JP4517713B2 - 繊維材料 - Google Patents

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Description

本発明は、洗濯してもシワにならずアイロン掛けが不要で、さらには良好な生分解性を有する繊維材料であって、かつ繊維製品として使用した際は黄色ぶどう球菌の増殖を抑制し安定した抗菌防臭効果を発揮する繊維材料に関するものである。
ポリエチレンテレフタレートを代表とする芳香族ポリエステル繊維は、強度、耐熱性、耐薬品性、ウォッシュアンドウエア性など各種の特性に優れるため、衣料品や寝装・インテリア用品として広く用いられてきた。
しかし一方で、芳香族ポリエステル繊維はその耐久性が極めて高く、自然環境中で容易に分解しないため、廃棄に際しては焼却処理を行わない限り、半永久的に残存してしまうという点が問題となっている。
この問題への対応として最近、生分解性を有する脂肪族ポリエステル繊維を芳香族ポリエステル繊維の代替として使用する試みが盛んに行われている(例えば、特許文献1〜10参照)。
ところがこのような利点を有する脂肪族ポリエステル繊維は、これを用いて衣料品や寝装・インテリア用品などの繊維材料を作製した場合、洗濯時にシワになりやすいためアイロン掛けが必要となるが、一方で脂肪族ポリエステルは耐熱性が劣り、高温でのアイロン掛けを行なうと製品の品位を著しく損なってしまうという問題があり、実質的にはアイロン掛けが不可能であった。特にセルロース系繊維を含む繊維材料の場合は、とりわけ洗濯時にシワが発生しやすく、アイロン掛けが不可能な点は致命的欠点であった。また、かかる脂肪族ポリエステルのうちポリ乳酸には原料の乳酸に由来すると推定される緩やかな抗菌効果があることが知られているが、その効果の発現は非常に不安定なものであり、特に洗濯に供した場合には殆ど抗菌効果を示さないという問題もあった。
特開2001−271250号公報 特開2002−69839号公報 特開2002−69852号公報 特開2002−138342号公報 特開2002−161478号公報 特開2002−180353号公報 特開2002−227034号公報 特開2002−227035号公報 特開2002−294562号公報 特開2002−294569号公報
本発明の課題は、かかる従来技術の問題点を解決し、洗濯してもシワにならずアイロン掛けが不要で、さらには良好な生分解性を有する繊維材料であって、かつ繊維製品として使用した際は黄色ぶどう球菌の増殖を抑制し安定した抗菌防臭効果を発揮する繊維材料を提供せんとするものである。
本発明はかかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の繊維材料は融点が130℃以上の脂肪族ポリエステルを主体とするポリエステル系繊維とセルロース系繊維からなるものであって、該セルロース系繊維が架橋剤によって架橋改質されたものであることを特徴とするものである。
本発明によれば、以下の効果を得ることができる。
請求項1記載の本発明の繊維材料によれば、洗濯してもシワにならずアイロン掛けが不要で、さらには良好な生分解性を有する繊維材料を提供することができる。
請求項2記載の本発明の繊維材料によれば、請求項1同様の効果を有し、さらにより汎用性の高い繊維材料を得ることができる。
請求項3記載の本発明の繊維材料によれば、さらに強力や柔軟性、形態安定性の面にも優れた繊維材料を得ることができる。
請求項4記載の本発明の繊維材料によれば、さらに強力、柔軟性、形態安定性のバランスを考慮した繊維材料を得ることができる。
請求項5記載の本発明の繊維材料によれば、さらに吸湿性・吸水性にも優れ、着用時のムレ感を軽減した繊維材料を得ることができる。
請求項6および請求項7記載の本発明の繊維材料によれば、さらに効率的に請求項1と同様の効果を得ることができる。
請求項8記載の本発明の繊維材料によれば、請求項1〜7と同様の効果を有し、さらに安定した黄色ぶどう球菌に対する抗菌防臭効果を有する繊維材料を得ることができる。
請求項9および請求項10記載の本発明によれば、上述の請求項1〜8の効果を有する衣料品、寝装・インテリア用品を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の繊維材料は、融点が130℃以上の脂肪族ポリエステルを主体とするポリエステル系繊維とセルロース系繊維からなるものである。ここで脂肪族ポリエステルを主体とするとは、ポリエステル系繊維の80重量%以上が脂肪族ポリエステルから形成されていることを意味するものであり、脂肪族ポリエステルの割合を80重量%以上とすることによって本発明の目的である生分解性を得ることができる。
