JP4518941B2 - アゴニスト抗体のスクリーニング方法 - Google Patents
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Description
本発明は、アゴニスト抗体の新規スクリーニング方法に関する。
背景技術
抗体は血中での安定性が高く、抗原性もないことから医薬品として注目されている。その中でも二種類の抗原を同時に認識できるbispecific抗体が提唱されて久しいが、現状では二種類の抗原を単に繋ぐのみである。しかし抗体は抗原中の特定のエピトープに結合するため、適当な抗体の組み合わせを選べば2つの抗原を望む距離・角度に配位することが出来ると考えられる。
多くのサイトカインの受容体はリガンドが結合することによってホモ・ヘテロ二量体を形成する鎖間の距離・角度が変化して細胞内にシグナルを伝えうるようになると考えられている。つまり適当な抗受容体抗体はリガンドによる受容体の二量体化を模倣でき、アゴニスト抗体となりうる。既にホモ二量体から成るMPLに対してアゴニスト作用を示すモノクローナル抗体が報告されている(Blood 1998 Sep 15;92(6):1981−8・US98/17364)。ただし、このようなアゴニスト抗体を得るためには膨大な種類の抗体から選択する必要があり、効果的な選択方法が求められる。
従来は、抗原つまり受容体鎖に結合する抗体を選択し、そのリガンドに反応する適当な細胞アッセイ系に抗体を加えることによって検定しなければならなかった。ヘテロ二量体を形成する受容体の場合はさらに煩雑になり、受容体を構成する二種の鎖(A,B)それぞれに対する抗体を選択し、あらゆるA,Bの組み合わせについてひとつひとつ検定を行わなければならない。また二価抗体を産生させるためには、抗体産生ハイブリドーマ同士の融合、もしくは全ての抗体についての発現ベクターの作製・全ての組み合わせでの細胞への導入が必要になる。A,B鎖それぞれに対する抗体を100種類ずつ検討すると10000通りの組み合わせの検定が必要になり、L鎖、H鎖合わせて400種類の発現ベクターの作成、10000回の細胞への導入が必要になる。Bispecific diabodyとしてファージ上に提示させたライブラリーを用いる方法もあるが、大腸菌の培養上清を直接細胞培養系に加えることは細胞に対する影響があるため精製が必要となる上、monospecific diabodyの混入(理論上50%)は避けられない。
発明の開示
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、アゴニスト抗体、特にアゴニスト多種特異性抗体の効率的な新規スクリーニング方法を提供することにある。より詳しくは、細胞のオートクライン増殖を利用したアゴニスト抗体のスクリーニング方法の提供を目的とする。
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、以下のような効果的なアゴニスト抗体のスクリーニング方法を開発した。この方法とは、リガンドに依存して増殖する細胞株に受容体に対する抗体ライブラリーを感染させ、アゴニスト抗体のオートクラインによる自律増殖株から抗体遺伝子を回収し、該遺伝子を基にアゴニスト抗体を作製する方法である。抗体がアゴニスト多種特異性抗体の場合には、リガンドに依存して増殖する細胞株に多種の受容体鎖それぞれに対する抗体ライブラリーを重感染させ、適切な組み合わせによって生じるアゴニスト多種特異性抗体のオートクラインによる自律増殖株から抗体遺伝子を回収し、該遺伝子を基にアゴニスト多種特異性抗体を作製する。より具体的には例えば以下のようにして行うことができる。
まず、マウスに受容体のA鎖、B鎖それぞれを免疫する。この動物の脾細胞からmRNAを抽出し、マウスのCDRに対応するプライマーを用いてRT−PCRにてL鎖、H鎖の可変領域を回収する。assembly PCRにて一本鎖Fv(scFv)を合成し、ファージライブラリーを構築する。パンニングによって抗原結合抗体クローンを濃縮し、その一本鎖可変領域を動物細胞用のシグナル配列とCH1−hinge−CH2−CH3の間に挿入し、レトロウイルス用のプラスミドに組み込んだライブラリーを作製する。目的の受容体鎖とG−CSFRの細胞内領域とのキメラ鎖を発現させることにより、そのリガンドで増殖できるようにしたBa/F3細胞を用意し、抗A鎖抗体ライブラリーウイルスを感染させる。さらに抗B鎖抗体ウイルスライブラリーを感染させ、因子を洗浄・除去し培養する。因子依存的に増殖してきた細胞を回収し、クローニングを行い、その培養上清を用いて生理的なアッセイ系にて活性を確認する。PCRにてクローンの染色体に繰み込まれている抗体CDR遺伝子を回収し、アゴニスト多種特異性抗体の産生に供する。この方法は、抗体をライブラリーとして用いることにより、効率的にスクリーニングを行うことができ、さらに、操作も簡便であり、煩雑な作業を必要としない。
上記の如く本発明者らは、アゴニスト抗体を効率的にスクリーニングできる新規な方法を開発し、本発明を完成させた。
即ち本発明は、アゴニスト多種特異性抗体の効率的な新規スクリーニング方法に関し、より具体的には、
〔1〕 以下の工程(a)〜(c)を含む、アゴニスト抗体のスクリーニング方法、
(a)被験抗体、および多量体を形成する受容体を発現する細胞であって、該受容体の因子に依存して増殖する細胞を提供する工程
(b)細胞がオートクライン自律増殖する場合に、被験抗体はアゴニスト作用を有するものと判定する工程
(c)アゴニスト作用を有する抗体を選択する工程
〔2〕 工程(a)の細胞が、受容体をコードする遺伝子および被験抗体の軽鎖をコードする遺伝子が導入された細胞であり、さらに、被験抗体の重鎖をコードする遺伝子を導入する工程を含む、〔1〕に記載の方法、
〔3〕 受容体が、細胞増殖シグナルを発する機能を有するタンパク質とのキメラ受容体である〔1〕または〔2〕に記載の方法、
〔4〕 受容体が、二量体を形成する受容体である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の方法、
〔5〕 二量体を形成する受容体が、ホモ二量体を形成する受容体である〔4〕に記載の方法、
〔6〕 二量体を形成する受容体が、ヘテロ二量体を形成する受容体である〔4〕に記載の方法、
〔7〕 細胞増殖シグナルを発する機能を有するタンパク質がG−CSF受容体である、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の方法、
〔8〕 抗体ライブラリーを、細胞へ導入することを特徴とする、〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の方法、
〔9〕 抗体ライブラリーがレトロウイルス抗体ライブラリーである、〔8〕に記載の方法、
〔10〕 被験抗体が多種特異性抗体である〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の方法、
〔11〕 被験抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域がリンカーで結ばれていることを特徴とする〔10〕に記載の方法、
〔12〕 可変領域がリンカーで結ばれている抗体が、以下の工程(a)〜(c)を含む方法により作製されることを特徴とする、〔11〕に記載の方法、
(a)第一の受容体鎖に対する一本鎖Fvを作製する工程
(b)該一本鎖FvをCH1−hinge−CH2−CH3に結合させることにより、第一の受容体鎖に対する一本鎖抗体を作製する工程
(c)工程(b)で作製された一本鎖抗体を含む多種特異性抗体を作製する工程
〔13〕 可変領域がリンカーで結ばれている抗体が、以下の工程(a)〜(c)を含む方法により作製されることを特徴とする、〔11〕に記載の方法、
(a)第一の受容体鎖に対する一本鎖Fabを作製する工程、
(b)該一本鎖FabをFcに結合させることにより、第一の受容体鎖に対する一本鎖抗体を作製する工程、
