JP4514969B2 - アンダーカット部を有する樹脂製品の成形装置 - Google Patents

アンダーカット部を有する樹脂製品の成形装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製品表面側の第1成形型と製品裏面側の第2成形型とを備え、クッション層付きの樹脂シートを第1と第2の両成形型間に挟み込んで、第1成形型の型抜き方向と交差する方向に凹入するアンダーカット部を有する樹脂製品を成形する成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の成形装置では、第1成形型にアンダーカット部に入る凸状の成形部を形成すると、型締め、型抜きができなくなる。そこで、従来、特開昭61−272126号公報に見られるように、第1成形型のアンダーカット部に対応する部分を、アンダーカット部に隣接する樹脂製品の非アンダーカット部の外表面を成形する第1成形型の成形面のアンダーカット部側の端縁を通る型抜き方向に平行な面より外側でアンダーカット部に対し空隙を存して対向する逃げ面に形成し、一方、第2成形部に真空引き孔を開設したアンダーカット成形部を形成し、該成形部によりアンダーカット成形部を真空成形している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の成形装置では、アンダーカット部の非アンダーカット部側の角アール部が第2成形型のアンダーカット成形部により成り行きで成形されることになる。そのため、角アール部の外表面の曲率半径が大きくなり易く、これを3mm以下にすることは不可能である。ここで、樹脂製品が計器類等の部品を装着する凹部を有する自動車用インストルメントパネルのような製品であって、部品装着用凹部の側壁がアンダーカット部になっている場合、角アール部の外表面の曲率半径が大きいと、装着部品との間のチリ段差が大きくなり体裁を損なう。
【0004】
本発明は、以上の点に鑑み、角アール部の外表面の曲率半径を小さくできるようにしたアンダーカット部を有する樹脂製品の成形装置を提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明は、製品表面側の第1成形型と製品裏面側の第2成形型とを備え、クッション層付きの樹脂シートを第1と第2の両成形型間に挟み込んで、第1成形型の型抜き方向と交差する方向に凹入するアンダーカット部を有する樹脂製品を成形する成形装置であって、第1成形型に、アンダーカット部に対し空隙を存して対向する逃げ面を形成すると共に、第2成形型に、アンダーカット部を成形するアンダーカット成形部を形成するものにおいて、アンダーカット部に隣接する樹脂製品の非アンダーカット部の外表面を成形する第1成形型の成形面に対し、アンダーカット部の非アンダーカット部側の角アール部に合致する段差部を存して前記逃げ面を連設している。
【0006】
本発明によれば、第1成形型の段差部の形状が樹脂シートに転写され、第2成形型のアンダーカット成形部によりアンダーカット部を成形したとき、段差部の形状を転写した樹脂シートの部分でアンダーカット部の角アール部が形成される。従って、角アール部の外表面は段差部を転写した形状になり、段差部の曲率半径を小さくすることで、角アール部の外表面の曲率半径も小さくすることができる。尚、第1成形型の型抜きに際し、角アール部に対し段差部が引掛るが、この引掛りは僅かであり、クッション層の圧縮により第1成形型を無理なく型抜きできる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、樹脂製品たる図2に示す自動車用インストルメントパネルWの成形装置に本発明を適用した実施形態について説明する。インストルメントパネルWには、図2(B)に示す如く、計器Mを装着する凹部が形成されており、この凹部の側壁が後記する第1成形型1の型抜き方向(図2(B)の上方)に交差する方向に凹入するアンダーカット部Waになっている。また、インストルメントパネルWは、図2(C)に示す如く、ウレタンフォーム等のクッション層W1aに表皮W1bを積層して成る樹脂シートW1と基材W2とで構成されている。尚、計器Mの装着用凹部の底面に位置する基材W2の部分には穴が明けられており、インストルメントパネルWの成形後、樹脂シートW1の凹部底面部分を打ち抜く。
【0008】
成形装置は、図1に示す如く、製品表面側の第1成形型1と、製品裏面側の第2成形型2とを備えている。図示のものでは、第1成形型1を可動の上型、第2成形型2を固定の下型としたが、上下反転させて第2成形型2を可動としても良い。第2成形型2は、基材W2をセットできるようになっている。また、第2成形型2の背面に、真空ポンプに接続される空室20を設けると共に、第2成形型2に、空室20に連通する真空引き孔21を開設したアンダーカット成形部2aを形成し、アンダーカット部Waを真空成形し得るようにしている。
【0009】
