JP2002187189A - 口金、シートならびにその製造装置および製造方法 - Google Patents

口金、シートならびにその製造装置および製造方法

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JP2002187189A JP2000386758A JP2000386758A JP2002187189A JP 2002187189 A JP2002187189 A JP 2002187189A JP 2000386758 A JP2000386758 A JP 2000386758A JP 2000386758 A JP2000386758 A JP 2000386758A JP 2002187189 A JP2002187189 A JP 2002187189A
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die
heating
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Fumiyasu Nomura
文保 野村
Nobutsugu Chigira
宣嗣 千木良
Takao Sano
高男 佐野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】厚みムラ精度の良いシートを安価に安定して製
造する方法を提供すること。スタート時に厚みムラが少
なく、スタート時の原料ロスや時間をおおいに低減す
る。本発明によれば、原反形状の良さも期待できる。 【解決手段】先端部に幅方向に沿って並んで配置された
厚み調整手段を備えたAリップと、少なくとも先端部の
Aリップ側に幅方向に一様に平坦な対向面を有するBリ
ップとを備える。AリップおよびBリップの後部におい
ては、幅方向に略均一に固定力を付与する固定部材が備
えられている。そして、AリップおよびBリップの先端
部の間には幅方向に略均一な間隔の間隙部が形成され、
AリップおよびBリップの中央部の間には幅方向に延在
するマニホールドが形成されおり、幅方向の温度むらの
大きさが、シート化する溶融材料の温度と室温の差の絶
対値に対して1%以内になるように口金を加熱する加熱
手段を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、口金、シートなら
びにその製造装置および製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリエステル、ポリアミド、
ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルなどの樹脂シートを
製造する際には、ポリマー(溶融材料)を押出機より押
し出し、その後ギアポンプなどで一定量の吐出にした
後、フィルターを介して異物を除去し、口金よりシート
を押し出し方向に直交する幅方向に拡幅してシート体と
し、冷却ロールや延伸装置等を経て冷却し、固化し、最
終的に巻き取ってシートロールとする。
【0003】この際、口金は、幅方向に均一な厚みが得
られるように設計される。例えば、ポリエステルフィル
ムを例にとると、ポリエステルはその優れた特性のた
め、磁気記録媒体用ベースフィルム、コンデンサなどの
電気絶縁用途、プリンターリボンなどのOA用途など、
様々な工業用途で用いられているが、これらの用途では
フィルムの厚みについて高度な寸法精度が要求されてい
る。従って、フィルムの厚みムラを小さく押さえること
は極めて重要となる。樹脂シートを製造する場合には、
Tダイ方式やコートハンガーダイ方式の口金が広く採用
されている(「押出成形用ダイの設計」(伊藤公正著,
工業調査会発行(1968))。口金の設計としては、
主としてシート幅方向の厚みが均一になるように溶融材
料の流路形状を決定することが必要となる。さらに具体
的には溶融材料を幅方向に拡幅するマニホールド部と、
シート状に押し出す先端部間隙の形状を操作すること
で、シートの幅方向の厚み分布を任意に決定することが
でき、この形状の決め方によっては厚みむら1%以内に
なるようにすることもできる。Tダイ方式は前記マニホ
ールド部を大きくしこの部分での圧損を極力小さく押さ
え、先端部間隙で吐出量を決定する設計になっている。
また、コートハンガーダイ方式は、マニホールド部の断
面積を小さくして圧損を高め、コートハンガー形に幅方
向に溶融材料を拡幅し、中央部にできた扇形状の間隙で
圧力バランスを取ることによって幅方向の吐出量分布を
確保する設計となっている。一般的には、コートハンガ
ー方式は、口金部の溶融材料の通過時間を短くでき、溶
融材料の異常滞留や劣化を防止できるので最近では幅広
く採用されている。このような設計手法でシート幅方向
の厚みムラは約1%程度に設計される。
【0004】以下、従来の口金の一つの例として、図6
〜9に示すTダイ方式の口金について説明する。
【0005】図6は、従来の樹脂シートを製造するため
の口金の幅方向の断面の概略図である。図7は、従来の
樹脂シートを製造するための口金の幅方向に直交する断
面の概略図である。図6におけるY−Y断面である。図
8は従来の樹脂シートを製造するための口金の幅方向の
正面の概略図である。図9は従来の樹脂シートを製造す
るための口金の側面の概略図である。
【0006】この口金は、Aリップ31とBリップ32
の2つが互いに対向面を対向させ、先端部の間にスリッ
ト間隙38を形成するように合わせられており、複数の
ボルト36からなる固定部材で固定されている。Aリッ
プ31には、図8に示すように多数のヒートボルト(厚
み調整手段)40が幅方向に等間隔に配備されており、
ヒートボルト40の内部に個別に加熱量を制御可能な加
熱体41が埋め込まれている。図示しない電源により電
線42から加熱体41に電流を流し熱量を与える構造に
なっている。こうしてヒートボルト40を熱膨脹させA
リップ31の先端部を押し、Bリップ32とのスリット
間隙を調整する。加熱体41に流す電流の量、すなわち
発生する熱量をコントロールすることで、ヒートボルト
の熱膨脹を利用して押し引きコントロールする。
【0007】さらにBリップ32には、図8に示すヒー
トボルトと同様な配置で反対側に手動で調整可能な調整
ネジ(厚み調整手段)27が幅方向に等間隔で配備されて
いる。
【0008】Aリップ31とBリップ32は、上記の通
り多数のボルト(固定部材)36によって係合されてい
る。ボルト36の群は、口金先端部と平行に幅方向に3
6a、36b、36c、36d、36eが配置されている。
Aリップ31側には溶融材料を幅方向に拡幅する空洞部
たるマニホールド37が形成されている。またマニホー
ルド37から連通する空隙部であるスリット間隙38が
幅方向の全幅にわたって設けられている。
【0009】図6、図9に示す様に口金幅方向の両端部
は、端部押さえ部材28をボルト29によって完全に固
定されている。
【0010】このような口金を用いて例えば図5に示す
製膜装置を用いて樹脂シートを得る。
【0011】図5は、製膜方法に用いるための製膜装置
の一例を示す概略図である。
【0012】ポリエステル樹脂をシート化する2軸延伸
方式の一例である。押出機13に樹脂チップを投入し、
溶融樹脂(溶融材料)にした後、ギアポンプ14により
溶融樹脂を単位時間あたり一定にして流し、フイルター
15により異物を除去した後、加熱された口金16によ
り、幅方向に溶融樹脂を拡幅して吐出させ、冷却ロール
17でキャストした後、シートの幅方向の厚みを厚さ計
18で監視した後、縦延伸機19で縦方向に樹脂を延伸
し、横延伸機テンター20で横方向に延伸した後、厚さ
計21によって幅方向に厚みを測定して巻取ロール22
に巻き取られる。厚さ計21によって得られた厚みデー
タ23をもとに口金16のヒートボルト40の加熱体4
1に熱量を与え調整機構40を伸縮させ先端部を押し引
きし厚みを調整するシステムになっている。
【0013】こうして設計上シートの厚みムラが、例え
ば1%以内となる樹脂シートを得ることを目標に製膜す
る。しかしながら実際に溶融樹脂を吐出し、シート幅方
向の厚みムラを測定すると10〜30%程度の厚みムラ
が存在することがしばしばあった。
【0014】この原因として、溶融樹脂の内圧による2
つのリップの開きが考えられる。これを考慮した口金
が、特許第2598971号公報に開示されている。こ
こに開示されている技術は、従来のコートハンガー方式
では、マニホールド部の上部、すなわち溶融樹脂の入口
側の、先端部出口からの距離が、中心部から端部に向か
って徐々に短くなっているため、リップの締結ボルトま
での距離も、この稜線に従って徐々に短くしていたのに
対し、この距離を実質的に幅方向一定にし、リップの締
結ボルトのリップ先端部出口からの距離を幅方向一定に
締結するすることで内圧による圧力開きによる影響を緩
和する技術である。
【0015】しかしながら、本発明者らの知見による
と、例えばポリエステルの溶融押出で1000kg/時
間の吐出量の場合、このコートハンガー設計では、口金
内部の圧力が相当高くなり、幅方向の口金開きが実質的
に一定になりやすいが、コートハンガー設計上重要な幅
方向に一定の吐出量とするための圧力バランスをとる扇
形部分で、2つのリップの間隙が広がってしまい、設計
上の圧力バランスが崩れ、結果として吐出量ムラ、すな
わちシートの厚みムラを大きくする問題が発生しやす
い。
【0016】一方、前述のTダイ方式においては、類似
した試みは知られていない。
【0017】また、別の原因としては、口金を加熱する
ことによって、口金が変形し、この変形が原因で厚みむ
らになることが考えられる。
【0018】加熱方法の従来例として、特開平9−27
7343号公報に記載されているように、カートリッジ
ヒータをダイホッパー側から口金先端に向かう方向に差
し込む構造や、口金幅方向の温度を略均一にするために
口金幅方向にカートリッジヒータを差し込む構造が知ら
されている。
【0019】しかしながら、特開平9−277343号
