JP4512458B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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本発明は、上記課題を解決するものであり、ポリカーボネート樹脂とアクリル系樹脂とを含有しても真珠光沢を有さず、且つ、強度特性、耐熱特性及び硬度特性等の優れた特性が従来通りに保持又は向上された熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
〈1〉ポリカーボネート樹脂(A)と、下記アクリル系樹脂(B)と、下記リン酸エステル系化合物(C)と、を含有し、
該ポリカーボネート樹脂(A)及び該アクリル系樹脂(B)は、これらの合計を100質量%とした場合に各々1〜99質量%であり、
且つ、該リン酸エステル系化合物(C)は、該ポリカーボネート樹脂(A)と該アクリル系樹脂(B)との合計を100質量部とした場合に0.01〜20質量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
上記アクリル系樹脂(B);ゴム質重合体(b1)の存在下に(メタ)アクリル酸エステルを含有する単量体(b2)を重合して得られるゴム強化アクリル系樹脂(B−1)、及び/又は、該単量体(b2)のアクリル系(共)重合樹脂(B−2)。
上記リン酸エステル系化合物(C);下記一般式(1)で表される芳香族基及び下記一般式(2)で表されるエステル結合含有基を有する化合物。
但し、一般式(1)中、R 1 〜R 5 は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ベンゼン環を含む基又はヘテロ原子を含む基であり、各々、同一であっても異なってもよい。また、一般式(2)中、R 6 は、アルケニル基、アルキル基、ベンゼン環を含む基又はヘテロ原子を含む基であり、Yはアルキレン基であり、kは正の整数である。
〈2〉更に、(ゴム強化)スチレン系樹脂(d1)、ポリエステル系樹脂(d2)及びポリオレフィン系樹脂(d3)のうちの少なくとも1種の熱可塑性樹脂(D)を含有する上記〈1〉に記載の熱可塑性樹脂組成物。
但し、一般式(5)中、R 7 及びR 8 は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ベンゼン環を含む基又はヘテロ原子を含む基であり、各々、同一であっても異なってもよい。
但し、一般式(3)中、R10〜R14は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ベンゼン環を含む基又はヘテロ原子を含む基であり、各々、同一であっても異なってもよい。
但し、一般式(4)中、R15は、アルケニル基、アルキル基、ベンゼン環を含む基又はヘテロ原子を含む基であり、Yはアルキレン基であり、mは正の整数である。
該ポリカーボネート樹脂(A)及び該アクリル系樹脂(B)は、これらの合計を100質量%とした場合に各々1〜99質量%であり、
且つ、該反応生成物(C)は、該ポリカーボネート樹脂(A)と該アクリル系樹脂(B)との合計を100質量部とした場合に0.01〜20質量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
上記アクリル系樹脂(B);ゴム質重合体(b1)の存在下に(メタ)アクリル酸エステルを含有する単量体(b2)を重合して得られるゴム強化アクリル系樹脂(B−1)、及び/又は、該単量体(b2)のアクリル系(共)重合樹脂(B−2)。
上記反応生成物(C);下記一般式(3)で表されるフェノール類(c1)と、下記一般式(4)で表されるヒドロキシル基含有カルボン酸エステル類(c2)と、五酸化二リン(c3)とを反応させて得られた反応生成物。
但し、一般式(3)中、R10〜R14は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ベンゼン環を含む基又はヘテロ原子を含む基であり、各々、同一であっても異なってもよい。
但し、一般式(4)中、R 15 は、アルケニル基、アルキル基、ベンゼン環を含む基又はヘテロ原子を含む基であり、Yはアルキレン基であり、mは正の整数である。
更に、所定の熱可塑性樹脂(D)を含有する場合には、特に優れた耐衝撃性及び耐薬品性を有するものとすることができる。
リン酸エステル系化合物(C)が有する芳香族基及びエステル結合含有基が各々所定の一般式で表される基である場合は、特に優れた真珠光沢の消失性能と、特に優れた強度特性向上効果が得られる。
リン酸エステル系化合物(C)が、所定化合物を反応させて得られたものである場合は、特に優れた真珠光沢の消失性能と、特に優れた強度特性向上効果が得られる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物のうち、反応生成物(C)を含有するもの(以下、単に「第2観点に係る樹脂組成物」ともいう)によれば、ポリカーボネート樹脂とアクリル系樹脂とを含有するにも関わらず真珠光沢を有さないものとすることができる。更に、優れた強度特性は従来通りに保持又は更に向上されたものとすることができる。
更に、所定の熱可塑性樹脂(D)を含有する場合には、特に優れた耐衝撃性及び耐薬品性を有するものとすることができる。
