JP4514941B2 - 可変光フィルタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、波長多重光伝送システムに用いられる光増幅器などの光部品によって生じる光強度の波長依存性を動的に平坦化するための可変光フィルタ、および光ビームを分離し、かつその分離光の強度比を可変する強度比可変分離装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、エルビウムを添加した光ファイバを増幅媒体とする光増幅器の実用化に伴って、1本の光ファイバによる伝送容量を増大させる波長分割多重(WDM)伝送システムの開発が盛んに行われている。このWDM伝送システムでは、異なる波長を有する複数の光キャリアを個々に変調して全ての光キャリアを光合波器によって合波し、この合波されたWDM信号は、光増幅器によって一括増幅され、光伝送路に送出される。光伝送路の受信端では、受信したWDM信号を光分波器によって個々の光キャリアに分離され、光受信器によってデータとして再生される。
【0003】
一般に、光増幅器の利得には、波長依存性があり、その利得偏差によって生じる光キャリア間の信号レベル偏差によって伝送距離を制限してしまうことから、WDM伝送システムでは、光増幅器を縦列に接続する場合、適用される波長帯域内での利得偏差を可能な限り小さくする必要がある。この利得偏差を低減するには、光増幅器の利得の波長依存性と逆の透過率の波長依存性をもつ利得等化器がしばしば用いられる。
【0004】
この種の利得等化器としては、ファブリペローエタロンを用いたもの(特開平9−289349号公報参照)、誘電体多層膜フィルタを用いたもの、あるいは長周期ファイバグレーティングを用いたものなどが広く知られているが、これらの利得等化器は、透過率の波長依存性が固定であり、光増幅器に対する入力レベルの変化やシステム構成品の経時変化などの条件変化に伴って利得の波長依存性が変化することから、各種の可変利得等化器が提案されている。
【0005】
たとえば、図8は、従来の可変利得等化器の構成を示す図である。この可変利得等化器は、文献1「Optical Fiber Conference 95 TuP4」に記載され、「Photonics Technologies」社による「Split−Beam Fourier Filter」と称する、いわゆるマッハ・ツェンダー干渉原理を用いている。図8において、第1のコリメートレンズ103aおよび第2のコリメートレンズ103bは、光の入力端子101および光の出力端子102の間に配置され、第1のコリメートレンズ103aおよび第2のコリメートレンズ103bの間の光をコリメート光に変換する。また、第1のコリメートレンズ103aと第2のコリメートレンズ103bとの間には、ガラス板104が配置され、ガラス板104は、機械的手段105によって移動制御される。
【0006】
入力端子101から入射された光は、第1のコリメートレンズ103aによって、光のビーム径が拡大され、コリメート光に変換される。第1のコリメートレンズ103aと第2のコリメートレンズ103bとの間のコリメート光束の一部に挿入されたガラス板104によって、コリメート光は、ガラス板104が挿入された部分と挿入されない部分とが生じ、これらの光には位相差が生じることになる。この結果、ガラス板104を通過した光と通過していない光との間で干渉が起こり、図9に示すように、周期的な損失(透過率)の波長特性を得ることができる。すなわち、ガラス板104を通過した光の強度と通過しない光の強度との比によって、光の振幅を可変に制御することができる。また、異なる厚さのガラス板を用いた可変利得等化器を数台組み合わせることによって、任意の形状をもつ、透過率の波長特性を得ることができる。なお、この場合、ガラス板104を移動させる機械的手段105としてモータなどを用いることによって、動的に光透過率の波長特性を可変にすることができる。
【0007】
また、図10は、従来の可変利得等化器の他の構成を示す図である。この可変利得等化器は、文献2「Optical Fiber Conference 2000 WF2」に記載された可変利得等化器であり、電気的手段を用いたものである。図10において、入力端子101の後段には、入射光L100を2つの偏波状態の偏光光L101,L102に偏波分離する偏波分離器106が配置される。この偏波分離器106の後段には、光磁気効果による偏光回転機能を利用した第1のファラデー回転子108aおよび第2のファラデー回転子108bが設けられる。偏波分離器106と第1のファラデー回転子108aとの間であって、偏光光L101が通過する経路上に反波長板107aが設けられる。また、第1のファラデー回転子108aと第2のファラデー回転子108bとの間には、入射偏光状態によって損失波長特性が変化する誘電体偏光フィルタ109が設けられる。第2のファラデー回転子108bの後段には、2つの直交した偏光光を干渉させずに合波する偏波合波器110が設けられ、第2のファラデー回転子108bと偏波合波器110との間であって、偏光光L101が通過する経路上には半波長板107bが設けられる。また、偏波合波器110の後段には、偏波合成された光を出力する出力端子102が設けられる。
【0008】
ここで、図10に示した従来の可変利得等化器の各部における光の電界振動の変化を示す模式図である図11および図12を参照して、この可変利得等化器の動作について説明する。まず、入力端子101からの入射光L100は、図11(a)に示す偏光状態を有しているものとして説明する。入射光L100は、偏波分離器106によって、P偏光成分である偏光光L101とS偏光成分である偏光光L102との直交関係をもつ2つの偏波成分に偏波分離される(図11(b)参照)。
【0009】
偏光光L101は、そのまま第1のファラデー回転子108aに入射され、偏光光L102は、半波長板107aを通過し、偏光光L101の偏光状態と同一の偏光状態に変換されて第1のファラデー回転子108aに入射される。すなわち、図11(c)に示す偏光状態をもって第1のファラデー回転子108aに入射される。
【0010】
第1のファラデー回転子108aは、各偏光光L101,L102aを、それぞれ角度θ分だけ偏光回転した偏光光L101b,L102bにそれぞれ変換する(図12(d)参照)。その後、偏光光L101b,L102bは、それぞれ誘電体偏光フィルタ109に入射される。ここで、誘電体偏光フィルタ109は、S偏光およびP偏光に対して図13に示す損失の波長依存性を有し、第1のファラデー回転子108aから出力された偏光光L101b,L102bがP偏光に対して角度θ分、偏光回転しているため、長波長側の光成分が、短波長側の光成分に比して損失を大きくすることができる。
【0011】
誘電体偏光フィルタ109に入射された各偏光光L101b,L102bは、第1のファラデー回転子108aとは逆向きであって、同一磁界強度が印加される第2のファラデー回転子108bに入射され、それぞれ角度θ分だけ、逆方向に偏光回転された偏光光L101c,L102cに変換され、第1のファラデー回転子108aに入射される前の偏光状態に戻る(図12(e)参照)。
【0012】
