JP4516163B2 - 無線検針システム - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス、水道、電力などの使用量、とくに燃料ガスの使用量の検針に適した無線検針システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、都市ガスやプロパンガスのような燃料ガスの使用量はガスメータにより計量され、検針員が各戸を巡回しガスメータを確認することによって使用量の検針を行なってきた。しかしながら、検針員がガスメータを目視して確認する従来の方法では、多くの人員を要し、また使用量を誤認する可能性も高いから、最近では公衆回線を用いて検針値をセンタに伝送する技術が提案されている。さらに、各ガスメータと公衆回線との間を有線で接続するのでは施工作業が面倒であるから、公衆回線に親機を接続するとともにガスメータに子機を設け、親機と子機との間で無線によりデータを授受することが考えられている。つまり、ガスの使用量を確認する際には、センタから親機を通して無線により子機を呼び出し、子機がガスメータの計測値を無線により親機に返送してセンタにガスの使用量を通知するのである。
【0003】
この種の無線検針システムでは、子機はガスメータとともに電池を電源として駆動されるから、電池の交換頻度が10年に1回程度になるように、消費電力を小さくしなければならない。子機の送信頻度はごく少ないから、子機での電力消費の大部分は受信待機状態で生じる。そこで、子機の受信待機状態でのキャリアセンスを間欠的に行なうとともに、その頻度を低減させれば子機の電力消費を低減することができると考えられる。
【0004】
このような知見に基づいて、子機のキャリアセンスの時間間隔を20秒に1回程度とし、親機から子機を呼び出す際にはこの時間間隔よりも長い電文を伝送する技術が考えられている。つまり、親機からの電文の伝送中に少なくとも1回は子機がキャリアセンスを行なうことになるから、これによって親機と子機との間にリンクを確立することが可能になる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、親機と子機との間で伝送される無線信号の通信成功率は、受信側での受信電力に依存し、受信電力が小さいと通信成功率が低下する。とくに、子機は電力消費を低減しなければならないから、送信電力も比較的小さく、したがって、親機と子機との位置関係や使用環境によっては通信成功率が大幅に低下するという問題がある。
【0006】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、受信電力が小さくなる条件下でも通信成功率を高めることができる無線検針システムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、公衆回線に接続された親機と、検針対象となるメータに接続された子機とを備え、親機と子機との間で無線信号によりデータを授受して前記メータでの計測値を公衆回線を通して伝送する無線検針システムにおいて、子機は複数台の親機と通信可能に配置され、子機には通信可能な親機が登録されるとともに各親機に対する優先順位が設定してあり、子機と各親機との間に形成される複数の伝送路から通信可能な親機の優先順位が高い順に1つの伝送路を選択する伝送路選択手段と、選択した伝送路を用いて親機から子機に伝送した無線信号に対する親機からの応答の有無を判断する受信確認手段と、親機からの応答がないときに伝送路選択手段に別の伝送路を選択させて他の親機に対して無線信号を再送させる再送指示手段とを子機に備えるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
(基本構成)
本発明の無線検針システムでは、図1に示すように、検針データを収集するセンタ10はC−NCU(網制御装置)51を介して公衆回線50に接続される。公衆回線50にはT−NCU(網制御装置)52が接続され、T−NCU52では電話機53と親機30とを公衆回線50に選択的に接続する。つまり、T−NCU52は常時は電話機53を公衆回線50に接続しており、親機30は必要に応じて公衆回線50に接続される。
【0011】
親機30は無線信号を送受する機能を有し、子機40との間で無線信号によりデータを授受する。また、子機40には検針対象としてのガスメータ20が接続される。このガスメータ20はいわゆるマイコンメータであって、燃料ガスの使用量の計量だけではなく、地震の発生、ガス漏れ、電池切れ等の異常の検出や、異常発生時における閉栓のような処理を行なう機能を有する。燃料ガスの使用量の検針はセンタ10から親機30および子機40を通して行なうから、センタ10からの制御信号によりT−NCU52を制御して親機30を公衆回線50に接続するが、異常発生に伴う報知は子機40から親機30を通してセンタ10にデータを伝送するから、この場合には親機30がT−NCU52を制御して親機30を公衆回線503に接続させる。
【0012】
親機30と子機40とは複数台ずつ設けられ、各子機40は複数台の親機30との間で無線信号の送受が可能に配置される。要するに子機40からの無線信号を受信可能な範囲内に複数台の親機30が配置され、子機40からの無線信号を受信可能な親機30は子機40に対応付けられる。この対応付けは、子機40のIDを親機30が確認することにより可能になる。つまり、親機30には無線信号を受信することができる範囲内に配置された子機40のIDを保持する管理範囲記憶部32a(図2参照)が設けられており、子機40からの無線信号に含まれるIDが管理範囲記憶部32aに登録されているIDであればその子機40からの無線信号の受信が可能になる。
