JP4522215B2 - 熱可塑性樹脂シートおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、巻き取り操作性や印刷精度などを改善するのに有用な熱可塑性樹脂シート(スチレン系樹脂シートなど)およびその製造方法に関する。
熱可塑性樹脂シートは、スチレン系樹脂などを含む熱可塑性樹脂組成物を溶融混練してダイから押出成形し、冷却ロールにより冷却し、必要により延伸(特に二軸延伸)又はトリミングして所定寸法に切断した後、巻き取りロールや紙管に巻き取ることにより製造されている。例えば、特開2002−256125号公報(特許文献1)には、スチレン系樹脂(ゴム変性スチレン系樹脂など)、導電剤及び衝撃改良剤(スチレン系熱可塑性エラストマーなど)を含み、メルトインデックスが3.5g/10分以上である導電性樹脂組成物が開示されている。この導電性樹脂組成物は、熱成形などの二次加工性が高く、溶融混練してダイから押出してシート成形することも記載されている。
このようにして調製されたシートは、通常、種々の二次加工、例えば、印刷加工、熱成形による容器成形などに供される。しかし、押出成形は、ダイのリップ間隔や樹脂の流量を制御することにより行われており、ダイの幅方向(樹脂の吐出方向に対して直交する方向)において、リップ間隔が変動したり樹脂の流量分布が生じる。そのため、シートの幅方向には、長手方向に不規則的に延びる微細な厚みムラが生じる。しかも、フィルムに比べてシートの剛性(又は腰)が大きいため、大きな張力を作用させて巻き取ることができず、巻き取り工程で厚みムラを樹脂シートの柔軟性や可撓性で吸収することが困難である。そのため、ロールや紙管などの筒体にシートを巻き取ると、前記厚みムラが累積して、畝状凸部が長手方向に著在化し、シートが蛇行する。すなわち、巻き取りに伴って、厚みの大きな部位(畝部)では、後続するシートに対して巻き取り径が大きくなるため、後続するシートが伸長されて塑性変形しつつ巻き取られるとともに、後続するシートは厚みの大きな部位(畝部)に優先的に接触して巻き取られるため、シートが蛇行するだけでなく、巻き取り物の周方向には節状こぶ(畝状凸部又は筋状凸部)が生成する。さらに、筒体からシートを巻き戻して印刷に供すると、巻き戻しの張力が非伸長部位に拘束されるとともに、節状こぶ(畝状凸部又は筋状凸部)で伸長した伸長部位が緩むため、波打って走行するフレア現象が生じ、印刷位置のずれが生じる。特に、カラー印刷などの多色刷りでは、各色インキを正規な位置(例えば、カラーコントロール位置)に印刷できず、印刷ずれにより画像やパターンの鮮明性を大きく損なう場合がある。このような問題は、非晶質熱可塑性樹脂シートにおいて特に生じやすい。すなわち、非晶質熱可塑性樹脂を延伸してシートを調製すると、延伸に伴って、厚みムラのうち厚みの薄い部位がさらに伸長して薄くなり易いため、上記フレア現象、蛇行や印刷ずれが生じやすい。
なお、前記蛇行や印刷ずれを防止するためには、シートの微細な厚みムラを解消すればよい。しかし、厚みムラが極めて小さいため、シートの幅方向において微細な凹凸ムラを制御するには工業的に限度がある。
特開2002−256125号公報(特許請求の範囲、段落番号[0041])
従って、本発明の目的は、シートの幅方向に微小な厚みムラがあったとしても、シートの蛇行を抑制できるとともに、節状こぶ(畝状凸部又は筋状凸部)の生成および印刷ずれを防止できる熱可塑性樹脂シートおよびその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、シートを非晶質熱可塑性樹脂で調製しても、直進して走行でき、位置決め精度を改善できる熱可塑性樹脂シートおよびその製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、張力を作用させることが困難なシートであっても、シートの走行性又は印刷精度を向上できる方法を提供することにある。
本発明者は、熱可塑性樹脂シートの幅方向において表面に凹凸部(又は微小厚みムラ)が生成することは工業的な観点から避けることが困難であるため、前記凹凸部がシート表面に生成することを前提として前記課題を達成するため鋭意検討した結果、シートの幅方向の厚み分布において、幅方向の両側域よりも中央域の平均厚みを大きくすると、巻き取りや繰り出し操作においてシートに大きな張力を作用させなくてもシートの蛇行を抑制できるとともに、位置精度を高め印刷ずれが生じるのを有効に防止できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の熱可塑性樹脂シートは、表面に複数の凸部(又は厚みムラ)が形成され、かつ長手方向に延びるとともに所定の平均厚みを有する少なくとも1つの区画を備えた熱可塑性樹脂シートであって、シートの幅方向の厚み分布において、前記区画が、幅方向の両側部において長手方向に延び、かつ平均厚みよりも小さな平均厚みを有する第1の領域と、これら第1の領域間の長手方向に形成され、かつ前記第1の領域よりも平均厚みの大きな第2の領域とを備えている。