JP4515602B2 - Catvシステムのヘッドエンド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、CATVシステムのヘッドエンドに関するものであり、特に、デジタル放送信号を受信するアンテナからの受信信号を受けて、それに含まれている各デジタル放送チャンネルの放送データを所定周波数帯のCATVシステム用の放送信号に変換し、その放送信号をCATVシステムの幹線へと送出するデジタル放送対応のヘッドエンドに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、人工衛星を用いたデジタル放送(衛星デジタル放送)の普及が進んでいる。そして、デジタル放送では、放送用の無線伝送路として割り当てられている各無線チャンネル毎に、同時に複数の番組の放送データを多重化して送信でき、また、本来の放送データ(映像データ及び音声データ)に加えて、受信機器がデジタル放送の選局動作を実現するための選局情報(PMT:Program Map Table を含むPAT:Program Association Table など)や、EPG(電子プログラムガイド)用の番組情報(いつ、どのデジタル放送チャンネルで、どの様な番組が放送されているかを示すデータ)等を含む付加情報が併せて伝送される。そして、放送衛星(BS)を用いたデジタル放送(BSデジタル放送)が、平成12年12月から本格的に開始される予定である。
【0003】
尚、本明細書において、デジタル放送チャンネルとは、デジタル放送におけるチャンネルの番号を意味しており、一般にはサービスIDのことである。また、1つのサービスIDで複数番組分の映像・音声の各エレメンタリーストリーム(MPEG2システムで規定されているパケットであり、以下、ESという)が伝送される「1サービスID/複数ES方式」の場合には、サービスIDと、そのサービスIDの放送データに含まれる各ESを示すパケットID(以下、PIDという)とが、デジタル放送チャンネルに該当する。
【0004】
ここで、例えば、人工衛星からのデジタル放送信号を受信して端末側に伝送するCATVシステムを構築する場合、そのヘッドエンドは、以下のような構成を採ることとなる。
まず、ヘッドエンドには、人工衛星の各トランスポンダから送信されて来るデジタル放送信号を受信するアンテナと、そのアンテナからの受信信号を受けて、特定のデジタル放送チャンネルの放送データが含まれているトランスポンダからの受信信号を選局すると共に、その選局した受信信号から前記特定のデジタル放送チャンネルで放送されている番組の放送データを抽出し、該放送データをCATVシステムにおける何れかのチャンネル(CATV用チャンネル)に該当する所定周波数帯のCATVシステム用の放送信号に変換して、同軸ケーブルからなる幹線へと出力する選局変換装置とが設けられる。
【0005】
そして、選局変換装置は、そのCATVシステムが端末側へ提供すべきデジタル放送チャンネル毎に、1つずつ設けられることとなる。
また更に、ヘッドエンドには、各選局変換装置の出力などから、それらが正常に動作しているか否かを判定する情報処理装置と、何れかの選局変換装置が異常となった場合に、その選局変換装置に代えて用いられる予備の選局変換装置(以下、予備選局変換装置という)とが設けられることとなる。
【0006】
そして、情報処理装置は、何れかの選局変換装置が異常になったことを検知すると、例えば、その旨をCATVのセンター(以下、CATVセンターという)にいるオペレータへ報知する。この場合、オペレータは、情報処理装置によって異常と判定された選局変換装置の動作を停止させると共に、その選局変換装置が受け持っていたデジタル放送チャンネルに対応するCATVシステム用の放送信号が、予備選局変換装置から出力されるように、設定を手動で切り替える。また、オペレータの手を介さずに、情報処理装置が、自動的に設定を切り替えるように構成することも考えられる。
【0007】
一方、例えばBSデジタル放送では、「臨時サービス」や「マルチビューテレビ」といった、アナログ放送には無い新たなサービスの実施が予定されている。
臨時サービスとは、デジタル放送の放送局(放送事業者)が、本来の編成サービスはそのままに、そのビットレートを低減して得られる余裕帯域に新たに臨時のチャンネルを設け、その増設した臨時チャンネルにより、緊急報道番組や延長される生番組等を、追加の臨時番組として放送するものである。
【0008】
具体例を挙げると、図6に例示するように、まず、ある放送局の本来の番組編成では、サービスID=101のデジタル放送チャンネルによって、時刻t1から時刻t2までの間、HDTV(High Definition television:高品位テレビ)方式で野球中継の番組を放送し、次の時刻t2から時刻t3までの間、HDTV方式で映画の番組を放送する予定であったとする。
【0009】
ここで、野球の試合が時刻t2までに終了せずに、その野球中継の番組を延長放送する場合、放送局は、まず、時刻t2からの本来の通常番組である映画を、通常レート(通常のビットレート)のHDTV方式よりもビットレートが低い低レートのHDTV方式で放送する。そして更に、それまでに無かった臨時のサービスID(図6の例では102)を追加して、そのサービスID=102のデジタル放送チャンネルにより、時刻t2から任意の時刻t2’まで(通常、野球の試合が終わるまで)の間、野球中継の番組をSDTV(Standard television :標準テレビ)方式で放送する。
【0010】
つまり、この例では、本来は通常レートのHDTV方式である通常番組の放送を低レート化することで、SDTV方式の臨時チャンネルを1つ増設し、その増設した臨時チャンネルによって、延長される番組を臨時番組として放送するのである。尚、データ量で比較すると、通常レートのHDTV方式は、SDTV方式の3チャンネル分に相当し、低レートのHDTV方式は、SDTV方式の2チャンネル分に相当する。
【0011】
そして、その後、時刻t2’で臨時番組の放送が終了すると、その時点から、通常番組である映画を、通常レートのHDTV方式で放送する。
また、放送局側では、デジタル放送信号に含まれる付加情報を操作することにより、上記のような臨時サービスの開始と終了とを受信機器が認識できるようにする。
【0012】
