JP4514658B2 - 情報記録用紙 - Google Patents
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Description
環境問題が叫ばれている現在、情報記録用紙においても森林資源から製造される製紙用パルプを有効に活用するために、紙の軽量化が求められている。ここで、紙の軽量化とは、紙の厚さは維持した上での軽量化、すなわち嵩高化(低密度化)のことを指す。
紙を嵩高にする方法としては嵩高なパルプの使用が挙げられる。一般的に製紙用パルプには木材パルプが使用されるが、化学薬品により木材繊維中の補強材料であるリグニンを抽出した化学パルプよりも、グラインダーで木材をすり潰す砕木パルプやリファイナーで木材を精砕するリファイナーメカニカルパルプ、またはサーモメカニカルパルプなどのような機械パルプの方が繊維は剛直であり、紙の低密度化には効果的であることが知られている。しかし、機械パルプのうち針葉樹のサーモメカニカルパルプは比較的繊維長が長く、これをパルプ原料として抄造した紙は地合が悪化したり、平滑度が低下し、記録適性に劣るという問題があった。また、広葉樹のサーモメカニカルパルプを用いる方法(特許文献1参照)があるが、より嵩高効果を得るためには、全パルプに対する広葉樹サーモメカニカルパルプの配合量を非常に多くする必要があり、そのため平滑性が悪化するという問題があった。
a)木材チップを少なくとも4:1の圧縮比以上で圧縮し、圧解放時にキレート剤を含浸させる工程
b)前記含浸チップを5分以上、温度10℃〜80℃で保持する工程
c)前記含浸チップを更に少なくとも4:1の圧縮比以上で圧縮し、解放時にアルカリ性薬液を含浸させる工程
d)前記含浸チップを約10分〜1時間、温度10℃〜80℃で保持する工程
e)前記処理チップを更にアルカリ過酸化物を含浸させて、加圧もしくは大気圧リファイニング装置に通してチップを解繊し、木材パルプを製造する工程
f)前記製造パルプを温度50℃以上で5分間以上保持する工程
g)前記製造パルプを濃度5%以下に希釈し、洗浄してから、再度15%以上に濃縮する工程
h) 前記製造パルプを加圧もしくは大気圧でリファイニングを行い、所望の濾水度を有するパルプを得る工程
i)必要に応じて得られたパルプが酸化剤あるいは還元剤を用いて一段以上で漂白される工程を経て製造される。
本発明に填料として用いる軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物は軽質炭酸カルシウム粒子の表面をシリカで被覆したものであり、この軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物は、上記化学薬品処理を施して製造される広葉樹機械パルプと併用することにより、低密度(嵩高)で、剛度を維持する効果に優れる。また、本発明の軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物は、軽質炭酸カルシウムとシリカとの固形分重量比が30/70〜70/30にすることにより、嵩高性、剛度、サイズ性が向上する。軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物の配合量としては、紙中填料として1〜25重量%が好ましく、更に好ましくは5〜20重量%である。紙中填料が1重量%未満の場合、嵩高効果が十分でなく、25重量%を超える場合、剛度や強度の低下が大きくなり、コピー時の走行性が悪化したり、コピー機内での紙粉発生量が多くなるという問題が生じやすい。本発明の軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物は、内部に軽質炭酸カルシウムを含んでいるため、酸性抄紙で抄造する場合、その酸性によって粒子内部の軽質炭酸カルシウムが分解または溶解する可能性がある。故に抄紙pH6〜9の中性抄紙で抄造することが好ましい。pHが9を超えるアルカリ条件では、十分な嵩高効果が得られなかったり、白色度が低下してしまう問題がある。
粗大粒子を除去した後、あるいは粗大粒子除去後さらに強撹拌や粉砕処理を施した軽質炭酸カルシウム−ケイ酸の複合物の平均粒子径は、20μm以下が好ましく、より好ましくは1〜10μmである。
上記軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物の他に、填料として一般に使用されているものを併用することができる。例えば軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、クレー、焼成クレー、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛などの無機填料、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子などを1種類以上使用することができる。軽質炭酸カルシウム−シリカ複合粒子と他の填料を併用する場合,
両填料の紙中填料率の合計は1重量%以上30重量%以下が好ましく、3重量%以上25重量%以下がより好ましく、5重量%以上25重量%以下が更に好ましい。30重量%を超えると、剛度が低下し、複写機等の走行性、作業性に劣る傾向にある。