本第1観点に係る熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)と、上記アクリル系樹脂(B)と、上記リン酸エステル系化合物(C)と、を含有し、
該ポリカーボネート樹脂(A)及び該アクリル系樹脂(B)は、これらの合計を100質量%とした場合に各々1〜99質量%であり、
且つ、該リン酸エステル系化合物(C)は、該ポリカーボネート樹脂(A)と該アクリル系樹脂(B)との合計を100質量部とした場合に0.01〜20質量部であることを特徴とする。
上記「ポリカーボネート樹脂(A)」は、主鎖にカーボネート結合を有する樹脂であり、芳香族ポリカーボネート樹脂であってもよく、脂肪族ポリカーボネート樹脂であってもよいが、通常、芳香族ポリカーボネート樹脂である。後述するリン酸エステル系化合物によるアクリル系樹脂(B)との優れた相溶化効果が特に得られ易い。また、強度及び耐熱性等の観点からも好ましい。
上記芳香族ジヒドロキシ化合物は、分子内にヒドロキシル基を2つ有する芳香族系化合物であればよく、特に限定されない。即ち、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、単に「ビスフェノールA」という)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3、5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ジヒドロキシベンゼン(ハイドロキノン及びレゾルシノール等)、4,4’−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、9,9−ビス(p−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(p−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、ビス(p−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エステル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(p−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホキシド等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記のうち、エステル交換して得る場合に用いる炭酸ジエステルとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
更に、このポリカーボネート樹脂(A)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)とアクリル系樹脂(B)との合計量を100質量%とした場合に1〜99質量%であり、3〜97質量%であることが好ましく、5〜95質量%であることがより好ましく、10〜60質量%が更に好ましく、25〜55質量%が特に好ましく、30〜50質量%がより特に好ましい。この範囲であれば特に優れた強度特性及び耐熱特性が得られる。
上記「アクリル系樹脂(B)」は、所定のゴム強化アクリル系樹脂(B−1)及び/又はアクリル系(共)重合樹脂(B−2)である。
上記「ゴム強化アクリル系樹脂(B−1)」は、ゴム質重合体(b1)の存在下に(メタ)アクリル酸エステルを含有する単量体(b2)を重合して得られる樹脂である。即ち、ゴム強化アクリル系樹脂(B−1)は、例えば、ゴム質重合体(b1)に単量体(b2)がグラフト重合された樹脂と単量体(b2)が重合された樹脂との混合物からなるゴム強化アクリル系樹脂であってもよく、ゴム質重合体(b1)に単量体(b2)がグラフト重合された樹脂のみからなるゴム強化アクリル系樹脂であってもよい。
上記「アクリル系(共)重合樹脂(B−2)」は、(メタ)アクリル酸エステルを含有する単量体(b2)を重合(又は共重合)して得られる樹脂である。
このうちジエン系ゴム質重合体として、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体等が挙げられる。これらのなかではポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体等が好ましい。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、非ジエン系ゴム質重合体としては、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体等のエチレン−α−オレフィン系ゴム質重合体;スチレン−ブタジエン(ブロック)共重合体の水素添加物、スチレン−イソプレン(ブロック)共重合体の水素添加物、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体の水素添加物、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の水素添加物、その他のブタジエン系(共)重合体の水素添加物、スチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加物等のジエン系重合体の水素添加物;シリコーン系ゴム、アクリル系ゴム等が挙げられる。これらのなかではエチレン−α−オレフィン系ゴム質重合体、スチレン−ブタジエン(ブロック)共重合体の水素添加物、アクリル系ゴム、シリコーンゴム等が好ましい。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