すなわち、各区画は山形の厚みプロファイルを有している。このようなシートにおいて、長手方向に延び、かつ表面に平均高さhの複数の凸部が形成されているとともに、平均厚みT1を有する少なくとも1つの区画を備えた熱可塑性樹脂シートであって、シートの幅方向の厚み分布において、前記区画が、幅方向に間隔をおいて長手方向に延び、かつ平均厚みT1よりも小さな平均厚みT2を有する2つの第1の領域と、これら第1の領域間の長手方向に形成され、かつ前記平均厚みT2と前記凸部の平均高さhとの総和以上の平均厚みT3を有する第2の領域とを備えていてもよい。また、幅方向において表面の全体に亘り多数の凹凸部が形成された複数の区画を備えており、各区画の平均厚みをT1、各区画での前記凹凸部の凸部の平均高さをhとし、幅方向に走査したとき、各区画が、幅方向の両側部に形成され、かつ平均厚みT1よりも小さな平均厚みT2を有する第1の領域と、これら第1の領域間に形成され、かつ平均厚みT3を有する第2の領域とで構成され、T3≧(T2+h)であってもよい。また、第1の領域から第2の領域に向かって厚みは段階的又は連続的に増大していてもよい。なお、区画の平均厚みT1に対して凸部の平均高さhは0.3〜1.5%程度であってもよい。さらに、各区画の平均厚みT1が0.01〜2mm(例えば、0.01〜0.5mm)の熱可塑性樹脂シートにおいて、各区画の平均厚みT1を100としたとき、凸部の平均高さhが0.3〜1.5であり、第1の領域の平均厚みT2は99〜99.9程度であってもよく、第2の領域の平均厚みT3は100.1〜103程度であってもよい。例えば、各区画において、第1の領域の平均厚みよりも第2の領域の平均厚みがシートの平均厚みに対して0.5〜3%程度大きくてもよい。
さらに、熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などから選択でき、熱可塑性樹脂は、非晶質樹脂で構成してもよい。熱可塑性樹脂シートは、通常、長手方向に沿って巻き取られ(又は巻き戻され)る。また、熱可塑性樹脂シートは、未延伸又は延伸(一軸延伸又は二軸延伸)されていてもよい。
本発明は、少なくとも溶融熱可塑性樹脂をダイから押出し、長手方向に延びる少なくとも1つの区画を備えた熱可塑性樹脂シートを製造する方法も含む。この方法では、前記ダイのリップうち前記区画に対応するリップ領域において、幅方向の両側部の第1の領域(両側域など)よりも、これら第1の領域間の第2の領域(中央域など)での溶融樹脂の流量を大きくして押出成形することにより熱可塑性樹脂シートを製造できる。なお、ダイの幅方向における溶融樹脂の流量分布は、ダイのリップ間隔の調整又はリップ間の樹脂通路の温度の調整により行うことができる。このような熱可塑性樹脂シートは、表面に微細な凹凸部が形成されていても、巻き取り工程又は繰り出し工程において、シートの蛇行を防止でき、シートの走行性(又は直進走行性)や走行に伴う位置精度(印刷精度など)を向上させることができる。
なお、本明細書において、「平均高さhの凸部」とは、幅方向にシートの厚みを小さな測定間隔で測定したとき、凸部の高さが平均値として表されることを意味する。そのため、測定間隔が大きな場合には、「平均高さhの凸部」を「高さhの凸部」と読み替えることができる。
本発明では、熱可塑性樹脂シートが特定の厚み分布を有するため、シートの幅方向に微小な厚みムラがあったとしても、シートの蛇行を抑制できるとともに節状こぶ(又は畝状凸部)の生成を有効に防止でき、位置決め精度(印刷精度など)を高めることができる。また、シートを非晶質熱可塑性樹脂で調製しても、直進して走行でき、位置決め精度(印刷精度など)を大きく改善できる。そのため、張力を作用させることが困難なシートであっても、シートの走行性又は印刷精度を向上でき、多色印刷に供しても印刷ずれを防止できる。
以下に、必要により添付図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。
本発明の熱可塑性樹脂シートは、表面全体に亘り微細な凹凸部が形成されている。特に、熱可塑性樹脂シートの幅方向(機械方向のMD方向に対して直交する方向)において、長手方向(縦方向又は機械方向であるMD方向)に沿って延びる凹凸部が形成されている。このような凹凸部は、熱可塑性樹脂のシート成形に伴って生成する。図1は熱可塑性樹脂の押出成形に伴って熱可塑性樹脂シートの表面に凹凸部が生成する機構を説明するための概略図である。図1において、図1(A)はリップヒータの制御状態を示す概略図であり、図1(B)はダイリップとリップヒータとを備えた装置による樹脂の押出状態を示す概略図である。図2は本発明の熱可塑性樹脂シートの厚みプロファイルの一例を示すグラフであり、この例では、シートの幅方向において平均厚みに対する厚みのバラツキ(平均高さ)を示している。なお、図2は、β線厚み測定装置(横河電機(株)製「WEB GAGE」)により幅方向に6.7mm間隔で約600点(4000mm/600点)で厚みを測定した結果を示すグラフである。
