JP4512233B2 - 非水電解液電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、幅広い温度範囲において、有機溶媒をベースにした電解液の気化や分解がなく、優れた電池性能を有する非水電解液電池に関し、更に詳しくは、電池のサイクル特性、高温保存特性を向上させることが出来る非水電解液電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、カメラー体型ビデオテープレコーダ、携帯電話、携帯用コンピュータ等のポータブル電子機器が多く登場し、その小型軽量化が図られている。そしてこれらの電子機器のポータブル電源となる電池、特に二次電池について、エネルギー密度を向上させるための研究がなされている。二次電池の中でもリチウムイオン電池は、従来の水溶液系電解液を用いた二次電池である鉛電池、ニッケルカドミウム電池と比較して大きなエネルギー密度が得られるため、期待が大きく、研究開発が活発に進められている。
【0003】
リチウム電池又はリチウムイオン二次電池に使用する非水電解液としては、炭酸プロピレンや炭酸ジエチル等の炭酸エステル系電解質に、電解質としてLiPF6 を溶解させたものが、比較的導電率も高く、電位的にも安定である点から広く用いられている。これらの非水電解液を用いた電池のうち、リチウムイオン二次電池は、金属リチウムを用いた電池と比較して安全性が高いことが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記炭酸エステル系非水溶媒は、一般に電気化学的に比較的安定であると言われているが、非水電解質電池においては正極や負極の酸化力、還元力が非常に強いため、若干ではあるがこれら炭酸エステル系非水溶媒が反応を起こす可能性が指摘されている。このような反応が起こると、電極表面に反応生成物が皮膜となって成長し、電池のインピーダンスの増加をもたらす。その結果、特に大電流で放電した時に電圧降下が著しくなり、サイクル特性や負荷特性が悪くなるという問題が生ずる。又上記のリチウムイオン二次電池は正極が高電位となる充電末期又は、過充電時に顕著に起こっていることは、非水電解液の溶媒が分解し、その分解物生成物(重合物など)が電極上に付着し、その結果保存後の電池の内部インピーダンスが上昇して、放電特性が低下し、更に充放電サイクル特性が低下する問題があった。
【0005】
このような非水電解液の分解を抑制して、保存特性及び充放電サイクル特性の向上を図るべく、例えばテトラヒドロフラン(THF)、1,3−ジオキソラン(DOXL)等の環状エーテルの水素原子の一部をアルキル基等で置換して、2−メチルテトラヒドロフラン(2Me−THF)、4-メチル-1、3-ジオキサソラン(4Me−DOXL)等として安定化させる方法(J.L.Goldman, R.M.Mank, J.H.Young and V.R.Koch: J.Electrochem. Soc.,127, p1461(1980))、メチルフェニルスルフィド、ジフェニルスルフィド、チャントレンなどのスルフィド化合物を添加する方法(特開平07−320779号公報)等が提案されている。
【0006】
また、特開平06−13108号公報には、非水電解質二次電池の電解質に、25℃以上の粘度が300cp以下のホスファゼン誘導体にリチウム塩を溶解した溶液を使用することにより、安全で優れた電池性能が付与されることが記載されている。ここで開示されているホスファゼン誘導体は、(NPR2 n (式中、Rは一価の有機基、nは3〜15)で表される環状ホスファゼン誘導体又はR3 (P=N)m - PR4 (式中、mは1〜20、Rは一価の有機基、O又はCの中から選ばれる。)で表される鎖状型ホスファゼン誘導体である。
【0007】
しかしながら、上記のような従来の電解液にある種の薬剤を添加するという方法では、電解液の分解の抑制という面から見ると、常温時では効果があるものの、高温時ではなおも電解液の分解が起こり、サイクル特性が低下するという欠点があり、また、電解液の難燃化の面から見ると、難燃性はある程度改善されるものの、その反面、電池性能が低下するという欠点がある。また、ホスファゼン誘導体に関しても、更に優れた電池性能を付与することができる化合物の出現が望まれていた。
【0008】
従って、本発明は、幅広い温度範囲において有機溶媒をベースにした電解液の気化や分解を抑制し、短絡時においても安全性が高く、サイクル特性などの電池性能に優れ、高温保存特性に優れた非水電解液電池を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を行った結果、非水電解液電池の電解液にスルホニル基を有する特定のホスファゼン誘導体を含有させれば、幅広い温度範囲、特に高温時においても、電解液の気化や分解を抑制し、かつ優れた電池性能を与えることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、正極と、リチウムイオンを吸蔵又は放出可能な負極と、リチウムイオンを含む非水電解液とからなる非水電解液電池において、前記非水電解液は、下記一般式(1);
(R1 O)3 P=N−SO2 −R2 (1)