具体的に説明すると、放送局側では、臨時サービスを開始した時に、デジタル放送信号に含まれるPATを更新して、そのPATに臨時のサービスIDを追加し、また、臨時サービスを終了する時には、PATから臨時のサービスIDを消去する。このため、受信機器側では、デジタル放送信号に付加情報として含まれているPATをモニタすることにより、ある放送局が臨時番組用のデジタル放送チャンネル(上記例では、臨時のサービスID=102)を増設したことを検出することができる。
【0013】
一方、図7に例示するように、マルチビューテレビとは、1サービスID/複数ES方式での運用を前提として、HDTV方式の1つのチャンネルを、最大3つのSDTV方式のチャンネルに分割することにより、1つのサービス内で関連する複数の内容を同時に放送するアプリケーションである。そして、複数のSDTV方式のチャンネルのうち、1つがメイン番組用のチャンネル(メインチャンネル)として用いられ、他が追加のサブ番組用のチャンネル(サブチャンネル)として用いられる。
【0014】
具体例を挙げると、ゴルフ中継などにおいて、総合の内容(総合放送)をメイン番組として放送すると共に、17番ホールの状況を一方のサブ番組として放送し、また、18番ホールの状況を他方のサブ番組として放送する、といった運用が考えられる。
【0015】
例えば、ある放送局が、時刻t10から、サービスID=101且つPID=500のデジタル放送チャンネルによって、ゴルフ中継の総合放送をHDTV方式で開始したとする。そして、時刻t11にて、その放送局により、マルチビューテレビの実施が開始されると、総合放送は、サービスID=101且つPID=501のデジタル放送チャンネル(メインチャンネル)により、SDTV方式のメイン番組として継続され、また、例えば17番ホールの状況が、サービスID=101且つPID=502のデジタル放送チャンネル(1つ目のサブチャンネル)により、SDTV方式のサブ番組aとして放送される。また更に、例えば他の18番ホールの状況が、サービスID=101且つPID=503のデジタル放送チャンネル(2つ目のサブチャンネル)により、SDTV方式のサブ番組bとして放送される。
【0016】
その後、時刻t12にて、マルチビューテレビの実施が終了すると、時刻t10〜時刻t11までの間と同様に、サービスID=101且つPID=500のデジタル放送チャンネルによって、ゴルフ中継の総合放送(或いは他の番組)がHDTV方式で行われる。
【0017】
また、放送局側では、デジタル放送信号に含まれる付加情報を操作することにより、上記のようなマルチビューテレビの開始と終了とを受信機器が認識できるようにする。
具体的に説明すると、放送局側では、マルチビューテレビを開始した時に、デジタル放送信号に含まれるPMT内のサービスIDとPIDとの編成を、図7の時刻t11〜t12に例示したように、1つのサービスIDに対して複数のPIDが従属するように変更する。また、マルチビューテレビを終了する時には、PMT内のサービスIDとPIDとの編成を、1つのサービスIDに対してデフォルト値のサービスID(図7の例では、PID=500)だけが存在する元の状態に戻す。
【0018】
このため、受信機器側では、デジタル放送信号に付加情報として含まれているPATをモニタすることにより、ある放送局がマルチビューテレビのサブ番組用のデジタル放送チャンネル(上記例では、サービスID=101且つPID=502のチャンネルと、サービスID101且つPID=503のチャンネル)を増設したことを検出することができる。尚、マルチビューテレビが開始されると、受信機器側では、複数のPIDのうち、番号が一番小さいもの(図7の例では、PID=501)を、それまでのデフォルト値のPIDに相当するメインチャンネルであると見なすこととなる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような臨時サービスやマルチビューテレビのサービスでは、そのサービスを実施するデジタル放送の放送局が、所望のタイミングでデジタル放送チャンネルを増設し、その増設したデジタル放送チャンネルにより、臨時番組やマルチビューテレビのサブ番組といった追加番組を放送することとなる。
【0020】
このため、デジタル放送対応のCATVシステムのヘッドエンドにおいて、そのような臨時サービスやマルチビューテレビによって増加される追加番組(臨時番組やサブ番組)をも、CATVシステムの加入者へ提供するためには、選局変換装置を、故障時バックアップ用の予備選局変換装置とは別に、予め余分に用意しておく必要が生じる。
【0021】
しかし、臨時サービスやマルチビューテレビのサービスは、常時行われるものではないため、そのようなサービスのために選局変換装置を余分に設けておくのはコスト的に不利な面がある。
そこで、本発明は、デジタル放送対応のCATVシステムのヘッドエンドにおいて、設備(特に選局変換装置)を増設することなく、そのCATVシステムの加入者に対するサービスを向上させることを目的としている。
【0022】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の本発明のCATVシステムのヘッドエンドは、デジタル放送に対応したものであり、選局変換手段を備えている。そして、選局変換手段は、前述した選局変換装置に相当するものであり、デジタル放送信号を受信するアンテナからの受信信号を受けて、その受信信号から、特定のデジタル放送チャンネルで放送されている番組の放送データを抽出すると共に、その抽出した放送データを、CATVシステムにおける何れかのチャンネル(以下、CATV用チャンネルという)の放送信号に変換して、前記CATVシステムの幹線へと出力する。
【0023】
そして更に、このヘッドエンドは、前記選局変換手段が異常となった場合に、その選局変換手段に代えて用いられる予備の選局変換手段(以下、予備選局変換手段という)を備えている。この予備選局変換手段は、前記選局変換手段と基本的に同じ構成のものであり、例えば、当該ヘッドエンドに設けられた異常判定手段としての情報処理装置により、選局変換手段が異常であると判定されると、その異常な選局変換手段に成り代わって動作させられるものである。尚、異常と判定された選局変換手段から予備選局変換手段への切替は、情報処理装置が自動的に行うように構成することができる。また、その切替をCATVセンターのオペレータが手動で行うようにしても良い。