この単量体(b2)内に含まれる(メタ)アクリル酸エステルは、通常、10質量%以上(好ましくは15質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、100質量%であってもよい)である。
また、ゴム強化アクリル系樹脂(B−1)は、アクリル系(共)重合樹脂(B−2)に比べて耐衝撃性を付与する効果が大きい。このため、耐衝撃性を向上させる目的においては、アクリル系(共)重合樹脂(B−2)のみを用いるよりも、ゴム強化アクリル系樹脂(B−1)を併用するか、又は、単独使用することが好ましい。
乳化重合を用いる場合には、重合開始剤、連鎖移動剤(分子量調節剤)、乳化剤、水等が用いられる。
また、アクリル系(共)重合樹脂(B−2)の重合時には、単量体(b2)は一括添加して重合してもよく、分割添加して重合してもよく、連続添加して重合してもよく、これらを組み合わせた方法で重合してもよい。
即ち、例えば、重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド等で代表される有機ハイドロパーオキサイド類と含糖ピロリン酸処方、スルホキシレート処方等で代表される還元剤との組み合わせによるレドックス系、あるいは過硫酸カリウム等の過硫酸塩、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシモノカーボネート等の過酸化物等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。更に、上記重合開始剤は、反応系に一括又は連続的に添加することができる。また、重合開始剤の使用量は、単量体の全量に対し、通常、0.1〜1.5質量%、好ましくは0.2〜0.7質量%である。
その他、溶液重合、塊状重合を用いる場合は、各々公知の方法を適用できる。
ここで、グラフト率とは、上記ゴム強化アクリル系樹脂(B−1)1グラム中のゴム成分をxグラム、上記ゴム強化アクリル系樹脂(B−1)1グラムをアセトン(但し、アクリル系ゴムを使用したものはアセトニトリル)に溶解させた際の不溶分をyグラムとしたときに、次式により求められる値である。
グラフト率(%)={(y−x)/x}×100
尚、上記グラフト率(%)は、上記ゴム強化アクリル系樹脂(B−1)を製造するときの、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤等の種類や量、更には重合時間、重合温度等を変えることにより、容易に制御することができる。
更に、樹脂組成物内に含有されるアクリル系樹脂(B−1)及び(B−2)の合計含有量(一方のみが含有されてもよい)は、ポリカーボネート樹脂(A)とアクリル系樹脂(B)との合計量を100質量%とした場合に1〜99質量%であり、3〜97質量%であることが好ましく、5〜95質量%であることがより好ましく、10〜95質量%であることが更に好ましい。この範囲であれば特に強度特性及び硬度に優れる。
上記「リン酸エステル系化合物(C)」は、下記(C−1)及び/又は下記(C−2)である。
(C−1);芳香族基及びエステル結合含有基を有する化合物。
(C−2);芳香族基を有する化合物(C−2a)及びエステル結合含有基を有する化合物(C−2b)の2種の化合物の組み合わせ。
また、上記化合物(C−1)は、芳香族基及びエステル結合含有基が、各々、独立して、リン酸エステル骨格内の酸素原子に直接又は2価の基を介して結合している化合物である。化合物(C−2a)は、芳香族基が、リン酸エステル骨格内の酸素原子に直接又は2価の基を介して結合している化合物である。化合物(C−2b)は、エステル結合含有基が、リン酸エステル骨格内の酸素原子に直接又は2価の基を介して結合している化合物である。本発明では、化合物(C−1)、化合物(C−2a)及び化合物(C−2b)のいずれにおいても各基がリン酸エステル骨格内の酸素原子に直接結合している化合物であることが好ましい。
上記一般式(1)において、ベンゼン環を含む基は、フェニル基、ベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基等が挙げられる。これらのうち、α,α−ジメチルベンジル基が好ましい。また、このベンゼン環を含む基は、ベンゼン環に結合する水素原子がハロゲン原子又は置換基によって置換されたものであってもよい。
上記一般式(1)において、ヘテロ原子を含む基は、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、イミノ基、アミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基等が挙げられる。
また、R1〜R5のうちの少なくとも1つが水素原子以外の置換基である場合、R1〜R5は、各々、アルキル基及びベンゼン環を含む基から選ばれた基であることが好ましい。この場合、アルキル基としては、炭素数が1〜10であるアルキル基がより好ましく、ベンゼン環を含む基としては、α,α−ジメチルベンジル基がより好ましい。更には、炭素数が1〜3であるアルキル基、又は、α,α−ジメチルベンジル基であることが好ましい。