【0013】
子機40はガスメータ20に隣接ないし内蔵する形で配置され、親機30は、戸建て住宅では宅内あるいは戸外に配置され、集合住宅ではエレベータ内や管理室などに配置される。また、T−NCU52とともに電柱などに親機30を配置してもよい。この場合、電話機53は不要である。
【0014】
以下では、説明を簡略化するために、複数台の親機30と子機40とが多対一に対応している場合を想定して説明するが、多対多に対応させてもよい。
【0015】
親機30は、図2に示すように、マイコン31を主構成としており、センタ10と子機40との間で授受されるデータの一時記憶などに用いるメモリ32が設けられる。メモリ32の一部領域は管理範囲記憶部32aとして用いられ、交信可能な子機40のIDが登録される。マイコン31は通信インタフェース33を介してT−NCU52に接続され、また通信インタフェース34を介して無線送受信部35に接続される。無線送受信部35にはアンテナ36が接続され、子機40との間で無線信号を送受する。親機30には商用電源から給電される。
【0016】
子機40は、親機30とほぼ同様の構成を有し、図3に示すように、マイコン41を主構成として構成され、親機30とガスメータ20との間で授受されるデータの一時記憶などに用いるメモリ42を備える。このメモリ42には子機40のIDも登録されている。マイコン41には通信インタフェース43を介して無線送受信部44が接続される。無線送受信部44にはアンテナ45が接続され、親機30との間で無線信号を送受する。また、マイコン41には通信インタフェース46を介してガスメータ20が接続される。子機40の電源47はリチウム電池よりなる電池が用いられる。
【0017】
上述の説明から明らかなように、センタ10とガスメータ20との間の伝送路のうち親機30と子機40との間のみが無線による伝送路であり、他は有線による伝送路であって、本発明の要旨は無線による伝送路での通信成功率の向上にあるから、以下では親機30と子機40との間での無線信号の手順について説明する。
【0018】
親機30および子機40は常時は18秒周期でキャリアセンスを行なっており、互いに他方に情報を伝送する際には、図4に示すように、呼出符号とIDを含む起動電文STXを20秒間送出する。いま、センタ10からガスメータ20に対して使用量の伝送を要求するとすれば、親機30からの起動電文STXが20秒間送出されている間に子機40は少なくとも1回は起動電文STXを受信するから、起動電文STXに含まれるIDが、子機40に設定されているIDに一致すると、その子機40は親機30に対して応答電文RTXを返送する。応答電文RTXはガスメータ20により計測された使用量等のデータDTを伝送する。また、親機30は子機40からの応答電文RTXの受信に成功したときに肯定応答ACKを返す。
【0019】
ところで、子機40との交信が可能な範囲に配置された複数台の親機30における管理範囲記憶部32aには同じ子機40のIDが登録される。したがって、複数台の親機30で1台の子機40との間の交信が可能になる。ただし、同時に複数台の親機30が子機40と交信すると距離差などによって干渉を生じる可能性があるから、どの親機30が子機40と交信するかを択一的に選択することが必要である。
【0020】
そこで、センタ10には伝送路選択手段11を設けてあり、ガスメータ20の検針を行なうときには、そのガスメータ20に接続されている子機40のIDを指定し、センタ10の指定したIDが管理範囲記憶部32aに格納されている親機30を探し出す。このとき複数台の親機30が見付かるが、各親機30には、対象となる子機40との距離などに基づいて、あらかじめ優先順位を設定してあり、優先順位の高い親機30を用いて子機40に起動電文STXなどの無線信号を伝送する。親機30からの無線信号に対して子機40は応答電文RTXを返送するから、親機30に設けた受信確認手段37で応答の有無を確認すれば、選択した親機30と子機40との間の伝送路を用いて無線信号が伝送可能か否かを判断することができる。つまり、親機30からの無線信号に対して子機40からの応答がなければ、選択した親機30と子機40との間の伝送路は適切ではないと判断され、センタ10には交信の失敗が通知される。
【0021】
センタ10には再送指示手段12が設けられ、再送指示手段12では、伝送路選択手段11で選択した親機30による交信の失敗が通知されると、同じIDが登録されている別の親機(優先順位が次に高い親機)30を選択して同じ内容の無線信号を子機40に伝送させる。このような手順で子機40への伝送が成功するまで親機30が次々に選択される。ここで、子機40への再送回数には上限値が定められており、再送回数が上限値に達するまでに交信に成功しなければ、センタ10では交信失敗の報知がなされる。
【0022】
以上説明したように、各子機40にはそれぞれ複数台の親機30が対応付けられており、1台の親機30が子機40との交信に失敗しても他の親機30が選択されて子機40と交信を試みるから、通信成功率が向上するのである。
【0023】
図5に示すように、親機40に複数のアンテナ36a,36bを設けてもよい。この構成では、親機40から子機30への無線信号の送信時に、アンテナ選択手段38によって使用するアンテナ36a,36bが選択される。アンテナ選択手段38は受信状態検出手段39で検出された受信状態に応じて、送信時に用いるアンテナ36a,36bを選択するものであり、最良の受信状態が得られたアンテナ36a,36bは送信時にも条件がよいと判断し、そのアンテナ36a,36bを送信時に用いる。この技術は上述した技術とともに用いることが可能である。
