製)に移し、専用の振動装置に載せて約30分間緩やかに振動させた。その後、ゲルをSYBR Greenから取り出して超純水で表面をきれいに洗い流し、ゲルをルミノ・イメージアナライザー(商品名ルミノ・イメージアナライザー;型式LAS-1000;富士フイルム株式会社製)の三段目の段に載せた。ルミノ・イメージアナライザーの説明書に従って、ゲルの撮影、DNAサイズ分布の確認を行った。図3に、A. niger (1.82 × 107
spores)から抽出したDNAのサイズフラグメントのゲル泳動画像を示した。
[比較例2]
比較例1で得た湿式法による抽出DNAについても、実施例2と同様にして電気泳動を行
い、A. niger (1.82 × 107 spores)から抽出されたDNAのサイズフラグメントのゲル泳動画像を図3に併せて示した。
図3に示したゲル泳動画像からわかるように、本発明に係る乾式法による真菌DNAは、
従来法である湿式法によるDNAと比べて、フラグメント化がある程度進んでいることがわ
かった。今回の破砕時間の範囲では、湿式法の方が本発明の乾式破砕法と比較すると、長大な鎖のDNAが多いといえる(図3)。これは乾式のほうが湿式と比較し、強力な破砕力
が働いていることが原因として考えられる。しかしながら、破砕時間が長くなればなるほど、湿式破砕においては細胞外に出たDNAは細かく分断され、最終的には分解消失してし
まう。一方、乾式破砕では破砕時間の初期においては強力な力が働くため、DNAは細かく
分断されるものの、その後においては、細胞壁内に留まっているDNAはそれ以上の分断を
受けることなく、分解消失することなく存在し続けることとなる。
なお、細かく切断されたDNAは、長大な鎖のDNAと比較して、一本鎖DNAへの熱変性(denature)が比較的低温でも行われることが知られている(Ririe et al., 1997)。したが
って、本発明の乾式破砕法により得られるDNAはPCR反応における熱変性効率も高く、結果として効率よくPCR反応が行われる(下記の実施例3)。
<参考文献>
Ririe, K.M., Rasmussen, R.P., and Wittwer, C.T.: Product differentiation by analysis of DNA melting curves during the polymerase chain reaction. Anal. Biochem.,
245:154-160 (1997).
真菌DNAのPCR効率を評価するために、Real-time PCRシステム (商品名ABI 7500 Fast Real-time PCR System;アプライドバイオシステムズジャパン株式会社製) を用いて、実
施例1で得たDNA抽出液中のDNA量を測定した。
PCR反応は、表2に記載したプライマーを準備し(Invitrogenに発注)、プライマーと
抽出した真菌DNA溶液を、表3に示したPCR反応溶液の組成に従って混合した。PCRの反応
溶液として、SYBRR Green(商品名SYBR(R) Premix Ex Taq(TM) II;タカラバイオ株
式会社製)を用いた。そして、Real-time PCRシステムに対応した96穴ウェルプレート (
商品名MicroAmp Optical 96-Well Reaction Plate;アプライドバイオシステムズジャパ
ン株式会社製) の各ウェルに、スタンダード、ネガティブコントロール、サンプルを含んだPCR反応溶液を導入し、ウェルプレートの上面を専用のフィルムで覆い、表4に記載し
た温度条件に従ってPCR反応を行った。
図4に、A. niger (1.82 × 107 spores)から抽出したDNA溶液について、PCRにおけるCt値を示した。また、図5には、Real-time PCRにより計測されたCt値と実施例1で得たPicoGreenにより定量されたDNA量との関係をプロットし、またそれらの回帰線を併せて示した。さらに図6では、実測されたDNA量と図5に記した回帰線から予測されるDNA量との比、すなわちPCR効率の相対値を破砕時間ごとにプロットして示した。
[比較例3]
比較例1(湿式破砕法により破砕・抽出)で得たDNAについても、実施例3と同様にし
てReal-time PCRシステム (商品名ABI 7500 Fast Real-time PCR System;アプライドバ
