JP4516257B2 - ブロードキャスト装置 - Google Patents
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Description
本発明は電気通信システムを通じて複数の加入者端末へ暗号化されたブロードキャストメッセージを通信するシステム及び方法に係り、更に特定的には複数のワイヤレス携帯端末へ情報をブロードキャストすることを可能とするシステム及び方法に関する。システムは、特にディジタル・エンハンスド電気通信(DECT)標準に基づくものであるが、本質的にこれに基づく必要はない。
【0002】
電気通信システムに、特定のシステムの要求及び可能性に依存して、或る種類のオーディオブロードキャスト機能を設けることが知られている。ブロードキャストされるメッセージは複数のシステムユーザによって受信されうる。1つの基本的なシステムは、特願平5−48684の英抄に記載されている。この英抄には、音声記録部、無線(送信)部、及びアンテナを具備した電話マスタセットを有するコードレス電話セットが記載されている。複数のスレーブセットには、アンテナ、無線部、増幅器、及びスピーカが具備される。次に、記録された音声メッセージはマスタセットからスレーブセットへ送信されうる。
【0003】
このような装置では、スレーブセットに単純な受信部(無線部)のみが具備されている場合、受信部はブロードキャストの受信をサポートするだけでなく、マスタセットを用いた通常の電話トラフィックの交換もサポートすることが要求される。電話による通話を行なうためにスレーブセットが既に使用されていれば、通常の電話による通話トラフィックの通信のために使用されている同じ無線チャネル上でブロードキャストされない限りはブロードキャストを受信することが可能でなく、これは電話による通話を妨害しうる。更に、全てのスレーブセットによる受信のための1つの共通の無線チャネル上でブロードキャストが送信される場合は、全てのスレーブセットの受信器はこのRFチャネル上で受信するよう構成されねばならない。このとき、特にシステムに多くのスレーブセットが含まれる必要がある場合は、特定のスレーブセットによって電話トラフィック情報を交換しようとしているときに問題が生ずる。また、特定のスレーブセットへブロードキャストを送信しようとしているときにも問題が生ずる。
【0004】
電気通信システム中の複数の端末へオーディオブロードキャスト機能を与えるための他のアプローチは、基地局又は他の種類の制御ユニットが、システムにおいて従来行なわれていたように複数の端末の夫々に電気通信リンクを確立すること、即ち音声又はデータファイルのトラフィックを搬送するのに使用されるリンクの種類を用いることである。次に、オーディオメッセージは、通常の電話の会話の音声信号が搬送されるのと同様に各リンク上に同時に送信することによってブロードキャストされる。各端末に対して個々のポイント・ツー・ポイントリンクが確立される必要があるため、所与の時間において限られた数の端末に対する呼を確立するのに十分な資源のみが与えられているシステムに対してかなりの、或いは不可能なほどの要求を課しうる。この問題は、複数の端末の夫々の一つずつに対して、又は全端末の何分の一かに対して呼を確立することによってある程度軽減されるが、これはブロードキャストがされるべき各端末(又は全部の端末の何分の一か)に対してブロードキャストが行われている間に遅延を生じさせうる。これは、端末を使用している人物にとっての快適さが都合のよい時間にブロードキャストを受信することに幾らか依存しているような場合及び適用には、特に許容可能でない。
【0005】
携帯端末に対して無線リンクを使用する電気通信システムでは、多数の携帯端末へかかるブロードキャストを同時に確立することによってブロードキャスト(例えばオーディオブロードキャスト)を供給することは更に困難である。この原因の一部は、単一の基地局によって取り扱われうるチャネル数が限られていること、及びかかる電気通信システムによる使用のために割り付けられている無線スペクトルの量によるものである。かかるシステムの1つの例は、DECT準拠電気通信システム(DECT準拠電気通信システムはディジタル・エンハンスドコードレス電気通信の略称)である。DECTシステムは、数部に分けられている標準ETS300175に記載されている。標準は欧州電気通信標準協会によって公表され、本願に参照として組み入れられるものである。
