JP4519083B2 - グラウンドアンカーテンドン - Google Patents
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Description
また、緊張材23は、通常、錆の発生を抑えるために合成樹脂等の防食層で被覆されており、アンカー体長部CRと自由長部NRとの境界部Bでは、シース724を固定し、かつ該シース内への進水を防ぐために、止水チューブ29等により止水加工がなされている。
例えば、山の斜面(法面)の地すべり防止(土留め)においては、最大でも設計荷重が約1900kN容量のグラウンドアンカーテンドンが使用されているのに対し、ダム堤体では、約15660kN容量のものが必要になる。
1)100本×掘孔数の緊張材を運ぶ必要があるため輸送に手間取る、
2)輸送時などに緊張材同士が摩擦し合うことで、防食層が損傷し、品質的欠陥が生じやすい、
3)100本結束させる分(太くなる分)、削孔や挿入に特別な機械が必要になる、等の問題が発生する。
このため、テンドン2の施工時には、シースに覆われている自由長部NRと覆われていないアンカー体長部CRとの境界部Bにおいて、テンドンの自重のために折損したり、止水チューブ29のねじれ現象などが生じ止水性が損なわれることがあった。この境界部における折損やねじれ現象は外からは見えないので、施工中に気付かないことが多い。
加えて、ダムや防波堤、防潮堤などのコンクリート構造物では、該構造物の隙間からの水漏れによる緊張材の腐食が進行しやすく、耐久性確保が重要であるため、従来のテンドン(例えば、地すべり防止等などに使用されるテンドン)に比較して、より高い防食性が要求される。
(1)「複数本の緊張材を束ねて構成するテンドンを、コンクリート構造物におけるアンカー設置孔の中で複数組み合わせて使用するグラウンドアンカーテンドンであって、前記アンカー設置孔の底部側領域に一体固定されるアンカー体長部と、当該アンカー体長部に連続し地表面側がアンカー頭部の定着部に固定される自由長部とを有し、前記アンカー体長部と前記自由長部との境界に各テンドンの外周部または全てのテンドンの外周部を覆う保護体を設け、当該保護体がテンドン全体の長さの1/30〜1/20の長さを有することを特徴とするグラウンドアンカーテンドン。」
(2)「前記緊張材はエポキシ樹脂で被覆され、
前記アンカー体長部において、前記テンドンの外周部が合成樹脂製シースで被覆され、当該エポキシ樹脂で被覆された前記緊張材と前記合成樹脂製シースとの間に防食材が充填されることを特徴とする(1)に記載のグラウンドアンカーテンドン。」
(3)「前記自由長部において、前記エポキシ樹脂で被覆された前記緊張材の外周部がさらに合成樹脂製シースで被覆され、当該エポキシ樹脂で被覆された前記緊張材と前期合成樹脂製シースとの間に防食材が充填されることを特徴とする(1)または(2)に記載のグラウンドアンカーテンドン。」
従って、ダムや防波堤、防潮堤などのコンクリート構造物の補強や嵩上げ等に好適に用いることができる。
本発明のグラウンドアンカーテンドン22は、既存のコンクリート構造物50から地盤52に向けて削孔機等で設けられたアンカー設置孔53に挿入され、グラウト58を注入して硬化させることにより形成される。
各テンドン51は、スペーサー54などで束ねられた複数の緊張材55で構成されている。結束される緊張材55の本数は、特に限定されないが、多すぎると、前述のとおり、互いに摩擦し合い防食層が損傷しやすいうえ、輸送や施工上の問題が多いため、本発明では、1〜9本程度が好ましく、より好ましくは7本である。
また、発錆を防ぐために、エポキシ樹脂、ポリエチレンなどの合成樹脂で被覆されたものが好ましく、中でも、エポキシ樹脂がより好ましい。
このような合成樹脂による被覆の表面に、固形粒子を埋設することによって、緊張材55とグラウト28との一体化を強固にしてもよい。
組み合わせられるテンドン51の本数は、特に限定されないが、少なすぎると、大容量化するために各テンドンを構成する緊張材55の数を増やす必要が生じ、また、多すぎると、削孔径を巨大化する必要があるため、本発明では、3〜20本が好ましく、より好ましくは3〜10本である。
固定するにあたり、テンドン51同士は密着していても、互いに離れた状態でもよいが、テンドン同士間にもグラウト28が注入された方がより確実に固定されるうえ、グラウト注入後に緊張材55にプレストレスをかける時にも都合がいいため、離れている方が好ましい。
1)1つのテンドンに用いられる緊張材の本数はそれほど増えないため、輸送が容易で、
2)緊張材同士の摩擦も少ないので、防食層の損傷が抑えられ、
3)削孔や挿入に現行の機械を用いることができ、
4)掘孔数も増えないため、
高い設計荷重への対応(大容量化)が可能で、品質の高いグラウンドアンカーテンドンを供給することができる。
保護体Pは、アンカー体長部CRと自由長部NRとの境界であれば、図3,4に示すように、各テンドン51の外周部を覆ってもよく、図5に示すようにグラウンドアンカーテンドン33の総てのテンドン61の外周部を覆ってもよい。なお、図5では、孔を符号63で、スペーサを符号64で、PC鋼より線を符号65で示してある。
このような保護体Pを設けることで、テンドンが30mを超す長さであっても、アンカー体長部CRと自由長部NRとの境界における直線性が保持され、折損はもとより止水チューブのねじれ現象が防止され、確実な止水性を得ることができる。