(c)工程(b)で作製された一本鎖抗体を含む多種特異性抗体を作製する工程
〔14〕 以下の工程(a)〜(c)を含む、アゴニスト多種特異性抗体のスクリーニング方法、
(a)第一の受容体鎖と第二の受容体鎖を有する受容体の、該第一の受容体鎖に結合し得る可変領域および該第二の受容体鎖に結合し得る可変領域を含む被験多種特異性抗体を、該受容体に接触させる工程
(b)被験多種特異性抗体がアゴニスト作用を有するか否かを判定する工程
(c)アゴニスト作用を有する抗体を選択する工程
〔15〕 受容体、および被験多種特異性抗体を同一の細胞で発現させることを特徴とする〔14〕に記載の方法、
〔16〕 細胞が、受容体の因子に依存して増殖する細胞である、〔15〕に記載の方法、
〔17〕 受容体が細胞増殖シグナルを発する機能を有する、〔15〕または〔16〕に記載の方法、
〔18〕 受容体が、細胞増殖シグナルを発する機能を有するタンパク質とのキメラ受容体である〔17〕に記載の方法、
〔19〕 細胞増殖シグナルを発する機能を有するタンパク質がG−CSF受容体である、〔18〕に記載の方法、
〔20〕 細胞がオートクライン自律増殖する場合に、被験多種特異性抗体はアゴニスト作用を有するものと判定される、〔15〕〜〔19〕のいずれかに記載の方法、
〔21〕 第一の受容体鎖および第二の受容体鎖に対するそれぞれの抗体ライブラリーを、細胞へ導入する工程をさらに含む、〔15〕〜〔20〕のいずれかに記載の方法、
〔22〕 抗体ライブラリーがレトロウイルス抗体ライブラリーである、〔21〕に記載の方法、
〔23〕 多種特異性抗体の軽鎖と重鎖の可変領域がリンカーで結ばれていることを特徴とする〔14〕〜〔22〕のいずれかに記載の方法、
〔24〕 可変領域がリンカーで結ばれている多種特異性抗体が、以下の工程(a)〜(c)を含む方法により作製されることを特徴とする、〔23〕に記載の方法、
(a)第一の受容体鎖に対する一本鎖Fvを作製する工程
(b)該一本鎖FvをCH1−hinge−CH2−CH3に結合させることにより、第一の受容体鎖に対する一本鎖抗体を作製する工程
(c)工程(b)で作製された一本鎖抗体を含む多種特異性抗体を作製する工程
〔25〕 可変領域がリンカーで結ばれている多種特異性抗体が、以下の工程(a)〜(c)を含む方法により作製されることを特徴とする、〔23〕に記載の方法、
(a)第一の受容体鎖に対する一本鎖Fabを作製する工程、
(b)該一本鎖FabをFcに結合させることにより、第一の受容体鎖に対する一本鎖抗体を作製する工程、
(c)工程(b)で作製された一本鎖抗体を含む多種特異性抗体を作製する工程
〔26〕 多種特異性抗体のCH3に、アミノ酸置換によってKnobs−into−holesが導入されていることを特徴とする、〔14〕〜〔25〕のいずれかに記載の方法、
〔27〕 多量体がヘテロ二量体である、〔14〕〜〔26〕のいずれかに記載の方法、
〔28〕 多種特異性抗体が、二種特異性抗体である、〔14〕〜〔27〕のいずれかに記載の方法、
〔29〕 以下の工程(a)〜(c)を含むアゴニスト抗体を製造する方法、(a)〔1〕〜〔28〕のいずれかに記載の方法により、アゴニスト抗体をスクリーニングする工程、
(b)工程(a)のスクリーニングにより選択されるアゴニスト抗体をコードする遺伝子を宿主細胞へ導入する工程、
(c)工程(b)の宿主細胞、または該細胞の培養液から、アゴニスト抗体を回収する工程
〔30〕 抗体、および該抗体との結合により多量体化する受容体を発現する細胞であって、該受容体の因子に依存して増殖する細胞、
〔31〕 受容体が、細胞増殖シグナルを発する機能を有するタンパク質とのキメラ受容体である〔30〕に記載の細胞、
〔32〕 抗体が多種特異性抗体である〔30〕または〔31〕に記載の細胞、
〔33〕 抗体との結合により多量体化した受容体が、細胞増殖シグナルを発する機能を有する、〔30〕〜〔32〕のいずれかに記載の細胞、
〔34〕 抗体の軽鎖と重鎖の可変領域がリンカーで結ばれ、かつ抗体のCH3に、アミノ酸置換によってKnobs−into−holesが導入されていることを特徴とするアゴニスト多種特異性抗体、を提供するものである。
なお、本明細書において規定された用語の定義は、本明細書中で使用される用語の理解を容易にする目的で記載されたものであり、本発明を限定する目的で用いられるべきではないことは理解されたい。
本発明は、アゴニスト抗体の効率的な新規スクリーニング方法を提供する。本方法においては、まず、受容体に結合し得る可変領域を含む被験抗体を、該受容体に接触させる(工程(a))。
本発明において、抗体が多種特異性抗体の場合には、第一の受容体鎖と第二の受容体鎖を有する受容体の、該第一の受容体鎖に結合し得る可変領域および該第二の受容体鎖に結合し得る可変領域を含む被験多種特異性抗体を、該受容体に接触させる(工程(a))。
アゴニスト抗体とは、ある受容体に対して、アゴニスト作用を有する抗体を指す。一般的に、アゴニストであるリガンド(因子)が受容体と結合すると、受容体タンパク質の立体構造が変化し、受容体が活性化(受容体が膜タンパク質である場合には、通常、細胞増殖等のシグナルを発する)される。二量体を形成するタイプの受容体である場合には、アゴニスト抗体は適切な距離、角度で受容体をニ量体化させることにより、リガンドと同様の働きをすることができる。つまり適当な抗受容体抗体はリガンドによる受容体の二量体化を模倣でき、アゴニスト抗体となり得る。
多種特異性抗体とは、異なる多種の抗原と特異的に結合し得る抗体を言う。つまり多種特異性抗体は、少なくとも2種類の異なる抗原に対して特異性を有する抗体である。通常、このような分子は2個の抗原と結合するものであるが(すなわち二重特異性抗体)、本明細書中では「多種特異性抗体」は、それ以上(例えば、3種類の)抗原に対して特異性を有する抗体を包含するものである。多種特異性抗体は全長から成る抗体、またはそのような抗体の断片(例えば、F(ab’)2二種特異性抗体)であり得る。多種特異性抗体は、免疫診断、治療および免疫学的検定による診断等の臨床分野において有用である。本発明における多種特異性抗体としては、例えば、二種の抗原と特異的に結合し得る二種特異性抗体を好適に示すことができる。通常、抗原がヘテロ受容体である場合には、二種特異性抗体は、ヘテロ受容体を構成する2本のポリペプチド鎖をそれぞれ認識する。
本発明におけるアゴニスト多種特異性抗体とは、上記のアゴニスト抗体と多種特異性抗体の両方の性質(特徴)を有する抗体を指す。
本発明の好ましい態様においては、まず、本発明のスクリーニング方法に供する被験抗体の調製を行う。しかしながら、この被験抗体の調製は、必ずしも必須の工程ではなく、すでに公知の化合物、または天然に存在する抗体(様)分子あるいは該抗体分子の断片等を本発明の被験抗体とすることも可能である。
本発明において、被験抗体にはどのような抗体を用いてもよく、特に限定はされないが、多種特異性抗体であることが好ましく、さらに二種特異性抗体であることが好ましい。
また、本発明のアゴニスト抗体が結合してシグナルを伝達する受容体は、どのような受容体を用いてもよく、特に限定されない。受容体の好ましい例としては、細胞膜受容体を挙げることができ、さらに好ましくは多量体を形成する受容体であり、特に好ましくは二量体を形成する受容体(例えば、ヘテロ受容体)である。