【0006】
DECT準拠電気通信システムでは、携帯端末は携帯部(PP)と称され、固定端末は固定部(FP)と称される。固定部は、携帯部との通信のための無線終端(即ち無線エンドポイント)である少なくとも1つの無線固定部(RFP)を含む。この場合、各端末へ通常の音声又はデータ搬送チャネルを確立することにより多数の携帯部へブロードキャスト呼を行なうことにより、システムの容量はすぐに枯渇し、システム資源に負荷をかけすぎる。これは、たった幾つかのPPよりも多くに対してブロードキャストすることを可能でなくし、ブロードキャストが生じている間にPPへの通常の音声又はデータ通信を維持又は確立することを失敗させる。
【0007】
本発明は、ブロードキャストされたメッセージを複数の携帯端末が受信することを可能とする電気通信システムを通じて音声メッセージ又はデータファイルといったメッセージをブロードキャストするシステムを提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、ブロードキャストされたメッセージを複数の携帯端末が受信することを可能とすると同時にシステム資源を有効に利用する電気通信システムを通じて音声メッセージ又はデータファイルといったメッセージをブロードキャストするシステムを提供することを他の目的とする。
【0009】
本発明の第1の面によれば、1つ以上の携帯端末と通信する少なくとも1つの固定端末を有する電気通信システムにおいてブロードキャストメッセージを通信するブロードキャストシステムが提供され、ブロードキャストシステムは、ブロードキャストメッセージを運ぶために当該の固定端末について選択されるチャネルを指定する情報を含む第1のメッセージを各固定端末から送信する第1の送信器手段と、各携帯端末を指定されたブロードキャストメッセージチャネル上で受信するようにさせる制御手段と、各携帯端末によって再生されるようブロードキャストメッセージを固定端末から指定されたブロードキャストメッセージチャネル上で送信する第2の送信器手段とを含み、ブロードキャストメッセージチャネルはコネクションレスである。
【0010】
ブロードキャストメッセージは、一般的にはオーディオ又はデータファイル型のメッセージである。
【0011】
第1及び第2の送信器手段は固定端末に組み込まれうる。実際、第1及び第2の送信器手段は同一の実体であり得る。第1及び第2の送信器手段は同一のシステム構成要素であり得る。制御手段は、携帯端末の中に配置されうる。第1及び第2の送信器手段の夫々と制御手段は、システムアプリケーション等であってもよく、これらの用語は必ずしもハードウエアに関連しなくともよい。
【0012】
メッセージをコネクションレスメッセージとしてブロードキャストすることにより、各携帯端末に対して個々の呼を確立することなく、従ってシステムの制約を超えることなく、複数の携帯端末に対して略同時に送信することが可能である。
【0013】
このようなブロードキャスト機能は、携帯端末が警備員又は医療関係者によって携帯されている場合のように、その人物に対してメッセージ又は警報信号を略同時に迅速にブロードキャストすることが重要であるような場合に特に有用である。
【0014】
コードレス電気通信システムがDECT標準に準拠する電気通信システムである場合、指定されるブロードキャストチャネルはDECTシンプレックス・ベアラをサポートするために使用されうるDECT物理チャネルでありうる。指定されるチャネルは、コネクションレス・ダウンリンク・ベアラをサポートするために使用されうる。これは、出願人が認識したように、DECT準拠型システムでは、DECT標準は、コネクションレス通信は通常はシステム情報及び他の制御情報を搬送するためにのみ使用されるものであるが、固定端末の無線固定部から携帯部へコネクションレス通信が確立されることを可能とするため、特に有利である。これは、基本的なDECT準拠携帯部に対して追加的な受信器ハードウエアが殆ど又は全く追加される必要がなく、コネクションレス・メッセージを受信するために既製のDECT部品が使用されうることを意味する。幾つかの場合は、メッセージ処理手順が適切に変更されていれば、既存のハードウエアはブロードキャスト情報を受信することが可能となる。これは、本発明の特徴を実施する際の費用を最小とすることを可能とする。基本的な既存の変更されていないDECT携帯部はブロードキャストメッセージを受信することが可能でなくなるが、電気通信システム中での通常動作には影響はない。
