JP4520062B2 - 統計的にマルチプレックスされたmpeg転送ストリームのデマルチプレクス方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般に、ビデオ圧縮に関し、特に、統計的にマルチプレックスされたMPEG転送ストリーム(即ち、多数のプログラムがマルチプレックスされた転送ストリームである多数プログラム転送ストリームMPTS:multiple program transport streams)を、ビデオ要素ストリームにいかなる変化も与えることなく、一定ビット・レート(CBR:constant bit rate)の単一プログラムの転送ストリーム(SPTS:single program transport stream)にデマルチプレックスする簡単な方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
多数プログラム転送ストリーム(MPTS)内のビデオ要素ストリームの総ては、典型的には、可変ビット・レート(VBR:variable bit rate)によりエンコードされている。一定ビット・レートが低すぎる場合には、ビデオ要素ストリームを変調することなく、多数プログラム転送ストリーム(MPTS)からの単一のストリームをデマルチプレックスすることが不可能になる。明らかに、これは、VBRストリームの平均ビット・レートがCBRストリームの一定ビット・レートよりも高い場合である。この場合でさえ、B(Bidirectinally predictive-coded)型画像(双方向予測を用いるフレームのピクチャ)をヌルB型画像(新たなデータがない画像であり、バッファがオーバーフローした期間中、前にデコードした画像を繰り返す)に置換することにより、潜在的な視覚アーティファクト(歪)を改善することが通常は可能である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
統計的にマルチプレックスされたMPTSを多数の一定ビット・レート(CBR)の単一プログラム転送ストリーム(STPS)にデマルチプレックスする従来技術は、ビデオ・ストリームを変調(トランスコード:コード変換)していた。なお、より一般的には、これは、計算が非常に重要な処理であり、デマルチプレックスしたビデオの品質に好ましくない影響を与えた。かかる従来技術を用いた製品の例としては、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタ・クララのテラヨン・コミュニケーション・システムズが販売しているチェリーピッカー(CherryPicker)7000型ビデオ・リマルチプレクサ(re-multiplexer)や、カナダ国オンタリオ州ワーテルローのピックスストリーム・インコーポレイテッドが販売しているPS5030型マルチプレクサ・モジュールがある。
【0004】
統計的にマルチプレックスしたMPTSにおいては、1画像当たりのビット・レートを広く分散させて、ビデオ・ストリームを可変ビット・レート(VBR)としてエンコードしている。いくらかのスムージングがあるにもかかわらず、所定ビデオ・ストリーム用の転送パケット(TP:transport packet)により、ほとんどの場合、バーストとしてパターンが届く。いずれにしても、ビデオを記録したり又は変調しないで、一定ビット・レート(CBR)ネットワーク接続内において、可変ビット・レート(VBR)のビデオと、一定ビット・レート(CBR)のオーディオとを有する完全な単一プログラム転送ストリーム(SPTS)に適合できることが望まれている。
【0005】
本発明は、ビデオを記録又は変調することなく、統計的にマルチプレクサされたMPEG転送ストリームを一定ビット・レート(CBR)の単一プログラム転送ストリームにデマルチプレックスする簡単且つ確実な方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、統計的にマルチプレックスされたMPEG転送ストリームを一定ビット・レートの単一プログラム転送ストリームにデマルチプレックスする方法であって;統計的にマルチプレックスされたMPEG転送ストリームから可変ビット・レートの単一プログラム転送ストリームを分離し;画像をデコードする時点以前であって、特定時点、又は、その後できるだけ早く、可変ビット・レートの単一プログラム転送ストリームから画像を一定ビット・レートでスムージング・バッファにロードし;デコード時点にスムージング・バッファから画像を伝送することを特徴としている。
