JP4516195B2 - 定電位電解式ガスセンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスを検知するガス電極として被検知ガスを化学反応させる作用電極、前記作用電極に対する対極、前記作用電極の電位を制御する参照電極を、電解液を収容した電解槽の電解液収容部に臨んで設け、前記作用電極に被検知ガスを導くガス導入部を設け、前記各電極にガス検知出力を得る出力回路を電気接続してある定電位電解式ガスセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の定電位電解式ガスセンサは、電極を電解液が密に収容される電解槽の電解液収容部内に臨んで設けて構成してあり、例えば電極としては、ガスを検知するガス電極として被検知ガスを化学反応させる作用電極、前記作用電極に対する対極、前記作用電極の電位を制御する参照電極の3電極を設けてあり、また、これらが接触自在な電解液を収容した電解槽と、前記各電極の電位を設定するポテンシオスタット回路等を接続してある。前記3電極の材料としてはガス透過性の多孔質テフロン膜に白金や金、パラジウム等の貴金属触媒等を塗布したものが、電解液としては、硫酸やリン酸等の酸性水溶液が用いられていた。
このような定電位電解式ガスセンサは、電気化学の分野で行われている定電位電解分析法をガスセンサに応用したものであり、空気中に存在する一酸化炭素等の毒性ガスを被検知ガスとして検知することができる。
【0003】
また、前記定電位電解式ガスセンサは、周囲の環境変化に対して前記作用電極の電位を制御して一定に維持することによって、前記作用電極と前記対極との間に周囲の環境変化に相当する電流を生じさせる。そして、前記作用電極の電位が変化せず、またガス種によって酸化還元電位が異なることを利用しているため、ポテンシオスタット回路の設定電位によってはガスの選択的な検知が可能になる。また、ガス電極に用いる触媒を変えることで、目的とするガスに対して高い選択性を持たすことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の定電位電解式ガスセンサは、図面を参酌して説明すると、図4に示すように、電解槽102内部に電解液101と気体収容部106が存在している。また、雰囲気の湿度変化等による電解槽内の電解液101体積の増減に伴う前記電解槽102内部の気圧変化を調節するため、電極隔膜107と別の場所に設けた通気孔301により、前記電解槽102の内外部で気圧差を生じないようにしている。しかし、前記電解液101体積の変動に伴い、前記電解槽102に内圧がかかり、さらに前記電解液101が密に収容してあると、体積変動を前記電解槽102自体の体積変動で吸収していた。これにより、前記電解槽102周壁に応力がかかることになる。また、前記電解槽102には、通常、被検知ガスを前記作用電極103に導くためのガス透過性を有する電極隔膜107が用いられており、応力がかかった場合には、この電極隔膜107等の前記電解槽102周壁を構成する部分のうち強度の低い部分が欠損し易かった。
【0005】
そこで、電解液収容部に気体収容部106を設けた構成の定電位電解式ガスセンサが提案されている。
このように、前記気体収容部106を設けることにより、前記気体収容部106に収容されたガスは圧縮性であるから電解液101の体積変動が前記気体収容部106の気体の圧縮により吸収され、前記電解槽102周壁に応力がかかるのを緩和することができる。しかし、ある程度電解液101の体積変動により内圧のかかった状態が続くと、前記電極隔膜107等に負荷が蓄積することになる。
【0006】
そこで、さらに前記気体収容部106と前記電解槽102外の雰囲気とを通気自在に構成するために通気孔301を採用することが考えられた。このように構成すると、前記電解槽102内に内圧がかかった状態が続いたとしても、時間とともに前記気体収容部106の内圧は、前記通気孔301による通気により大気圧に一致するように変動することになる。つまり、前記電極隔膜107等に負荷が蓄積しにくくなるように圧力平衡が保たれる。
【0007】
しかし、前記ガス導入部111における吸引ガスの圧力が極端に低下する等の急激な圧力変動が生じた場合には、前記電解液101は非圧縮性であるから圧力変動は前記電解液101に直接影響を与えるため、前記電極隔膜107等の強度の低い部分を通じて前記電解液101が前記電解槽102外部に漏洩し、定電位電解式ガスセンサとして使用不能になる場合があるという問題点があった。