【0015】
更に、電気通信システムがDECT準拠電気通信システムである場合は、第1のメッセージはショートページメッセージとして送信される。
【0016】
ブロードキャストシステムは、
各携帯端末にブロードキャストグループ識別子を割り当てる手段と、
ブロードキャストグループ識別子情報を第1のメッセージに含ませる手段と、
各携帯端末が第1のメッセージ中で伝送されるブロードキャストグループ識別子に対応する割り当てられたブロードキャストグループ識別子を有する場合にのみ、各携帯端末を指定されたブロードキャストチャネル上で受信させる手段とを更に有する。
【0017】
これは、ブロードキャストメッセージを受信するために特定の携帯端末のみが選択されることを可能とする。これは、例えば特定の組織の部署に属する人物又は特定の管理レベルに属する人物によって携帯される携帯端末といった幾つかのグループのグループの携帯端末のみを呼ぶために有利である。
【0018】
ブロードキャストシステムはまた、異なる固定端末がカバーする地理的な領域へ携帯端末がローミングすることを可能とし、ローミングする携帯端末がブロードキャストメッセージを異なる指定されたチャネル上で受信すること、及び、受信するための指定されたチャネルを変更することを必要とする場合でさえ、異なる固定端末からブロードキャストを受信することを可能とするよう、ブロードキャストメッセージの持続時間に亘って第1のメッセージを定期的に送信する手段を更に有する。これは、移動端末のユーザが、ブロードキャストメッセージを受信し続けるために特定の固定端末の無線伝達範囲内にいなければなくてもよいという、明らかな利点を与える。
【0019】
本発明の第2の面によれば、1つ以上の携帯端末と通信する少なくとも1つの固定端末を有する電気通信システムにおいてブロードキャストメッセージを通信する方法が提供され、この方法は、
ブロードキャストメッセージを運ぶために当該の固定端末について選択されるチャネルを指定する情報を含む第1のメッセージを各固定端末から送信する段階と、
各携帯端末を指定されたブロードキャストメッセージチャネル上で受信するようにさせる段階と、
各携帯端末によって再生されるようブロードキャストメッセージを固定端末から指定されたブロードキャストメッセージチャネル上で送信する段階とを含み、ブロードキャストメッセージチャネルはコネクションレスである。
【0020】
本発明の更なる面によれば、ブロードキャストメッセージシステム中の第1の送信器手段の技術的な特徴を有する通信装置が提供される。
【0021】
本発明の更なる面によれば、ブロードキャストメッセージシステム中の制御器手段の技術的な特徴を有する通信装置が提供される。
【0022】
本発明の更なる面によれば、ブロードキャストメッセージシステム中の第2の送信器手段の技術的な特徴を有する通信装置が提供される。
【0023】
本発明の他の面及び任意の特徴は、請求の範囲に記載されており、それについてはここで参照されたく、またその開示はここに参照として組み入れられる。
【0024】
以下、添付の図面を例示的にのみ参照して本発明について説明する。
【0025】
図1に示される特定的な通信システムは、DECT準拠セルラー通信システム1に基づくものであり、固定端末はDECT無線固定部(RFP)3の形の複数の無線エンドポイントを含むDECT固定部(FP)2の形である。このような3つのRFP3a,3b,3cが図示されている。
【0026】
RFP3は相互にネットワーク接続され、FP2はインタフェースを介して公衆交換電話網4といった外部通信網へ接続可能であるがこれは任意である。FPは、また、RFP3同士の相互作用性を含むシステム全体の一般的な動作を制御するよう作用する制御ユニット5を含む。制御ユニット5には、構内自動交換機(PABX)機能が設けられうる。マルチセルシステムを形成するために多数のRFP3が使用されるが、ただ1つのRFP3のみを使用する単一セルシステムを提供することが可能である。DECT準拠システムでは、携帯端末は、RFP3a,3b,3cとのワイヤレスリンクを確立することによって固定部との通信を確立することが可能な携帯部(PP)6の形の携帯端末を含む。これは、当業者によって周知であるように、音声又はデータといったトラフィックの交換を可能とする。12個のPPが図示されているが、他の個数であってもよい。RFPとPPとの間のワイヤレスリンク通信は、1つ以上のDECT物理チャネル(チャネル)上に確立されるいわゆるベアラによって与えられる。各チャネルは、連続的な時分割多重アクセス(TDMA)フレーム中の1つの特定の無線周波数(RF)上で1つの特定のスロットを送信することによって形成される。