その後、偏光光L102cは、そのまま偏波合波器110に入射され、偏光光L101cは、半波長板107bを通過し、偏光光L102cに直交する偏光状態に変換され、偏波合波器110に入射される(図12(f)参照)。この偏波合波器110によって低損失に合成された光は、出力端子102から取り出される。なお、第1のファラデー回転子108aおよび第2のファラデー回転子108bは、ファラデー効果を引き起こす光学結晶、たとえばビスマス置換ガーネット厚膜に印加する磁界強度を電磁石などによって変化させ、これによってファラデー回転角を可変設定することができる。
【0013】
一方、光を分離する機能と、その分離光の強度比を可変する機能の両方の機能を兼ね備えている強度比可変分離装置はこれまでになく、光を分離するための光カプラと光強度を可変するための光可変減衰器とを組み合わせることによって実現されるのが一般的であった。なお、光カプラや光可変減衰器は、言うまでもなく、周知技術である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図8に示した従来の可変利得等化器は、モータなどの機械的手段105によってガラス板104を移動させて損失の波長特性を可変制御しているため、高速動作を実現できず、また、機械の摩耗などによる寿命によって本質的に信頼性に欠けるという問題点があった。
【0015】
なお、図8に示した従来の可変利得等化器は、電気光学効果によって非機械的に損失の波長特性を可変制御できるものの、一般的に電気光学結晶は、大電圧を印加する必要があることから、使用しづらいという欠点を有し、文献1に記載されている液晶フィルムを用いても、生産性が悪く、信頼性の点でも機械式のものと、ほとんど相違がない。
【0016】
また、図10に示した従来の可変利得等化器は、入射光の偏光状態によって損失の波長特性が変化する誘電体偏光フィルタ109によって、可変できる損失の波長特性が決定されてしまう。一般に、偏光フィルタは、図13に示したように、入射偏光状態によって損失の波長特性がP偏波からS偏波に変化した場合、長波長側の損失が増加する右上がりの単調な特性変化を示すか、短波長側の損失が増加する左上がりの単調な特性変化を示すかのいずれかの特性しか得ることができない。したがって、図10に示した従来の可変利得等化器では、任意の損失の波長特性を得ることは困難であるという問題点があった。
【0017】
一方、光ビームを分離し、かつその分離光の強度比を可変するには、光カプラと光可変減衰器とを組み合わせて使用していたため、2つ以上の部品が必要であり、小型化、収容性を阻害するという問題点があった。
【0018】
この発明は上記に鑑みてなされたもので、機械的な可変機構を用いずに低電圧駆動が可能で高信頼度が得られ、また、損失の波長特性を任意の複雑な形状をもった特性に設定して柔軟な可変光等化動作を実現することができる可変光フィルタを得ることができるとともに、光ビームを分離し、かつその分離光の強度比を可変することができる強度比可変分離装置を得ることを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明にかかる可変光フィルタは、入力端子から入射した光を平行ビームに拡張するビーム拡張手段と、前記ビーム拡張手段から入射した平行ビームの偏波面を制御し、該制御した偏波面角度に対応して強度比が変化する複数の分割平行ビームを生成する強度比可変分離手段と、前記複数の分割平行ビームのうちの少なくとも一つの分割平行ビームに部分的に挿入する光学平板と、前記光学平板を透過した一部の分割平行ビームを含む複数の分割平行ビームを出力端子に結合出力する集光手段とを備えたことを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、ビーム拡張手段が、入力端子から入射した光を平行ビームに拡張し、強度比可変分離手段が、前記ビーム拡張手段から入射した平行ビームの偏波面を制御し、該制御した偏波面角度に対応して強度比が変化する複数の分割平行ビームを生成し、前記複数の分割平行ビームのうちの少なくとも一つの分割平行ビームに部分的に挿入された光学平板によって、該一つの分割平行ビームに干渉作用を与え、集光手段が、前記光学平板を透過した一部の分割平行ビームを含む複数の分割平行ビームを出力端子に結合出力するようにしている。
【0021】
つぎの発明にかかる可変光フィルタは、入力端子から入射した光を平行ビームに拡張するビーム拡張手段と、前記ビーム拡張手段から入射した平行ビームを偏光分離する偏光分離手段と、前記偏光分離手段によって偏光分離された分離平行ビームのうちのいずれか一方を透過させる第1の半波長板と、前記第1の半波長板から出力された分離平行ビームおよび前記偏光分離手段によって偏光分離された他方の分離平行ビームのそれぞれの偏波面を制御し、該制御した偏波面角度に対応して強度比が変化する複数の分割分離平行ビームを生成する強度比可変分離手段と、前記複数の分割分離平行ビームのうちの少なくとも一つの分割分離平行ビームに部分的に挿入する光学平板と、前記光学平板を透過した一部の分割分離平行ビームを含む複数の分割分離平行ビームの偏波面を、前記偏波面制御手段が制御した偏波面に戻す偏波面復元制御手段と、前記偏波面復元制御手段から出力され、前記偏光分離手段によって偏波分離された他方の平行ビーム成分を透過させる第2の半波長板と、前記第2の半波長板を透過した他方の分離平行ビーム成分および前記偏波面復元制御手段から出力された一方の分離平行ビーム成分を偏波合成する偏波合成手段と、偏波合成手段によって偏波合成された平行ビームを出力端子に結合する集光手段とを備えたことを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、ビーム拡張手段が、入力端子から入射した光を平行ビームに拡張し、偏光分離手段が、前記ビーム拡張手段から入射した平行ビームを偏光分離し、第1の半波長板が、前記偏光分離手段によって偏光分離された分離平行ビームのうちのいずれか一方を透過させて、偏波面を90度回転し、強度比可変分離手段が、前記第1の半波長板から出力された分離平行ビームおよび前記偏光分離手段によって偏光分離された他方の分離平行ビームのそれぞれの偏波面を制御し、該制御した偏波面角度に対応して強度比が変化する複数の分割分離平行ビームを生成し、前記複数の分割分離平行ビームのうちの少なくとも一つの分割分離平行ビームに部分的に挿入する光学平板によって、該一つの分割分離平行ビームに干渉作用を与え、偏波面復元制御手段が、前記光学平板を透過した一部の分割分離平行ビームを含む複数の分割分離平行ビームの偏波面を、前記偏波面制御手段が制御した偏波面に戻し、第2の半波長板が、前記偏波面復元制御手段から出力され、前記偏光分離手段によって偏波分離された他方の平行ビーム成分を透過させて、偏波面を90度回転し、偏波合成手段が、前記第2の半波長板を透過した他方の分離平行ビーム成分および前記偏波面復元制御手段から出力された一方の分離平行ビーム成分を偏波合成し、集光手段が、偏波合成手段によって偏波合成された平行ビームを出力端子に結合するようにしている。
【0023】
つぎの発明にかかる可変光フィルタは、上記の発明において、前記光学平板は、光学ガラス、石英、あるいはサファイアを材質とすることを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、前記光学平板を、光学ガラス、石英、あるいはサファイアなどの材質によって実現している。
