JP4518474B2 - アルギン酸塩ゲル微細粒子およびその微細カプセルの製造方法 - Google Patents

アルギン酸塩ゲル微細粒子およびその微細カプセルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アルギン酸塩ゲル微細粒子及びこれを利用する微細カプセルの製造方法に関し、更に詳細には、平均粒径が1μm以下の、いわゆるサブミクロンの粒径を有するアルギン酸ゲル微細粒子および微細カプセルの製造方法に関する。
最近、ミクロン以下の極めて微細な粒径の粒子を得るための研究が盛んに行われている。このような、サブミクロンの粒径を有する微粒子のうち、水と親和性のあるものは、生体機能性物質運搬剤、保湿剤、静電気防止剤、滑剤等、種々の分野における用途が期待されている。
特に、生体内での生体機能性物質運搬剤は、生体内の所望の場所に到達するまで薬物等の放出を抑えたり、生体内での薬物等の放出速度を制御したりする用途に用いられるものであり、薬効成分や、酵素等運搬されるものへの影響が小さいこと、さらには、細胞への影響も小さく、生体の免疫拒絶反応が起こりにくいこと等が必要とされている。しかも、生体機能性物質運搬剤として、毛細血管等の細部まで薬物等を運搬させるためには、その生体機能性物質運搬粒子の粒子径が1μmより小さいことが求められている。
しかしながら、上記のような生体機能性物質運搬剤として使用可能な、均質なサブミクロン径を有する微粒子等を製造することは、現実的に極めて難しく、実用に足るサブミクロンの微細粒子は、未だ実現できていないというのが現状である。
本発明はかかる技術背景に鑑みてなされたものであり、その課題は、水と親和性があり、毛細血管等の細部まで薬物等を運搬可能なサブミクロン径を有するゲル微細粒子や、微細カプセルの製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、人工イクラ等の製造に応用されているにすぎなかったアルギン酸塩を原料とし、電気毛管乳化法により、この水溶液を非水有機溶媒中に滴下して油中水型エマルジョンを得、これに更に二価金属を作用させることによりゲル化させれば、アルギン酸塩ゲルの微細粒子を得ることができることを見出した。また、上記アルギン酸塩ゲル微細粒子にカチオン性ポリマーを作用させることにより、これを被覆することが可能であり、微細カプセルが得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、電気毛管乳化法により、アルギン酸塩を含む水溶液を非水系有機溶媒中に滴下して、油中水型エマルションとする工程および前記非水系有機溶媒に溶解された多価金属塩化合物により前記油中水型エマルションをゲル化させる工程を含むアルギン酸塩ゲル微細粒子の製造方法である。
また、本発明は、電気毛管乳化法により、アルギン酸塩水溶液を非水系有機溶媒中に滴下して、油中水型エマルションとする工程および前記非水系有機溶媒に溶解された多価金属塩化合物により前記油中水型エマルションをゲル化させる工程を含む方法によりアルギン酸塩ゲル微細粒子を製造した後、当該ゲル微細粒子に、カチオン性ポリマーを作用させることを特徴とする微細カプセルの製造方法である。
本発明によれば、極めて微細で均質な粒径のアルギン酸塩ゲル微細粒子およびカチオン性被覆微細カプセルを製造することができる。そして、このもののアルギン酸ゲル内部に、薬効成分や、酵素等生体機能性物質を含有させておけば、生体等への影響が小さい優れた生体機能性物質運搬剤として利用することができる。またその他、保湿剤、静電気防止剤、滑剤等として優れた性能の微細カプセルとしても利用することができる。
本発明のアルギン酸塩ゲル微細粒子(以下、「ゲル微細粒子」という)は、電気毛管乳化法により、アルギン酸塩を含む水溶液(以下、「アルギン酸塩水溶液」という)を非水系有機溶媒中に滴下して、油中水型エマルションとする工程と、この油中水型エマルションを有機溶媒に溶解された多価金属塩化合物によりゲル化させる工程を組み合わせることにより製造される。