【0027】
上述のように、DECT通信システムには、1つのRFP3又は多数のRFP3が設けられうる。明らかに、システムが1つのRFP3のみを有する場合、このRFPはPP6との間に確立される全てのコネクションを扱わねばならない。しかしながら、システムの容量及び/又は伝達範囲を増加させるために設けられる複数のRFP3を有するシステムの場合(例えば図1に示されるシステムの場合)、コネクションは利用可能なリンクの質に依存してRFP3とPP6の間に確立され、これにより通常はPP6と最も近いRFP3との間にリンクが確立されるが、そうでない場合もある。
【0028】
PP6は、固定システムとのトラフィック通信に参加できるようになる前に、FP2のRFP3と同期されているという条件を満たす必要がある。これは、DECTシステムでは、各RFP3が特定のRFP3の識別子とそれが接続されるFP2に関する情報を他のシステム情報と共に搬送する伝送を維持するため、可能である。各RFP3はこのような情報を常に送信しているため、PP6は各DECTシステムチャネル上に順番に受信し、これらのチャネルについてのアクティビティについて監視することが可能である。
【0029】
この送信される情報は、N−チャネル及びQ−チャネル情報と称され、これは当業者によって理解されよう。尚、DECT N−チャネル及びDECT Q−チャネルは論理チャネルであり、DECT物理チャネルではない。
【0030】
近傍のRFP3の存在についての検出はPP6によって行われるため、PP6がアクティブとされるとき、各DECTチャネル上で、RFP3によってブロードキャストされるN−チャネル及びQ−チャネル情報について受信待機状態となる。所与のRFP3がPPとのトラフィックコネクションをサポートするために関与しない場合、この情報はそれ自身によっていわゆるダミー・ベアラ上でブロードキャストされる。所与のRFP3が1つ以上のPP6との1つ以上のトラフィックコネクションをサポートするために関与する場合、RFP3はこの情報を各トラフィック・ベアラ上でブロードキャストする。少なくとも1つのトラフィックコネクションをサポートするRFP3はダミー・ベアラをドロップしうるが、そのRFP3との全てのトラフィックコネクションが中止された場合にはダミー上でのN−チャネル及びQ−チャネル情報が復元されねばならない。いずれの場合もRFP3は少なくとも1つのDECTチャネル上でN−チャネル及びQ−チャネル情報を送信している。ダミー・ベアラは特定のPP6による受信のためのものではなく、たまたま近傍にある全ての伝達範囲内のPP6に対してRFP3の識別子及びシステム情報を全ての時間に亘って利用可能とするためのものである。
【0031】
PP6が最初にスイッチオンされている場合、幾らかのアクティビティを有するRFP3を見つけるまで全ての有効なDECTチャネルをスキャンすることによって伝達範囲内のRFP3の存在について受信待機状態となる。RFP3が実際に1つ以上の他のPPへの音声又はデータの呼を既にサポートしている場合、RFP3とこれらのPPとの間にはいわゆるトラフィック・ベアラが既に確立されており、これらについてはシステム情報が見いだされる。これはPP6に対して、RFP3と同期し、RFP3に対して呼を発すること及び呼を受けとることの準備が出来ている状態となるのに必要なシステム情報を提供するのに十分である。しかしながら、RFP3が音声又はデータの呼を全くサポートしていない場合、トラフィック・ベアラはなく、従ってRFP3の近傍のPP6は、有効なDECTチャネルのうちの1つで定期的な間隔でRFP3によって送信され、PPがこれと同期しうる、いわゆるダミー・ベアラに依存する。
【0032】