従って、上記一般式(1)において、R1〜R5は、各々、水素原子、炭素数が1〜3であるアルキル基、又は、α,α−ジメチルベンジル基であることが特に好ましい。
この一般式(5)で表される基のうち、フェニル基及びジメチルフェニル基が好ましく、フェニル基、2,4−ジメチルフェニル基及び3,5−ジメチルフェニル基がより好ましく、フェニル基及び2,4−ジメチルフェニル基が特に好ましい。
上記一般式(2)において、アルキル基は、脂肪族アルキル基(直鎖状でも、分岐状でもよい。)が好ましく、その炭素数は、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4、特に好ましくは2〜3である。
上記一般式(2)において、ベンゼン環を含む基としては、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。尚、このベンゼン環を含む基は、ベンゼン環に結合する水素原子がハロゲン原子又は置換基によって置換されたものであってもよい。
また、上記一般式(6)において、lは、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜3である。
更に、化合物(C−2a)及び化合物(C−2b)の含有割合は、これらの合計を100質量%とした場合、各々20〜80質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。
上記一般式(3)において、アルキル基は、炭素数が1〜20、好ましくは1〜10である脂肪族アルキル基(直鎖状でも、分岐状でもよい)、脂環族アルキル基(置換基を有してもよい)等とすることができる。従って、このアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、シクロプロピル基、シクロへキシル基等が挙げられる。これらのうち、メチル基及びエチル基が好ましい。
上記一般式(3)において、ベンゼン環を含む基は、フェニル基、ベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基等が挙げられる。これらのうち、α,α−ジメチルベンジル基が好ましい。また、このベンゼン環を含む基は、ベンゼン環に結合する水素原子がハロゲン原子又は置換基によって置換されたものであってもよい。
上記一般式(3)において、ヘテロ原子を含む基は、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、イミノ基、アミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基等が挙げられる。
また、R10〜R14のうちの少なくとも1つが水素原子以外の置換基である場合、R10〜R14は、各々、アルキル基及びベンゼン環を含む基から選ばれた基であることが好ましい。この場合、アルキル基としては、炭素数が1〜10であるこの間アルキル基がより好ましく、ベンゼン環を含む基としては、α,α−ジメチルベンジル基がより好ましい。更には、炭素数が1〜3であるアルキル基、又は、α,α−ジメチルベンジル基であることが好ましい。
従って、上記一般式(3)において、R10〜R14は、各々、水素原子、炭素数が1〜3であるアルキル基、又は、α,α−ジメチルベンジル基であることが特に好ましい。
上記一般式(4)においてアルケニル基の炭素数は、好ましくは2〜5、より好ましくは2〜4、特に好ましくは2〜3である。
また、アルキル基は、脂肪族アルキル基(直鎖状でも、分岐状でもよい。)が好ましく、その炭素数は、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4、特に好ましくは2〜3である。
更に、ベンゼン環を含む基は、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。尚、このベンゼン環を含む基は、ベンゼン環に結合する水素原子がハロゲン原子又は置換基によって置換されたものであってもよい。
また、上記一般式(8)において、nは、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜3である。
また、上記2段階反応を用いる場合であって、フェノール類(c1)又はヒドロキシル基含有カルボン酸エステル類(c2)を投入(滴下など)する際には、1段階目の反応生成物が固化しない温度で行うことが好ましく、固化しない温度〜120℃で行うことがより好ましく、固化しない温度〜100℃で行うことが特に好ましい。
尚、本樹脂組成物を製造する際には、リン酸エステル系化合物(C)を単独で用いてもよく、この化合物(C)を含有する反応生成物など{即ち、例えば、少なくとも化合物(C)が生成されるように各種原料を反応させて得られた反応生成物など}を用いてもよい。反応生成物等を用いる場合は、これらの中に化合物(C)が上記範囲で含有されるように用いればよい。更に、反応生成物等における化合物(C)の含有量は特に限定されないが、通常、その全体に対して5〜95質量%(7〜90質量%であってもよく、更には10〜90質量%であってもよく、特に50〜90質量%であってもよい)である。
更に、本第1観点に係る樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(D)を含有することができる。