このうち、電気毛管乳化法自体は、既に公知の方法が使用できる。
本発明において使用されるアルギン酸塩としては、水に溶解するものであれば特に限定はなく使用されるが、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム等が好ましい。特に好ましくは、アルギン酸ナトリウムである。このアルギン酸塩のアルギン酸塩水溶液中での濃度は特に限定はないが、1質量%〜50質量%(以下、単に「%」で示す)が好ましく、特に好ましくは、5%〜25%である。
また、このアルギン酸水溶液中には、次工程での多価金属塩化合物による油中水型エマルジョンのゲル化促進のため、水溶性の有機溶剤を含有させておくことが好ましい。この水溶性の有機溶剤は特に限定はないが、低級アルコールが好ましく、生体に適用させる場合を考慮すれば、生体に対する安全性の高いもの、具体的には、エタノール、グリセリン等が特に好ましい。アルギン酸塩水溶液中に、水溶性の有機溶剤は、好ましくは、5%ないし25%程度含有せしめる。
更に、本発明のゲル微細粒子又はカチオン性ポリマー被覆微細カプセル(以下、「被覆微細カプセル」という)を生体機能性物質運搬剤として使用する場合は、上記アルギン酸塩水溶液中に薬効成分や酵素などの生体機能性物質を配合することが必要である。この生体機能物質の配合量は、必要投与量などから求めることができる。
一方、本発明において使用される非水系有機溶媒とは、水と完全には相溶し合わない有機溶剤をいい、実質的にほとんど水に溶解しない有機溶剤が好ましい。水との相溶性があると、良好な油中水型エマルションが得られない場合があり、またこのような溶剤では、電気抵抗が低いために電圧降下が起こり、油水界面にのみ電圧がかからない場合がある。好ましい非水系有機溶媒の例としては、常温で液体の、炭化水素、含ハロゲン有機化合物、脂肪族カルボン酸アルキルエステル等が挙げられ、それらは1種又は2種以上を混合して用いられる。特に好ましくは具体的に、シクロヘキサン、クロロホルム、ミリスチン酸イソプロピル等であり、これらの混合溶媒も特に好ましい。
この非水系有機溶媒中には、微細な油中水型エマルションを製造するために、更にHLBが6以下の界面活性剤を含有させることが好ましい。このHLBが6以下の界面活性剤の化学構造には特に限定はなく、特に好ましくは、HLBが、2ないし6の界面活性剤である。このような界面活性剤の具体例としては、ソルビタンセスキオレエート等が挙げられる。有機溶媒全体に対する、HLBが6以下の界面活性剤の含有量は特に限定はないが、0.5%〜6%が好ましく、特に好ましくは、1%〜3%である。
上記油中水型エマルションを得る工程において、電気毛管乳化法で使用される装置の一例を図1に示す。図中、1は、容器、2はシリンジ、3は負極、4はニードル(正極)、5は電源、6はスターラーであり、Aはアルギン酸塩水溶液、Bは有機溶媒である。この装置では、有機溶媒Bを入れた容器1中にリング状の負極3を設けるとともに、アルギン酸塩水溶液Aをシリンジ2から滴下するとともにその先端のニードル4を正極とし、この間に電源5により高圧の直流電圧を印加する機構となっている。そして、ニードル4から滴下されたアルギン酸塩水溶液Aは、直流電圧により極めて微細な油中水型エマルションとなるのである。
この、電気毛管乳化法で使用される直流電圧の大きさは、充分小さな油中水型エマルションができれば特に限定はないが、500V以上であることが好ましく、特に好ましくは、1000V〜2000Vである。