【0024】
ここで特に、本発明のヘッドエンドは、前記選局変換手段が前記受信信号から抽出する放送データの発信元である放送局が、追加番組を放送するためのデジタル放送チャンネルを増設したことを、前記デジタル放送信号に含まれている付加情報に基づき検出する検出手段と、制御手段及び案内手段とを備えている。尚、追加番組とは、前述した臨時サービスでの臨時番組やマルチビューテレビでのサブ番組などである。
【0025】
そして、制御手段は、予備選局変換手段が前記選局変換手段に代えて用いられていない場合に、前記検出手段によってデジタル放送チャンネルの増設が検出されると、予備選局変換手段を動作させて、該予備選局変換手段に、前記アンテナからの受信信号から、前記増設されたデジタル放送チャンネルで放送されている追加番組の放送データを抽出させると共に、その放送データを、前記選局変換手段が出力する放送信号のCATV用チャンネルとは異なる他のCATV用チャンネルの放送信号に変換させて、前記幹線へと出力させる。
【0026】
そして更に、制御手段が予備選局変換手段を動作させると、案内手段が、前記選局変換手段から前記幹線へ出力される放送信号の映像に対して、前記他のCATV用チャンネルで前記追加番組の放送を行っている旨を示す案内用映像を重畳させる。
【0027】
このため、CATVシステムの加入者は、前記選局変換手段が幹線に出力する放送信号のCATV用チャンネルを選局して、そのチャンネルの番組を視聴している際に、上記案内手段による案内用画像がテレビモニタに表示されることにより、前記他のCATV用チャンネルで臨時番組やマルチビューテレビのサブ番組といった追加番組が放送されていることを知ることができる。
【0028】
つまり、本発明のヘッドエンドでは、選局変換手段が故障した場合には、予備選局変換手段を本来の用途である故障時バックアップ用として用いることにより、故障した選局変換手段が受け持っていたデジタル放送チャンネルに対応するCATVシステム用の放送信号が幹線へと正常に送出されるようにするが、予備選局変換手段が故障時バックアップ用として用いられていない場合には、予備選局変換手段を、選局変換手段が受け持っているデジタル放送チャンネルの放送局が増設する追加番組をCATVシステムで放送するために用いるようにしている。
【0029】
よって、本発明のヘッドエンドによれば、選局変換手段としての装置を増設することなく、臨時サービスやマルチビューテレビによる追加番組をCATVシステムの加入者に提供することができ、加入者に対するサービスを向上させることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例を図面と共に説明する。
まず図1は、本発明が適用された実施例のCATVシステムのヘッドエンド1の構成を表す構成図である。
【0031】
本実施例のヘッドエンド1は、地上の放送局から宇宙の放送衛星(以下、BSという)の各トランスポンダを介して中継されて送信されて来るデジタル放送信号を受信する受信アンテナ(以下、単にアンテナという)3と、当該ヘッドエンド1を制御する情報処理装置としてのパーソナルコンピュータ(以下、PCという)5とを備えている。
【0032】
尚、BSのトランスポンダは、BSデジタル放送用の無線伝送路として割り当てられている12GHz帯の第1,第3,第13,及び第15の各無線チャンネル毎に、1つずつ存在している。また、アンテナ3は、反射鏡3aと、支持腕3bを介して反射鏡3aの焦点位置に配置された受信部3cとからなる、オフセット型のパラボラアンテナである。そして、受信部3cは、反射鏡3aにて集波された各トランスポンダからのデジタル放送信号(放送電波)を受信すると共に、その受信した信号を1GHz帯の中間周波信号(以下、BS−IFという)に周波数変換して、受信信号として出力する。
【0033】
そして更に、本実施例のヘッドエンド1は、アンテナ3からの受信信号(即ち、上記受信部3cから出力されるBS−IF)を受けて、その受信信号から、PC5により指定されたサービスID及びPIDで示されるデジタル放送チャンネルにて放送されている番組の放送データを抽出すると共に、その抽出した放送データを、当該CATVシステムにおける伝送周波数(例えば90〜770MHz)内の何れかのチャンネル(CATV用チャンネル)に該当する所定周波数帯(帯域幅6MHz)のテレビ放送信号(即ち、CATVシステム用の放送信号)に変換して出力する複数の選局変換装置7−1〜7−nと、それら選局変換装置7−1〜7nと同じ構成を有した予備の選局変換装置(以下、予備装置という)9と、アンテナ3からの受信信号を分配して各選局変換装置7−1〜7−nと予備装置9との各々に供給する分配回路11と、各選局変換装置7−1〜7−nと予備装置9との出力を混合して、当該CATVシステムの同軸ケーブルからなる幹線(基幹伝送路)13へと送出する混合出力回路(MIX)15とを備えている。
【0034】
尚、選局変換装置7−1〜7−nは、当該CATVシステムが端末側へと提供すべきBSデジタル放送の各チャンネル(デジタル放送チャンネル)毎に、1つずつ設けられている。また、予備装置9は、選局変換装置7−1〜7−nの何れかが異常となった場合に、その異常となった選局変換装置に代えて用いられるものであり、通常時においては、混合出力回路15へ信号を出力しないように設定される。また更に、図1において、予備装置9は1つのみ図示しているが、本実施例のヘッドエンド1は、予備装置9を2つ備えている。そして、以下の説明において、予備装置9の各々を特に区別する場合には、それらの符号として「9−1」と「9−2」を用いる。
【0035】
一方更に、本実施例のヘッドエンド1には、VHFアンテナ43と、UHFアンテナ45と、それら両アンテナ43,45の受信信号を混合して混合出力回路15へ供給する混合器47とが設けられている。そして、本ヘッドエンド1においては、VHFアンテナ43とUHFアンテナ45との各々によって受信される地上波も、混合出力回路15から幹線13に送出される。
【0036】
次に、選局変換装置7−1〜7−nと予備装置9とについて具体的に説明する。尚、前述したように、予備装置9も選局変換装置7−1〜7−nの各々と同じものであるため、以下の説明においては、選局変換装置7−1〜7−nの各々と予備装置9とを総称して、選局変換装置7という。