{式中、R1 、ハロゲン原子で置換されていてもよい次式の基;CH3-( OCH2 CH2)n - (nは1〜5の整数を示す。)を示し、R2 はハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又はハロゲン原子、アルコキシ基若しくは炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。}で表されるホスファゼン誘導体とリチウム塩を含有する溶液であることを特徴とする非水電解液電池を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の非水電解液電池の電解液は、前記一般式(1)で表されるホスファゼン誘導体とリチウム塩を含有する溶液であり、好ましくは、当該ホスファゼン誘導体と非プロトン性有機溶媒を混合した混合溶媒にリチウム塩を溶解した溶液である。
【0012】
本発明において、前記一般式(1)で表されるホスファゼン誘導体の式中、R1 は、炭素数1〜10の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基、次式の基;CH3-( OCH2 CH2)n - (nは1〜5の整数を示す。)、又は当該基がハロゲン原子で置換されたものである。nの好ましい数は1〜3である。炭素数1〜10の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、n−デシル基、イソデシル基等が挙げられる。置換するハロゲン原子としては、特に制限されないが、塩素原子又はフッ素原子が好ましく、特に好ましくはフッ素原子である。
【0013】
前記一般式(1)で表されるホスファゼン誘導体の式中、R2 は、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又はハロゲン原子、アルコキシ基又は炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基であり、これは具体的には、炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、ハロゲン原子で置換されたフェニル基、アルコキシフェニル基、ハロゲン原子で置換されたアルコキシフェニル基、炭素数1〜4のアルキル基で置換されたフェニル基又はハロゲン原子で置換された炭素数1〜4のアルキル基置換フェニル基を示す。
【0014】
炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、n−デシル基、イソデシル基等が挙げられる。また、置換するハロゲン原子としては、特に制限されないが、塩素原子又はフッ素原子が好ましく、特に好ましくはフッ素原子である。アルコキシフェニル基としては、メトキシフェニル、エトキシフェニル、プロポキシフェニル等が挙げられる。R2 の好ましい基としては、エチル基、メチル基などの炭素数1〜4の低級アルキル基、トリフルオロメチル基、テトラフルオロエチル基、ヘキサフルオロプロピル基などのハロゲン原子で一部又は全部が置換された炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、ハロゲン原子で一部又は全部が置換されたフェニル基、メチル基で置換されたフェニル基、ハロゲン化されたメチル基で置換されたフェニル基であり、特に、メチル基、フェニル基、モノフルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基が好ましい。
【0015】
かかる前記一般式(1)で表されるホスファゼン誘導体の製造方法は、例えば、下記反応式(I)及び反応式(II)による方法が挙げられる。
【0016】
Figure 0004512233
(式中、Xはハロゲン原子を示し、R2 は前記と同義である。)
【0017】
Figure 0004512233
(式中、Mはアルカリ金属を示し、R1 及びR2 は前記に同じ。)
【0018】
すなわち、上記反応式(I)において、一般式(3)で表されるハロゲン化ホスファゼン誘導体は、ハロゲン化燐とスルホンアミド(一般式(2)の化合物)を有機溶媒中で反応させることにより容易に得ることができる。この場合、ハロゲン化燐に対するスルホンアミド(一般式(2)の化合物)のモル比は、通常0.9〜1.3、好ましくは1.0〜1.1であり、反応温度は、通常0〜50℃、好ましくは20〜40℃であり、反応時間は、通常0.5〜4時間、好ましくは1〜2時間である。反応溶媒としては、反応原料が溶解するもので、かつ不活性なものであれば特に制限されないが、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素及び塩化メチレン、クロロホルム等のハロアルカン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類が挙げられ、これらは1種又は2種以上を組合わせて用いることができる。
【0019】
前記反応式(II)において、目的とする前記一般式(1)で表されるホスファゼン誘導体は、ハロゲン化ホスファゼン誘導体(一般式(3)の化合物)とアルコラート類(一般式(4)の化合物)を有機溶媒中で反応させることにより容易に得ることができる。ハロゲン化ホスファゼン誘導体(一般式(3)の化合物)に対するアルコラート類(一般式(4)の化合物)のモル比は、通常2.0〜4.5、好ましくは2.7〜3.3であり、反応温度は、通常−20〜40℃、好ましくは0〜20℃、反応時間は、通常2〜12時間、好ましくは3〜6時間である。反応溶媒としては、ハロゲン化ホスファゼン誘導体とアルコラート類が溶解でき、かつ不活性な溶媒であれば特に限定はなく、例えば、炭化水素、ハロゲン化芳香族炭化水素、ハロアルカン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル等のエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリル等が挙げられ、このうち、1種又は2種以上を組合わせて用いることができる。反応終了後は乾燥、精製等の常法により目的物を得る。
