JP4510938B2 - 哺乳動物細胞により産生されるタンパク質のシアル酸付加を調節する方法および培地 - Google Patents

哺乳動物細胞により産生されるタンパク質のシアル酸付加を調節する方法および培地 Download PDF

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    • C12P21/00Preparation of peptides or proteins
    • C12P21/005Glycopeptides, glycoproteins

Description

発明の分野
本発明は、培養細胞により産生されるタンパク質のシアル酸付加を調節する方法および培地に関する。
背景
タンパク質は、多様な診断適用、薬理学的適用、農業適用、栄養学的適用、および研究適用に有用である。タンパク質、特に療法タンパク質を産生するコストが高いことを考慮すると、タンパク質の産生効率または機能および安定性のわずかな増加であっても、有益でありうる。タンパク質の機能および安定性、そしてしたがって有用性は、糖タンパク質を形成する、タンパク質への糖残基の翻訳後付加により影響を受ける可能性もある。例えば、糖タンパク質に付着した多糖への末端シアル酸残基の付加は、一般的に、血流中のタンパク質の存続期間を増加させ、そして特定の場合、いくつかの糖タンパク質の溶解度、熱安定性、プロテアーゼ攻撃に対する耐性、抗原性、および比活性にもまた影響を及ぼしうる。例えば、GuおよびWang(1998), Biotechnol. and Bioeng. 58(6):642−48;Morellら(1968), J. Biol. Chem. 243(1):155−59を参照されたい。したがって、糖タンパク質、特に、薬理学的適用に使用しようとする糖タンパク質のシアル酸含量を増加させることが望ましい。
概要
本発明は、タンパク質、所望により、分泌される組換えタンパク質を産生し、そして該タンパク質のシアル酸含量を調節するか、または所望により、シアル酸含量を増加させるように、哺乳動物細胞を培養する培地および方法を提供する。本発明は、哺乳動物細胞によるタンパク質の産生および/またはシアル酸付加を増加させる方法であって、ガラクトースおよびフルクトースを含んでなる培地中で細胞を培養することを含んでなる、前記方法を提供する。培地は血清不含であることも可能であり、そしてまた、N−アセチルマンノサミンおよび/またはマンノースを含んでなることも可能である。ガラクトース、マンノース、およびフルクトースの濃度は、各々、約0.1mM〜約40mM、約0.5mM〜約20mM、約1mM〜約10mM、または約1mM〜約5mMであることも可能である。N−アセチルマンノサミンの濃度は少なくとも約0.8mM、所望により、少なくとも約2mM、3mM、4mM、5mM、10mM、または20mMであることも可能である。タンパク質は、分泌される組換えタンパク質であることも可能であり、そして哺乳動物細胞はCHO細胞であることも可能である。細胞を約29℃〜約35℃の温度で培養することも可能である。
別の態様において、本発明は、ガラクトースおよびフルクトース、並びに所望により、N−アセチルマンノサミンおよび/またはマンノースを含んでなる、哺乳動物細胞を培養するための培地、所望により血清不含培地を提供する。ガラクトース、マンノース、およびフルクトースは、各々、約0.1mM〜約40mM、各々、約0.5mM〜約20mM、各々、約1mM〜約10mM、または各々、約1mM〜約5mMの濃度であることも可能である。N−アセチルマンノサミンは、少なくとも約0.8mM、1mM、5mM、10mM、15mM、または20mMの濃度であることも可能である。
1つの態様において、本発明は、タンパク質のシアル酸含量を調節する方法であって、N−アセチルマンノサミンおよびガラクトースを含んでなる培地中で、タンパク質を産生する哺乳動物細胞を培養することを含んでなる、前記方法を含む。培地はフルクトースおよびマンノースをさらに含んでなることも可能である。所望により、フルクトースおよびマンノースは、各々、約1.5mM〜約4.5mMの濃度で存在することも可能である。フルクトースおよびマンノースは、同じ濃度であることも、または異なる濃度であることも可能である。細胞を約29℃〜約37℃の温度、所望により約29℃〜約36℃の温度、または約30℃〜約35℃の温度で培養することも可能である。培地中のN−アセチルマンノサミンの濃度は少なくとも約0.8mMであることも可能であり、そして培地中のガラクトースの濃度は約1.5mM〜約4.5mMであることも可能である。タンパク質が、分泌タンパク質および/または組換えタンパク質であることも可能であり、そしてCHO細胞で産生されることも可能である。
