JP4518707B2 - キャリアテープ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高密度の電極をパッケージの底面に備えたエリアアレイタイプの半導体パッケージを収納して保管や搬送等に使用されるキャリアテープに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のキャリアテープは、図8ないし図11に示すように、テープ材2と、このテープ材2に並設されて表面実装型の半導体パッケージ4を収納する複数のエンボス穴7とを備え、各エンボス穴7の途中まで半導体パッケージ4を嵌合し、この半導体パッケージ4の電極を保護するようにしている。
【0003】
半導体パッケージ4としては、図9ないし図11に示すBGAタイプやLGAタイプがあげられる。BGAタイプの半導体パッケージ4は、その底面に非電極領域5が区画形成され、底面の非中央部には、電極として機能する複数の半田ボール6がXY方向に並設されており、この複数の半田ボール6が非電極領域5を包囲している(図11参照)。これに対し、図示しないLGAタイプの半導体パッケージ4は、基本的にはBGAタイプと同様であるが、底面の非中央部に、電極として機能する複数のランドがXY方向に並設され、この複数のランドが非電極領域5を包囲している。
【0004】
各エンボス穴7は、図8ないし図10に示すように、基本的には断面略U字形に形成されている。このエンボス穴7は、その前後左右の周壁10が開口側から底部方向に向けて狭まるよう所定の角度で直線的に傾斜したり、あるいは二段に傾斜形成され、周壁10に半導体パッケージ4の底面周縁部付近が支持される。このような構成のキャリアテープは、傾斜した周壁10を利用して各エンボス穴7の底面と半導体パッケージ4の各半田ボール6との間に隙間を形成し、エンボス穴7の底面や周壁10に対する各半田ボール6の接触を防止してこれを有効に保護する(この点に関し、特開平11‐115963号公報参照)。
【0005】
なお、半導体パッケージ4の半田ボール6の接触を防止し、これを保護する方法は、上記方法になんら限定されるものではない。例えば、エンボス穴7の底面に半導体パッケージ4を支持する棚を形成する方法(特開平8‐11930号公報参照)、エンボス穴7の底面に、複数の半田ボール6間に位置する微小な突起を突設し、この微小な突起に半導体パッケージ4を支持させることにより、エンボス穴7の底面に対する半田ボール6の接触防止を図る方法(特開2000‐191036号公報参照)が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来のキャリアテープは、以上のように構成されているが、最近の技術動向に鑑みると以下のような問題がある。これを具体的に説明すると、半導体パッケージ4は、最近の高密度実装に伴い複数の半田ボール6間のピッチが狭くなり、しかも、半田ボール6の配列領域が半導体パッケージ4の底面周縁部付近まで拡大してきている(図11参照)。このため、エンボス穴7の周壁10に各半田ボール6が接触するのを防止するには、周壁10の傾斜角度を小さくしなければならないが、そうすると、各エンボス穴7の底面まで半導体パッケージ4が嵌合し、各半田ボール6を保護することができなくなる。
【0007】
また、エンボス穴7の底面に棚を形成する方法の場合、半導体パッケージ4を搭載することができるものの、半導体パッケージ4の姿勢が安定しないので、エンボス穴7の底面に傾いた半導体パッケージ4の半田ボール6が接触し、損傷するという問題が生じる。さらに、エンボス穴7の底面に微小の突起を突設する方法の場合、半田ボール6間のピッチの狭小化に伴い、突起を細くして各半田ボール6に接触しないようにしなければならないが、小さく細い突起の成形は実に困難である。
【0008】
本発明は、上記に鑑みなされたもので、エンボス穴の底面や周壁等に表面実装型の半導体パッケージの電極が接触するのを防止することのできるキャリアテープを提供することを目的としている。
【0009】
本発明においては上記課題を解決するため、テープ材と、このテープ材に凹み形成されて非電極領域を囲む複数の電極を底面に備えた表面実装型の半導体パッケージを収納するエンボス穴とを備えたものであって、