【0020】
本発明の非水電解液電池の電解液には、前記したホスファゼン誘導体の製造方法で、不可逆的に混入する不純物が含有されていても、電池性能を損なわない範囲であれば差し支えなく、例えばリン酸エステル、炭酸エステル等の難燃性化合物と併用することもできる。
【0021】
本発明の非水電解液電池の電解液には、前記ホスファゼン誘導体と非プロトン性有機溶媒を混合した混合溶媒を用いることが好ましい。非プロトン性有機溶媒としては、特に制限されないが、例えば、γ−ブチロラクトン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、スルホラン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルアセテート、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ニトロメタン、蟻酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、スルホラン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、ジエチルエーテル、1,3−プロパンサルトン等のエーテル化合物やエステル化合物が挙げられ、これらは1種又は2種以上で用いられる。
【0022】
前記ホスファゼン誘導体の配合割合は、非水電解液中、体積分率にして、通常0.1〜80v/v%の範囲であり、本発明においてこの配合割合は、目的に応じて任意に設計しうる。即ち、前記一般式(1)で表されるホスファゼン誘導体は、塩基性を示すため、高温下の電池のサイクル中、特にリチウムの挿脱の繰り返し過程で、電池構成材料の正極活物質、負極活物質、特に電解質塩等の分解物から生成した遊離酸、フッ酸等のトラップ剤、安定化剤として使用する場合には、前記ホスファゼン誘導体の配合割合は、非水電解液中、通常0.1〜20v/v%、好ましくは0.1〜10v/v%とすることで非水電解液電池のサイクル特性、高温保存性を向上させることが出来る。
【0023】
また、非水電解液電池に難燃性を付与して、電池の破裂や発火を抑制する場合には、通常1〜80v/v%、好ましくは10〜40v/v%の範囲とすることが好ましい。1v/v%未満では、電池の破裂や発火を抑制するのに十分ではなく、一方、80v/v%を越えると、溶液の粘度が増大し、大電流放電に適するリチウムイオン導電性が得られにくく、かつ氷点以下の低温での使用において電池性能が低下する傾向があり好ましくない。
【0024】
前記混合溶媒に溶解させるリチウム塩としては、混合溶媒に溶解するものであれば特に限定されないが、例えば、LiClO4 、LiCl、LiBr、LiI、LiBF4 、LiPF6 、LiCF3 SO3 、LiAsF6 、LiAlCl4 、LiB(C6 6 4 、CF3 SO3 Li、LiSbF6 、LiB10Cl10、LiSiF6 、LiN(SO2 CF3 2 、LiC(SO2 CF3 2 、低級脂肪酸カルボン酸リチウム、クロロボランリチウム及び4フェニルホウ酸リチウム等が挙げられ、これらのリチウム塩は、1種又は2種以上で用いられる。これらのリチウム塩の好ましい添加量は、上記溶媒1Kgに対して0.1〜3モル、好ましくは0.5〜2モルである。
【0025】
本発明の非水電解液電池の電解液には、放電や充電特性を改良する目的で、以下に示す化合物を添加することができる。例えば、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−グライム、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N−置換オキサゾリジノンとN,N−置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ポリエチレングルコール、ピロール、2−メトキシエタノール、三塩化アルミニウム、導電性ポリマー電極活物質のモノマー、トリエチレンホスホンアミド、トリアルキルホスフィン、モルフォリン、カルボニル基を持つアリール化合物、ヘキサメチルホスホリックトリアミドと4−アルキルモルフォリン、二環性の三級アミン、オイル、ホスホニウム塩及び三級スルホニウム塩等が挙げられる。
【0026】
本発明の非水電解液電池の正極は、正極活物質、導電剤及び結着剤等からなる正極合剤を集電体上に塗布、乾燥することにより作成される。正極活物質としては、特に限定はなく公知のものを用いることができ、例えば、V2 5 、V3 13、V6 13、MnO2 、MoO3等の金属酸化物、LiCoO2 、LiNiO2 、LiMn2 4 、LiMnO2、LiFeO2 、リチウムと、Co、Ni、Mn、Fe、V、Mo、Cu及びZn等の遷移金属から選ばれた2種以上のリチウム複合金属酸化物、これらの複合金属酸化物にハロゲン化合物等の添加剤が添加されたもの、TiS2 、MoS2、FeS2 、NbS2等の金属硫化物、ポリピロール誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリチオフェン誘導体等の導電性ポリマー、黒鉛等が挙げられ、これらの中、リチウム複合金属酸化物を用いることが好ましい。
【0027】
