JP4522254B2 - 多層ガラスセラミック基板の製造方法 - Google Patents

多層ガラスセラミック基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体素子、半導体チップ部品等を搭載し、それらを相互配線するための多層ガラスセラミック基板の製造方法に関する。
近年、半導体LSI、半導体チップ部品等は小型化、軽量化が進んでおり、これらを実装する配線基板も小型化、軽量化が望まれている。このような要求に対して、基板内に内部電極等を配した多層セラミック基板は、要求される高密度配線が可能となり、かつ薄型化が可能なことから、今日のエレクトロニクス業界において多用されている。
多層セラミック基板としては、アルミナ質焼結体からなり、表面または内部にタングステン、モリブデン等の高融点金属からなる配線層が形成された配線基板が従来から広く用いられている。
一方、近年の高度情報化時代を迎え、使用される周波数帯域はますます高周波帯に移行しつつある。このような高周波の信号の伝送を行なう高周波配線基板においては、高周波信号を高速で伝送する上で、配線層を形成する導体の抵抗が小さいことが要求され、絶縁基板にもより低い誘電率が要求される。
しかし、従来のタングステン、モリブデン等の高融点金属は導体抵抗が大きく、信号の伝播速度が遅く、また30GHz以上の高周波領域の信号伝播も困難であることから、タングステン、モリブデン等の金属に代えて銅、銀、金等の低抵抗金属を使用することが必要である。ところが、上記のような低抵抗金属は融点が低いため、800〜1000℃程度の低温で焼成することが必要であることから、この低抵抗金属からなる配線層は、高温焼成が必要なアルミナと同時焼成することができなかった。また、アルミナ基板は誘電率が高いため、高周波回路基板への適用は困難である。
このため、最近では、ガラスとセラミックス(無機質フィラー)との混合物を焼成して得られるガラスセラミックスを絶縁基板として用いることが注目されている。即ち、ガラスセラミックスは誘電率が低いため高周波用絶縁基板として好適であり、またガラスセラミックスは800〜1000℃の低温で焼成することができることから、銅、銀、金等の低抵抗金属を配線層として使用できるという利点がある。なかでも銀のようにマイグレーションを起こさず、材料コストが低く製造コストを安価にすることができるという理由から、銅を導体としたものが多用されている。
このような多層ガラスセラミック基板は、ガラスとフィラーとの混合物に有機バインダ、可塑剤、溶剤等を加えてスラリーとし、ドクターブレード等によりガラスセラミックグリーンシート(以下、グリーンシートともいう)を成形した後、銅の粉末を含有する導体ペーストを印刷するなどして上記グリーンシート上に導体パターンを形成し、次に複数枚のグリーンシートを積層して800〜1000℃の温度で抵抗体加熱炉で焼成して得られる。ここで、焼成雰囲気は銅が酸化されないように不活性ガスとして窒素ガスを用いた雰囲気とし、さらに水蒸気を加えて有機バインダの熱分解によって生成された不飽和炭化水素と水蒸気とを反応させて二酸化炭素や一酸化炭素等にガス化することによりグリーンシート積層体の外部へ排出する脱バインダ方法が用いられている。
この脱バインダが十分でないと以下のような不具合が発生する。ガラスセラミックスの焼結温度以下である脱バインダ温度の500〜800℃の温度において水蒸気と反応しきれずに残留した不飽和炭化水素は、焼成温度である800〜1000℃というより高温で反応し易い温度へ昇温した際にもガス化する。このとき、グリーンシート積層体内のガラスは焼結を始めているために、発生したガスがグリーンシート積層体内から外へ排出するための経路が減少しグリーンシート積層体内に留まり、これが焼成のための熱によって体積膨張する。その結果、体積膨張がグリーンシート積層体内の表面近傍で発生した場合はフクレとなり、内部で発生した場合はボイドとなる。このように、多層ガラスセラミック基板表面にフクレが発生すると、多層ガラスセラミック基板表面に凸部が形成され、平坦度が要求される半導体素子の実装面の平坦度が劣化するため、半導体素子の実装が阻害される。さらに、多層ガラスセラミック基板内のボイドが増加すると、ガラスセラミックスの絶縁耐圧や強度が劣化する。
