本発明は、プラズマディスプレイパネル、有機ELパネル、発光ダイオードパネル等の特に自発光の表示パネルを用いる場合に好適な表示装置に関する。
前記プラズマディスプレイパネル、有機ELパネル、発光ダイオードパネル等の特に自発光の表示パネルでは、発光素子の消費電力が、輝度に比例する。しかしながら、階調表現を実現するにあたって、電流値を制御することは非常に難しく、このため従来から、表示パネルの各画素を1フィールド内で複数回発光させ、その発光回数で階調表示を行うことが行われている。
一方、前記のような表示パネルでは、表示すべき映像信号の輝度レベルが高くなると、パネルの焼き付きや、画像表示装置全体での消費電力が規定の定格消費電力を超過するなどの問題が生じる。そこで、このような問題を解消するために、典型的な従来技術として、特許文献1には、入力映像信号の平均輝度信号レベルの変化に応じて、自動電力制御(APC)部で、表示パネルの単位面積当りの発光量(輝度)を調節して、消費電力が大きくなり過ぎないように制御する、いわゆるプラズマAIなどと称される技術が開示されている。
しかしながら、前記輝度信号は、人間の目が明るさを感じる割合に応じて定められたものであり、表示パネルの消費電力、すなわち輝度に比例するものではない。たとえば、Yエンコード回路で、一般的に用いられるY=0.3R+0.59G+0.11Bなる変換式を用いたとすると、赤(以下、Rと記す)、緑(以下、Gと記す)、青(以下、Bと記す)の単色を表示した場合のそれぞれの輝度信号(YR:赤単色を表示した場合の輝度信号、YG:緑単色を表示した場合の輝度信号、YB:青単色を表示した場合の輝度信号)の比は、YR:YG:YB=0.3:0.59:0.11となり、人間が敏感なGを表示するときの輝度信号YGが一番大きく、鈍感なBを表示するときの輝度信号YB信号が一番小さくなるように設定されている。
したがって、前記自動電力制御部で、平均輝度Yに応じて発光量を調節した場合、緑色成分が他色より多い映像のときには、前記平均輝度Yに対する緑単色を表示した場合の輝度信号YGの影響が大きいので、表示パネルの発光量が必要以上に少なくなり、また青色成分が他色より多い映像のときには、前記平均輝度Yに対する青単色を表示した場合の輝度信号YBの影響が小さいので、表示パネルの発光量が必要以上に大きくなり、電源部の能力を超えてしまう可能性がある。このように、消費電力や発光量の自動制御が正確に出来ないという問題があった。
そこで、このような問題を解決するために、他の従来技術として、特許文献2が提案された。その従来技術の構成を、図6に示す。この図6の画像表示装置は、大略的に、R,G,Bの各色に対応した3つの積分回路m1,m2,m3と、それらに個別に対応する3つの乗算回路k1,k2,k3と、加算回路11と、コントローラ12と、遅延回路13と、3つの乗算回路k11,k12,k13と、映像信号−サブフィールド対応付け器14と、サブフィールドパルス発生回路15と、走査側ドライバ16と、データ側ドライバ17と、PDPパネル18とを備えて構成される。
前記R積分回路m1、G積分回路m2、B積分回路m3は、それぞれR信号、G信号、B信号を入力映像信号として入力し、特定の期間、たとえば少なくとも1フィールド分の信号を積分して、積分画素数で除算した値をR平均レベル、G平均レベル、B平均レベルとして出力する。
前記各積分回路m1,m2,m3で得られたR平均レベル、G平均レベル、B平均レベルは、個別に対応する乗算回路k1,k2,k3にそれぞれ入力され、予め設定されている前記の係数KR,KG,KBと乗算され、その結果が加算回路11へ出力される。ここで、係数KR,KG,KBは、それらの係数の比が、R,G,Bの各色で同一条件の画像をそれぞれ単色表示したときに消費される各色の電力量の比と等しくなるような値に設定される。すなわち、後述するコントローラ12による電力制御を働かせない状態で、同じ条件の映像信号をR,G,B信号として順に入力し、R,G,B単色でそれぞれ表示したときのデータ表示のために消費される電力量を予め測定し、その測定した各色の電力量の比がこの係数KR,KG,KBの比と等しくなるようにする。たとえば、ある画像を赤色表示したときの消費電力量をPR、その画像と同一画像を緑色表示したときの消費電力量をPG、青色表示したときの消費電力量をPBとすると、PR:PG:PB=KR:KG:KBが成り立つように係数を決定する。
次に、乗算回路k1では前記係数KRを前記R積分回路m1からのR平均レベルに、乗算回路k2では前記係数KGを前記G積分回路m2からのG平均レベルに、乗算回路k3では係数KBをB積分回路m3からのB平均レベルにそれぞれ乗算する。加算回路11は、各積分回路m1,m2,m3からの出力信号を相互に加算することで、消費電力量予測値を求め、コントローラ12へ消費電力予測信号を出力する。コントローラ12は、前記消費電力予測信号に応答して、PDPパネル18の単位面積当りの発光量(輝度)を調節して、消費電力が大きくなり過ぎないような発光形式を選択し、その発光形式に対応する発光パルス制御信号を出力する。同時に、コントローラ12は、異なる発光形式間で映像の発光量(輝度)差がなくなるように乗算係数を演算し、出力する。コントローラ12のこれらの動作の詳細は、後述する。
一方、前記入力映像信号R,G,Bはまた、遅延回路13にそれぞれ入力されており、該遅延回路13は前記入力映像信号R,G,Bを、積分回路m1〜m3、乗算回路k1〜k3、加算回路11およびコントローラ12の各部の処理で要する時間を合計した時間だけ遅延させた遅延映像信号DR,DG,DBを出力する。この遅延映像信号DR,DG,DBは、乗算回路k11,k12,k13に入力され、コントローラ12から出力された乗算係数と乗算され、出力される。
前記映像信号−サブフィールド対応付け器14は、前記乗算回路k11〜k13の出力信号と、コントローラ12からの発光パルス制御信号とを入力とし、2のべき乗で表現された前記乗算回路k11〜k13の出力信号を、発光パルス制御信号に応じた発光形式のサブフィールド構成の発光パターンに変換し、所定のタイミングで、1フィールド期間中に、各画素の第1サブフィールドのデータ、第2サブフィールドのデータ・・・、第nサブフィールドのデータを順に送出する(nはサブフィールド数)。なお、映像信号−サブフィールド対応付け器14においては、擬似輪郭の発生を抑制するためのサブフィールド数の変換等の所定の処理が行なわれてもよい。