上記「熱可塑性樹脂(D)」は、(ゴム強化)スチレン系樹脂(d1)、ポリエステル系樹脂(d2)及びポリオレフィン系樹脂(d3)のうちの少なくとも1種である。
上記「(ゴム強化)スチレン系樹脂(d1)」は、ゴム強化スチレン系樹脂及び/又はスチレン系樹脂(非ゴム強化スチレン系樹脂)である。このうち、ゴム強化スチレン系樹脂とは、通常、ゴム質重合体(d1−1)の存在下に、スチレン系単量体成分を含む単量体(d1−2)を重合して得られる樹脂{単量体(d1−2)の(共)重合体を含有していてもよい}である。一方、スチレン系樹脂とは、ゴム質重合体(d1−1)を用いることなく、スチレン系単量体成分を含む単量体(d1−2)を(共)重合して得られる樹脂である。
このスチレン系単量体成分の使用量は、単量体全体(100質量%)に対して5〜100質量%(より好ましくは10〜95質量%、更に好ましくは10〜70質量%)が好ましい。
このシアン化ビニル化合物を用いる場合のその使用量は、単量体全体(100質量%)に対して3〜60質量%(より好ましくは5〜55質量%、更に好ましくは5〜50質量%)が好ましい。
このマレイミド系化合物を用いる場合のその使用量は、単量体全体(100質量%)に対して3〜60質量%(より好ましくは5〜55質量%、更に好ましくは5〜50質量%)が好ましい。
この官能基を有するビニル系化合物を用いる場合のその使用量は、単量体全体(100質量%)に対して0.1〜20質量%(より好ましくは0.2〜10質量%、更に好ましくは0.2〜8質量%)が好ましい。
乳化重合により製造する場合には、重合開始剤、連鎖移動剤(分子量調節剤)、乳化剤、水等が用いられる。
更に、(ゴム強化)スチレン系樹脂(d1)のうち、ゴム強化スチレン系樹脂の重合時には、ゴム質重合体(d1−1)及び単量体(d1−2)は、ゴム質重合体(d1−1)全量の存在下に、単量体(d1−2)を一括添加して重合してもよく、分割添加して重合してもよく、連続添加して重合してもよく、これらを組み合わせた方法で重合してもよい。更に、ゴム質重合体(d1−1)の全量又は一部を重合途中で添加して重合してもよい。
溶液重合、塊状重合による製造方法は、公知の方法を適用することができる。
ここでいうグラフト率とは、前記ゴム強化アクリル系樹脂(B−1)におけるグラフト率と同様である。
また、上記グラフト率(%)は、上記(ゴム強化)スチレン系樹脂(d1)を製造するときの、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤等の種類や量、更には重合時間、重合温度等を変えることにより、容易に制御することができる。
このポリオレフィン系樹脂(d3)としては、特にポリエチレン、ポリプロピレン等が好ましい。
本第1観点に係る樹脂組成物は、目的及び用途に応じて、ポリカーボネート樹脂(A)、アクリル系樹脂(B)、リン酸エステル系化合物(C)及び熱可塑性樹脂(D)以外の他の成分を含有できる。他の成分としては、他の重合体成分、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、耐候剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤、滑剤、抗菌剤及び着色剤等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記帯電防止剤としては、ポリエーテル、アルキル基を有するスルホン酸塩、ポリアミドエラストマー及びポリエステルエラストマー等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。上記帯電防止剤の配合量は、全重合体の合計100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部である。
上記ハロゲン系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノール−Aのオリゴマー(末端はエポキシ基のまま、あるいはエポキシ基をトリブロモフェノール、メチルアルコール、エチルアルコール等で封止してあってもよい)、臭素化スチレン、後臭素化スチレン、臭素化ポリカーボネートのオリゴマー、テトラブロモビスフェノール−A、デカブロモジフェニルエーテル、塩素化ポリスチレン、脂肪族塩素化合物等が挙げられる。これらのうち、テトラブロモビスフェノール−Aのオリゴマーが好ましく、好ましい分子量は1,000〜6,000である。
上記難燃剤の配合量は、全重合体の合計100質量部に対して、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは2〜30質量部である。この範囲であれば難燃性が十分に付与され、耐衝撃性も十分に得られる。
上記ガラス繊維、炭素繊維等の好ましい大きさは、繊維径が6〜20μm、繊維長が30μm以上である。
上記充填剤の配合量は、全重合体の合計100質量部に対して、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは2〜30質量部である。
該ポリカーボネート樹脂(A)及び該アクリル系樹脂(B)は、これらの合計を100質量%とした場合に各々1〜99質量%であり、
且つ、該反応生成物(C)は、該ポリカーボネート樹脂(A)と該アクリル系樹脂(B)との合計を100質量部とした場合に0.01〜20質量部であることを特徴とする。