公報に開示されているようにカートリッジヒータを差し
込むと、カートリッジヒータの半径方向に熱が伝導され
るため、このカートリッジヒータを中心に外側に向かっ
て温度が下がっていく温度分布を持つことになる。従っ
てこの温度分布に従った熱膨脹が起こり、温度分布に従
ったいびつな変形が発生することになる。確かに口金幅
方向にカートリッジヒータを差し込む構造の場合、幅方
向に略均一に加熱されているものの、口金のダイホッパ
ーから先端にかけて温度分布が発生し、固定ボルト等に
よる拘束点の関係で変形が発生する。こうして厚みむら
が発生する。
【0020】また、溶融樹脂を口金から吐出後冷却ロー
ルでキャストさせその後縦横の2軸延伸を行う場合は、
冷却ロールでの冷却ムラや、縦延伸時のロールの温度ム
ラや回転ムラ、さらには横延伸時のテンター内の温度ム
ラや風速ムラが加わって複雑な厚みムラが存在すること
になるが、これをすべて口金の厚み調整機構を用いて幅
方向に厚みを均一化することをしばしば行う。この場
合、口金の厚み調整機構に大いに無理がかかり口金を永
久変形させてしまうこともしばしばあった。
【0021】このような種々の要因から、吐出初期は厚
みムラが大きくなりがちであり、これを厚み計測手段に
より厚みを計測し、計測した厚みに基づいて口金の厚み
調整機構を用いて厚みを調整するが、製品レベルの厚み
ムラに到達させるには非常に長いの時間を要していた。
製品レベルの厚みムラ要求値の高いものや厚物たとえば
100μmを越えるものなどでは、24時間たっても製
品レベルに到達しないことも度々あった。
【0022】従って、その間の原料ロスを生じるばかり
か、その間の固定費すなわち人件費や償却費等の費用が
ロスすることになる。さらに生産能力も少なくなってし
まうなどの問題を生じていた。また、吐出されるシート
の厚みが設計値通りでないために、調整の中心値が大き
くずれたり、またその後の工程による厚みムラを除去す
るために口金の調整機構に無理をかけるために口金を永
久変形させてしまうなどの問題もしばしばあった。口金
を永久変形させてしまうと、本来の設計通りの流路形状
にならないばかりでなく、先端部の間隙を調整する場合
は、その調整が思い通りに調整できなくなり目標の厚み
分布を得ることができなくなる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、シー
トを製造するにあたって、口金から溶融材料を吐出する
初期段階から厚みムラの少ないシート厚みプロファイル
にする口金、シートならびにその製造装置および製造方
法を提供することにある。
【0024】また、本発明の別の目的は、口金を室温か
ら溶融材料の温度付近まで加熱しても設計通りの溶融材
料の吐出が可能であり、厚みムラの少ないシート厚みプ
ロファイルにする口金、シートならびにその製造装置お
よび製造方法を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の問題
点を解決するために鋭意検討した結果、以下に述べる本
発明に到達した。
【0026】本発明の口金は、上記目的を解決するため
下記の構成からなる。
【0027】すなわち、本発明の口金は、いに対向配置
されたAリップおよびBリップと、該AリップおよびB
リップの先端部に形成された、シートの溶融材料を吐出
するためのスリット間隙とを備え、かつ、前記Aリップ
および/または前記Bリップの幅方向における温度むら
の大きさが、前記スリット間隙から吐出される溶融材料
の温度と室温との差の絶対値に対して1%以内になるよ
うに前記Aリップおよび/または前記Bリップを加熱す
る加熱手段を備えている口金である。ここで、幅方向と
は、前記口金を用いて溶融材料をシート化するにあた
り、シートの幅方向と平行な方向を幅方向ということと
する。また、前記Aリップおよび前記Bリップの幅方向
の温度むらの大きさは、通常、幅方向に沿った直線上の
点の温度を数点測定し、その測定値の最大値と最小値の
差をいうが、本発明における測定は次のように行う。す
なわち、前記Aリップおよび前記Bリップの幅方向の温
度むらは、リップ表面温度すなわち、リップの間隙と反
対側の表面の温度であって、次に定義する位置で測定す
る。リップを幅方向に6等分する位置において、幅方向
に直交する方向の断面の外形線上(すなわちリップ表面
をなぞる線)のリップ最先端部からみて吐出方向の反対
側に30mmの点、リップ最後端部から吐出方向に20
mmの点およびリップ最先端部と最後端部の吐出方向の
中間の点の3点で表面温度を熱電対で測定する。この3
点の平均値を幅方向に当該位置の温度とする。この温度
を幅方向5点で見たときの最大値と最小値の差を温度む
らの大きさとする。図28にリップの幅が1200mm
の口金を例として図示する。図28(a)は口金をBリ
ップ側からみた側面図を示し、図28(b)は(a)の
V−V断面図を示す。
【0028】また、溶融材料の温度は、通常は前記マニ
ホールドの幅方向に数点に熱電対を埋め込み測定し、そ
の平均値などで表すが、本発明においては、溶融材料の
温度は、口金先端のスリット間隙から吐出された直後の
溶融材料の温度を用いて代表するものとする。測定は、
口金スリット間隙から流れ出る溶融材料を放射温度計を
用いて測定することができる。これらの測定に用いる放
射温度計としては、例えば、株式会社キーエンス製の”
赤外放射温度計IT2−50(センサー部IT2−0
1)”(商品名)などがある。
【0029】厚み調整をボルトやネジを用いてAリップ
側で行なう場合、調整側のAリップは、調整によりリッ
プの先端が変形するが、対向するBリップ側は、Aリッ
プ調整機構の基準となるように、変形をできるだけさけ
るため(特に機械的な)調整機構を含まないのが好まし
い。また、加工に関しても、Bリップは複雑な構造とせ
ず、Aリップに対向する面を平坦にするのが好ましい。
【0030】また、Aリップについても、先端部は複雑
な構造にせず平坦であることが好ましい。
【0031】例えば10μmの樹脂シートを得るのに、
AリップとBリップの間隙をtに設定して、縦延伸5
倍、横延伸3倍の延伸の2軸延伸をする場合を考えてみ
る。理論上、先端部のスリット間隙の幅の3乗に比例し
て吐出量が変化するため、間隙の幅が±Δtだけ変形し
ているとすると、下記関係式(III)の範囲の吐出量ム
ラが発生する。但し、体積減少に伴う幅変化、すなわち
ネックダウンは無視した場合である。
【0032】 K(t−Δt)3≦{Q=K(t)3}≦K(t+Δt)3 ・・・(III) Kは比例定数、Δtは変位量、Qは吐出量である例えば
t=2mmとし、AおよびBリップの一方のスリット間
隙面の口金幅方向の平面度が20μmである場合、式
(III)に代入すると、口金から吐出直後のシートの厚
みムラで6%となる。ここで平面度とは、表面の最大高
さと最小高さの差のことで、測定方法としては、例えば
精密定盤の上で精密3次元測定器で口金幅方向にダイヤ
ルゲージをスライドさせその最大変位を読みとることで
測定できる。
【0033】またt=2mmの場合は、AおよびBリッ
プの一方のスリット間隙面の幅方向の平面度が10μm
である場合、口金から吐出直後のシートの厚みムラで3
%となる。
【0034】その後、延伸工程で、厚みが薄いところは
良く延伸され、厚みが厚いところはあまり延伸されない
傾向があるため、厚みムラはさらに拡張されることにな
る。
【0035】従って、磁気録媒体用テープなどの厚みム
ラ精度の厳しい製品などでは、この厚みムラを小さくす
るために、口金の厚み調整機構を使って製品レベルの厚
みムラまで厚みを調整することになる。この結果とし
て、調整するのに多大な時間がかかる問題や、製品レベ
ルの厚みムラに到達できたとしても、調整機構のついた
リップ先端部を無理に変形させてしまったり、その後製
品レベルの厚みムラを維持できないなどの問題を生じる
ことになる。
【0036】従って、リップ先端部の平面が幅方向で最
大高さと最小高さの差が20μm以内にすることが好ま
しく、さらに好ましくは、最大高さと最小高さの差が1
0μm以内が好ましい。
【0037】加工の点から言えば、先端のみ平坦に加工
するのは全体構成の傾き等が誤差要因となるので、Bリ
ップのAリップに対向する面はすべてにおいて平坦であ
ることが好ましい。さらに好ましくはすべての面で最大
高さと最小高さの差が10μm以内が良い。特にシート
厚さが10μm以下の磁気記録媒体用のテープのベース
フィルムの場合は、厚みムラ精度の要求が高く、口金を
組み立てる組立精度が大いに厚みムラに影響するので、
BリップのAリップに対向する面は可能な限りフラット
するのが好ましい。こうすることにより、加工もし易
く、従って加工精度も出やすく、さらには組立もし易く
なる。
【0038】またBリップ側に機械的な厚み調整機構を
設けず調整による変形が無いようにすると、調整する際
の基準面が安定し、Aリップ側の調整機構において、制
御量に対して、AリップとBリップの間隙の調整量(操
作量)が対応することになり調整機構として好ましい構
造となる。さらに、調整機構を有してなるAリップが変
形した場合も、Bリップを基準に修正できるので非常に
好ましい。また、永久歪みが残る様な変形があったとし
ても、Aリップのみを交換すればよく経済性も非常に良
い。AリップとBリップの双方に調整機構がついている
場合に比べ非常に有利となる。すなわち、Aリップのみ
に調整機構が設けられているのが好ましい。この様な理
由から、Aリップのみに溶融材料を幅方向に拡幅するマ
ニホールドを有することをが好ましい。Bリップ側に設
けても良いが、マニホールド部で受ける溶融材料の内圧
によりBリップの変形が起ることがある。この場合、長
時間使用することにより変形がおき不利となることがあ
る。またBリップの加工の点から見ても、マニホールド
部の切削により、Bリップに加工ひずみを残し、ひいて
は先端部の精度が設計通りにならないなどの問題を起こ
すことがあるので、Bリップ側にはマニホールドは無い