保護体Pの材質としては、後述する(アンカー体長部CRや自由長部NRの防食層である)合成樹脂製シース524,525を傷つけないものであれば、特に限定されず、ポリエチレン、アクリルなどの合成樹脂や、鋼、ステンレスなどの弾性を有する金属などが好適に用いられ、中でも、コストや頑丈性の面からポリエチレンが特に好ましい。
保護体Pの形状としては、図6(A)に示すように円筒体でもよい。
あるいは、図5のように総てのテンドン61の外周部を覆った場合には、図6(B)に示すようにテンドン61が固定した状態(図6(B)ではテンドンを3本組合わせた例を示す)に沿った形状でもよい。
本発明のグラウンドアンカーテンドン22では、図4,図7に示すように、アンカー体長部CRにおいて、テンドン51の外周部が合成樹脂製シース525で被覆され、エポキシ樹脂で被覆された緊張材55と合成樹脂製シース525との間に防食材526が充填されていてもよい。
すなわち、アンカー体長部CRにおいては、
第一の防食層として、緊張材55をエポキシ樹脂で被覆し、
第二の防食層として、テンドン51の外周部を合成樹脂製シース525で被覆し、
第三の防食層として、緊張材55と合成樹脂製シース525との間に防食材526を充填することになり、三層構造の防食構造をとるため、優れた防食性を得ることができる。また、自由長部のようにシースで覆われていなかった従来のアンカー体長部と違って、アンカー設置孔への挿入時に、アンカー体長部におけるエポキシ樹脂(第一の防食層)が剥げることが無い。
また、グラウト58との付着性を考慮し、図4,7に示すように、側面を蛇腹状とすることが好ましく、長さはアンカー体長部CRの長さと同一で、厚みは5〜20mm程度であればよい。
すなわち、自由長部NRにおいても、
第一の防食層として、緊張材55をエポキシ樹脂で被覆し、
第二の防食層として、緊張材55の外周部を合成樹脂製シース524で被覆し、
第三の防食層として、緊張材55と合成樹脂製シース524との間に防食材527が充填されることになり、三層構造の防食構造をとるため、優れた防食性を得ることができる。
本施工例では、現場組み立ての場合である。
断面の直径が15.2mmのPC鋼より線7本からなる緊張材55を、43mの長さに(7本)切断した。緊張材55は、静電粉体塗装によりエポキシ樹脂で被覆され、さらに、ポリエチレン製のシース524で被覆されたものを使用した。
各(7本の)緊張材55において、長さ7mのアンカー体長部CRと、長さ36mの自由長部NRとを有するように体長部CRにおけるシース524を切断加工し、シース524の先端部分にポリエチレン製熱収縮チューブ529により止水処理を施し、スペーサ−54等にて7本を1つのテンドン51として結束させた。
以上のようなテンドン51を3本作製し、結合具1により互いを一定の間隔を空けて固定し、組合わせることで、グラウンドアンカーテンドン22を得た。
コンクリート構造物であるダム堤体50と地盤52に、ロータリパカションで直径250mm、深さ40mのグラウンドアンカーテンドン用のアンカー設置孔53を形成した。
このアンカー設置孔53に、グラウンドアンカーテンドン22を挿入し、自由長部NRにおける緊張材55とシース524との間に防食材としてワックス527を充填した。なお、ワックスを予めするようにしてもよい。又、アンカー設置孔53の中心にグラウンドアンカーテンドンを配置するためにセントラライザを使用してもよい。
アンカー設置孔53の先端側にグラウト58を注入した。
このグラウト58が各テンドン51と一体化した後に、各テンドン51の7本の緊張材55をそれぞれ所定の荷重まで緊張し、コンクリート構造物50の堤体に緊張力を与えた。
本施工例では、断面の直径が15.2mmのPC鋼より線7本からなる緊張材55を、100mの長さに(7本)切断する以外は、第1施工例と同様にしてアンカー構造体を設置した。
2,22,33 グラウンドアンカーテンドン
23,55,65 緊張材
24,54,64 スペーサー
28,58 グラウト
29,529 止水チューブ
50,80 コンクリート構造物(ダム堤体)
51,61 テンドン
52,82 地盤
53,63,83 アンカー設置孔
524,724 (自由長部における)シース
525 (アンカー体長部における)シース
526,527 防食材
84 堤頂部
85 基礎部
B 境界部
CR アンカー体長部
H 定着部
NR 自由長部
P 保護体
T テンドン本体部
Claims (3)
- 複数本の緊張材を束ねて構成するテンドンを、コンクリート構造物におけるアンカー設置孔の中で複数組み合わせて使用するグラウンドアンカーテンドンであって、
前記アンカー設置孔の底部側領域に一体固定されるアンカー体長部と、当該アンカー体長部に連続し地表面側がアンカー頭部の定着部に固定される自由長部とを有し、
前記アンカー体長部と前記自由長部との境界に各テンドンの外周部または総てのテンドンの外周部を覆う保護体を設け、当該保護体がテンドン全体の長さの1/30〜1/20の長さを有することを特徴とするグラウンドアンカーテンドン。 - 前記緊張材はエポキシ樹脂で被覆され、
前記アンカー体長部において、前記テンドンの外周部が合成樹脂製シースで被覆され、当該エポキシ樹脂で被覆された前記緊張材と前記合成樹脂製シースとの間に防食材が充填されることを特徴とする請求項1に記載のグラウンドアンカーテンドン。 - 前記自由長部において、前記エポキシ樹脂で被覆された前記緊張材の外周部がさらに合成樹脂製シースで被覆され、当該エポキシ樹脂で被覆された前記緊張材と前記合成樹脂製シースとの間に防食材が充填されることを特徴とする請求項1または2に記載のグラウンドアンカーテンドン。
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