前記サブフィールドパルス発生回路15は、前記発光パルス制御信号を入力とし、この発光パルス制御信号に応じた発光形式のサブフィールド構成で、走査、維持、消去信号を走査側ドライバ16に供給する。走査側ドライバ16は、所定の電圧レベルで走査、維持、消去信号をPDPパネル18の各行電極に供給する。
これに対して、データ側ドライバ17は、映像信号−サブフィールド対応付け器14からの出力信号を入力とし、各画素データに対応する電圧値を有する画像データパルスを発生してこれを各列毎に分割し、走査側ドライバ16から出力される信号と同期してPDPパネル18の列電極に供給する。PDPパネル18は、走査側ドライバ16から発光パルスが入力され、かつデータ側ドライバ17から与えられる発光パルスがアクティブであるときに、実際に発光することができる。このようにしてPDPパネル18が駆動されて、入力映像信号R,G,Bに応じた画像が表示される。そして、前記乗算回路k1,k2,k3において、入力映像信号R,G,Bの平均レベルに、係数KR,KG,KBをそれぞれ乗算した後、相互に加算することで、該入力映像信号R,G,Bの色あいに左右されない消費電力や発光量(輝度)の制御が可能となっている。
ところで、この画像表示装置は、前述のように、入力映像信号R,G,Bが変化し、表示すべき情報量が多大となり、消費電力量が大きくなった場合においても、該消費電力量をある一定の範囲内に制限するように、PDPパネル18の発光量・輝度を制御する。すなわち、画像表示の際の消費電力量がある基準値Pよりも大きくならないように発光形式(発光時間や発光回数)と表示画像の階調とを制御する。このため、前記入力映像信号R,G,Bに基いて消費電力量を予測し、予測した消費電力量に基いて、該消費電力量が所定の範囲内に制限されるように、発光形式(発光時間や発光回数)と階調とを制御する。具体的には、コントローラ12は、消費電力予測信号の値に応じて前記発光形式を選択し、この発光形式を制御する発光パルス制御信号と、異なる発光形式間でPDPパネル18における発光量・輝度が滑らかに推移するように、遅延映像信号DR,DG,DBの階調レベルの調整を行う前記乗算係数とを出力する。
以下に、コントローラ12における発光形式及び乗算係数の決定方法について説明する。先ず、発光形式について説明する。本画像表示装置では、1フレーム期間内で許容される総発光回数(最大発光回数)が、図7に示すように、消費電力予測信号の値が大きくなるに従って、1275、1020、765、510、255と小さくなる5つの発光形式A,B,C,D,Eを有している。
一方、前記入力映像信号R,G,Bは、0から255までの8ビット階調の階調レベルで表現されており、発光形式Eは階調レベルと等倍(1倍)であるのに対して、発光形式Aでは階調レベルの5倍、発光形式Bでは階調レベルの4倍、以下同様に発光形式C、発光形式Dではそれぞれ階調レベルの3倍、2倍の回数だけ発光することができるように発光パルス数を設定している。そして、これらの発光形式A〜Eは、前記消費電力予測信号に基いて切換えられる。
先ず、発光形式が切換えられる消費電力予測信号値(以下「切換点」という)について説明する。図8は、発光形式の切換点の決定方法について説明するための図であり、消費電力予測信号と、表示のために消費される電力量との関係を示した図である。この図8に示すように、消費電力予測信号値が、発光形式Aと発光形式Bとは切換点TBで、発光形式Bと発光形式Cとは切換点TCで、発光形式Cと発光形式Dとは切換点TDで、発光形式Dと発光形式Eとは切換点TEで切換えられる。切換点TEは、たとえば以下のようにして求めることができる。
すなわち、消費電力予測信号が最大から徐々に減少してゆくように入力映像信号R,G,Bを変化させ、そのときの消費電力量を測定する。なお、このとき、乗算係数は1として消費電力予測信号を求めている。消費電力予測信号の減少に伴い、実際の消費電力量も減少し、消費電力量が前記基準値Pとなったときの消費電力予測信号の値を切換点TEとする。発光形式Dの総発光回数は発光形式Eの総発光回数の2倍であるので、消費電力予測信号がTEのときに発光形式Dで表示させると、その消費電力量は2Pとなる。この点を開始点として上記と同様に徐々に消費電力予測信号を減少させ、消費電力量がPとなる消費電力予測信号値TDを求める。以下、同様にして切換点TC,TBを求めることができる。
一方、前記消費電力予測信号の変化に伴い、同じ階調レベルの信号に対して、単純に発光回数の異なる発光形式の切換えのみを行うと、切換わる際に、PDPパネル18において発光回数の差が輝度差として表れてしまう。このため、前述のように発光量・輝度が滑らかに推移するように、入力映像信号R,G,Bの階調レベルを調整する必要が生じる。また、図8に示すように、データ表示のために消費される電力量も基準値Pを大幅に超過してしまう。そこで、コントローラ12から、消費電力予測信号に応じて変化する前記乗算係数を出力し、乗算回路k11,k12,k13において遅延映像信号DR,DG,DBに乗算することで、実際に表示する階調を補正している。すなわち、発光回数を入力映像信号R,G,Bに対応したものとしている。
たとえば、消費電力量予測値と発光形式との関係は、上述の場合、図9(a)で示され、消費電力予測信号が変化して、切換点TBにおいて、発光形式Aから発光形式Bへ発光形式が変化する場合には、同じ階調レベルの信号に対しては、(発光形式Aでの輝度):(発光形式Bでの輝度)=(発光形式Aの発光回数):(発光形式Bの発光回数)=5:4になるので、発光形式Aにおける乗算係数は、図9(b)で示すように、消費電力予測信号が小さい値のときは1で、消費電力予測信号が大きくなるにつれて単調に減少するよう設定し、前記切換点TBでは、4/5=0.8とする。この場合、たとえば入力映像信号R,G,Bの階調レベルが200のとき、発光形式Aでは階調レベルが200×0.8となるので、200×0.8×5=800回の発光回数となり、発光形式Bでは200×4=800回のままとなり、両発光形式A,B間でPDPパネル18における輝度を等しくすることができる。