【0025】
つぎの発明にかかる可変光フィルタは、上記の発明において、前記ビーム拡張手段または前記集光手段は、集束形ロッドレンズまたは非球面レンズを用いて形成したことを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、前記ビーム拡張手段または前記集光手段を、集束形ロッドレンズまたは非球面レンズを用いて形成するようにしている。
【0027】
つぎの発明にかかる可変光フィルタは、入力端子から入射したビームの偏波面を制御し、該制御した偏波面角度に対応して強度比が変化する複数の分割ビームを生成する強度比可変分離手段と、前記複数の分割ビームのうちの少なくとも一つの分割ビームに挿入するエタロン板とを備えたことを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、強度比可変分離手段が、入力端子から入射したビームの偏波面を制御し、該制御した偏波面角度に対応して強度比が変化する複数の分割ビームを生成し、前記複数の分割ビームのうちの少なくとも一つの分割ビームに挿入したエタロン板によって、該一つの分割ビームに干渉を生じさせるようにしている。
【0029】
つぎの発明にかかる可変光フィルタは、入力端子から入射したビームを偏光分離する偏光分離手段と、前記偏光分離手段によって偏光分離された分離ビームのうちのいずれか一方を透過させる第1の半波長板と、前記第1の半波長板から出力された分離ビームおよび前記偏光分離手段によって偏光分離された他方の分離ビームのそれぞれの偏波面を制御し、該制御した偏波面角度に対応して強度比が変化する複数の分割分離ビームを生成する強度比可変分離手段と、前記複数の分割分離ビームのうちの少なくとも一つの分割分離ビームに挿入するエタロン板と、前記エタロン板を透過した分割分離ビームを含む複数の分割分離ビームの偏波面を、もとの偏波面に戻す偏波面復元制御手段と、前記偏波面復元制御手段から出力され、前記偏光分離手段によって偏波分離された他方のビーム成分を透過させる第2の半波長板と、前記第2の半波長板を透過した他方の分離ビーム成分および前記偏波面復元制御手段から出力された一方の分離ビーム成分を偏波合成する偏波合成手段とを備えたことを特徴とする。
【0030】
この発明によれば、偏光分離手段が、入力端子から入射したビームを偏光分離し、第1の半波長板によって、前記偏光分離手段によって偏光分離された分離ビームのうちのいずれか一方を透過させて、偏波面を90度回転させ、強度比可変分離手段が、前記第1の半波長板から出力された分離ビームおよび前記偏光分離手段によって偏光分離された他方の分離ビームのそれぞれの偏波面を制御し、該制御した偏波面角度に対応して強度比が変化する複数の分割分離ビームを生成し、前記複数の分割分離ビームのうちの少なくとも一つの分割分離ビームに挿入されたエタロン板によって、該一つの分割分離ビームに干渉を生じさせ、偏波面復元制御手段が、前記エタロン板を透過した分割分離ビームを含む複数の分割分離ビームの偏波面を、もとの偏波面に戻し、第1の半波長板によって、前記偏波面復元制御手段から出力され、前記偏光分離手段によって偏波分離された他方のビーム成分を透過させて、偏波面を90度回転させ、偏波合成手段が、前記第2の半波長板を透過した他方の分離ビーム成分および前記偏波面復元制御手段から出力された一方の分離ビーム成分を偏波合成するようにしている。
【0031】
つぎの発明にかかる可変光フィルタは、上記の発明において、前記強度比可変分離手段は、磁気光学結晶に印加する磁界強度を可変して偏波面を制御する可変ファラデー回転子と、複屈折を生じる複屈折部材とを備え、前記ファラデー回転子および前記複屈折部材を組み合わせて形成したことを特徴とする。
【0032】
この発明によれば、前記強度比可変分離手段が、磁気光学結晶に印加する磁界強度を可変して偏波面を制御する可変ファラデー回転子によって、偏波面を制御し、複屈折を生じる複屈折部材によって、この制御された偏波面に応じた複数の分割平行ビーム、複数の分割分離平行ビーム、複数の分割ビーム、あるいは複数の分割分離ビームを生成するようにしている。
【0033】
つぎの発明にかかる可変光フィルタは、上記の発明において、前記複屈折部材は、YVO4、TiO2、LiNbO3、方解石、結晶石英、α−BaB24を用いて形成したことを特徴とする。
【0034】
この発明によれば、前記複屈折部材を、YVO4、TiO2、LiNbO3、方解石、結晶石英、α−BaB24を用いて形成するようにしている。
【0035】
つぎの発明にかかる可変光フィルタは、上記の発明において、前記強度比可変分離手段は、磁気光学結晶に印加する磁界強度を可変して偏波面を制御する可変ファラデー回転子と、偏光ビームスプリッタとを備え、前記ファラデー回転子および前記偏光ビームスプリッタを組み合わせて形成したことを特徴とする。
【0036】
この発明によれば、前記強度比可変分離手段は、磁気光学結晶に印加する磁界強度を可変して偏波面を制御する可変ファラデー回転子によって偏波面を制御し、偏光ビームスプリッタによって、この制御された偏波面に応じた複数の分割平行ビーム、複数の分割分離平行ビーム、複数の分割ビーム、あるいは複数の分割分離ビームを生成するようにしている。
【0037】
つぎの発明にかかる強度比可変分離装置は、入力端子から入射した光を平行ビームに拡張するビーム拡張手段と、前記ビーム拡張手段から入射した平行ビームの偏波面を制御し、該制御した偏波面角度に対応して強度比が変化する複数の分割平行ビームを生成する強度比可変分離手段とを備えたことを特徴とする。
【0038】
この発明によれば、ビーム拡張手段が、入力端子から入射した光を平行ビームに拡張し、強度比可変分離手段が、前記ビーム拡張手段から入射した平行ビームの偏波面を制御し、該制御した偏波面角度に対応して強度比が変化する複数の分割平行ビームを生成するようにしている。
【0039】
つぎの発明にかかる強度比可変分離装置は、上記の発明において、前記強度比可変分離手段は、磁気光学結晶に印加する磁界強度を可変して偏波面を制御する可変ファラデー回転子と、複屈折を生じる複屈折部材とを備え、前記可変ファラデー回転子および前記複屈折部材を組み合わせて形成したことを特徴とする。
【0040】
この発明によれば、前記強度比可変分離手段は、可変ファラデー回転子が、磁気光学結晶に印加する磁界強度を可変して偏波面を制御し、複屈折部材が、複屈折によって、常光と異常光とに分離し、これによって常光と異常光とに分離するとともに、その強度比を変えるようにしている。
【0041】
つぎの発明にかかる強度比可変分離装置は、上記の発明において、前記複屈折部材は、YVO4、TiO2、LiNbO3、方解石、結晶石英、α−BaB24を用いて形成したことを特徴とする。
【0042】
この発明によれば、前記複屈折部材として、YVO4、TiO2、LiNbO3、方解石、結晶石英、α−BaB24を用いて形成するようにしている。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、この発明にかかる可変光フィルタおよび強度比可変分離装置の好適な実施の形態について説明する。
【0044】
実施の形態1.