本発明の上記被験抗体は、通常、動物に対して抗原を免疫化することにより調製することができる。動物を免疫化する抗原としては、免疫原性を有する完全抗原と、免疫原性を有さない不完全抗原(ハプテンを含む)が挙げられる。本発明においては、スクリーニングしたいアゴニスト抗体がリガンドとして作用すると考えられる受容体を、上記抗原(免疫原)として使用する。本発明における上記受容体は特に制限されないが、通常、多量体であり、好ましくは二量体である。二量体には、同一の受容体鎖で構成されるホモ二量体と、異なる受容体鎖で構成されるヘテロニ量体がある。より好ましくはヘテロニ量体である。免疫化する動物として、例えば、マウス、ハムスター、またはアカゲザル等を用いることができる。これら動物に対して、抗原を免疫化することは、当業者においては、周知の方法によって行うことができる。本発明において好ましくは、免疫化された動物または該動物の細胞から抗体のL鎖およびH鎖の可変領域の回収を行う。この操作は、当業者においては一般的に公知の技術を用いて行うことができる。抗原によって免疫化された動物は、とりわけ脾臓細胞において該抗原に対する抗体を発現する。従って、例えば、免疫化された動物の脾臓細胞からmRNAを調製し、該動物のCDRに対応するプライマーを用いて、RT−PCRによりL鎖およびH鎖の可変領域の回収を行うことができる。ここで、CDRとは、抗体の可変領域中の超可変領域に存在し、抗原と相補的に直接結合する3つの領域(CDR1、CDR2、CDR3)を指す。CDRに対応するプライマーとしては、例えば、CDRよりも多様性の低いフレームワークに対応するプライマー、あるいはシグナル配列とCH1、CL部分に対応するプライマーを用いることができる。また、in vitroにおいてリンパ球を免疫化することもできる。その後、免疫化された動物の脾臓またはリンパ球中に含まれる抗体をコードするDNAを、慣用の方法、例えば、抗体重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるヌクレオチドプローブ等を用いる方法により単離する。
免疫原とする受容体は、該受容体を構成するタンパク質全体、もしくは該タンパク質の部分ペプチドであってもよい。本発明における好ましい態様においては、受容体がヘテロ受容体の場合、ヘテロ受容体の一部を構成する部分ペプチド鎖において、2種以上の異なる部分ペプチド鎖を免疫原として使用する。本発明においては、異なる部分ペプチド鎖を、それぞれ「第一の受容体鎖」および「第二の受容体鎖」と記載する。本発明の受容体が二量体を形成する場合には、上記の「第一の受容体鎖」または「第二の受容体鎖」はそれぞれ、該二量体の各サブユニットを構成するペプチド鎖(または該ペプチド鎖の部分ペプチド)であることが好ましい。例えば、A鎖とB鎖の2種のペプチド鎖からなるヘテロ受容体の場合、A鎖(又はその部分ペプチド)が「第一の受容体鎖」となり、B鎖(又はその部分ペプチド)が「第二の受容体鎖」となることが好ましい。これらの第一の受容体鎖および第二の受容体鎖を免疫原として、動物へ免疫化することにより、該第一の受容体鎖に結合し得る可変領域および該第二の受容体鎖に結合し得る可変領域を含む被験抗体を調製することができる。
また、動物を免疫するのに用いる免疫原としては、場合により抗原となるものを他の分子に結合させ可溶性抗原とすることも可能であり、また、場合によりそれらの断片を用いてもよい。受容体のような膜貫通分子を抗原として用いる場合、これらの断片(例えば、受容体の細胞外領域)を用いるのが好ましい。また、膜貫通分子を細胞表面上に発現する細胞を免疫原とすることもできる。このような細胞は天然(腫瘍セルライン等)由来、または、組換え技術により膜貫通分子を発現するように構成された細胞であってもよい。
本発明の上記スクリーニング方法の好ましい態様においては、まず、アゴニスト抗体がアゴニストとして作用する受容体のリガンド(因子)に依存して増殖する細胞に、受容体それぞれに対するウイルス抗体ライブラリーを感染させる。該ライブラリーが感染した細胞において、受容体に対する抗体が産生する。本発明においては、上記細胞において生成される抗体を本発明の「被験抗体」として、本発明のスクリーニング方法へ供される。抗体が多種特異性抗体の場合には、アゴニスト多種特異性抗体がアゴニストとして作用する受容体のリガンド(因子)に依存して増殖する細胞に、多種の受容体鎖それぞれに対するウイルス抗体ライブラリーを重感染させる。該ライブラリーが重感染した細胞において、適切なペプチド鎖の組み合わせによって生じる多種の受容体鎖に対する抗体が産生する。
本発明の上記細胞は、通常、真核生物由来の細胞であり、好ましくは動物細胞であり、より好ましくはヒト由来の細胞である。本発明の一つの態様においては、被験抗体を発現させる細胞において、上記受容体(アゴニスト抗体がアゴニストとして作用する受容体)もまた発現させることが好ましい。従って本発明の好ましい態様においては、受容体、および被験抗体を同一の細胞で発現させることを特徴とする。このとき、細胞から分泌された被験抗体が、受容体と結合しアゴニスト作用を有する場合には、該受容体が細胞増殖シグナルを発し、該細胞がオートクライン(autocrine)自律増殖する。オートクライン自律増殖とは、細胞自身が生産する物質を増殖シグナルとして、細胞が自立的に増殖する現象を言う。このようにオートクライン自律増殖をするか否かを指標とすることにより、アゴニスト多種特異性抗体をスクリーニングすることができる。本発明の好ましい態様においては、被験抗体および受容体が発現した細胞がオートクライン自律増殖する場合に、被験抗体はアゴニスト作用を有するものと判定される。
また、以下のような指標により、本発明の被験抗体のアゴニスト作用を判定することができる。
(1)因子依存的に増殖する細胞の培養時に抗体サンプルを添加することによって因子同様に細胞が増殖するか否かを指標とする。細胞が増殖する場合に、被験抗体は、アゴニスト作用を有するものと判定される。
(2)因子の本来の活性(増殖とは限らない)を示す細胞株の培養時に加えることによって因子同様の反応を示すか否かを指標とする。因子同様の反応を示す場合に、被験抗体は、アゴニスト作用を有するものと判定される。
本発明における上記細胞増殖シグナルを発する細胞は、通常、本発明のスクリーニング方法により選択される抗体がアゴニストとして作用し得る受容体を、細胞表面において発現しており、該受容体のリガンド(例えば、アゴニスト抗体)と結合することにより、細胞増殖シグナルを発する。従って本発明において使用する細胞は、受容体のリガンド(因子)依存的に増殖できる細胞(因子依存性増殖細胞)であることが好ましい。また、本発明の受容体は、通常、リガンドと結合することにより、細胞増殖シグナルを発するものであることが好ましい。しかし、本発明における受容体が細胞増殖シグナルを出さないタイプのものである場合、該受容体を、細胞増殖シグナルを発するタイプの受容体と融合させ、所謂キメラ受容体とすることにより、本発明に使用することができる。より具体的には、リガンドが結合する受容体の細胞外領域と、増殖シグナルを発するタイプの受容体の細胞内領域を含むキメラ受容体を使用することが可能である。該キメラ受容体は、リガンドと結合することにより、細胞増殖シグナルを発する。リガンドが結合する受容体と融合させることによりキメラ受容体を構築するのに適した受容体は、細胞増殖シグナルを発するタイプの受容体であれば特に制限されず、サイトカイン受容体など、当業者が公知の受容体を用いることができる。受容体の具体的な例としては、G−CSF受容体、mp1、neu、GM−CSF受容体、EPO受容体、c−Kit、FLT−3等を挙げることができる。本発明における上記因子依存性増殖細胞の好適な例として、具体的には、細胞外がリガンド受容体鎖、細胞内がG−CSF受容体鎖であるキメラ受容体を発現させた因子依存性増殖細胞BaF3を示すことができる。その他、本発明において使用できる細胞として、例えば、NFS60、FDCP−1、FDCP−2、CTLL−2、DA−1、KT−3等を挙げることができる。
本発明は上記のような、抗体、および該抗体との結合により多量体化する受容体を発現する細胞であって、該受容体の因子に依存して増殖する細胞もまた、本発明に含まれる。