本発明の非水電解液電池の負極は、負極活物質と結着剤とを含有する負極合剤を、集電体上に塗布、乾燥することにより作成される。集電体には、例えば銅箔等の金属箔が用いられる。負極材料としては、公知の負極材料を用いることができ、例えば、金属リチウム、リチウムとアルミニウム、インジウム、鉛、又は亜鉛等との合金、Ag2 O、TiO2 、Fe2 3 、MgO、V2 5 、NiO、CuO、ZnO、Mo2 3 、In2 3 、SnO、SnO2 、SnSiO3 、In2 Sn2 7 等の結晶性の複合酸化物、錫酸化物を主体とした周期律表1族、第2族、第13族、第14族、第15族、遷移金属、ハロゲン元素から選ばれる1種以上を含む非晶質の複合金属酸化物、リチウムをドープ・脱ドープすることが出来る炭素材料等が挙げられる。これらの中、リチウムをドープ・脱ドープすることが出来る炭素材料が好ましく、このような炭素材料としては、例えば、難黒鉛化炭素材料やグラファイト系炭素材料が挙げられる。具体的には、熱分解炭素類、コークス類、黒鉛類、ガラス状炭素繊維、有機高分子材料焼成体、炭素繊維、活性炭等が挙げられる。コークス類としては、例えばピッチコークス、石油コークス、石炭コークス等が挙げられる。なお、ここで有機高分子材料焼成体とは、フェノール樹脂、フラン樹脂等の有機高分子材料を所望の温度で焼成し、炭素化したのである。
【0028】
正極合剤及び負極合剤の電極合剤には、導電剤、結着剤及びフィラーなどを添加することができる。導電剤としては、構成された電池において、化学変化をおこさない電子伝導性材料であれば特に限定されないが、例えば、天然黒鉛、人工黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維や金属粉、金属繊維あるいはポリフェニレン誘導体等の導電性材料が挙げられ、これらの1種又は2種以上の混合物として使用することができる。結着剤としては、特に限定されないが、例えば、デンプン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルクロリド、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、ポリブタジエン、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシドなどの多糖類、熱可塑性樹脂及びゴム弾性を有するポリマーなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上の混合物として用いられる。
【0029】
フィラーとしては、構成された電池において、化学変化をおこさない繊維状材料であれば特に限定はなく、通常、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ポリマー、ガラス、炭素などの繊維が挙げられる。
【0030】
本発明の非水電解液電池において、上記した正極、負極間にセパレーターを介在させることが両極の接触による電流の短絡を防ぐことができるため好ましい。セパレーターとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂製の不織布、薄層フィルム等を挙げることができ、特に厚さ20〜50μm程度のポリプロピレン又はポリエチレンの微孔性フィルムを用いることが、両極の接触を確実に防止することができ、かつ電解液を通すことができる点で好ましい。
【0031】
本発明の非水電解液電池のその他の構成部材としては、通常使用されている公知のものを用いることができる。また、非水電解液二次電池の形態としては、特に制限されず、ボタンタイプ、ペーパータイプ、コインタイプ、角型又はスパイラル構造の筒型電池等の種々の形態が挙げられ、これらは、薄型、大型等の種々の大きさにすることができる。
【0032】
本発明の非水電解液電池は、有機溶媒をベースにした電解液にスルホニル基を有する特定のホスファゼン誘導体を含有し、電解液に対する配合割合を設計することにより、非水電解液電池に優れた性能を付与することが出来る。例えば、非水電解液中、通常0.1〜20v/v%、好ましくは0.1〜10v/v%の少ない添加量では、塩基としての作用でサイクル特性を劣化させることなく電解液の分解を抑制し、特に高温時の保存特性に優れる。更に、非水電解液中、通常1〜80v/v%、好ましくは10〜40v/v%の範囲では、電解液に難燃性を付与して、電池の破裂や発火の危険性を十分減じることができる。
【0033】
【実施例】
次に、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
参考例1(ホスファゼン誘導体Aの調製)
攪拌機を付けた四口フラスコに五塩化リン46.6g(0.224モル)、メタンスルホンアミド21.3g(0.224モル)、脱水トルエン62.9g及びTHF0.2gを仕込み、窒素雰囲気下、室温で2時間反応させ、トリクロロホスファゾスルホニルメタンを得た。反応終了後、溶液をそのまま原料として用いた。攪拌機を付けた四口フラスコに水素化ナトリウム27.8g(0.695モル)及び脱水THF233.5gを仕込み、次いで、ジエチレングリコールモノメチルエーテル136.9g(1.13モル)を滴下し、ジエチレングリコールモノメチルエーテルのアルコラート溶液を調製した。 攪拌機を付けた四口フラスコにトリクロロホスファゾスルホニルメタン51.6g(0.224モル)とトルエン225.6gを仕込み、窒素雰囲気中で、前記で調製したジエチレングリコールモノメチルエーテルのアルコラート溶液(0.695モル)を反応系内の温度を0〜10℃に保持しながら滴下した。滴下終了後、更に、10℃以下で1.5時間攪拌下に反応させた。反応終了後、酢酸で中和した。次いで、濾過し、ろ液をクロロホルムで抽出して得られた有機層を、濃縮、脱水して、オイル状の物質37.7g(収率83.1%)を得た。元素分析、1 H−NMR、31P−NMR、MASS及びIRにより同定したところ、表1に示したスルホニル基を有するホスファゼン誘導体Aであることが確認された。