上記「フェノール類(c1)」、上記「ヒドロキシル基含有カルボン酸エステル類(c2)」及び上記「五酸化二リン(c3)」は、前記第1観点に係る各々をそのまま適用できる。更に、これらの上記「反応」(反応手順等)については前記第1観点に係る方法(反応手順)そのまま適用できる。
また、この反応生成物(C)に、前記リン酸エステル系化合物(C)が含有される場合、その含有量は特に限定されないが、通常、反応生成物(C)全体に対して5〜95質量%(7〜90質量%であってもよく、更には10〜90質量%であってもよく、特に50〜90であってもよい)である。
(1)ポリカーボネート樹脂(A)
三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製の「ノバレックス 7022PJ−LH1」(商品名)を用いた。
アクリル系樹脂(B1)
撹拌機を備えた内容積7リットルガラス製フラスコに、イオン交換水100部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5部、tert−ドデシルメルカプタン0.1部、ポリブタジエンラテックス(重量平均粒径2400Å、ゲル含率85%)30部(固形分換算)、メタクリル酸メチル12.25部、スチレン4部、及びアクリロニトリル1.25部を加え、撹拌しながら昇温した。内温が45℃に達した時点で、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.1部、硫酸第一鉄0.003部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラート二水和物0.2部及びイオン交換水15部からなる活性剤水溶液、並びに、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド0.1部を添加し、1時間反応を継続した。
その後、イオン交換水50部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部、tert−ドデシルメルカプタン0.1部、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド0.2部、メタクリル酸メチル36.75部、スチレン12部、及びアクリロニトリル3.75部からなる重合用成分を3時間に渡って連続的に添加し、重合を継続した。全ての重合用成分を添加し、更に1時間撹拌を継続した後、2,2−メチレン−ビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)0.2部を添加し重合を停止した。得られた反応生成物のラテックスに塩化カルシウム2部を添加して凝固し、次いで、水洗した後、乾燥して白色粉末状のアクリル系樹脂(B1)を得た{ゴム強化アクリル系樹脂(B−1)である}。
得られたアクリル系樹脂(B1)の重合転化率は98.5%、グラフト率は40%、アセトン可溶分の極限粘度〔η〕は0.3dl/gであった。
内容量30リットルのリボン翼を備えたジャケット付き重合反応容器を2基連結し、窒素置換した後、1基目の反応容器にメタクリル酸メチル59部、スチレン23部、アクリロニトリル18部、トルエン20部を連続的に投入した。また、分子量調節剤としてtert−ドデシルメルカプタン0.12部とトルエン5部との混合溶液、及び、重合開始剤として1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)0.1部とトルエン5部との混合溶液を連続的に供給した。この1基目の反応容器内の温度を110℃にコントロールし、平均滞留時間2.0時間として重合させた。この1基目の反応容器内での重合転化率57%であった。そして、1基目の反応容器内で得られた重合体溶液を、この反応容器の外部に設けられたポンプにより、1基目の反応容器への供給量と同量を連続的に取り出し、2基目の反応容器へ供給した。2基目の反応容器では130℃で重合させた。この2基目の反応容器での重合転化率は70%であった。2基目の反応容器で得られた重合体溶液を、2軸3段ベント付き押出機を用いて、200〜250℃、真空度−600mmHgの条件で直接未反応単量体と溶剤とを脱揮し、結合メタクリル酸メチル含量が72質量%、結合スチレン含量21質量%、結合アクリロニトリル含量7質量%、極限粘度〔η〕0.5dl/gのペレット状に成形されたアクリル系樹脂(B2){ゴム強化されていないアクリル系(共)重合樹脂(B−2)である}を得た。
三菱レイヨン社製のポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA樹脂)「アクリペット VH001」(商品名)を用いた{ゴム強化されていないアクリル系(共)重合樹脂(B−2)である}。
リン酸エステル系反応生成物(C1)
リービッヒ冷却管、撹拌装置及び温度計をセットした300mlの4つ口フラスコに2,4−ジメチルフェノール122.2g(1.00モル)を仕込んだ。その後、100mlの丸底フラスコに五酸化二リン71g(0.50モル)を計り入れ、連結ジョイントを介して上記4つ口フラスコと接続した。内温を40℃まで昇温させたのち五酸化二リンの投入を開始し、発熱により内温65±5℃に達した後、この温度で五酸化二リンを更に投入した。五酸化二リンの投入後、内温を90℃まで昇温させて、内温が90±5℃で2時間反応させた。次いで、冷却して内温75±5℃で4−ヒドロキシブチルアクリレート72.1g(0.50モル)を滴下した。滴下終了後、内温75±5℃で2時間反応させて、リン酸エステル系化合物(C)を含む褐色液体のリン酸エステル系反応生成物(C1)265.4gを得た。酸価は300mgKOH/gであった。得られたリン酸エステル系反応生成物の赤外線吸収スペクトルを図1に示した。