【0037】
図2に示すように、選局変換装置7は、PC5との間でデータをやり取りしつつ当該選局変換装置7を制御するマイクロコンピュータ(以下、CPUという)21と、アンテナ3からのBS−IFが入力されるチューナモジュール23と、CAデスクランブル部25,MPEG2デマルチプレクサ(MPEG2−DEMUX)27,アナログ映像信号生成部29,アナログ音声信号生成部31,オンスクリーンディスプレイ制御部(以下、OSD制御部という)32,及び変調部33とを備えている。
【0038】
ここで、CPU21は、各選局変換装置7毎のRS232Cケーブル17を介して、図1に示す如く、ヘッドエンド1に設けられている信号変換器19と接続され、その信号変換器19は、PC5から伸びたUSBケーブル20に接続されている。つまり、信号変換器19は、PC5からUSBケーブル20に出力されるデータ信号を、RS232C規格の信号に変換して、各選局変換装置7のCPU21に出力し、また、各選局変換装置7のCPU21からRS232Cケーブル17の各々に出力されるデータ信号を、USB規格の信号に変換して、PC5に出力する。
【0039】
そして、選局変換装置7においては、PC5から、上記USBケーブル20,信号変換器19,及びRS232Cケーブル17を介して、CPU21へ、当該選局変換装置7がCATVシステム用の放送信号に変換すべきBSデジタル放送データのサービスID及びPID(以下、この各IDを総称して受信対象IDという)と、その受信対象IDの放送を、当該CATVシステムにおける伝送周波数内のどのCATV用チャンネルの放送信号に変換するかを示す出力チャンネルとが指示される。
【0040】
すると、CPU21は、PC5から指示された受信対象ID(サービスID及びPID)をMPEG2デマルチプレクサ27へ通達すると共に、その受信対象IDの放送データを含んだデジタル放送信号を出力しているトランスポンダのトランスポンダ番号(即ち、上記第1,第3,第13,及び第15の4つの無線チャンネルのうちの何れかであり、以下、このトランスポンダ番号のことを「無線チャンネル」ともいう)を特定して、チューナモジュール23へ、BS−IFから上記特定した無線チャンネルの信号を選局させるための制御信号を出力する。また、CPU21は、PC5から指示された出力チャンネルを変調部33に通達する。
【0041】
そして、チューナモジュール23は、CPU21からの上記制御信号に従い、BS−IFから、受信対象IDの放送データが含まれている無線チャンネルの信号を選局すると共に、その選局した信号を、周知の復調及び復号化により、デジタルデータのビットストリームであるトランスポートストリーム(以下、TSという)に変換して出力する。
【0042】
また、チューナモジュール23は、TSへの変換を行う際に、データの誤り検出及び訂正の処理も行っており、その誤り検出で得たデータの誤り率を示すビットエラー情報を、CPU21へ出力する。そして、CPU21は、そのビットエラー情報を、上記RS232Cケーブル17,信号変換器19,及びUSBケーブル20を介して、PC5に送信する。
【0043】
尚、TSには、該当する無線チャンネルで伝送される複数のサービスID及びPIDの放送データ(映像データ及び音声データ)だけではなく、他の付加情報(詳しくは、付加情報のデータ)も多重化されており、その付加情報には、記述した選局情報(PAT及びPMTなど)やEPG用の番組情報が含まれている。
【0044】
チューナモジュール23から出力されるTSは、CA(コンディショナルアクセスシステム)用のCAデスクランブル部25に入力される。そして、そのTSは、それが有料放送等でスクランブルされいているビットストリームであれば、このCAデスクランブル部25にて、正規のビットストリームに戻された後、MPEG2デマルチプレクサ27に入力される。尚、チューナモジュール23からのTSがスクランブルされていないものであれば、そのTSは、CAデスクランブル部25をそのまま通過して、MPEG2デマルチプレクサ27に入力される。
【0045】
MPEG2デマルチプレクサ27は、CAデスクランブル部25からのTSをデコードして、そのTSから、CPU21より通達された受信対象IDの放送データである映像データ及び音声データの各々と、上記付加情報とを分離して抽出する。そして更に、MPEG2デマルチプレクサ27は、上記抽出した受信対象IDの映像データと音声データとを、夫々、アナログ映像信号生成部29とアナログ音声信号生成部31とに出力すると共に、上記抽出した付加情報をCPU21に出力する。
【0046】
そして、アナログ映像信号生成部29は、MPEG2デマルチプレクサ27からの映像データをアナログの映像信号(NTSC信号)に変換してOSD制御部32へ出力する。
OSD制御部32は、CPU21により制御されて、アナログ映像信号生成部29からのアナログ映像信号に任意の画像を重畳(スーパーインポーズ)させるものであり、CPU21から指示を受けていない通常時には、アナログ映像信号生成部29からのアナログ映像信号をそのまま変調部33へ出力する。
【0047】
また、アナログ音声信号生成部31は、MPEG2デマルチプレクサ27からの音声データをアナログの音声信号に変換して変調部33へ出力する。
そして、変調部33は、OSD制御部32からのアナログ映像信号と、アナログ音声信号生成部31からのアナログ音声信号とを、CPU21より通達された出力チャンネルに該当する周波数帯のテレビ放送信号(CATVシステム用の放送信号)に再変調して、混合出力回路15へと出力する。尚、変調部33は、音声に関する変調動作が、CPU21からの音声モード切換信号によって制御されるようになっている。
【0048】
ところで、CPU21は、当該選局変換装置7に電源が投入された初期動作時であって、PC5から未だ受信対象IDが指示されていない時に、上記4つの無線チャンネルのうちのデフォルトの無線チャンネルをチューナモジュール23に選局させて、その際に、MPEG2デマルチプレクサ27から出力される付加情報を記憶する。
【0049】