まず、この発明の実施の形態1について説明する。図1は、この発明の実施の形態1である可変光フィルタの構成を示す図である。図1において、この可変光フィルタは、入射光の偏光方位角を制御することによって透過する光を常光および異常光として分離することができる第1の複屈折板10aおよび第2の複屈折板10bを有する。また、この可変光フィルタは、入力端子1、出力端子2、第1のコリメートレンズ3a、第2のコリメートレンズ3b、ガラス板4、および可変ファラデー回転子8を有し、それぞれ図8および図10に示した入力端子101、出力端子102、第1のコリメートレンズ103a、第2のコリメートレンズ103b、ガラス板104、および第1のファラデー回転子108aに対応する。ここで、上述した第1の複屈折板10aは、可変ファラデー回転子8とガラス板4との間に配置され、第2の複屈折板10bは、ガラス板4と第2のコリメートレンズ3bとの間に配置される。なお、第1のコリメートレンズ3aあるいは第2のコリメートレンズ3bは、たとえば集束形ロッドレンズあるいは非球面レンズを用いて実現される。
【0045】
つぎに、この可変光フィルタの動作について説明する。図1において、入力端子1からの入射光は、第1のコリメートレンズ3aによって約1mmのビーム直径に拡大された後、平行光線となって、可変ファラデー回転子8に入射される。可変ファラデー回転子8は、電磁石への印可電流を変えることによって永久磁石の磁界との合成磁界ベクトルの方向が変わり、磁気光学結晶の磁化ベクトルの方向が変わることによってファラデー回転角「α」を可変することのできるデバイスである。なお、可変ファラデー回転子8の詳細な動作については、たとえば特開平6−51255号公報に記載されている。
【0046】
可変ファラデー回転子8によって偏光方位角が「α」だけ回転した光は、第1の複屈折板10aに入射されると、第1の複屈折板10aの光学結晶軸と光の伝搬方向軸とを含む面に平行な電界成分は常光L1として伝搬し、垂直な電界成分は異常光L2として伝搬し、常光L1と異常光L2とを任意の強度比で別々に伝搬させることができる。
【0047】
入力端子1からの入射光が第1の複屈折板10aの光学結晶軸と光の伝搬方向軸とを含む面に平行な方向に振動していると仮定すると、可変ファラデー回転子8による偏光方位角が0°、すなわち、ファラデー回転させない場合には、全ての光が常光L1となり、ガラス板4によって分離した分離光をマッハ・ツェンダー干渉させることで、ガラス板4の諸元によって一意に決まる損失波長特性を得ることができる。一方、可変ファラデー回転子8による偏光方位角を90°にした場合には、全ての光が異常光L2となり、損失波長特性が原理的にはなくなることになる。
【0048】
したがって、可変ファラデー回転子8による偏光方位角「α」を連続的に可変することによって、100%常光から100%異常光の状態の間の損失波長特性を得ることができる。
【0049】
ガラス板4を透過した常光L1および異常光L2は、それぞれ第2の複屈折板10bによって直交偏波状態で干渉することなく合成され、第2のコリメートレンズ3bで集光され、出力端子2に出力される。
【0050】
図2は、図1に示した可変光フィルタ内の可変ファラデー回転子8における電界ベクトルとそれに伴う常光L1および異常光L2の光線の状態を示した図である。図2において、可変ファラデー回転子8によって任意の偏光方位角「α」を選ぶことによって、第1の複屈折板10aを透過した常光L1と異常光L2との光学経路を変えずに、これら常光L1と異常光L2との強度比を変えることができ、これによって、強度方向に任意な損失波長特性を得られる。
【0051】
なお、上述した実施の形態1では、常光L1を、ガラス板4によって分離した分離光を干渉させ、異常光L2をガラス板4に透過させているが、これに限らず、たとえば、常光L1をガラス板4によって分離した分離光を干渉させ、異常光L2をガラス板4に透過させない場合や、異常光L2を、ガラス板4によって分離した分離光を干渉させ、常光L1をガラス板4に透過させている場合や、異常光L2を、ガラス板4によって分離した分離光を干渉させ、常光L1をガラス板4に透過させない場合や、常光L1および異常光L2をともにガラス板によって分離した分離光を干渉させている場合のようにした構成としてもよい。
【0052】
また、上述した実施の形態1では、ガラス板4によって空間的に分離した分離光をマッハ・ツェンダー干渉させることによって実現しているが、これに限らず、石英やサファイアなどの他の硝材などを用いてもよい。なお、第1および第2の複屈折板10a,10bは、YVO4、TiO2、LiNbO3、方解石、結晶石英、α−BaB24などのいずれかを用いて実現することができる。
【0053】
さらに、上述した実施の形態1では、常光L1と異常光L2との分離のために、第1の複屈折板10aおよび第2の複屈折板10bを用いているが、これに限らず、第1の複屈折板10aおよび第2の複屈折板10bに代えて、偏光ビームスプリッタを用いるようにしてもよい。
【0054】
この発明の実施の形態1によれば、可変ファラデー回転子8と第1の複屈折板10aとを組み合わせることによって常光L1と異常光L2との強度比を変えると同時に、一方もしくは両方の光束をマッハ・ツェンダー干渉させることによって、任意の損失波長特性を得ることができる。
【0055】
実施の形態2.