アルギン酸塩水溶液Aを有機溶媒B中に添加する方法は特に限定はないが、小さな直径の油中水型エマルションを容易に作るために、アルギン酸塩水溶液Aをシリンジ2から、撹拌されている有機溶媒中に徐々に滴下する方法が好ましい。この時の撹拌方法も特に限定はないが、スターラー6を使用する方法の他、通常の撹拌羽根を用いる方法等が挙げられる。本願発明においては、回転数が大きい特殊な撹拌よりも、通常の撹拌羽根を用いたもの、マグネチックスターラー等の一般的な撹拌方法が、その効果を有効に生かせるので好ましい。
更に、有機溶媒Bに対するアルギン酸塩水溶液の添加比率も特に限定はないが、好ましくは、有機溶媒100質量部に対し、アルギン酸塩水溶液を、1〜30質量部程度、特に、2〜10質量部添加することが特に好ましい。
以上のようにして、電気毛管乳化法で得られた油中水型エマルションは、前記有機溶媒に溶解された多価金属塩化合物によりゲル化される。
本発明において使用する多価金属塩化合物は、有機溶媒中で溶解し、アルギン酸塩を含む油中水型エマルション粒子に作用してこれをゲル化するものである。この多価金属塩化合物としては、用いる有機溶媒に実質的に溶解するものであれば特に限定なく使用できるが、好ましくは、有機溶媒への溶解性を上げるために大きな有機基に結合したスルホン酸塩、カルボン酸塩、硫酸塩等の多価金属塩化合物が挙げられる。この化合物における多価金属の例としては、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、バリウム塩等が挙げられ、特に好ましくは、カルシウム塩等である。
かかる多価金属塩化合物の好ましい具体例としては、ジアルキルスルホサクシネートの多価金属塩等が挙げられ、ジオクチルスルホサクシネートのカルシウム塩が特に好ましい。
本発明においては、上記多価金属塩化合物を有機溶媒に溶解させることにより、エマルション粒子中のアルギン酸塩をゲル化させるのであるが、多価金属塩化合物を有機溶媒に添加溶解させる時期には特に限定はない。すなわち、最初の工程において、アルギン酸塩水溶液を有機溶媒中に添加するのに先立ち、予め有機溶媒に添加溶解させておいても良く、また、アルギン酸塩水溶液を非水系有機溶媒中に添加している途中で、段階的に添加溶解しても、アルギン酸塩水溶液を有機溶媒中に添加し終わってから添加溶解させても良い。このうち、最も好ましい方法は、アルギン酸塩水溶液を有機溶媒中に添加し終わってから、多価金属塩化合物を有機溶媒に添加溶解させる方法であり、この場合の反応は、電気毛管乳化法で油中水型エマルションを形成する第1工程と、油中水型エマルジョンをゲル化する第2工程の二工程反応となる。
多価金属塩化合物の非水系有機溶媒中における含有量は特に限定はないが、0.5mM以上が好ましく、特に好ましくは、10mM以上である。
以上のようにして得られたアルギン酸塩のゲル微細粒子は、それ自身極めて微細で均質なものであり、そのままでも使用され得るが、更に被覆微細カプセルとして使用することもできる。
この被覆微細カプセルは、上記のようにして得られたゲル微細粒子に、カチオン性ポリマーを作用させることにより得られる。
ゲル微細粒子を被覆するために用いるカチオン性ポリマーとしては、ゲル微細粒子の表面でカプセル壁を形成するものならば特に限定はないが、ポリマーの主鎖が、ポリアミド、ポリエステル、ビニル系ポリマー、多糖類等で構成され、側鎖にアンモニウムカチオンを有するポリマーが好ましい。このうち、生体に適用する場合を考慮すれば、ポリアミノ酸等のポリアミド等;アミノ基含有多糖類等が特に好ましい。具体的には、リジン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファン等の塩基性アミノ酸の重合物であるポリアミノ酸;キトサン等の多糖類が挙げられる。また、カチオン性ポリマーの対アニオンも特に限定はないが、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硝酸イオン等が好ましく、特に塩素イオン、臭素イオン等が好ましい。