【0024】
(実施形態)
本実施形態は、図6に示すように、ガスメータ20が接続された子機40に伝送路選択手段40aと再送指示手段40bと受信確認手段40cとを設けたものである。伝送路選択手段40aは、センタ40に設けた伝送路選択手段11と同様に、交信可能な複数台の親機30が登録されており、各親機30に対する優先順位が設定してある。また、受信確認手段40cを備えるから、子機40から親機30に伝送した無線信号に対する応答の有無を確認することによって無線信号の伝送が可能か否かを判断することができる。再送指示手段40bは、基本構成におけるセンタ10に設けた再送指示手段12と同様の機能を有する。
【0025】
ガスメータ20ないし子機40においてセンタ10に伝送すべき情報が発生したときには、交信可能な親機30の範囲内で優先順位のもっとも高い親機30に対して無線信号を伝送する。受信確認手段40cでは、無線信号に対する親機30からの応答の有無を確認する。子機40からの無線信号に対して親機30から正常な応答があれば、子機40では無線信号の伝送に成功したものとして、次の機会まで無線信号の伝送を停止する。
【0026】
一方、親機30から正常な応答がなければ、再送指示手段40bが他の親機30を選択して同じ内容の無線信号を子機40から別の親機30に伝送する。ここで、親機30への無線信号の伝送が成功すれば無線信号の伝送を終了し、親機30への無線信号の伝送が失敗すれば、無線信号の再送を繰り返す。こうして、親機30への無線信号の伝送が成功するか、再送指示手段40bに設定されている再送回数に達すると無線信号の再送を終了させる。
【0027】
他の構成および動作は基本構成と同様であり、各子機40にはそれぞれ複数台の親機30が対応付けられ、子機40が1台の親機30との交信に失敗しても他の親機30を選択して交信を試みるから、通信成功率が向上するのである。しかも、本実施形態では子機40において親機30からの応答を確認するから、ガスメータ20や子機40においてセンタ10に伝送すべき情報が発生したときに、センタ10からの呼び出しを待たずに情報を伝送することができ、ガスメータ20や子機40において緊急性の高い情報を発呼する場合に迅速な対応が可能になる。
【0028】
【発明の効果】
請求項1の発明は、公衆回線に接続された親機と、検針対象となるメータに接続された子機とを備え、親機と子機との間で無線信号によりデータを授受して前記メータでの計測値を公衆回線を通して伝送する無線検針システムにおいて、子機は複数台の親機と通信可能に配置され、子機には通信可能な親機が登録されるとともに各親機に対する優先順位が設定してあり、子機と各親機との間に形成される複数の伝送路から通信可能な親機の優先順位が高い順に1つの伝送路を選択する伝送路選択手段と、選択した伝送路を用いて親機から子機に伝送した無線信号に対する親機からの応答の有無を判断する受信確認手段と、親機からの応答がないときに伝送路選択手段に別の伝送路を選択させて他の親機に対して無線信号を再送させる再送指示手段とを子機に備えるものであり、1台の子機を複数台の親機と交信可能に配置しておき、選択した親機と子機との間で交信に失敗したときには他の親機を選択して子機との交信を行なうから、親機と子機との間で通信が成功する確率が高くなるという利点がある。しかも、メータに接続された子機に受信確認手段と再送指示手段とを設けているから、子機から発呼したときに親機の応答を確認し、親機からの応答がなければ再送するのであって、メータ側からの発呼が可能になる。すなわち、子機が通信可能な複数台の親機のうち優先順位の高い親機を選択し、子機において親機からの応答を確認して情報を伝送するから、子機において緊急性の高い情報を発呼する場合に、親機側からの呼び出しを待たずに情報を迅速に伝送することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 基本構成を示すブロック図である。
【図2】 同上に用いる親機を示すブロック図である。
【図3】 同上に用いる子機を示すブロック図である。
【図4】 同上の動作説明図である。
【図5】 同上の他例に用いる親機を示すブロック図である。
【図6】 本発明の実施形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 センタ
11 伝送路選択手段
12 再送指示手段
20 ガスメータ
30 親機
36a、36b アンテナ
37 受信確認手段
38 アンテナ選択手段
39 受信状態検出手段
40 子機
50 公衆回線
Claims (1)
- 公衆回線に接続された親機と、検針対象となるメータに接続された子機とを備え、親機と子機との間で無線信号によりデータを授受して前記メータでの計測値を公衆回線を通して伝送する無線検針システムにおいて、子機は複数台の親機と通信可能に配置され、子機には通信可能な親機が登録されるとともに各親機に対する優先順位が設定してあり、子機と各親機との間に形成される複数の伝送路から通信可能な親機の優先順位が高い順に1つの伝送路を選択する伝送路選択手段と、選択した伝送路を用いて子機から親機に伝送した無線信号に対する親機からの応答の有無を判断する受信確認手段と、親機からの応答がないときに伝送路選択手段に別の伝送路を選択させて他の親機に対して無線信号を再送させる再送指示手段とを子機に備えることを特徴とする無線検針システム。
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