他に前述の急激な圧力変動が生じる場合として、ガス導入部111において雰囲気中の塵等が詰まり、閉塞状態になった場合や、大気圧より高い気圧のガス配管中でガス検知を行った後、定電位電解式ガスセンサを雰囲気中に戻した場合等が考えられる。
【0008】
また、耐圧特性の優れた電極隔膜107を使用することで、通気孔301を設けない場合があるが、前記電解槽102内外部において急激な圧力変動が生じた場合には、やはり、電解液101が漏洩する恐れがあるという問題点があり、さらに、前記電解槽102外部の大気圧が高くなった場合には、電解液101の漏洩はない場合でも、電解槽102内部に気泡が入ることがあるという問題点があり、このような場合、被検知ガスが存在しない通常大気中におけるセンサ出力 (以下ゼロ点と称する)が不安定になることが知られている。
また、通気孔301を設けた場合、前記通気孔301から電解液101が漏洩しないように多孔質テフロン膜302などで前記通気孔301を覆わなければならず、定電位電解式ガスセンサの製造工程や構造が複雑になるという問題点があった。
【0009】
従って、本発明の目的は、電解槽内外における大きな圧力変動が原因で生じる電解液の漏洩を簡略な構造で防止できる定電位電解式ガスセンサを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
〔構成1〕
この目的を達成するための本発明の定電位電解式ガスセンサは、ガスを検知するガス電極として被検知ガスを化学反応させる作用電極、前記作用電極に対する対極、前記作用電極の電位を制御する参照電極を、電解液を収容した電解槽の電解液収容部に臨んで設け、前記作用電極に被検知ガスを導くガス導入部を設け、前記各電極にガス検知出力を得る出力回路を電気接続してある定電位電解式ガスセンサであって、その第一特徴構成は、前記電解槽と前記ガス導入部とを仕切る通気性の電極隔膜を一枚設けるとともに、前記電極隔膜に前記電解液と接触自在な前記作用電極、前記対極及び前記参照電極を設け、
前記電解槽内に、前記電極隔膜と接触自在な気体収容部を設けると共に、前記電極隔膜に前記気体収容部および前記ガス導入部を通気自在に接続する通気部を設けた点にある。
【0011】
〔作用効果1〕
つまり、ガスを検知するガス電極として被検知ガスを化学反応させる作用電極、前記作用電極に対する対極、前記作用電極の電位を制御する参照電極を、電解液を収容した電解槽内に臨んで設け、前記作用電極に被検知ガスを導くガス導入部を設け、前記各電極にガス検知出力を得る出力回路を電気接続することにより、前述の従来の定電位電解式ガスセンサの基本的な構造を採用することができる。
【0012】
ここで、前記作用電極として白金、金パラジウムから選ばれる少なくとも一種の反応触媒を設けてあれば、水素化物ガス、一酸化炭素、水素、アルコール、窒素化合物等の被検知ガスに対して酸化活性を有するため、前記被検知ガスを前記作用電極において酸化し、その酸化に伴い生じる電子を検出することが可能になる。このとき、前記参照電極が銀、黒鉛、金等の材料で形成してあれば、前記参照電極が被検知ガスの影響を受け難い構成となる。
【0013】
前記電解槽と前記ガス導入部とを仕切る通気性の電極隔膜を設けることにより、前記電極隔膜が電解液と気体収容部とを接触自在になるように前記ガス導入部と仕切ることができる。また、前記電極隔膜を、例えば多孔質のテフロン膜などのガス透過性を有する材料で構成し、さらに、前記電極隔膜に前記電解液と接触自在な前記作用電極、前記対極及び前記参照電極を設けることにより、ガス透過性を有する電極隔膜と電極とを一体化することができ、前記電極隔膜に通気孔としての機能を付加することができる。
【0014】
これにより、前記電極隔膜と別の場所に通気孔を設ける必要がないため、電解槽としては前記電極隔膜を取付ける開口部だけを用意すればよい。このため、製造工程および構造を簡略化した定電位電解式ガスセンサを提供できる。その上、構造が簡略化されることにより、メンテナンスを容易にすることができ、さらに製造コストも抑えることができるため、作業環境の安全性確保のためのガス検知警報器用定電位電解式ガスセンサを安価で提供することができる。
【0015】