本発明の情報記録用紙は、従来から使用されている各種の製紙用内添助剤を必要に応じて適宜選択して使用する。例えば、硫酸バンド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダ、塩基性塩化アルミニウム、塩基性ポリ水酸化アルミニウム等の塩基性アルミニウム化合物、水に易分解性のアルミナゾル等の水溶性アルミニウム化合物、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄等の多価金属化合物、シリカゾル等のノニオン性、カチオン性の歩留まり向上剤、濾水度向上剤や、各種澱粉類、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド、ポリアミン樹脂、ポリアミン、ポリエチレンイミン、植物ガム、ポリビニルアルコール、ラテックス、ポリエチレンオキサイド、親水性架橋ポリマー粒子分散物及びこれらの誘導体あるいは変成物等の紙力向上剤等が挙げられる。
本発明においては、さらに、表面強度やサイズ性向上の目的で、これらパルプと填料に助剤を混合して抄紙した紙の少なくとも片面に、水溶性高分子を主成分とする表面処理剤の塗布を行っても良い。水溶性高分子としては、エステル化澱粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉、カチオン化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、カゼイン等の表面処理剤として通常使用されるものを単独、あるいはこれらの混合物を使用することができる。また、表面処理剤の中には、水溶性高分子の他に耐水化、表面強度向上を目的とした紙力増強剤やサイズ性付与を目的とした外添サイズ剤を添加することができる。また必要に応じて、例えばスチレン−アクリル樹脂、イソブチレン−無水マレイン酸樹脂、アクリルエマルジョン、酢酸ビニルエマルジョン、ポリエステルエマルジョン、スチレン−ブタジエンラテックス、アクリルニトリルブタジエンラテックス等の水分散性樹脂や、さらに消泡剤、pH調整剤、色相を調整する為の染料や有色顔料、蛍光染料等を本発明の効果を損なわない範囲内で適宜併用することが可能である。また、電子写真方式よって良好な画像を得るためには、用紙の電気抵抗値を調整するために通常塩化ナトリウム等の導電剤を使用することが好ましく、特に用紙焼却時の塩素化合物発生量削減するためには、非塩素系無機化合物であることが望ましい。非塩素系無機化合物の導電剤の種類としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸水素二ナトリウム、及び燐酸三ナトリウム等の非塩素系アルカリ金属塩を単独又は併用して使用することがインクジェット記録におけるインク発色性の観点から特に好ましい。
表面処理剤を塗布する方法は、コンベンショナルサイズプレス(2ロール、ポンド式)、ゲートロールサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、メタリングブレード方式のサイズプレス等の装置を用いることが可能である。本発明においては、表面処理剤のの塗工量を1.0〜3.0g/m2設けたものが好ましい。更に印字適性向上のためにはカレンダーなどの平滑化処理したものが好ましい。本発明の情報記録用紙は、30〜100g/m2の坪量が好ましく、より好ましくは30〜65g/m2、更に好ましくは、40〜60g/m2で効果を有するものである。
<品質評価方法>
(1)坪量:JIS P 8124に準じて測定した。
(2)紙厚、密度:JIS P 8118に準じて測定した。
(3)クラーク剛度:JIS P 8143に準じて測定した。
(4)平滑度:JIS P 8119に準じて測定した。
(5)電子写真用複写機適性:キヤノン製複写機(NP6250機)でA4Rトレイを使用して、両面コピーを連続100枚行い、給紙・搬送(走行性、作業性)、画質(画像の良否)、裏抜けを目視で判定した。
○:給紙・搬送、画質、裏抜けがいずれも良好。
△:給紙・搬送、画質または裏抜けの何れかがやや劣る。
×:給紙・搬送、画質または裏抜けの何れかが劣る。
(6)インクジェット記録適性:キャノン製のインクジェット記録装置:BF F210を用いて4色印字を行い、フェザーリングの目視評価を○、△、×の3段階評価で行った。
○:フェザーリングがほとんどなく良好
△:やや劣る
×:劣る
<嵩高な機械パルプの製造法>
CTMP(Chemithermo mechanical pulp)
薬液含浸装置を用いて、木材チップに、木材チップ絶乾重量当たり2.0%の亜硫酸ナトリウムを含む薬液を含浸させた。薬液含浸は1段浸透のみ行い、133℃、3分間余熱を行った後に加圧型シングルディスクリファイナーを用いて1次リファイニングを行った。2次リファイニングは常圧型ダブルディスクリファイナーを用いて行い、CSF約100mLのパルプを調製した。なお、リファイニング濃度は1次、2次とも20%であった。
APMP(Alkaline peroxide mechanical pulp)
薬液含浸装置を用いて、木材チップに、木材チップ絶乾重量当たり0.2%のDTPAを含む薬液を含浸させた。前記薬液含浸チップを温度約60℃で30分間保持した後、木材チップ絶乾重量当たり1.5%の苛性ソーダ、3.0%の珪酸ソーダ、0.1%の硫酸マグネシウム、0.2%のDTPA及び2.0%の過酸化水素を含む薬液を調整し、再度薬液含浸装置による薬液含浸と薬液含浸チップの保持を実施した。アルカリ過酸化水素を含む薬液は1次リファイナーに薬液含浸チップを供給する際にも添加した。1次リファイニングはチップ濃度20%で常圧型ダブルディスクリファイナーを用いて行った。
APTMP(Alkaline peroxide thermomechanical pulp)