本発明の「抗体」には、所謂「免疫グロブリン」が含まれ、さらに、天然の抗体および抗体様分子、抗体断片も含まれる。天然の抗体および免疫グロブリンは、一般的に約150,000ダルトンのヘテロ四量体であり、2本の同じ軽鎖(L鎖)および2本の同じ重鎖から成る。各軽鎖は、重鎖に1つの共有ジスルフィド結合により連結されているが、重鎖間のジスルフィド結合の数は、免疫グロブリンのアイソタイプの種類によって異なる。重鎖および軽鎖はまた、それぞれ一定間隔の鎖内ジスルフィド橋を有する。各重鎖は一つの末端に可変領域(VH)を有し、それに連結された多数の定常領域を有する。各軽鎖は一方の末端に可変領域(VL)を有し、他方の末端に定常領域を有する。軽鎖の定常領域は重鎖の最初の定常領域と並んでおり、軽鎖の可変領域は重鎖の可変領域と並んでいる。特定のアミノ酸残基が軽鎖および重鎖の可変領域のインターフェイスを形成していると考えられている(Chothia C,et al:J Mol Biol 186:651−663,1985、Novotny J,Haber E:Proc Natl Acad Sci USA 82:4592−4596,1985)。本発明における被験抗体として、具体的には、免疫グロブリンG(IgG)が好適に用いられる。
上記の抗体断片という用語は全長抗体の一部のことであり、一般に抗原結合領域または可変領域を指す。例えば、抗体断片にはFab、Fab’、F(ab’)2およびFv断片が含まれる。抗体のパパイン消化により、Fab断片と呼ばれる、各1つずつの抗原結合部位を有する2つの同じ抗原結合断片、および残りの、容易に結晶化するために「Fc」と呼ばれる断片が生じる。また、ペプシン消化により、2つの抗原結合部位を有し、抗原を交差結合し得るF(ab’)2断片、および残りの別な断片(pFc’と呼ばれる)が得られる。その他の断片としては、ダイアボディ(diabody)、線状抗体、一本鎖抗体分子および抗体断片より形成された多種特異性抗体が含まれる。本発明において抗体断片とは、例えば、Fv、F(ab)およびF(ab’)2断片等を指す。
ここで、「Fv」断片は最小の抗体断片であり、完全な抗原認識部位と結合部位を含む。この領域は1つの重鎖および軽鎖の可変領域が非共有結合により強く連結されたダイマーである(VH−VLダイマー)。各可変領域の3つのCDRが相互作用し、VH−VLダイマーの表面に抗原結合部位を形成する。6つのCDRが抗体に抗原結合部位を付与している。しかしながら、1つの可変領域(または、抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)であっても、全結合部位よりも親和性は低いが、抗原を認識し、結合する能力を有する。
また、Fab断片(F(ab)とも呼ばれる)はさらに、軽鎖の定常領域および重鎖の定常領域(CH1)を含む。Fab’断片は、抗体のヒンジ領域からの1またはそれ以上のシステインを含む重鎖CH1領域のカルボキシ末端由来の数個の残基を付加的に有する点でFab断片と異なっている。Fab’−SHとは、定常領域の1またはそれ以上のシステイン残基が遊離のチオール基を有するFab’を示すものである。F(ab’)断片は、F(ab’)2ペプシン消化物のヒンジ部のシステインにおけるジスルフィド結合の切断により製造される。化学的に結合されたその他の抗体断片も当業者には知られている。
本発明においてダイアボディ(diabody;Db)は、遺伝子融合により構築された二価(bivalent)の抗体断片を指す(P.Holliger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448(1993)、EP404,097号、WO93/11161号等)。ダイアボディは、2本のポリペプチド鎖から構成されるダイマーであり、ポリペプチド鎖は各々、同じ鎖中で軽鎖可変領域(VL)及び重鎖可変領域(VH)が、互いに結合できない位に短い、例えば、5残基程度のリンカーにより結合されている。同一ポリペプチド鎖上にコードされるVLとVHとは、その間のリンカーが短いため単鎖V領域フラグメントを形成することが出来ず二量体を形成するため、ダイアボディは2つの抗原結合部位を有することとなる。このとき2つの異なる抗原(a、b)に対するVLとVHをVLa−VHbとVLb−VHaの組合わせで5残基程度のリンカーで結んだものを同時に発現させると二種特異性Dbとして分泌される。
一本鎖抗体(以下、scFvとも記載する)またはscFv抗体断片には、抗体のVHおよびVL領域が含まれ、これらの領域は単一のポリペプチド鎖中に存在する。一般に、FvポリペプチドはさらにVHおよびVL領域の間にポリペプチドリンカーを含んでおり、これによりscFvは、抗原結合のために必要な構造を形成することができる(scFvの総説については、Pluckthun 『The Pharmacology of Monoclonal Antibodies』Vol.113(Rosenburg and Moore ed(Springer Verlag,New York)pp.269−315,1994)を参照)。本発明におけるリンカーは、その両端に連結された抗体可変領域の発現を阻害するものでなければ特に限定されない。
また、遺伝子工学的に非ヒト哺乳動物(マウス、ラット、ハムスター等)由来のモノクローナル抗体のCDR以外の部分をヒト免疫グロブリン由来の可変領域の枠組構造配列に置き換え「ヒト化抗体」とする技術が公知である(例えば、Jones et al.,Nature 321:522−525(1986);Reichmann et al.,Nature 332:323−329(1988);Presta Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596(1992)参照)。ヒト化抗体は、レシピエント抗体に導入させたCDRまたは枠組構造配列のどちらにも含まれないアミノ酸残基を含んでいてもよい。通常、このようなアミノ酸残基の導入は、抗体の抗原認識・結合能力をより正確に至適化するために行われる。本発明の被験抗体における可変領域はヒト化等の改変された可変領域も包含する。
本発明において抗体ライブラリーによって細胞において発現させる被験抗体としては、例えば、IgG、scFVをCH1−ヒンジ−CH2−CH3のN末端に付加した抗体分子、scIgG(scFabをヒンジ−CH2−CH3のN末端に付加した抗体分子)、scDb等を好適に挙げることができる。本発明においては、通常、異なる抗原に対するそれぞれの抗体ライブラリーを細胞へ重複感染させるが、scDbを用いる場合には、抗体ライブラリーは単一のライブラリーとすることが可能である。
本発明の好ましい態様においては、抗体ライブラリーを細胞へ導入する。抗体が多種特異性抗体の場合、第一の受容体鎖および第二の受容体鎖に対するそれぞれの抗体ライブラリーを細胞へ導入する。該抗体ライブラリーとしては、例えば、レトロウイルス抗体ライブラリーを好適に使用することができる。レトロウイルスは、感染効率を10%程度に調節することによって、ほとんどの感染細胞において1コピーのウイルスの組み込みが期待できること、および、導入遺伝子が宿主の染色体に組み込まれるため、長期間安定に遺伝子の発現が期待できる等の特長を有する。その他抗体ライブラリーが作製可能なウイルスベクターとしては、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、シンビスウイルス、センダイウイルス、SV40、HIV等のDNAおよびRNAウイルス等が挙げられる。
また、抗体ライブラリーは、公知の方法に従って構築することができる(例えば、McCafferty et al.,Nature 348:552−554(1990);Clackson et al.,Nature 352:624−628(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.222:582−597(1991)等参照)。より具体的には、下記のようにして抗体ライブラリーを作製することができるが、この方法に限定されるものではない。まず、マウスに受容体のA鎖、B鎖それぞれを免疫する。この動物の脾細胞からmRNAを抽出し、マウスのCDRに対応するプライマーを用いてRT−PCRにてL鎖、H鎖の可変領域を回収する。assembly PCRにて一本鎖Fv(scFv)を合成し、抗体ライブラリーを構築する。パンニングによって抗原結合抗体クローンを濃縮し、その一本鎖可変領域を動物細胞用のシグナル配列とCH1−hinge−CH2−CH3の間に挿入し、レトロウイルス用のプラスミドに組み込んだライブラリーを作製する。もしくはscFabとして合成し、シグナル配列と−hinge−CH2−CH3の間に挿入したライブラリーを構築する。またはscDbのライブラリーとして構築する。
