JP4520106B2 - コンクリート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、再生骨材を使用したコンクリートに関し、特に、セメントモルタルやペーストが付着している低品質の再生骨材を使用した場合でも、100MPa以上の超高強度を発現するコンクリートに関する。
【0002】
【従来の技術】
ビル等のコンクリート構造物を解体すると、その解体物であるコンクリートガラ(直径が500〜1000mm程度)が大量に発生する。このようなコンクリートガラは、従来、産業廃棄物として最終処分場で埋め立て処理されるか、又は再生砕石として道路用路盤材として使用されていた。
【0003】
しかし、近年においては、上記のようなコンクリートガラの処分場を確保することが困難になってきている。このため、近年、コンクリートガラを再資源化あるいはリサイクルする方法が提案されている。例えば、コンクリートガラを所定の大きさに破砕して、再生粗骨材として回収し、これを再度コンクリートに使用することが提案されている。しかし、セメントモルタルやペーストが付着している低品質の再生粗骨材を使用した場合には、コンクリートの強度が低下するため高強度コンクリートが得られ難いという問題がある。そのため、従来より、再生粗骨材から、セメントモルタルやペースト分のほとんどを除去した高品質の再生粗骨材を製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−239250号公報(第2−4頁)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載される方法では、ケーシングの鉛直筒部内に、筒状ロータを偏心回転可能に設けておき、該ロータと鉛直筒部との間隙にコンクリート塊と所定の硬度を有する媒体を挿入して、ロータの偏心回転によりコンクリート塊相互を摩擦接触させて骨材からセメントモルタルやペーストを除去するものである。該方法では、高品質の再生粗骨材等を製造することはできるのではあるが、同時に再資源化がほとんどなされていない粉体も大量に発生してしまうという課題がある。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、セメントモルタルやペーストが付着している低品質の再生骨材を使用した場合でも、100MPa以上の超高強度を発現するコンクリートを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、特定の材料と再生骨材を組み合わせることにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明は、少なくとも、セメント、ポゾラン質微粉末、細骨材、減水剤、水及び再生骨材を含むコンクリートであって、前記各材料の配合割合が、セメント100質量部に対し、ポゾラン質微粉末5〜50質量部、細骨材50〜250質量部、減水剤(固形分換算)0.1〜4.0質量部、水10〜35質量部、再生粗骨材60〜160質量部、再生細骨材0〜125質量部であり、前記セメントが、中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントであり、前記ポゾラン質微粉末が、シリカフューム又はシリカダストであり、圧縮強度が100MPa以上であることを特徴とするコンクリートである(請求項1)。このように構成したコンクリートは、セメントモルタルやペーストが付着している低品質の再生骨材を使用した場合でも、100MPa以上の超高強度を発現することができる。
上記コンクリートは、ブレーン比表面積が2500〜30000cm2/gで、かつ上記セメントよりも大きなブレーン比表面積を有する無機粒子を含むことができる(請求項2)。このように無機粒子を含むことによって、コンクリートの作業性や硬化後の強度発現性や耐久性を向上させることができる。
上記無機粒子は、ブレーン比表面積5000〜30000cm2/gの無機粒子Aと、ブレーン比表面積2500〜5000cm2/gの無機粒子Bとから構成することができる(請求項3)。このようにブレーン比表面積の異なる2種の無機粒子を用いることによって、コンクリートの作業性や硬化後の強度発現性や耐久性をより一層向上させることができる。