図1に示されるように、押出機で溶融混練された溶融樹脂を押し出すためのダイのリップ1には、幅方向に沿って多数(n個)のヒータ(例えば、50〜120本、通常、60〜100本程度のリップヒータ)2が埋設されている。そして、温度が高くなるにつれて樹脂の流動性ひいては流量が増大することを利用して、これらのヒータにより溶融樹脂の通路表面の温度を制御している。すなわち、リップ1の幅方向に隣接して配置した多数のヒータ2により、適当な間隔(例えば、約30〜100mm間隔、通常、40〜60mm間隔)でリップ1の温度分布を制御し、リップ1の幅方向の樹脂流量及びシートの厚み分布をコントロールしている。なお、この例では、ダイから押し出された樹脂シートは、冷却ロールで冷却され、縦延伸及び横延伸に供され、二軸延伸された樹脂シートは、両端部(耳部)が切断除去されるとともに、各区画A,B,Cに対応した所定寸法幅に切断(スリット又はトリミング)され、巻き取り機により巻き取られている。
このような方法において、前記多数(n個)のヒータ2の設定値を同一レベルに設定すると、厚みのバラツキで小さく比較的均一な厚みを有する樹脂シートが得られる。しかし、隣接するヒータ2間で生じる温度分布により、樹脂シートの幅方向には、長手方向に沿って延びる微細な厚みムラ(凹凸部又は畝部)が生成する。しかも、このような厚みムラ(畝部)の生成は工業的に避けることができない。また、厚みムラがシートの平均厚みに対して0.3〜1%程度の高さであり、このような厚みムラが生じても実用上何ら支障がないため、前記厚みムラの生成を解消することは経済的にも不利である。そして、このような樹脂シートを巻き取ると、前記のように、前記微細な厚みムラの凸部が累積し、厚みムラによる畝状凸部が長手方向に著在化し、シートが蛇行するとともに、巻き戻して印刷に供すると、位置精度が低下し、印刷ずれが生じる。特に、ダイからの押出に伴って樹脂シートの両側部が狭まるネッキングが生じるため、押出成形により得られた樹脂シートの両側部では凹凸又は厚みムラが激しくなる。従って、樹脂シートの両側部において、不良品の生成頻度も多くなる。
そこで、本発明では、図1(A)に示すように、前記リップヒータ2により樹脂通路の温度分布を制御し、ダイリップ1の幅方向における溶融樹脂の流量分布をコントロールしている。この例では、幅方向に間隔をおいてそれぞれ長手方向(押出方向)に延びる3つの区画A,B,Cを備えており、各区画A,B,Cで溶融樹脂の流量分布をコントロールし、前記ダイのリップ1のうち前記各区画A,B,Cに対応するリップ領域において、両側域よりも中央域での溶融樹脂の流量を大きくしてダイから押し出し、二軸延伸することにより樹脂シートを得ている。すなわち、各区画A,B,Cに対応するリップ領域において、両側域から中央域に向かってリップヒータ2の温度を順次高くし、中央域での溶融樹脂の流量を大きくしている。より具体的には、図1に示す装置において、全体として、シートの基準厚み(基準値)は例えば、「100」に設定されている。幅方向において各区画A,B,Cの中央部2の目標厚みは、前記基準値よりも大きな値(例えば、「100.1」〜「101」、通常、「100.3」〜「100.7」程度)に設定され、各区画A,B,Cの両端部の目標厚みは、前記基準値よりも小さな値(例えば、「99.0」〜「99.9」、通常、「99.3」〜「99.7」程度)に設定されている。また、各区画A,B,Cの中央部と両端部との間の目標厚みプロファイルは、前記中央部の目標厚みが極大点(頂点)に位置し、両端部の目標厚みが極小点(底点)に位置するサインカーブ状パターンに設定されている。なお、押出成形されたシートの両側部は延伸のためにクリップ(摘持)されたり除去されるため、両側部の目標厚みは、適当な値(例えば、「100」)に設定されている。なお、各区画でのシートの厚みプロファイルは、リップヒータ2のオン/オフ及び通電時間(点火率)などによりコントロールできる。