さらなる態様において、本発明は、ガラクトースおよびN−アセチルマンノサミン、並びに所望により、フルクトースおよびマンノースもまた培地と組み合わされる、哺乳動物細胞を培養する培地との組み合わせを含んでなる。フルクトースは約1.5mM〜約4.5mMの濃度であることも可能であり、そしてマンノースは約1.5mM〜約4.5mMの濃度であることも可能である。N−アセチルマンノサミンは少なくとも約0.8mMの濃度であることも可能であり、そしてガラクトースは約1.5mM〜約4.5mMの濃度であることも可能である。哺乳動物細胞はCHO細胞であることも可能であり、そして培地は血清不含であることも可能である。
さらに、本発明は、タンパク質を発現する哺乳動物細胞を培養することによってタンパク質を産生する改善法であって、N−アセチルマンノサミンを含んでなる培地中、約29℃〜約35℃の温度で、哺乳動物細胞を培養することを含んでなる、前記改善法を提供する。培地はまた、ガラクトース、並びに所望により、フルクトースおよびマンノースもまた含んでなることも可能である。ガラクトース、マンノースおよびフルクトースの濃度は、各々、約1.5mM〜約4.5mMであることも可能である。ガラクトース、マンノースおよびフルクトースの濃度は、互いに同じであることも、または異なることも可能である。N−アセチルマンノサミンの濃度は少なくとも約0.8mMであることも可能であり、そして培地は血清不含であることも可能である。哺乳動物細胞はCHO細胞であることも可能であり、そしてタンパク質は、分泌される組換えタンパク質であることも可能である。
最後に、本発明は、組換えタンパク質のシアル酸含量を調節する方法であって、フルクトース、ガラクトース、マンノース、およびN−アセチルマンノサミンを含んでなる培地中、約29℃〜約35℃の温度で、組換えタンパク質を発現する哺乳動物細胞を培養することを含んでなり、培地中のフルクトース、ガラクトース、およびマンノースの濃度が、各々、約1.5mM〜約4.5mMであり、そして培地中のN−アセチルマンノサミンの濃度が少なくとも約0.8mMである、前記方法を提供する。フルクトース、マンノースおよびガラクトースの濃度は、互いに同じであることも、または異なることも可能である。
詳細な説明
定義
抗体は、本明細書において、各々、少なくとも1つ、または所望により、少なくとも2つの可変抗体免疫グロブリンドメインを含んでなる、タンパク質またはタンパク質複合体である。抗体は、一本鎖抗体、二量体抗体、または限定されるわけではないが、ヘテロ二量体抗体および四量体抗体を含む、いくつかのより高次のタンパク質複合体であることも可能である。
定常抗体免疫グロブリンドメインは、ヒトまたは動物起源のC、Cl、C2、C3、またはC4ドメインと同一かまたは実質的に類似の免疫グロブリンドメインである。例えば、HasemannおよびCapra, Immunoglobulins:Structure and Function, William E. Paul監修, Fundamental Immunology, 第2版中, 209, 210−218(1989)を参照されたい。抗体免疫グロブリンドメインは、少なくとも長さ10アミノ酸、所望により、少なくとも長さ15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、または90アミノ酸である。
抗体のFc部分には、ヒトまたは動物免疫グロブリンドメインC2およびC3、あるいはこれらに実質的に類似の免疫グロブリンドメインが含まれる。考察に関しては、HasemannおよびCapra、上記、212−213を参照されたい。
糖タンパク質は、本明細書において、特に1以上の糖残基の付加を含む、1以上の炭水化物の付加によって修飾されているタンパク質である。
オリゴ糖または多糖は、共有化学結合によって連結される2以上の糖残基の鎖である。
シアル酸付加は、本明細書において、糖タンパク質であってもよいタンパク質へのシアル酸残基の付加である。
用語、シアル酸は、本明細書において、カルボキシル基を含む、9以上の炭素原子を含有する糖のファミリーを含む。シアル酸のすべての既知の天然型を含む一般的な構造を以下に示す。
Figure 0004510938
単一分子上の多様な位のR1基は、互いに同一であることも、または異なることも可能である。R1は、水素またはアセチル基、ラクチル基、メチル基、硫酸基、リン酸基、無水基、シアル酸基、フコース基、グルコース基、またはガラクトース基であることも可能である。R2は、N−アセチル基、N−グリコリル基、アミノ基、ヒドロキシル基、N−グリコリル−O−アセチル基、またはN−グリコリル−O−メチル基であることも可能である。R3は、糖タンパク質の背景において、オリゴ糖中の先行する糖残基を示し、これにシアル酸が付着する。R3は、ガラクトース(その3位、4位、または5位で連結される)、N−アセチル−ガラクトース(その6位で連結される)、N−アセチル−グルコース(その4位または6位で連結される)、シアル酸(その8位または9位で連結される)、または5−N−グリコリル−ノイラミン酸であることも可能である。Essentials of Glycobiology, 第15章, Varkiら監修, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク(1999)。40を越えるシアル酸の型が天然に発見されている。Essentials of Glycobiology, 第15章, Varkiら監修, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク(1999)。シアル酸の一般的な型は、N−アセチルノイラミン酸(NANA)であり、ここでR1はすべての位で水素であり、そしてR2はN−アセチル基である。