他の発光形式の変化についても、乗算係数の設定は同様の考え方で、消費電力予測信号が大きくなるに従って、発光形式Bでは1〜0.75(3/4)、発光形式Cでは1〜0.67(2/3)、発光形式Dでは1〜0.5(1/2)としている。このように乗算係数を設定することによって、図9(c)で示すように、発光形式が切換わっても、PDPパネル18において輝度差が検知されないように、発光量・輝度を滑らかに推移することができる。
ここで、説明の簡単化のため、TB=0.2、TC=0.4、TD=0.6、TE=0.8と、消費電力予測信号の値をx、乗算係数をyとすると、その関係は次のようになる。
発光形式A…y=−x+1 (x<0.2) ・・・(1)
発光形式B…y=−5/4・x+5/4 (0.2≦x<0.4) ・・・(2)
発光形式C…y=−5/3・x+5/3 (0.4≦x<0.6) ・・・(3)
発光形式D…y=−5/2・x+5/2 (0.6≦x<0.8) ・・・(4)
発光形式E…y=ax+(1−0.8a) (0.8≦x) ・・・(5)
こうして、コントローラ12において消費電力予測信号に応じて乗算係数を求めることで、該消費電力予測信号に対する消費電力量の変化は、前記図8に示すような特性から、図9(d)に示すような特性となる。これによって、入力映像信号R,G,Bに拘わらず、データ表示のために消費される電力量が基準値Pを大幅に超えることがなくなっている。
特開平8−65607号公報
特開平13−22318号公報
しかしながら、上述の従来技術では、消費電力量予測値は、PDPパネル18の全域における入力映像信号R,G,Bを、少なくとも1フィールド分積分した全域消費電力量の予測値である。したがって、たとえば図10で示すような、PDPパネル18の画面サイズ(アスペクト比)と入力映像信号R,G,Bの画面サイズとの差による余黒部分で顕著なように、動画像に静止画像を併せて表示する場合に、動画像域の入力映像信号のレベルが変化し、発光形式が切換わると、それに追従して、静止画像のレベルが変化してしまうという問題がある。図10は、前記アスペクト比が16:9の表示パネルに、アスペクト比が4:3の映像信号を入力した場合の例を示しており、動画像域1の両サイドがサイドフレーム2の前記余黒部分となっている。
前記図10を用いて詳しく説明すると、たとえば入力映像信号R,G,Bの階調レベルが、前記サイドフレーム2の部分で10であり、動画像域1におけるピーク画素で100とするとき、図10(a)で示すように、動画像域1における絵柄が全般に暗く、前記全域消費電力量の予測値に基づいて決定された発光形式がAの場合、総発光回数(最大発光回数)は5倍の500回となり、このときのピーク輝度を500cd/m2とする。したがって、サイドフレーム2部分では50回の発光回数となり、輝度は50cd/m2となる。
これに対して、図10(b)で示すように、動画像域1における絵柄が全般に明るくなり、前記全域消費電力量の予測値に基づいて決定された発光形式がDになると、総発光回数は2倍の200回となり、ピーク輝度は200cd/m2となる。このとき、サイドフレーム2部分では20回の発光回数となり、輝度は20cd/m2となる。このように動画像域1の入力映像信号のレベルが変化し、発光形式が切換わると、それに追従して、静止画像のレベルが変化してしまう。なお、黒べた画面となる前記サイドフレーム2部分の階調レベルが0であれば、動画像域1の発光形式の変化に対しても輝度レベルを変化しなくすることができるけれども、プラズマディスプレイでは、パネルの焼き付きが生じてしまうので、何らかの低い階調レベルのデータが与えられる。
また、上記以外にも、図11(a)で示すように、逆に4:3の画面サイズの表示パネルに16:9の画面サイズの信号を入力した場合における上下のフレームによる余黒部分(図11(a)では、映像部に、横並びに2つの画面を表示している)、背景などのべた画面の部分、図11(b)で示すように、メインの画像にサブの画像を合わせて表示する場合の余黒部分、さらにはテレビジョン画像に、時刻などのスーパーインポーズを行う場合や、表示パネルの一部分でコンピュータのデータを表示する場合などのように、主画像に副画像を併せて表示する場合、同様である。
本発明の目的は、表示パネルの画面サイズと入力映像信号の画面サイズとの差による余黒部分や、背景などのべた画面の部分の輝度を安定させ、表示品位を向上することができる表示装置を提供することである。
本発明の表示装置は、入力映像信号から、予測手段が表示パネルの消費電力量を予測し、発光制御手段が、その予測結果に応じて、前記消費電力量を予め定めるレベルに抑制するように発光制御を行う表示装置において、主画像に副画像を併せて表示するにあたって、前記予測手段はまた、前記入力映像信号から、副画像域における消費電力量を予測し、前記発光制御手段は、前記予測手段での予測結果に応答し、前記副画像域における消費電力量を個別に制御することを特徴とする。
上記の構成によれば、プラズマディスプレイパネルや、有機ELパネルなどの特に自発光の表示パネルに好適に実施され、予測手段が、入力映像信号から表示パネルの消費電力量を予測し、発光制御手段が、その予測結果に応じて、前記消費電力量を予め定めるレベルに抑制するように発光制御を行うことで、パネルの焼き付きや、表示装置全体での消費電力が規定の定格消費電力を超過してしまうことなどを防止するようにした、いわゆるプラズマAIなどと称される映像信号処理機能を有する表示装置において、動画像などの主画像に静止画像などの副画像を併せて表示するにあたって、前記予測手段はまた、前記入力映像信号から、副画像域における消費電力量を予測し、前記発光制御手段は、前記予測手段での予測結果に応答し、前記副画像域における消費電力量を、パネル全体の制御とは個別に制御する。
したがって、表示すべき主画像の輝度が変化し、パネル全体での消費電力量の予測値が変化して、発光制御の制御状態が変化しても、前記パネル全体での消費電力量を予め定めるレベルに抑制しつつ、副画像域における消費電力量は該副画像域の画像に適した値に制御されるので、主画像の輝度変化に伴う副画像の輝度変化を無くすことができる。これによって、たとえば表示パネルの画面サイズ(アスペクト比)と入力映像信号の画面サイズとの差による余黒(16:9の画面サイズの表示パネルに4:3の画面サイズの信号を入力した場合におけるサイドフレームや、4:3の画面サイズの表示パネルに16:9の画面サイズの信号を入力した場合における上下のフレーム)部分や、背景などのべた画面の部分の輝度を安定させ、表示品位を向上することができる。