このような厚みプロファイルを有するリップを備えたダイから溶融樹脂を押し出して、二軸延伸すると、各区画A,B,Cにおいて、両側域に比べて中央域の厚みの大きな樹脂シートが得られる。より詳細には、得られた樹脂シートは、図2に示されるように、幅方向において表面の全体に亘り多数の凹凸部が形成された3つの区画(幅方向に隣接して長手方向に延びる区画)A,B,Cを備えている。すなわち、各区画A,B,Cは、幅方向の両側部に形成された第1の領域(両側域又は側部領域)と、これら第1の領域間の長手方向に形成された第2の領域(中央域又は中央領域)とで構成されている。そして、各区画の平均厚みをT1、第1の領域の平均厚みをT2、第2の領域の平均厚みをT3、各区画での前記凹凸部の凸部の平均高さをhとし、幅方向に走査したとき、第1の領域(両側域又は側部領域)の平均厚みT2は区画の平均厚みT1よりも小さく(T2<T1)、第2の領域の平均厚みT3は、前記第1の領域の平均厚みT2と凸部の平均高さhとの総和よりも大きく[T3≧(T2+h)]形成されている。すなわち、第2の領域(中央域又は中央領域)の平均厚みT3は、T3≧(T2+h)の関係で第1の領域(側部領域)よりも厚みが大きく形成され、各区画は中央部が厚みの大きな山形状の厚みプロファイルを有している。また、樹脂シートの各区画において、第1の領域(側部領域)から第2の領域(中央領域)に向かって厚みが段階的又は連続的に増大し、中央域の平均厚みを大きくしている。
このような熱可塑性樹脂シートでは、厚みムラにより平均高さhの凸部(又は畝部)が長手方向に形成されても、第2の領域(中央域)の平均厚みT3が、区画の平均厚みT2と凸部(又は畝部)の平均高さhとの総和以上の厚みを有する。そのため、巻き取り工程において、第2の領域(中央域)により前記平均高さhの凸部(又は畝部)を吸収でき、凸部(又は畝部)による節状こぶ(又は畝状凸部)の生成のみならず蛇行を防止ししつ各区画のシートを巻き取ることができる。また、第2の領域(中央域)により特定の部位に張力が作用することがなく、前記凸部(又は畝部)の累積的積層による畝状凸部が各区画の長手方向に生成するのを防止できる。さらに、円滑かつ高い位置精度で巻き戻すこともできる。そのため、印刷に供しても、印刷ずれや色ずれが生じることがなく、鮮明な画像やパターンを形成できる。
なお、本発明の樹脂シートは、押出成形可能な種々の熱可塑性樹脂、例えば、ポリオレフィン系樹脂(低密度、中密度、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのエチレン系樹脂;ポリプロピレンなどのプロピレン系樹脂;エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン共重合体などのオレフィン系共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー樹脂などのオレフィンと共重合性単量体との共重合体)、塩化ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体など)、フッ素樹脂、アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)、スチレン系樹脂(ポリスチレンなどの芳香族ビニル単量体の単独又は共重合体;スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体などのスチレンと共重合性単量体との共重合体;ゴム強化スチレン系樹脂などのグラフト重合体など)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリC2−4アルキレンアリレート、これらのアルキレンアリレート単位を70モル%以上の割合で含むコポリアルキレンアリレート、ポリアリレート、液晶性ポリエステルなど)、ポリアミド系樹脂(ポリアミド46,ポリアミド6,ポリアミド66,ポリアミド610,ポリアミド612,ポリアミド6610,ポリアミド6611,ポリアミド6612などの脂肪族ポリアミド、脂環族ポリアミド、MXD−6などの芳香族ポリアミドなど)、ポリアセタール系樹脂(ホモ又はコポリアセタール樹脂)、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂(ビスフェノールAなどのビスフェノール型ポリカーボネートなど)、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリスルフォン系樹脂(ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(芳香族ポリウレタン樹脂など)、熱可塑性エラストマーなどが例示できる。
前記スチレン系樹脂のうちゴム強化スチレン系樹脂としては、ゴム成分(ポリブタジエンなどジエン系ゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体ゴムなど)に少なくとも芳香族ビニル単量体がグラフト重合した重合体、例えば、ゴム変性スチレン系樹脂(又はポリブタジエンなどのゴム成分にスチレンがグラフト重合した耐衝撃性スチレン系樹脂)、ゴム成分にスチレン系単量体とアクリロニトリル及び/又は(メタ)アクリル酸エステルがグラフト重合したグラフト共重合体(例えば、ポリブタジエンにアクリロニトリルとスチレンとがグラフト重合したABS樹脂、ポリブタジエンに代えてアクリルゴムを用いたAAS樹脂、ポリブタジエンにメタクリル酸メチルとスチレンとがグラフト重合したMBS樹脂など)などが例示できる。