上記コンクリートは、金属繊維、有機繊維及び炭素繊維からなる群より選ばれる1種以上の繊維を含むことができる(請求項4)。このように金属繊維等を含むことによって、硬化後の曲げ強度や破壊エネルギー等を向上させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で使用するセメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントが挙げられる。
本発明において、コンクリートの早期強度を向上させようとする場合には、早強ポルトランドセメントを使用することが好ましく、コンクリートの作業性を向上させようとする場合には、中庸熱ポルトランドセメントや低熱ポルトランドセメントを使用することが好ましい。
【0010】
セメントのブレーン比表面積は、2500〜5000cm2/gが好ましく、3000〜4500cm2/gがより好ましい。該値が2500cm2/g未満であると、水和反応が不活発になって、硬化後の強度発現性が低下する等の欠点があり、5000cm2/gを超えると、セメントの粉砕に時間がかかり、また、所定の流動性を得るための水量が多くなるため、硬化後の強度発現性が低下する等の欠点がある。
【0011】
ポゾラン質微粉末としては、シリカフューム、シリカダスト、フライアッシュ、スラグ、火山灰、シリカゾル、沈降シリカ等が挙げられる。
一般に、シリカフュームやシリカダストは、そのBET比表面積が5〜25m2/gであり、粉砕等をする必要がないので、本発明のポゾラン質微粉末として好適である。
ポゾラン質微粉末のBET比表面積は、5〜25m2/gが好ましく、8〜25m2/gがより好ましい。該値が5m2/g未満であると、硬化後の強度発現性が低下する等の欠点があり、25m2/gを超えると、所定の流動性を得るための水量が多くなるため、硬化後の強度発現性が低下する等の欠点がある。
ポゾラン質微粉末の配合量は、セメント100質量部に対して5〜50質量部、好ましくは10〜40質量部である。配合量が5〜50質量部の範囲外では、コンクリートの作業性が低下する、硬化後の強度発現性が低下する等の欠点がある。
【0012】
細骨材としては、川砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂等又はこれらの混合物を使用することができる。
本発明においては、コンクリートの作業性、硬化後の強度発現性や耐久性の観点から、最大粒径が2mm以下の細骨材を使用することが好ましく、最大粒径が1.5mm以下の細骨材を用いることがより好ましい。
細骨材の配合量は、コンクリートの作業性、硬化後の強度発現性や耐久性の観点から、セメント100質量部に対して50〜250質量部であることが好ましく、80〜200質量部であることがより好ましい。
【0013】
減水剤としては、リグニン系、ナフタレンスルホン酸系、メラミン系、ポリカルボン酸系の減水剤、AE減水剤、高性能減水剤又は高性能AE減水剤を使用することができる。これらのうち、減水効果の大きな高性能減水剤又は高性能AE減水剤を使用することが好ましく、特に、ポリカルボン酸系の高性能減水剤又は高性能AE減水剤を使用することがより好ましい。
減水剤の配合量は、セメント100質量部に対して、固形分換算で0.1〜4.0質量部が好ましく、0.1〜2.0質量部がより好ましい。配合量が0.1質量部未満では、混練が困難になるとともに、コンクリートの作業性が極端に低下する等の欠点がある。配合量が4.0質量部を超えると、材料分離や著しい凝結遅延が生じ、また、硬化後の強度発現性が低下することもある。
なお、減水剤は、液状または粉末状のいずれでも使用することができる。
【0014】
水量は、セメント100質量部に対して、10〜35質量部が好ましく、より好ましくは12〜30質量部である。水の量が10質量部未満では、混練が困難になるとともに、コンクリートの作業性が極端に低下する等の欠点がある。水の量が30質量部を超えると、硬化後の強度発現性が低下する。
【0015】
