JP4517486B2 - 2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンニトリルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンニトリルの製造方法に関する。2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンニトリルは、飼料添加物として有用な2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタン酸や2−アミノ−4−メチルチオブタン酸(メチオニン)の原料として用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
従来、2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンニトリルの製造方法として、3−メチルチオプロパナールにシアン化水素を付加させる方法が知られている。例えば、米国特許第4912257号明細書には、3−メチルチオプロパナールをピリジンの存在下にシアン化水素酸と反応させる方法が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の方法により得られた2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンニトリルは、保存時に着色度合いが増加する等、保存安定性の点で十分なものではない。
本発明の目的は、保存安定性に優れる2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンニトリルを製造する方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討の結果、3−メチルチオプロパナールとシアン化水素とを塩基存在下に反応させて生成した2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンニトリルを酸性に調整することにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、3−メチルチオプロパナールを塩基の存在下にシアン化水素と反応させた後、酸と混合してpH1〜6の範囲に調整する2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンニトリルの製造方法に係るものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法においては、原料として3−メチルチオプロパナールを用い、これを塩基の存在下にシアン化水素と反応させることにより、2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンニトリルを生成させる。原料の3−メチルチオプロパナールは、アクロレインにメチルメルカプタンを付加させることにより、調製することができる。
【0006】
塩基としては、例えば、ピリジン、トリエチルアミンのような有機塩基や、炭酸カリウム、アンモニアのような無機塩基が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。塩基の使用量は、3−メチルチオプロパナール1モルに対して、通常0.001〜0.05モル、好ましくは0.003〜0.01モルの範囲である。
【0007】
シアン化水素の使用量は、3−メチルチオプロパナール1モルに対して、通常1〜1.1モル、好ましくは1.02〜1.08モルの範囲である。シアン化水素として、シアン化水素の水溶液、すなわちシアン化水素酸を用いてもよい。
【0008】
反応温度は、通常5〜40℃、好ましくは10〜30℃の範囲であり、反応時間は通常0.5〜3時間の範囲である。
【0009】
3−メチルチオプロパナール、シアン化水素および塩基の供給方法としては、例えば、3−メチルチオプロパナールおよび塩基を混合した中にシアン化水素を供給してもよいし、3−メチルチオプロパナールの中にシアン化水素および塩基を併注してもよいし、3者を併注してもよい。3者を併注しながら、反応液を抜出すことにより、反応を連続的に行うことができる。
【0010】
上記反応は、シアン化水素の安定性の観点から、水の存在下に行うのが好ましい。このためには、水を上記3−メチルチオプロパナール、シアン化水素および塩基とは別に供給してもよいし、3−メチルチオプロパナールとしてその水溶液を用いてもよいし、塩基としてその水溶液を用いてもよいし、シアン化水素としてその水溶液を用いてもよい。水の使用量は、3−メチルチオプロパナール100重量部に対して、通常5〜100重量部、好ましくは30〜80重量部の範囲である。
【0011】
得られた2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンニトリルを含む反応混合物を、必要に応じて、分液、濃縮、蒸留等の後処理操作や精製操作に供した後、酸と混合して、pHを1〜6、好ましくは1〜5.5、さらに好ましくは1〜5の範囲に調整する。pHが1未満であると、保存中に2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンニトリルが水和反応や加水分解反応を受けることがあり、また、pHが6を越えると、保存時における着色の抑制が十分でない。
【0012】
上記pH調整に用いる酸としては、例えば、硫酸、塩酸、リン酸のような無機酸や、酢酸、ぎ酸のような有機酸が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。また、酸としてその水溶液を用いてもよい。
【0013】
pH調製された2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンニトリルは、必要に応じて、分液、濃縮、蒸留等の後処理操作や精製操作に供された後、2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタン酸製造用の原料や2−アミノ−4−メチルチオブタン酸(メチオニン)製造用の原料等の用途に用いられる。
【0014】
上記本発明の方法により得られる2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンニトリルは、保存安定性にすぐれ、着色が抑制された状態で長期間保存することができ、必要なときに使用することができる。本発明によれば、pHが1〜6の範囲にあり、白金・コバルト色度が通常300以下、好ましくは250以下の2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンニトリルが提供される。白金・コバルト色度は、JIS K 0101に準じて測定することができる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1〜4、比較例1〜4
連続式反応器に、3−メチルチオプロパナール、30%シアン化水素水溶液および49%炭酸カリウム水溶液を、3−メチルチオプロパナール:シアン化水素:炭酸カリウム=1:1.05:0.005のモル比で供給し、25℃にて滞留時間1時間で反応させた。得られた反応液を油層と水層とに分離した。油層は、24%の水を含む2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンニトリルであった(pH7.9)。
この油層に硫酸を添加し、表1に示すpHに調整された8種のサンプルを得た(比較例4は硫酸添加なし)。各サンプルを室温(20〜30℃)にて保存し、白金・コバルト色度の経時変化を評価した。結果を表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば、保存安定性に優れる2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンニトリルを製造することができる。
Claims (3)
- 3−メチルチオプロパナールを塩基の存在下にシアン化水素と反応させた後、酸と混合してpH1〜6の範囲に調整することを特徴とする2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンニトリルの製造方法。
- 酸が硫酸、塩酸、リン酸、酢酸またはぎ酸である請求項1記載の製造方法。
- pHが1〜6の範囲にあり、白金・コバルト色度が300以下であることを特徴とする含水2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタンニトリル保存液。
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