これらの樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用でき、複数の樹脂を用いて複合樹脂組成物(ポリマーアロイ)を形成してもよい。熱可塑性樹脂シートは、単層シートであってもよく、異種の樹脂層で構成された積層シート(共押出シートや接着剤を用いたドライラミネートシートなど)であってもよい。さらに、熱可塑性樹脂シートは、複数の熱可塑性樹脂のポリマーブレンド又はアロイで構成された複合シートであってもよい。熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂又はポリアミド系樹脂である場合が多い。
熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン系樹脂やポリアルキレンアリレート樹脂などの結晶性樹脂であってもよく、スチレン系樹脂などの非晶質樹脂(又は非結晶性樹脂)であってもよい。なお、非晶質樹脂を押出成形して延伸すると、延伸に伴って、厚みムラのうち厚みの薄い部位がさらに伸長して薄くなり易く、シートの巻き取りや巻き戻しによりシートが蛇行したり位置ずれによる印刷ずれなどが生じやすい。本発明では、このような非晶質樹脂を用いても、シートの蛇行を有効に防止でき、位置決め精度(又は印刷精度)を高めることができる。
熱可塑性樹脂は、シートの特性に応じて、添加剤を含む樹脂組成物として使用してもよい。添加剤としては、可塑剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤など)、難燃剤(ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤や無機系難燃剤などの非ハロゲン系難燃剤など)、導電剤(カーボンブラック、黒鉛などの炭素材、金属など)、帯電防止剤(ノニオン系帯電防止剤、カチオン系帯電防止剤など)、着色剤、充填剤又は補強剤(シリカ、アルミナ、タルクなどの粉粒状充填剤、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維などの繊維状充填剤など)、離型剤(ワックス類、シリコーンオイルなど)、滑剤、ブロッキング防止剤、柔軟性付与剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
熱可塑性樹脂シートは未延伸シートであってもよく延伸シート(一軸又は二軸延伸シート)であってもよい。なお、前記のように、非晶質又は非結晶性熱可塑性樹脂では、延伸に伴って厚みムラが生じやすい。延伸倍率は、特に制限されず、縦方向及び横方向の合計倍率として、例えば、1.1〜5倍、好ましくは1.2〜3倍(例えば、1.2〜2.5倍)程度であってもよい。
さらに、熱可塑性樹脂シートは、必要であれば、種々の表面処理、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理を施してもよく、表面に種々の機能層(例えば、帯電防止層、滑性層、ブロッキング防止層など)を形成してもよい。
熱可塑性樹脂シートの平均厚みは、用途に応じて50μm〜2mm程度の範囲から選択でき、通常、0.01〜1mm、好ましくは0.05〜0.5mm、さらに好ましくは0.1〜0.5mm程度であり、0.13〜0.45mm(例えば、0.15〜0.35mm)程度であってもよい。
熱可塑性樹脂シートの表面には、前記厚みムラに起因して複数の凸部(凹凸部)が形成されている。このような樹脂シートでは、通常、幅方向において表面の全体に亘り多数の凹凸部(凸部)が形成されており、多数の凹凸部(凸部)は規則的に形成されていてもよいが、通常、ランダムに形成されている。
また、熱可塑性樹脂シートは、長手方向に延びるとともに所定の厚みT1を有する少なくとも1つの区画を備えており、樹脂シートは、幅方向に間隔をおいて又は隣接して複数の区画を備えていてもよい。なお、熱可塑性樹脂シートは単一の区画で構成してもよく、幅方向に隣接した複数の区画で構成してもよい。後者の熱可塑性樹脂シートは、スリット加工又はトリミングにより各区画に切断して単一の区画で構成された樹脂シートとして利用してもよい。なお、区画幅は、樹脂シートの用途に応じて選択でき、例えば、100〜10000mm程度であってもよい。
そして、シートの幅方向の厚み分布において、熱可塑性樹脂シートの区画は、幅方向の両側部において(又は幅方向に間隔をおいて)長手方向に延び、かつ所定の平均厚みT2を有する2つの第1の領域(薄肉領域又は側部領域)と、これら第1の領域間の長手方向に形成され、かつ前記第1の領域の平均厚みT2よりも大きな平均厚みT3を有する第2の領域(肉厚領域又は中央領域)とを備えており、関係式T2<T1<T3を満足する。