方が好ましい。すなわちBリップのAリップに対向する
面はフラットな形状が好ましい形態となる。なお、Bリ
ップのAリップに対向する面の反対面も平坦であるのが
好ましい。より好ましくは、Aリップに対向する面と略
平行な面とする。これは、組み立て時に、Aリップに対
向する面の反対面を重力方向下方に向けてBリップを定
盤など平坦で頑丈な台の上に置き、Aリップに対向する
面にAリップを合わせて組み立てる場合に、位置ずれの
可能性が低くなり、精度よく簡単に組み立てられるから
である。また、BリップのAリップに対向する面の反対
面がAリップに対向する面と略平行な面であれば、熱変
形も均一になるので、より高い精度で先端部の間隙を構
成できる。
【0039】厚み調整手段は、前記Aリップの調整手段
が先端部を機械的に変位させ、Bリップの先端部との間
隙量を調整する機械的な厚み調整手段であるのが好まし
い。調整手段としては、モータと直動機構の組み合わせ
によるリップ先端部変位可変手段、圧電素子、磁歪素
子、静電素子、加熱体に熱量を与え、ヒートボルト等の
調整部材を熱膨脹により伸縮させる方式が挙げあれる
が、高温状態でも安定的に利用できる加熱体から熱量を
与え、調整部材を伸縮させる方式が好ましい。また、A
リップの先端部の温度をヒータ等を用いて調整すること
で溶融材料の粘度を変化させ厚みを調整する方法を用い
ても良い。温度による厚み調整は、微調整にしばしば好
ましく用いられる。
【0040】マニホールドの幅方向の中央部の少なくと
も80%においてAリップとBリップのスリット間隙の
幅方向に直交する断面の断面積は、前記マニホールドの
断面積の1/20以下であり、かつ前記スリット間隙の
幅は、前記スリット間隙のマニホールド部からリップ先
端に向かう長さの1/4以下であることが好ましい。
【0041】樹脂シートの幅方向端部は、特公昭63−
7133号公報に開示されているように、例えば2軸延
伸の場合、横延伸のクリップや、ネックダウンの安定性
のために端部を厚くすることがしばしば行われるので、
少なくとも製品部となる80%部分において、Aリップ
とBリップのスリット間隙の幅方向に直交する断面の断
面積は、マニホールドの断面積の1/20以下であり、
かつ前記スリット間隙の幅は、前記スリット間隙のマニ
ホールドからリップ先端までの長さの1/4以下にする
ことで、設計上の幅方向の厚みムラを5%以内に押さえ
ることが容易になる。
【0042】ここで、間隙の幅を、スリット間隙のマニ
ホールド部からリップ先端までの長さの1/4以下にす
る理由としては、間隙の幅が、スリット間隙のマニホー
ルド部からリップ先端に向かう長さの1/4より大きい
と、マニホールド部が大きくても重力の影響で溶融樹脂
が幅方向に拡幅するよりリップのスリット間隙から吐出
されやすくなり、幅方向の厚みムラを発生させる原因に
なったり、吐出が脈動することがしばしばあるからであ
る。
【0043】この構成を容易にするためには、Tダイ方
式を採用することが好ましい。こうすることにより簡単
に樹脂シートの幅方向の厚みムラを小さくすることが可
能になる。
【0044】Tダイ方式を採用すると好ましい理由は、
以下の構成においてその効果を発揮するからである。
【0045】すなわち、Aリップおよび/またはBリッ
プの幅方向両端面にそれぞれ摺動可能に付勢された端部
シール部材を備えてなるを備えてなる構成である。さら
に端部シール部材が、AリップまたはBリップに固定さ
れた端部押さえ部材から付勢力を与えられる構成がよ
い。さらに、幅方向における温度むらの大きさが、シー
ト化する溶融材料の温度と室温の差の絶対値に対して1
%以内になるように口金を加熱する加熱手段を備える構
成とするのがよい。
【0046】こうすることにより、Aリップおよび/ま
たはBリップの端部を拘束しないため、溶融材料の内圧
や口金の熱変形による口金先端のスリット間隙の開きが
幅方向に一定となり、厚みムラを生じにくくなる。ま
た、Aリップおよび/またはBリップの端部の側板の温
度が完全にAリップとBリップの温度と同じにならなく
ても温度差による膨張量の差がないため、伸びの差によ
る拘束力が働かなく、かつ幅方向の温度むらの大きさ
が、シート化する溶融材料の温度と室温の差の絶対値に
対して1%以内になるように均一に加熱されているた
め、口金の変形は幅方向に略均一な変形となり、幅方向
の厚みむらは生じにくくなる。ただし、吐出量は変化す
るが、この場合は、製膜速度を調整することで解決され
る。AリップとBリップのスリット間隙が幅方向に一定
に開いたとしても、厚みムラを生じにくい設計として、
AリップおよびBリップのスリット間隙の幅方向に直交
する断面の断面積は、マニホールドの断面積の1/20
以下であり、かつ前記間隙の幅は、前記間隙部のマニホ
ールド部からリップ先端までの長さの1/4以下とする
Tダイ設計方式を採用することが好ましい。コートハン
ガー方式を採用しても構わないが、従来の技術で説明し
たようにリップ間隙の開き量に応じて設計上の圧力バラ
ンスが崩れ、幅方向の厚みムラを生じることになるので
これをあらかじめ予測する設計を必要とするが、現実に
は予測が難しく厚みムラを押さえるのは非常に難しい。
従って、Tダイ構成にすれば、前述のコートハンガー方
式を採用した特許2598971号に開示された技術を
上回る性能が発揮されることが期待できる。
【0047】また、加熱が、幅方向の温度むらの大きさ
が、シート化する溶融材料の温度と室温の差の絶対値に
対して1%以内になるように略均一に行われるので、口
金が加熱されても変形が口金幅方向に均一になりやす
く、特開平9−277343号公報に開示された技術を
上回る性能が発揮される。
【0048】端部シール部材の端部押しつけ力は、下記
条件式(IV)を満たすことが好ましい。
【0049】μF<P<F 〔Pa〕 (IV) ここで、μは端部シール部材のリップ部材に対する静止
摩擦係数、Fは押しつけ力、Pは溶融材料の内圧であ
る。
【0050】ここで摩擦係数μは、例えば以下に示す傾
斜法で測定される。図16の様に、重さWの物体を置い
た平面を徐々に傾け、ある角度で物体は摩擦に打ち勝っ
て滑り始める。この時の角度は摩擦角θと呼ばれる。こ
こで静摩擦係数をμとすると摩擦力は物体が面を垂直に
押す力(Wcosθ)とμの積(μWcosθ)にな
る。これが面に沿って滑る力(Wsinθ)と釣り合う
からμ=tanθとなる。従って摩擦角θを実測するこ
とで静摩擦係数が得られる。簡易な方法として、この方
法に類似した方法で、水平方向に物体を引っ張り、物体
が動き始める瞬間の推力を測定する水平法を用いること
もできる。この原理を用いた市販の測定器として”HE
IDON トライボギア ミューズ TYPE:94
i”等が知られている。
【0051】次に押しつけ力Fは、例えばボルトの締め
付け力によって得られるが、ボルトの締め付け力はJI
S規格のボルト径と締め付けトルクによって計算され
る。例えば「JISにもとづく機械設計製図便覧」(大
西清著,理工学社発行)に計算方法が記載されている。
このボルトを何本使用するかによって端部シール部材へ
の押しつけ力が計算され、本発明の場合のFは圧力換算
であるため、使用する端部シール部材の面積で割り返す
ことによって求める。
【0052】実際の圧力の測定は、たとえば、市販の圧
力測定フィルム(”富士プレスケール”)をリップと押
しつけ部材との間に挟み込み測定することが可能であ
る。この測定原理は、支持体の中に発色剤層と顕色剤層
が塗布されたフィルムを使用し、発色剤層の中のマイク
ロカプセルが圧力によって破壊され、その中の発色剤が
顕色剤に吸着し、化学反応で発色するというものであ
る。また別な方法としては、市販の”タクタイルセンサ
システム(ニッタ株式会社製)”を使用した測定方法が
ある。これは、列電極を配置した2枚のシートを合わせ
たセンサーシートで圧力に応じて抵抗値が変化すること
を利用したものである。
【0053】また、内圧Pは、口金流路の設計におい
て、口金に流れる溶融材料の単位時間あたりの吐出量を
入力することによって、圧損の式、連続の式、圧力バラ
ンスの式によって算出される。実際の溶融材料の内圧
は、市販の”樹脂圧力センサー”(株式会社ダイニスコ
製)等を使用して測定される。様々な形態のセンサーが
市販されているので、押出機から口金までの流路上に取
り付けることによってその場所での内圧を測定可能であ
る。
【0054】上記(IV)式を満たすことは、端部押しつ
け部材の押しつけ力が、マニホールドの幅方向端部にお
ける溶融材料の内圧にうち勝つ大きさであり、かつ、上
記内圧が端部シール部材とAリップとの摩擦力にうち勝
つ大きさであることを意味する。これは、溶融材料の漏
れが発生しないとともに、上記内圧によるAリップ先端
部の開きを、幅方向端部における端部シール部材とAリ
ップとの摩擦によって阻害しないことに対応する。この
リップ開きを阻害する、すなわち、内圧によりAリップ
の先端部が端部シール部材に対してすべらないと、Aリ
ップの先端部の幅方向端部が、内圧によるこの種の開き
に対する阻害要因を有しない幅方向中央部ほどには開か
ないことになる。つまり、Aリップの開き具合が幅方向
中央部と端部とで異なることになり、Bリップ先端部と
の間の間隙が幅方向で不均一になるからである。上記条
件式(IV)を満たせば、内圧によるAリップ先端部の開
きが幅方向でおおむね均一となり、内圧が変動しても、
全体の吐出量が変動するだけで、幅方向の吐出量分布の
形はほとんど変化しないという状況を作ることができ
る。全体の吐出量は、シートを固化する過程の速度を調
整することで簡単に調整できるから、吐出開始後の早い
段階で所望の厚み分布を得ることができるのである。
【0055】さらに端部シール部材の材質は、前記溶融
材料の内圧による変形が弾性変形域であることが好まし
い。こうすることにより、溶融材料が端部から漏れない
ために好ましい。さらに、端部シール部材の材質は、リ
ップ部材(例えばステンレス鋼)に対する静止摩擦係数
が0.2以下とするのが好ましい。静止摩擦係数が0.