第1成形型1は、微細な真空引き孔を無数に形成した板状の型本体10と、型本体10の背面の空間に充填した多数のバックアップボール11とで構成されており、型本体10の背面の空間を真空引きすることにより型本体10に形成したしぼ模様等の模様を樹脂シートW1の表面、即ち、表皮W1bに転写し得るようにしている。型本体10のアンダーカット部Waに対応する部分は、アンダーカット部Waに対し空隙を存して対向する逃げ面1aに形成されている。ここで、本実施形態では、アンダーカット部Waに隣接するインストルメントパネルWの非アンダーカット部Wbの外表面を成形する型本体10の成形面1bに対し、アンダーカット部Waの非アンダーカット部Wb側の角アール部Wcに合致する段差部1cを存して前記逃げ面1aを連設している。
【0010】
インストルメントパネルWの成形に際しては、表面に接着剤を塗布した基材W2を第2成形型2にセットすると共に、第2成形型2と第1成形型1との間に加熱軟化させた樹脂シートW1を張り渡し、この状態で第1成形型1を下降させて型締めし、第1と第2の両成形型1,2間に樹脂シートW1を挟み込む。次に、図1(A)に示す如く、第1成形型1の型本体10の背面の空間を真空引きする。これによれば、樹脂シートW1の表面に成形面1bに形成した模様が転写されると共に、段差部1cの形状が転写される。
【0011】
次に、図1(B)に示す如く、第2成形型2の背面の空室20を真空引きし、樹脂シートW1をアンダーカット成形部2aに吸い付けて、アンダーカット部Waを真空成形する。この際、段差部1cの形状を転写した樹脂シートW1の部分でアンダーカット部Waの角アール部Wcが形成される。従って、角アール部Wcの外表面の形状は段差部1cと同一形状になり、段差部1cの曲率半径を小さくすることで、角アール部Wcの外表面の曲率半径を従来では不可能であった3mm以下にすることができる。そのため、図2(C)に示す如く計器Mを装着したときに計器Mと角アール部Wcとの間に生ずるチリ段差が小さくなり、外観品質が向上する。尚、成形後、製品Wに対し第1成形型1を型抜きする際、角アール部Wcに対し段差部1cが引掛るが、この引掛りは僅かであり、クッション層W1aの圧縮により第1成形型を無理なく型抜きすることができる。
【0012】
以上、第1成形型1の真空引きで、樹脂シートW1に段差部1cの形状を転写する実施形態について説明したが、第1成形型1の型締め圧力で段差部1cの形状を樹脂シートW1に転写することも可能である。また、上記実施形態では、第2成形型2のアンダーカット成形部2aに真空引き孔21を開設して、アンダーカット部Waを真空成形するようにしたが、第1成形型1の逃げ面1aにブロー孔を開設し、樹脂シートW1を第2成形型2のアンダーカット成形部2aにブロー孔からのガスにより押し付け、アンダーカット部Waをブロー成形することも可能である。
【0013】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、アンダーカット部をその角アール部の外表面の曲率半径が小さくなるように成形でき、アンダーカット部に計器類等の部品を装着する場合、部品と角アール部との間のチリ段差が小さくなり、外観品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)本発明装置の一例を示す角アール部の成形時における要部の断面図、(B)アンダーカット部の成形時における要部の断面図。
【図2】(A)樹脂製品たるインストルメントパネルの平面図、(B)図2(A)のIIB−IIB線裁断面図、(C)図2(B)の丸IICで囲った部分の拡大図。
【符号の説明】
W…インストルメントパネル(樹脂製品)
Wa…アンダーカット部
Wb…非アンダーカット部
Wc…角アール部
W1…樹脂シート
W1a…クッション層
1…第1成形型
1a…逃げ面
1b…成形面
1c…段差部
2…第2成形型
2a…アンダーカット成形部

Claims (1)

  1. 製品表面側の第1成形型と製品裏面側の第2成形型とを備え、クッション層付きの樹脂シートを第1と第2の両成形型間に挟み込んで、第1成形型の型抜き方向と交差する方向に凹入するアンダーカット部を有する樹脂製品を成形する成形装置であって、
    第1成形型に、アンダーカット部に対し空隙を存して対向する逃げ面を形成すると共に、第2成形型に、アンダーカット部を成形するアンダーカット成形部を形成するものにおいて、
    アンダーカット部に隣接する樹脂製品の非アンダーカット部の外表面を成形する第1成形型の成形面に対し、アンダーカット部の非アンダーカット部側の角アール部に合致する段差部を存して前記逃げ面を連設したことを特徴とするアンダーカット部を有する樹脂製品の成形装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61272126A (ja) * 1985-05-27 1986-12-02 Honda Motor Co Ltd アンダ−カツトを備えたしぼ付合成樹脂成形体の成形方法および成形装置
JPH06344433A (ja) * 1993-06-11 1994-12-20 Shigeru Kogyo Kk 真空成形法

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JPH06344433A (ja) * 1993-06-11 1994-12-20 Shigeru Kogyo Kk 真空成形法

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