また、前記第2の領域(肉厚部)は、シートの形態や巻き取り性を損なわない限り、前記関係式を満足すればよいが、通常、区画の平均厚みT1と前記凸部の平均高さhとの総和以上の平均厚みT3(T3≧(T2+h))を有する。
なお、第2の領域と第1の領域との平均厚みの差(T3−T2)は、凸部の平均高さhの0.5〜2倍[h×(0.5〜2)]、好ましくは0.8〜1.5倍(例えば、1〜1.5倍)、さらに好ましくは0.9〜1.3倍(例えば、1〜1.3倍)程度であり、通常、1〜1.2倍程度である。平均厚みの差(T3−T2)が凸部の平均高さhから大きく離れすぎると、厚みムラによる凸部の高さhを前記平均厚みの差(T3−T2)で吸収して相殺され易いが、巻き取り及び巻き戻しにおいてシートの直進走行性や位置精度(印刷精度)が低下する。
前記凸部の平均高さhは、区画の平均厚みT1に対して0.1〜6%(例えば、0.2〜6%)程度であり、通常、平均厚みT1の0.3〜3%(例えば、0.3〜2%)、好ましくは0.3〜1.5%(例えば、0.5〜1.2%)程度であってもよい。
第1の領域と第2の領域との平均厚みの差(T3−T2)は、凸部の平均高さhに応じて各区画の平均厚みT1の0.1〜6%(例えば、0.2〜6%)程度の範囲から選択でき、通常、各区画の平均厚みT1の0.1〜3%[T1×(0.001〜0.03)]、好ましくは0.3〜3%(例えば、0.5〜3%)、さらに好ましくは0.5〜2%程度であり、通常、0.5〜1.8%(例えば、0.7〜1.5%)、特に0.8〜1.2%程度である。凸部の高さが大きすぎると、第1及び第2の領域の厚みを調整しても直進走行性などが改善できない場合がある。なお、凹凸部の厚みのバラツキについて、凸部の高さ(peak to peak)を基準にしているが、区画の平均厚みT1を基準とするとき、凹凸部の厚みのバラツキは、前記凸部の平均高さhの±h/2の値で表すこともできる。
より具体的には、熱可塑性樹脂シートの区画の幅方向の厚み分布において、各区画の平均厚みT1を100としたとき、凸部の平均高さhは、例えば、0.3〜2.5(例えば、0.3〜2)、好ましくは0.3〜1.7(例えば、0.3〜1.5)、さらに好ましくは0.5〜1.2程度であってもよい。また、第1の領域の平均厚みT2は、例えば、99〜99.9、好ましくは99.2〜99.8、さらに好ましくは99.3〜99.7程度であってもよい。さらに、第2の領域の平均厚みT3は、例えば、100.1〜103、好ましくは100.3〜102、さらに好ましくは100.5〜101.5(例えば、100.7〜101.3)、特に100.8〜101.2程度であってもよい。
なお、幅方向の厚み分布(プロファイル)は、幅方向に連続的に厚みを測定してもよく、所定の間隔(所定の走査間隔)毎に測定してもよい。測定間隔が、1〜20mm程度、好ましくは3〜10mm(例えば、5〜8mm)程度であれば、厚み分布(厚みのバラツキ)を伴った幅方向の厚みプロファイルを得ることができる。また、シートの厚みは、前記β線厚み測定器に限らず、マイクロメータなどの厚み測定装置で測定してもよい。
第1の領域と第2の領域とは、厚みが階段状に変化していてもよいが、通常、第1の領域から第2の領域に向かって厚みが段階的又は連続的に増大している。なお、シートの厚み分布は、ダイリップの幅方向での溶融樹脂の流量に依存している。そのため、ダイリップの幅方向での溶融樹脂の流量を制御することにより、シートの厚み分布の細部も調整できる。
このような熱可塑性樹脂シートは、巻き取り及び巻き戻しにおいて、直進走行性を有しており、位置決め精度(印刷精度など)を高めることができる。また、周方向に延びる筋状凸部の生成を防止できるため、紙管に巻き取っても紙管が変形又は潰れることもなく、均一に巻き取ることができるので、巻き取った積層状のシートが筒体(紙管など)の軸方向にずれることもない。そのため、本発明の熱可塑性樹脂シートは、長手方向に沿って巻き取って利用するのに有用である。例えば、熱可塑性樹脂シートを筒体(ロールや紙管など)に巻き取って保管、輸送したり、筒体から巻き戻(又は繰り出)して二次加工(例えば、接着剤による接着加工、コロナ放電処理などの表面処理加工、ヒートシール、超音波溶着などの熱接合、ドライラミネートなどによるラミネート加工、コーティング剤の塗布によるコーティング加工、印刷インキを用いた印刷加工、金属や金属酸化物などの蒸着加工、帯電防止剤による帯電防止加工、真空成形、熱成形などによる容器成形などの成形加工など)に供するのに有用である。上記二次加工は単独で又は二種以上組み合わせて行ってもよい。例えば、コロナ放電処理した後、コーティング剤や印刷インキなどにより塗工又は印刷し、容器成形してもよい。なお、上記印刷加工では、グラビア印刷、フレキソ印刷などの種々の印刷方式が採用でき、単色印刷に限らず、多色印刷(例えば、フルカラー印刷など)に供しても印刷ずれが生じることがなく、鮮明な画像やパターンを形成できる。このように、二次加工に供しても位置決め精度が高いため、二次加工品の歩留まりを大きく向上できる。