2以上あると押しつけ力が大きい場合、すなわち式(I
V)に従うと押しつけ力を5倍以上に大きくする場合に
リップが端部で拘束され、しばしば、幅方向中央部のリ
ップのスリット間隙が溶融材料の内圧により開くため
に、樹脂シートの厚みムラは中央部が凸になる形状にな
ることがしばしばあった。静止摩擦係数が0.2以下に
すると、押しつけ力が大きい場合、すなわち式(IV)に
従うと押しつけ力を5倍以上に大きくする場合でもAリ
ップの調整機構によりAリップの端部が摺動する形とな
り、溶融材料を漏れなくするばかりか、リップの端部拘
束による厚みムラを生じないので好ましい。従って端部
シール部材のリップへの合わせ面は摩擦係数を0.2以
下とするのが好ましい。上記静止摩擦係数等の特性は、
実際に口金が使用される温度で満たされるのがよい。
【0056】例えばポリエステルのシートを製造する場
合には、溶融樹脂の温度を300℃にまで上昇させるこ
とが多いので、端部シール部材はいずれも、300℃に
おいて、上記摩擦係数を満足することが好ましい。これ
らを満たす材質としては、金属であればアルミやステン
レスの表面研磨したもの、銅、リン青銅など、樹脂であ
れば、ポリイミド系樹脂であるベスペル(デュポン
製)、TIポリマー(東レ製)、ユピモール(宇部興産
製)などが挙げられる。なお、リップを傷つけない様に
するためには、リップの材質よりも表面硬度の低い材料
を使用すると良い。
【0057】ベスペルはその特性として、300℃での
高温で摩擦係数が小さく都合が良い。
【0058】次に加熱手段は、口金を外部から加熱する
ようにするのが好ましい。前記Aリップおよび前記Bリ
ップの先端部の間に形成された間隙の反対側の面をその
外部から加熱する形態が好ましく用いられる。口金の内
部に加熱体を埋め込む場合、口金部材に穴加工を施し、
加熱体を挿入する構成を取らざるを得ず、従ってこの挿
入したヒータの周囲にむらのある温度分布をつくってし
まう。
【0059】口金を外部から加熱すると、加熱の温度分
布は、外側から内側に向かって温度むらを作ることにな
り、外部からの加熱量が幅方向において略均一であれ
ば、内側中心部に向かって均等な温度分布を示すことに
なり、加熱による変形は幅方向に略一定に開いたり閉じ
たりする変形となる。このとき、上記に示す(IV)式を
満足する構成とすれば、端部構造によりリップの変形を
拘束することがなくなり、間隙の開閉に際し幅方向に略
一定になり好ましい。
【0060】さらに、加熱手段が、一体形成された加熱
体であり、下記を満たす構成とするのが好ましい。 L0<L<1.2×L0 (I) (ここで、L0はAリップおよびBリップの幅方向長
さ、LはAリップおよびBリップの幅方向の加熱体の長
さを示す。) なお、加熱体の温度分布むらの大きさは0.5℃以下が
好ましい。加熱体の温度むらが0.5℃よりも大きくな
ると、加熱されるリップの加熱側表面の温度分布がすで
に0.5℃以上の温度分布になってしまい好ましくな
い。また、加熱体の長さは、AリップおよびBリップの
長さより短いと、AリップおよびBリップの端部の温度
が放熱により低くなり好ましくなく、1.2倍以上ある
とヒータの伝熱面積が大きすぎて必要以上に電力を消費
することになる。
【0061】もっと好ましくは、ダイホッパー側から口
金先端に向かう方向についても一体形成された加熱体で
あると好ましい。さらに前記加熱手段が、前記Aリップ
および前記Bリップの幅方向に配列したそれぞれ独立に
温度を調整可能なN個(N=2,3,...)の加熱体
からなって、下記関係式(II)を満たす構成が好ましく
用いられる。 dn≦t かつ (Ln/dn)≧0.1 かつ L0<La<(1.2×L0) (n=1,2,...N−1) (II) ここで、L0はAリップおよびBリップの幅方向長さ、
nは一方の端から数えてn個目の加熱体の幅方向長
さ、dnは一方の端から数えてn個目の加熱体と(n+
1)個目の加熱体の間の幅方向の隙間の距離、tは加熱
するリップの平均肉厚をいう。ここでいう平均肉厚の求
め方を以下に示す。前記間隙部を形成するBリップのA
リップ対向面を前記リップ先端から前記マニホールドに
向かう方向に伸ばした面から、リップの間隙と反対側の
面までの最短距離線上のリップ部分の長さの幅方向の平
均値をいう。平均値の取り方を図25を例にして説明す
る。BリップのAリップ対向面をリップ先端からマニホ
ールドに向かう方向に伸ばした平面をP平面としてP平
面の模式図を、図25(a)に、口金幅方向に直交する
断面、すなわちS平面の模式図を図25(b)に、S平
面の断面図を図25(c)に示す。図25(c)におい
て図のように、吐出方向に均等に5箇所の長さをAリッ
プ側にta1、ta2、ta3、ta4、ta5、Bリップ側にt
b1、tb2、tb3、tb4、tb5を測定し、tsa=(1/
5)×(ta1+ta2+ta3+ta4+ta5)でAリップの
幅方向S平面の肉厚tsaとする。またBリップについて
も同様にtsb=(1/5)×(ta1+ta2+ta3+ta4
+ta5)でBリップの幅方向S平面の肉厚tsbとする。
これらS平面をリップ幅方向に5点とり、5点の平均値
をtとする。LaはN個の加熱体の長さLnと加熱体間の
隙間の距離dnの総和を示す。また、ここでnは1から
N−1までの整数を示す。nはリップに向かって左から
数えた場合と右から数えた場合のどちらかを満たせば良
いものとする。
【0062】例として、加熱体とリップの距離の関係
を、図24(a)、図24(b)、図24(c)に示
す。図24は、BリップおよびBリップを加熱する加熱
体のみを取り出し、リップの先端である溶融樹脂の出口
側から入口側を見上げたときの図である。図24(a)
はN=2の例、図24(b)および図24(c)はN=
6の例を示す。70a、70b、70cはBリップの例
を示し、71a、71b、71cはBリップを加熱する
加熱体を示す。口金のリップ間隙の反対側に加熱体71
a、71b、71cが配置されている部分が示されてい
る。
【0063】こうすることにより、幅方向の温度に対
し、分割された加熱体の箇所に温度の高い部分が存在
(N個の場合N個の温度の高い分布をもつ)しても、大
きな温度むらの発生を避けられる。従って、温度むらに
従うリップの不均一な熱変形を避けられる結果となる。
また、この中でdn≦tとすることにより、口金内を流
動する溶融樹脂近傍のリップ温度に対しても加熱体の個
数分の温度高低差(温度むら)が少なく、溶融樹脂に温
度むらが小さく、すなわち溶融樹脂の粘度むら(バラツ
キ)が発生しにくく、幅方向に流量むら(厚みむら)が
小さくなる。
【0064】さらにこうした加熱体の箇所に高温部がで
きるのを防ぐ手段として、N−1個の加熱体の間の隙間
を熱良導体で連結したり、前記加熱体と前記口金との間
に均熱板を配置することを好ましく用いる。
【0065】ここで熱良導体は、熱伝導率が10W/
(m・K)以上の素材でできた部材が好ましく用いら
れ、熱伝導率の大きいもの、一般に金属製であれば良い
が、好ましくは銅などが用いられる。例として、加熱体
と熱良導体の関係を、図26に示す。図26は、Bリッ
プおよびBリップを加熱する加熱体および熱良導体のみ
を取り出し、リップの先端である溶融樹脂の出口側から
入口側を見上げたときの図である。90がBリップ、9
1a、91b、91c、91d、91e、91fが加熱
体で、92a、92b、92c、92d、92eが熱良
導体でこの場合は銅を用いた例である。
【0066】また均熱板についても、熱伝導率が10W
/(m・K)以上の素材でできた部材が好ましく用いら
れ、一般に金属製であれば良いが、熱伝導率の高い材料
として銅やアルミニウムが用いられ、さらに好ましくは
表面をサンドブラスト法などで荒らして表面粗さを均等
にしたり、酸化クロムなどの放射率の高い材料をコーテ
ィングしたりする。
【0067】例として、加熱手段と均熱板の関係を、図
27に示す。図27は、BリップおよびBリップを加熱
する加熱手段および熱良導体のみを取り出し、リップの
先端である溶融樹脂の出口側から入口側を見上げたとき
の図である。90がBリップ、91a、91b、91
c、91d、91e、91fが加熱体で、93が均熱板
でこの場合はアルミニウムを用い、そのアルミ板の表面
をサンドブラスト法で荒らし表面粗さを均等にしたもの
を使用した例である。
【0068】さらに加熱された口金が放熱する場合を想
定すると、加熱手段が、幅方向に複数の加熱体に分割さ
れ、それぞれが独立に温度を調整できると良い。この方
法によれば、幅方向に放熱の影響が異なる場合に有効で
ある。
【0069】さらに好ましくは、口金の外周部を断熱材
で保温するのが良い。こうすることにより、放熱による
熱逃げの影響を低減でき、加熱体の工夫をあまりしなく
ても良くなるので非常に良い。
【0070】断熱材としては、熱伝導率が低い材料で耐
熱性のあるものであれば良いが、セラミックファイバー
やアルミナファイバー製の断熱材が好ましく用いられ
る。例えば、ニチアス製の”ファインフレックス(商品