【0034】
(同定データ)
・元素分析:構造式:C1636NO11PS(分子量481.1 )に対する
計算値;C;39.94%、H;7.54% 、N;2.91% 、S;6.66%
実測値;C;39.71%、H;8.01% 、N;2.89% 、S;6.86%
1 H−NMR(ppm,CDCl3 )δ;
3.01(d,3H)、3.40(m,9H)、3.53(m,6H)、3.65(m,6H)、3.74(m,6H)、
4.37( m,6H)
31P−NMR(ppm,CDCl3 )δ;
−1.81(m)
・IR;ν(KBr )cm-1
2882、1455、1328、1220、1143、1111
・MASS(FAB )m/z ;482(M +H) +
【0035】
参考例2(ホスファゼン誘導体Bの調製)
攪拌機を付けた四口フラスコに五塩化リン31.4g(0.151モル)、ベンゼンスルホンアミド23.6g(0.150モル)、脱水トルエン74.3g及びTHF1.0gを仕込み、室温で2.5時間攪拌下に反応させ、トリクロロホスファゾスルホニルベンゼン42.5gを得た(収率96.9%)。攪拌機を付けた四口フラスコに水素化ナトリウム17.9g(0.449モル)及び脱水THF153.3gを仕込み、次いで、エチレングリコールモノメチルエーテル58.2g(0.764モル)を滴下し、エチレングリコールモノメチルエーテルのアルコラート溶液を調製した。攪拌機を付けた四口フラスコに前記で調製したトリクロロホスファゾスルホニルベンゼン42.69g(0.146モル)とトルエン145.1gを仕込み、窒素雰囲気中で、前記で調製したエチレングリコールモノメチルエーテルのアルコラート溶液(0.449モル)を反応系内の温度を0〜10℃に保持しながら滴下した。滴下終了後、更に、室温で3.5時間攪拌下に反応させた。反応終了後、塩酸で中和した。次いで、濾過し、ろ液をジクロロメタンで抽出して得られた有機層を濃縮、脱水して、オイル状の物質47.1g(収率78.4%)を得た。元素分析、1 H−NMR、31P−NMR、MASS及びIRにより同定したところ、表1に示したスルホニル基を有するホスファゼン誘導体Bであることが確認された。
【0036】
(同定データ)
・元素分析:構造式C1526NO8 PS(分子量411.3 )に対する
計算値;C;43.79%、H;6.37% 、N;3.40% 、S;7.70%
実測値;C;43.71%、H;6.59% 、N;3.54% 、S;8.02%
1 H−NMR(ppm ,CDCl3 )δ;
3.35(s,9H)、3.58(m,6H)、4.32(m,6H)、7.47(m,3H)、7.96(m,2H)
31P−NMR(ppm ,CDCl3 )δ;
−2.01(m)
・IR;ν(KBr )cm-1ν;
2890、2824、1447、1370、1203、1155、1133
・MASS(FAB )m/z ;412(M +H) +
【0037】
実施例3(ホスファゼン誘導体Cの調製)
攪拌機を付けた四口フラスコに五塩化リン46.2g(0.222モル)、4−フルオロベンゼンスルホンアミド39.1g(0.222モル)、テトラヒドロフラン8.0g及びトルエン250mlを仕込み、窒素雰囲気中で2時間、室温で反応させた。反応終了後、溶媒を留去し、N−4−フルオロベンゼンスルホニル−P,P,P−トリクロロホスファゼン66.1g(収率95.6%)を得た。次いで、攪拌機を付けた四つ口フラスコに上記で得たN−4−フルオロベンゼンスルホニル−P,P,P−トリクロロホスファゼン60.0g(0.193モル)とテトラヒドロフラン250mLを仕込み、参考例2と同様にして得られたエチレングリコールモノメチルエーテルのアルコラート溶液(0.637モル)を、窒素雰囲気中で、0〜5℃で一昼夜攪拌下に反応させた。反応終了後、濃硫酸で中和した。次いで、水洗後、クロロホルムで抽出して得られた有機層を濃縮、脱水して、オイル状の物質75.2g(収率78.9%)を得た。元素分析、1 H−NMR、31P−NMR、MASS及びIRにより同定したところ、表1に示したスルホニル基を有するホスファゼン誘導体Cであることが確認された。
【0038】
(同定データ)
元素分析:構造式C1525FNO8 PS(分子量429.4 )に対する
計算値;C;41.95%、H;5.87% 、N;3.26% 、S;7.47%
実測値;C;42.34%、H;6.16% 、N;3.36% 、S;7.79%
1 H−NMR(ppm ,CDCl3 )δ;
3.24(s,9H)、3.45(m,6H)、4.17(m,6H)、6.99(m,2H)、7.86ppm(m,2H)
31P−NMR(ppm ,CDCl3 )δ;
−2.2(m)
・IR;ν(KBr )cm-1
2932 、2890、1591、1494、1371、1280、1218、1150、1039、839、
687
MASS(APC l)m/z :430(M +H) +
【0039】
参考例4(ホスファゼン誘導体Cの調製)
攪拌機を付けた四口フラスコに五塩化リン10.6g(0.051モル)、2,4−ジフルオロベンゼンスルホンアミド10.0g(0.052モル)、テトラヒドロフラン1.4g及びトルエン100mlを仕込み、窒素雰囲気中で2時間、室温で反応させた。反応終了後、溶媒を留去し、N−2,4−ジフルオロベンゼンスルホニル−P,P,P−トリクロロホスファゼン16.1g(収率96.2%)を得た。次いで、攪拌機を付けた四つ口フラスコに上記で得たN−2,4−ジフルオロベンゼンスルホニル−P,P,P−トリクロロホスファゼン16.1g(0.0490モル)とテトラヒドロフラン100mLを仕込み、参考例2と同様にして得られたエチレングリコールモノメチルエーテルのアルコラート溶液(0.160モル)を、窒素雰囲気中で、0〜5℃で一昼夜攪拌下に反応させた。反応終了後、濃硫酸で中和した。次いで、水洗後、クロロホルムで抽出して得られた有機層を濃縮、脱水して、オイル状の物質17.0g(収率77.7%)を得た。元素分析、1 H−NMR、31P−NMR、MASS及びIRにより同定したところ、表1に示したスルホニル基を有するホスファゼン誘導体Dであることが確認された。