実質的に類似のタンパク質は、アミノ酸配列において、互いに少なくとも80%、所望により、少なくとも90%同一であり、そして改変されていないタンパク質の生物学的活性を、維持するかまたは望ましい方式で改変する。2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の同一性パーセントを、視覚的検査および数学的計算によって決定することも可能であり、またはより好ましくは、コンピュータプログラムを用いて配列情報を比較することによって、比較を行う。典型的なコンピュータプログラムは、遺伝学コンピュータグループ(GCG;ウィスコンシン州マディソン)、ウィスコンシンパッケージ、バージョン10.0プログラム、「GAP」(Devereuxら(1984), Nucl. Acids Res. 12:387)である。「GAP」プログラムの好ましいデフォルトパラメーターには:(1)ヌクレオチドに関する単一(unary)比較マトリックス(同一に対し1および非同一に対し0の値を含む)のGCG実行、並びにSchwartzおよびDayhoff監修, Atlas of Polypeptide Sequence and Structure, National Biomedical Research Foundation, pp.353−358(1979)に記載されるような、GribskovおよびBurgess(1986), Nucl. Acids Res. 14:6745の加重アミノ酸比較マトリックス;または他の匹敵する比較マトリックス;(2)アミノ酸配列の各ギャップに対する30のペナルティおよび各ギャップ中の各記号に対しさらに1のペナルティ、またはヌクレオチド配列の各ギャップに対する50のペナルティおよび各ギャップ中の各記号に対しさらに3のペナルティ;(3)末端ギャップに対するペナルティなし;および(4)長いギャップに対する最大ペナルティなし、が含まれる。比較のためGAPによって並列される2つのタンパク質の領域は、少なくとも長さ10アミノ酸、所望により、少なくとも長さ20、40、60、80、100、150、200、250、または300アミノ酸である。配列比較の当業者に使用される他のプログラムを使用することもまた可能である。当業者は、選択するパラメーターが同一性パーセントに影響を及ぼす可能性もあり、そして配列が類似でない場合に、より影響を及ぼすであろうことを認識するであろう。
可変抗体免疫グロブリンドメインは、ヒトまたは動物起源のVまたはVドメインと同一かまたは実質的に類似の免疫グロブリンドメインである。可変抗体免疫グロブリンドメインは、少なくとも長さ10アミノ酸、所望により、少なくとも長さ15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、または90アミノ酸である。
説明
タンパク質への炭水化物の付加(本明細書において、タンパク質のグリコシル化と称する)およびそれに続くこれらの炭水化物のプロセシングは、タンパク質のフォールディング、安定性、および機能特性に影響を及ぼしうる。Lodishら, Molecular Cell Biology, 第17章, W.H. Freeman, ニューヨーク(2000)。例えば、赤血球凝集素前駆体タンパク質は、N連結グリコシル化(以下に記載)に必要なオリゴ糖前駆体の産生に干渉する抗生物質であるツニカマイシンの存在下で、適切にフォールディングできない。同上。さらに、フィブロネクチンの非グリコシル化型は、通常、線維芽細胞から分泌されるが、これは、グリコシル化フィブロネクチンよりも迅速に分解される。Lodishら、上記。
分泌されるタンパク質および細胞表面タンパク質の大部分は、少なくとも1つの炭水化物鎖を含有する;さらに、多くの細胞質タンパク質および核タンパク質もまた、グリコシル化されている。Lodishら、上記;Essentials of Glycobiology, 第13章, Varkiら監修, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク(1999)。タンパク質をグリコシル化することが可能な酵素セットが、小胞体およびゴルジ体内に位置し、分泌タンパク質および細胞表面タンパク質は、その経路上で、これらの細胞内小器官を通過して細胞膜へ、そしてさらにその先に向かう。類似の機能を遂行可能な核酵素および/または細胞質酵素の同定はまだ不明確なままである。Essentials of Glycobiology, 第13章, Varkiら監修, Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク(1999)。