このようなことから、ガラスセラミックスが焼結する前に不飽和炭化水素を確実に排出するために、焼結温度より低い500〜800℃の温度で8〜10時間という長い時間をかけて脱バインダを行なっていた。
特開2000−272973号公報 特開2003−75070号公報 特開2004−55557号公報
しかしながら、例えば銅ペーストにより導体パターンが形成されたグリーンシート積層体を水蒸気を含む窒素雰囲気下で焼成する場合、500〜800℃の温度で8〜10時間かけて脱バインダを行なうと、この脱バインダの時点で銅ペースト中の銅粉末が焼結して収縮するので、ガラスセラミックスとの焼成収縮開始のタイミングにズレが生じることとなり、多層ガラスセラミック基板に反りなどの変形が生じるという問題があった。
そこで、脱バインダ時間を短くしても脱バインダが促進されるように水蒸気を含む窒素の流量を大きくする方法が考えられるが、従来の抵抗体加熱炉を用いる焼成方法では炉内の温度ばらつきが大きくなるという問題点があった。これは、抵抗体加熱炉による加熱は雰囲気を媒体とする伝熱と輻射熱によるためである。例えば銅導体を有するグリーンシート積層体を抵抗体加熱炉を用いて焼成する場合、水蒸気を含む窒素ガスの供給量をグリーンシート積層体の単位質量1gあたり50cm/分と大きくすると、抵抗体が発した熱が伝熱により窒素雰囲気を加熱するが、抵抗体は供給された多量の窒素ガス全体を均一に加熱しきれず、抵抗体付近の窒素雰囲気のみの温度を高くするにとどまり、また輻射熱による加熱は発熱体である抵抗体からの距離に反比例して低下するからである。
このため、通常行なわれる複数個のグリーンシート積層体を同時に焼成する場合、抵抗体付近のグリーンシート積層体の温度は高く、これに比べ抵抗体から離れた位置のグリーンシート積層体は温度が低くなるので、グリーンシート積層体の脱バインダや焼成状態にばらつきが発生することとなり、多層ガラスセラミック基板の品質にばらつきが発生することとなる。
例えば、従来の抵抗体加熱炉による焼成における収縮ばらつきを例にとると、一辺の長さが40mm、厚さが1mmのグリーンシート積層体では、収縮ばらつきが±0.5%以上になる。
また、グリーンシート積層体の外形が大型の場合、上記の温度ばらつきが同じグリーンシート積層体内で発生するので、これに起因して反りなどの変形が発生したり、その結果、多層ガラスセラミック基板内で特性のばらつきのないものを得ることが困難になるという問題点もあった。
本発明は上記の問題点を解決するために完成されたものであり、その目的は、内部にボイドが少なく表面にフクレが少なく、多層ガラスセラミック基板を短時間で焼成することができる多層ガラスセラミック基板の製造方法を提供することである。
本発明の多層ガラスセラミック基板の製造方法は、導体層が形成されたガラスセラミックグリーンシートを複数枚積層して成るガラスセラミックグリーンシート積層体をマイクロ波吸収性の筐体内に配置し、該筐体内に、前記ガラスセラミックグリーンシート積層体の収縮開始温度未満では前記ガラスセラミックグリーンシート積層体の単位質量1gあたり50〜150cm/分の供給量で水蒸気を含んだ窒素ガスを供給するとともに、前記ガラスセラミックグリーンシート積層体にマイクロ波を照射することにより、前記ガラスセラミックグリーンシート積層体から有機成分を除去して、前記ガラスセラミックグリーンシート積層体の収縮開始温度以上では前記ガラスセラミックグリーンシート積層体の単位質量1gあたり1〜40cm /分の供給量で前記水蒸気を含んだ窒素ガスを供給するとともに、前記ガラスセラミックグリーンシート積層体にマイクロ波を照射することにより、前記ガラスセラミックグリーンシート積層体を焼成することを特徴とするものである。