PP6は、近傍のRFPが実際にそのチャネル上で送信しているかどうかを判定するために様々なDECTチャネル上でいわゆる同期ベアラを確立する。そのチャネル上で実際に送信していないと判定されると、N−チャネル及びQ−チャネル情報を搬送するチャネルが見つかるまで異なるDECTチャネル上で同期ベアラが確立される。同期ベアラを確立することにより、DECTチャネル上で任意のN−チャネル及びQ−チャネル情報を読むことが可能となる。この情報はPP6によって、固定部へのアクセス権を有するかどうかを判定するために使用され、アクセス権を有する場合は、PP6は、呼を発するため又は呼を受けとるための準備ができた状態となる。
【0033】
トラフィック・ベアラは、音声又はデータ通信のために通常使用されるように、1つのソースから1つ以上の宛先へコネクションを確立し、データを転送し、最終的にコネクションを解放するという3つの段階を有するため、コネクション指向モードで動作する。対照的に、ダミー・ベアラは、1つのソースから1つ以上の宛先の独立(self-contained)データ単位の伝送を含むため、コネクションレスモードで動作する。ベアラには更なる種類が存在し、コネクションレス・ベアラと称される。これはダミー・ベアラと同様であるが、ダミー・ベアラがシステム情報のみを搬送しうるのに対して、コネクションレス・ベアラは他の種類の情報を搬送しうる点で異なる。これらの異なるベアラの性質についての更なる情報は、上述のDECT標準に記載されており、本発明を理解するために必要な場合を除き、特に説明しない。
【0034】
全ての種類のベアラがRFPとN−チャネル及びQ−チャネル情報の形式のシステム情報を含むため、RFPの伝達範囲内にありRFPと同期される全てのPPは、それらの現在の状態がどのようなものであっても(例えば音声呼を行なっていて話し中である、又はアイドル状態にある等)、この情報を受信し、この情報に対してアクセスしうる。他の種類のDECT論理チャネルは、RFPからPPへのページング情報を含むP−チャネルと称される。ページング情報が送信されると、これは全てのベアラ上に出現する。従って、N−チャネル及びQ−チャネル情報を受信することが可能な任意のPPは、任意の送信されたP−チャネル情報を受信することが可能である。全ての同期されたPPは、送信された任意のP−チャネル情報に対して常に受信待機状態であるため、特定のPPに対してどのチャネルで受信するかを命令するために、このチャネル上で情報が搬送される。
【0035】
音声メッセージ又はデータファイルといったメッセージを特定のPPへブロードキャストするために、そのPPはまず、ブロードキャスト情報を搬送するためのブロードキャストチャネルとして使用される特定のDECTチャネル上で受信するようにされる。PPがそのチャネル上で受信するようになると、そのチャネル上でPPによって受信されるようメッセージが送信される。複数のDECT PPにそのチャネル上で受信させることにより、これら全てのPPはブロードキャストメッセージを受信することが可能となる。
【0036】
コネクションレス・ダウンリンク・ベアラは、各RFPによって各RFPに対して異なるものでありうるブロードキャストチャネル上に確立される。RFPの伝達範囲内の全てのPPは、コネクションレス・ダウンリンク・ベアラを搬送するためにそのRFPについて選択されたチャネルに対して受信待機状態であれば、同時にブロードキャストメッセージを受信することが可能である。上述のように、コネクションレス・ベアラはダミー・ベアラと同様であるが、この場合は、当業者によって理解されるように、コネクションレス・ベアラのB−フィールドはブロードキャストメッセージ自体に関する情報で埋められる。メッセージは、音声又はデータファイル情報を含みうるが、警報信号を表わす情報といった他の種類の情報がブロードキャストされうる。尚、これは、ブロードキャストメッセージが与えられるべき各伝達範囲内PPに対するトラフィック・ベアラを確立し、メッセージをこれらのトラフィック・ベアラ上で中継するという概念とは逆のものである。DECT RFPクラスタは、限られた数のトラフィック・ベアラのみをサポートすることが可能であり、周波数の再利用が必要となる前にDECTシステム中に確立されうる絶対的な数のトラフィック・ベアラがある。従って、ブロードキャストメッセージを搬送するためにコネクションレス・ベアラを使用することにより、電気通信システムに過度に負荷をかけることなく複数のPPがメッセージを受信しうる。
【0037】