【0007】
本発明による方法は、先ず、画像をデコードする前、又はその後できるだけ早く、10又は100ミリ秒のオーダの固定インターバルで画像を送る。各可変ビット・レートの単一プログラム転送ストリームの各々に対して、分離した論理スムージング(平滑)バッファを用いる。デコード時間になると、デコードするために、スムージング・バッファから画像を転送する。バッファがオーバーフローした場合、B型フレーム(B型画像のフレーム)をヌルB型フレーム(ヌルB型画像のフレーム)と置換して、このオーバーフロー状態が終わるまで、前にデコードした画像を繰り返すことにより、フリーズ・フレーム(フレームの固定)の効果を得る。
【0008】
本発明の目的、利点及び新規な特徴は、添付図を参照した以下の説明から更に明らかになろう。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、統計的にマルチプレックスされたMPEG転送ストリーム(MPTS)であって、互いにマルチプレックスされた可変ビット・レート(VBR)の複数のプログラム(番組)を有するMPTSを示す図である。斜線を付した矩形で示すパケットは、単一のプログラム(番組)転送ストリームであるプログラム1を表し、これらパケットは総て同じプログラムの一部である。PCR0ms及びPCR1.8048msの間に示すように、この間の約3分の1のパケットがプログラム1である。これらプログラム1のパケットは、10MbsのMPTSストリーム・レート、即ち、1MPEG転送ストリームMTS(MPEG transport stream)パケット当たり0.1504msで他のプログラムのパケットとインターリーブしている。このインターバルにおけるプログラム1のビット・レートは、3.33333Mbsである。次のPCR1.8048ms及びPCR2.1056msの間には、インターリーブされたパケットがないので、プログラム1のビット・レートは、MTSストリームの10Mbsである。プログラム1用の異なるビット・レートは、例えば、イメージの複雑さ及びMPEGフレームの型式であるI型式(Intra-coded:予測を使わずそのままコード化する)、P型式(Predictive-coded:一方向の動き補償予測を用いてコード化する)又はB型式により決まる。
【0010】
可変ビット(VBR)の単一プログラム転送ストリーム(SPTS)は、パケットPIDに基づいてMPEG転送ストリーム(MTS)から分離され、所望の一定ビット・レートで論理スムージング・バッファに入力して、一定ビット・レート(CBR)の単一プログラム転送ストリーム(SPTS)を発生する。なお、PIDは、プログラム識別番号(Program IDentification number)のことであり、パケットPIDは、そのパケットがどのプログラム用のものであるかを示す。各フレームに対するデコード・タイム・スタンプ(DTS:decode time stamp)が示す時点で、一定ビット・レート(CBR)の単一プログラム転送ストリーム(SPTS)をデコードして、ビデオ・ストリーム内のオリジナルのイメージを再生する。
【0011】
図2は、本発明によりスムージング・バッファを用いて発生した一定ビット・レートの単一プログラム転送ストリームと入力可変ビット・レートの単一プログラム転送ストリームとの関係を示す図である。この図2に示すように、所望の一定ビット・レート(CBR)よりも低い平均ビット・レート(ABR:average bit rate)の単一プログラム転送ストリーム(SPTS)にとって、可変ビット・レート(VBR)のSPTSがCBRを超える時点がある。本発明を用いない場合、これにより、画像がデコードされず、その結果、次のフレームがデコードされなければ、前のフレームを繰り返すので、繰り返しフレームとなる。関連したデコード・タイム・スタンプ(DTS)が示す時点にて、デコーダが次の完全なイメージ又はフレームを利用できるようになるまで、静止フレームが維持される。この望ましくない異常を避けるために、本発明による解決方法では、フレーム用パケットのバッファへのロードを開始するので、デコード時点になると、図3に示し、詳細に後述するように、フレームの全データがデコード用に利用可能となる。
