JP4518530B2 - 廃棄物埋立護岸構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃棄物埋立護岸構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
廃棄物埋立護岸の止水構造物の破損の監視は、例えば廃棄物埋立護岸の止水構造物と護岸構造物との間の地盤や地下水等の検体をサンプリングし、採取した検体に有害物質が含まれているかを分析すること等により行っている。
従来このサンプリング方法としては、サンプリング地点に一定の間隔で井戸を設ける等して検体を採取していた。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】
しかし前記したサンプリング方法にあっては、次のような問題点がある。
<イ>廃棄物埋立護岸の止水構造物と護岸構造物との間に存する水により、漏出物が希釈されてしまうため、有害物質の漏出があるにもかかわらず分析の検出限界を下回ってしまうような検体しか採取できない場合があった。
<ロ>広大な面積を有する採取区域において、点による採取しかできなかった。したがって、井戸の設置間隔の中央で有害物質が漏出した場合には、有害物質を含む検体を採取できないことから有害物質の検出洩れを招いていた。
【0004】
【本発明の目的】
本発明は、上記したような従来の問題を解決するためになされたもので、漏出物の希釈化および検出洩れを防止できる廃棄物埋立護岸構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明は、廃棄物を埋め立てる廃棄物層と、廃棄物層と外部の境界に立設する止水構造物と、止水構造物の外部に隣接して形成する護岸構造物と、護岸構造物の背面側に、かつ、止水構造物に隣接して形成する背面層と、前記背面層の止水構造物に設置したサンプリング装置を有し、前記サンプリング装置は遮水シートと、該遮水シートの下端部に取り付ける集水部と、該集水部に取り付け、背面層表面まで伸延する井戸管からなり、前記集水部は背面層の底部に位置し、遮水シートは止水構造物に沿って背面層を鉛直方向に仕切るように背面層の表面まで連続して張設した廃棄物埋立護岸構造である。
また、廃棄物を埋め立てる廃棄物層と、廃棄物層と外部の境界に立設する止水構造物と、止水構造物の外部に隣接して形成する護岸構造物と、護岸構造物の背面側に、かつ、止水構造物に隣接して形成する背面層と、前記背面層に設置したサンプリング装置を有し、前記サンプリング装置は、前記止水構造物に対向させて背面層の表面から鉛直方向に、かつ、互いに間隔を隔てて複数立設した集水部と、前記複数立設した集水部間に取り付けて張設した遮水シートからなり、前記遮水シートは止水構造物に沿って背面層を鉛直方向に仕切るように背面層の表面まで連続して張設した、廃棄物埋立護岸構造である。
また、前記集水部は、周面に多数孔を有する集水管及びに該集水管の周囲に設けたフィルターからなることを特徴とする、前記記載の廃棄物埋立護岸構造である。
また、前記護岸構造物の前記背面層側側面と前記背面層の底面に遮水シートを敷設したことを特徴とする前記何れかに記載した廃棄物埋立護岸構造である。
【0006】
【本発明の実施の形態】
以下図面を参照しながら本発明の実施例について説明する。
【0007】
<イ>サンプリング装置の構成
図1に示すように、サンプリング装置1は、周面に多数孔を有する集水管11a及びに該集水管11aの周囲に設けたフィルター11bからなる集水部11と、該集水管11aに取り付ける遮水シート12とから構成する。
【0008】
<ロ>集水部
集水部11は、周面に多数孔を有する集水管11a及びに該集水管11aの周囲に設けたフィルター11bから構成する。
【0009】
<ハ>集水管
集水管11aは、周面に多数孔を有する公知の管を使用する。
集水管11aの周面に有する多数孔は、採取対象物のサンプリングに必要な大きさ及び数とする。集水管11aの周面に多数孔を有することにより、集水管11aの端部からだけでなく集水管11aの全周囲からサンプリングすることができる。