本発明の多層ガラスセラミック基板の製造方法によれば、ガラスセラミックグリーンシート積層体の収縮開始温度未満ではガラスセラミックグリーンシート積層体の単位質量1gあたり50〜150cm/分の供給量で、水蒸気を含む窒素ガスを供給してガラスセラミックグリーンシート積層体から有機成分を除去することから、例えば、脱バインダ時間を1時間程度と短くしても、多量の水蒸気を含んだ窒素ガスがガラスセラミックグリーンシート積層体内の有機バインダを効率良く二酸化炭素や一酸化炭素等のガスに変化させて、ガラスセラミックグリーンシート積層体内から有機バインダを排出させることができる。その結果、フクレやボイドの発生を防止するとともに、導体とガラスセラミックスの焼結収縮開始のタイミングのズレを小さくすることにより、多層ガラスセラミック基板の反り等の変形を防止することができる。
また、ガラスセラミックグリーンシート積層体をマイクロ波吸収性の筐体内に配置しマイクロ波を照射することにより、ガラスセラミックグリーンシート積層体から有機成分を除去することから、ガラスセラミックグリーンシート積層体およびそれを囲うマイクロ波吸収性の筐体がマイクロ波を吸収することによって自己発熱するので、複数個のガラスセラミックグリーンシート積層体を配置して同時に有機成分を除去する場合、窒素ガスの
供給量をガラスセラミックグリーンシート積層体の1gあたり50〜150cm/分と大きくしても、ガラスセラミックグリーンシート積層体を均一に加熱することができる。
また、外形が大型のガラスセラミックグリーンシート積層体においても自己発熱によって均一に加熱されることから、同じガラスセラミックグリーンシート積層体内における、不飽和炭化水素の残留ばらつきに起因するフクレやボイドの発生の偏在や、各部の温度ばらつきによって発生する反りなどの変形を抑制することができる。
以上より、多層ガラスセラミック基板の内部に発生するボイドが減少するとともに表面にフクレによる凸部が形成されず、平坦度が要求される半導体素子の実装面を良好に平坦面とすることができる。さらに、絶縁抵抗や強度が劣化することなく、反りなどの変形も小さい多層ガラスセラミック基板を短時間で製造することができる。
さらに、本発明の多層ガラスセラミック基板の製造方法によれば、水蒸気を含んだ窒素ガスの供給量を、ガラスセラミックグリーンシート積層体の収縮開始温度以上ではガラスセラミックグリーンシート積層体の単位質量1gあたり1〜40cm/分とするとともに、ガラスセラミックグリーンシート積層体にマイクロ波を照射することにより、ガラスセラミックグリーンシート積層体を焼成することから、ガラスセラミックグリーンシート積層体の収縮開始温度以降の筐体内の温度ばらつきがより均一になり、ガラスの焼結に伴う収縮のばらつきが小さくなる。これによって、より寸法精度の高い多層ガラスセラミック基板を得ることができる。
本発明の多層ガラスセラミック基板の製造方法を添付図面に基づき以下に詳細に説明する。
図1(a)は本発明の多層ガラスセラミック基板の製造方法の実施の形態の一例を示す平面図であり、本発明の多層ガラスセラミック基板の製造方法において使用するマイクロ波焼成炉の平面図を示す。図1(b)は(a)のA−A’線における断面図である。
これらの図において、1はガラスセラミックグリーンシート(グリーンシート)積層体、2は棚板、3は筐体、4は断熱材、5は支柱、6は雰囲気ガス供給用ノズル、7は雰囲気ガス、8は排気用ノズル、9は排気ガス、10は炉壁、11はマイクロ波焼成炉である。
本発明におけるグリーンシートは、ガラス粉末、フィラー粉末(セラミック粉末)、さらに有機バインダ、可塑剤、有機溶剤等を混合したものが用いられる。
ガラス成分としては、例えばSiO−B系、SiO−B−Al系、SiO−B−Al−MO系(但し、MはCa、Sr、Mg、BaまたはZnを示す)、SiO−Al−M1O−M2O系(但し、M1およびM2は同一または異なってCa、Sr、Mg、BaまたはZnを示す)、SiO−B−Al−M1O−M2O系(但し、M1およびM2は上記と同じである)、SiO−B−M3O系(但し、M3はLi、NaまたはKを示す)、SiO−B−Al−M3O系(但し、M3は上記と同じである)、Pb系ガラス、Bi系ガラス等が挙げられる。
また、フィラーとしては、例えばAl、SiO、ZrOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、TiOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、AlおよびSiOから選ばれる少なくとも1種を含む複合酸化物(例えばスピネル、ムライト、コージェライト)等が挙げられる。