つぎに、この発明の実施の形態2について説明する。上述した実施の形態1では、可変ファラデー回転子8と第1の複屈折板10aとによって常光L1と異常光L2とを任意の強度比で分離し、どちらか一方あるいは両方の光線を空間分離型のマッハ・ツェンダー干渉計として利用することで、強度方向に任意の損失波長特性を得るようにしたものであり、一定の入力偏波状態のみに有効であったが、この実施の形態2では、偏光分離・合成手段と半波長板とを組み合わせることによって、任意の入力偏波状態でも適用可能な可変利得等化器である可変光フィルタを実現している。
【0056】
図3は、この発明の実施の形態2である可変光フィルタの構成を示す図である。図3において、この可変光フィルタは、第1のPBSカプラ20a、第2のPBSカプラ20b、第1の半波長板21a、および第2の半波長板21bを有する。また、この可変光フィルタは、入力端子1、出力端子2、第1のコリメートレンズ3a、第2のコリメートレンズ3b、ガラス板24、第1の可変ファラデー回転子8a、および第2の可変ファラデー回転子8bを有し、それぞれ図8および図10に示した入力端子101、出力端子102、第1のコリメートレンズ103a、第2のコリメートレンズ103b、ガラス板104、第1のファラデー回転子108a、および第2のファラデー回転子108bに対応する。さらに、この可変フィルタは、図1に示した第1の複屈折板10aおよび第2の複屈折板10bを有する。ここで、上述した第1のPBSカプラ20aは、第1のコリメートレンズ3aと第1の可変ファラデー回転子8aとの間に配置され、第1の半波長板21aは、第1のPBSカプラ20aと第1の可変ファラデー回転子8aとの間に配置される。また、第2のPBSカプラ20bは、第2の可変ファラデー回転子8bと第2のコリメートレンズ3bとの間に配置され、第2の半波長板21bは、第2の可変ファラデー回転子8bと第2のPBSカプラ20bとの間に配置される。
【0057】
つぎに、図4をも参照して、この可変光フィルタの動作について説明する。図4は、楕円偏波状態の入射光に対する可変光フィルタ内の電界ベクトルを示した図である。なお、図4に示した符号a〜jは、図3に示した可変光フィルタ内の位置を示し、図4は、可変フィルタ内の偏波ダイアグラムを示している。
【0058】
図3および図4において、入力端子1から入力された楕円偏波状態の入射光は、第1のコリメートレンズ3aによってコリメート光となり、第1のPBSカプラ20aに入射される(位置a)。第1のPBSカプラ20aは、入射された光を偏波分離する。第1のPBSカプラ20aによって偏光分離された光のうち、一方の電界成分Aのみ第1の半波長板21aを透過させて、偏波面を90°回転させ、この一方の電界成分Aと他方の電界成分Bとは平行状態になる(位置b,c)。
【0059】
第1の可変ファラデー回転子8aにおいて「+α°」偏波面が回転した(位置d)後、第1の複屈折板10aによって、さらに常光L1と異常光L2とに分離され(位置e)、実施の形態1と同様に、常光L1と異常光L2とは、光学経路を変えずに、これらの強度比を変えることによって強度方向に任意な損失波長特性を得るようにしている。なお、ガラス板24は、ガラス板4と同様に、空間分離型のマッハ・ツェンダー干渉計として用いられる(位置f)。その後、第2の複屈折板10bを透過した電界成分A,Bの双方の光(位置g)は、第2の可変ファラデー回転子8bによって偏波面が「−α°」回転され、位置cの平行状態に復帰する(位置h)。
【0060】
さらに、偏波モード分散を低減するために、電界成分Bのみを第2の半波長板21bを透過させ(位置i)、第2のPBSカプラ20bによって偏波合成する(位置j)。これによって、入射光の偏光状態に依存しない可変光フィルタが得られる。
【0061】
なお、上述した実施の形態2では、常光L1を、ガラス板4によって分離した分離光を干渉させ、異常光L2をガラス板24に透過させているが、これに限らず、常光L1を、ガラス板4によって分離した分離光を干渉させ、異常光L2をガラス板24に透過させない場合や、異常光L2を、ガラス板4によって分離した分離光を干渉させ、常光L1をガラス板24に透過させている場合や、異常光L2を、ガラス板4によって分離した分離光を干渉させ、常光L1をガラス板24に透過させない場合や、常光L1および異常光L2ともにガラス板4によって分離した分離光を干渉させている場合などのように構成してもよい。
【0062】
また、上述した実施の形態2では、ガラス板4によって空間的に分離した分離光をマッハ・ツェンダー干渉させることによって実現しているが、石英やサファイアなどの他の硝材などを使用するようにしてもよい。なお、第1および第2の複屈折板10a,10bは、YVO4、TiO2、LiNbO3、方解石、結晶石英、α−BaB24などのいずれかを用いて実現することができる。
【0063】
さらに、上述した実施の形態2では、常光L1と異常光L2との分離に、第1の複屈折板10aおよび第2の複屈折板10bを用いているが、これに限らず、偏光ビームスプリッタで代用するようにしてもよい。
【0064】
また、上述した実施の形態2では、入射偏光状態に依存しない構成とするために用いている第1のPBSカプラ20aによる光束の分離方向と、第1の複屈折板10aによる常光L1と異常光L2との分離方向とが同一平面上になるように設定されているが、これらは独立なものであり、2つの分離方向を異なるように設定するようにしてもよい。
【0065】
この発明の実施の形態2によれば、第1および第2のPBSカプラ20a,20bと、第1および第2の半波長板21a,21bとによって、実施の形態1に示した可変光フィルタを挟むことによって、入射光の偏光状態に依存せずに任意の損失波長特性を得ることができる。
【0066】
実施の形態3.
つぎに、この発明の実施の形態3について説明する。図5は、この発明の実施の形態3である可変光フィルタの構成を示す図である。図5において、この可変光フィルタは、図1に示したガラス板4に代えて、エタロン板34を、第1の複屈折板10aと第2の複屈折板10bとの間に設けている。その他の構成は、実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0067】
つぎに、この可変光フィルタの動作について説明する。図5において、実施の形態1と同様に、入力端子1からの入射光は、可変ファラデー回転子8によって偏光方位角が「α」だけ回転し、第1の複屈折板10aを介して常光L1と異常光L2とに、任意の強度比で分離される。入力端子1からの入射光が、第1の複屈折板10aの光学結晶軸と光の伝搬方向軸とを含む面に平行な方向に振動していると仮定すると、可変ファラデー回転子8による偏光方位角が0°の場合には全ての光が常光L1となり、損失波長特性がなくなる。一方、可変ファラデー回転子8による偏光方位角を90°にした場合には全ての光が異常光L2となり、エタロン板34による干渉によって周期的な損失波長特性を得ることができる。
【0068】
したがって、可変ファラデー回転子8による偏光方位角を連続的に可変することによって、100%の常光L1から100%の異常光L2の状態の間の損失波長特性を得ることができる。その後、常光L1および異常光L2は、それぞれ第2の複屈折板10bによって直交偏波状態で干渉することなく合成され、第2のコリメートレンズ3bによって集光され、出力端子2に出力される。
【0069】
なお、上述した実施の形態3では、異常光L2の光路にエタロン板34を挿入しているが、これに限らず、常光L1の光路にエタロン板34を挿入した場合や、常光L1および異常光L2ともにそれぞれ異なるエタロン板を挿入した場合などのようにしてもよい。
【0070】
さらに、上述した実施の形態3では、常光L1と異常光L2との分離に用いている第1の複屈折板10aおよび第2の複屈折板10bを、偏光ビームスプリッタで代用するようにしてもよい。なお、第1および第2の複屈折板10a,10bは、YVO4、TiO2、LiNbO3、方解石、結晶石英、α−BaB24などのいずれかを用いて実現することができる。
【0071】
この発明の実施の形態3によれば、可変ファラデー回転子8と第1および第2複屈折板10a,10bとを組み合わせることによって、常光L1と異常光L2との強度比を変えると同時に、一方もしくは両方の光束にエタロン板34を挿入することによって、任意の損失波長特性を得ることができる。
【0072】
実施の形態4.