なお、前記副画像としては、前記サイドフレームやべた画面に限らず、主画像としてのテレビジョン画像に、副画像としての時刻などのスーパーインポーズを行う場合や、表示パネルの一部分で、副画像としてコンピュータのデータを表示する場合などにも適用することができる。
また、本発明の表示装置では、前記発光制御手段は、表示パネルの各画素を1フィールド内で複数回発光させ、その発光回数で階調表示を行い、かつ前記予測手段による表示パネル全体の消費電力量の予測値が、複数種類設定される消費電力範囲の何れに該当するかに応じて、前記表示パネル全体に適用される前記1フィールド内での最大発光回数を、前記各消費電力範囲毎に設定されている回数に設定することで、前記表示パネルの消費電力量を前記予め定めるレベルに抑制するとともに、前記副画像域の入力映像信号には、前記予測手段による該副画像域の消費電力量予測値の属する範囲と、前記表示パネル全体の消費電力量予測値の属する範囲との最大発光回数の比に応じた係数を求め、前記副画像域の入力映像信号に前記係数を乗算する乗算手段を備えることを特徴とする。
上記の構成によれば、前記プラズマディスプレイパネルや、有機ELパネルなどの特に自発光の表示パネルに好適に実施され、発光制御手段が、表示パネルの各画素を1フィールド内で複数回発光させ、その発光回数で階調表示を行うとともに、入力映像信号から、予測手段が表示パネルの消費電力量を予測し、前記発光制御手段が、その消費電力予測値が、複数種類設定される消費電力範囲の何れにあるかに応じて、前記表示パネル全体に適用される前記1フィールド内での最大発光回数(走査側ドライバに与えられる発光パルス数であり、データ側ドライバから与えられる発光パルスがアクティブであるときに、実際に発光することができる)を、前記消費電力範囲毎に設定されている回数に設定することで、前述のように表示パネルの消費電力量を予め定めるレベルに抑制するようにした、いわゆるプラズマAIなどと称される映像信号処理機能を有する表示装置において、前記発光制御手段はまた、前記予測手段による副画像域の消費電力量予測値の属する範囲と、前記表示パネル全体の消費電力量予測値の属する範囲との最大発光回数の比に応じた係数を求め、乗算手段において、前記副画像域の入力映像信号に乗算させる。
したがって、表示すべき主画像の輝度が変化し、消費電力量の予測値の属する消費電力範囲が変化して、表示パネル全体に適用される1フィールド当りの最大発光回数が変化しても、前記副画像域の映像信号には、その最大発光回数の変化を補償する乗算係数が乗算され、前記1フィールド当りの発光回数が該副画像域の画像に適した値に制御されるので、主画像の輝度変化に伴う副画像の輝度変化を無くすことができる。こうして、主画像の輝度変化に伴う副画像の輝度変化を無くすことができる構成を、具体的に実現することができる。
さらにまた、本発明の表示装置では、前記発光制御手段は、入力映像信号の1フィールドをそれぞれ重み付けられた複数のサブフィールドに分割し、各サブフィールドの映像を時間的に重ねて表示させることで前記階調表示を行い、前記最大発光回数は前記消費電力量の予測値が、複数種類設定される消費電力範囲の何れにあるかに応じて設定される発光形式毎に定められており、該発光制御手段は設定した発光形式を表す発光パルス制御信号を出力し、前記発光パルス制御信号に対応する発光形式のサブフィールド構成に、入力映像信号を対応付ける映像信号−サブフィールド対応付け手段と、前記発光パルス制御信号に応答し、該発光パルス制御信号に基く発光形式のサブフィールド構成で発光パルスを発生するサブフィールドパルス発生手段とをさらに備えることを特徴とする。
上記の構成によれば、発光制御手段が出力する発光パルス制御信号に応答して、映像信号−サブフィールド対応付け手段およびサブフィールドパルス発生手段によって、入力映像信号に対応した発光パルスを発生するようにした表示装置において、主画像の輝度変化によってパネル全体に適用される発光形式が切換わり、前記最大発光回数が切換わっても、前記副画像域の入力映像信号については、前記乗算手段において係数が乗算されているので、その切換わり分が予め補償されており、前述のような主画像の輝度変化に伴う副画像の輝度変化を無くすことができる。
また、本発明の表示装置では、前記入力映像信号は、R,G,Bの各色成分から成るフルカラーの信号であり、前記表示パネルは、前記R,G,Bの各色で同一の画像を単色で表示させたときに、それぞれの表示のために消費される電力の比および/または蛍光体の面積比がKR:KG:KBであり、前記予測手段は、少なくとも1フィールド分の入力映像信号R,G,Bをそれぞれ積分してR平均レベル、G平均レベル、B平均レベルのそれぞれを出力するR積分回路、G積分回路、B積分回路と、前記R平均レベル、G平均レベル、B平均レベルに前記比KR,KG,KBをそれぞれ乗算する第1〜第3の乗算回路と、前記第1〜第3の乗算回路の出力の総和から、前記表示パネル全体の消費電力量および前記副画像域の消費電力量を求める消費電力予測回路とを備えて構成され前記乗算手段は、前記入力映像信号R,G,Bが、主画像域の信号である場合には、予め定める前記比KR,KG,KBをそれぞれ乗算し、副画像域の信号である場合には、前記発光制御手段で求められた係数をそれぞれ乗算する第4〜第6の乗算回路から成り、前記映像信号−サブフィールド対応付け手段は、発光パルス制御信号に対応する発光形式のサブフィールド構成に、前記第4〜第6の乗算回路からの出力を対応付けることを特徴とする。
上記の構成によれば、R,G,Bの3原色を単色で表示したときに消費される電力の比、および/または各色蛍光体の面積比を表す係数KR:KG:KBを用いて、各色平均レベルに重み付け後、総和を取ることで得られる全域消費電力量および静止画像域消費電力量に基づいて、発光量(輝度)や消費電力を制御するので、入力映像信号R,G,Bの色あいに左右されない消費電力や発光量(輝度)の制御が可能となる。
さらにまた、本発明の表示制御方法は、表示パネルの各画素を1フィールド内で複数回発光させ、その発光回数で階調表示を行うとともに、入力映像信号から、表示パネルの単位面積当りの消費電力量を予測し、その予測結果から、前記単位面積当りの消費電力量を予め定めるレベル以下に抑制するように、前記表示パネル全体に適用される前記1フィールド内での最大発光回数を切換えるようにした表示制御方法において、動画に併せて静止画を表示させるにあたって、静止画像域は前記最大発光回数の切換えに伴う発光回数の変化を禁止することを特徴とする。