名)”や”ルビール(商品名)”やデンカ製の”デンカ
アルセン(商品名)”などを好適に用いて使用すること
ができる。
【0071】また、加熱手段が、ランプあるいは赤外線
あるいは遠赤外線を利用した加熱手段であると好まし
い。こうした光を利用した加熱であると、輻射熱により
加熱されるのでAリップおよびBリップの先端部の間に
形成された間隙の反対側の口金外周に対し略均一な熱量
を到達させることができるため好ましく用いられる。例
えばリップの幅方向につながった一本のランプ、すなわ
ち、電極をリップの幅の左右で有し、リップ幅方向に長
い円管状物の中を放電させるランプを使用したり、複数
のランプを幅方向に略均等に並べ、AリップおよびBリ
ップの先端部の間に形成された間隙の反対側の口金外周
面からの距離を同等にすることで幅方向に均等な加熱を
可能にできる。さらに、口金の外周面において熱を吸収
しやすくするために表面を荒らしたり、黒く塗ったりし
て放射率を高める工夫をするといっそう良い。
【0072】また、別な方法として、前記Aリップおよ
び/または前記Bリップに直接電流を流して加熱する
と、Aリップおよび/またはBリップをジュール熱で直
接内部から発熱するので温度が均一となり好ましい。電
流を投入する方法としては、例えば、Aリップおよび/
またはBリップの2箇所に電極用の穴を開け雌ねじを切
っておき、ネジを差し込んでネジ部から電極として電流
を投入する。2箇所の電極はリップの幅方向の両端部に
できるだけ近い位置にし、一方の端部を一方の電極(プ
ラス)、一方の端部を一方の電極(マイナス)とするこ
とで均等な加熱が可能となる。
【0073】また、さらに前記Aリップおよび/または
前記Bリップを高周波により誘導加熱することも好まし
く用いられる。この場合もまた、Aリップおよび/また
はBリップが内部から発熱するので温度が均一となり好
ましい。
【0074】さらに、Aリップおよび/またはBリップ
の併記肉厚が幅方向に一様であることが好ましい。ここ
で平均肉厚とは、先に説明したように、間隙部を形成す
るBリップのAリップ対向面を前記リップ先端から前記
マニホールドに向かう方向に伸ばした面から、リップの
間隙と反対側の面までの最短距離線上のリップ部分の長
さをいう。BリップのAリップ対向面をリップ先端から
マニホールドに向かう方向に伸ばした平面をP平面とし
てP平面の模式図を、図25(a)に、口金幅方向に直
角な断面、すなわちS平面の模式図を図25(b)に、
S平面の断面図を図25(c)に示す。図25(c)に
おいて図のように、鉛直方向に均等に5箇所の長さをA
リップ側にta1、ta2、ta3、ta4、ta5、Bリップ側
にtb1、tb2、tb3、tb4、tb5を測定し、これらS平
面をリップ幅方向に5点とり、これら25点の平均値に
対する最大値と最小値の差をバラツキと呼ぶ。平均肉厚
が略均等であると、口金周辺から内部に向けて温度分布
が一定になり温度差による熱膨張が口金本体の肉厚方向
に均一分布となり好ましい形態となる。さらに肉厚のバ
ラツキをその平均値の10%以内とするとよい。
【0075】また、Aリップおよび/またはBリップの
先端部の間に形成された間隙の反対側の面を外部から加
熱すると、熱伝導が距離に比例して伝導され、かつ一体
成形された加熱体あるいは隙間が平均肉厚よりも小さく
設定された複数の加熱体からの熱伝導の干渉により、溶
融材料流路近傍において、温度むらを溶融材料と室温と
の差の絶対値の1%以内に納めやすい構造となり、かつ
溶融樹脂の温度に対しての加熱も均等に行うことができ
るので非常に良い。
【0076】また、さらに、前記Aリップおよび前記B
リップの後部において幅方向に略均一に固定力を付与す
る固定部材は、口金本体の材質と同じであると好まし
い。口金本体部材に温度むらが生じた時に、該固定部材
の熱的特性すなわち、温度、熱膨張、熱伝導率が異なる
と、固定部材とAリップおよびBリップの合わせ面にお
いて拘束点が生じていびつな変形につながるからであ
る。
【0077】
【発明の実施の形態】以下、本発明の口金および樹脂シ
ートの製造方法の例を図を用いて説明する。ただし、本
発明はこれらに限定されるものではない。
【0078】図5は、本発明のシートの製造方法に用い
るための製膜装置の一例を示す概略図であり、口金部を
除き、前述の従来の技術と同様である。
【0079】図1は、本発明の口金の一実施形態の幅方
向の断面の概略図である。図2は、本形態の口金の幅方
向に直交する断面の概略図である。図1におけるX−X
断面を示す。図3は本形態の口金の幅方向の正面図の概
略図である。図4は本形態の口金の側面図の概略図であ
る。
【0080】この口金は、Aリップ1とBリップ2の2
つが互いに対向面を対向させるようにして合わせられて
いる。Aリップ1には、図3に示すように多数のヒート
ボルト(厚み調整手段)10が幅方向に略等間隔に配列さ
れており、ヒートボルト10の内部に個別に加熱量を制
御可能な加熱体11が埋め込まれている。図示しない電
源により電線12から加熱体11に電流を流し熱量を与
える構造になっている。こうしてヒートボルト10を熱
膨脹させAリップ1の先端部を押し、Bリップ2とのス
リット間隙8の幅を狭くする。加熱体11に流す電流の
量、すなわち熱量をコントロールすることで、ヒートボ
ルトの熱膨脹を利用して押し引きコントロールする。
【0081】Aリップ1とBリップ2は多数の固定部材
6によって係合されている。Aリップ1は溶融材料を幅
方向に拡幅する空洞部たるマニホールド7を有してい
る。マニホールドから連通する空隙部であるスリット間
隙8が幅方向の全幅にわたって設けられている。Bリッ
プ2のAリップ1側に対向する面9は、幅方向の最大高
さと最小高さの差が10μmで加工された精度を有して
いる。
【0082】図2および図4に示すように、Aリップ1
の外側にシートヒータ(加熱手段)51を、Bリップ2の
外側にシートヒータ52を配備している。また、シート
ヒータ51の外側に断熱材53を、シートヒータ52の
外側に断熱材54を配備し、さらに、リップ上部に断熱
材60を配備し、できるだけ口金と反対側にヒータの熱
を放熱しない、あるいは加熱された口金の熱を放熱しな
い工夫がなされている。シートヒータ51および52
は、図3のシートヒータ51a、51b、51c、51
d、51eに示すように口金幅方向の温度を均一にする
ため、幅方向に分割されている。各シートヒータに対応
して、図3、図4に図示する測温体(クロメル−アルメ
ル等の熱電対)61a、61b、61c、61d、61
eが設けられており、幅方向の温度が厳密に測定され、
均一になるように制御される。
【0083】図1、図4に示したように、Aリップ1に
係合された端部押さえ部材3と、Bリップ4に係合され
た別の端部押さえ部材4により端部シール部材である5
を口金内部の溶融材料の内圧より大きい力で押しつけて
いる。端部押さえ部材3と端部押さえ部材4が別の部材
である理由は、両者が一体であり、かつ、それぞれがA
リップおよびBリップに対して強固に固定されている
と、AリップとBリップを端部押さえ部材が拘束してし
まい、溶融材料の内圧によりリップ間隙が開く場合に、
口金幅方向中心部に比べ両端部のリップ間隙の開きが少
なくなることになるので、本発明の内圧による開きが口
金幅方向で概ね均一になる機能を阻害するためである。
このように、内圧により、スリット間隙の幅が幅方向で
不均一になることを防止するのに加えて、端部押さえ部
材3および端部押さえ部材4の熱膨張、さらに端部シー
ル部材5の熱膨張が、AリップおよびBリップの熱膨張
に完全い一致しなくても、熱膨張差による端部拘束が生
じないために、口金幅方向でリップの間隙の開き量が一
定になりやすい。
【0084】また、口金がマニホールド側部材とAリッ
プおよびBリップの3つの部材構成からなる場合の例を
図17〜19に示す。ダイホッパー側部材45とAリッ
プ43がAリップ側点支持部材46i1,46j1,4
k1,46l1,46m1で係合されており、またダイホッ
パー側部材45とBリップ44がBリップ側点支持部材
46i2,46j2,46k2,46l2,46m2で係合されて
いる。口金の加熱は、上部シートヒータ80および、A
リップ側の側面シートヒータ(加熱手段)81およびBリ
ップ側の側面シートヒータ(加熱手段)82によって行わ
れる。
【0085】また、別の加熱方法の例として、図14に
口金断面図を示す。AリップおよびBリップの先端部の
間に形成された間隙の反対側の面に均等に放射熱が供給
されるように、AリップおよびBリップの先端部の間に
形成されたスリット間隙の反対側の面の外側に遠赤外線
ヒータ群56を配置し、その外側に遠赤外線を反射する
反射板58を配備している。同様にBリップ側にも遠赤
外線ヒータ群57と遠赤外線を反射する反射板59を配
備している。図15に図14のP方向から見た斜視部分
図を示す。このようにAリップおよびBリップの幅全体
に渡り遠赤外線ヒータは1本ものを使用し、これをマニ