つぎに、この発明の実施の形態4について説明する。上述した実施の形態3では、可変ファラデー回転子8と第1の複屈折板10aとによって常光L1と異常光L2とを任意の強度比で分離し、どちらか一方あるいは両方の光路にエタロン板34を挿入することによって強度方向に任意の損失波長特性を得るようにしたものであり、一定の入力偏波状態のみで有効であったが、この実施の形態4では、偏光分離・合成手段と半波長板とを組み合わせることによって任意の入力偏波状態でも適用可能な可変利得等化器である可変光フィルタとしている。
【0073】
図6は、この発明の実施の形態4である可変光フィルタの構成を示す図である。図6において、この可変フィルタは、図3に示した実施の形態2におけるガラス板24に代えてエタロン板44を設けている。その他の構成は、実施の形態2と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0074】
つぎに、この可変光フィルタの動作について説明する。この実施の形態4では、エタロン板44による干渉以外は、実施の形態3と同じ動作である。すなわち、図6および図4において、第1のPBSカプラ20aによって偏光分離された光のうち、一方の電界成分Aのみ第1の半波長板21aを透過させることで、煙波面が90°回転し(位置b)、他方の電界成分Bと平行状態となる(位置c)。第1の可変ファラデー回転子8aにおいて偏波面を「+α°」回転した(位置d)後、第1の複屈折板10aによって、さらに常光L1と異常光L2とに分離される(位置e)。第2の複屈折板10bを透過した電界成分A,Bの双方の光は、第2の可変ファラデー回転子8bにおいて偏波面を「−α°」回転、すなわち平行状態に復帰する(位置h)。偏波モード分散を低減するために、電界成分Bのみを第2の半波長板21bを透過させ(位置i)、第2のPBSカプラ20bによって偏波合成させることによって(位置j)、入射光の偏光状態に依存しない可変光フィルタが得られる。
【0075】
なお、上述した実施の形態4では、電界成分Aの光の異常光L2の光路にエタロン板44を挿入しているが、これに限らず、その他の常光L1あるいは異常光L2の光路上の位置、さらにはそれらの組み合わせた光路上の位置に1以上のエタロン板を挿入するようにしてもよい。
【0076】
さらに、上述した実施の形態4では、常光L1と異常光L2との分離に、第1の複屈折板10aおよび第2の複屈折板10bを用いているが、これに限らず、偏光ビームスプリッタで代用するようにしてもよい。なお、第1および第2の複屈折板10a,10bは、YVO4、TiO2、LiNbO3、方解石、結晶石英、α−BaB24などのいずれかを用いて実現することができる。
【0077】
また、上述した実施の形態4では、入射偏光状態に依存しない構成とするために用いている第1のPBSカプラ20aによる光束の分離方向と、第1の複屈折板10aによる常光L1と異常光L2との分離方向とが同一平面上になるように設定されているが、これらは独立なものであり、2つの分離方向を異なるように設定するようにしてもよい。
【0078】
この発明の実施の形態4によれば、第1および第2のPBSカプラ20a,20bと、第1および第2の半波長板21a,21bとによって、実施の形態3に示した可変光フィルタを挟むことによって、入射光の偏光状態に依存せずに任意の損失波長特性を得ることができる。
【0079】
実施の形態5.
つぎに、この発明の実施の形態5について説明する。図7は、この発明の実施の形態5である強度比可変分離装置の構成を示す図である。図7において、この強度比可変分離装置は、第1のコリメートレンズ3a、可変ファラデー回転子8、第1の複屈折板10aを有し、それぞれは、実施の形態1に示した構成と同じであり、同一符号を付している。一方、出力端子としては、2つの第1および第2の出力端子2a,2bを有する。
【0080】
図7において、入力端子1からの入射光は、第1のコリメートレンズ3aで約1mmのビーム直径に拡大された後、平行光線となって可変ファラデー回転子8に入射される。可変ファラデー回転子8は、電磁石への印加電流を変えることによって永久磁石の磁界との合成磁界ベクトルの方向が変わり、磁気光学結晶の磁化ベクトルの方向が変わることによって、ファラデー回転角「+α°」を可変することのできるデバイスである。
【0081】
可変ファラデー回転子8によって変更方位角が「+α°」だけ回転した光は、第1の複屈折板10aに入射されると、第1の複屈折板10aの光学結晶軸と光の伝搬方向軸とを含む面に平行な電界成分は、常光L1として、垂直な電界成分は、異常光L2として任意の強度比で別々に伝搬させることができる。
【0082】
入力端子1からの入射光が、第1の複屈折板10aの光学結晶軸と光の伝搬方向軸とを含む面に平行な方向に振動しているとすると、可変ファラデー回転子8による変更方位角が「0°」、すなわちファラデー回転させない場合には、全ての光が常光L1となり、第1の出力端子2aに出力される。
【0083】
一方、偏光方位角を「90°」にした場合には全ての光が異常光L2となり、第2の出力端子2bに出力される。したがって、可変ファラデー回転子8による偏光方位角を連続的に可変することによって100%常光L1から100%異常光L2の状態を得ることができ、第1の出力端子2aと第2の出力端子2bとの強度比を変えながら、入射光を分離することができる。
【0084】
なお、上述した実施の形態5では、第1の複屈折板10aを用いて、常光L1と異常光L2との分離を行うようにしているが、これに限らず、たとえば、第1の複屈折板10aを、偏光ビームスプリッタで代用してもよい。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、ビーム拡張手段が、入力端子から入射した光を平行ビームに拡張し、強度比可変分離手段が、前記ビーム拡張手段から入射した平行ビームの偏波面を制御し、該制御した偏波面角度に対応して強度比が変化する複数の分割平行ビームを生成し、前記複数の分割平行ビームのうちの少なくとも一つの分割平行ビームに部分的に挿入された光学平板によって、該一つの分割平行ビームに干渉作用を与え、集光手段が、前記光学平板を透過した一部の分割平行ビームを含む複数の分割平行ビームを出力端子に結合出力するようにしているので、任意の複雑な形状をもった損失波長特性を得ることができるという効果を奏する。
【0086】
