JP4517917B2 - 液体噴射ヘッド - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット式記録ヘッドなどの液体噴射ヘッドに関し、特に、流路形成基板の一方の面にノズル形成部材を、他方の面に封止板をそれぞれ接合することで、共通液体室から圧力室を通ってノズル開口に至る一連の液体流路が形成される流路ユニットを備える液体噴射ヘッドに関する。
圧力室内の液体に圧力変動を生じさせることでノズル開口から液滴として吐出させる液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられるインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等がある。
上記記録ヘッドの場合を例に挙げると、この記録ヘッドは、複数のノズル開口が開設されたノズルプレート(ノズル形成部材)、共通インク室から圧力室を通ってノズル開口に至る一連のインク流路を区画する空部や溝部などの流路基部が開設された流路形成基板、圧力発生素子の作動に応じて圧力室に対応する領域が弾性変形する封止板からなる流路ユニットを備えて構成されている(例えば、特許文献1参照)。これらの流路ユニット構成部材のうち、上記流路形成基板は、記録画像の高密度化や記録動作の高速化に対応すべく、高い加工密度や加工精度が要求される。そのため、この流路形成基板の材料としては、異方性エッチング等によって微細な形状を寸法精度良く形成可能なシリコン単結晶性基板(シリコンウェハー)が好適に用いられる。一方、ノズルプレートや封止板の材料としては、加工の容易性から、例えばステンレス綱等の金属製の板材が用いられることがある。
上記のように流路形成基板には、共通インク室となる空部(液体室空部)や圧力室となる開口部等の流路基部(インク流路となる部分)が異方性エッチング等によって形成されるが、特許文献1に開示されている記録ヘッドでは、共通インク室の端部領域が、端に行くほど次第に絞られて尖った形状に形成されている。このようにすると、共通インク室の端部領域においてインクの流れを円滑にすることができ、この領域における気泡の滞留を防止することができるからである。
特開2000−177119号公報(第4図、第10図等)
上記のノズルプレート、流路形成基板、及び封止板からなる流路ユニットの構成部材は、接着剤を構成部材同士の間に介在させ、この接着剤を加熱して硬化させることで接合される。ところが、流路形成基板がシリコンで作製され、ノズルプレートや封止板がステンレス鋼等の金属製の板材で作製されている場合には、これらの構成部材の基材間に線膨張率の差があるため、接合時の加熱及び冷却による温度変化によって相対的な伸縮差が生じる。これにより、構成部材が変形することがある。この際、流路形成基板の周縁側は、流路基部が設けられた中央側に比べて剛性が高く、剛性が高い領域と低い領域との境界部分に応力が集中し、これにより、流路形成基板にクラックが入ることがある。特に、上記特許文献1の例のように、共通インク室の端部領域(隅角部)が尖った形状となっている場合、尖っているが故に、この尖った部分に応力が集中するため、この隅角部の尖端からクラック(割れ)が発生し易い。このように共通インク室にクラックが生じると、このクラックを通じて記録ヘッドの外側にインクが漏れたり、或いは、クラックを通じて漏出したインクが、他の色に対応する共通インク室に浸入して混色が生じるといった問題がある。
その一方で、共通インク室におけるクラックの発生を抑えるべく共通インク室よりも外側の領域(流路形成基板の周縁部)を拡大してこの部分の剛性を高めると、流路ユニットが大型化するだけでなく、圧力室間などの比較的脆弱な部分に応力がより集中し易くなり、この圧力室からクラックが生じる虞がある。
また、共通インク室からクラックを通じてインクが漏れ出したインク(漏出インク)が、他の共通インク室に一旦浸入すると、圧力発生素子の作動時におけるインク流路内の圧力変動や気圧の変動に応じて漏出インクが共通インク室間で出たり入ったりして、混色が促進されてしまう虞があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体室空部におけるクラックの発生を許容して熱応力を分散しつつ、クラックが生じた場合においても、このクラックから漏出した液体による不具合を可及的に防止することが可能な液体噴射ヘッドを提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、液体流路となる流路基部が形成された流路形成基板、液滴が吐出されるノズル開口が開設されたノズル形成部材、及び、前記流路形成基板の流路基部を封止して前記液体流路の一部を区画する封止板から構成され、前記流路形成基板の一方の面に前記ノズル形成部材を、他方の面に前記封止板をそれぞれ接合することで、共通液体室から圧力室を通ってノズル開口に至る一連の液体流路を形成する流路ユニットを備え、