上記ガラスとフィラーの混合割合は重量比で40:60〜99:1であるのが好ましい。
グリーンシートに配合される有機バインダとしては、従来からセラミックグリーンシートに使用されているものが使用可能であり、例えばアクリル系(アクリル酸、メタクリル酸またはそれらのエステルの単独重合体または共重合体、具体的にはアクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等)、ポリビニルブチラ−ル系、ポリビニルアルコール系、アクリル−スチレン系、ポリプロピレンカーボネート系、セルロース系等の単独重合体または共重合体が挙げられる。
グリーンシートは、上記ガラス粉末、フィラー粉末、有機バインダに必要に応じて所定量の可塑剤、溶剤(有機溶剤、水等)を加えてスラリーを得て、これをドクターブレード、圧延、カレンダーロール、金型プレス等により厚さ約50〜500μmに成形することによって得られる。
グリーンシート表面に導体パターンを形成するには、例えば導体材料粉末をペースト化したものをスクリーン印刷法やグラビア印刷法等により印刷するか、あるいは所定パターン形状の金属箔を転写する等の方法が挙げられる。導体材料としては、例えば銅が挙げられる。
なお、グリーンシート表面の導体パターンには、上下の層間の導体パターン同士を接続するためのビア導体やスルーホール導体等の貫通導体が表面に露出した部分も含まれる。これら貫通導体は、パンチング加工等によりグリーンシートに形成した貫通孔に、導体材料粉末をペースト化したもの(導体ペースト)を印刷により埋め込む等の手段によって形成される。
グリーンシートの積層には、積み重ねたグリーンシートに熱と圧力を加えて熱圧着する方法、有機バインダ、可塑剤、溶剤等からなる接着剤をシート間に塗布して熱圧着する方法等が採用可能である。
ガラスセラミックスは、例えばアルミナセラミックスに比べ、焼成後の寸法精度の制御が困難とされる材料である。これは、ガラス成分の添加量が多いガラスセラミックスは、従来の焼成方法では焼成の際の熱が均一に伝わらないことから部分的にガラスの生成が起こってしまうからである。そのため、焼成の際に熱を均一に伝えることが可能なマイクロ波照射による本発明の製造方法は、ガラスセラミックスの焼成には適している。
これは、マイクロ波焼成の場合、導波管を通してマイクロ波焼成炉11内に導入されたマイクロ波により、グリーンシート積層体1自体が自己発熱するとともに、マイクロ波焼成炉11内に設けられた筐体3や棚板2も同時に自己発熱することにより、表面からの熱放散によって内部に比べて温度が低くなりがちなグリーンシート積層体1の表面と、グリーンシート積層体1の内部との温度勾配が極めて小さくなるためである。
また、筐体3および棚板2はマイクロ波吸収性を有している。その材質としては、誘電損失(tanδ)が大きくマイクロ波の吸収性が高いセラミック材料が好適である。従って、筐体3および棚板2を構成するセラミックス材料としては、例えば炭化ケイ素系材料、アルミナ系材料等が挙げられる。
また、雰囲気ガス7が円柱状の雰囲気ガス供給用ノズル6から筐体3内に供給されることにより、マイクロ波照射によりグリーンシート積層体1を構成する有機バインダが熱分解して発生した分解ガスが筐体3内において滞留することなく、対向する側面の排気用ノズル8から排気ガス9として連続的に排出される。
また、雰囲気ガス7としては、不活性ガスである窒素ガスを用いることが好ましい。また、銅を導体として使用する場合、低酸素分圧下で脱バインダするのに、有機バインダの熱分解生成物である不飽和炭化水素を二酸化炭素ガスに変化させる目的で露点が40℃以
上の雰囲気ガスを用いる。