本発明で用いられる脂肪族ポリエステルは、DSC測定で得られる溶融ピークのピーク温度が130℃以上であれば特段の制約はなく、ポリ乳酸、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒドロキシブチレートバリレート、およびこれらのブレンド物、変性物等を用いることができる。これらの脂肪族ポリエステル類は、生物分解性あるいは加水分解性が高いため、自然環境中で容易に分解されるという利点を有している。中でも汎用性の面からは、該脂肪族ポリエステルがL−乳酸を主成分とするポリエステルであることが好ましい。L−乳酸を主成分とするとは、構成成分の60重量%以上がL−乳酸からなっていることを意味し、40重量%を超えない範囲でD−乳酸を含有するポリエステルであってもよい。
L−乳酸を主成分とするポリエステルすなわちポリ乳酸には原料の乳酸に由来すると考えられる黄色ぶどう球菌に対する抗菌効果を有することも知られている。なお、この抗菌効果はあくまで黄色ぶどう球菌に対する緩やかな抗菌防臭効果であって、多種多様の微生物が存在する土中においてその生分解性を妨げるほどのものではない。また、かかるポリ乳酸の抗菌効果は通常は非常に不安定なもので、洗濯等の処理により効果が発現されにくくなる傾向にあるが、本発明の繊維材料は後述の如くセルロース系繊維を含み、架橋改質されたものであるため、その処理段階においてポリ乳酸の抗菌成分が繊維材料に固定化され洗濯後も黄色ぶどう球菌に対する安定した抗菌防臭効果を発揮することが出来る。
かかるポリ乳酸の製造方法としては、乳酸を原料としていったん環状二量体であるラクチドを生成せしめ、その後開環重合を行う二段階のラクチド法と、乳酸を原料として溶媒中で直接脱水縮合を行う一段階の直接重合法が知られている。本発明で用いられるポリ乳酸は、いずれの製法によって得られたものであってもよい。
ラクチド法によって得られるポリマーの場合には、ポリマー中に含有される環状2量体が溶融紡糸時に気化して糸斑の原因となるため、溶融紡糸以前の段階でポリマー中に含有される環状2量体の含有量を0.1重量%以下とすることが望ましい。また、直接重合法の場合には、環状2量体に起因する問題が実質的にないため、製糸性の観点からはより好適であると言える。
ポリ乳酸の重量平均分子量は高いほど好ましく、通常少なくとも5万、好ましくは少なくとも10万、より好ましくは10〜30万である。重量平均分子量が5万よりも低い場合には繊維の強度物性が低下するため好ましくない。
ここで、重量平均分子量は以下の方法により測定したものである。
Waters(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフWaters2690およびWaters2410を連結して用いた。ポリスチレンを内部標準とし、昭和電工(株)製Shodex GPC K−805Lを2本連結し、カラム温度40℃、移動層クロロホルム、流速1ml/分、試料濃度0.1%(w/v)、注入量200μlの条件で、示差屈折計を検出器に用いて重量平均分子量を測定し、3回の測定値の平均値を求めた。
また、本発明におけるポリ乳酸は、L−乳酸、D−乳酸のほかにエステル形成能を有するその他の成分を共重合した共重合ポリ乳酸であってもよい。共重合可能な成分としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸類の他、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の分子内に複数の水酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸等の分子内に複数のカルボン酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体が挙げられる。生分解性能を考えると、それらの共重合率は30モル%以下であることが好ましい。
また、溶融粘度を低減させるため、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネートおよびポリエチレンサクシネートのような脂肪族ポリエステルポリマーを内部可塑剤として、あるいは外部可塑剤として用いることができる。さらには、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、糸摩擦低減剤、抗酸化剤等として無機微粒子や有機化合物を必要に応じて添加することができる。