前記熱可塑性樹脂シートは、少なくとも溶融熱可塑性樹脂をダイから押出す押出成形法において、前記ダイのリップのうち前記区画に対応するリップ領域において、両側域よりも中央域での溶融樹脂の流量を大きくして押出成形する方法で製造できる。例えば、前記ダイリップの幅方向に複数のリップヒータを配設して各リップヒータの温度(換言すれば、リップ間の樹脂通路の温度)を制御する方法(リップヒータ方式)、リップ調整ボルトにヒータを取り付け、ヒータによりボルトを熱膨張させてリップ間隔を制御する方法(ヒートボルト方式)、サーボモータユニットを利用して調整ボルトを回転させ、ダイのリップ間隔を制御する方法(ロボット方式)、チョークバー方式や手動方式などを利用して、リップ領域の幅方向における流量制御を行うことができる。なお、これらの方式によるシートの製造装置は、例えば、「三菱シート製造装置」「三菱フィルム自動厚み制御装置」(三菱重工業(株))として販売されている。
ダイはリングダイであってもよいがTダイである場合が多い。ダイは、フレキシブルリップ形ダイであってもよく、コートハンガー形ダイ、チョークバー付きダイ(チョークバー付きコートハンガー形ダイなど)であってもよい。なお、リップ幅は特に制限されず、例えば、500〜3000mm程度であってもよい。ダイからの押出方向は特に制限されず、縦方向に押し出す縦引き方式であってもよく、横方向に押し出す横引き方式であってもよく、必要であれば、斜め方向に押し出してもよい。
なお、ダイリップにおける溶融樹脂の流量分布(リップ間隔の分布又は温度分布)は、前記幅方向の厚み分布に対応していればよく、必ずしも前記サインカーブ状のプロファイルである必要はない。また、リップヒータの数も72本に制限されず、例えば、50〜1000本程度であってもよく、リップヒータによる温度制御の間隔は、10〜200mm程度であってもよい。また、ヒートボルト方式やロボット方式においても、リップの幅方向における制御間隔は、適当に選択でき、例えば、10〜250mm程度であってもよい。なお、リップ間隔や温度は、リップの幅方向において連続的なパターンで制御してもよい。
熱可塑性樹脂シートを巻き取る工程及び/又は繰り出し工程(例えば、二次加工のための繰り出し工程)において、前記樹脂シートを用いると、シートの走行性(特に、直進走行性)又は位置精度(印刷精度など)を向上できる。また、巻き取り物の周方向に節状こぶ(又は畝状凸部)が生成するのも有効に防止できる。そのため、本発明は、シートの走行性(特に、直進走行性)又は位置精度(印刷精度など)を向上させる方法や節状こぶ(又は畝状凸部)の生成を防止する方法も包含する。
本発明は、ダイから熱可塑性樹脂組成物を連続的に押し出し、必要に応じて延伸処理し、トリミングして巻き取られる熱可塑性樹脂シートや、繰り出して二次加工(印刷加工など)に供するための熱可塑性樹脂シートに適用するのに有用である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
比較例1
図1に示すリップヒータ(n=72本)をリップ1の幅方向に埋設したTダイ(フレキシブルリップ形ダイ)において、全てのリップヒータ2による目標厚みを、基準値「1000」に設定した。そして、スチレン系樹脂(東洋スチレン(株)製、GPPS「HRM13N」)を温度200℃で溶融混練し、前記Tダイから横方向に押出し、縦方向に2.5倍延伸した後、横方向に2.5倍延伸し、厚み0.3mmの二軸延伸スチレン系樹脂シートを作製した。この二軸延伸スチレン系樹脂シートは、両側部(耳部)をスリッタで除去するとともに、幅1000mmでスリットし、区画A,B,Cに対応する樹脂シートを紙管(直径100mmφ)に巻き取り速度150m/分で巻き取った。。
前記二軸延伸スチレン系樹脂シートを巻き取り量(巻き径)φ750mmで巻き取ったところ、周方向に節状こぶ(又は畝状凸部)が次第に成長し、第1の領域に筋状凸部(節状凸部)が生成した。
実施例1
図1に示すリップヒータ(n=72本)をリップ1の幅方向に埋設したTダイにおいて、所定の厚みプロファイルを有する3つの区画A,B,Cで構成された二軸延伸スチレン系樹脂シートを調製するため、前記リップヒータ2による目標厚みをコントロールする以外、比較例1と同様にして二軸延伸スチレン系樹脂シートを得た。すなわち、幅方向において各区画A,B,Cの中央部の目標厚み(ヒータNo.14〜16,35〜38,57〜59に対応する領域の厚み)は、前記基準値「1000」よりも大きな値「1005」に設定し、各区画A,B,Cの両端部の目標厚み(ヒータNo.5〜6,24〜26,47〜49,67〜68に対応する領域の厚み)は、前記基準値よりも小さな値「995」に設定した。また、各区画において、中央部の目標厚みから両端部の目標厚みに向かって目標厚みを「1005」から「995」に順次低減させ、サインカーブ状の厚みプロファイルを形成するように設定した。なお、両端部のリップヒータ(ヒータNo.1〜4,69〜72)2の目標厚みは、基準値「1000」に設定した。