このとき、ガラスセラミックグリーンシート積層体1の収縮開始温度未満では、雰囲気ガス7の供給量がグリーンシート積層体1の単位質量1gあたり50〜150cm/分であることが重要である。雰囲気ガス7の供給量がグリーンシート積層体の単位質量1gあたり50cm/分未満であると、グリーンシート積層体1内で有機バインダが熱分解した不飽和炭化水素を二酸化炭素に変化させ、グリーンシート積層体1内から効率良く排出することができなくなる。その結果、焼き上がった多層ガラスセラミック基板にフクレやボイドの発生が多くなる。多層ガラスセラミック基板表面にフクレが発生すると、多層ガラスセラミック基板表面に凸部が形成され、平坦度が要求される半導体素子の実装面の平坦度が劣化し半導体素子の実装が阻害される。さらに、多層ガラスセラミック基板内にボイドが増加すると、ガラスセラミックスの絶縁抵抗や強度が劣化する。
また、雰囲気ガス7の供給量がグリーンシート積層体の単位質量1gあたり150cm/分を超えると、グリーンシート積層体1から二酸化炭素ガスは排出されるが、グリーンシート積層体1表面の熱が雰囲気ガス7に奪われて、グリーンシート積層体1の焼結が阻害される。その結果、グリーンシート積層体1の表面と内部とで収縮量に差が生じることにより、多層ガラスセラミック基板が変形したり反ったりする。
グリーンシート積層体1にマイクロ波吸収性の筐体3やマイクロ波吸収性の棚板2を通してマイクロ波を照射することにより、有機バインダの熱分解によって生成した不飽和炭化水素の水蒸気との反応による二酸化炭素ガス化およびセラミックスの焼結を行なう。この際、有機バインダの熱分解によって生成した不飽和炭化水素の水蒸気との反応による二酸化炭素ガス化は、100〜800℃の温度範囲でグリーンシート積層体1を加熱することによって行なう。
また、焼結温度はガラスセラミック組成により異なるが、通常は約800〜1000℃の範囲内である。ここで、焼結温度とは、グリーンシート積層体が収縮を開始する温度を示しており、収縮開始温度ともいう。
ここで、雰囲気ガス7の供給量はガラスセラミックグリーンシート積層体の単位質量1gあたり1〜40cm/分に設定する。これは、収縮開始温度以上における雰囲気ガス7の供給量がガラスセラミックグリーンシート積層体の単位質量1gあたり1cm
/分未満であると、筐体3内を窒素雰囲気に保てなくなることで導体パターンが酸化し、焼き上がった多層ガラスセラミック基板は配線層の抵抗値が極めて高くなるためであり、また、収縮開始温度以上における雰囲気ガス7の供給量が40cm/分をえると、筐体3内に窒素の流れにより生じる温度勾配の影響によって、ガラスセラミックグリーンシート積層体1の焼結が阻害されてガラスセラミックグリーンシート積層体内の収縮量に差が生じやすく、多層ガラスセラミック基板の寸法精度を向上させることが困難になるからである。
また、本発明の製造方法において用いるマイクロ波の周波数は1〜20GHzが好ましく、特に2.45GHzが好ましい。この周波数が1GHz未満では、波長が長くなりすぎるとともにグリーンシート積層体1および筐体3および棚板2のマイクロ波による発熱性が低下する。20GHzを超える場合、マイクロ波発振器のコストが高くなり工業的な利用には不適である。特に、マイクロ波の周波数を2.45GHzとした場合、発振器が工業的に安定して利用できるものとなり、コスト的にも比較的安価である。
また、マイクロ波焼成炉11としては、マイクロ波発振器および導波管を備えたバッチ炉であってもよく、あるいは大型の連続炉であっても何ら差し支えない。
マイクロ波焼成炉11内の炉壁10はマイクロ波を透過させない金属性の材質でできており、導波管を通してマイクロ波焼成炉11内に導入されたマイクロ波は炉壁10によって反射を繰り返す。また、マイクロ波低吸収の断熱材4はマイクロ波の透過性のあるアルミナファイバーや発泡アルミナ材料等から成る。さらに、筐体3や棚板2は、マイクロ波吸収性の高い材料から適宜選択されるが、グリーンシート積層体1のマイクロ波吸収率と同じ程度かそれ以上のマイクロ波吸収率を有するものを用いることが良い。これにより、マイクロ波照射の際に、グリーンシート積層体1の表面と内部との温度勾配が極めて小さくなる。
グリーンシート積層体1の上下面にさらに拘束グリーンシートを積層して焼成し、焼成後に拘束シートを除去するようにすれば、より高寸法精度の多層ガラスセラミック基板を得ることが可能となる。拘束グリーンシートは、Al等の難焼結性無機材料を主成分とするグリーンシートであり、焼成時に収縮しないものである。この拘束グリーンシートが積層された積層体は、収縮しない拘束グリーンシートにより積層平面方向(xy平面方向)の収縮が抑制され、積層方向(z方向)にのみ収縮するので、焼成収縮に伴う寸法ばらつきが抑制される。