前記流路形成基板において、共通液体室を区画する液体室空部の外側の領域には、当該液体室空部に近接させて逃げ溝部が形成され、
上記逃げ溝部は、前記ノズル形成部材、流路形成基板、及び封止板の接合状態で液体室空部毎に対応して独立した空間を形成し、
前記液体室空部の隅角部から生じたクラックが当該逃げ溝部に到達可能な程度に液体室空部の隅角部に近接させつつ、当該液体室空部とは独立した状態に設けたことを特徴とする。
上記構成によれば、ノズル形成部材、流路形成基板、及び封止板の接合状態で液体室空部毎に対応して独立した空間を形成する逃げ溝部を当該液体室空部に近接させて形成し、逃げ溝部は、液体室空部の隅角部から生じたクラックが当該逃げ溝部に到達可能な程度に液体室空部の隅角部に近接させつつ、当該液体室空部とは独立した状態に設けたので、この液体室空部におけるクラックの発生を許容して流路ユニット構成部材の接合時の温度変化による熱応力を分散しつつ、クラックを通じて漏出した漏出液体による不具合を防止することができる。即ち、このクラックを通じて液体室空部(共通液体室)内の液体が漏れ出たときでも、この漏出液体は、逃げ溝部によって区画される独立空間に入り込み、この独立空間内にほぼ閉じこめられた状態となる。これにより、液体噴射ヘッドの外側に液体が漏れたり、或いは、漏出した液体が他の種類の液体に対応する液体室空部(共通液体室)に浸入するといった不具合を未然に防止することが可能となる。
また、上記構成において、前記逃げ溝部は、前記流路形成基板の厚さ方向の途中まで穿設された窪状溝部であることが望ましい。
また、上記構成において、前記逃げ溝部を、前記流路形成基板の厚さ方向を貫通した貫通溝部とする構成を採用することもできる。
この構成によれば、液体室空部からクラックが生じた場合においても、この逃げ溝部でクラックの進行を止めることができる。これにより、クラックが無用に拡大することを防止することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付図面等を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下の説明は、本発明の液体噴射ヘッドとして、インクジェット式記録装置(液体噴射装置の一種。以下、単にプリンタという)に搭載されるインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)を例に挙げて行う。
図1は、本実施形態における記録ヘッド1の概略斜視図、図2は、記録ヘッド1の要部断面図である。例示した記録ヘッド1は、カートリッジ基台2(以下、「基台」という)、駆動用基板5、ケース10、流路ユニット11、及び、アクチュエータユニット13を主な構成要素としている。基台2は、例えば、エポキシ系樹脂等の合成樹脂によって成型されており、その上面にはフィルタ3を介在させた状態でインク導入針4が複数取り付けられている。これらのインク導入針4には、インク(液体の一種)を貯留したインクカートリッジ(図示せず)が装着されるようになっている。
駆動用基板5は、図示せぬプリンタ本体側からの駆動信号を圧電振動子19へ供給するための配線パターンが形成されると共に、プリンタ本体側との接続のためのコネクタ6や抵抗やコンデンサ等の電子部品8等を実装している。コネクタ6にはFFC(フレキシブルフラットケーブル)等の配線部材が接続され、駆動用基板5は、このFFCを介してプリンタ本体側から駆動信号を受けるようになっている。そして、この駆動用基板5は、パッキンとして機能するシート7を介在させた状態で、インク導入針4とは反対側の基台2の底面側に配置される。
ケース10は、合成樹脂製の中空箱体状部材であり、先端面(下面)には流路ユニット11を接合し、内部に形成された収容空部12内にはアクチュエータユニット13を収容し、流路ユニット11側とは反対側の基板取付面14には駆動用基板5を取り付けるようになっている。また、このケース10の先端面側には、金属製の薄板部材によって作製されたヘッドカバー16が、流路ユニット11の外側からその周縁部を包囲するように取り付けられる。このヘッドカバー16は、流路ユニット11やケース10を保護すると共に、流路ユニット11のノズルプレート25を接地電位に調整し、記録紙等から発生する静電気によるノイズ等の障害を防止する機能を果たす。