所与のPPが実際にブロードキャストメッセージを受信し、再生するために、PPに対して、ブロードキャストメッセージのためにどのDECTチャネルが使用されているかを通知する情報を含む第1のメッセージが各RFPによって全てのベアラ上でショートページメッセージとして送信される。P−チャネル上で送信されるショートページメッセージは、ブロードキャストメッセージを搬送するであろうDECTチャネルを識別するために使用される。ショートページメッセージは、当業者によって知られているように、通常はA−フィールド中で搬送される。
【0038】
実際は、ダミー・ベアラが特定のRFPによって使用中である場合、異なるDECTチャネル上でコネクションレス・ダウンリンク・ベアラを確立するよりも、ダミー・ベアラをブロードキャストメッセージ搬送用のコネクションレス・ダウンリンク・ベアラに変換し、ダミー・ベアラを搬送するために以前に使用されたDECTチャネルを要求することが望ましい。これが望ましいのは、所与のRFPがダミー・ベアラのみを送信しているときに、そのRFPと同期される全てのPPはダミー・ベアラを搬送するDECTチャネル上で受信するためである。これは一般的には、PPに対して異なるDECTチャネル上で受信するよう命令する必要性をなくす。
【0039】
全てのPPがブロードキャストメッセージを受信することは常に要求されているわけではなく、PPのうちの1つ又はPPのうちから選択されたものによってのみ所与のブロードキャストメッセージが受信されるようにすることが可能である。PPには、識別子又はグループ識別子が割り当てられ、特定の識別子を搬送するPPのみが所与のブロードキャストを受信するよう選択されうる。これは、DECTシステムでは、グループ仮携帯ユーザ識別子(Temporary Portable User Identity, TPUI)を携帯部又は携帯部のグループに割り当てること、それにより特定のTPUIを有するPPのみがブロードキャストメッセージを受信するようにされることによって成される。システム中で1つ以上のTPUIが使用されえ、それによりPPの異なるグループが形成され、ブロードキャストを受信するために独立に選択されることを可能とする。TPUIに関連する情報はP−チャネル中にも存在し、ショートページメッセージ中で搬送されるため、やはり、全てのPPはこの情報を受信することが可能である。識別子を使用すること、及びアドレス指定は、当業者によって知られており、更なる情報はDECT標準に含まれる。明細書を通して、TPUIという用語は、特に述べない限り、コネクションレスグループTPUIであると理解されるべきである。そうでないのは、例えば、やはり当業者によって理解されるべき、個々のTPUIを指す場合である。
【0040】
ショートページメッセージ中のMACレイヤ情報は、コネクションレス・ベアラの位置、即ちタイムスロット及び周波数に関する位置、を含む。これは、各RFPについて異なるものでありうる。ショートページメッセージは、RFP中のアプリケーションから生ずるものでありうる。特に、ショートページメッセージはP−チャネルに存在する情報、即ち、ブロードキャストメッセージを受信すべきPPの識別子と、ブロードキャストが送信されるDECTチャネルを含む。
【0041】
ブロードキャストメッセージは、システムの任意の場所から発信されるものであってよく、例えばPSTN又は他のPPから発信されるものでありうる。他のPPからの場合、メッセージはPPから伝達範囲内のRFPへ通常のトラフィック・ベアラを通じて送信され、その後、メッセージは上述の機構によって他のPPへブロードキャストされる。ブロードキャストメッセージの発信者は、適当なTPUI情報をフォワードすることによってブロードキャストが行なわれるべきグループを指定しうる。1つの実施例では、これはPPのキーパッドを介して情報を入力することによって、意図される受信者を示すユーザによって発生しうる。
【0042】
各RFPは、現在使用中の各コネクションレス・ダウンリンク・ベアラについて質が維持されることを確実とする。チャネルの質が低い場合は、コネクションレス・ベアラ間でホッピングすることにより他のDECTチャネルへ変更しうる。RFPと同期したPPに対してコネクションレス・ベアラを搬送する新しいチャネルを通知するために、ショートページメッセージが使用されうる。コネクションレス・ベアラが異なるチャネルへ移ったとき、この全ての伝達範囲内のPPに対して通知するために定期的に新しいページが送出される。