通気孔としての機能を付加された一枚の電極隔膜上に作用電極、対極、参照電極の各電極を配置することにより、前記電極隔膜は1つだけ設ければよく、その上通気孔を設ける必要がないため電解槽としては前記各電極を配置した電極隔膜を取付ける開口部を1つだけ用意すればよい。このことは、複数の電極隔膜や通気孔等を設けたため開口部を複数有する電解槽と比べて電解槽内の電解液が漏洩する機会が大幅に減少することになる。
【0016】
その上、電解槽としては前記各電極を配置した電極隔膜を取付ける開口部を1つだけ用意すればよいのであるから、製造工程および構造が簡略化されることになり、メンテナンスを容易にすることができ、さらに製造コストも抑えることができるため作業環境の安全性確保のためのガス検知警報器用定電位電解式ガスセンサを安価で提供することができる。
【0017】
また、一枚の電極隔膜上に前記各電極を配置するのであるから、電極の組立ておよび前記電極隔膜の電解槽への組み込みが容易となり、複数枚の電極隔膜上に前記各電極を配置する構成に比べて製造工程および構造を簡略化した定電位電解式ガスセンサを提供できる。
【0018】
さらに、前記電極隔膜は前記気体収容部と接触自在に設けられており、前記電極隔膜が前記気体収容部と接触している部分が通気部として用いられる。そのため、前記気体収容部と前記ガス導入部との間でガス交換が行われ、前記ガス導入部における吸引ガスの圧力が極端に低下したとしても、前記電解槽の内圧は、前記通気部を通じて前記電解槽内部の気圧と前記ガス導入部の気圧を等しく保とうとする平衡により、前記ガス導入部の気圧に応じて迅速に変動する。その結果、前記電解槽内部の気圧と前記ガス導入部の気圧は時間と共にほぼ等しくなり、圧力差による電極隔膜の破損等を防ぐことが出来るため、電極隔膜を通じて電解液が前記電解槽外部に漏洩しにくくなる。そのため、常に安定した状態を保つことが出来、定電位電解式ガスセンサが使用不能に陥りにくくなる。
【0019】
また、前述のように前記電解槽内部の気圧と前記ガス導入部との気圧が迅速にほぼ等しく保たれるから、前記ガス導入部で急激な圧力変動があったとしても気泡が前記電解槽内部に入りにくく、安定したゼロ点を有する定電位電解式ガスセンサを提供することができる。
【0020】
さらに、前記電解液収容部に収容される前記電解液は、吸放湿により体積が変動することが知られており、上述の従来の定電位電解式ガスセンサによれば、このような体積変動によっても前記電解槽に内圧がかかることが考えられる。しかし、前記電解液が増減しても、前記気体収容部の体積が増減するとともに前記気体収容部の気圧は、前記通気部における通気により前記ガス導入部の気圧と等しく保たれるから、前記電解液の吸放湿に伴う体積変動に基づき前記電解槽内に内圧がかかるのを防止することが出来る。
【0021】
また、上述のように、通気部が設けられているから圧力弁等の機構が不要になり、定電位電解式ガスセンサの製造工程や構造が簡略化できる。
【0022】
ここで、前記電極材料の材料としたガス透過性を有する多孔質のテフロン膜は、一般に、膜に対して垂直方向のガス透過性を有するだけでなく、水平方向のガス透過性も有している。このため、前記通気部は、前記電極隔膜が前記気体収容部と接している部分のみであるが、前記多孔質のテフロン膜が膜に対して水平方向のガス透過性を有している特性から、ガス導入部に面した前記電極隔膜全面でガス交換を効率よく行うことができる。
【0023】
〔構成2〕
本発明の第二特徴構成は、前記気体収容部における前記電極隔膜とその対向面との間の電解槽の厚さを前記電解液収容部における前記電解槽の厚さよりも大に形成した点にある。
【0024】
〔作用効果2〕
前述の吸放湿により電解液量が変動する現象は、前記電解槽内の電解液の総量が少ないほど端的に現れる。つまり、前記電解液の量が十分多い場合には、吸放湿による前記電解液の増減量の電解液総量に対する割合が少ないので現象として観測されにくいのに対して、電解液総量が少ない場合には、その液面位置の変動として容易に捉えられるのである。また、前記電解液の液面位置が変動すると、液面が上昇した場合には、前記電極隔膜に前記通気部が形成してあるような場合に、前記通気部が狭められたり、液面が低下した場合には、前記電極隔膜に形成されている電極が前記気体収容部に露出してしまい、十分に機能しなくなったり、電極に設けられる触媒が劣化したりする不都合が起きやすい。
【0025】