上記アクチュエータユニット13は、櫛歯状に列設された複数の圧電振動子19(圧力発生素子の一種)と、この圧電振動子19が接合される固定板20と、駆動用基板5からの駆動信号を圧電振動子19に伝達するための、TCP(テープキャリアパッケージ)等の配線部材21等から構成される。各圧電振動子19は、固定端部側が固定板20上に接合され、自由端部側が固定板20の先端面よりも外側に突出している。即ち、各圧電振動子19は、所謂片持ち梁の状態で固定板20上に取り付けられている。また、各圧電振動子19を支持する固定板20は、例えば厚さ1mm程度のステンレス鋼によって構成されている。そして、アクチュエータユニット13は、固定板20の背面を、収容空部12を区画するケース内壁面に接着することで収容空部12内に収納・固定されている。
流路ユニット11は、封止板23、流路形成基板24、及びノズルプレート25からなる流路ユニット構成部材を積層した状態で接着剤で接合して一体化することにより作製されており、共通インク室27(共通液体室)からインク供給口28及び圧力室29を通りノズル開口30に至るまでの一連のインク流路(本発明における液体流路に相当)を形成する部材である。圧力室29は、ノズル開口30の列設方向(ノズル列方向)に対して直交する方向に細長い室として形成されている。また、共通インク室27は、インクカートリッジに挿入されたインク導入針4側からのインクが導入される室である。そして、この共通インク室27に導入されたインクは、インク供給口28を通じて各圧力室29に分配供給される。
流路ユニット11の底部に配置されるノズルプレート25(本発明におけるノズル形成部材の一種)は、ドット形成密度に対応したピッチ(例えば180dpi)で複数のノズル開口30を、紙送り方向(副走査方向)に列状に開設した金属製の薄い板材である。本実施形態のノズルプレート25は、ステンレス鋼の板材によって作製され、ノズル開口30の列(ノズル列)が、記録ヘッド1の走査方向(主走査方向)に複数並べて設けられている。そして、1つのノズル列は、例えば180個のノズル開口30によって構成される。本実施形態の記録ヘッド1は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の合計4色のインクを吐出可能に構成されており、これらの色に対応させて合計4列のノズル列がノズルプレート25に形成されている。
流路ユニット構成部材の1つである流路形成基板24は、インク流路となる流路基部40、具体的には、共通インク室27となる空部41(本発明における液体室空部の一種に相当)、インク供給口28となる溝部、及び、圧力室29となる開口部42(何れも図4参照)が区画形成された板状の部材である。本実施形態において、流路形成基板24は、結晶性を有する基材であるシリコンウェハーを異方性エッチング処理することによって作製されている。この流路形成基板24の詳細については、図4を用いて後述する。
ノズルプレート25とは反対側の流路形成基板24の面に配置される封止板23は、ステンレス鋼等の金属製の支持板上に弾性フィルムをラミネート加工した二重構造の複合板材である。この封止板23の圧力室29に対応する部分には、圧電振動子19の自由端部の先端を接合するための島部32が形成されている。この島部32の周囲は、エッチングなどによって支持板を環状に除去して弾性フィルムのみとなっている。そして、この部分はダイヤフラム部として機能し、圧電振動子19が伸縮するのに伴い、弾性フィルムを弾性変形させながら島部32が変位するように構成されている。また、封止板23は、流路形成基板24の空部41の一方の開口面を封止して共通インク室27の一部を区画し、インク流路内の圧力変動を緩和するコンプライアンス部33としても機能する。このコンプライアンス部33に相当する部分については、ダイヤフラム部と同様にエッチングなどによって支持板を除去して弾性フィルムだけにしている。