本発明の抗体ライブラリーは、プラスミド発現ベクターを用いて作製することも可能である。本発明の上記細胞が動物細胞である場合には、例えば、pME18S(Med.immunol.20:27−32(1990))、pEF−BOS(Nucleic Acids Res.18:5322(1990))、pCDM8(Nature 329:840−842(1987)、pRSVneo、pSV2−neo、pcDNAI/Amp(Invitrogen)、pcDNAI、pAMoERC3Sc、pCDM8(Nature 329:840(1987))、pAGE107(Cytotechnology 3:133(1990))、pREP4(Invitrogen)、pAGE103(J.Biochem.101:1307(1987))、pAMoA、pAS3−3、pCAGGS(Gene 108:193−200(1991))、pBK−CMV、pcDNA3.1(Invirtogen)、pZeoSV(Stratagene)等を発現ベクターとして例示することができる。発現プロモーターとしては、例えば、サイトメガロウイルスのIE遺伝子のプロモーターおよびエンハンサー、SV40の初期プロモーター、RSV、HIvおよびMMLV等のレトロウイルスのLTR、メタロチオネインβ−アクチン、伸長因子1、HSP等の動物細胞由来の遺伝子のプロモーター等を挙げることができる。
プラスミド発現ベクターの細胞への導入方法としては、細胞およびベクターの種類に依存するが、細胞に発現ベクターDNAを導入できる方法であれば、いずれも用いることができる。例えば、エレクトポレーション(Cytotechnology 3:133(1990))、リン酸カルシウム法(特開平2−227075号公報)、リポフェクション法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7413(1987);Virology 52:456(1973))、リン酸−カルシウム共沈法、DEAE−デキストラン法、微小ガラス管を用いたDNAの直接注入法等が挙げられる。
また、受容体がヘテロ受容体の場合(抗体が多種特異性抗体の場合)、本発明の被験抗体の発現は、通常、二種の軽鎖、二種の重鎖それぞれの発現ライブラリー(ベクター)を一つの細胞に導入することによって可能となる。このとき、軽鎖と重鎖の組み合わせには通常相性はなく、4本の鎖の組み合わせは10通り存在する。最終的に本発明の方法によってスクリーニングされるアゴニスト抗体は、血中安定性を有する全長抗体(whole antibody)であることが好ましい。このため、本発明のスクリーニング方法に供する被験抗体も、全長抗体であることが好ましい。上記のようにそのままライブラリー等で細胞内で発現させた場合、10通りもの抗体が分泌され、他の組み合わせの抗体による中和作用の心配があるため、所望の重鎖と軽鎖の組み合わせとなる被験抗体を発現させることが好ましい。所望の重鎖と軽鎖の組み合わせとするためには、例えば、望ましい共通の軽鎖を使用することが挙げられる。または、ホモの重鎖の組み合わせとならないように、重鎖のCH3領域へのアミノ酸置換によって「knobs−into−holes」(Protein Engineering vol.9,617−621,1996;WO98/50431)を導入し、重鎖のホモ二量体の形成を阻害させ、ヘテロな組み合わせとなるようにすることも可能である。従って本発明における被験抗体のCH3は、好ましくは、アミノ酸置換によってknobs−into−holesが導入されていることを特徴とする。また、CL、CH1に適当なアミノ酸置換を行い、軽鎖と重鎖の組み合わせを規定することによって、ヘテロ抗体の産生効率を高めることもできる。さらに、軽鎖と重鎖の可変領域をリンカーで結んだ一本鎖可変領域scFvを使用することにより、軽鎖と重鎖の組み合わせを規定し、scFv−CH1−ヒンジ−CH2−CH3の形で被験抗体を発現させることも可能である。従って本発明の態様の一つとして被験抗体は、軽鎖と重鎖の可変領域がリンカーで結ばれていることを特徴とする。この可変領域がリンカーで結ばれている被験多種特異性抗体は、例えば、以下のようにして作製することができるが、これらの方法に特に限定されない。
(1)第一の受容体鎖に対する一本鎖Fvを作製し、次いで、該一本鎖FvをCH1−hinge−CH2−CH3に結合させることにより、第一の受容体鎖に対する一本鎖抗体を作製し、該一本鎖抗体を含むように被験抗体を作製する。
(2)第一の受容体鎖に対する一本鎖Fabを作製し、次いで、該一本鎖FabをFcに結合させることにより、第一の受容体鎖に対する一本鎖抗体を作製し、該一本鎖抗体を含むように被験抗体を作製する。
また、公知の製造方法を用いて作製された多種特異性抗体を被験抗体として、本発明のアゴニスト多種特異性抗体のスクリーニング方法へ供することもできる。
本方法の上記工程(a)における被験抗体と受容体との「接触」とは、例えば、細胞に発現している受容体に対して、上記の如く細胞中において発現し、細胞外へ分泌された被験抗体が「接触」することを指すが、この接触の形態に特に制限されない。
本発明の上記スクリーニング方法においては、次いで、被験抗体がアゴニスト作用を有するか否かの判定を行い(工程(b))、アゴニスト作用を有する抗体を選択する(工程(c))。
本発明の好ましい態様における上記工程は、被験抗体についてアゴニスト作用を有するか否かの判定を、上記の如く細胞がオートクライン自律増殖をするか否かを指標として行い、オートクライン自律増殖する場合に、該細胞において発現された抗体をアゴニスト抗体として選択する。
本発明のスクリーニング方法によって選択されたアゴニスト抗体は、通常、オートクライン自律増殖した細胞を回収し、適宜クローニングを行い、該細胞を用いてPCR法により、上記アゴニスト多種特異性抗体のCDR遺伝子を回収し、抗体産生に供することができる。CDR遺伝子を基に抗体を産生することは、当業者においては一般的な方法により、通常行い得ることである。
受容体がヘテロ受容体の場合、本発明のアゴニスト多種特異性抗体のスクリーニング方法は、具体的には、以下のようにして実施することができるが、この方法は本発明の一つの態様であり、本発明の方法がこの方法に特に限定されるものではない。
抗体がリガンドとして作用する受容体の鎖(例えば、A鎖およびB鎖)の細胞外領域を免疫化した動物からそれぞれの抗体ファージライブラリーを作製し、抗受容体鎖抗体をパンニング法により選択する。これをレトロウイルスベクターのライブラリーに変換する。
次に、リガンド依存的に増殖できる細胞株を用意する。この細胞に抗A鎖抗体ライブラリーを感染導入し、感染細胞をベクターに付加した薬剤耐性で選択し培養する。続いて抗B鎖抗体ライブラリーを重感染する。これで抗A鎖抗体と抗B鎖抗体のあらゆる組み合わせの二種特異性抗体を発現する細胞のライブラリーを構築することができる。このうち適当な組み合わせの二種特異性抗体が標的受容体に対してアゴニスト作用を示す場合、これを分泌するクローンのみがそのオートクラインによって自律増殖することができる。このように選択されたBaF3クローンの染色体から組み込まれた抗体遺伝子をPCRによって回収する。
このようにオートクライン自律増殖を指標としてアゴニスト作用を有する抗体をスクリーニングする手法は、これまでのところ知られておらず、本発明者らによって初めて見出されたものである。本発明は、多種特異性抗体を含む一般的な抗体についてのオートクライン増殖を利用したアゴニスト抗体のスクリーニング方法も提供する。