このような現象を緩和するためには、前記電解槽内の電解液量及び、前記気体収容部容積を十分確保しておくことが望ましいのであるが、このように構成すれば、前記電解槽全体としての強度が確保しにくい、構造が嵩高くなり、装置全体としての構成の自由度が減少し、取り扱いが困難になるなどの不都合が起きやすい。
【0026】
本構成のように、前記気体収容部における前記電極隔膜とその対向面との間の電解槽の厚さを、前記電解液収容部における前記電解槽の厚さよりも大に形成してあると、前記電解液収容部の体積をあまり変化させることなく、前記気体収容部の体積をその厚さ方向に大きく確保することが出来る。すると、前記電解液の吸放湿による体積の変動が、前記気体収容部が厚いために、小さな液面の変動として観測されることになる。すると、前記通気部が狭められたり、電極が前記気体収容部に露出したりするような液面の大きな変動による不都合を抑制できるようになる。
【0027】
尚、図面は単に参酌のみに利用したものであって、本発明は図面に限定されるものではない。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明するが、本発明は、これらによって限定されるものではない。
図1および図2に示すように、本発明の定電位電解式ガスセンサは、電解液101を収容する電解槽102を形成するケーシングを設け、その電解槽102に収容した電解液101と接触自在になるように、被検知ガスを化学反応させる作用電極103、作用電極に対する対極104、前記作用電極の電位を制御する参照電極105を設けて構成してある。前記作用電極103及び対極104は、多孔質のガス透過性を有する電極隔膜107の表面に、白金や金、パラジウム等の貴金属触媒を塗布焼結して形成してあり、かつ前記参照電極105は銀ワイヤーで形成してある。ここで、前記参照電極105は、前記銀ワイヤーの他に黒鉛や金等の被検知ガスに影響を受けない材料であれば使用できる。また、前記作用電極103を、前記電極隔膜107上に配置し、ガス導入部111に連通して前記作用電極103上で被検知ガスを反応させる反応部に形成してある。前記各電極は、一枚の前記電極隔膜107上に配置する。
【0029】
また、前記各電極と接触自在になるように作用電極リード端子103a、対極リード端子104a、参照電極リード端子105aをそれぞれ前記ケーシングに設けてあり、シリコンゴムシーリング材からなる押え部材109を介して、被検知ガスを導入して反応させる反応部を形成すると共に、前記電極隔膜107と前記押さえ部材109とを固定する蓋部材110を設けて前記ケーシングと嵌合させて固定してある。
【0030】
また、前記電解槽102の上部には雰囲気ガスが存在する気体収容部106を設け、前記電極隔膜107が前記気体収容部106と接触している部分が通気部112となる。尚、通気部112は、前記電解槽102に通気孔を設け、前記ガス導入口111に連通されるように構成してもよい(図示しない)。
【0031】
このような定電位電解式ガスセンサは、前記反応部に被検知ガスを導入するガス導入部111を設けると共に、前記作用電極103上で生じた電子に基づく電流を検知自在な電流測定部201と前記作用電極103の電位制御自在な電位制御部202とを備えたガス検知回路に接続してガス検知装置として用いられる。
【0032】
また、図3に示すように、前記気体収容部106における前記電極隔膜107とその対向面との電解槽102の厚さを前記電解液収容部における前記電解槽102の厚さよりも大に形成することも可能である。
【0033】
【実施例】
以下に本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
従来の定電位電解式ガスセンサと本発明の定電位電解式ガスセンサとを用いてガス導入部での気圧を大気圧より低く設定し、前記両センサでゼロ点を測定して得られた結果を図5に示す。このような状況は、ガス導入部において雰囲気中の塵等が詰まり、閉塞状態になった場合等が考えられる。
尚、本発明の定電位電解式ガスセンサの構成は、作用電極および対極の触媒に白金黒を、参照電極に銀ワイヤーを使用し、電極隔膜として多孔質テフロン膜を、電解液として硫酸(H2 SO4 )溶液1.5mlを使用している。この時、電解槽体積は3.0mlとなっている。このような定電位電解式ガスセンサは、一酸化炭素(CO)検出用のセンサとして使用される。また、従来の定電位電解式ガスセンサは、上述の本発明の従来の定電位電解式ガスセンサと同様の構成であるものを使用する。