そして、この記録ヘッド1において、上記駆動用基板5から配線部材21を通じて圧電振動子19に駆動信号が供給されると、この圧電振動子19が素子長手方向に伸縮し、これに伴い島部32が圧力室29に近接する方向或いは離隔する方向に移動する。これにより、圧力室29の容積が変化し、圧力室29内のインクに圧力変動が生じる。この圧力変動によってノズル開口30からインク滴(液滴の一種)が吐出される。即ち、この圧電振動子19は、圧力室29内のインクに圧力変動を発生させることによりこの圧力室29内のインクをノズル開口30からインク滴として吐出させ得る圧力発生源の一種であるとも言える。
図3は、上記流路形成基板24の材料となるシリコンウェハー35の平面図である。このシリコンウェハー35は、例えば、表面37が結晶方位面(110)面に設定されたシリコン単結晶基板である。このシリコンウェハー35の表面37上には、流路形成基板24となる基板領域24´が、切断予定線L1,L2によって複数(本実施形態では10箇所)区画されており、各基板領域24´には、上記インク流路となる流路基部40(図4参照)が異方性エッチングによって形成されている。また、切断予定線L1,L2上には、同じく異方性エッチングによって細長く小さな貫通孔が複数穿設されてブレイクパターンが形成されている。なお、図3における横切断予定線L1は、(110)面上であって、この(110)面に直交する第1の(111)面の面方向に設定されている。また、横切断予定線L1に直交する縦方向の縦切断予定線L2は、第1の(111)面に垂直な軸方向に設定されている。上記第1の(111)面は、異方性エッチングにおける基準面となるオリエンテーションフラット(所謂オリフラ)OFを構成している。
図4は、上記シリコンウェハー35を切断予定線L1,L2で分割して得られる流路形成基板24の構成を説明する平面図である。同図に示すように、流路形成基板24の中央部24aには、空部41や開口部42等から成る流路基部40が、異方性エッチングによって形成されている。本実施形態においては、上記4色のインクに対応させて、共通インク室27となる空部41(液体室空部)が合計4列形成されている。そして、各空部41からは、インク供給口28となる溝部(図示せず)及び圧力室29となる開口部42が、ノズルプレート25に開設されたノズル開口30に対応させて複数分岐して形成されている。そして、本実施形態の流路形成基板24には、空部41や開口部42の列から成る流路基部40が、記録ヘッド1の主走査方向に並べられた状態で合計4組形成されている。また、図4において左側の2組の流路基部40と右側の2組の流路基部40は、夫々対になっており、開口部42の列(圧力室29の列)を互いに向き合わせた状態に配置されている。
また、流路形成基板24には、インク滴の吐出には関与しない貫通孔であるダミー空部44が、流路基部40に対して隔てた状態で並設されている。本実施形態においては、対になった流路基部40同士の間にダミー空部44が1つずつ、合計2箇所設けられている。より詳しくは、隣り合う流路基部40における開口部42の列の間にダミー空部44が配置されている。このダミー空部44は、流路基部40とは離隔した状態(つまり、流路基部40とは連通しない状態で)設けられているので、通常ではインクが入り込まない部分となっており、流路形成基板24の一部の剛性を調整、具体的には開口部42(圧力室29)の列の間の剛性を意図的に低下させて、圧電振動子19の駆動時の圧力室列間の応力集中を緩和させるための緩衝孔として機能する部分である。また、このダミー空部44は、流路ユニット構成部材間を接合する際の余分な接着剤或いは気泡を導入する逃げ孔としても機能し、接着剤が流路基部40側に流れ込んだり、各部材間に気泡が入ることで接着不良が発生したりするのを防止する。
ところで、上記空部41の副走査方向の両端部(隅角部E)は、端に行くほど次第に絞られて尖った形状となっている。このようにすると、空部41の両端部、即ち、共通インク室27の両端側のインクの流れを円滑にすることができ、この部分における気泡の滞留を防止することができる。また、共通インク室27の副走査方向の略中央部に対応する封止板23の一部にインク供給孔が開けられており(図示せず)、このインク供給孔からインクカートリッジからのインクを共通インク室内に供給するが、その際にインク供給孔から比較的近い圧力発生室と比較的遠い圧力発生室とへのインクの流入の違いによるいわゆるクロストークを防止するために、インク供給孔から比較的近い圧力発生室と比較的遠い圧力発生室へのインクの流入に差があまりでないようにする構成として、上記空部41の副走査方向の両端部(隅角部E)は、端に行くほど次第に絞られて尖った形状となっている。