2,4−ジメチルフェノールに換えて3,5−ジメチルフェノール1.00モルを用い、五酸化二リンの投入温度を80℃に変更した以外は、リン酸エステル系化合物(C1)と同様にしてリン酸エステル系化合物(C)を含むリン酸エステル系反応生成物(C2)を得た。酸価は314mgKOH/gであった。得られたリン酸エステル系反応生成物の赤外線吸収スペクトルを図2に示した。
2,4−ジメチルフェノールに換えてフェノール45.2g(0.48モル)を用い、五酸化二リンを45.5g(0.32モル)に変更し、4−ヒドロキシブチルアクリレートの滴下量を69.2g(0.48モル)とした以外は上記リン酸エステル系化合物(C1)と同様にしてリン酸エステル系化合物(C)を含むリン酸エステル系反応生成物(C3)158.6gを得た。酸価は329mgKOH/gであった。得られたリン酸エステル系反応生成物の赤外線吸収スペクトルを図3に示した。
リービッヒ冷却管、撹拌装置及び温度計をセットした300mlの4つ口フラスコに4−ヒドロキシブチルアクリレート216.3g(1.50モル)を仕込んだ。その後、100mlの丸底フラスコに五酸化二リン71g(0.50モル)を計り入れ、連結ジョイントを介して上記4つ口フラスコと接続した。内温を45±5℃まで昇温させたのち五酸化二リンを徐々に投入した。投入後、発熱により内温75±5℃に達した後、この温度で6時間反応させた。その後、冷却して、リン酸エステル系化合物(C)を含む褐色液体のリン酸エステル系反応生成物(C4)285.9gを得た。酸価は291mgKOH/gであった。得られたリン酸エステル系反応生成物の赤外線吸収スペクトルを図4に示した。尚、このリン酸エステル系反応生成物(C4)は比較品である。
(ゴム強化)スチレン系樹脂
撹拌機を備えた内容積7リットルガラス製フラスコに窒素気流中で、イオン交換水75部、ロジン酸カリウム0.5部、tert−ドデシルメルカプタン0.1部、ポリブタジエンラテックス(重量平均粒径3500Å、ゲル含率85%)40部(固形分換算)、スチレン15部、アクリロニトリル5部を加え、撹拌しながら昇温した。内温が45℃に達した時点で、ピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄7水和物0.01部、及び、ブドウ糖0.2部をイオン交換水20部に溶解したブドウ糖溶液を加えた。その後、クメンハイドロパーオキサイド0.07部を加えて重合を開始した。1時間重合させた後、更に、イオン交換水50部、ロジン酸カリウム0.7部、スチレン30部、アクリロニトリル10部、tert−ドデシルメルカプタン0.05部及びクメンハイドロパーオキサイド0.01部を3時間かけて連続的に添加し、更に、1時間重合を継続した後、2,2−メチレン−ビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)0.2部を添加し重合を停止した。得られた反応生成物のラテックスを硫酸水溶液で凝固し、次いで、水洗した後、乾燥して(ゴム強化)スチレン系樹脂(D){熱可塑性樹脂(D)のうちの(ゴム強化)スチレン系樹脂(d1)に相当する}を得た。
得られた(ゴム強化)スチレン系樹脂(D)のグラフト率は68%、アセトン可溶分の極限粘度〔η〕は0.45dl/gであった。
上記原料成分を用い、表1に記載の配合に従って、各熱可塑性樹脂組成物を調製した。即ち、各原料成分をミキサーにより5分間混合した後、50mmφ押出機でシリンダー設定温度180〜220℃で溶融混練押出し、ペレットを得た。得られたペレットを十分に乾燥し、射出成形機(型名「EC−60」、東芝機械社製)により、真珠光沢の有無を評価するための試験片(縦8.0cm、横5.5cm、厚さ2.5mm)を得た。
また、同様にしてシャルピー衝撃強さを測定するための試験片を得た。
上記で得られた各試験片を目視により確認し、真珠光沢が認められるか否かを評価した。その結果を表1に併記した。真珠光沢が認められたものには「あり」と示し、認められなかったものには「なし」と示した。
(2)耐衝撃性 (C−Imp)
上記で得られた各試験片について、耐衝撃性をISO 179に従い、シャルピー衝撃強さを測定した。その結果を表1に併記した。
即ち、例えば、比較例1ではシャルピー衝撃強さが13kJ/mであるのに対して、リン酸エステル系化合物(C)を含有する以外は同じ組成を有する実施例1及び3では23kJ/mであり、耐衝撃性は77%向上されていることが分かる。
更に、比較例2では12kJ/mであるのに対して、リン酸エステル系化合物(C)を含有する以外は同じ組成を有する実施例4では15kJ/mであり、耐衝撃性は25%向上されていることが分かる。
更に、比較例4はリン酸エステル系化合物を含有するが、前記の所定のリン酸エステル系化合物でないもの(即ち、リン酸エステル系化合物が芳香族基を有さない)を有する。この比較例4では13kJ/mであるのに対して、前記の所定のリン酸エステル系化合物(C)を含有する以外は同じ組成を有する実施例1及び3では23kJ/mであり、耐衝撃性は77%向上されていることが分かる。