【0012】
Bufnは、統計的にマルチプレックスされたMPEG転送ストリーム(MPTS)内の可変ビット・レート(VBR)のビデオ基本ストリームn用のスムージング・バッファを示す。変数tdn(j)は、システム・ターゲット・デコーダ内のビデオ基本ストリームnのj番目の画像におけるデコード時点である。デコード時点は、秒により測定され、基本ストリームnを含むプログラム用のシステム・クロックPCRに基づく。変数tn i(j)は、基本ストリームnのj番目の画像のi番目の転送ストリーム(TS)パケットがスムージング・バッファBufnに入る時点である。再び、時間を秒単位で測定するが、この時間は、基本ストリームnを含むプログラム用のシステム・クロックに関係する。Rnは、図2に示す所望ビット・レートに基づいているが、これは、ビデオを伝送しない単一プログラム転送ストリーム(SPTS)内のパケットのビット・レートよりも低い所望ビット・レートである。また、このRnは、ビデオ基本ストリームnを有するTSパケットがスムージング・バッファBufnに入る際の一定レートである。このレートは、1秒当たりのビットを単位として決める。最後に、δnは、ビデオ基本ストリームTSパケットがスムージング・バッファBufnに入ることができるデコード時点の前で、最も早い時間である。ここでも、時間は、秒で与える。
【0013】
バッファ・サイズ|Bufn|は、|Bufn|=Rnδnで与えられる。ビデオ基本ストリームnを含む転送ストリーム(TS)パケットは、次の状態に遭遇するとできるだけ早くBufnに入る。
1.パケットがBufnに入るレートがRnにより制限される状態。
2.ビデオ基本ストリームnの任意の画像jと、画像jを含む総てのTSパケットに対して、tn i(j)+δn>=tdn(j)となる状態。
3.時点tdn(j)にて、パケットtn i(j)の総てが除去される状態。
4.バッファBufnが一杯ならば、即ち、Rnδnビットを含んでいて、新たなパケットが入らない状態。
【0014】
バッファBufnがオーバーフローしない又はアンダーフローしないならば、バッファ・モデルを満足する、即ち、バッファが通常動作をする。ビデオ基本ストリームnの任意の画像j、及び画像jを含む任意のTSパケットに対して、tn i(j)>tdn(j)のときに、オーバーフロー又はアンダーフローが生じる。
【0015】
オーバーフローの場合、このオーバーフローが終わるまで、B型フレームをヌルB型フレームと置換する。これにより、デコーダが前のビデオ・フレームを繰り返すという効果がある。この点は、例えば、本願出願人に譲渡されたダグラス・シー・ステバンス等のアメリカ合衆国特許出願第09/113669号「圧縮されたビデオ・ストリームの間で切替を行う際のビット・レートの再調整」(特開2000−50266号公報に対応)にも記載されている。
【0016】
上述は、可変ビット・レートの一連のフレームを示す図3にも示されている。フレーム1に対するデコード・タイム・スタンプDTSの前の時間δにおいて、フレーム1がバッファにロードされる。このバッファは、連続的なDTS時点の間に複数の等しい容量のスロットを有すると考えることができる。フレーム1は、1スロットの容量よりも少ないビットを有するので、フレーム2のDTSの前で時間δにて、フレーム2がバッファにロードされる前にギャップが生じる。同様に、フレーム3は、DTS3の前の時間δでロードされる。フレーム3は、1つのスロットにフィットするよりも多くのビットを有するので、その後できるだけ早く、フレーム4がバッファにロードされる。次に、フレーム5ができるだけ早くバッファにロードされる。フレーム5の終わりは、フレーム5のDTS時点をほとんど超えて、バッファがオーバーフローの危険状態となる。しかし、次のフレーム6、7及び8の各々は、1スロットよりも少ないビットを有するので、バッファの容量状態が緩和する。
【0017】
【発明の効果】
よって、本発明は、スムージング・バッファを用いて、画像をデコードする必要になる前に、固定インターバルまででのできるだけ早い時点で、ストリーム内のビデオ画像を所望一定レートでスムージング・バッファにロードするので、統計的にマルチプレックスされたMPEG転送ストリームを一定ビット・レートの単一プログラム転送ストリームに確実且つ簡単にデマルチプレックスできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】可変ビット・レートの単一プログラム転送ストリームを有し、統計的にマルチプレックスされたMPEG転送ストリームを示す図である。