【0034】
ここで、図5の横軸は時間(秒)、縦軸は清浄空気に対する出力を相対値で表したゼロ点出力(mV)である。
この結果、従来の定電位電解式ガスセンサでは大気圧より低い気圧条件である−3kPa、−40kPa共にゼロ点が変動した。特に−40kPaではゼロ点が大きく変動し、ゼロ点測定後において大気圧相当出力を維持できず、電解槽中の電解液が漏洩した。一方、本発明の定電位電解式ガスセンサでは、大気圧より低い気圧条件である−3kPa、−40kPa共にゼロ点変動は極めて小さく、従来の定電位電解式ガスセンサでは電解液の漏洩が生じていた圧力においても異状は認められなかった。つまり、本発明の定電位電解式ガスセンサは、電解槽内外で気圧差を生じている条件である、ガス導入部での気圧を大気圧より低くした条件で実使用した場合でも、電解液の漏洩や気泡の発生は生じないため安定したゼロ点を有していることが判明した。
【0035】
一方、 従来の定電位電解式ガスセンサと本発明の定電位電解式ガスセンサとを用いてガス導入部での気圧を大気圧より高く設定し、前記両センサでゼロ点を測定して得られた結果を図6に示す。このような状況は、大気圧より高い気圧のガス配管中でガス検知を行った後、定電位電解式ガスセンサを雰囲気中に戻した場合等が考えられる。
尚、従来の定電位電解式ガスセンサと本発明の定電位電解式ガスセンサの構成は上述の実施例で述べた構成と同様とする。
【0036】
ここで、図6の横軸は時間(秒)、縦軸は大気圧に対する相対値で表したゼロ点出力(mV)である。
この結果、従来の定電位電解式ガスセンサでは大気圧より高い条件である1kPa、3kPa共にゼロ点が非常に不安定になり、特に3kPaでのゼロ点測定後において大気圧レベルへの復帰は困難であった。一方、本発明の定電位電解式ガスセンサでは、大気圧より高い条件である1kPa、3kPa共にゼロ点変動は極めて小さく、ゼロ点測定後における大気圧レベルへの復帰も正常であった。つまり、本発明の定電位電解式ガスセンサは、電解槽内外で気圧差を生じている条件である、ガス導入部での気圧を大気圧より高くした条件で実使用した場合でも、電解液の漏洩や気泡の発生は生じないため安定したゼロ点を有していることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の定電位電解式ガスセンサの概略図
【図2】図1の定電位電解式ガスセンサの斜視図
【図3】本発明の定電位電解式ガスセンサの別実施形態の概略図
【図4】従来の定電位電解式ガスセンサの概略図
【図5】ガス導入部の圧力を減少させた場合のゼロ点出力の変動グラフ
(a)従来の定電位電解式ガスセンサ
(b)本発明の定電位電解式ガスセンサ
【図6】ガス導入部の圧力を増加させた場合のゼロ点出力の変動グラフ
(a)従来の定電位電解式ガスセンサ
(b)本発明の定電位電解式ガスセンサ
【符号の説明】
101 電解液
102 電解槽
103 作用電極
103a 作用電極リード端子
104 対極
104a 対極リード端子
105 参照電極
105a 参照電極リード端子
106 気体収容部
107 電極隔膜
109 押え部材
110 蓋部材
111 ガス導入部
112 通気部
201 電流測定部
202 電位制御部
301 通気孔
302 多孔質テフロン膜
Claims (2)
- ガスを検知するガス電極として被検知ガスを化学反応させる作用電極、前記作用電極に対する対極、前記作用電極の電位を制御する参照電極を、電解液を収容した電解槽の電解液収容部に臨んで設け、前記作用電極に被検知ガスを導くガス導入部を設け、前記各電極にガス検知出力を得る出力回路を電気接続してある定電位電解式ガスセンサであって、
前記電解槽と前記ガス導入部とを仕切る通気性の電極隔膜を一枚設けるとともに、前記電極隔膜に前記電解液と接触自在な前記作用電極、前記対極及び前記参照電極を設け、
前記電解槽内に、前記電極隔膜と接触自在な気体収容部を設けると共に、前記電極隔膜に前記気体収容部および前記ガス導入部を通気自在に接続する通気部を設けてある定電位電解式ガスセンサ。 - 前記気体収容部における前記電極隔膜とその対向面との間の電解槽の厚さを前記電解液収容部における前記電解槽の厚さよりも大に形成してある請求項1に記載の定電位電解式ガスセンサ。
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