再生骨材としては、「TR A 0006:2000(再生骨材を用いたコンクリート)」に示された、主としてコンクリート構造物を解体したときに生じるコンクリート塊を破砕して得られるコンクリート用骨材および規格外の骨材を使用することができる。具体的には、再生粗骨材としては、「TR A 0006:2000(再生骨材を用いたコンクリート)8.2骨材」に示された範囲に粒度を調整したものおよび規格外のものを、再生細骨材としては、「TR A 0006:2000(再生骨材を用いたコンクリート)8.2骨材」に示された範囲に粒度を調整したものおよび規格外のものを使用することができる。
本発明においては、硬化後の強度発現性や耐久性の観点から、吸水率が15%以下の再生粗骨材、吸水率が15%以下の再生細骨材を使用することが好ましい。
なお、再生粗骨材の吸水率は「JIS A 1110(粗骨材の密度および吸水率試験方法)」に準じて、再生細骨材の吸水率は「JIS A 1109(細骨材の密度および吸水率試験方法)」に準じて測定される値である。
再生骨材の配合量は、コンクリートの作業性、硬化後の強度発現性や耐久性、さらには再生骨材の有効利用の促進の観点から、セメント100質量部に対して、再生粗骨材は60〜160質量部であることが好ましく、75〜150質量部であることがより好ましい。再生細骨材は0〜125質量部であることが好ましく、0〜100質量部であることがより好ましい。
【0016】
本発明においては、コンクリートの作業性、硬化後の強度発現性や耐久性を向上させる観点から、ブレーン比表面積が2500〜30000cm2/gで、かつ上記セメントよりも大きなブレーン比表面積を有する無機粒子を含ませることが好ましい。
無機粒子としては、スラグ、石灰石粉末、長石類、ムライト類、アルミナ粉末、石英粉末、フライアッシュ、火山灰、シリカゾル、炭化物粉末、窒化物粉末等が挙げられる。中でも、スラグ、石灰石粉末、石英粉末は、コストの点や硬化後の品質安定性の点で好ましく用いられる。
無機粒子は、ブレーン比表面積が好ましくは2500〜30000cm2/g、より好ましくは4500〜20000cm2/gで、かつセメント粒子よりも大きなブレーン比表面積を有する。無機粒子のブレーン比表面積が2500cm2/g未満であると、セメントとのブレーン比表面積の差が小さくなり、コンクリートの作業性が低下する、硬化後の強度発現性が低下する等の欠点があり、30000cm2/gを超えると、粉砕に手間がかかるため材料が入手し難くなったり、コンクリートの作業性が低下する等の欠点がある。
【0017】
無機粒子がセメントよりも大きなブレーン比表面積を有することによって、無機粒子が、セメントとポゾラン質微粉末との間隙を埋める粒度を有することになり、コンクリートの作業性、硬化後の強度発現性や耐久性を向上させることができる。
無機粒子とセメントとのブレーン比表面積の差は、コンクリートの作業性、硬化後の強度発現性や耐久性の観点から、1000cm2/g以上が好ましく、2000cm2/g以上がより好ましい。
無機粒子の配合量は、コンクリートの作業性、硬化後の強度発現性や耐久性の観点から、セメント100質量部に対して55質量部以下が好ましく、10〜50質量部がより好ましい。
【0018】
本発明においては、無機粒子として、異なる2種の無機粒子A及び無機粒子Bを併用することができる。
この場合、無機粒子Aと無機粒子Bは、同じ種類の粉末(例えば、石灰石粉末)を使用してもよいし、異なる種類の粉末(例えば、石灰石粉末及び石英粉末)を使用してもよい。
無機粒子Aは、ブレーン比表面積が5000〜30000cm2/g、好ましくは6000〜20000cm2/gのものである。また、無機粒子Aは、セメント及び無機粒子Bよりもブレーン比表面積が大きいものである。
無機粒子Aのブレーン比表面積が5000cm2/g未満であると、セメントや無機粒子Bとのブレーン比表面積の差が小さくなり、前記の1種の無機粒子を用いる場合と比べて、コンクリートの作業性、硬化後の強度発現性や耐久性を向上させる効果が小さくなるばかりか、2種の無機粒子を用いているために、材料の準備に手間がかかるので好ましくない。該ブレーン比表面積が30000cm2/gを超えると、粉砕に手間がかかるため、材料が入手し難くなったり、コンクリートの作業性が低下する等の欠点がある。