【0010】
<ニ>フィルター
フィルター11bは、集水管11aの周囲に設ける。例えば集水管11aを囲繞するように設けると効果的である。フィルター11bはパイプ管の目詰まりの原因となる土等の通過を阻止できるものであれば良く、例えば不織布をパイプ管の周囲に設けることによりパイプ管の多数孔が目詰まりすることを防止することができる。
【0011】
<ホ>遮水シート
遮水シート12は、例えばEPR(エチレン、プロビレン、ゴム)系、アスファルト系、及びに塩化ビニール系等の公知の遮水シートを利用する。
遮水シート12は集水部11に取り付ける。遮水シート12は、集水部11の集水管11aないしフィルター11bの何れに取り付けてもよい。遮水シート12を集水部11のフィルター11bに取り付けた場合には、フィルター11bは帯状に巻かれていることから遮水シート12及びフィルター11bを配置した後、集水管11aをフィルター11bの帯内に挿入することによりサンプリング装置1を設置できる。
遮水シート12の大きさは、集水管11aの長さや設置範囲を考慮して適宜設定する。
【0012】
【実施例1】
本実施例においては新設の廃棄物埋立護岸の止水構造物において行うサンプリング方法について図1及び図3に基づき説明する。
<イ>サンプリング装置の設置
護岸構造物3と廃棄物埋立護岸の止水構造物2との間に背面層6を形成するための空間を設ける。この空間に砕石等の透水材を充填する前に、現場にサンプリング装置1を搬入して設置する。
【0013】
護岸構造物3の背面層6側の側面と背面層6の底面に遮水シート12を敷設する。
これによって、前記底面からの地下水等の浸水を防止することができる。
背面層6の廃棄物埋立護岸の止水構造物2に近接する側に、サンプリング装置1の集水部11を透水層の底面に這わせて設置する。
集水部11は鉛直方向に設置する場合もある。
集水部11に取り付ける遮水シート12を鉛直方向に向けて張設する。
井戸管5を集水管11aから背面層6表面に向けて必要数設置する。井戸管5は、背面層6の底面に設置した集水管11aにより採取した漏出物等の検体を背面層6の外へ汲み上げるための経路となる部材であり、汲み上げ場所の地質を考慮して検体の汲み上げに適した公知のパイプ管を使用する。
集水部11の周囲を砕石7で覆う(図3参照)。
【0014】
<ロ>土等の埋め戻し
護岸構造物3と廃棄物埋立護岸の止水構造物2との間に背面層6を形成するための空間内にサンプリング装置1を設置し終えたら当該空間内に土、砂、砕石等を埋め戻す。
こうして背面層6が完成する。
【0015】
<ハ>サンプリングの実施
井戸管5を通じて集水管11aから検体のサンプリングを行う。
サンプリングした検体は、モニタリングを行うなど所定の用に供することができる。
このようにしてサンプリングされた検体は、廃棄物層4の有害物質が止水構造物2から漏出した場合であっても希釈されないため有害物質の検出洩れのない信頼性の高いモニタリングが可能である。
【0016】
【実施例2】
本実施例においては既設の廃棄物埋立護岸の止水構造物2の背面において行うサンプリング方法について説明する。既設の廃棄物埋立護岸の止水構造物2においては、護岸構造物3と廃棄物埋立護岸の止水構造物2との間に既に透水材が充填された背面層6が形成されているため、この背面層6内にサンプリング装置1を埋設する。
【0017】
前記背面層6の止水構造物に近接する側に、集水部11を鉛直方向に向けて設置する(図2参照)。ここで、集水部11の設置は鉛直方向に限られるわけではなく、背面層6の底部に水平方向に設置する場合もある(図1参照)。かかる場合には集水管11aにより採取した漏出物等の検体を背面層6の外へ汲み上げるための経路となる井戸管5を集水管11aから背面層6表面に向けて必要数設置する。
集水部11は、設置場所の広さに応じて必要数設置する
前記遮水シート12を鉛直方向に張設する。特に集水部11を複数設置した場合には、図2に示すように各集水部11の間を遮水シート12で塞ぐようにして張設する。