上記カチオン性ポリマーをゲル微細粒子に作用させる方法としては、特に限定はないが、ゲル微細粒子の水分散液と、カチオン性ポリマーの水溶液とを混合させる方法が好ましい。この場合、製造直後のゲル微細粒子の分散媒は、有機溶媒であるので、それを水に置換する必要がある。置換の方法としては、ゲル微細粒子を遠心分離して、それを水に再分散させる方法等が挙げられる。
カチオン性ポリマー水溶液でのカチオン性ポリマーの含有量は特に限定はないが、0.01%〜1%が好ましく、特に好ましくは、0.01%〜0.1%である。また、分散媒置換した後のゲル微細粒子の水分散液全体に対する含有量も、特に限定はないが、0.5%〜20%が好ましく、特に好ましくは、0.5%〜2%である。
ゲル微細粒子の水分散液と、カチオン性ポリマーの水溶液とを混合し、ゲル微細粒子表面にカプセル壁材を形成させ、被覆するための条件は、特に制約されるものではないが、5〜50℃程度、好ましくは10〜30℃の温度で、30分以上、好ましくは2時間以上撹拌を行うことが好ましい。
以上のようにして得られた本発明の被覆微細カプセルは、水などに分散した懸濁液の状態で使用することもできるが、これを遠心分離等の分離手段で分離した状態、あるいはこれを更に乾燥させた粉体の状態で使用することもできる。
かくして得られる本発明のゲル微細粒子および被覆微細カプセルは、その平均粒径がいずれも1μm以下のものである。好ましくは何れも、100nmから800nmの範囲のものである。従って、これらは、サブミクロン径のゲル微細粒子ないし被覆微細カプセルとして、薬効成分や、酵素等生体機能性物質を生体内に投与するための生体機能性物質運搬剤として利用することができる。またその他、保湿剤、静電気防止剤、滑剤等として使用することもできる。
本発明方法により、サブミクロン以下の径のゲル微細粒子ないし被覆微細カプセルが得られる理由は以下のように考えられる。すなわち、電気毛管乳化法を採用したことにより、原始的に極めて微細な油中水型エマルションが形成される。しかも、この微細なエマルションが形成された、有機溶剤中には、多価金属塩化合物が溶解されているため、これがこのエマルション中に浸透して、アルギン酸塩をゲル化させ、微細な径のままゲル微細粒子が形成される。
さらに、このゲル微細粒子は水中で負に帯電しているので、これにカチオン性ポリマーを作用させることにより、クーロン力によって、ゲル微細粒子表面にカチオン性ポリマー被膜が形成され、これも微細な径のまま被覆微細カプセルとなると考えられる。
次に、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお実施例中、アルギン酸塩水溶液をそこに含有される物質と共に「水相」と略記し、非水系有機溶媒とそこに含有される物質とを共に「油相」と略記する。
実 施 例 1
ゲル微細粒子の製造:
図1に示すような電気毛管乳化装置を用い、アルギン酸ナトリウムを含有する水溶液(水相)からゲル微細粒子を得た。まず、電気毛管乳化装置のニードル部分と油相に沈めた金線リングとの間に、前者を正極に、後者を負極にして、1500Vの直流電圧を印加した。
下記に示す組成の水相1mLをシリンジの針先から、下記に示す組成の油相30mL中に、マグネチックスターラーで撹拌しながら、20℃で、1.5時間かけて滴下した。
滴下終了後、下記参考例で製造した式(1)で示される2−エチルヘキシルスルホスクシネートのカルシウム塩(以下「Ca(AOT)」と略記する)を、油相全体に対して表1に記載の濃度となるように添加し、番号1ないし8のゲル微細粒子を得た。
<水相の組成>
アルギン酸ナトリウム 1.0%
エタノール (表1)
水 残 量
<油相の組成>
ソルビタンセスキオレエート(HLBが6以下の界面活性剤) 2%
シクロヘキサン/クロロホルム=2:1(質量比) 残 量
Ca(AOT) (表1)
参 考 例
Ca(AOT)の調製:
2−エチルヘキシルスルホスクシネートのナトリウム塩 2gをメタノール100mLに溶解させ、20℃で撹拌しながら、そこに無水塩化カルシウム0.6gを100mLの水に溶解した液を添加した。液が白濁した後に溶媒を留去し、減圧乾燥させて、式(1)で示されるCa(AOT)を得た。
試 験 例 1
実施例1で得られた番号8のゲル微細粒子の容積平均粒径と個数平均粒径を、光散乱式粒度分布計NICOMP ZLS 380(Particle Sizing Systems社製)で測定した。結果を図2に示すが、サブミクロン領域に極めてシャープな粒度分布を有していることが解った。このことはゲル化前のエマルションの段階でも粒度分布がシャープだったことをも示している。
試 験 例 2
実施例1で得られたゲル微細粒子のゲル化状態を、遠心分離することによって評価した。結果を表2に記す。なお判定は以下の基準で行った。
<ゲル化状態の評価>
判 定 : 評価内容
◎ : ゲル形成し、かつゲル強度が強かった。
○ : ゲル強度は強くないものの、充分ゲル形成した。
× : ゲル形成されなかった。
Ca(AOT)を添加しなかったゲル粒子番号4以外はゲルが形成され、その強度は充分使用に耐えるものであった。また、番号1ないし3と、番号8を比較すると、エタノールの添加で、よりゲル強度が強くなった。
実 施 例 2
微細カプセルの製造:
実施例1で得られた番号8のゲル粒子が分散した有機溶媒液(シクロヘキサン/クロロホルム=2:1の混合液)を、1000rpmで遠心分離することにより、ゲル微細粒子のみを取り出した。これをエタノールで洗浄後、分散媒として水を加え、10%のゲル微細粒子の水分散液を得た。
次いで、このゲル微細粒子の水分散液30mLを、0.05%のポリ−L−リジン ブロマイド水溶液20mL中に、撹拌下、20℃で滴下し、更に24時間撹拌を続け、微細カプセルの分散液を得た。
試 験 例 3
実施例2で得られた微細カプセルの容積平均粒径と個数平均粒径を、試験例1と同様にして測定した。結果を図3に示すが、サブミクロン領域に極めてシャープな粒度分布を有していることが解った。
試 験 例 4
実施例2で得られた粒子を透過型電子顕微鏡で観察した。その写真を図4(1万倍)および図5(10万倍)に示すが、これらから球状の微細カプセルの生成が確認できた。また、図5から判るように、その表面には凹凸が見られた。一方、カチオン性ポリマーを作用させる前のアルギン酸ゲル微細粒子では、その表面が滑らかであったことから、作用後の図5に示される粒子表面は、ポリ−L−リジンの膜で覆われていることが確認できた。
また、カプセル化前のゲル微細粒子の状態では、20℃で1日放置すると、乾燥によりゲル微細粒子が潰れて萎んでしまうが、この実施例2で得られたものは、同条件で放置しても球状を保っていた。このことからもゲル微細粒子の表面が、ポリ−L−リジンの膜で覆われて微細カプセルが生成したことが確認できた。
本発明によれば、サブミクロン径を有するアルギン酸塩のゲル微細粒子およびその被覆微細カプセルを製造することができ、それらは、保湿剤、静電気防止剤、滑剤等に好適に用いることができるものである。
特に生体等への影響が小さいアルギン酸塩ゲルを含む被覆微細カプセルを良好に製造することができるので、そのゲル部分に生体機能性物質を含有させることにより、内径が小さい毛細血管等に詰まることなく、生体内の所望の場所で生体機能性物質を放出させたり、その放出速度を制御したりすることが可能な、医療分野にも広く応用できる生体機能性物質運搬剤とすることができる。
本発明方法に使用される電気毛管乳化装置を模式的に示した図面である。 実施例1で得られたゲル微細粒子(番号8)の粒径分布を示すチャートである。 実施例2で得られた微細カプセルの粒径分布を示すチャートである。 実施例2で得られた微細カプセルの透過型電子顕微鏡写真(×1万)である。 実施例2で得られた微細カプセルの透過型電子顕微鏡写真(×10万)である。
符号の説明
1… …容器
2… …シリンジ
3… …負極
4… …ニードル(正極)