上記の構成によれば、プラズマディスプレイパネルや、有機ELパネルなどの特に自発光の表示パネルに好適に実施され、表示パネルの各画素を1フィールド内で複数回発光させ、その発光回数で階調表示を行うとともに、入力映像信号から、表示パネルの消費電力量を予測し、その予測結果から、該消費電力量を予め定めるレベル以下に抑制するように、前記表示パネル全体に適用される前記1フィールド内での最大発光回数を切換えることで、パネルの焼き付きや、表示装置全体での消費電力が規定の定格消費電力を超過することなどを防止するようにした、いわゆるプラズマAIなどと称される映像信号処理機能を実現する表示制御方法において、前記表示パネルに、動画に併せて静止画を表示させるにあたって、静止画像域は前記最大発光回数の切換えに伴う発光回数の変化を禁止する。たとえば、前記動画像域での最大発光回数が2倍になったら、静止画像域の映像データに1/2の係数を乗算するなどして、前記1フィールド当りの発光回数を一定に維持する。
これによって、たとえば表示パネルの画面サイズと入力映像信号の画面サイズとの差による余黒部分や、背景などのべた画面の部分の輝度を安定させ、表示品位を向上することができる。
本発明の表示装置は、以上のように、プラズマディスプレイパネルや、有機ELパネルなどの特に自発光の表示パネルに好適に実施され、予測手段が、入力映像信号から表示パネルの消費電力量を予測し、発光制御手段が、その予測結果に応じて、前記消費電力量を予め定めるレベルに抑制するように発光制御を行うことで、パネルの焼き付きや、表示装置全体での消費電力が規定の定格消費電力を超過してしまうことなどを防止するようにした、いわゆるプラズマAIなどと称される映像信号処理機能を有する表示装置において、動画像などの主画像に静止画像などの副画像を併せて表示するにあたって、前記予測手段はまた、前記入力映像信号から、副画像域における消費電力量を予測し、前記発光制御手段は、前記予測手段での予測結果に応答し、前記副画像域における消費電力量を、パネル全体の制御とは個別に制御する。
それゆえ、表示すべき主画像の輝度が変化し、パネル全体での消費電力量の予測値が変化して、発光制御の制御状態が変化しても、前記パネル全体での消費電力量を予め定めるレベルに抑制しつつ、副画像域における消費電力量は該副画像域の画像に適した値に制御されるので、主画像の輝度変化に伴う副画像の輝度変化を無くすことができる。これによって、たとえば表示パネルの画面サイズと入力映像信号の画面サイズとの差による余黒部分や、背景などのべた画面の部分の輝度を安定させ、表示品位を向上することができる。
さらにまた、本発明の表示制御方法は、以上のように、プラズマディスプレイパネルや、有機ELパネルなどの特に自発光の表示パネルに好適に実施され、表示パネルの各画素を1フィールド内で複数回発光させ、その発光回数で階調表示を行うとともに、入力映像信号から、表示パネルの消費電力量を予測し、その予測結果から、該消費電力量を予め定めるレベル以下に抑制するように、前記表示パネル全体に適用される前記1フィールド内での最大発光回数を切換えることで、パネルの焼き付きや、表示装置全体での消費電力が規定の定格消費電力を超過することなどを防止するようにした、いわゆるプラズマAIなどと称される映像信号処理機能を実現する表示制御方法において、前記表示パネルに、動画に併せて静止画を表示させるにあたって、静止画像域は前記最大発光回数の切換えに伴う発光回数の変化を禁止する。
それゆえ、表示パネルの画面サイズと入力映像信号の画面サイズとの差による余黒部分や、背景などのべた画面の部分の輝度を安定させ、表示品位を向上することができる。
図1は、本発明の実施の一形態の表示装置である画像表示装置の電気的構成を示すブロック図である。この画像表示装置は、大略的に、R,G,Bの各色に対応した3つの切換えスイッチS1,S2,S3と、それらに個別に対応する3つの積分回路M1,M2,M3および乗算回路K1,K2,K3と、加算回路31と、コントローラ32と、遅延回路33と、3つの乗算回路K11,K12,K13と、切換えスイッチS0と、映像信号−サブフィールド対応付け器34と、サブフィールドパルス発生回路35と、走査側ドライバ36と、データ側ドライバ37と、PDPパネル38とを備えて構成される。
前記R積分回路M1、G積分回路M2、B積分回路M3は、個別に対応する切換えスイッチS1,S2,S3をそれぞれ介するR信号、G信号、B信号を入力映像信号として入力し、特定の期間、たとえば少なくとも1フィールド分の信号を積分して、積分画素数で除算した値をR平均レベル、G平均レベル、B平均レベルとして出力する。
前記各積分回路M1,M2,M3で得られたR平均レベル、G平均レベル、B平均レベルは、個別に対応する乗算回路K1,K2,K3にそれぞれ入力され、予め設定されている前述の係数KR,KG,KBと乗算され、その結果が加算回路31へ出力される。ここで、前記係数KR,KG,KBは、それらの係数の比が、R,G,Bの各色で同一条件の画像をそれぞれ単色表示したときに消費される各色の電力量の比と等しくなるような値に設定される。すなわち、後述するコントローラ32による電力制御を働かせない状態で、同じ条件の映像信号をR,G,B信号として順に入力し、R,G,B単色でそれぞれ表示したときのデータ表示のために消費される電力量を予め測定し、その測定した各色の電力量の比がこの係数KR,KG,KBの比と等しくなるようにする。たとえば、ある画像を赤色表示したときの消費電力量をPR、その画像と同一画像を緑色表示したときの消費電力量をPG、青色表示したときの消費電力量をPBとすると、PR:PG:PB=KR:KG:KBが成り立つように係数を決定する。