更に、コネクションレス・ダウンリンク・ベアラは必ずしも各RFPに対する同一のDECTチャネル上にないため、コネクションレス・ダウンリンク・ベアラの位置とブロードキャスト呼TPUI情報を指定するショートページメッセージは、必要であればブロードキャストメッセージの持続時間全体に亘って各RFPによって定期的に送出される。これは、各PPが、他のDECTチャネル上で所与のブロードキャストメッセージに対してコネクションレス・ダウンリンクを送信している異なるRFPによってサービス提供されるセルへローミングし、そのチャネル上で受信することによって、必要であればそれでもなおブロードキャストメッセージを受信することを可能とする。コネクションレス・ベアラのハンドオーバーは、他の方法でも実施されうるが、これはDECT標準に違反するものでありうる。
【0043】
所与の時間においてシステム中では1つのコネクションレス・ダウンリンク・ベアラのみが確立されうるため、システムは一回に1つのブロードキャストメッセージのみが送信されることを可能とする。任意に、夫々に対して優先度の値が割り当てられた多数のTPUIが使用されうる。1つ以上のブロードキャストが同時に要求される場合、システムはメッセージに添付されたTPUIに基づいて最も高い関連付けられた優先度値を有するメッセージをブロードキャストする。優先度の値が使用される場合、PPは、ブロードキャストに関連付けられる優先度の値によってブロードキャストを受信又は拒絶するよう設定されうる。
【0044】
PPが通常のコネクションに基づく呼に既に使用されていれば、その端末へブロードキャストを生じさせることにより多数の効果がありうる。例えば、携帯部によって、ユーザに対してブロードキャストについて知らせる信号が発生されえ、それによりユーザはブロードキャストへ切り換えるか、これを無視することが可能となる。ユーザは、例えば、音声トーン又は表示されたメッセージによって知らされうる。ユーザがブロードキャストを受け入れることを選択する場合、通常のコネクションに基づく呼は保留とされうる。或いは、携帯部は、ブロードキャストを再生するために自動的に切り換え、通常の呼を保留としうる。自動切換は、ブロードキャストが指定される関連付けられた優先度の値を有する場合にのみ生ずるよう実施されてもよい。PPには、通常のコネクションに基づく呼のときに用いられる音量よりも大きい音量でオーディオブロードキャストを再生する手段を有しうる。このために、携帯部には自動的にアクティブとされうるスピーカが設けられうる。上述のように、ブロードキャストは警報信号を表わしうる。かかるブロードキャストは、PPに設けられた警報機能をアクティブとするPPのユーザによって開始されうる。
【0045】
制御ユニットは、グループTPUIを含む全てのRFPに対してブロードキャストメッセージを送信し、これらのブロードキャストメッセージはRFPによって送信されるべきものである。
【0046】
ブロードキャストグループ識別子(特定の例ではグループTPUI)は、PPが加入した直後、又は個々のTPUIが割り当てられた位置の登録のときに、PPに割り当てられうる。或いは、PPはいつでも異なるグループへ再編成されることが許されているため、識別子はいつでも割り当てられうる。PPは、多数のグループのメンバーでありうる。
【0047】
上述の説明は、ブロードキャストメッセージチャネルに関するものであるが、本願出願人による「Multiple Broadcast Facility」なる名称の係属中の英国特許出願第9920324号に詳細に説明されるような他のコネクションレス・ダウンリンク・ベアラを加えることにより更なるブロードキャストメッセージを提供することが可能であり得る。
【0048】
本発明は変更されたDECT準拠電気通信システムについては幾らか詳細に説明されたが、本発明は暗号化されたコネクションレスメッセージングの単一又は多数のインスタンスを確立することが可能な他の電気通信システムにおいて実施されうることに留意されたい。この場合、携帯端末は、DECTのTPUIアドレス指定とは異なるアドレス指定の形式を用いてメッセージを受信するよう命令される。即ち、呼の対称となる聴衆は、各携帯端末についてプログラムされうるグループ識別子について決められうる。
【0049】
本願より、当業者によれば他の変形が明らかとなろう。かかる変更は、システムと装置及びその構成部分の設計、製造、及び使用について既に知られており、上述の特徴の代わりに、又は上述の特徴に加えて使用されうる他の特徴を含みうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を組み込んだ電気通信システムを示す概略図である。