【0040】
(同定データ)
・元素分析:構造式C15242 NO8 PS(分子量447.4 )に対する
計算値;C;40.27%、H;5.41% 、N;3.13% 、S;7.17%
実測値;C;40.24%、H;5.48% 、N;3.16% 、S;7.54%
1 H−NMR(ppm ,CDCl3 )δ;
3.27(s,9H)、3.51(m,6H)、4.25(m,6H)、6.83(m,2H)、7.89(m,1H)
31P−NMR(ppm ,CDCl3 )δ;
−2.58(m)
・IR;ν(KBr )cm-1
2893 、2825、1603、1485、1424、1372、1290、1203、1159、
1040 、970 、850 、687 、620
MASS(APC l)m/z :448(M +H) +
【0041】
【表1】
Figure 0004512233
【0042】
実施例1〜5及び比較例1
炭酸リチウム0.5モルと炭酸コバルト1モルとを混合し、空気中900℃で5時間焼成して正極活物質となるLiCoO2 を得た。このLiCoO2 を正極活物質として用い、LiCoO2 100重量部に対して導電助剤としてアセチレンブラックを10重量部、結着剤としてテフロンバインダーを重量10部添加して正極材を調製した。負極材として金属リチウムを用い、セパレーターとしてポリプロピレンの多孔質フィルムを用い、電解液として市販の非プロトン性有機溶媒(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合物(EC+DEC);富山薬品社製)に、前記で参考例で調製したホスファゼン誘導体A〜Dを表2に示した配合割合で添加したものを用いてコイン型非水電解液二次電池を作成した。配合割合は非水電解液中のホスファゼン誘導体の容量割合を示す。なお、ホスファゼン誘導体を電解液に含まないコイン型非水電解液二次電池を作成して比較例1とした。上記で作成した電池について、下記に示す初期の放電容量、20サイクル時の放電容量、放電容量維持率及び外部短絡時の状態を評価した。その結果を表2に示した。
【0043】
(放電容量及び放電容量維持率)
上限電圧4.3V、下限電圧2.7V、放電電流0.2mA、充電電流0.2mAの条件で充放電を繰り返すサイクル試験を行い、1サイクル目の放電容量(初期の放電容量)(mAh)及び20サイクル時点での放電容量(mAh)を測定する。また、放電容量維持率は次式で求める。
放電容量維持率(%) =20サイクル時の放電容量×100/(初期放電容量)
【0044】
(外部短絡時の状態)
5サイクルの充放電を行い、3.0Vまで充電した後、正負両極をリード線で結線し外部短絡させる。この時の5本の電池について、電池外観の変化の有無をテェックする。
【0045】
【表2】
Figure 0004512233
【0046】
表2より明らかなように、電解液溶媒として非プロトン性有機溶媒を用いた 従来の二次電池は、短絡時に変形を生じた(比較例1)のに対して、スルホニ ル基を有する特定のホスファゼン誘導体を含有する混合溶媒を用いた実施例1 〜5の二次電池は、短絡時にも液漏れや破裂、発火が無く、且つ電池性能も従 来の電池と同等以上の結果を示した。
【0047】
実施例6〜9
<円筒型非水電解液電池の作成>
・負極
出発原料に石油ピッチを用い、不活性ガス気流中1000℃で焼成し、ガラス状炭素に近い性質の難黒鉛化炭素材料を得た。この難黒鉛化炭素材料についてX線回折測定を行ったところ、(002)面の西間隔は3.76オンスグストロームであり、また、真比重は1.58g/cm2 であった。次に、得られた難黒鉛化炭素材料を粉砕し、平均粒子径10μmの炭素材料粉末とした。この炭素材料粉末90重量部と、結着剤10重量部とを混合して負極合剤を調製した。ここで、結着剤にはポリフッ化ビニリデンを用いた。最後に、負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンに分散させスラリー状とした。そして、このスラリーを負極集電体である厚さ10μmの帯状の銅箔の両面に均一に塗布、乾燥して負極活物質層を形成した後、ロールプレス機で圧縮成形し、負極を作成した。
【0048】
・正極
炭酸リチウム0.5モルと炭酸コバルト1モルとを混合し、空気中900℃で5時間焼成して正極活物質となるLiCoO2 を得た。次に得られたLiCoO2 91重量部、導電剤6重量部、結着剤10重量部とを混合して正極合剤を調製した。ここで、導電剤には黒鉛を用い、結着剤にはビニリデンフルオライドとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体を用いた。最後に、正極合剤を、N−メチル−2−ピロリドンに分散させてスラリーとし、そして、このスラリーを正極集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥して正極活物質層を形成した後、ロールプレス機で圧縮成形し、正極を作成した。
【0049】