そして、CPU21は、PC5から受信対象IDが指示されると、上記初期動作時に記憶した付加情報に基づいて、その受信対象IDの放送データを含んだデジタル放送信号を出力しているトランスポンダのトランスポンダ番号(無線チャンネル)を特定し、その特定した無線チャンネルをチューナモジュール23に選局させる。つまり、付加情報には、選局情報として、どのサービスID及びPIDの放送データがどの無線チャンネルで送信されているのかを示すデータが含まれているからである。
【0050】
また、その後、CPU21は、MPEG2デマルチプレクサ27から逐次出力される最新の付加情報を、上記チューナモジュール23からのビットエラー情報と共に、RS232Cケーブル17,信号変換器19,及びUSBケーブル20を介して、PC5に出力する。
【0051】
以上のような選局変換装置7を複数備えた本実施例のヘッドエンド1において、PC5は、通常時には、予備装置9以外の各選局変換装置7−1〜7−nのCPU21へ、当該CATVシステムが端末側へ提供すべきBSデジタル放送の各サービスID及びPIDを、受信対象IDとして夫々指示すると共に、その受信対象IDの各々に対応した出力チャンネルを指示する。また、予備装置9については、電源供給自体を遮断するか、或いは、その予備装置9のCPU21へ該予備装置9の各部の動作を停止させる指令を与える。
【0052】
このため、通常時には、選局変換装置7−1〜7−nの各々から混合出力回路15へ、各受信対象IDの放送データを夫々当該CATVシステム用に再変調した各CATV用チャンネルのテレビ放送信号が出力され、その各CATV用チャンネルのテレビ放送信号が混合出力回路15により混合されて、幹線13へと送出されることとなる。
【0053】
一方また、本実施例のヘッドエンド1には、各選局変換装置7−1〜7−nが正常に動作しているか否かをPC5にて判定するために、図1に示す如く、チューナ35と、混合出力回路15から幹線13に送出される信号(以下、幹線信号という)を分岐させてチューナ35に入力させる分岐回路37とが設けられている。
【0054】
そして、チューナ35は、図3に示すように、幹線信号から、PC5より出力される選局信号によって指示されるCATV用チャンネルのテレビ放送信号を選局する選局部39と、該選局部39によって選局された信号からアナログの映像信号を取り出して、その映像信号に同期信号が正常に含まれているか否かを判定すると共に、その判定結果を示す同期信号の有/無信号をPC5に出力する同期信号検出部41とから構成されている。尚、同期信号検出部41は、同期信号の有/無信号として、例えば、上記映像信号に同期信号が正常に含まれていればハイレベルの信号を、そうでなければロウレベルの信号を出力する。
【0055】
そして更に、本実施例のヘッドエンド1において、PC5は、図4に示す異常監視処理を行うことにより、各選局変換装置7−1〜7−nが正常に動作しているか否かを常時監視している。
尚、図4の異常監視処理は、各選局変換装置7−1〜7−nの1つずつについて順繰りに実行される。また、以下の図4に関する説明において、各選局変換装置7−1〜7−nのうち、現在監視対象としている選局変換装置を、監視対象の選局変換装置という。一方、図示はしていないが、PC5は、各選局変換装置7−1〜7−nのCPU21から送られて来る前述の付加情報を夫々更新して記憶する、付加情報記憶処理も定期的に行っている。
【0056】
図4に示すように、PC5で実行される異常監視処理では、まず最初のステップ(以下、単にSと記す)110にて、今回の監視対象の選局変換装置から出力されているテレビ放送信号に、同期信号が正常に含まれているか否かを監視する。
【0057】
具体的には、監視対象の選局変換装置が出力しているCATV用チャンネル(即ち、監視対象の選局変換装置のCPU21に指示している出力チャンネル)のテレビ放送信号を、チューナ35の選局部39に選局させ、その際にチューナ35の同期信号検出部41から出力される同期信号の有/無信号をモニタする。
【0058】
そして、続くS120にて、上記同期信号の有/無信号に基づいて、監視対象の選局変換装置から出力されているテレビ放送信号に同期信号が正常に含まれているか否かを判定し、同期信号が正常に含まれていれば、今回の監視対象の選局変換装置が正常に動作していると判断して、監視対象の選局変換装置を切り替え、上記S110及びS120の処理を行う。
【0059】
一方、S120にて、監視対象の選局変換装置から出力されているテレビ放送信号に同期信号が正常に含まれていないと判定した場合には、監視対象の選局変換装置の出力が停波していることから、S130に進んで、監視対象の選局変換装置のCPU21に指示している受信対象IDを取得し、続くS140にて、現在の時刻を取得する。
【0060】
そして更に、続くS150にて、上記付加情報記憶処理によって記憶している最新の付加情報のうちの番組情報を解析する。尚、この時に、PC5は、各選局変換装置7−1〜7−nのうち、監視対象の選局変換装置のCPU21から取得している最新の番組情報を解析するが、監視対象の選局変換装置以外の選局変換装置から取得している番組情報を用いることも可能である。
【0061】
そして、続くS160にて、S150での解析結果と現在時刻とから、監視対象の選局変換装置のCPU21に指示している受信対象ID(詳しくは、その受信対象IDのデジタル放送)が、現在、放送局から実際に放送中であるか否かを判定する。
【0062】
ここで、S160にて、受信対象IDが現在放送中でないと判定した場合には、監視対象の選局変換装置がCATVシステム用のテレビ放送信号に変換しているデジタル放送自体がその時点で存在せず、監視対象の選局変換装置の出力が停波したのは異常ではないと判断する。そして、この場合には、監視対象の選局変換装置を切り替えて、上記S110からの処理を再び行う。
【0063】
これに対し、S160にて、受信対象IDが現在放送中であると判定した場合には、監視対象の選局変換装置に異常が生じていると判断して、S170に進む。
このS170では、監視対象の選局変換装置のCPU21から送られて来ている前述のビットエラー情報から、その監視対象の選局変換装置のチューナモジュール23が選局している信号のC/N(CN比)をマップ補間などの手法によって算出すると共に、その算出したC/Nが、正常と見なされる所定値以上であるか否かを判定する。尚、各選局変換装置7−1〜7−nのCPU21が、チューナモジュール23からのビットエラー情報に基づきC/Nを算出して、そのC/Nの値を表すデータをPC5へ送信するようにしても良い。この場合、PC5は、S170にて、監視対象の選局変換装置のCPU21からC/Nの値を取得するだけでよく、C/Nの算出を行う必要が無くなる。