Claims (10)
- 1つ以上の携帯端末と通信する固定端末を有する、ブロードキャストメッセージを通信する通信システムであって、
ブロードキャストメッセージを搬送する、前記固定端末に対して選択されたチャネルを指定する情報を含む第1のメッセージを、前記固定端末から直接前記1つ以上の携帯端末に送信する第1の送信器手段と、
前記第1のメッセージに応じて、前記第1のメッセージを受信した携帯端末を、前記第1のメッセージで指定されたチャネルに切り替える制御手段と、
前記第1のメッセージで指定したチャネルに切り替えた前記携帯端末による再生のために、前記指定したブロードキャストメッセージ用チャネルで、ブロードキャストメッセージを前記固定端末から直接前記携帯端末に送信する第2の送信器手段と
を含み、
前記第2の送信器手段は、前記第1のメッセージで指定されたチャネルでコネクションレスダウンリンクベアラを設定して、前記コネクションレスダウンリンクベアラのフィールドで前記ブロードキャストメッセージを送信する手段を有し、前記ブロードキャストメッセージは前記第1のメッセージで指定したチャネルに切り替えた携帯端末により実質的に同時に受信できる、
通信システム。 - 前記第1のメッセージで指定されたチャネルはDECT物理チャネル上に確立される、請求項1記載の通信システム。
- 前記第1のメッセージで指定されたチャネルはDECTシンプレックス・ベアラをサポートする、請求項1記載の通信システム。
- 前記第1のメッセージはショートページメッセージとして送信される、請求項1記載の通信システム。
- 各携帯端末にブロードキャストグループ識別子を割り当てる手段と、
ブロードキャストグループ識別子情報を前記第1のメッセージに含ませる手段と、
前記携帯端末が前記第1のメッセージで送信されたブロードキャストグループ識別子に対応する割り当てられたブロードキャストグループ識別子を有する場合にのみ、前記携帯端末に前記第1のメッセージで指定されたチャネルで受信させる手段とを更に有する、
請求項1記載の通信システム。 - 前記ブロードキャストグループ識別子情報はDECTグループ仮携帯ユーザ識別子(TPUI)として表わされる、請求項5記載の通信システム。
- 上記ブロードキャストメッセージは前記固定端末と通信する携帯端末において開始及び発生される、請求項1記載の通信システム。
- 前記第1のメッセージ中の前記ブロードキャストグループ識別子情報は、前記携帯端末において選択及び発生される、請求項5記載の通信システム。
- 異なる固定端末がカバーする地理的な領域へ携帯端末がローミングすることを可能とし、前記ローミングする携帯端末がコネクションレスダウンリンクベアラとして前記ブロードキャストメッセージを異なる指定されたチャネル上で受信すること、及び、受信するチャネルを変更することを必要とする場合であっても、前記異なる固定端末から前記ブロードキャストメッセージを受信することを可能とするよう、前記ブロードキャストメッセージの持続時間に亘って前記第1のメッセージを定期的に送信する手段を更に有する、
請求項1記載の通信システム。 - 1つ以上の携帯端末と通信する固定端末を有する通信システムにおいてブロードキャストメッセージを通信する方法であって、
ブロードキャストメッセージを搬送する、固定端末に対して選択されたチャネルを指定する情報を含む第1のメッセージを、前記固定端末から直接前記携帯端末に送信する段階と、
前記携帯端末が、前記第1のメッセージに応答して、前記第1のメッセージで指定されたチャネルに切り替える段階と、
前記携帯端末による前記ブロードキャストメッセージの再生のため、前記ブロードキャストメッセージを前記第1のメッセージで指定されたチャネルで、前記固定端末から直接前記携帯端末に送信する段階とを含み、
前記方法は、
前記第1のメッセージで指定されたチャネルでコネクションレスダウンリンクベアラを設定して、前記コネクションレスダウンリンクベアラのフィールドで前記ブロードキャストメッセージを送信する段階であって、前記ブロードキャストメッセージは前記第1のメッセージで指定したチャネルに切り替えた携帯端末により実質的に同時に受信できる段階をさらに含む方法。
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