以上のようにして得られた正極と負極とを用いて、図1に示す非水電解液電池を作製した。すなわち、正極2と負極3とを厚さ25μm の微孔性ポリプロピレンからなるセパレータ4を介して密着させ、渦巻型に多数回巻回することにより巻層体を作成した。次に、その内側にニッケルめっきを施した鉄製の電池缶5の底部に絶縁板6を挿入し、さらに前記で得られた巻層体を収納した。そして、負極3の集電をとるために、ニッケル製の負極リード7の一端を負極3に圧着させ、もう一方の端を電池缶5に溶接した。また、正極2の集電をとるためにアルミニウム製の正極リード8の一端を正極2に取り付け、もう一方の端を電流遮断用薄板9を介して電池蓋10と電気的に接続した。この電流遮断用薄板9は、電池内圧に応じて電流を遮断するものである。
【0050】
次に、この電池缶5の中に非水電解液を注入した。非水電解液の溶媒として、炭酸エチレン50体積%、炭酸ジエチル50体積%からなる混合液を100体積%として、前記で調製した各種のホスファゼン誘導体試料を表3に示した配合割合で添加したものを使用した。ホスファゼン誘導体の配合量は、電解液中の容積割合(%)で示す。最後に、アスファルトを塗布した絶縁封口ガスケット11を介して電池缶5をかしめることにより電池蓋10を固定して、直径が約18mm、高さ約65mmの円筒型の非水電解液電池1を調製した。また、非水電解液電池1は、負極リード7及び正極リード8に接続するセンターピン12が設けられていると共に、電池内部の圧力が所定値よりも高くなったときに内部の気体を抜くための安全弁装置13及び電池内部の温度上昇を防止するためのPTC素子14がそれぞれ設けられている。
【0051】
【表3】
Figure 0004512233
【0052】
比較例2
ホスファゼン誘導体を電解液に添加しない以外は、実施例6〜9と同様な操 作で非水電解液電池を作成した。
【0053】
比較例3
ホスファゼン誘導体の代わりに遊離酸の中和剤として塩基性であるピリジン1体積%を電解液に添加した以外は、実施例6〜9と同様な操作で非水電解液電池を作成した。
【0054】
比較例4
ホスファゼン誘導体の代わりにトリブチルホスフェート3重量%を電解液に添加した以外は、実施例6〜9と同様な操作で非水電解液電池を作成した。
【0055】
実施例6〜9及び比較例2〜4で調製した非水電解液電池について、初期容量、負荷特性、100サイクル後の放電容量維持率、高温保存特性(自己放電特性)の評価を行い、その結果を表4に示した。なお、各評価方法は、以下のとおりである。
【0056】
(初期容量)
前記で調製した各非水電解液電池に対して、23℃の条件下で、1A の定電流定電圧充電を上限4.2V まで3時間行い、次に1000mA の定電流放電を終止電圧2.5V までおこなって初期容量を求めた。
【0057】
(負荷特性)
前記初期容量と同一の充電条件で充放電を1サイクル行い、同様な充電を行った後、2000mA の定電流放電を終止電圧2.5V まで行い、700mA の放電容量を100とした場合の2000mA の放電容量維持率(%)を求めた。
【0058】
(放電容量維持率)
前記した初期容量と同じ充電条件で放充電を100サイクル行い、初期放電容量に対する100サイクル目の放電容量の割合を求めた。
【0059】
(高温保存特性)
前記した初期容量と同一の充電条件で充電を行った後、60℃の雰囲気中に放置し、10日後に電池を取り出した。次いで、電池を取り出してから5時間後に23℃中で700mA で放電を行った。そして、60℃の雰囲気下放置する前の放電容量に対する保存後の放電容量維持率を求め、その差を自己放電率として求めた。なお、この値が小さい方が高温保存特性が優れていることを示す。
【0060】
【表4】
Figure 0004512233
【0061】
表4の結果から明らかなように、非水電解液中に本発明のホスファゼン誘導体を添加した電池は、電池の初期容量が大きく、しかも700mA の放電容量に対する2000mA の放電容量維持率も高く、特に高温保存特性が非常に優れた結果となった。また、サイクル特性も問題無いレベルであった。
【0062】
実施例10
表5に示すホスファゼン誘導体E〜Pを参考例1〜4に準拠して調製し、実施例6〜9と同様に非水電解液電池を調製し、初期容量、負荷特性、100サイクル後の放電容量維持率及び高温保存特性(自己放電特性)の評価を行った。その結果を表6に示した。なお、ホスファゼン誘導体Eの場合、前記反応式(I)で使用されるスルホンアミドはメタンスルホンアミドであり、前記反応式(II) で使用されるアルコラート類は、メチルアルコールのナトリウム塩であり、ホスファゼン誘導体Fの場合、前記反応式(I)で使用されるスルホンアミドはメタンスルホンアミドであり、前記反応式(II) で使用されるアルコラート類は、トリフロロエチルアルコールのナトリウム塩であり、ホスファゼン誘導体Gの場合、前記反応式(I)で使用されるスルホンアミドはメタンスルホンアミドであり、前記反応式(II) で使用されるアルコラート類は、エチレングリコールモノフルオロメチルエーテルのナトリウム塩であり、ホスファゼン誘導体Hの場合、前記反応式(I)で使用されるスルホンアミドはメタンスルホンアミドであり、前記反応式(II) で使用されるアルコラート類は、エチレングリコールモノフルオロエチルエーテルのナトリウム塩であり、ホスファゼン誘導体Iの場合、前記反応式(I)で使用されるスルホンアミドはフルオロメタンスルホンアミドであり、前記反応式(II) で使用されるアルコラート類は、エチレングリコールモノフルオロエチルエーテルのナトリウム塩である。
【0063】