上記スクリーニング方法においては、まず、被験抗体、および多量体化する受容体を発現する細胞であって、該受容体の因子に依存して増殖する細胞を提供する(工程(A))。次いで、細胞がオートクライン自律増殖する場合に、被験抗体はアゴニスト作用を有するものと判定を行い(工程(B))、アゴニスト作用を有する抗体を選択する(工程(C))。
上記方法はアゴニスト多種特異性抗体のスクリーニングに特に限定されず、多種特異性を示さないアゴニスト抗体のスクリーニングも上記方法に含まれる。
一般的に軽鎖は、抗体の特異性にあまり影響を及ぼさないことが知られていることから、多種特異性抗体の場合でも、細胞に2種類の重鎖および2種類の軽鎖を導入することなく、1種類の軽鎖を予め細胞に発現させた後、2種類の重鎖のライブラリーを導入することによっても、上記方法を実施することが可能である。従って、上記方法における好ましい態様においては、上記工程(A)〜(C)に加えて、工程(A)の細胞が、受容体をコードする遺伝子および被験抗体の軽鎖をコードする遺伝子が導入された細胞であり、さらに、被験抗体の重鎖をコードする遺伝子を導入する工程を含む。
また、本発明は、本発明のアゴニスト抗体のスクリーニング方法を利用した、アゴニスト抗体を製造する方法を提供する。
上記方法においては、まず、本発明のアゴニスト抗体のスクリーニング方法により、アゴニスト抗体をスクリーニングし、スクリーニングにより選択されるアゴニスト抗体をコードする遺伝子を宿主細胞へ導入する。次いで、該宿主細胞、または該細胞の培養液から、アゴニスト多種特異性抗体を回収する。
このようにして得られた本発明の抗体は、細胞内、または、シグナル配列を用いて細胞外に分泌させた場合には培地等から単離し、実質的に純粋なポリペプチドとして精製することもできる。ポリペプチドの分離、精製は、一般的に使用される、クロマトグラフィー、フィルター、限外濾過、塩析、溶媒沈澱、溶媒抽出、蒸留、免疫沈降、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電点電気泳動、透析、再結晶等の方法を適宜選択し、必要に応じて組合せることにより行うことができる。クロマトグラフィーとしては、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー等が挙げられる(Strategies for Protein Purification and Charcterization:A Laboratoy Course Manual,Daniel R.Marshak et al.eds.,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1996);Antibodies:A Laboratoy Course Manual,Harlow and David Lane eds.,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1988))。これらのクロマトグラフィーは、HPLCやFPLC等の液相クロマトグラフィーを用いて行うことができる。また、本発明の抗体は抗原に対して結合することから、抗原への結合性を利用して精製することも可能である。このように単離・精製されたアゴニスト抗体自体も本発明に含まれる。
本発明の好ましい態様における被験抗体は、上述のように、軽鎖と重鎖の可変領域をリンカーで結ばれ、かつCH3にアミノ酸置換によってknobs−into−holesが導入されている。従って、本発明によって提供される抗体は、好ましくは、抗体の軽鎖と重鎖の可変領域がリンカーで結ばれ、かつ抗体のCH3に、アミノ酸置換によってKnobs−into−holesが導入されていることを特徴とするアゴニスト抗体である。
本発明のスクリーニング方法においてアゴニスト活性の検出指標として用いられるのは、増殖活性であることが好ましいが、その他に例えば、産生物質(分泌タンパク質、表面抗原、細胞内タンパク質、mRNA等)の量的及び/又は質的変化、足場依存性、サイトカイン依存応答性、ホルモン依存性、薬剤耐性、細胞運動性、細胞遊走活性、拍動性、細胞内物質の変化、タンパク質のリン酸化、酵素反応などを用いることが可能である。
本発明のスクリーニング方法によって取得できるアゴニスト抗体は、従来知られている多種特異性抗体と同様に、免疫治療または予防のための医薬品とすることができる。ヘテロニ量体を構成する免疫系の受容体のリガンドとしてIL−10、12、24、4、7、9、13、TSLP、IFNα、β等が、神経系の受容体のリガンドとして、NGF、GDNF、NT−3、4、5が知られている。本発明の方法により取得されるアゴニスト抗体として、例えば、上記のリガンド様作用を有する抗体を取得することが可能である。本発明の方法によって取得される抗体は、免疫または神経系疾患等の治療のための医薬品となるものと期待される。
治療または予防目的で使用される本発明の抗体を有効成分として含む医薬組成物は、必要に応じ、それらに対して不活性な適当な薬学的に許容される担体、媒体等と混和して製剤化することができる。例えば、滅菌水や生理食塩水、安定剤、賦形剤、酸化防止剤(アスコルビン酸等)、緩衝剤(リン酸、クエン酸、他の有機酸等)、防腐剤、界面活性剤(PEG、Tween等)、キレート剤(EDTA等)、結合剤等を挙げることができる。また、その他の低分子量のポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチンや免疫グロブリン等の蛋白質、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン及びリシン等のアミノ酸、多糖及び単糖等の糖類や炭水化物、マンニトールやソルビトール等の糖アルコールを含んでいてもよい。注射用の水溶液とする場合には、例えば生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液、例えば、D−ソルビトール、D−マンノース、D−マンニトール、塩化ナトリウムが挙げられ、適当な溶解補助剤、例えばアルコール(エタノール等)、ポリアルコール(プロピレングリコール、PEG等)、非イオン性界面活性剤(ポリソルベート80、HCO−50)等と併用してもよい。
また、必要に応じ本発明の抗体をマイクロカプセル(ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリ[メチルメタクリル酸]等のマイクロカプセル)に封入したり、コロイドドラッグデリバリーシステム(リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及びナノカプセル等)とすることもできる(″Remington’s Pharmaceutical Science 16th edition″,Oslo Ed.(1980)等参照)。さらに、薬剤を徐放性の薬剤とする方法も公知であり、本発明の抗体に適用し得る(Langer et al.,J.Biomed.Mater.Res.15:167−277(1981);Langer,chem.Tech.12:98−105(1982);米国特許第3,773,919号;欧州特許出願公開(EP)第58,481号;Sidman et al.,Biopolymers 22:547−556(1983);EP第133,988号)。
患者への投与は、好ましくは注射や点滴により行われ、例えば、動脈内注射、静脈内注射、皮下注射等のほか、鼻腔内、経気管支、筋内、経皮または経口等の経路により当業者に公知の方法により行い得る。投与量は、患者の体重、年齢、疾病の種類、症状、投与方法等の種々の要因により変化するが、当業者であれば適当な投与量を適宜選択することができる。