次に、乗算回路K1では前記係数KRを前記R積分回路M1からのR平均レベルに、乗算回路K2では前記係数KGを前記G積分回路M2からのG平均レベルに、乗算回路K3では係数KBをB積分回路M3からのB平均レベルにそれぞれ乗算する。加算回路31は、各積分回路M1,M2,M3からの出力信号を相互に加算することで、消費電力量予測値を求め、コントローラ32へ消費電力予測信号を出力する。コントローラ32は、前記消費電力予測信号に応答して、PDPパネル38の単位面積当りの発光量(輝度)を調節して、消費電力が大きくなり過ぎないような発光形式を選択し、その発光形式に対応する発光パルス制御信号を出力する。同時に、コントローラ32は、異なる発光形式間で映像の発光量(輝度)差がなくなるように乗算係数を演算し、出力する。コントローラ32のこれらの動作の詳細は、後述する。
一方、前記入力映像信号R,G,Bはまた、遅延回路33にそれぞれ入力されており、該遅延回路33は前記入力映像信号R,G,Bを、積分回路M1〜M3、乗算回路K1〜K3、加算回路31およびコントローラ32の各部の処理で要する時間を合計した時間だけ遅延させた遅延映像信号DR,DG,DBを出力する。この遅延映像信号DR,DG,DBは、乗算回路K11,K12,K13に入力され、コントローラ32から出力された乗算係数と乗算され、出力される。
前記映像信号−サブフィールド対応付け器34は、前記乗算回路K11〜K13の出力信号と、コントローラ32からの発光パルス制御信号とを入力とし、2のべき乗で表現された前記乗算回路K11〜K13の出力信号を、発光パルス制御信号に応じた発光形式のサブフィールド構成の発光パターンに変換し、所定のタイミングで、1フィールド期間中に、各画素の第1サブフィールドのデータ、第2サブフィールドのデータ・・・、第nサブフィールドのデータを順に送出する(nはサブフィールド数)。なお、映像信号−サブフィールド対応付け器34においては、擬似輪郭の発生を抑制するためのサブフィールド数の変換等の所定の処理が行なわれてもよい。
前記サブフィールドパルス発生回路35は、前記発光パルス制御信号を入力とし、この発光パルス制御信号に応じた発光形式のサブフィールド構成で、走査、維持、消去等の信号を走査側ドライバ36に供給する。走査側ドライバ36は、所定の電圧レベルで走査、維持、消去等の信号をPDPパネル38の各行電極に供給する。
これに対して、データ側ドライバ37は、映像信号−サブフィールド対応付け器34からの出力信号を入力とし、各画素データに対応する電圧値を有する画像データパルスを発生してこれを各列毎に分割し、走査側ドライバ36から出力される信号と同期してPDPパネル38の列電極に供給する。PDPパネル38は、走査側ドライバ36から発光パルスが入力され、かつデータ側ドライバ37から与えられる発光パルスがアクティブであるときに、実際に発光することができる。このようにしてPDPパネル38が駆動されて、入力映像信号R,G,Bに応じた画像が表示される。そして、前記乗算回路K1,K2,K3において、入力映像信号R,G,Bの平均レベルに、係数KR,KG,KBをそれぞれ乗算した後、相互に加算することで、該入力映像信号R,G,Bの色あいに左右されない消費電力や発光量(輝度)の制御が可能となっている。
以上の構成は、入力映像信号R,G,Bが切換えスイッチS1,S2,S3を介する点以外は、前記図6で示す従来技術の画像表示装置と同様である。注目すべきは、本発明では、前記切換えスイッチS1,S2,S3によって前記サイドパネルの表示を行うことができるようになっており、これに対応して、前記乗算回路K11〜K13に設定される乗算係数が、切換えスイッチS0によって、映像部の乗算係数と、サイドパネル部の乗算係数とに切換えられることである。
具体的には、この画像表示装置には、図示しないテレビジョン受信回路などから、映像部の映像信号R,G,Bと、サイドパネル部の映像信号Rsp,Gsp,Bspとが入力されるようになっており、同様に外部から入力される映像部/サイドパネル部切換え信号に応答して、前記切換えスイッチS1,S2,S3が切換わり、前記映像信号R,G,Bと映像信号Rsp,Gsp,Bspとが、積分回路M1,M2,M3に選択的に入力される。一方、前記加算回路31は、前記映像部およびサイドパネル部の画面全体の映像信号R,G,B;Rsp,Gsp,Bspについて、少なくとも1フィールド分を積分して、PDPパネル38の単位面積当りの消費電力量を全域消費電力量として予測するとともに、サイドパネル部の映像信号Rsp,Gsp,Bspだけで、静止画像域消費電力量を予測する。
そして、前記従来技術と同様に、コントローラ32は、前記加算回路31からの消費電力予測信号の前記全域消費電力量予測値から発光形式(発光時間や発光回数)を選択し、発光パルス制御信号を出力するとともに、この全域消費電力量予測値に基づいて映像部乗算係数を設定し、出力する。さらに本発明では、コントローラ32は、前記静止画像域消費電力量予測値に基づいてサイドパネル部乗算係数を設定し、出力する。これらの乗算係数は、前記映像部/サイドパネル部切換え信号に応答して、切換えスイッチS0によって切換えられて、前記乗算回路K11〜K13に選択的に設定される。
したがって、この画像表示装置でも、従来の画像表示装置と同様に、コントローラ32は、入力映像信号R,G,Bが変化し、たとえば表示すべき情報量が多大となり、消費電力量が大きくなった場合、該消費電力量をある一定の範囲内に制限するように、PDPパネル38の発光量・輝度を抑制する。すなわち、画像表示の際の消費電力量がある基準値Pよりも大きくならないように、発光形式(発光時間や発光回数)と表示画像の階調とを制御する。具体的には、コントローラ32は、消費電力予測信号の全域消費電力量予測値に応じて、前記発光形式を、たとえばAからDに変更し、この発光形式Dを制御する発光パルス制御信号と、異なる発光形式A,D間でPDPパネル38における発光量・輝度が滑らかに推移するように、遅延映像信号DR,DG,DBの階調レベルの調整を行う映像部乗算係数とを出力する。それに加えて本発明では、コントローラ32はまた、消費電力予測信号の静止画像域消費電力量に応じて、サイドパネル部乗算係数も出力し、前記発光形式Aと発光形式Dとの発光回数の比である5/2(前記図7から算出)に、このサイドパネル部乗算係数を設定する。
したがって、図2で示すように、前記図10と同様に、アスペクト比が16:9の表示パネルに、アスペクト比が4:3の映像信号を入力した例で説明すると、たとえばサイドフレーム2部分の入力映像信号Rsp,Gsp,Bspの階調レベルが10であり、動画像域1の入力映像信号R,G,Bにおけるピーク画素の階調レベルが100とするとき、図2(a)で示すように、動画像域1における絵柄が全般に暗く、前記全域消費電力量の予測値に基づいて決定された発光形式がAの場合、総発光回数(最大発光回数)は5倍の500回となり、このときのピーク輝度は、たとえば500cd/m2となる。また、サイドフレーム2部分では50回の発光回数となり、輝度は50cd/m2となる。この図2(a)の発光形式Aでの表示は、前述の図10(a)と同様である。