また、ホスファゼン誘導体Jの場合、前記反応式(I)で使用されるスルホンアミドはベンゼンスルホンアミドであり、前記反応式(II) で使用されるアルコラート類は、メチルアルコールのナトリウム塩であり、ホスファゼン誘導体Kの場合、前記反応式(I)で使用されるスルホンアミドはベンゼンスルホンアミドであり、前記反応式(II) で使用されるアルコラート類は、トリフロロエチルアルコールのナトリウム塩であり、ホスファゼン誘導体Lの場合、前記反応式(I)で使用されるスルホンアミドはベンゼンスルホンアミドであり、前記反応式(II) で使用されるアルコラート類は、エチレングリコールモノフルオロエチルエーテルのナトリウム塩である。
【0064】
更にまた、ホスファゼン誘導体Mの場合、前記反応式(I ) で使用されるスルホンアミドはパラフルオロベンゼンスルホンアミドであり、前記反応式(II) で使用されるアルコラート類は、トリフロロエチルアルコールのナトリウム塩であり、ホスファゼン誘導体Nの場合、前記反応式(I ) で使用されるスルホンアミドは2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミドであり、前記反応式(II) で使用されるアルコラート類は、エチレングリコールモノメチルエーテルのナトリウム塩であり、ホスファゼン誘導体Oの場合、前記反応式(I ) で使用されるスルホンアミドは2,6-ジフルオロベンゼンスルホンアミドであり、前記反応式(II) で使用されるアルコラート類は、エチレングリコールモノメチルエーテルのナトリウム塩であり、ホスファゼン誘導体Pの場合、前記反応式(I ) で使用されるスルホンアミドは3,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミドであり、前記反応式(II) で使用されるアルコラート類は、エチレングリコールモノメチルエーテルである。
【0065】
【表5】
Figure 0004512233
【0066】
【表6】
Figure 0004512233
【0067】
実施例22〜24
非水電解液の溶媒として、炭酸エチレン50体積%、炭酸ジエチル50体積%からなる混合液を100体積%として、ホスファゼン誘導体試料B、G、Pを1.0体積%となる混合溶媒を用い、負極の構成材料として、実施例6〜9で用いた難黒鉛化炭素材料に代えて、グラファイト(ロンザ社製、商品名 KS-75-002 面の面間隔=3.358オングストローム)を使用し、他は実施例6〜9と同様な操作で円筒型非水電解液電池を作成した。
【0068】
比較例5
電解液にホスファゼン試料を添加しない以外は、実施例22〜24と同様な操作で円筒型非水電解液電池を作成した。
【0069】
実施例22〜24及び比較例5で調製した円筒型非水電解液電池を実施例6〜9と同様に初期容量、負荷特性、100サイクル後の放電容量維持率及び高温保存特性(自己放電特性)の評価を行い、その結果を表7に示した。
【0070】
【表7】
Figure 0004512233
【0071】
表7の結果より、負極材料としてグラファイトを使用した場合でも、非水電解液中に本発明のホスファゼン誘導体を添加してものは、添加しないものに比べて、電池の初期容量が大きく、しかも700mAの放電容量に対する2000mAの放電容量維持率も高く、非常に優れた結果となった。また、サイクル特性や高温保存性も良好なものとなった。
【0072】
【発明の効果】
本発明の非水電解液電池によれば、幅広い温度範囲において、有機溶媒をベースとする電解液の気化、分解を抑制し、特に高温保存特性に優れると共に、発火、引火の危険性が少なく、かつ優れた電池性能を有するという多大な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の非水電解液電池の一構成例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 非水電解液電池
2 正極
3 負極
4 セパレータ
5 電池缶
6 絶縁板
7 負極リード
8 正極リード
9 電流遮断用薄板負極集電体
10 電池蓋
11 絶縁封口ガスケット
12 センターピン
13 安全弁装置
14 PTC素子

Claims (5)

  1. 正極と、リチウムイオンを吸蔵又は放出可能な負極と、リチウムイオンを含む非水電解液とからなる非水電解液電池において、前記非水電解液は、下記一般式(1);
    (R1 O)3 P=N−SO2 −R2 (1)
    {式中、R1 、ハロゲン原子で置換されていてもよい次式の基;CH3-( OCH2 CH2)n - (nは1〜5の整数を示す。)を示し、R2 はハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又はハロゲン原子、アルコキシ基若しくは炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。}で表されるホスファゼン誘導体とリチウム塩を含有する溶液であることを特徴とする非水電解液電池。
  2. 前記非水電解液は、前記ホスファゼン誘導体と非プロトン性有機溶媒を混合した混合溶媒にリチウム塩を溶解した溶液であることを特徴とする請求項1記載の非水電解液電池。
  3. 前記ホスファゼン誘導体の含有量が、非水電解液中、体積分率で0.1〜80v/v%の範囲であることを特徴とする請求項1又は2記載の非水電解液電池。
  4. 正極は、リチウムと遷移金属との複合金属酸化物を活物質とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解液電池。
  5. リチウムイオンを吸蔵又は放出可能な負極は、炭素材料であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解液電池。
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