また、本発明の抗体をコードする遺伝子を遺伝子治療用ベクターに組込み、遺伝子治療を行うことも考えられる。投与方法としては、nakedプラスミドによる直接投与の他、リポソーム等にパッケージングするか、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、アデノウイルス関連ベクター、HVJベクター等の各種ウイするベクターとして形成するか(Adolph『ウイルスゲノム法』,CRC Press,Florid(1996)参照)、または、コロイド金粒子等のビーズ担体に被覆(WO93/17706等)して投与することができる。しかしながら、生体内において抗体が発現され、その作用を発揮できる限りいかなる方法により投与してもよい。好ましくは、適当な非経口経路(静脈内、腹腔内、皮下、皮内、脂肪組織内、乳腺組織内、吸入または筋肉内の経路を介して注射、注入、またはガス誘導性粒子衝撃法(電子銃等による)、添鼻薬等粘膜経路を介する方法等)により十分な量が投与される。ex vivoにおいてリポソームトランスフェクション、粒子衝撃法(米国特許第4,945,050号)、またはウイルス感染を利用して血液細胞及び骨髄由来細胞等に投与して、該細胞を動物に再導入することにより本発明の抗体をコードする遺伝子を投与してもよい。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
[実施例1] diabodyによるオートクライン増殖
アゴニスト抗体のモデルとしてmplに対するモノクローナル抗体12E10(WO99/10494)を利用した。抗体12E10可変領域をコードするpCOSsc12E10(WO01/79494、WO02/33072)からdiabodyをコードするEcoRI−NotI断片を切り出し、ウイルスベクタープラスミドpMXのEcoRIとNotIの間に挿入した。このプラスミドpMXsc12E10をパッケージング細胞Pt−EにFuGene6(Roche)を用いてトランスフェクションした。Pt−Eを10%牛胎児血清(FCS)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)で6cm dishに播種し、翌日FuGene6とプラスミドpMXsc12E10を混合したものを培地に加えた。その翌日、培養液を交換し24時間後培養上清を回収した。組換えウイルスを含む培養上清に10μg/mLポリブレン(Hexadimethrine Bromide,Sigma)を加え、これに標的細胞を懸濁して感染させた。因子依存性細胞株BaF3にヒトMPLcDNAを導入し、MPLリガンドつまりThrombopoietinの添加により増殖可能になった細胞株MPL/BaF3(MPLの細胞外領域とG−CSF受容体の膜貰通・細胞内領域とのキメラ受容体を発現する細胞)にマウスインターロイキン−3(IL−3)を含むウイルス液加えて感染させた。翌日細胞をPBSで洗浄後、因子を含まないRPMI/10%FCS中で培養を続けたところ、自律増殖する細胞が得られた。この細胞の培養上清を回収し、別のMPL/BaF3に加え培養したところ、加える培養上清濃度依存的な細胞増殖が確認された。このことからウイルス感染細胞の自律増殖が、本細胞が培地中に分泌するdiabodyのオートクラインによる増殖であることが明らかとなった。
[実施例2] scFv−CH1−Fcによるオートクライン増殖
pCOSsc12B5を鋳型に、プライマーEcoRI−HL(5’−GGAATTCGCCGCCACCATGGAGTTTGGGCTGAGCTGGGTTTTCCT−3’/配列番号:1)とHL−SfiI(5’−GCATGCATGGCCCCCGAGGCCACTCACCTTTGATCTCCAGCTTGGTCCCTCCGCCGAA−3’/配列番号:2)を用いてPCRを行い、5’にEcoRI、3’にスプライスドナー配列及びSfiIサイトを有するscFv(H−L)遺伝子を得た。また軽鎖−重鎖(L−H)の順に繋いだものを得るためにまず、5Hs(5’−GGCGGCGGCGGCTCCGGTGGTGGTGGATCCCAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGG−3’/配列番号:3)と3Ha−SfiI(5’−GCATGCATGGCCCCCGAGGCCACTCACCTGAAGAGACGGTGACCATTGTCCCTT−3’/配列番号:4)、もしくは5Ls(5’−AGTCAGTCGGCCCAGCCGGCCATGGCGGACTACAAAGACATCCAGATGACCCAGTCTCCT−3’/配列番号:5)と3La(5’−GGAGCCGCCGCCGCCAGAACCACCACCACCAGAACCACCACCACCTTTGATCTCCAGCTTGGTCCCTCCGCCGAAA−3’/配列番号:6)の組み合わせのプライマーでpCOSsc12B5を鋳型にPCRを行い、得られた両増幅産物とプライマー5Hsと3Laで再びPCRを行うことで増幅産物をアセンブリした。この産物LHは両端にSfiIサイトを有し、3’側にはスプライスドナー配列を含む。
ヒトIgG1の定常領域遺伝子を含むプラスミドHEF−1.24H−gγ1(WO99/18212)を鋳型にPCRを行い、CH1直前のイントロン及びCH1,hinge(プライマーEcoSfiI(5’−TCGAATTCGGCCTCGGGGGCCAGCTTTCTGGGGCAGGCCAGGCCTGACCTTGGCTTT−3’/配列番号:7),HigeCH1a(5’−CACGGTGGGCATGTGTGAGTTTTGTCACAAGATTTGGGCTCAACTTTCTTGTCCACCTTG−3’/配列番号:8)),CH2(プライマーHigeCh2s(5’−CAAAACTCACACATGCCCACCGTGCCCAGCACCTGAACTCCTGGGGGGACCGTCAGTCTT−3’/配列番号:9),Ch3Ch2a(5’−ACACCTGTGGTTCTCGGGGCTGCCCTTTGGCTTTGGAGATGGTTTTCTCGATG−3’/配列番号:10)),CH3(プライマーCh2Ch3sW(5’−GGCAGCCCCGAGAACCACAGGTGTACACCC−3’/配列番号:11),StopNotI(5’−TAGCGGCCGCTCATTTACCCGGAGACAGGGAGAGGCTCTT−3’/配列番号:12))を増幅した。これらをアセンブリPCRによってつなぎ、5’にEcoRI,SfiI,イントロン、3’にNotIサイトを有するIgG1定常領域遺伝子を合成した。
マウスインターロイキン(IL)−3cDNAを鋳型にプライマーIL3sEcoA(5’−CGGAATTCGGCCGGCTGGGCCAGCATCAGGAGCAGGAGCAGC−3’/配列番号:13),BamIL3ss(5’−GCGGATCCGCCGCCACCATGGTTCTTGCCAGCTCTAC−3’/配列番号:14)を用いてPCRを行い、5’にBamHI、3’にSfiI,EcoRIサイトを有するIL3シグナル配列(ss)遺伝子を得た。
レトロウイルス用ベクターpMXのEcoRI−NotIサイトに合成したIgG1定常領域遺伝子を導入し、pMX−CHwildを構築した。プラスミドpMX−CHwildのEcoRI−SfiIサイトにscFv(H−L)遺伝子を組込み、pMX−HL−CHwildを得た。このプラスミドから得られるウイルスが感染すると抗体12B5のscFv(HL順)のC末にCH1−hinge−CH2−CH3が付加した抗体用分子を分泌することが期待される。また、pMX−CHwildのBamHI−EcoRIサイトにIL3ssを組込み、さらにSfiIサイトにscFv(L−H)を組込み、pMX−IL3ss−LH−CHwildを構築した。このプラスミド由来ウイルスではLH順のscFv− CH1−hinge−CH2−CH3が分泌されることが期待される。以上のプラスミドそれぞれを前記のようにPt−E細胞にトランスフェクションして組換えウイルスを得、MPL/BaF3細胞に感染させ、翌日洗浄によって因子を除去して培養を続けた。その結果、自律増殖してくる細胞が得られた。この細胞の培養上清を回収し、別のMPL/BaF3に加え培養したところ、加える培養上清濃度依存的な細胞増殖が確認された(図1、TPG)。一方、受容体を発現していない親株のBaF3には抗体が作用しない為、増殖しなかった(図1、BaF3)。このことからウイルス感染細胞の自律増殖が、本細胞が培地中に分泌するscFv−CH1−hinge−CH2−CH3のオートクラインによる増殖であることが明らかとなった。