しかしながら、尖っているが故に、流路ユニット構成部材の接合時の温度変化によって熱応力が生じたときに、この空部41の両端に応力が集中するため、この隅角部Eの先端からクラック(割れ)が発生し易い。この空部41でクラックが生じると、このクラックを通じて記録ヘッド1の外側にインクが漏れたり、或いは、クラックを通じて漏出したインクが他の色に対応する空部41(共通インク室27)に浸入して混色が生じる虞がある。その一方で、クラックの発生を抑えるべく空部41よりも外側の領域(周縁部24b)を拡大してこの部分の剛性を高めると、流路ユニットが大型化するだけでなく、圧力室29間などの比較的脆弱な部分に応力がより集中し易くなり、この圧力室29からクラックが生じる虞がある。また、隅角部Eの先端の形状を曲線状にして、即ち、可及的になだらかにして、尖頭形状による応力集中を緩和させることも考えられるが、本実施形態のように流路形成基板24の材料としてシリコン単結晶性基板を用いる場合には、結晶構造上、隅角部Eを曲線形状にすることは到底困難である。そのため、本実施形態においては、空部41におけるクラックを許容して熱応力を分散しつつ、このクラックからの漏出インクによる不具合を防止するように構成している。以下、この点について説明する。
図5は、図4における領域Aの拡大図である。同図に示すように、流路形成基板24の周縁部24bには、各空部41に近接させて逃げ溝部45が各々形成されている。より具体的には、空部41の隅角部Eの先端を起点としてクラックCが生じた場合にクラックCが到達可能な程度に空部41の隅角部Eに近接させつつ、当該空部41に対して独立した状態に逃げ溝部45が設けられている。即ち、各々の逃げ溝部45は、他の空部41に対応する逃げ溝部45に対して互いに連通することなく分離・独立している。また、本実施形態においては、ダミー空部44に対しても、同様にダミー空部44毎に対応して逃げ溝部45が独立した状態に設けられている。本実施形態における逃げ溝部45は、第1の(111)面によって長辺が構成され、この第1の(111)面に交差すると共に、シリコンウェハーの表面37(即ち(110)面)に直交する第2の(111)面によって短辺が構成される細長い平行四辺形の窪状溝部であり、異方性エッチングによって基板厚さ方向の途中まで穿設されている。
そして、この逃げ溝部45は、ノズルプレート25、流路形成基板24、及び封止板23の接合状態で空部41毎、或いはダミー空部44毎に対応して独立した空間を形成する。つまり、この逃げ溝部45は、その開口面が封止板23によって封止されて、この封止板23と共に、各空部41或いは各ダミー空部44にそれぞれ対応した独立空間を区画形成する。このように構成すると、万一、空部41の隅角部EからクラックCが生じた場合において、このクラックCを通じて空部41(共通インク室27)内のインクが漏れ出たときでも、この漏出インクは、逃げ溝部45によって区画される独立空間に入り込み(トラップされ)、この独立空間内にほぼ閉じこめられた状態となる。これにより、記録ヘッド1の外側にインクが漏れたり、或いは、漏出したインクが他の色に対応する空部41(共通インク室27)に浸入して混色が生じるといった不具合を防止することが可能となる。本実施形態においては、ダミー空部44に対しても逃げ溝部45が設けられているので、この逃げ溝部45が漏出インクに対してトラップとして機能し、ダミー空部44を通じて一方の空部41から他方の空部41に漏出インクが浸入する不都合をより確実に防止することができる。
また、圧電振動子19の作動時におけるインク流路内の圧力変動などが生じても、この逃げ溝部45によって区画される独立空間で圧力変動を緩和することができ、これにより、このような圧力変動に起因して他の色の共通インク室27への混色が促進されることを可及的に抑制することができる。
さらに、上記逃げ溝部45は、流路ユニット構成部材の接合時における余分な接着剤或いは気泡を導入する逃げ孔としても機能することができる。
以上のように、流路形成基板24の周縁部24bに、空部41毎、或いはダミー空部44毎に対応して独立した空間を形成する逃げ溝部45を、各空部41、各ダミー空部44に近接させてそれぞれ形成したので、空部41或いはダミー空部44におけるクラックの発生を許容して、流路ユニット構成部材の接合時における熱応力を分散することにより、圧力室29やインク供給口28側にクラックが生じるのを可及的に抑制しつつ、クラックを通じて漏出した漏出インクによる不具合を防止することができる。即ち、記録ヘッド1の外側にインクが漏れたり、或いは、空部41(共通インク室27)から他の色に対応する空部41(他の共通インク室27)に漏出インクが浸入して混色が生じるといった不具合を未然に防止することが可能となる。