【0064】
そして、上記S170にて、C/Nが所定値以上であると判定した場合には、監視対象の選局変換装置にてトランスポンダからのデジタル放送信号は正常に受信できているものの、その選局変換装置から幹線13への出力が停波していることから、S180に進んで、その時の監視対象の選局変換装置(即ち、異常と判断した選局変換装置)と、その選局変換装置におけるチューナモジュール23よりも後段の部分に異常が生じていることとを示す第1種の異常通報を行う。尚、この第1種の異常通報は、例えば、ヘッドエンド1が設けられているCATVセンター内のランプやブザーなどを作動させたり、当該PC5に接続されたディスプレイに表示を行うことにより実施される。
【0065】
また、上記S170にて、C/Nが所定値以下であると判定した場合には、S190に移行して、その時の監視対象の選局変換装置(即ち、異常と判断した選局変換装置)と、アンテナ3からその選局変換装置までの間の伝送路又は機器に異常が生じていることとを示す第2種の異常通報を行う。尚、この第2種の異常通報も、例えば、CATVセンター内のランプやブザーなどを作動させたり、当該PC5に接続されたディスプレイに表示を行うことにより実施される。
【0066】
そして、PC5は、上記S180及びS190の何れかの報知処理を行った後、S200に進んで、上記S160にて異常であると判定した選局変換装置に代えて、予備装置9を動作させる。
具体的には、まず、異常であると判定した選局変換装置への電源供給自体を遮断するか、その選局変換装置のCPU21に、該装置の各部の動作を停止させる。そして、予備装置9に電源を供給すると共に、該予備装置9のCPU21へ、異常と判定した選局変換装置のCPU21へ指示していた受信対象ID及び出力チャンネルと全く同じ、受信対象IDと出力チャンネルとを指示する。これにより、予備装置9は、故障時バックアップ用として用いられ、異常と判定された選局変換装置に代わって動作することとなる。
【0067】
その後、PC5は、監視対象の選局変換装置を切り替えて、上記S110からの処理を再び行う。
一方更に、本実施例のヘッドエンド1において、PC5は、図4の異常監視処理と並行して、図5に示す追加番組対応処理を行うことにより、前述した臨時サービスやマルチビューテレビのサービスにも対応できるようにしている。
【0068】
尚、図5の追加番組対応処理は、各選局変換装置7−1〜7−nの1つずつについて夫々実行される。また、以下の追加番組対応処理に関する説明において、「処理対象の選局変換装置」とは、その追加番組対応処理が処理の対象としている1つの選局変換装置(7−1〜7−nの何れか)のことである。
【0069】
図5に示すように、PC5で実行される追加番組対応処理では、まずS210にて、故障時バックアップ用に用いられていない非動作状態の予備装置9(以下、空きの予備装置9、或いは、空いている予備装置9という)があるか否かを判定する。そして、空きの予備装置9がなければ(S210:NO)、そのまま待ち、空きの予備装置9があれば(S210:YES)、続くS220にて、前述の付加情報記憶処理により記憶している最新の付加情報(特に選局情報としてのPAT及びPMT)を解析することにより、処理対象の選局変換装置に指示している受信対象IDの放送データの発信元である放送局(放送事業者)が、臨時サービスやマルチビューテレビのためにデジタル放送チャンネルを増設したか否かを判定する。尚、この時に、PC5は、処理対象の選局変換装置のCPU21から取得している最新の付加情報を解析する。
【0070】
このS220にて、デジタル放送チャンネルが増設されていないと判定した場合には、S210,S220の判定処理を再び行う。
そして、S220にて、デジタル放送チャンネルが増設されたと判定した場合には、S230に進んで、空きの予備装置9に、上記S220で増設されたことを検出したデジタル放送チャンネルを担当させる(割り当てる)。
【0071】
つまり、空いている予備装置9に電源を供給し、更に、その予備装置9のCPU21へ、増設されたデジタル放送チャンネルに該当するサービスID及びPIDを、受信対象IDとして指示すると共に、CATVシステムにて現在未使用のCATV用チャンネルを、出力チャンネルとして指示する。これにより、予備装置9は、BS−IFから、上記放送局が増設したデジタル放送チャンネルで放送している追加番組の放送データを抽出すると共に、その放送データを、それまで未使用であったCATV用チャンネル(以下、このCATV用チャンネルを「追加チャンネル」という)の放送信号に変換して出力することとなる。そして、その追加チャンネルの放送信号は、混合出力回路15を介して幹線13へと送出される。
【0072】
そして更に、PC5は、続くS240にて、処理対象の選局変換装置のCPU21を介して、その選局変換装置に設けられているOSD制御部32を制御することにより、その処理対象の選局変換装置から幹線13へ出力される放送信号の映像部分に、上記追加チャンネルで追加番組の放送を行っている旨を示す案内用映像を重畳(スーパーインポーズ)させる、スーパーインポーズ処理を行う。
【0073】
このため、CATVシステムの加入者は、上記処理対象の選局変換装置が幹線13に出力する放送信号のCATV用チャンネルを選局して該CATV用チャンネルの番組を視聴している際に、上記案内用画像がテレビモニタに重畳表示されることにより、上記追加チャンネルで臨時番組やマルチビューテレビのサブ番組といった追加番組が現在放送されていることを知ることができる。
【0074】
その後、PC5は、次のS250にて、上記S220と同様に、付加情報記憶処理により記憶している最新の付加情報を解析することにより、処理対象の選局変換装置に指示している受信対象IDの放送データの発信元である放送局が、デジタル放送チャンネルの増設を解除したか(つまり、臨時サービスやマルチビューテレビのサービスを終了したか)否かを判定する。
【0075】