本発明で用いられる脂肪族ポリエステルは、融点が130℃以上であることが重要である。融点が130℃よりも低い場合には、製糸時、特に紡糸時に単糸間の融着が著しくなり、さらに延伸性不良が発生するなど製品の品位が著しく損なわれる。融点は好ましくは150℃以上であり、さらに好ましくは160℃以上である。
ここで融点とは、DSC測定によって得られた融解ピークのピーク温度を意味する。このような脂肪族ポリエステルを用いることによって、芳香族ポリエステル繊維よりも柔軟な風合いを得ることができる。この柔軟性は、脂肪族ポリエステル繊維のヤング率が芳香族ポリエステルのヤング率に比べ低いことに起因している。
本発明の脂肪族ポリエステルを主体とするポリエステル系繊維の断面形状は、丸断面、三角断面、マルチローバル断面、偏平断面、ダルマ型断面、X型断面、その他の異形断面であってもよく、何等限定されるものではない。光沢を付与する場合は多葉型等の非円形もしくはその他の異形断面が好ましく、また、さらなる柔軟性を付与する場合は扁平断面であることも好ましい。軽量化を目的とする場合は、中空形状とすることも好ましい。また、芯鞘複合、バイメタル複合、海島複合および分割複合繊維のような複合繊維であってもよい。
本発明の脂肪族ポリエステルを主体とするポリエステル系繊維は、通常のフラットヤーン以外に、仮撚加工糸、強撚糸、タスラン加工糸、太細糸、混繊糸等のフィラメントヤーンであってもよく、ステープルファイバーやトウ、あるいは紡績糸などの各種形態の繊維であってもよい。
次に、本発明で用いるセルロース系繊維としては、綿、麻、ケナフ、パルプ、竹などの天然セルロース繊維、ビスコースレーヨンなどの再生セルロース繊維、などを挙げることができる。竹繊維や竹を原料とする再生セルロース繊維は、それ自身も竹の抽出成分に由来する緩やかな抗菌性を有しており、ポリ乳酸の抗菌性との相乗効果の点から好ましく使用される。
本発明において、かかるセルロース系繊維は架橋剤により架橋改質されたものである。架橋改質に用いる架橋剤としては、セルロース系繊維を構成しているセルロース分子中の水酸基、とりわけ洗濯時のシワ、型くずれ、縮みの原因となる非晶領域にある水酸基と反応し、セルロース分子間および分子内に架橋構造を形成することが可能な化合物が好ましく用いられる。具体的にはホルムアルデヒドや、ジメチロールエチレン尿素、ジメチロールトリアゾン、ジメチロールウロン、ジメチロールグリオキザールモノウレイン、ジメチロールプロピレン尿素、これらのメチロール基の一部または全部をメトキシ化、エトキシ化したもの等の繊維素反応型樹脂、ポリカルボン酸類、イソシアネート類等があげられる。これらの架橋剤の中でも、セルロース系繊維の架橋改質をより効率的、効果的に行うためには、ホルムアルデヒドまたは下記一般式[I]で示された化合物が好ましく用いられる。
Figure 0004517713
ここで、R1 、R2 は−H、炭素数1〜4のアルキル基、又は−CH2 OR7 のいずれかである同種又は異種の基、R3 、R4 、R5 、R6 は−Hまたは−OR8 のいずれかである同種又は異種の基、R7 、R8 は−H、又は炭素数1〜4のアルキル基のいずれかである同種又は異種の基。
かかる架橋剤によりセルロース系繊維を架橋改質する方法としては、一般公知の各種手段が適用可能である。具体的には架橋剤をガス状にしてセルロース系繊維へ付与した後、熱処理により架橋反応させる方法(気相加工法)や、架橋剤を水等の溶媒に分散しパディング法、浸漬法、スプレー法、プリント法、コーティング法、グラビア加工法、泡加工法等の手段によりセルロース系繊維へ付与した後、乾燥、熱処理により架橋反応させる方法などが用いられが、なかでも架橋剤がホルムアルデヒドの場合には気相加工方法が、架橋剤が繊維素反応型樹脂、ポリカルボン酸類、イソシアネート類等の場合にはパディング−熱処理法が好ましく使用される。
なお、かかる架橋改質を行うにあたり、該架橋剤の反応を促進する目的で、触媒を併用することも好ましく行われ、具体的には、有機酸、有機アミン塩、塩化マグネシウム、硝酸亜鉛、ホウフッ化亜鉛、硝酸マグネシウム、塩化亜鉛等の金属塩などを用いることができる。熱処理温度は80〜200℃の範囲にあることが好ましいが、該脂肪族ポリエステルとの混紡品、混繊品、交編織物、等とした場合には、該脂肪族ポリエステルの融点を超えない範囲内の温度で処理することが重要である。