その他、実施例2、5及び7〜9に示すように、各々配合を変化させた熱可塑性樹脂組成物においても、15〜25kJ/mの優れた耐衝撃性が得られていることが分かる。
即ち、相溶化成分として、原子Mに酸素原子を介して結合された、芳香族基及びエステル結合含有基を有する化合物、並びに/又は、原子Mに酸素原子を介して芳香族基が結合された化合物及び原子Mに酸素原子を介して結合されたエステル結合含有基を有する化合物を用いることができる。上記Mとしては、Mg、B、Al、Si及びTiの元素から選ばれるいずれか1種を用いることができる。
但し、中心原子としては、これらの中ではリン原子を用いることが好ましい。これにより、前述のように、真珠光沢を発現せず、強度特性、耐熱特性及び硬度特性等の優れた特性は従来通りに保持又は更に向上され、更には、優れた難燃性を有する熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
Claims (6)
- ポリカーボネート樹脂(A)と、下記アクリル系樹脂(B)と、下記リン酸エステル系化合物(C)と、を含有し、
該ポリカーボネート樹脂(A)及び該アクリル系樹脂(B)は、これらの合計を100質量%とした場合に各々1〜99質量%であり、
且つ、該リン酸エステル系化合物(C)は、該ポリカーボネート樹脂(A)と該アクリル系樹脂(B)との合計を100質量部とした場合に0.01〜20質量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
上記アクリル系樹脂(B);ゴム質重合体(b1)の存在下に(メタ)アクリル酸エステルを含有する単量体(b2)を重合して得られるゴム強化アクリル系樹脂(B−1)、及び/又は、該単量体(b2)のアクリル系(共)重合樹脂(B−2)。
上記リン酸エステル系化合物(C);下記一般式(1)で表される芳香族基及び下記一般式(2)で表されるエステル結合含有基を有する化合物。
但し、一般式(1)中、R 1 〜R 5 は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ベンゼン環を含む基又はヘテロ原子を含む基であり、各々、同一であっても異なってもよい。
但し、一般式(2)中、R 6 は、アルケニル基、アルキル基、ベンゼン環を含む基又はヘテロ原子を含む基であり、Yはアルキレン基であり、kは正の整数である。 - 更に、(ゴム強化)スチレン系樹脂(d1)、ポリエステル系樹脂(d2)及びポリオレフィン系樹脂(d3)のうちの少なくとも1種の熱可塑性樹脂(D)を含有する請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 上記リン酸エステル系化合物(C)のうち、芳香族基及びエステル結合含有基を有する化合物は、下記一般式(3)で表されるフェノール類(c1)と、下記一般式(4)で表されるヒドロキシル基含有カルボン酸エステル類(c2)と、五酸化二リン(c3)とを反応させて得られたものである請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
但し、一般式(3)中、R10〜R14は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ベンゼン環を含む基又はヘテロ原子を含む基であり、各々、同一であっても異なってもよい。
但し、一般式(4)中、R15は、アルケニル基、アルキル基、ベンゼン環を含む基又はヘテロ原子を含む基であり、Yはアルキレン基であり、mは正の整数である。 - ポリカーボネート樹脂(A)と、下記アクリル系樹脂(B)と、下記反応生成物(C)と、を含有し、
該ポリカーボネート樹脂(A)及び該アクリル系樹脂(B)は、これらの合計を100質量%とした場合に各々1〜99質量%であり、
且つ、該反応生成物(C)は、該ポリカーボネート樹脂(A)と該アクリル系樹脂(B)との合計を100質量部とした場合に0.01〜20質量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
上記アクリル系樹脂(B);ゴム質重合体(b1)の存在下に(メタ)アクリル酸エステルを含有する単量体(b2)を重合して得られるゴム強化アクリル系樹脂(B−1)、及び/又は、該単量体(b2)のアクリル系(共)重合樹脂(B−2)。
上記反応生成物(C);下記一般式(3)で表されるフェノール類(c1)と、下記一般式(4)で表されるヒドロキシル基含有カルボン酸エステル類(c2)と、五酸化二リン(c3)とを反応させて得られた反応生成物。
但し、一般式(3)中、R10〜R14は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、ベンゼン環を含む基又はヘテロ原子を含む基であり、各々、同一であっても異なってもよい。
但し、一般式(4)中、R 15 は、アルケニル基、アルキル基、ベンゼン環を含む基又はヘテロ原子を含む基であり、Yはアルキレン基であり、mは正の整数である。 - 更に、(ゴム強化)スチレン系樹脂(d1)、ポリエステル系樹脂(d2)及びポリオレフィン系樹脂(d3)のうちの少なくとも1種の熱可塑性樹脂(D)を含有する請求項5に記載の熱可塑性樹脂組成物。
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