【0019】
また、無機粒子Aが、セメント及び無機粒子Bよりも大きなブレーン比表面積を有することによって、無機粒子Aが、セメント及び無機粒子Bと、ポゾラン質微粉末との間隙を埋めるような粒度を有することになり、コンクリートの作業性、硬化後の強度発現性や耐久性をより一層向上させることができる。
無機粒子Aとセメント及び無機粒子Bとのブレーン比表面積の差(換言すれば、無機粒子Aと、セメントと無機粒子Bのうちブレーン比表面積の大きい方とのブレーン比表面積の差)は、コンクリートの作業性、硬化後の強度発現性や耐久性を向上させる観点から、1000cm2/g以上が好ましく、2000cm2/g以上がより好ましい。
【0020】
無機粒子Bのブレーン比表面積は、2500〜5000cm2/gである。また、セメントと無機粒子Bとのブレーン比表面積の差は、100cm2/g以上が好ましく、コンクリートの作業性、硬化後の強度発現性や耐久性の観点から、200cm2/g以上がより好ましい。
無機粒子Bのブレーン比表面積が2500cm2/g未満であると、コンクリートの作業性が低下する、硬化後の強度発現性が低下する等の欠点があり、5000cm2/gを超えると、ブレーン比表面積の数値が無機粒子Aに近づくため、前記の1種の無機粒子を用いる場合と比べて、コンクリートの作業性、硬化後の強度発現性や耐久性を向上させる効果が小さくなるばかりか、2種の無機粒子を用いているために、材料の準備に手間がかかるので、好ましくない。
また、セメントと無機粒子Bとのブレーン比表面積の差が100cm2/g以上であることによって、配合物を構成する粒子の充填性が向上し、コンクリートの作業性、硬化後の強度発現性や耐久性をより一層向上させることができる。
【0021】
無機粒子Aの配合量は、セメント100質量部に対して50質量部以下が好ましく、10〜45質量部がより好ましい。無機粒子Bの配合量は、セメント100質量部に対して40質量部以下が好ましく、5〜35質量部がより好ましい。無機粒子A及び無機粒子Bの配合量が前記の数値範囲外では、前記の1種の無機粒子を用いる場合と比べて、コンクリートの作業性、硬化後の強度発現性や耐久性を向上させる効果が小さくなるばかりか、2種の無機粒子を用いているために、材料の準備に手間がかかるので、好ましくない。
なお、無機粒子Aと無機粒子Bの合計量は、セメント100質量部に対して55質量部以下が好ましく、より好ましくは10〜50質量部である。
【0022】
本発明においては、硬化後の曲げ強度や破壊強度等を大幅に高める観点から、配合物に、金属繊維、有機繊維及び炭素繊維からなる群より選ばれる1種以上の繊維を配合することが好ましい。
金属繊維は、硬化後の曲げ強度等を大幅に高める観点から、配合される。
金属繊維としては、鋼繊維、ステンレス繊維、アモルファス繊維等が挙げられる。中でも、鋼繊維は、強度に優れており、また、コストや入手のし易さの点からも好ましいものである。金属繊維の寸法は、配合物中における金属繊維の材料分離の防止や、硬化後の曲げ強度の向上の点から、直径が0.01〜1.0mm、長さが2〜30mmであることが好ましく、直径が0.05〜0.5mm、長さが5〜25mmであることがより好ましい。また、金属繊維のアスペクト比(繊維長/繊維直径)は、好ましくは20〜200、より好ましくは40〜150である。
【0023】
金属繊維の形状は、直線状よりも、何らかの物理的付着力を付与する形状(例えば、螺旋状や波形)が好ましい。螺旋状等の形状にすれば、金属繊維とマトリックスとが引き抜けながら応力を担保するため、曲げ強度が向上する。
金属繊維の好適な例としては、例えば、直径が0.5mm以下、引張強度が1〜3.5GPaの鋼繊維からなり、かつ、120MPaの圧縮強度を有するセメント系硬化体のマトリックスに対する界面付着強度(付着面の単位面積当たりの最大引張力)が3MPa以上であるものが挙げられる。本例において、金属繊維は、波形または螺旋形の形状に加工することができる。また、本例の金属繊維の周面上に、マトリックスに対する運動(長手方向の滑り)に抵抗するための溝または突起を付けることもできる。また、本例の金属繊維は、鋼繊維の表面に、鋼繊維のヤング係数よりも小さなヤング係数を有する金属層(例えば、亜鉛、錫、銅、アルミニウム等から選ばれる1種以上からなるもの)を設けたものとしてもよい。