また、かかる架橋改質処理は、架橋剤を繊維材料に付与し直ちに熱処理を行なうプレキュア方式の他、繊維材料に架橋剤を付与した後、先に製品を縫製し、次いで加熱処理を施すポストキュア方式、繊維材料を縫製品とした後に架橋剤を付与、熱処理を行なうガーメントディップ方式やVP加工方式、等のプロセスを適用できるが、これらに限定されるものではなく、一般に知られている方法を選択して用いればよい。
本発明の繊維材料はかかる方法・段により架橋改質されたセルロース系繊維を含むものであるが、その架橋改質の程度は下記式で定義される架橋指数が1以上4以下の範囲内、より好ましくは2以上3.5以下の範囲内にあるものであることが好ましい。
架橋指数=(A−B)
ここで、
A:温度30℃、相対湿度90%RH雰囲気下での架橋改質されたセルロース系繊維の吸湿率(%)
B:温度20℃、相対湿度65%RH雰囲気下での架橋改質されたセルロース系繊維の吸湿率(%)
かかる架橋指数は、架橋改質後のセルロース系繊維の温度30℃、相対湿度90%RH雰囲気下で吸湿率の値から温度20℃、相対湿度65%RH雰囲気下で吸湿率の値を差し引いて算出されるものであり、セルロース系繊維がどの程度架橋改質されているかを知る上での指標となる。すなわち、これは架橋改質によりセルロース分子中の水酸基が封鎖され、結果として吸湿率の値が低下することを利用したものである。この指数が小さいものほど架橋改質の度合いが大きく、この指数が大きいものほど架橋改質の度合いが小さい。
一般に、通常の綿で4〜5程度、ビスコースレーヨンで7〜9程度である。かかる架橋指数が1より小さい場合、架橋が過度に形成され、セルロース系繊維の単糸強度や柔軟性が極端に低下し、防シワ効果や形態安定性は良好であるものの、強度面で実用に耐えないものとなってしまう。一方、かかる架橋指数が4より大きい場合は、セルロース繊維の架橋改質が十分でなく、必要とされるレベルの防シワ効果や形態安定性が得られない。得られる繊維材料の強力、柔軟性と防しわ性、形態安定性のバランスを考えた場合には、架橋指数が2以上3.5以下の範囲内にあることがさらに好ましいのである。
本発明の繊維材料を構成するセルロース系繊維は、上述のような各種の方法を用いて架橋剤とともに処理することで架橋改質されたものであるが、上記のようにその架橋指数を1以上4以下の範囲内にするには、例えば、架橋剤として上記一般式[I]で示された化合物を用いる場合は、該架橋剤の使用量を該セルロース系繊維の重量に対して0.1〜10wt%の範囲内とすることによって達成することができ、更に、該指数を2以上3.5以下の範囲内とするには、該架橋剤の使用量を該セルロース系繊維の重量に対して0.5〜5wt%の範囲内とすることによって達成することができる。
本発明の繊維材料は、かかるセルロース系繊維と、融点が130℃以上の脂肪族ポリエステルを主体とするポリエステル系繊維とが混繊、混紡、合撚、交編、交織等されてなるものであり、その形態は、わた状物、糸状物、紐状物、帯状物、織物、編物、不織布、フェルトなどいかなる形状のものであっても差し支えなく、さらに他の繊維材料と混用してもかまわない。
かかるセルロース系繊維とポリエステル系繊維の重量比率としては、架橋改質されたセルロース系繊維が全繊維重量に対し10wt%以上であることが好ましい。
一般に、ポリエステル系繊維は吸湿性、吸水性が劣り、このため特に衣料品や寝装品として用いた場合、発汗時に蒸れたりベタついたりして非常に不快であるが、吸湿性・水性に優れるセルロース系繊維を10wt%以上配合して繊維材料とすることでこの欠点をカバーすることができる。
また、本発明の繊維材料は上述の如く架橋改質処理により優れた形態安定性を示すが、更に副次的効果としてポリ乳酸由来の黄色ぶどう球菌に対する抗菌防臭効果を安定化させるという効果をも発揮する。この効果のメカニズムは定かではないがポリ乳酸に含有される抗菌成分が架橋改質処理の際、架橋剤により繊維材料に固定化されるためと考えられる。なお、かかる処理により得られた繊維材料の抗菌防臭性能はJIS L 1902法での測定で、家庭洗濯20回前後ともに静菌活性値が2.2以上となるレベルのものである。