エンボス穴の底部に、半導体パッケージの非電極領域を支持する上げ底を形成し、この上げ底により、半導体パッケージの複数の電極とエンボス穴の底部とを離隔させるようにし、エンボス穴の周壁を形成する複数の対向壁を開口側から底部方向に向けて徐々に狭まるようそれぞれ傾斜させるとともに、半導体パッケージの最も外側に位置する電極とこれに近接する底面端部とのなす角度をθ1とし、エンボス穴の各対向壁の底部垂線に対する傾斜角度をθ2とするとき、θ1>θ2≧0の関係式を満たすようにし、半導体パッケージの底面周縁部付近が僅かな隙間で遊嵌するよう形成し、半導体パッケージの非電極領域と対向する上げ底の平坦部で半導体パッケージを水平に支持し、各対向壁が、半導体パッケージの水平性が損なわれた場合に、半導体パッケージの周縁部を位置決め接触支持可能であることを特徴としている。
【0010】
なお、エンボス穴の各対向壁における底部側の一部をθ2の角度で傾斜させるとともに、各対向壁における開口側の残部をθ3の角度で傾斜させ、θ1>θ3の関係とすることができる。
【0011】
ここで、特許請求の範囲における非電極領域を囲む複数の電極を底面に備えた表面実装型の半導体パッケージとしては、少なくとも各種のBGAタイプやLGAタイプがあげられる。この半導体パッケージの電極には、半田ボールやランドが含まれる。また、対向壁は、エンボス穴の周壁を形成する少なくとも一対の壁(前後の壁、左右の壁)であれば良く、3壁でも良いし、全周壁でも良い。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明すると、本実施形態におけるキャリアテープは、図1ないし図5に示すように、芯材であるリール1に巻回される可撓性のテープ材2と、このテープ材2の長手方向に所定のピッチで並設され、BGAタイプからなる半導体パッケージ4を隙間を介して収納する複数のエンボス穴7と、テープ材2の表面に部分的に接着あるいは熱融着されて複数のエンボス穴7の開口部を被覆する薄肉のシート材(トップテープともいう)12とを備え、各エンボス穴7に複数の上げ底9を突出形成し、各上げ底9に半導体パッケージ4を搭載支持させてその複数の半田ボール6とエンボス穴7の底面とを離隔させるようにし、エンボス穴7の周壁10を形成する全対向壁11を徐々に狭まるよう傾斜させ、各対向壁11に傾いた半導体パッケージ4を接触支持させるようにしている。
【0013】
テープ材2は、図1に示すように、所定の材料を使用してプレス成形、真空成形、圧空成形、真空圧空成形等の手法により厚さ0.2〜0.5mmの長尺シートに製造され、長手方向の両側部に送り用の複数のスプロケット孔3がそれぞれ一列に並設される。このテープ材2の材料としては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アモルファスポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ABS樹脂等があげられる。また、これらの樹脂にカーボンを練り込んだり、樹脂シートの表面に導電コーティングを施したもの、上記樹脂の1種、2種類以上のブレンドあるいはアロイ等があげられる。
【0014】
複数のスプロケット孔3は、本実施形態ではテープ材2の両側部に所定のピッチでそれぞれ穿孔されるが、必要に応じ、テープ材2の一側部のみに所定のピッチで穿孔される。この複数のスプロケット孔3は、図2に示すように、テープ材2の両側部に穿孔される場合には、装置との寸法誤差を吸収できるよう、テープ材2の幅方向に長軸を向けた小判形や楕円形、円形にそれぞれ形成されるが、テープ材2の一側部のみに穿孔される場合、貫通した円形等に形成される。
【0015】
半導体パッケージ4は、図11に示すように、矩形の底面中央部に平坦な非電極領域5が矩形に区画形成され、底面の中央部以外の非中央部には、電極である複数の半田ボール6がXY方向に並設されており、この複数の半田ボール6が非電極領域5を包囲している。この半導体パッケージ4は、最も外側に位置する半田ボール6の中心部からこれに近接する底面周縁部までの長さがa、半田ボール6のφがd、半田ボール6の高さがbに形成される(図4参照)。半導体パッケージ4の最も外側に位置する半田ボール6とこれに近接する底面周縁部との接線は、半導体パッケージ4の厚さ方向の垂線とθ1の角度を形成する。
【0016】