そして、デジタル放送チャンネルの増設が解除されたと判定すると(S250:YES)、S260に進んで、上記S230で制御していた予備装置9の動作を停止させると共に、上記S240の処理によるスーパーインポーズを解除し、その後、S210以降の処理を再び行う。
【0076】
次に、このような追加番組対応処理の作用について、図6に例示した臨時サービスの場合を挙げて具体的に説明する。尚、ここでは、PIDは無視するものとする。また、空いている予備装置9が存在しているものとする。
まず、図6において、サービスID=101の放送データの発信元が、放送局Aであり、その放送局Aが、時刻t2〜t2’の間、臨時番組(この例では、延長される野球中継)を放送するためのデジタル放送チャンネルとして、臨時のサービスID=102を増設したとする。
【0077】
また、ヘッドエンド1では、例えば、選局変換装置7−1が、BS−IFからサービスID=101の放送データを抽出し、その放送データを“C13“というチャンネル番号のCATV用チャンネルのテレビ放送信号に変換して出力しているものとする。
【0078】
この場合、図6の時刻t2にて、放送局Aが臨時のサービスID=102を増設すると、ヘッドエンド1のPC5では、選局変換装置7−1を処理対象とする追加番組対応処理のS220にて、最新のPATに基づき、サービスID=102が増設されたことを検出する。そして、PC5は、S230にて、予備装置9を動作させて、その予備装置9に、BS−IFから臨時のサービスID=102の放送データを抽出させると共に、その放送データを、上記C13とは異なり且つそれまで未使用であったCATV用チャンネル(ここでは“C21“というチャンネル番号のCATV用チャンネルとする)の放送信号に変換して出力させる。そして更に、PC5は、S240の処理により、選局変換装置7−1から幹線13へ出力されるC13チャンネルの放送信号の映像部分に、例えば「ただ今、C21チャンネルで野球中継を延長放送しています。」といった案内用映像をスーパーインポーズさせる。
【0079】
そして、その後、図6の時刻t2’にて、放送局Aが臨時のサービスID=102を削除すると、PC5は、S250にて、サービスID=102の増設が解除されたことを検出し、S260にて、上記スーパーインポーズを止めると共に、予備装置9の動作を停止させる。つまり、予備装置9を動作させていなかった時刻t2以前の状態に戻すこととなる。
【0080】
また、上記追加番組対応処理の作用について、図7に例示したマルチビューテレビの場合を挙げて具体的に説明する。尚、ここでは、前述したように2つある予備装置9−1,9−2の両方が空いている(未使用状態である)ものとする。
まず、図7において、サービスID=101の放送データの発信元が、放送局Aであり、その放送局Aが、時刻t11〜t12の間、2つのサブ番組a,bを夫々放送するためのデジタル放送チャンネルとして、サービスID=101且つPID=502のチャンネルと、サービスID=101且つPID=503のチャンネルを増設したとする。
【0081】
また、ヘッドエンド1では、例えば、選局変換装置7−1が、BS−IFからサービスID=101且つPID=500の放送データを抽出し、その放送データを“C13“というチャンネル番号のCATV用チャンネルのテレビ放送信号に変換して出力しているものとする。
【0082】
この場合、図7の時刻t11にて、放送局Aが、サービスID=101且つPID=502のチャンネルと、サービスID=101且つPID=503のチャンネルとを増設すると、ヘッドエンド1のPC5では、選局変換装置7−1を処理対象とする追加番組対応処理のS220にて、最新のPATに基づき、それら2つのチャンネルが増設されたことを検出する。
【0083】
そして、PC5は、S230にて、一方の予備装置9−1に、BS−IFからサービスID=101且つPID=502の放送データを抽出させると共に、その放送データを、上記C13とは異なり且つそれまで未使用であったCATV用チャンネル(ここでは“C21“というチャンネル番号のCATV用チャンネルとする)の放送信号に変換して出力させる。そして更に、PC5は、他方の予備装置9−2に、BS−IFからサービスID=101且つPID=503の放送データを抽出させると共に、その放送データを、上記C13,C21とは異なり且つそれまで未使用であったCATV用チャンネル(ここでは“C22“というチャンネル番号のCATV用チャンネルとする)の放送信号に変換して出力させる。
【0084】
尚、このマルチビューテレビの場合、PC5は、時刻t11〜t12の間、選局変換装置7−1が、サービスID=101且つPID=501のメインチャンネルの放送データをBS−IFから抽出するように、設定を変更する。つまり、選局変換装置7−1のCPU21へ指示する受信対象IDを、サービスID=101且つPID=500から、サービスID=101且つPID=501に変更する。これは、前述したように、図7の例では、時刻t11〜t12における複数のPIDのうち、番号が一番小さいもの(=501)が、それまでのデフォルトのPID(=500)に相当するメインチャンネルに該当するからである。
【0085】
そして更に、PC5は、S240の処理により、選局変換装置7−1から幹線13へ出力されるC13チャンネルの放送信号の映像部分に、例えば「ただ今、C21チャンネルで17番ホールの状況を放送しており、C22チャンネルで18番ホールの状況を放送しています。」といった案内用映像をスーパーインポーズさせる。
【0086】
そして、その後、図7の時刻t12にて、放送局Aが、サービスID=101且つPID=502と、サービスID=101且つPID=503とを削除して、サービスID=101且つPID=500だけの初期状態に戻すと、PC5は、そのことをS250で検出し、次のS260にて、上記スーパーインポーズを止めると共に、2つの予備装置9−1,9−2の動作を停止させ、更に、選局変換装置7−1がサービスID=101且つPID=500の放送データをBS−IFから抽出する元の設定に戻す。つまり、予備装置9を動作させていなかった時刻t11以前の状態に戻すこととなる。
【0087】