【図2】本発明によりスムージング・バッファを用いて発生した一定ビット・レートの単一プログラム転送ストリームと入力可変ビット・レートの単一プログラム転送ストリームとの関係を示す図である。
【図3】本発明により、デコード時点の前、又はその後できるだけ早く、固定時点にて開始する一定ビット・レートでのスムージング・バッファへの画像のロードを示すタイミング図である。

Claims (4)

  1. 統計的にマルチプレックスされたMPEG転送ストリームを一定ビット・レートの単一プログラム転送ストリームにデマルチプレックスする方法であって、
    上記統計的にマルチプレックスされたMPEG転送ストリームから、一連の画像で構成される可変ビット・レートのプログラムであって各画像がデコード・タイム・スタンプを有するものを具備する特定の単一プログラム転送ストリームを分離する工程と、
    上記可変ビット・レートのプログラムから所望の一定ビット・レートでj番目の画像をスムージング・バッファにロードする工程と、
    (j+1)番目の画像のデコード・タイム・スタンプによって示された時点よりも前の時点δより遅くなることなくj番目の画像をスムージング・バッファにロードすることが完了された場合、上記(j+1)番目の画像のデコード・タイム・スタンプによって示された時点よりも前の時点δから始めて、上記所望の一定ビット・レートで(j+1)番目の画像をスムージング・バッファにロードする工程と、
    上記(j+1)番目の画像のデコード・タイム・スタンプによって示された時点よりも前の時点δより遅くなるまでj番目の画像をスムージング・バッファにロードすることが完了しない場合、上記j番目の画像のロードが完了したほぼ直後から始めて、上記所望の一定ビット・レートで(j+1)番目の画像をスムージング・バッファにロードする工程と、
    上記スムージング・バッファから上記(j+1)番目の画像のデコード・タイム・スタンプによって示された時点で上記(j+1)番目の画像を伝送する工程を具備する方法。
  2. 上記スムージング・バッファが上記所望の一定ビット・レートにδを掛けたのと同等の容量を有することを特徴とする上記請求項1に記載の方法。
  3. 上記スムージング・バッファがオーバーフロー状態のときに、このオーバーフロー状態が終わるまで、上記スムージング・バッファへの入力におけるB型画像をヌルB型画像に置換することを特徴とする上記請求項1又は2に記載の方法。
  4. 所望の一定ビット・レートよりも低い平均ビット・レートを有すると共に上記の所望の一定ビット・レートよりも大きな最大ビット・レートを有する可変ビット・レートの単一プログラム転送ストリームであって、該単一プログラム転送ストリームが一連の画像からなり各画像がデコード・タイム・スタンプを有するものであるもののビット・レートを調整する方法であり、上記方法が、
    (a)上記一連の画像のうちj番目の画像をスムージング・バッファにロードする工程と、
    (b)デコードのために、上記スムージング・バッファから上記j番目の画像を伝送する工程と、
    (c)(1)(j+1)番目の画像のデコード・タイム・スタンプによって示された時点よりも前の時点δより遅くなることなくj番目の画像をスムージング・バッファにロードすることが完了された場合、上記(j+1)番目の画像のデコード・タイム・スタンプによって示された時点よりも前の時点δから始めて、上記所望の一定ビット・レートで(j+1)番目の画像をスムージング・バッファにロードする工程と、
    (c)(2)上記(j+1)番目の画像のデコード・タイム・スタンプによって示された時点よりも前の時点δより遅くなるまでj番目の画像をスムージング・バッファにロードすることが完了しない場合、上記j番目の画像のロードが完了したほぼ直後から始めて、上記所望の一定ビット・レートで(j+1)番目の画像をスムージング・バッファにロードする工程と、
    (d)上記スムージング・バッファから上記(j+1)番目の画像のデコード・タイム・スタンプによって示された時点で上記(j+1)番目の画像を伝送する工程を具備する方法。
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