各エンボス穴7は、図2や図3に示すように、基本的には平面略矩形で断面略U字形あるいはすり鉢形に凹み形成され、底面の中心部には貫通孔8が選択的に穿孔されており、この貫通孔8を利用して半導体パッケージ4の有無が光電センサで検出されたり、収納された半導体パッケージ4がエンボス穴7から押し出して取り出される。エンボス穴7の底面の一部は、断面略逆すり鉢形に底上げされて平面矩形の上げ底9とされており、この平坦な一対の上げ底9上に半導体パッケージ4の非電極領域5が着脱自在に搭載支持されることにより、底面と半導体パッケージ4の半田ボール6とが離れてエンボス穴7の底面や周壁10に対する半田ボール6の接触が有効に防止される。この上げ底9の高さgは、図5に示すように、半田ボール6の高さbよりも大きな寸法に設定される。
【0017】
本実施形態では基本的には一対の上げ底9により半導体パッケージ4が搭載されるが、半導体パッケージ4の姿勢の安定性を確保するため、エンボス穴7の前後左右の周壁10を形成する対向壁11が開口側から底部方向に向け徐々に狭まるようそれぞれ傾斜(例えば15°の傾斜角度)し、この傾斜した全対向壁11に傾いた半導体パッケージ4の底面周縁部が接触支持される。各対向壁11の傾斜角度は以下のように決められる。
【0018】
すなわち、半導体パッケージ4の最も外側に位置する半田ボール6の中心部からこれに近接する底面周縁部までの長さをa、半田ボール6のφをd、半田ボール6の高さをbとし、半導体パッケージ4の最も外側に位置する半田ボール6とこれに近接する底面周縁部との接線が半導体パッケージ4の厚さ方向の垂線となす角度をθ1とするとき、最外周の半田ボール6と接触しないエンボス穴7の対向壁11の傾斜角度θ2は、θ1よりも小さくなるよう設定されなくてはならない。換言すれば、θ1、θ2は、θ1>θ2の関係となる。
【0019】
ここで、θ1の値は次式により計算することができる。
【数1】
【0020】
上げ底9と対向壁11の役割は、基本的には上げ底9が半導体パッケージ4を搭載支持し、半導体パッケージ4の水平性が損なわれた場合にエンボス穴7の傾斜した対向壁11が半導体パッケージ4の底面周縁部に位置決め接触支持し、半導体パッケージ4の必要以上の傾斜を規制するとともに、ピックアップを容易かつ確実にする。したがって、エンボス穴7に半導体パッケージ4が収納され、上げ底9に半導体パッケージ4が搭載支持される場合には、エンボス穴7に半導体パッケージ4が僅かな隙間を介して遊嵌されることとなる。この僅かな隙間は、通常0よりも大きく、0.5mmよりも小さい。
【0021】
上記構成によれば、上げ底9が半導体パッケージ4を原則として搭載支持するので、例えエンボス穴7の周壁10の傾斜角度を小さくしても、エンボス穴7の底面まで半導体パッケージ4が嵌合することがなく、半田ボール6をきわめて有効に保護することができる。また、各対向壁11が傾斜した半導体パッケージ4の姿勢を補助的に安定させるので、エンボス穴7の底面に傾いた半導体パッケージ4の半田ボール6が接触、汚染、損傷、磨耗するという問題を有効に解消することができる。さらに、上記により、エンボス穴7の底面に微小の突起を突設して半導体パッケージ4を搭載する必要がないので、成形作業の円滑化、簡素化、容易化が大いに期待できる。
【0022】
次に、図6は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、各エンボス穴7の対向壁11における下方底部側の一部をθ2の角度で傾斜させるとともに、対向壁11における上方開口側の残部をθ3の角度で傾斜させ、これらの角度θ2、θ3をθ2>θ3の関係にするようにしている。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0023】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、θ2、θ3という2つの角度で各対向壁11を上下二段に連続傾斜させるので、1の角度で各対向壁11を傾斜させる場合に比べ、エンボス穴7の開口寸法を小さくすることができる。これにより、エンボス穴7間のピッチを狭くして生産性を向上させることが可能となる。
【0024】