以上のように本実施例のヘッドエンド1では、選局変換装置7−1〜7−nに異常が無くて、予備装置(予備の選局変換装置)9が故障時バックアップ用として用いられていない場合には、その予備装置9を、臨時サービスの番組やマルチビューテレビのサブ番組といった追加番組をCATVシステムで放送するために用いるようにしている。よって、このヘッドエンド1によれば、選局変換装置7を特別に増設することなく、臨時サービスやマルチビューテレビによる追加番組をCATVシステムの加入者に提供することができ、加入者に対するサービスを向上させることができる。
【0088】
尚、上記実施例では、選局変換装置7−1〜7−nが選局変換手段に相当し、予備装置9が予備選局変換手段に相当している。そして、PC5が実行する処理のうち、付加情報記憶処理と図5のS220の処理とが検出手段に相当し、図5のS230の処理が制御手段に相当し、図5のS240の処理が案内手段に相当している。
【0089】
また、上記実施例のヘッドエンド1では、PC5が、選局変換装置7−1〜7−nの何れかからCATVシステム用の放送信号が正常に出力されていないと判定すると(S120:NO)、その時に取得している最新の番組情報を解析して、その選局変換装置がCATVシステム用の放送信号に変換しているIDの放送自体が無ければ、異常とは判定せず(S160:NO)、そのIDの放送が放送中であれば、本当に選局変換装置が異常であると判定して、異常と判定するようにしている(S160:YES)。
【0090】
このため、本実施例のヘッドエンド1によれば、食の影響や深夜などにおいて、放送局からの、あるID(デジタル放送チャンネル)の放送自体がなくなった場合に、そのIDに対応するCATVシステム用の放送信号を出力していた選局変換装置7−1〜7−nが誤って異常と判定されてしまうことがなく、システムの異常を正確に検出することができる。しかも、本実施例のヘッドエンド1では、デジタル放送信号に含まれている番組情報を用いているため、最新の番組情報を人の手によってセットしてやる必要もない。よって、確実な異常判定を手間なく実現することができる。
【0091】
また更に、本実施例のヘッドエンド1では、PC5が前述した図4におけるS170の判定を行っているため、選局変換装置7−1〜7−n内の異常箇所も、ある程度特定することができ、保守作業が容易となる。
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
【0092】
例えば、選局変換装置7−1〜7−nは、複数ではなく1つのみでも良い。また、予備装置9は、2つに限らず例えば1つのみでも良い。
また、各選局変換装置7−1〜7−nの変調部33での変調方式は、適用されるCATVシステムの形態に合ったものであれば良く、チューナ35は、その変調部33の変調方式に合ったものであれば良い。つまり、チューナ35は、各選局変換装置7−1〜7−nの変調部33から出力される信号を夫々選局して、その信号が正常なテレビ放送信号であるか否かを確認できる構成のものであれば良い。
【0093】
一方、本発明は、BSデジタル放送に限らず、通信衛星(CS)を用いたCSデジタル放送や、人工衛星を介さない地上波デジタル放送に対しても、全く同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例のCATVシステムのヘッドエンドの構成を表す構成図である。
【図2】 図1の各選局変換装置及び予備装置の構成を表すブロック図である。
【図3】 図1のチューナの構成を表すブロック図である。
【図4】 実施例のヘッドエンドに設けられたPCで実行される異常監視処理を表すフローチャートである。
【図5】 実施例のヘッドエンドに設けられたPCで実行される追加番組対応処理を表すフローチャートである。
【図6】 デジタル放送における臨時サービスを説明する説明図である。
【図7】 デジタル放送におけるマルチビューテレビを説明する説明図である。
【符号の説明】
1…ヘッドエンド、3…アンテナ、3a…反射鏡、3b…支持腕、3c…受信部、5…PC(パーソナルコンピュータ)、7−1〜7−n…選局変換装置、9…予備装置(予備の選局変換装置)、11…分配回路、13…幹線、15…混合出力回路、17…RS232Cケーブル、19…信号変換器、20…USBケーブル、21…CPU(マイクロコンピュータ)、23…チューナモジュール、25…CAデスクランブル部、27…MPEG2デマルチプレクサ、29…アナログ映像信号生成部、31…アナログ音声信号生成部、32…OSD制御部(オンスクリーンディスプレイ制御部)、33…変調部、35…チューナ、37…分岐回路、39…選局部、41…同期信号検出部、43…VHFアンテナ、45…UHFアンテナ、47…混合器
Claims (1)
- デジタル放送信号を受信するアンテナからの受信信号を受けて、その受信信号から、特定のデジタル放送チャンネルで放送されている番組の放送データを抽出すると共に、その抽出した放送データをCATVシステムにおける何れかのチャンネル(以下、CATV用チャンネル)の放送信号に変換して、前記CATVシステムの幹線へと出力する選局変換手段と、
該選局変換手段が異常となった場合に、その選局変換手段に代えて用いられる予備の選局変換手段(以下、予備選局変換手段)と、
を備えたCATVシステムのヘッドエンドにおいて、
前記選局変換手段が前記受信信号から抽出する放送データの発信元である放送局が、追加番組を放送するためのデジタル放送チャンネルを増設したことを、前記デジタル放送信号に含まれている付加情報に基づき検出する検出手段と、
前記予備選局変換手段が前記選局変換手段に代えて用いられていない場合に、前記検出手段によってデジタル放送チャンネルの増設が検出されると、前記予備選局変換手段を動作させて、該予備選局変換手段に、前記受信信号から、前記増設されたデジタル放送チャンネルで放送されている追加番組の放送データを抽出させると共に、その放送データを、前記選局変換手段が出力する放送信号のCATV用チャンネルとは異なる他のCATV用チャンネルの放送信号に変換させて、前記幹線へと出力させる制御手段と、
該制御手段が前記予備選局変換手段を動作させた場合に、前記選局変換手段から前記幹線へ出力される放送信号の映像に対して、前記他のCATV用チャンネルで前記追加番組の放送を行っている旨を示す案内用映像を重畳させる案内手段と、
を備えていることを特徴とするCATVシステムのヘッドエンド。
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