つぎの発明によれば、ビーム拡張手段が、入力端子から入射した光を平行ビームに拡張し、偏光分離手段が、前記ビーム拡張手段から入射した平行ビームを偏光分離し、第1の半波長板が、前記偏光分離手段によって偏光分離された分離平行ビームのうちのいずれか一方を透過させて、偏波面を90度回転し、強度比可変分離手段が、前記第1の半波長板から出力された分離平行ビームおよび前記偏光分離手段によって偏光分離された他方の分離平行ビームのそれぞれの偏波面を制御し、該制御した偏波面角度に対応して強度比が変化する複数の分割分離平行ビームを生成し、前記複数の分割分離平行ビームのうちの少なくとも一つの分割分離平行ビームに部分的に挿入する光学平板によって、該一つの分割分離平行ビームに干渉作用を与え、偏波面復元制御手段が、前記光学平板を透過した一部の分割分離平行ビームを含む複数の分割分離平行ビームの偏波面を、前記偏波面制御手段が制御した偏波面に戻し、第2の半波長板が、前記偏波面復元制御手段から出力され、前記偏光分離手段によって偏波分離された他方の平行ビーム成分を透過させて、偏波面を90度回転し、偏波合成手段が、前記第2の半波長板を透過した他方の分離平行ビーム成分および前記偏波面復元制御手段から出力された一方の分離平行ビーム成分を偏波合成し、集光手段が、偏波合成手段によって偏波合成された平行ビームを出力端子に結合するようにしているので、入射光の偏光状態に依存せずに、任意の複雑な形状をもった損失波長特性を得ることができるという効果を奏する。
【0087】
つぎの発明によれば、前記光学平板を、光学ガラス、石英、あるいはサファイアなどの材質によって実現しているので、各種の材料を選択して、任意の複雑な形状をもった損失波長特性を得ることができるという効果を奏する。
【0088】
つぎの発明によれば、前記ビーム拡張手段または前記集光手段を、集束形ロッドレンズまたは非球面レンズを用いて形成するようにしているので、各種のレンズを選択使用して、任意の複雑な形状をもった損失波長特性を得ることができるという効果を奏する。
【0089】
つぎの発明によれば、強度比可変分離手段が、入力端子から入射したビームの偏波面を制御し、該制御した偏波面角度に対応して強度比が変化する複数の分割ビームを生成し、前記複数の分割ビームのうちの少なくとも一つの分割ビームに挿入したエタロン板によって、該一つの分割ビームに干渉を生じさせるようにしているので、任意の複雑な形状をもった損失波長特性を得ることができるという効果を奏する。
【0090】
つぎの発明によれば、偏光分離手段が、入力端子から入射したビームを偏光分離し、第1の半波長板によって、前記偏光分離手段によって偏光分離された分離ビームのうちのいずれか一方を透過させて、偏波面を90度回転させ、強度比可変分離手段が、前記第1の半波長板から出力された分離ビームおよび前記偏光分離手段によって偏光分離された他方の分離ビームのそれぞれの偏波面を制御し、該制御した偏波面角度に対応して強度比が変化する複数の分割分離ビームを生成し、前記複数の分割分離ビームのうちの少なくとも一つの分割分離ビームに挿入されたエタロン板によって、該一つの分割分離ビームに干渉を生じさせ、偏波面復元制御手段が、前記エタロン板を透過した分割分離ビームを含む複数の分割分離ビームの偏波面を、もとの偏波面に戻し、第1の半波長板によって、前記偏波面復元制御手段から出力され、前記偏光分離手段によって偏波分離された他方のビーム成分を透過させて、偏波面を90度回転させ、偏波合成手段が、前記第2の半波長板を透過した他方の分離ビーム成分および前記偏波面復元制御手段から出力された一方の分離ビーム成分を偏波合成するようにしているので、入射光の偏光状態に依存せずに、任意の複雑な形状をもった損失波長特性を得ることができるという効果を奏する。
【0091】
つぎの発明によれば、前記強度比可変分離手段が、磁気光学結晶に印加する磁界強度を可変して偏波面を制御する可変ファラデー回転子によって、偏波面を制御し、複屈折を生じる複屈折部材によって、この制御された偏波面に応じた複数の分割平行ビーム、複数の分割分離平行ビーム、複数の分割ビーム、あるいは複数の分割分離ビームを生成するようにしているので、任意の複雑な形状をもった損失波長特性を得ることができるとともに、低電圧駆動が可能な高信頼度の可変光フィルタを実現することができるという効果を奏する。
【0092】
つぎの発明によれば、前記複屈折部材を、YVO4、TiO2、LiNbO3、方解石、結晶石英、α−BaB24を用いて形成するようにしているので、任意の部材を選択使用して、任意の複雑な形状をもった損失波長特性を得ることができるという効果を奏する。
【0093】
つぎの発明によれば、前記強度比可変分離手段は、磁気光学結晶に印加する磁界強度を可変して偏波面を制御する可変ファラデー回転子によって偏波面を制御し、偏光ビームスプリッタによって、この制御された偏波面に応じた複数の分割平行ビーム、複数の分割分離平行ビーム、複数の分割ビーム、あるいは複数の分割分離ビームを生成するようにしているので、任意の複雑な形状をもった損失波長特性を得ることができるとともに、低電圧駆動が可能な高信頼度の可変光フィルタを実現することができるという効果を奏する。
【0094】
つぎの発明によれば、ビーム拡張手段が、入力端子から入射した光を平行ビームに拡張し、強度比可変分離手段が、前記ビーム拡張手段から入射した平行ビームの偏波面を制御し、該制御した偏波面角度に対応して強度比が変化する複数の分割平行ビームを生成するようにしているので、任意の強度比をもった複数のビームに分離することができるという効果を奏する。
【0095】
つぎの発明によれば、前記強度比可変分離手段は、可変ファラデー回転子が、磁気光学結晶に印加する磁界強度を可変して偏波面を制御し、複屈折部材が、複屈折によって、常光と異常光とに分離し、これによって常光と異常光とに分離するとともに、その強度比を変えることができるという効果を奏する。
【0096】
つぎの発明によれば、前記複屈折部材として、YVO4、TiO2、LiNbO3、方解石、結晶石英、α−BaB24を用いて形成するようにしているので、各種の材料を選択して、任意の強度比をもった複数のビームに分離することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1である可変光フィルタの構成を示す図である。
【図2】 図2は、図1に示した可変光フィルタ内の可変ファラデー回転子における電界ベクトルとそれに伴う常光および異常光の光線の状態を示した図である。