また、拘束グリーンシートには難焼結性無機成分に加えて、焼成温度以下の軟化点を有するガラス成分、例えばガラスセラミックグリーンシート中のガラスと同じガラスを含有させるとよい。焼成中にこのガラスが軟化してガラスセラミックグリーンシートと結合することにより、ガラスセラミックグリーンシートと拘束グリーンシートとの結合が全面にわたり強固となり焼成前後で一貫して結合されるので、より確実な拘束力が得られるからである。このときのガラス量は難焼結性無機成分とガラス成分を合わせた無機成分に対して0.5〜15質量%とすると良く、拘束力が向上し、かつ拘束グリーンシートの焼成収縮が0.5%以下に抑えられる。
焼成後に拘束シートを除去する。除去方法としては、例えば研磨、ウォータージェット、ケミカルブラスト、サンドブラスト、ウェットブラスト(砥粒と水とを空気圧により噴射させる方法)等が挙げられ、ウェットブラストが表面の導体パターンに対する衝撃等が小さいのでよい。
本発明の実施例について以下に説明する。
(実施例1)
ガラスセラミック成分として、SiO−Al−MgO−B−ZnO系ガラス粉末60質量%、CaZrO粉末20質量%、SrTiO粉末17質量%およびAl粉末3質量%を使用した。このガラスセラミック成分100重量部に、有機バインダとしてアクリル樹脂12重量部、フタル酸系可塑剤6重量部および溶剤としてトルエン30重量部を加え、ボールミル法により混合しスラリーとした。このスラリーを用いてドクターブレード法により、厚さ300μmのグリーンシートを成形した。
次に、このグリーンシート上に銅ペーストを用いて導体パターンをスクリーン印刷にて形成した。このとき、銅ペーストとして、銅粉末(平均粒径1.0μm)100重量部に対して、Al粉末2重量部および上記ガラスと同組成のガラス粉末2重量部、さらにビヒクル成分として所定量のエチルセルロース系樹脂、テルピネオールを加え、3本ロールにより適度な粘度になるように混合したものを用いた。
表面に導体パターンとガラスセラミック被覆層とを形成した表層用グリーンシートと、内層用グリーンシートの所定枚数を積み重ねてグリーンシート積層体を得た。
得られたグリーンシート積層体をマイクロ波によって自己発熱するアルミナ製の筐体内に載置し、この筐体内に露点60℃の窒素ガスをグリーンシート積層体の単位質量1gあたり100cm/分の流量で供給するとともに、2.45GHzのマイクロ波を連続照射し700℃で1時間加熱して有機成分を除去した後、900℃で10分間焼成した。この時、棚板は炭化珪素製のものを使用した。
焼成後、得られた多層ガラスセラミック基板の積層面内での収縮ばらつきは±0.15%であり、反りは30μmであった。
(実施例2)
筐体内に供給する窒素ガス供給量をグリーンシート積層体の単位質量1gあたり50cm/分とした以外は実施例1と同様の方法で焼成し多層ガラスセラミック基板を得た。この多層ガラスセラミック基板の積層面内での収縮ばらつきは±0.25%であり、反りは25μmであった。
(実施例3)
筐体内に供給する窒素ガス供給量をグリーンシート積層体の単位質量1gあたり150cm/分とした以外は実施例1と同様の方法で焼成し多層ガラスセラミック基板を得た。この多層ガラスセラミック基板の積層面内での収縮ばらつきは±0.15%であり、反りは45μmであった。
(実施例4)
筐体内に供給する窒素ガス供給量をグリーンシート積層体の単位質量1gあたり100cm/分とし、グリーンシート積層体の収縮開始温度以上ではグリーンシート積層体の単位質量1gあたり20cm/分とした以外は実施例1と同様の方法で焼成し多層ガラスセラミック基板を得た。この多層ガラスセラミック基板の積層面内での収縮ばらつきは±0.05%であり、反りは15μmであった。
(実施例5)
筐体内に供給する窒素ガス供給量をグリーンシート積層体の単位質量1gあたり100cm/分とし、グリーンシート積層体の収縮開始温度以上では、筐体内に供給する窒素ガス供給量をグリーンシート積層体の単位質量1gあたり1cm/分とした以外は実施例1と同様の方法で焼成し多層ガラスセラミック基板を得た。この多層ガラスセラミック基板の積層面内での収縮ばらつきは±0.05%であり、反りは10μmであった。