ホールト゛から口金先端に向かう方向に数本配備する構成
となっている。こうした構成にすることで、遠赤外線ヒ
ータの放射熱は効率良く口金に供給され、Aリップおよ
びBリップの先端部の間に形成されたスリット間隙の反
対側の面を均等に加熱し、さらに口金からの放熱バラン
スも良くなり、従って非常に好ましい加熱の形態とな
る。
【0086】
【実施例】(実施例1) (1)口金の製造 ポリエチレンテレフタレートを1000kg/時間の吐
出量で押し出すに際し、図1〜4に示す形態の口金を製
造した。1m幅の口金で、リップ先端部のスリット間隙
の幅を2mmに設定にし、間隙部のマニホールド部から
リップ先端までの長さは50mmとした。また、マニホ
ールドの形状と先端部のスリット間隙の大きさを最適化
することで、口金幅方向での吐出量分布の理論上のムラ
を1%になるように決定した。このとき口金幅方向中心
部におけるスリット間隙の幅方向に直交する断面の断面
積は、マニホールドの断面積の1/36とした。Aリッ
プおよびBリップの固定部材6は、口金幅方向の先端に
平行となる固定部材ボルト6群の配置とした。口金材質
は、ステンレス鋼のSUS630を使用した。Aリップ
およびBリップの外周面からマニホールドまでの肉厚の
最短距離の分布は181mmから216mmの範囲内と
し、スリット間隙を形成するBリップのAリップ対向面
をリップ先端からマニホールドに向かう方向に伸ばした
面から、該間隙と反対側の面までの最短距離の幅方向の
平均値5点の平均厚さを計算して、AリップおよびBリ
ップの平均肉厚は210mmとした。Bリップにおける
Aリップ対向面は、3次元切削機にて加工の後、精密研
磨機で研磨した。その後、平面度すなわち、リップ幅方
向の最大高低差を測定した。精密定盤の上で精密3次元
測定器で口金幅方向にダイヤルゲージをスライドさせそ
の最大変位を読みとることで測定した。スリット間隙の
マニホールド部からリップ先端に向かう長さ方向に10
mm間隔で5箇所測定して、すべて9μm以内であっ
た。Aリップの調整機構は幅方向に20mmピッチに配
置した。端部シール部材としては、10mm厚さのベス
ペルを用いた。使用したベスペルのSUS630に対す
る静摩擦係数は常温で0.2、300℃で0.1であっ
た。摩擦係数の測定は、リップ部材と同じ材料であるS
US630で図16に示す傾斜部材を作成し傾斜法によ
って求めた。
【0087】(2)口金の組立セットおよび加熱 BリップをAリップ側対向面201の反対面202を下
に向けて水平方向に設置された定盤の上に載せ、上を向
いたAリップ側対向面201の上にBリップ側対向面1
01を向けてAリップを乗せて固定手段6で締結した
ら、簡単に精度良く組み立てられた。なお、Aリップの
Bリップ側対向面201と反対面202とは互いに平行
となるように仕上げられている。端部シール部材への押
しつけ力は、設計上の内圧が9.8×105Pa(10k
gf/cm2)の圧力になったので、3.92×106Pa
(40kgf/cm2)の圧力で押さえつけた。圧力は、圧
力測定シート”富士プレスケール”にてあらかじめボル
トを締め付け上記圧力になるトルクを測定しておき、測
定されたトルクでボルトを締め付けた。このとき、端部
シール部材は潰れることなく弾性変形の範囲内であるこ
とを確認できた。さらに、組み立てられた口金を図1〜
4に示す加熱ヒータ(幅方向の大きさが91mmのヒー
タを11個隙間なく並べた。)を用いて280℃に加熱
し、図5に示す製膜装置にセットした。また、口金およ
び加熱ヒータの外周を断熱材で覆った。断熱材は、ニチ
アス製のアルミナファイバー”ルビール”のフェルト状
物を用いた。加熱された口金の温度は、K型熱電対(6
1a〜61e)、すなわちクロメル−アルメル系の熱電
対で口金内部の細部に渡り測定した。AリップおよびB
リップの幅方向に11点、さらに口金内部温度として、
スリット間隙を形成するBリップのAリップ対向面をリ
ップ先端からマニホールドに向かう方向に伸ばした面か
ら、該間隙と反対側の面までの最短距離の中央にあたる
面における幅方向11点、AリップおよびBリップの先
端部の間に形成された間隙の反対側の面の方向に約5m
mの点で幅方向11点で測定し、片側リップで計33点
の温度測定を行った。但し、マニホールド部は測定不能
であるため、この部分については、マニホールド面から
口金内部に向かって5mmの点を測定した。口金からの
熱の放熱があり端部の方が温度が低い結果になった。幅
方向端部では独立に制御可能なヒータの温度設定を約5
℃高く設定した。その結果、測定したスリット間隙を形
成するBリップのAリップ対向面をリップ先端からマニ
ホールドに向かう方向に伸ばした面から、該間隙と反対
側の面に向かう方向の温度むらは外周から内部に向かっ
て約5℃の温度勾配があり、AリップおよびBリップの
合わせ面からの距離が同じ面に対しては温度分布は±1
℃になっていた。Aリップの口金幅方向の温度分布を図
20にBリップの口金幅方向の温度分布を図21に示
す。AリップおよびBリップの幅方向の温度むらの大き
さは、リップ表面温度すなわち、リップの間隙と反対側
の表面の温度で、リップを幅方向に6等分(167mm
間隔)する位置において、幅方向に直交する方向の断面
の外径線上(すなわちリップ表面をなぞる線)のリップ
最先端部からみて吐出方向の反対側に30mmの点、リ
ップ最後端部から吐出方向に20mmの点およびリップ
最先端部と最後端部の吐出方向の中間の点の3点で表面
温度を熱電対で測定した。この3点の平均値を、幅方向
5点で見たときの平均値は284℃、最大値と最小値の
差は2℃であった。なお、この時の溶融材料であるポリ
エチレンテレフタレートポリマーの温度は、口金出口で
シート状の溶融材料に放射温度計により測定して、28
0℃であった。また室温は、25℃であった。
【0088】(3)製膜 ポリエチレンテレフタレートペレットを真空乾燥した後
に、押出機で吐出量を1000kg/時間に設定してを
溶融押出しを行い上記口金に通しシート化した。さらに
冷却ロール上でキャスト化したシートの幅方向の厚みを
監視した後、縦延伸機に通して120℃で5倍延伸しさ
らに横延伸機に通して120℃で3倍に延伸して200
℃で熱固化した後、得られたシート幅方向の厚みを計測
し、その後両端部(耳部)をトリミングして、シートを
巻き取った。目標とするシートの厚みは10μmであ
る。
【0089】(4)初期厚みムラ評価 口金から吐出され冷却ロール上でキャスト化されたシー
トの初期の幅方向の厚み分布を図10に示す。平均厚み
は150μmでシート幅方向の厚みムラは約5μmで厚
みに対して3%となり、若干中央部が凸型になるシート
が得られた。さらに縦延伸、横延伸後のシートの初期の
厚み分布を図11に示す。平均厚みは10μmでシート
幅方向の厚みムラは5%となった。若干、中央部が凸に
なるシートとなった。
【0090】(5)製膜運転 その後すぐに、厚さ計21により得られた縦横延伸後の
幅方向厚みデータをもとに、幅方向厚みに対応する位置
におけるAリップの各厚み調整機構部材の温度を加熱体
に与えるパルス波形のデューティ比(オン率)によって
制御した。ここでオン率とは、例えば10秒ピッチでヒ
ータをオン、オフを制御し、その間に5秒間ヒータをオ
ンすれば50%という。測定した厚みデータと目標の厚
みとの差をゼロに収束させるようにオン率を制御し、調
整機構部材の長さを熱膨脹によって調整しAリップ先端
部の位置を押し引きすることでAリップとBリップの間
隙を調整し、シートの厚みを調整した。得られた延伸後
のシートの厚みムラは1.5%となった。シートはほぼ
フラットなシートとなった。一旦、製膜機に連動した中
間巻取機で幅約3mのシートを巻取り、さらにこの中間
巻取りロールのフィルムを巻き返しながら、中心部と耳
部をカットして、2本のロールに巻き返した。巻き返し
たロールのコアは168φであり、巻いたシートの幅は
1.2m、長さは約10、000mである。このフィル
ムの最終的に巻き取られたシートのロール状原反形状
は、ロールの幅が1.2m、直径が453mmで、幅方
向の直径ムラが200μmとなり、非常に良好な原反形
状を得ることができた。フィルムを工程に通してから約
1時間で第1番目の製品レベルの磁気記録媒体用のシー
トのロール状物が得られた。なお、製品化までの時間の
約1時間は、中間巻取機で幅約3mのシートに巻き取る
まではフィルムを工程に通す時間と見なし、その後の製
品ロール状物を製造するまでの時間である。
【0091】(比較例1) (1)口金の製造 ポリエチレンテレフタレートを1000kg/時間の吐
出量で押し出すに際し、図6〜9に示す形態の口金を製
造した。1m幅の口金で、2mmの間隙設定にし、間隙
部のマニホールド部からリップ先端に向かう長さは50
mmとした。また、マニホールドの形状と先端部のスリ
ット間隙の幅を最適化することで、口金幅方向での吐出
量分布の理論上のムラを1%になるように決定した。こ
のとき口金幅方向中心部における先端間隙部の幅方向に
直交する断面の断面積は、マニホールドの断面積の1/