【図3】 この発明の実施の形態2である可変光フィルタの構成を示す図である。
【図4】 図3に示した可変フィルタ内の電界ベクトルの変化を示す図である。
【図5】 この発明の実施の形態3である可変光フィルタの構成を示す図である。
【図6】 この発明の実施の形態4である可変光フィルタの構成を示す図である。
【図7】 この発明の実施の形態5である強度比可変分離装置の構成を示す図である。
【図8】 従来の可変利得等化器の構成を示す図である。
【図9】 図8に示した可変利得等化器による損失の波長依存性を示す図である。
【図10】 従来の可変利得等化器の他の構成を示す図である。
【図11】 図10に示した可変利得等化器による可変利得等化動作を説明する説明図である(その1)。
【図12】 図10に示した可変利得等化器による可変利得等化動作を説明する説明図である(その2)。
【図13】 偏光状態をパラメータとした誘電体偏光フィルタの損失の波長依存性を示す図である。
【符号の説明】
1 入力端子、2,2a,2b 出力端子、3a 第1のコリメートレンズ、3b 第2のコリメートレンズ、4,24 ガラス板、8 可変ファラデー回転子、8a 第1の可変ファラデー回転子、8b 第2の可変ファラデー回転子、10a 第1の複屈折板、10b 第2の複屈折板、20a 第1のPBSカプラ、20b 第2のPBSカプラ、21a 第1の半波長板、21b 第2の半波長板、34,44 エタロン板、L1 常光、L2 異常光。

Claims (9)

  1. 入力端子から入射した光を平行ビームに拡張するビーム拡張手段と、
    前記ビーム拡張手段から入射した平行ビームの偏波面を制御し、該制御した偏波面角度に対応して強度比が変化する複数の分割平行ビームを生成する強度比可変分離手段と、
    前記複数の分割平行ビームのうちの少なくとも一つの分割平行ビームに部分的に挿入する光学平板と、
    前記光学平板を透過した一部の分割平行ビームを含む複数の分割平行ビームを出力端子に結合出力する集光手段と、
    を備えたことを特徴とする可変光フィルタ。
  2. 入力端子から入射した光を平行ビームに拡張するビーム拡張手段と、
    前記ビーム拡張手段から入射した平行ビームを偏光分離する偏光分離手段と、
    前記偏光分離手段によって偏光分離された分離平行ビームのうちのいずれか一方を透過させる第1の半波長板と、
    前記第1の半波長板から出力された分離平行ビームおよび前記偏光分離手段によって偏光分離された他方の分離平行ビームのそれぞれの偏波面を制御し、該制御した偏波面角度に対応して強度比が変化する複数の分割分離平行ビームを生成する強度比可変分離手段と、
    前記複数の分割分離平行ビームのうちの少なくとも一つの分割分離平行ビームに部分的に挿入する光学平板と、
    前記光学平板を透過した一部の分割分離平行ビームを含む複数の分割分離平行ビームの偏波面を、前記偏波面制御手段が制御した偏波面に戻す偏波面復元制御手段と、
    前記偏波面復元制御手段から出力され、前記偏光分離手段によって偏波分離された他方の平行ビーム成分を透過させる第2の半波長板と、
    前記第2の半波長板を透過した他方の分離平行ビーム成分および前記偏波面復元制御手段から出力された一方の分離平行ビーム成分を偏波合成する偏波合成手段と、
    偏波合成手段によって偏波合成された平行ビームを出力端子に結合する集光手段と、
    を備えたことを特徴とする可変光フィルタ。
  3. 前記光学平板は、光学ガラス、石英、あるいはサファイアを材質とすることを特徴とする請求項1または2に記載の可変光フィルタ。
  4. 前記ビーム拡張手段または前記集光手段は、集束形ロッドレンズまたは非球面レンズを用いて形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の可変光フィルタ。
  5. 入力端子から入射したビームの偏波面を制御し、該制御した偏波面角度に対応して強度比が変化する複数の分割ビームを生成する強度比可変分離手段と、
    前記複数の分割ビームのうちの少なくとも一つの分割ビームに挿入するエタロン板と、
    を備えたことを特徴とする可変光フィルタ。
  6. 入力端子から入射したビームを偏光分離する偏光分離手段と、
    前記偏光分離手段によって偏光分離された分離ビームのうちのいずれか一方を透過させる第1の半波長板と、
    前記第1の半波長板から出力された分離ビームおよび前記偏光分離手段によって偏光分離された他方の分離ビームのそれぞれの偏波面を制御し、該制御した偏波面角度に対応して強度比が変化する複数の分割分離ビームを生成する強度比可変分離手段と、
    前記複数の分割分離ビームのうちの少なくとも一つの分割分離ビームに挿入するエタロン板と、
    前記エタロン板を透過した分割分離ビームを含む複数の分割分離ビームの偏波面を、もとの偏波面に戻す偏波面復元制御手段と、
    前記偏波面復元制御手段から出力され、前記偏光分離手段によって偏波分離された他方のビーム成分を透過させる第2の半波長板と、
    前記第2の半波長板を透過した他方の分離ビーム成分および前記偏波面復元制御手段から出力された一方の分離ビーム成分を偏波合成する偏波合成手段と、
    を備えたことを特徴とする可変光フィルタ。
  7. 前記強度比可変分離手段は、
    磁気光学結晶に印加する磁界強度を可変して偏波面を制御する可変ファラデー回転子と、
    複屈折を生じる複屈折部材と、
    を備え、前記ファラデー回転子および前記複屈折部材を組み合わせて形成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の可変光フィルタ。
  8. 前記複屈折部材は、YVO4、TiO2、LiNbO3、方解石、結晶石英、α−BaB24を用いて形成したことを特徴とする請求項7に記載の可変光フィルタ。
  9. 前記強度比可変分離手段は、
    磁気光学結晶に印加する磁界強度を可変して偏波面を制御する可変ファラデー回転子と、
    偏光ビームスプリッタと、
    を備え、前記ファラデー回転子および前記偏光ビームスプリッタを組み合わせて形成したことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の可変光フィルタ。
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