以上のような方法で得られた本発明の繊維材料は、洗濯してもシワにならずアイロン掛けが不要で、さらには良好な生分解性を有するものであって、かつ繊維製品として使用した際は黄色ぶどう球菌の増殖を抑制し安定した抗菌防臭効果を発揮するものであるため、異臭発生の原因となる黄色ぶどう球菌との接触機会が多く、また洗濯する機会の多いドレスシャツ、ブラウス、パンツ、スカート、ポロシャツ、Tシャツ、トレーニングウェア、コート、セーター、パジャマ、スクールユニフォーム、作業着、白衣、浴衣、肌着、裏地、芯地、および靴下などの衣料品、シーツ、布団側地、布団カバー、枕カバー、ベッドカバー、タオルケット、クッションカバー、テーブルクロス、カーテン、のれん、椅子貼り、およびマットなどの寝装・ンテリア用品として用いるのに好適である。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、実施例中の評価・定は次の方法で行ったものである。
<融点>
パーキンエルマー社製の示差走査熱量計(DSC−7)を用いて、昇温速度15℃/分の条件で測定し、得られた溶融ピークのピーク温度を融点とした。
<架橋指数>
架橋指数=(A−B)
A:温度30℃、相対湿度90%RH雰囲気下での架橋改質されたセルロース系繊維の吸湿率(%)
B:温度20℃、相対湿度65%RH雰囲気下での架橋改質されたセルロース系繊維の吸湿率(%)
架橋指数の実際の測定については、次の手順で行なう。
まず試料となるセルロース系繊維1gを秤りとり、これを120℃に設定した乾燥機に2時間放置し、絶乾重量[W0]を測定する。続いて温度20℃、相対湿度65%RHの条件に設定した恒温恒湿槽内に24時間放置した後、該雰囲気下での該試料の重量[WB]を測定する。
更に、該試料を温度30℃、相対湿度90%RHの条件に設定した恒温恒湿槽内に24時間放置し、該雰囲気下での該試料の重量[WA]を測定する。以上の測定値から下記計算式により上記A、Bおよび架橋指数を算出する。
A ={([WA]−[W0])/[W0]}×100
B ={([WB]−[W0])/[W0]}×100
架橋指数=(A−B)
なお、本発明ではN数を5として測定を行い、5つの平均値を架橋指数とした。
<洗濯試験>
家庭洗濯はJIS L0217 103法に基づき行った。
<防シワ性>
AATCC−124−1984 5段階レプリ法に基づき、5級(良好)〜1級(不良)で判定を行った。
<引裂強力>
JIS L 1096 D法 ペンジュラム法で布帛のタテ糸切断方向、ヨコ糸切断方向の引裂強力を測定した。
<生分解性>
2ヶ月間の土中埋没試験後の外観変化により評価した。
<抗菌防臭性>
JIS L 1902に準じて行った。評価方法は、統一試験法を採用し、試験菌体は黄色ぶどう球菌臨床分離株を用いた。試験方法は、滅菌試験布に上記試験菌を注加し、18時間培養後の生菌数を計測し、殖菌数に対する菌数を求め、次の基準に従った。
log(B/A)>1.5の条件下、log(B/C)を静菌活性値とし、2.2以上を合格とした。ただし、Aはナイロン布帛(コントロール)に接種直後分散回収した菌数、Bは該ナイロン布帛にて18時間培養後分散回収した菌数、Cはサンプルにて18時間培養後分散回収した菌数を表す。
実施例1
融点166℃のポリ乳酸チップ(重量平均分子量18.5万、L体比率95wt%、D体比率5wt%)を105℃の設定した真空乾燥器で12時間乾燥した。乾燥したチップをプレッシャーメルター型紡糸機にて、メルター温度210℃にて溶融し紡糸温度220℃で36ホールの口金孔から紡出した。この紡出糸を20℃、25m/minのチムニー風によって冷却し、油剤を付与して収束した後、3000m/minで引き取って未延伸糸(122dtex−36フィラメント(f))を得た。
この未延伸糸をホットローラー系の延伸機を用い、延伸温度90℃、熱セット温度120℃、延伸倍率1.45倍、延伸速度800m/minの条件で延伸して84dtex−36フィラメントの延伸糸を得た。これを束ねて50万デニールのトウ状とし、クリンパーにより機械捲縮を与えた後、単繊維長が38mmになるようにカットし、ポリ乳酸ステープルを得た。
このようにして得られたポリ乳酸ステープルを用いてポリ乳酸65wt%綿35wt%の45番手紡績糸とした。この紡績糸をタテ、コに用い生機密度110×76本/インチ、目付112g/m2 のブロード織物を製布し、常法により糊抜、精練、漂白、マーセライズ処理し、紳士ドレスシャツ用の布帛を得た。
かかる織物を架橋剤、触媒を含む加工液に浸漬し、絞り率80%でパディング後、80℃で3分間予備乾燥、ついで160℃で2分間熱処理し、綿サイドの架橋改質を行った。加工液の組成は以下の通りである。
架橋剤:ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素樹脂 30g/l
触媒:塩化マグネシウム 20g/l
得られた布帛中のセルロース系繊維の架橋指数は3.2であった。