36とした。口金材質は、ステンレス鋼のSUS630
を使用した。AリップおよびBリップの係合部材6は、
口金幅方向の先端に平行となる係合部材ボルト6群の配
置とした。Aリップの調整機構は幅方向に20mmピッ
チに配置した。また、Bリップ側には差動ネジ方式で微
調整が可能な手動厚み調整機構27を配置した。端部構
造としては、端部部材28をボルトで完全にしっかりと
固定した。
【0092】(2)口金の組立セットおよび口金の加熱 図7に示すような口金をBリップを定盤の上に載せ、そ
の上にAリップを乗せてボルトで締結し組み立てた。端
部シール部材Eへの押しつけ力は設計上の内圧が9.8
×105Pa(10kgf/cm2)になったので3.92×
106Pa(40kgf/cm2)の圧力になるようにボルト
を締め付け完全に締結した。さらに、組み立てられた口
金を図6および図7に示すカートリッジ式加熱ヒータを
用いて280℃に加熱し、図5に示す製膜装置にセット
した。加熱された口金の温度は、K型熱電対(61a〜
61e)、すなわちクロメル−アルメル系の熱電対で口
金内部の細部に渡り測定した。AリップおよびBリップ
の幅方向に11点、さらに口金内部温度として、スリッ
ト間隙を形成するBリップのAリップ対向面をリップ先
端からマニホールドに向かう方向に伸ばした面から、該
間隙と反対側の面までの最短距離の中央にあたる面にお
ける幅方向11点、AリップおよびBリップの先端部の
間に形成された間隙の反対側の面の方向に約5mmの点
で幅方向に11点測定し、片側リップで計33点の温度
測定を行った。但し、マニホールド部は測定不能である
ため、この部分については、マニホールド面から口金内
部に向かって5mmの点を測定した。その結果、測定し
たスリット間隙を形成するBリップのAリップ対向面を
リップ先端からマニホールドに向かう方向に伸ばした面
から、該間隙と反対側の面に向かう方向の温度むらの大
きさは外周から内部に向かって不規則に約25℃の温度
勾配があり、マニホールドからの同距離の肉厚点の温度
分布は±3℃になっていた。この口金を図5に示す製膜
装置にセットした。Aリップの口金幅方向の温度分布を
図22にBリップの口金幅方向の温度分布を図23に示
す。AリップおよびBリップの幅方向の温度むらの大き
さは、リップ表面温度すなわち、リップの間隙と反対側
の表面の温度で、リップを幅方向に6等分(167mm
間隔)する位置において、幅方向に直交する方向の断面
の外径線上(すなわちリップ表面をなぞる線)のリップ
最先端部からみて吐出方向の反対側に30mmの点、リ
ップ最後端部から吐出方向に20mmの点およびリップ
最先端部と最後端部の吐出方向の中間の点の3点で表面
温度を熱電対で測定した。この3点の平均値を、幅方向
5点で見たときの平均値は272℃、最大値と最小値の
差は、6℃であった。なお、この時の溶融材料であるポ
リエチレンテレフタレートポリマーの温度は、口金出口
でシート状の溶融材料に放射温度計により測定して、2
80℃であった。また室温は、25℃であった。
【0093】(3)製膜 ポリエチレンテレフタレートペレットを真空乾燥した後
に、押出機で吐出量を1000kg/時間に設定してを
溶融押出しを行い口金に通しシート化した。さらに冷却
ロール上でキャスト化したシートの幅方向の厚みを監視
した後、縦延伸機に通して120℃で5倍延伸しさらに
横延伸機に通して120℃で3倍に延伸して200℃で
熱固化した後、得られたシート幅方向の厚みを計測し、
その後両端部(耳部)をトリミングして、シートを巻き
取った。目標とするシートの厚みは10μmである。
【0094】(4)初期厚みムラ評価 口金から吐出され冷却ロール上でキャスト化されたシー
トの初期の幅方向の厚みムラを図12に示す。シート幅
方向の厚みムラは13%となり、中央部が凸型になり、
さらに口金の温度ムラが原因と見られるような凹凸状の
厚みムラも存在した。さらに縦延伸、横延伸後のシート
の初期の厚みムラを図13に示す。シート幅方向の厚み
ムラは36%となった。中央部が凸に大きな厚みムラを
持ち、延伸前のシートで見られた温度ムラが原因と見ら
れるような凹凸状の厚みムラも存在した。
【0095】(5)製膜運転 その後、縦横延伸後の幅方向厚みデータをもとに、幅方
向厚みに対応する位置におけるBリップの手動調整機構
を利用して、手動で幅方向の厚みを調整した。
【0096】厚みムラが5%になるまでオペレータが鋭
意調整した。この作業時間は6時間もかかった。その
後、自動制御運転に切り替えた。Aリップの厚み調整機
構の加熱体へ熱量を電気的なオン率で与え制御すること
によって制御した。測定した厚みデータと目標の厚みと
の差をゼロに収束させるようにオン率を制御し、調整機
構を押し引きすることでAリップとBリップの間に形成
されたスリット間隙を調整し、シートの厚みを調整し
た。得られた延伸後のシートの厚みムラは3.0%とな
った。シートはほぼフラットなシートとなった。一旦、
製膜機に連動した中間巻取機で幅約3mのシートを巻取
り、さらにこの中間巻取りロールのフィルムを巻き返し
ながら、中心部と耳部をカットして、2本のロールに巻
き返した。巻き返したロールのコアは168φであり、
巻いたシートの幅は1.2m、長さは約10、000m
である。
【0097】このフィルムの最終的に巻き取られたシー
トのロール状原反形状は、ロールの幅が1.2m、直径
が453mmで、幅方向の直径ムラが850μmとな
り、原反形状としては、直径ムラがあるものとなった。
フィルムを工程に通してから約23時間で第1番目の製
品レベルの磁気記録媒体用のシートのロール状物が得ら
れた。なお、製品化までの時間の約23時間は、中間巻
取機で幅約3mのシートに巻き取るまではフィルムを工
程に通す時間と見なし、その後の製品ロール状物を製造
するまでの時間である。
【0098】
【発明の効果】本発明の口金によれば、溶融材料を設計
値通りに近い状態で吐出できる。製膜装置にセットし口
金を加熱し溶融樹脂を口金から吐出させ、工程にシート
を通してすぐに製品化が可能となる。すなわち、加熱さ
れた口金から吐出された溶融材料は、口金幅方向に目標
の厚みプロファイルとなっており、スタート時の原料ロ
スや時間を短縮できるため、コストの安いシートを製造
可能となる。また、口金加熱による無理な変形がないた
め、長期間口金を使用しても永久変形等も発生しにく
い。最近の磁気記録媒体用の厚み精度に厳しい製品は、
原反形状(巻姿)の良さを求められており非常に厳しい
規格であるが、これをクリアーでき製品の歩留まりを小
さくできる。
【0099】この口金を備えたシートの製造装置および
これらを使用したシートの製造方法によれば、歩留まり
よく高い品質のシートを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法における一例の口金の幅方向
の断面図である。
【図2】本発明の製造方法における一例の口金の幅方向
に直交する断面図である。図1におけるX−X断面を示
す。
【図3】本発明の製造方法における一例の口金の幅方向
の正面図である。
【図4】本発明の製造方法における一例の口金の側面図
である。
【図5】本発明の製造方法における製膜装置の一例であ
る。
【図6】本発明の従来例の製造方法における一例の口金
の幅方向の断面図である。
【図7】本発明の従来例の製造方法における一例の口金
の断面図である。図6におけるY−Y断面を示す。
【図8】本発明の従来例の製造方法における一例の口金
の幅方向の正面図である。
【図9】本発明の従来例の製造方法における一例の口金
の側面図である。
【図10】本発明の実施例における口金から吐出され冷
却ロール上でキャスト化されたシートの初期厚み分布で
ある。
【図11】本発明の実施例における縦横延伸後のシート
の厚み分布である。
【図12】本発明の比較例における口金から吐出され冷
却ロール上でキャスト化されたシートの初期厚み分布で
ある。
【図13】本発明の比較例における縦横延伸後のシート
の厚み分布である。
【図14】本発明の実施例における一例の口金の幅方向
に直行する断面図で、加熱方法を示す図である。
【図15】図14におけるP方向から見た斜視部分図で
ある。
【図16】傾斜法による摩擦係数を測定する測定系を示
す図である。
【図17】本発明に実施形態における一例の口金を上面
図である。
【図18】本発明における実施形態における一例の口金
の幅方向の断面図である。図17におけるZ−Z断面で
ある。
【図19】本発明における実施形態における一例の口金
の幅方向に直交する断面図である。図18におけるW−
W断面である。
【図20】本発明における実施例の口金Aリップの温度
分布を示す図である。
【図21】本発明における実施例の口金Bリップの温度
分布を示す図である。
【図22】本発明における比較例の口金Aリップの温度
分布を示す図である。
【図23】本発明における比較例の口金Bリップの温度
分布を示す図である。
【図24】本発明の口金のBリップと加熱体の関係を示
す一例である。