イオシステムズジャパン株式会社製) を用いて、DNA抽出液中のDNA量を測定した。
A. niger (1.82 × 107 spores)から抽出したDNA溶液について、PCRにおけるCt値を図
4に併せて示した。また図5に、Real-time PCRにより計測されたCt値と比較例1で得たPicoGreenにより定量されたDNA量との関係をプロットし、回帰線とともに併せて示した。
さらに、実測されたDNA量と図5に記した回帰線から予測されるDNA量との比、すなわちPCR効率の相対値を破砕時間ごとにプロットして、図6に示した。
図4〜6から、本発明に係わる乾式法による真菌DNAは、従来の湿式法によって得られ
た真菌DNAと比較して、Ct値が大きく、効率よくPCR反応が行われていることがわかった。その原因として、本発明に係わる乾式破砕法では、真菌DNAが適度にフラグメント化され
ているために、PCR反応で効率よくプライミングが行われたと考えられる。
図1は、乾式および湿式破砕によるDNA抽出モデルを表わす。 図2は、 (A) A. niger (2.76 × 106 spores), (B) P. chrysogenum (2.69 × 106 spores), (C) C. sphaerospermum (2.30 × 106 spores) and (D) A. niger (1.82 × 107 spores)からのDNA抽出の収率を示す。各図中で、実線および点線はそれぞれ乾式破砕モデル、湿式破砕モデルによる推定収量を示す。 図3は、乾式、湿式による微細ビーズのミルで得られたDNAアガロースゲル泳動図を示す(実施例2)。 図4は、(A) NS1/NS4 および (B) NS5/NS6 プライマー (n = 4)を用いるリアルタイムPCRにより測定した閾値サイクル数(Ct)を表わす。湿式破砕法において2分および5分についてのデータは(4試行のうち)増幅されない試料があるためにCt値は示されていない。 図5は、PicoGreen(R)により測定されたDNA量と、(A) NS1/NS4 および (B) NS5/NS6 プライマーを用いるリアルタイムPCRで測定された閾値サイクル数(threshold cycle numbers;Ct)との関係を表わす。 図6は、(A) NS1/NS4 および(B) NS5/NS6 プライマーを用いるリアルタイムPCRにおける相対DNA増幅効率を示す。PCRによる相対増幅効率とは、PicoGreen によって測定されたDNA量に対する、リアルタイムPCRにより求められたDNA量の比として定義される。逆にリアルタイムPCRによるDNA量は、図5に示された回帰線にリアルタイムPCRにより測定されたCt値をあてはめることにより計算された。湿式破砕法において、2分および5分については(4試行のうち)増幅されない試料があるためにそれらのデータは示されていない。

Claims (7)

  1. 微生物細胞を乾式破砕する方法であって、
    帯電性素材で構成される容器内に微生物細胞と破砕媒体とを入れて混合し、
    該微生物細胞と、該破砕媒体および容器壁との間の粘着力が増強された系に物理的衝撃を加えて、該微生物細胞を乾式破砕することを特徴とする微生物細胞破砕処理方法。
  2. 前記微生物細胞が粒子径10μm以下である、請求項1に記載の微生物細胞破砕処理方
    法。
  3. 前記微生物細胞が真菌または芽胞菌の細胞である、請求項1または2に記載の微生物細胞破砕処理方法。
  4. 前記破砕媒体がフッ素樹脂コーティングされたジルコニアビーズである、請求項1に記載の微生物細胞破砕処理方法。
  5. 前記破砕媒体が100〜1000μmの粒子径を有するビーズである、請求項1または4に記載の微生物細胞破砕処理方法。
  6. 前記の物理的衝撃が振動および/または撹拌である、請求項1に記載の微生物細胞破砕処理方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の微生物細胞破砕処理方法によって、乾式破砕された微
    生物細胞に検体処理溶液を加えて核酸抽出を行なうことを特徴とする核酸抽出方法。
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