このようにして得られた布帛を用い、紳士ドレスシャツを縫製し評価に供した。結果を表1および表2に示す。表1から明らかなように、全ての項目において良好な結果であった。また表2から明らかなように洗濯前後とも安定した抗菌防臭効果を示している。
比較例1
実施例1においてポリ乳酸65wt%綿35wt%の45番手紡績糸の代わりにポリエチレンテレフタレート65wt%綿35wt%の45番手紡績糸を用いた以外は実施例1と同様の方法で紳士ドレスシャツを縫製し評価に供した。
なお、得られた布帛中のセルロース系繊維の架橋指数は3.1であった。結果をあわせて表1および表2に示す。
表1から明らかなように、通常のポリエチレンテレフタレートを用いた場合には実施例1のような生分解性が得られない。また表2から明らかなようにポリエチレンテレフタレートの場合には抗菌防臭性も得られない。
比較例2
実施例1において架橋改質処理を行わなかった以外は実施例1と同様の方法で紳士ドレスシャツを縫製し評価に供した。なお、得られた布帛中のセルロース系繊維の架橋指数は4.5であった。結果を併せて、表1および表2に示す。
表1から明らかなように、セルロース系繊維の架橋改質処理を行わなかった場合には実施例1のような良好な防シワ性が得られない。また表2から明らかなように架橋改質処理を行わなかった場合には抗菌防臭効果の耐久性が得られない。
Figure 0004517713
Figure 0004517713

Claims (9)

  1. 融点が130℃以上の脂肪族ポリエステルを主体とするポリエステル系繊維とセルロース系繊維からなる繊維材料であって、該セルロース系繊維が架橋剤によって架橋改質されたものであり、下記式で定義される架橋指数が、1以上4以下の範囲内にあることを特徴とする繊維材料。
    架橋指数=(A−B)
    ここで、
    A:温度30℃、相対湿度90%RH雰囲気下での架橋改質されたセルロース 系繊維の吸湿率(%)
    B:温度20℃、相対湿度65%RH雰囲気下での架橋改質されたセルロース系繊維の吸湿率(%)
  2. 前記脂肪族ポリエステルがL−乳酸を主成分とするポリエステルであることを特徴とする請求項1に記載の繊維材料。
  3. 前記架橋指数が、2以上3.5以下の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維材料。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の繊維材料が、架橋改質されたセルロース系繊維を全繊維重量に対し10wt%以上含むことを特徴とする繊維材料。
  5. 前記セルロース系繊維が、ホルムアルデヒドによって架橋改質されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の繊維材料。
  6. 前記セルロース系繊維が、下記一般式[I]で示される化合物によって架橋改質されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の繊維材料。
    Figure 0004517713
    ここで、R1 、R2 は−H、炭素数1〜4のアルキル基、又は−CH2 OR7 のいずれかである同種又は異種の基、R3 、R4 、R5 、R6 は−Hまたは−OR8 のいずれかである同種又は異種の基、R7 、R8 は−H、又は炭素数1〜4のアルキル基のいずれかである同種又は異種の基。
  7. 該繊維材料のJIS L 1902による静菌活性値が家庭洗濯20回後2.2以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の繊維材料。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の繊維材料を少なくともその一部に用いてなる、ドレスシャツ、ブラウス、パンツ、スカート、ポロシャツ、Tシャツ、トレーニングウェア、コート、セーター、パジャマ、スクールユニフォーム、作業着、白衣、浴衣、肌着、裏地、芯地、および靴下から選ばれてなる衣料品。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の繊維材料を少なくともその一部に用いてなる、シーツ、布団側地、布団カバー、枕カバー、ベッドカバー、タオルケット、クッションカバー、テーブルクロス、カーテン、のれん、椅子貼り、およびマットから選ばれてなる寝装・インテリア用品。
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