こうしてサンプリング装置1の設置が完了する。
背面層6の表面に露出した集水管11aから検体のサンプリングを行うことができる。
【0018】
本実施例における集水部11と遮水シート12の設置は、公知の鉛直シート工法を利用してそのまま設置することも可能である。
既設の廃棄物埋立護岸の止水構造物2背面の背面層6にサンプリング装置1を設置する場合であっても深度が浅く掘削が可能である場合には前述の実施例1と同様の方式を採用してもよい。
【0019】
【本発明の効果】
本発明は、以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<イ>集水部に取り付ける遮水シートにより、廃棄物層の止水構造物からの漏出物は遮水シートを通過できないため、止水構造物の破損個所から離れた場所に集水管が設置されていても漏出物が原液に近い形で集水管に集中する。この結果、従来の点によるサンプリングと異なり、集水部の設置間隔の中央で有害物質が漏出した場合でも洩れなく検出できる。
<ロ>サンプリング装置を背面層の廃棄物埋立護岸の止水構造物に近接する側に設置していることから、止水構造物からの漏出物の自由な希釈化を防止することができる。
<ハ>止水構造物の背面層側側面と背面層の底面とに遮水シートを敷設する場合には、背面層底面からの地下水等の浸水を防止することができる。この結果、浸水による漏出物の希釈化を阻止することができる。
<ニ>周面に多数孔を有する集水管の周囲にフィルターを設けていることから、集水管の周面に有する多数孔の目詰まりを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の説明図。
【図2】本発明の説明図。
【図3】実施例の説明図。
【符号の説明】
1・・・・サンプリング装置
11・・・集水部
11a・・集水管
11b・・フィルター
12・・・遮水シート
2・・・・止水構造物
3・・・・護岸構造物
4・・・・廃棄物層
5・・・・井戸管
6・・・・背面層
7・・・・砕石

Claims (4)

  1. 廃棄物を埋め立てる廃棄物層と、
    廃棄物層と外部の境界に立設する止水構造物と、
    止水構造物の外部に隣接して形成する護岸構造物と、
    護岸構造物の背面側に、かつ、止水構造物に隣接して形成する背面層と、
    前記背面層に設置したサンプリング装置を有し、
    前記サンプリング装置は遮水シートと、該遮水シートの下端部に取り付ける集水部と、該集水部に取り付け、背面層表面まで伸延する井戸管からなり、
    前記集水部は背面層の底部に位置し、遮水シートは止水構造物に沿って背面層を鉛直方向に仕切るように背面層の表面まで連続して張設した、
    廃棄物埋立護岸構造。
  2. 廃棄物を埋め立てる廃棄物層と、
    廃棄物層と外部の境界に立設する止水構造物と、
    止水構造物の外部に隣接して形成する護岸構造物と、
    護岸構造物の背面側に、かつ、止水構造物に隣接して形成する背面層と、
    前記背面層に設置したサンプリング装置を有し、
    前記サンプリング装置は、前記止水構造物に対向させて背面層の表面から鉛直方向に、かつ、互いに間隔を隔てて複数立設した集水部と、前記複数立設した集水部間に取り付けて張設した遮水シートからなり、
    前記遮水シートは止水構造物に沿って背面層を鉛直方向に仕切るように背面層の表面まで連続して張設した、
    廃棄物埋立護岸構造。
  3. 前記集水部は、周面に多数孔を有する集水管及びに該集水管の周囲に設けたフィルターからなることを特徴とする、前記請求項1又は請求項2に記載の廃棄物埋立護岸構造。
  4. 前記護岸構造物の前記背面層側側面と前記背面層の底面に遮水シートを敷設したことを特徴とする前記請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載した廃棄物埋立護岸構造。
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