次に、図7は本発明の第3の実施形態を示すもので、この場合には、各エンボス穴7の対向壁11における下方底部側の一部をθ2の角度で傾斜させるとともに、対向壁11における上方開口側の残部をθ3の角度で外側にさらに傾斜させ、これらの角度θ2、θ3をθ2<θ3の関係にするようにしている。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0025】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、角度θ2が小さいので、半導体パッケージ4の位置精度の要求が厳しい場合にきわめて有効である。また、対向壁11における上方開口側を外側に広く拡開傾斜させるので、半導体パッケージ4の嵌合量が少なく、半導体パッケージ4の容易な取り出しが大いに期待できる。
【0026】
なお、上記実施形態では貫通孔8の左右に平面矩形の上げ底9をそれぞれ立設したが、なんらこれに限定されるものではない。例えば、貫通孔8の左右に平面円形の上げ底9をそれぞれ立設しても良いし、エンボス穴7の底面の大部分を断面略逆すり鉢形に底上げして平面矩形の上げ底9とし、この上げ底9に貫通孔8を穿孔しても良い。
【0027】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、エンボス穴の底面や周壁等に表面実装型の半導体パッケージの電極が接触するのを有効に防止することができるという効果がある。
すなわち、上げ底が半導体パッケージを原則として搭載支持するので、例えエンボス穴の周壁の傾斜角度を小さくしても、エンボス穴の底面まで半導体パッケージが嵌合することがなく、電極を有効に保護することができる。また、各対向壁が傾斜した半導体パッケージの姿勢を補助的に安定させるので、エンボス穴の底面に傾いた半導体パッケージの電極が接触、汚染、損傷、磨耗するという問題を有効に解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るキャリアテープの実施形態を示す全体斜視図である。
【図2】本発明に係るキャリアテープの実施形態を示す平面図である。
【図3】本発明に係るキャリアテープの実施形態を示すIII‐III線断面説明図である。
【図4】本発明に係るキャリアテープの実施形態におけるBGAタイプの半導体パッケージを示す側面図である。
【図5】本発明に係るキャリアテープの実施形態におけるエンボス穴を示す断面図である。
【図6】本発明に係るキャリアテープの第2の実施形態を示す断面説明図である。
【図7】本発明に係るキャリアテープの第3の実施形態を示す断面説明図である。
【図8】従来のキャリアテープを示す平面図である。
【図9】図8の断面説明図である。
【図10】従来の他のキャリアテープを示す断面説明図である。
【図11】BGAタイプの半導体パッケージを示す底面図である。
【符号の説明】
1 リール
2 テープ材
4 半導体パッケージ
5 非電極領域
6 半田ボール(電極)
7 エンボス穴
9 上げ底
10 周壁
11 対向壁
Claims (2)
- テープ材と、このテープ材に凹み形成されて非電極領域を囲む複数の電極を底面に備えた表面実装型の半導体パッケージを収納するエンボス穴とを備えたキャリアテープであって、
エンボス穴の底部に、半導体パッケージの非電極領域を支持する上げ底を形成し、この上げ底により、半導体パッケージの複数の電極とエンボス穴の底部とを離隔させるようにし、エンボス穴の周壁を形成する複数の対向壁を開口側から底部方向に向けて徐々に狭まるようそれぞれ傾斜させるとともに、半導体パッケージの最も外側に位置する電極とこれに近接する底面端部とのなす角度をθ1とし、エンボス穴の各対向壁の底部垂線に対する傾斜角度をθ2とするとき、θ1>θ2≧0の関係式を満たすようにし、半導体パッケージの底面周縁部付近が僅かな隙間で遊嵌するよう形成し、半導体パッケージの非電極領域と対向する上げ底の平坦部で半導体パッケージを水平に支持し、各対向壁が、半導体パッケージの水平性が損なわれた場合に、半導体パッケージの周縁部を位置決め接触支持可能であることを特徴とするキャリアテープ。 - エンボス穴の各対向壁における底部側の一部をθ2の角度で傾斜させるとともに、各対向壁における開口側の残部をθ3の角度で傾斜させ、θ1>θ3の関係とした請求項1記載のキャリアテープ。
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