前記二軸延伸スチレン系樹脂シートを巻き取り量(巻き径)φ750mmで巻き取ったところ、シートを均一に巻き取ることができ、第1の領域(側部領域)に筋状凸部も生成しなかった。
そして、実施例及び比較例で得られた巻き取り前の二軸延伸スチレン系樹脂シートについて、幅方向の厚みのバラツキを、β線厚み測定装置(横河電機(株)製「WEB GAGE」)により6.7mm間隔[4000mm/600点]で測定したところ、図3及び図4に示す結果が得られた。
図4から明らかなように、比較例で得られた樹脂シートは、幅方向において凸部の平均高さが各区画の平均厚みの0.3〜1%程度であるが、第一の領域(側部領域)に節状凸部があった。これに対して、図3から明らかなように、実施例の樹脂シートは、各区画において、各区画の平均厚みに対して±1%程度のバラツキで厚みが変動していたが、幅方向の両側部領域(第1の領域)の平均厚みは、各区画の平均厚みよりも1%程度小さく、中央域(第2の領域)の平均厚みは各区画の平均厚みよりも1%程度大きな山形の厚みプロファイルを示した。
図1は熱可塑性樹脂シートの表面に凹凸部が生成する機構を説明するための概略図である。 図2は本発明の熱可塑性樹脂シートの厚みプロファイルの一例を示すグラフである。 図3は実施例1で得られた熱可塑性樹脂シートの厚みプロファイルを示すグラフである。 図4は比較例1で得られた熱可塑性樹脂シートの厚みプロファイルを示すグラフである。
符号の説明
1…リップ
2…リップヒータ
A,B,C…区画

Claims (9)

  1. 長手方向に延び、かつ表面に平均高さhの複数の凸部が形成されているとともに、平均厚みT を有し、かつ中央部が厚みの大きいプロファイルを有する複数の区画を幅方向に隣接して備えた熱可塑性樹脂シートであって、シートの幅方向の厚み分布において、前記区画が、幅方向に間隔をおいて長手方向に延び、かつ平均厚みTよりも小さな平均厚みTを有する2つの第1の領域と、これら第1の領域間の長手方向に形成され、かつ前記平均厚みTと前記凸部の平均高さhとの総和以上の平均厚みTを有する第2の領域とを備えている熱可塑性樹脂シート。
  2. 幅方向において表面の全体に亘り多数の凹凸部が形成された複数の区画を備えており、各区画の平均厚みをT、各区画での前記凹凸部の凸部の平均高さをhとし、幅方向に走査したとき、各区画が、幅方向の両側部に形成され、かつ平均厚みTよりも小さな平均厚みTを有する第1の領域と、これら第1の領域間に形成され、かつ平均厚みTを有する第2の領域とで構成され、T≧(T+h)の関係式を満たし、第1の領域から第2の領域に向かって厚みが段階的又は連続的に増大している請求項1記載の熱可塑性樹脂シート。
  3. 区画の平均厚みTに対して凸部の平均高さhが0.3〜1.5%である請求項1記載の熱可塑性樹脂シート。
  4. 各区画の平均厚みTが0.01〜2mmの熱可塑性樹脂シートであって、各区画の平均厚みTを100としたとき、凸部の平均高さhが0.3〜1.5であり、第1の領域の平均厚みTが99〜99.9であり、第2の領域の平均厚みTが100.1〜103である請求項1記載の熱可塑性樹脂シート。
  5. ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂及びポリアミド系樹脂から選択された少なくとも一種で構成され、かつ長手方向に沿って巻き取るための熱可塑性樹脂シートである請求項1記載の熱可塑性樹脂シート。
  6. 非晶質樹脂で構成され、かつ延伸されている請求項1記載の熱可塑性樹脂シート。
  7. 少なくとも溶融熱可塑性樹脂をダイから押出し、長手方向に延びる複数の区画を備えた請求項1記載の熱可塑性樹脂シートを製造する方法であって、前記ダイのリップのうち前記区画に対応するリップ領域において、幅方向の両側部の第1の領域よりも、これら第1の領域間の第2の領域での溶融樹脂の流量を大きくして押出成形する熱可塑性樹脂シートの製造方法。
  8. ダイのリップ間隔の調整又はリップ間の樹脂通路の温度の調整により、ダイの幅方向における溶融樹脂の流量分布をコントロールする請求項記載の製造方法。
  9. 熱可塑性樹脂シートを巻き取る工程又は繰り出し工程において、請求項1記載のシートを用い、シートの走行性又は位置精度を向上させる方法。
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