また、空部41の隅角部EからのクラックCが到達可能な程度に空部41の隅角部Eに近接させつつ、当該空部41に対して独立した状態に逃げ溝部45を設けた場合には、逃げ溝部45が空部41(共通インク室27)に対してより好適な位置に配置されるので、空部41からのクラックを許容しつつも、このクラックからの漏出インクによる不具合をより効果的に防止することが可能となる。
ところで、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
逃げ溝部45に関し、上記実施形態においては、基板厚さ方向の途中まで穿設された窪状溝部に構成した例を示したが、例えば、流路形成基板24の厚さ方向を貫通した貫通溝部として構成することもできる。この構成によれば、空部41やダミー空部44からクラックが生じた場合に、この逃げ溝部45でクラックの進行を止めることができる。これにより、クラックを無用に拡大することを防止することができる。
また、この逃げ溝部45の形状に関し、上記実施形態においては、平行四辺形状に形成した例を示したが、シリコン単結晶性基板をエッチングして形成できる形状であれば、これには限らず、任意の形状を採用することができる。
また、以上では、液体噴射ヘッドとして、インクジェット式記録ヘッド1を例に挙げて説明したが、本発明は他の液体噴射ヘッドにも適用することができる。例えば、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等にも本発明を適用することができる。
記録ヘッドの構成を説明する分解斜視図である。 記録ヘッドの構成を説明する要部断面図である。 流路形成基板の基材となるシリコンウェハーの平面図である。 流路形成基板の構成を説明する平面図である。 図4における領域Aの拡大図である。
符号の説明
1 記録ヘッド,2 カートリッジ基台,3 フィルタ,4 インク導入針,5 駆動用基板,10 ケース,11 流路ユニット,12 収容空部,13 アクチュエータユニット,14 基板取付面,16 ヘッドカバー,19 圧電振動子,20 固定板,21 配線部材,23 封止板,24 流路形成基板,25 ノズルプレート,27 共通インク室,28 インク供給口,29 圧力室,30 ノズル開口,32 島部,35 シリコンウェハー,37 シリコンウェハーの表面,40 流路基部,41 空部,42 開口部,44 ダミー空部,45 逃げ溝部

Claims (3)

  1. 液体流路となる流路基部が形成された流路形成基板、液滴が吐出されるノズル開口が開設されたノズル形成部材、及び、前記流路形成基板の流路基部を封止して前記液体流路の一部を区画する封止板から構成され、前記流路形成基板の一方の面に前記ノズル形成部材を、他方の面に前記封止板をそれぞれ接合することで、共通液体室から圧力室を通ってノズル開口に至る一連の液体流路を形成する流路ユニットを備え、
    前記流路形成基板において、共通液体室を区画する液体室空部の外側の領域には、当該液体室空部に近接させて逃げ溝部が形成され、
    上記逃げ溝部は、前記ノズル形成部材、流路形成基板、及び封止板の接合状態で液体室空部毎に対応して独立した空間を形成し、
    前記液体室空部の隅角部から生じたクラックが当該逃げ溝部に到達可能な程度に液体室空部の隅角部に近接させつつ、当該液体室空部とは独立した状態に設けたことを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 前記逃げ溝部は、前記流路形成基板の厚さ方向の途中まで穿設された窪状溝部であることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッド。
  3. 前記逃げ溝部は、前記流路形成基板の厚さ方向を貫通した貫通溝部であることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッド。
JP2005095293A 2005-03-29 2005-03-29 液体噴射ヘッド Expired - Fee Related JP4517917B2 (ja)

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