(実施例6)
筐体内に供給する窒素ガス供給量をグリーンシート積層体の単位質量1gあたり100cm/分とし、グリーンシート積層体の収縮開始温度以上では、筐体内に供給する窒素ガス供給量をグリーンシート積層体の単位質量1gあたり40cm/分とした以外は実施例1と同様の方法で焼成し多層ガラスセラミック基板を得た。この多層ガラスセラミック基板の積層面内での収縮ばらつきは±0.10%であり、反りは20μmであった。
また、表1に示すように、実施例1〜6の絶縁抵抗、強度、ボイド率には問題はなかった。
Figure 0004522254
(比較例1)
筐体内に供給する窒素ガス供給量をグリーンシート積層体の単位質量1gあたり30cm/分とした以外は実施例1と同様の方法で焼成し多層ガラスセラミック基板を得た。この多層ガラスセラミック基板の積層面内での収縮ばらつきは±0.40%であり、反りは35μmであった。また、表1に示すように絶縁抵抗と強度が低く、ボイド率が高かった。
(比較例2)
筐体内に供給する窒素ガス供給量をグリーンシート積層体の単位質量1gあたり170cm/分とした以外は実施例1と同様の方法で焼成し多層ガラスセラミック基板を作製した。この多層ガラスセラミック基板の積層面内での収縮ばらつきは±0.30%であり、反りは120μmと大きかった。また、表1に示すように絶縁抵抗、強度、ボイド率には問題はなかった。
(比較例3)
筐体内に供給する窒素ガス供給量をグリーンシート積層体の単位質量1gあたり100cm/分とし、グリーンシート積層体の収縮開始温度以上では、筐体内に供給する窒素ガス供給量をグリーンシート積層体の単位質量1gあたり0.5cm/分とした以外は実施例1と同様の方法で焼成し多層ガラスセラミック基板を得た。この多層ガラスセラミック基板の積層面内での収縮ばらつきは±0.30%であり、反りは200μmと大きかった。なお、得られた多層ガラスセラミック基板は導体パターンが酸化しており、配線層の抵抗値が極めて高かった。
なお、本発明は上述の実施の形態および実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良が可能である。例えば、上述した実施の形態においては、半導体素子、半導体チップ等を搭載するのに使用される多層ガラスセラミック基板の製造方法を例にとって説明したが、本発明は他の用途に用いられる多層ガラスセラミック基板の製造方法にも適用可能である。
(a)は本発明の多層ガラスセラミック基板の製造方法の実施の形態の一例を示し、多層ガラスセラミック基板の製造方法において使用するマイクロ波照射焼成炉の平面図、(b)は(a)のA−A’線における断面図である。
符号の説明
1・・・ガラスセラミックグリーンシート積層体
2・・・棚板
3・・・筐体
6・・・雰囲気ガス供給用ノズル
7・・・雰囲気ガス
8・・・排気用ノズル
9・・・排気ガス

Claims (1)

  1. 導体層が形成されたガラスセラミックグリーンシートを複数枚積層して成るガラスセラミックグリーンシート積層体をマイクロ波吸収性の筐体内に配置し、該筐体内に、前記ガラスセラミックグリーンシート積層体の収縮開始温度未満では前記ガラスセラミックグリーンシート積層体の単位質量1gあたり50〜150cm/分の供給量で水蒸気を含んだ窒素ガスを供給するとともに、前記ガラスセラミックグリーンシート積層体にマイクロ波を照射することにより、前記ガラスセラミックグリーンシート積層体から有機成分を除去して、前記ガラスセラミックグリーンシート積層体の収縮開始温度以上では前記ガラスセラミックグリーンシート積層体の単位質量1gあたり1〜40cm /分の供給量で前記水蒸気を含んだ窒素ガスを供給するとともに、前記ガラスセラミックグリーンシート積層体にマイクロ波を照射することにより、前記ガラスセラミックグリーンシート積層体を焼成することを特徴とする多層ガラスセラミック基板の製造方法。
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