薬液含浸装置を用いて、木材チップに、木材チップ絶乾重量当たり1.5%の苛性ソーダ、2.0%の珪酸ソーダ、0.05%の硫酸マグネシウム、0.3%のDTPA及び2.5%の過酸化水素を含む薬液を含浸させた。前記薬液含浸チップを温度約60℃で30分間保持した後、133℃、6〜10秒間予熱を行い、加圧型シングルディスクリファイナーを用いて1次リファイニングを行った。2次リファイニングは常圧型ダブルディスクリファイナーを用いて行い、CSF約100mLのパルプを調製した。なお、リファイニング濃度は1次、2次とも20%であった。
<軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物の製造法>
反応容器中に市販ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(商品名 アルバカー5970 SMI社製)10.3重量部を水に分散し、ここにSiO2濃度18.0wt/wt%、Na2O濃度6.1wt/wt%のケイ酸ソーダ溶液を57重量部加えた後、水を加え、全量を200重量部とした。この混合スラリーをアジテータで十分に撹拌しながら加熱し、85℃としたスラリーに、10%硫酸溶液を定量ポンプにより加えるが、この硫酸添加口付近が十分撹拌されるように、アジテータの撹拌羽根直下とした。このように添加された硫酸が十分に分散される条件のもと、温度一定で、硫酸添加後の最終pHは8.0、全硫酸添加時間は240分間となるように、一定速度で硫酸を添加した。このスラリーは100メッシュ節で粗粒分を分離した後、ベルトフィルターでろ過し、さらに約10%に再分散し、平均粒径、紙分析用サンプルとした。吸油量、BET比表面積用サンプルはろ過後のサンプルをエタノール中に約10%となるよう再分散した後、ろ過、105℃の乾燥機にて乾燥をおこない、粉体サンプルとした後に、測定を行ったところ、平均粒子径は3.4μm、吸油量159ml/100gであった。なお、核に用いた市販ロゼッタ型軽質炭酸カルシウムの平均粒子径は3.0μm、吸油量119ml/100gである。
[実施例1]
パルプ分としてLBKP50部、NBKP15部、DIP20部、ユーカリ・グロビュラスAPMP15部を使用した。これに硫酸バンドを対パルプ当たり1%、カチオン化澱粉(CATO304:日本エヌエスシー株式会社社製)0.5%、サイズ剤(NT−87:荒川化学株式社製)0.3%、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物10部、歩留剤(DR8500:ハイモ株式会社製)125ppmを添加してツインワイヤー抄紙機により抄造し、酸化デンプンを5.0%、表面サイズ剤を0.15%、導電剤として塩化ナトリウム0.3%をそれぞれ配合したサイズプレス液を両面に塗布・乾燥して固形分で1.0g/m2設け、坪量58g/m2の情報記録用紙を得た。得られた紙を温度23℃、相対湿度50%で24時間保存した後、各種試験を行なった。
[実施例2]
パルプ分としてLBKP50部、NBKP15部、DIP20部、ユーカリ・グロビュラスAPTMP15部を使用した以外は実施例1と同様の条件で抄造し、坪量58g/m2の情報記録用紙を得た。
[実施例3]
パルプ分としてLBKP50部、NBKP15部、DIP20部、ユーカリ・グロビュラスBCTMP15部を使用した以外は実施例1と同様の条件で抄造し、坪量58g/m2の情報記録用紙を得た。
[実施例4]
パルプ分としてLBKP50部、NBKP15部、DIP20部、アスペンAPMP15部を使用した以外は実施例1と同様の条件で抄造し、坪量58g/m2の情報記録用紙を得た。
[実施例5]
パルプ分としてLBKP50部、NBKP15部、DIP20部、メープルAPMP15部を使用した以外は実施例1と同様の条件で抄造し、坪量58g/m2の情報記録用紙を得た。
[比較例1]
パルプ分としてLBKP65部、NBKP15部、DIP20部を使用した以外は実施例1と同様の条件で抄造し、坪量58g/m2の情報記録用紙を得た。
[比較例2]
パルプ分としてLBKP50部、NBKP15部、DIP20部、針葉樹材ラジアータパインAPMP15部を使用した以外は実施例1と同様の条件で抄造し、坪量58g/m2の情報記録用紙を得た。
[比較例3]
パルプ分としてLBK50部、NBKP15部、DIP20部、ユーカリ・グロビュラスAPMP15部を使用し、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物を含有しない以外は実施例1と同様の条件で抄造し、坪量58g/m2の情報記録用紙を得た。
Claims (3)
- 広葉樹材を用いた、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、アルカリ過酸化水素メカニカルパルプ(APMP)、アルカリ過酸化水素サーモメカニカルパルプ(APTMP)である広葉樹機械パルプのいずれかを含み、填料として、ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム粒子の表面をシリカで被覆した、軽質炭酸カルシウムとシリカの固形分重量比が30/70〜70/30である軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物とを含有することを特徴とする情報記録用紙。
- 前記広葉樹機械パルプの配合量が、全パルプ当たり3〜50重量%であることを特徴とする請求項1に記載の情報記録用紙。
- 軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物が、紙中填料として1〜25重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の情報記録用紙。
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