これに対して、図2(b)で示すように、動画像域1における絵柄が全般に明るくなり、前記全域消費電力量の予測値に基づいて決定された発光形式がDになると、総発光回数は2倍の200回となり、ピーク輝度が200cd/m2となる。しかしながら、サイドフレーム2部分の映像信号Rsp,Gsp,Bspには、乗算係数である5/2が乗算されるので、該サイドフレーム2部分の発光回数は50回のままであり、したがって輝度は50cd/m2のままである。このように動画像域1の入力映像信号R,G,Bのレベルが変化し、発光形式が切換わっても、サイドフレーム2部分の映像信号Rsp,Gsp,Bsp自体に変化がない限り、該サイドフレーム2部分の輝度は、それに追従することなく、一定のままで保持される。
以下に、コントローラ32における発光形式及び乗算係数の決定方法について説明する。先ず、発光形式について説明する。本画像表示装置では、1フレーム期間内で許容される総発光回数(最大発光回数)が、従来と同様に、前記図7に示すように、消費電力予測信号の値が大きくなるに従って、1275、1020、765、510、255と小さくなる5つの発光形式A,B,C,D,Eを有している。
一方、前記入力映像信号R,G,B;Rsp,Gsp,Bspは、0から255までの8ビット階調の階調レベルで表現可能であり、発光形式Eは階調レベルと等倍(1倍)であるのに対して、発光形式Aでは階調レベルの5倍、発光形式Bでは階調レベルの4倍、以下同様に発光形式C、発光形式Dではそれぞれ階調レベルの3倍、2倍の回数だけ発光するように発光パルス数を設定している。そして、これらの発光形式A〜Eは、前記消費電力予測信号に基いて切換えられる。消費電力量予測値に対する発光形式A〜Eの関係を、図3(a)、図4(a)および図5(a)に示す。
ここで、前記図9に対応して、図3は前記動画像域1による全域消費電力量の予測値に対する各パラメータの変化を示すグラフであり、図4は前記サイドフレーム2部分による前記全域消費電力量の予測値に対する各パラメータの変化を示すグラフであり、図5は図3および図4を合わせたPDPパネル38の全域による全域消費電力量に対する各パラメータの変化を示すグラフである。図3(b)、図4(b)および図5(b)は前述の図9(b)に対応し、各発光形式A〜Eにおける乗算係数の変化を示すものであり、図3(c)、図4(c)および図5(c)は前述の図9(c)に対応し、各発光形式A〜Eにおける輝度の変化を示すものであり、図3(d)、図4(d)および図5(d)は前述の図9(b)に対応し、各発光形式A〜Eにおける消費電力量の変化を示すものである。
消費電力量の変化幅は0〜1で同様であるけれども、切換点は、前記図9のTB,TC,TD,TEから、これらの図3〜図5では、TB’,TC’,TD’,TE’で表されているが、相互に等しい値であってもよい。前記発光形式A〜Eは、前記PDPパネル38の全域に適用されるので、図3(a)、図4(a)および図5(a)は、相互に等しい。
しかしながら、図4(b)で示すサイドフレーム2部分の乗算係数は、発光形式Aの1倍の発光回数を、基準値の、たとえばCとすると、発光形式Bでは5C/4、発光形式Cでは5C/3、発光形式Dでは5C/2、発光形式Eでは5Cというように、発光回数の比に応じて設定される。したがって、上述のように、このサイドフレーム2部分の輝度は、図4(c)で示すように、入力映像信号R,G,Bから求められる全域消費電力量の予測値が変化しても、入力映像信号Rsp,Gsp,Bspから求められる静止画像域消費電力量の予測値が変化しない限り、Yspの一定値である。したがって、図4(d)で示すこのサイドフレーム2部分の消費電力量も、Pspの一定値である。
一方、図3(b)で示す動画像域1部分の乗算係数は、切換点TB’,TC’,TD’,TE’において、各発光形式A,B,C,Dに設定される値は、前述の図8を用いて説明したようにして求められ、前記図9(b)と同様に、それぞれ0.8,0.75,0.67,0.5であるけれども、発光形式Aにおいて、低消費電力側では、ある程度の消費電力量値の点T0で係数1が設定され、それよりさらに低消費電力側には、この乗算係数の設定はない。これは、前述のようにサイドフレーム2部分が低い階調レベルで駆動されており、たとえ動画像域1部分が階調レベル0の黒べた画面となっても、PDPパネル38に、T0の電力消費が発生するためである。
そして、図3(c)で示す動画像域1部分の輝度は、前記点T0を最大輝度として、前記全域消費電力量の予測値が低くなる程、低くなってゆく。これによって、該動画像域1部分の消費電力量は、図3(d)で示すように、前記全域消費電力量の予測値が前記T0を超えてから発生し、基準値Pから前記サイドフレーム2部分の消費電力量Pspを減算した値を大幅に超えることがないように抑制される。したがって、PDPパネル38の全域の消費電力量は、図5(d)で示すように、該全域消費電力量予想値の増加に対して、前記サイドフレーム2部分の消費電力量Pspを始点として、点T0を超えると増加してゆき、基準値Pを大幅に超えることがないように抑制される。