産業上の利用の可能性
本発明により、アゴニスト抗体を効率的にスクリーニングできる新規な方法が提供された。本発明の好ましい態様においては、抗体をライブラリーとして用いることにより、煩雑な作業を必要とせず、簡便にスクリーニングすることが可能である。また、本発明の好ましい態様においては、オートクライン自律増殖をスクリーニングの指標として、自らアゴニスト抗体を分泌するクローンのみが受容体を介したシグナルで増殖した細胞を選択するため、多検体(抗体ライブラリー)を一度に処理することができ、非常に効率的である。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
図1は、自律増殖株CMによる増殖を示す図である。浄したMPL発現BaF3細胞(MPLの細胞外領域とGCSF受容体の膜貫通・細胞内領域とのキメラ受容体発現細胞:TPG)10000/wellに、ウイルスの感染により自律増殖能を得たMPL発現BaF3細胞の様々な濃度の培養上清200μLを加え、3日後に生細胞数測定試薬SF(Nakarai)20μLを加えて2.5時間後450nmの吸光度を測定して生細胞数を調べた。MPL発現BaF3細胞(HL(TPG)およびLH(TPG))は、培養上清の濃度依存的に細胞増殖を維持していた。一方、受容体を発現していない親株のBaF3(HL(BaF3)およびLH(BaF3)は抗体が作用しない為、増殖しなかった。横軸はCM濃度(%)、縦軸は450〜655nmにおける吸光度を示す。
Claims (25)
- 以下の工程(a)〜(c)を含む、アゴニスト抗体のスクリーニング方法。
(a)被験抗体、および多量体を形成する受容体を発現する細胞であって、該受容体のリガンド因子に依存して増殖する細胞を提供する工程
(b)細胞がオートクライン自律増殖する場合に、被験抗体は該受容体のリガンド作用を有するものと判定する工程
(c)リガンド作用を有する抗体を選択する工程 - 工程(a)の細胞が、受容体をコードする遺伝子および被験抗体の軽鎖をコードする遺伝子が導入された細胞であり、さらに、被験抗体の重鎖をコードする遺伝子を導入する工程を含む、請求項1に記載の方法。
- 受容体が、細胞増殖シグナルを発する機能を有するタンパク質とのキメラ受容体である請求項1または2に記載の方法。
- 受容体が、二量体を形成する受容体である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 二量体を形成する受容体が、ホモ二量体を形成する受容体である請求項4に記載の方法。
- 二量体を形成する受容体が、ヘテロ二量体を形成する受容体である請求項4に記載の方法。
- 細胞増殖シグナルを発する機能を有するタンパク質がG−CSF受容体である、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
- 抗体ライブラリーを、細胞へ導入することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
- 抗体ライブラリーがレトロウイルス抗体ライブラリーである、請求項8に記載の方法。
- 被験抗体が多種特異性抗体である請求項1〜9のいずれかに記載の方法
- 被験抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域がリンカーで結ばれていることを特徴とする請求項10に記載の方法。
- 可変領域がリンカーで結ばれている抗体が、以下の工程(a)〜(c)を含む方法により作製されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
(a)第一の受容体鎖に対する一本鎖Fvを作製する工程
(b)該一本鎖FvをCH1-hinge-CH2-CH3に結合させることにより、第一の受容体鎖に対する一本鎖抗体を作製する工程
(c)工程(b)で作製された一本鎖抗体を含む多種特異性抗体を作製する工程 - 可変領域がリンカーで結ばれている抗体が、以下の工程(a)〜(c)を含む方法により作製されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
(a)第一の受容体鎖に対する一本鎖Fabを作製する工程、
(b)該一本鎖FabをFcに結合させることにより、第一の受容体鎖に対する一本鎖抗体を作製する工程、
(c)工程(b)で作製された一本鎖抗体を含む多種特異性抗体を作製する工程 - 以下の工程(a)〜(c)を含む、アゴニスト多種特異性抗体のスクリーニング方法。
(a)第一の受容体鎖と第二の受容体鎖を有する受容体の、該第一の受容体鎖に結合し得る可変領域および該第二の受容体鎖に結合し得る可変領域を含む被験多種特異性抗体、および該受容体を発現する細胞であって、該受容体のリガンド因子に依存して増殖する細胞を提供する工程
(b)細胞がオートクライン自律増殖する場合に、被験多種特異性抗体はリガンド作用を有するものと判定する工程
(c)リガンド作用を有する抗体を選択する工程 - 受容体が、細胞増殖シグナルを発する機能を有するタンパク質とのキメラ受容体である請求項14に記載の方法。
- 細胞増殖シグナルを発する機能を有するタンパク質がG−CSF受容体である、請求項15に記載の方法。
- 第一の受容体鎖および第二の受容体鎖に対するそれぞれの抗体ライブラリーを、細胞へ導入する工程をさらに含む、請求項14〜16のいずれかに記載の方法。
- 抗体ライブラリーがレトロウイルス抗体ライブラリーである、請求項17に記載の方法。
- 多種特異性抗体の軽鎖と重鎖の可変領域がリンカーで結ばれていることを特徴とする請求項14〜18のいずれかに記載の方法。
- 可変領域がリンカーで結ばれている多種特異性抗体が、以下の工程(a)〜(c)を含む方法により作製されることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
(a)第一の受容体鎖に対する一本鎖Fvを作製する工程
(b)該一本鎖FvをCH1-hinge-CH2-CH3に結合させることにより、第一の受容体鎖に対する一本鎖抗体を作製する工程
(c)工程(b)で作製された一本鎖抗体を含む多種特異性抗体を作製する工程 - 可変領域がリンカーで結ばれている多種特異性抗体が、以下の工程(a)〜(c)を含む方法により作製されることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
(a)第一の受容体鎖に対する一本鎖Fabを作製する工程、
(b)該一本鎖FabをFcに結合させることにより、第一の受容体鎖に対する一本鎖抗体を作製する工程、
(c)工程(b)で作製された一本鎖抗体を含む多種特異性抗体を作製する工程 - 多種特異性抗体のCH3に、アミノ酸置換によってKnobs-into-holesが導入されていることを特徴とする、請求項14〜21のいずれかに記載の方法。
- 多量体がヘテロ二量体である、請求項14〜22のいずれかに記載の方法。
- 多種特異性抗体が、二種特異性抗体である、請求項14〜23のいずれかに記載の方法。
- 以下の工程(a)〜(c)を含むアゴニスト抗体を製造する方法。
(a)請求項1〜24のいずれかに記載の方法により、アゴニスト抗体をスクリーニングする工程、
(b)工程(a)のスクリーニングにより選択されるアゴニスト抗体をコードする遺伝子を宿主細胞へ導入する工程、
(c)工程(b)の宿主細胞、または該細胞の培養液から、アゴニスト抗体を回収する工程
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