【図25】本発明におけるリップの肉厚を示す図であ
る。
【図26】本発明における加熱方法の一例を示す図であ
る。
【図27】本発明における加熱方法の一例を示す図であ
る。
【図28】本発明のリップの幅方向の温度むらの大きさ
の測定点を説明する図である。
【符号の説明】
1:Aリップ 2:Bリップ 3:端部部材C 4:端部部材D 5:端部シール部材E 6,6a,6b,6c,6d,6e:AリップとBリップの
固定部材 7:マニホールド 8:スリット間隙 9:Aリップに対向するBリップ面 10:ヒートボルト(厚み調整手段) 11:加熱体 12:電線 13:押出機 14:ギアポンプ 15:フィルター 16:口金 17:冷却ロール 18:厚さ計 19:縦延伸機 20:横延伸機 21:厚さ計 22:巻取りロール 23:厚み情報 24:テーパ部材 27:手動調整機構 28:端部押さえ部材 29:端部押さえ部材とリップの固定部材 31:Aリップ 32:Bリップ 33:端部部材C 34:端部部材D 35:端部シール部材E 36,36a,36b,36c,36d,36e:Aおよび
Bリップの固定部材 37:マニホールド 38:スリット間隙 39:Aリップに対向するBリップ面 40:ヒートボルト(厚み調整手段) 41:加熱体 42:電線 43:Aリップ 44:Bリップ 45:ダイホッパー側部材 46i1,46j1,46k1,46l1,46m1:Aリップ側
固定部材 46i2,46j2,46k2,46l2,46m2:Bリップ側
固定部材 47:端部押さえ部材 48:端部押さえ部材 49:端部シール部材 51,51a,51b,51c,51d,51e:シー
トヒータ(加熱手段) 52:シートヒータ(加熱手段) 53,54,60:断熱材 55,55a,55b,55c,55d,55e:カー
トリッジヒータ 56,57:遠赤外線ヒータ 58,59:反射板 61a,61b,61c,61d,61e:それぞれ5
5a,55b,55c,55d,55eのカートリッジ
ヒータを制御するための熱電対を示す。 70a,70b,70c:Bリップ 71a1,71a2:加熱体(加熱手段) 71b1,71b2,71b3,71b4,71b5,71
6:加熱体(加熱手段) 71c1,71c2,71c3,71c4,71c5,71
6:加熱体(加熱手段) 80,81,82:シートヒータ(加熱手段) 90:Bリップ 91a,91b,91c,91d,91e,91f:加
熱体(加熱手段) 92a,92b,92c,92d,92e:熱良導体
(加熱手段) 93:均熱板 101:AリップのBリップ対向面 201:BリップのAリップ対向面 202:BリップのAリップ対向面の反対面

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに対向配置されたAリップおよびB
    リップと、該AリップおよびBリップの先端部に形成さ
    れた、シートの溶融材料を吐出するためのスリット間隙
    とを備え、かつ、前記Aリップおよび/または前記Bリ
    ップの幅方向における温度むらの大きさが、前記スリッ
    ト間隙から吐出される溶融材料の温度と室温との差の絶
    対値に対して1%以内になるように前記Aリップおよび
    /または前記Bリップを加熱する加熱手段を備えている
    ことを特徴とする口金。
  2. 【請求項2】 互いに対向配置されたAリップおよびB
    リップと、該AリップおよびBリップの先端部に形成さ
    れた、シートの溶融材料を吐出するためのスリット間隙
    と、前記Aリップおよび/または前記Bリップを加熱す
    る加熱手段とを備え、該加熱手段は、前記下記関係式を
    満たしていることを特徴とする口金。 L0<L<1.2×L0 (I) (ここで、L0は加熱されるリップの幅方向長さ、Lは
    加熱されるリップの幅方向の加熱体の長さを示す。)
  3. 【請求項3】 互いに対向配置されたAリップおよびB
    リップと、該AリップおよびBリップの先端部に形成さ
    れた、シートの溶融材料を吐出するためのスリット間隙
    と、前記Aリップおよび/または前記Bリップを加熱す
    る加熱手段とを備え、該加熱手段は、幅方向に配列され
    たそれぞれ独立に温度を調整可能なN個(N=2,
    3,...)の加熱体を含んでおり、下記関係式を満た
    していることを特徴とする口金。 dn≦t かつ (Ln/dn)≧0.1 かつ L0<La<(1.2×L0) (n=1,2,...N−1) (II) (ここで、L0はAリップまたはBリップの幅方向長
    さ、Lnは一方の端から数えてn個目の加熱体の幅方向
    長さ、dnは一方の端から数えてn個目の加熱体と(n
    +1)個目の加熱体の間の幅方向の隙間の距離、tは加
    熱するリップの平均肉厚、LaはN個の加熱体の長さLn
    と加熱体間の隙間の距離dnの総和を示す。)
  4. 【請求項4】 前記Aリップおよび/または前記Bリッ
    プの幅方向両端面にそれぞれ摺動可能に付勢された端部
    シール部材を備えてなる請求項1〜3のいずれかに記載
    の口金。
  5. 【請求項5】 前記Aリップは、幅方向に並んで配置さ
    れたシートの厚み調整手段を備えたものであり、前記A
    リップおよび前記Bリップには幅方向に延在するマニホ
    ールドが形成されており、該マニホールドは、前記Aリ
    ップに設けた凹面とBリップに設けた平坦面とで形成さ
    れている請求項1〜4のいずれかに記載の口金。
  6. 【請求項6】 前記Aリップおよび前記Bリップの中央
    部には幅方向に延在するマニホールドが形成されてお
    り、該マニホールドの幅方向の中央部の少なくとも80
    %における前記スリット間隙の幅方向に直交する断面の
    断面積は、前記マニホールドの断面積の1/20以下で
    あり、かつ前記スリット間隙の幅は、前記スリット間隙
    のマニホールドからリップ先端までの長さの1/4以下
    である請求項1〜4のいずれかに記載の口金。
  7. 【請求項7】 前記加熱手段は、前記Aリップおよび/
    または前記Bリップを外部から加熱するものである請求
    項1〜6のいずれかに記載の口金。
  8. 【請求項8】 前記n個の加熱体が熱良導体で結合され
    ている請求項3に記載の口金。
  9. 【請求項9】 前記加熱体と前記口金との間に均熱板が
    介在されている請求項1〜8のいずれかに記載の口金。
  10. 【請求項10】 口金外周部に断熱材を配設されている
    請求項1〜9のいずれかに記載の口金。
  11. 【請求項11】 前記加熱手段は、可視光線または赤外
    線の輻射手段を含むものである請求項1〜10のいずれ
    かに記載の口金。
  12. 【請求項12】 前記加熱手段は、前記Aリップおよび
    /または前記Bリップに直接電流を流して発熱させるも
    のである請求項1に記載の口金。
  13. 【請求項13】 前記加熱手段は、前記Aリップおよび
    /または前記Bリップを高周波により誘導加熱するもの
    である請求項1に記載の口金。
  14. 【請求項14】 前記Aリップおよび/または前記Bリ
    ップの平均肉厚が幅方向において一様である請求項1〜
    13のいずれかに記載の口金。
  15. 【請求項15】 前記平均肉厚のバラツキがその平均値
    の10%以内である請求項14に記載の口金。
  16. 【請求項16】 前記Aリップおよび前記Bリップの位
    置関係を固定する部材を備え、該固定部材は、前記Aリ
    ップまたは前記Bリップと同じ材質で構成されている請
    求項1〜15のいずれかに記載の口金。
  17. 【請求項17】 溶融材料を請求項1〜16のいずれか
    に記載の口金の前記スリット間隙から吐出してシートと
    なし、該シートを固化した後に巻き取ることを特徴とす
    るシートの製造方法。
  18. 【請求項18】 請求項1〜16のいずれかに記載の口
    金と、該口金の前記スリット間隙から吐出される溶融材
    料をシートとして固化する手段と、固化されたシートを
    巻き取る手段とを備えてなるシートの製造装置。
  19. 【請求項19】口金のスリット間隙から溶融材料を吐出
    してシートとなし、該シートを固化した後に巻き取るシ
    ートの製造方法であって、前記溶融材料の吐出に際し、
    口金を、シート幅方向の温度むらの大きさが前記スリッ
    ト間隙から吐出される溶融材料の温度と室温との差の絶
    対値に対して1%以内になるように前記口金を加熱する
    ことを特徴とするシートの製造方法。
  20. 【請求項20】 請求項17または19のシートの製造
    方法により製造されたシート。
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