【0024】
金属繊維の配合量は、コンクリート中の体積百分率で、好ましくは4%以下、より好ましくは0.5〜3%、特に好ましくは1〜3%である。該配合量が4%を超えると、流動性等を確保するために単位水量が増大するうえ、配合量を増やしても金属繊維の補強効果が向上しないため、経済的でなく、さらに、混練物中でいわゆるファイバーボールを生じ易くなるので、好ましくない。
【0025】
有機繊維及び炭素繊維は、硬化後の破壊エネルギー等を高める観点から、配合される。
有機繊維としては、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、アラミド繊維等が挙げられる。中でも、ビニロン繊維及び/又はポリプロピレン繊維は、コストや入手のし易さの点で好ましく用いられる。
炭素繊維としては、PAN系炭素繊維やピッチ系炭素繊維が挙げられる。
有機繊維及び炭素繊維の寸法は、配合物中におけるこれら繊維の材料分離の防止や、硬化後の破壊エネルギーの向上の点から、直径が0.005〜1.0mm、長さ2〜30mmであることが好ましく、直径が0.01〜0.5mm、長さ5〜25mmであることがより好ましい。また、有機繊維及び炭素繊維のアスペクト比(繊維長/繊維直径)は、好ましくは20〜200、より好ましくは30〜150である。
【0026】
有機繊維及び炭素繊維の配合量は、コンクリート中の体積百分率で好ましくは10.0%以下、より好ましくは1.0〜9.0%、特に好ましくは2.0〜8.0%である。配合量が10.0%を超えると、流動性等を確保するために単位水量が増大するうえ、配合量を増やしても繊維の増強効果が向上しないため、経済的でなく、さらに、混練物中にいわゆるファイバーボールを生じ易くなるので、好ましくない。
【0027】
配合物の混練方法は、特に限定されるものではなく、例えば、(1)水、減水剤、再生粗骨材以外の材料を予め混合して、プレミックス材を調製しておき、該プレミックス材、水、減水剤及び再生粗骨材をミキサに投入し、混練する方法、(2)粉末状の減水剤を用意し、水及び再生粗骨材以外の材料を予め混合して、プレミックス材を調製しておき、該プレミックス材、水及び再生粗骨材をミキサに投入し、混練する方法、(3)各材料を各々個別にミキサに投入し、混練する方法、等を採用することができる。
混練に用いるミキサは、通常のコンクリートの混練に用いられるどのタイプのものでもよく、例えば、揺動型ミキサ、パンタイプミキサ、二軸練りミキサ等が用いられる。
本発明のコンクリートの養生方法は、特に限定されるものではなく、例えば、気中養生、湿空養生、水中養生、加熱促進養生(蒸気養生、オートクレーブ養生)等の慣用手段又はこれらを併用したものを行なえばよい。
【0028】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。
[1.使用材料]
以下に示す材料を使用した。
(1)セメント;低熱ポルトランドセメント(太平洋セメント社製
;ブレーン比表面積3200cm2/g)
(2)ポゾラン質微粉末;シリカフューム(BET比表面積10m2/g)
(3)無機粒子A;石英粉末A(ブレーン比表面積7500cm2/g)
(4)無機粒子B;石英粉末B(ブレーン比表面積4000cm2/g)
(5)細骨材;珪砂(最大粒径0.6mm、75μm以下の粒子の含有量0.3質量%)
(6)減水剤;ポリカルボン酸系高性能AE減水剤
(7)水;水道水
(8)再生粗骨材;吸水率11.0%
【0029】
実施例1
低熱ポルトランドセメント100質量部、シリカフューム31質量部、石英粉末A26質量部、石英粉末B9質量部、珪砂110質量部、高性能AE減水剤1.0質量部(セメントに対する固形分)、水28質量部をニ軸ミキサに投入し300秒混練した後、再生粗骨材146質量部(セメント100質量部に対する割合)を投入し180秒混練して、コンクリートを調製した。