以上のように、本発明の画像表示装置は、プラズマディスプレイパネルや、有機ELパネルなどの特に自発光の表示パネルに好適に実施され、PDPパネル38の各画素を1フィールド内で複数回発光させ、その発光回数で階調表示を行うとともに、入力映像信号R,G,Bから前記PDPパネル38の単位面積当りの消費電力量を予測し、その消費電力量予測値から、前記PDPパネル38全体に適用される発光形式を設定することで、前記PDPパネル38の消費電力量を予め定める基準値P付近までに抑制し、パネルの焼き付きや、画像表示装置全体での消費電力が規定の定格消費電力を超過してしまうことなどを防止するようにした、いわゆるプラズマAIなどと称される映像信号処理機能を有する画像表示装置において、動画像などの主画像に静止画像などの副画像を併せて表示するにあたって、上述のようにして求めたパネル全体の消費電力の平均値を全域消費電力量とし、静止画像域であるサイドフレーム2部分の入力映像信号Rsp,Gsp,Bspから、その単位面積当りの消費電力量を静止画像域消費電力量として予測し、その予測結果に適した発光形式と前記パネル全体に適用される発光形式との総発光回数の比に応じた係数を、前記サイドフレーム2部分の入力映像信号Rsp、Gsp、Bspの遅延信号に乗算するので、動画像域1の輝度が変化し、発光形式が変化して、総発光回数が変化しても、前記サイドフレーム2部分の発光回数は一定に維持され、主画像の輝度変化に伴う副画像の輝度変化を無くすことができる。これによって、表示パネルの画面サイズ(アスペクト比)と入力映像信号の画面サイズとの差による余黒(たとえば、図2で示すような16:9の画面サイズの表示パネルに4:3の画面サイズの信号を入力した場合におけるサイドフレーム2や、前記図11(b)で示すような4:3の画面サイズの表示パネルに16:9の画面サイズの信号を入力した場合における上下のフレーム部分や、背景などのべた画面の部分の輝度を安定させ、表示品位を向上することができる。
さらにまた、前記入力映像信号は、R,G,Bの各色成分から成るフルカラーの信号であり、前記PDPパネル38は、前記R,G,Bの各色で同一の画像を単色で表示させたときに、それぞれの表示のために消費される電力の比がKR:KG:KBであり、少なくとも1フィールド分の入力映像信号R,G,Bをそれぞれ積分してR平均レベル、G平均レベル、B平均レベルのそれぞれを出力するR積分回路M1、G積分回路M2、B積分回路M3と、前記R平均レベル、G平均レベル、B平均レベルに前記比KR,KG,KBをそれぞれ乗算する乗算回路K1,K2,K3と、前記乗算回路K1,K2,K3の出力の総和から、前記全域消費電力量および静止画像域消費電力量を求めるコントローラ32とを設けるので、各色平均レベルに重み付け後、総和を取ることで得られる全域消費電力量および静止画像域消費電力量に基づいて、発光量(輝度)や消費電力を制御することになり、入力映像信号R,G,Bの色あいに左右されない消費電力や発光量(輝度)の制御が可能となる。
なお、上述の例では、乗算係数KR,KG,KBは、同じ画像をR,G,Bの各色で単色表示させたときの電力比から求めているけれども、発光させる各色R,G,Bの蛍光体の面積比WR:WG:WBに基いて、さらに簡易に決定するようにしてもよい。すなわち、各色R,G,Bの放電面積の比WR:WG:WBが、相互に等しい場合には、そのパネルで各単色を表示したときのデータ表示のために消費される電力PR,PG,PBの比は概ね等しくなり、乗算係数も相互に等しい値とすればよい。これに対して、色温度を改善する等の目的で各色蛍光体の面積を不均等に形成した場合には、その面積比が概ね消費電力の比となるので、前記乗算係数KR,KG,KBをその面積比に応じて設定すればよい。
また、上述の例では、入力映像信号R,G,Bを動画像域1の信号とし、入力映像信号Rsp,Gsp,Bspをサイドフレーム2部分の信号とし、それらを切換えスイッチS1,S2,S3で切換えて積分回路M1,M2,M3に入力しているけれども、これはサイドフレーム2部分の信号(データ)を別途発生する信号源が設けられているためであり、映像信号源において、1水平期間の始めと終わりに前記サイドフレーム2部分のデータを嵌め込み、前記1水平期間の中央に動画像域1の信号を嵌め込むような処理が可能な場合は、そのような信号を入力映像信号R,G,Bとして直接積分回路M1,M2,M3に入力し、前記切換えスイッチS1,S2,S3は省略されてもよい。さらにまた、映像部/サイドパネル部切換え信号をコントローラ32に入力し、該コントローラ32が乗算係数を切換えて出力可能な場合は、前記切換えスイッチS0が省略されてもよい。
本発明は、プラズマディスプレイパネルや、有機ELパネルなどの特に自発光の表示パネルに好適に実施され、PDPパネル38の各画素を1フィールド内で複数回発光させ、その発光回数で階調表示を行うとともに、入力映像信号R,G,Bから前記PDPパネル38の単位面積当りの消費電力量を予測し、その消費電力量予測値から、前記PDPパネル38全体に適用される発光形式を設定することで、前記PDPパネル38の消費電力量を予め定める基準値P付近までに抑制し、パネルの焼き付きや、画像表示装置全体での消費電力が規定の定格消費電力を超過してしまうことなどを防止するようにした、いわゆるプラズマAIなどと称される映像信号処理機能を有する画像表示装置において、動画像に静止画像を併せて表示するにあたって、動画像の輝度変化による発光形式の切換わりに対して、静止画像の輝度変化を抑えることができる。
本発明の実施の一形態の画像表示装置の電気的構成を示すブロック図である。
アスペクト比の違いのために、動画像域の両側にサイドフレームを設けた場合において、入力映像信号の変化による本発明の表示画面の変化を示す図である。
動画像域における全域消費電力量の予測値に対する各パラメータの変化を示すグラフである。
サイドフレーム部分における前記全域消費電力量の予測値に対する各パラメータの変化を示すグラフである。
前記図3および図4を合わせたPDPパネルの全域における全域消費電力量に対する各パラメータの変化を示すグラフである。
従来技術の画像表示装置の電気的構成を示すブロック図である。
複数種類設定される各発光形式における発光回数およびサブフィールドの割付け示す図である。
発光形式の切換点の決定方法について説明するための図である。
従来のPDPパネルの消費電力量予想値に対する各パラメータの変化を示すグラフである。
動画像域の両側にサイドフレームを設けた場合において、入力映像信号の変化による従来技術の表示画面の変化を示す図である。
動画像に静止画像を併せて表示する他の例を示す図である。
符号の説明
1 動画像域
2 サイドフレーム
31 加算回路(予測手段)
32 コントローラ(発光制御手段)
33 遅延回路
34 映像信号−サブフィールド対応付け器
35 サブフィールドパルス発生回路
36 走査側ドライバ
37 データ側ドライバ
38 PDPパネル(表示パネル)
K1,K2,K3 乗算回路(予測手段)
K11,K12,K13 乗算回路(発光制御手段)
M1,M2,M3 積分回路(予測手段)
S0 切換えスイッチ(発光制御手段)
S1,S2,S3 切換えスイッチ(予測手段)