5… …電源
6… …スターラー
A… …アルギン酸塩水溶液
B… …有機溶媒

Claims (20)

  1. 電気毛管乳化法によりアルギン酸塩を含む水溶液を非水系有機溶媒中に滴下して油中水型エマルションとする工程および前記非水系有機溶媒に溶解された多価金属塩化合物により前記油中水型エマルションをゲル化させる工程を含むアルギン酸塩ゲル微細粒子の製造方法。
  2. 油中水型エマルションとする工程および当該油中水型エマルションをゲル化させる工程を同時に行う請求項1記載のアルギン酸塩ゲル微細粒子の製造方法。
  3. 油中水型エマルションとする工程の後に、当該油中水型エマルションをゲル化させる工程を行う請求項1記載のアルギン酸塩ゲル微細粒子の製造方法。
  4. 非水系有機溶媒が、炭化水素、含ハロゲン有機化合物及び脂肪族カルボン酸アルキルエステルよりなる群から選ばれる有機溶媒の一種または二種以上である請求項1ないし請求項3の何れかの請求項記載のアルギン酸塩ゲル微細粒子の製造方法。
  5. 非水系有機溶媒が、シクロヘキサン、クロロホルム又はミリスチン酸プロピルである請求項1ないし請求項4の何れかの請求項記載のアルギン酸塩ゲル微細粒子の製造方法。
  6. 非水系有機溶媒が、HLBが6以下の界面活性剤を含有するものである請求項1ないし請求項5の何れかの請求項記載のアルギン酸塩ゲル微細粒子の製造方法。
  7. 多価金属塩化合物が、ジアルキルスルホサクシネートの多価金属塩である請求項1ないし請求項6の何れかの請求項記載のアルギン酸塩ゲル微細粒子の製造方法。
  8. アルギン酸塩を含む水溶液が、水溶性の有機溶剤を含有するものである請求項1ないし請求項7の何れかの請求項記載のアルギン酸塩ゲル微細粒子の製造方法。
  9. アルギン酸塩を含む水溶液が、生体機能性物質を含有するものである請求項1ないし請求項8の何れかの請求項記載のアルギン酸塩ゲル微細粒子の製造方法。
  10. 生体機能性物質が、薬効成分または酵素である請求項9記載のアルギン酸塩ゲル微細粒子の製造方法。
  11. 平均粒径が、100nmないし800nmである請求項1ないし請求項10の何れかの請求項記載のアルギン酸塩ゲル微細粒子の製造方法。
  12. 電気毛管乳化法により、アルギン酸塩水溶液を非水系有機溶媒中に滴下して、油中水型エマルションとする工程および前記非水系有機溶媒に溶解された多価金属塩化合物により前記油中水型エマルションをゲル化させる工程を含む方法によりアルギン酸塩ゲル微細粒子を製造した後、当該ゲル微細粒子に、カチオン性ポリマーを作用させることを特徴とする微細カプセルの製造方法。
  13. カチオン性ポリマーの作用を、ゲル微細粒子の水分散液と、カチオン性ポリマーの水溶液との混合により行う請求項12記載の微細カプセルの製造方法。
  14. カチオン性ポリマーが、側鎖にアンモニウムカチオンを有するものである請求項12又は請求項13記載の微細カプセルの製造方法。
  15. カチオン性ポリマーが、生物由来のものである請求項12ないし請求項14の何れかの請求項記載の微細カプセルの製造方法。
  16. カチオン性ポリマーが、塩基性アミノ酸の重合物の塩である請求項12ないし請求項15の何れかの請求項記載の微細カプセルの製造方法。
  17. 内部に生体機能性物質を含有するものである請求項12ないし請求項16の何れかの請求項記載の微細カプセルの製造方法。
  18. 生体機能性物質が、薬効成分または酵素である請求項17記載の微細カプセルの製造方法。
  19. 平均粒径が、100nmないし800nmである請求項12ないし請求項18の何れかの請求項記載の微細カプセルの製造方法。
  20. 生体機能性物質を含むアルギン酸塩ゲル微細粒子を、カチオン性ポリマーで被覆してなる微細カプセル。

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