前記コンクリートをφ10×20cmの型枠内に充填し、20℃で48時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生した。該硬化体の圧縮強度(3本の平均値)は127MPaであった。
また、前記コンクリートを10×10×40cmの型枠内に充填し、20℃で48時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生した。該硬化体を常時飛沫を浴びる海洋環境下にて1年間の曝露を行った後、EPMAにより該硬化体断面の塩分濃度を測定し塩分浸透深さを求めた。その結果、塩分浸透深さは2.5mmであった。
【0030】
比較例1
低熱ポルトランドセメント100質量部、普通細骨材(静岡県小笠産陸砂)117質量部、高性能AE減水剤1.0質量部(セメントに対する固形分)、水22質量部をニ軸ミキサに投入し300秒混練した後、再生粗骨材112質量部(セメント100質量部に対する割合)を投入し180秒混練して、コンクリートを調製した。
前記コンクリートをφ10×20cmの型枠内に充填し、20℃で48時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生した。該硬化体の圧縮強度(3本の平均値)は78MPaであった。
また、前記コンクリートを10×10×40cmの型枠内に充填し、20℃で48時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生した。該硬化体を常時飛沫を浴びる海洋環境下にて1年間の曝露を行った後、EPMAにより該硬化体断面の塩分濃度を測定し塩分浸透深さを求めた。その結果、塩分浸透深さは12.0mmであった。
【0031】
実施例2
前記実施例1、比較例1のコンクリートを、それぞれ10×10×40cmの型枠内に充填し、20℃で48時間前置き後、90℃で48時間蒸気養生した。該硬化体の動弾性係数を「JIS A 1148(コンクリートの凍結融解試験方法:A法)」に準じて測定した。その結果、実施例1のコンクリートでは、300サイクルまで相対動弾性係数の低下は認められなかった。一方、比較例1のコンクリートでは、100サイクルまでの相対動弾性係数は実施例1のコンクリートと同じであったが、その後低下し、300サイクルでは実施例1のコンクリートの相対動弾性係数を100とすると、比較例1のコンクリートでは60程度に低下した。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のコンクリートでは、セメントモルタルやペーストが付着している低品質の再生骨材を使用した場合でも、100MPa以上の超高強度を発現することができる。また、本発明のコンクリートは、耐久性にも優れるものである。従って、本発明では、粉体の大量発生という弊害を生じることなく、コンクリート廃材の有効利用を促進することができる。
Claims (4)
- 少なくとも、セメント、ポゾラン質微粉末、細骨材、減水剤、水及び再生骨材を含むコンクリートであって、
前記各材料の配合割合が、セメント100質量部に対し、ポゾラン質微粉末5〜50質量部、細骨材50〜250質量部、減水剤(固形分換算)0.1〜4.0質量部、水10〜35質量部、再生粗骨材60〜160質量部、再生細骨材0〜125質量部であり、
前記セメントが、中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントであり、
前記ポゾラン質微粉末が、シリカフューム又はシリカダストであり、
圧縮強度が100MPa以上
であることを特徴とするコンクリート。 - ブレーン比表面積が2500〜30000cm2/gで、かつ上記セメントよりも大きなブレーン比表面積を有する無機粒子を含む請求項1記載のコンクリート。
- 無機粒子が、ブレーン比表面積5000〜30000cm2/gの無機粒子Aと、ブレーン比表面積2500〜5000cm2/gの無機粒子Bとからなる請求項2記載のコンクリート。
- 金属繊維、有機繊維及び炭素繊維からなる群より選ばれる1種以上の繊維を含む請求項1〜3のいずれかに記載のコンクリート。
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