タンパク質グリコシル化は複雑でそして変化するプロセスであるが、タンパク質の炭水化物修飾は、大まかに2つの種類、O連結グリコシル化およびN連結グリコシル化に分けられる。これらはどちらも、タンパク質内の特定のアミノ酸にオリゴ糖を付加することを伴う。O連結多糖は、ヒドロキシル基、通常、セリン残基またはスレオニン残基いずれかのヒドロキシル基に連結される。O−グリカンは、すべてのセリン残基およびスレオニン残基に付加されるわけではなく、そしてどのセリンおよびスレオニンがグリコシル化されるかを決定する基準は、完全には解明されていない。O−グリカンは、通常、1つまたは2つの分枝を含んでなり、そして1〜4の異なる種類の糖残基を含んでなり、これらは1つずつ付加される。しばしば、末端残基はシアル酸である。対照的に、N連結多糖は、アスパラギンのアミド窒素に付着する。2つのトリペプチド配列、アスパラギン−X−セリンまたはアスパラギン−X−スレオニン(式中、Xはプロリン以外のアミノ酸いずれかである)いずれか1つの一部であるアスパラギンのみが、グリコシル化の標的である。N連結グリコシル化の最初の工程は、3つのグルコース残基、9つのマンノース残基、および2つのN−アセチルグルコサミン残基からなる、複雑な、あらかじめ形成された、枝分かれしたオリゴ糖の付加を伴う。このオリゴ糖は、複雑で、そして変化する一連の工程によってさらにプロセシングされ、多様な糖残基の除去および付加を生じる。最終産物において、多糖の各分枝上の末端残基は、常にではないが、シアル酸であることも可能である。Lodishら、上記。N−グリカンは、1〜5の分枝を有することも可能である。Varkiら、上記。
先の研究によって、図1に例示するように、タンパク質へのシアル酸付加につながる生合成経路ネットが解明されている。GuおよびWang、上記;CorfieldおよびSchauer、上記。非常に多様な分子が、シアル酸合成および糖タンパク質へのシアル酸付着の多様な段階に関与し、関与する多くの分子のいくつかのみを挙げると、これらには、グルコース、マンノース、フルクトース、およびガラクトースなどの糖、ATPおよびCTPなどのヌクレオチド、並びに関与する多くの生合成工程を触媒するのに必要な多くの酵素が含まれる。図1はまた、この経路ネット中、負のフィードバック阻害が起こることが知られる2つの点(矢じりの付いた点線)も例示する。さらに、GuおよびWang(上記)は、培地にN−アセチルマンノサミンを添加すると、培養細胞に産生されるタンパク質のシアル酸付加の増加が生じることを報告した。しかし、N−アセチルマンノサミンは高価であるため、その商業的有用性は、現在、限定されており、そしてしたがって、同様の効果またはより優れた効果を持つ培養条件または他の培地添加剤が必要とされる。
したがって、本発明は、細胞培養物により産生される糖タンパク質のシアル酸付加を増加させる方法であって、細胞培養物にN−アセチルマンノサミンおよびガラクトースを添加することを含んでなる、前記方法を提供する。さらなる態様において、本発明は、細胞培養物に産生される糖タンパク質のシアル酸付加を増加させる方法であって、N−アセチルマンノサミン、ガラクトース、フルクトース、およびマンノースを含んでなる培地中で細胞を培養することを含んでなる、前記方法を提供する。あるいは、ガラクトースおよびフルクトース、並びに所望により、N−アセチルマンノサミンおよび/またはマンノースもまた含んでなる培地中で、細胞を培養することによって、シアル酸付加が増加しうる。さらに別の態様において、本発明は、タンパク質を産生する改善法であって、N−アセチルマンノサミンを含んでなる培地中、37℃未満、所望により約29℃〜約36℃または約29℃〜約35℃、または約30℃〜約33℃の温度で、該タンパク質を発現する哺乳動物細胞を培養することを含んでなる、前記改善法を含む。別の側面において、本発明は、N−アセチルマンノサミン、ガラクトース、並びに所望により、フルクトースおよび/またはマンノースもまた含んでなる、哺乳動物細胞用の培地を提供する。N−アセチルマンノサミンの濃度は、少なくとも約0.8ミリモラー(mM)、所望により、少なくとも約2mM、少なくとも約3mM、少なくとも約4mM、少なくとも約5mM、少なくとも約10mM、または少なくとも約20mMであることも可能であり、そしてガラクトースの濃度は、約1mM〜約5mM、所望により、約2mM〜約4mM、または約2.5mM〜約3.5mMであることも可能である。フルクトースおよびマンノースが存在する場合、その濃度は、互いに、そしてガラクトースおよびN−アセチルマンノサミンの濃度と、同じであることも、または異なっていることも可能である。フルクトースおよびマンノースの濃度は、各々、約1mM〜約5mM、所望により、各々、約2mM〜約4mM、または各々、約2.5mM〜約3.5mMであることも可能である。
あるいは、本発明は、フルクトースおよびガラクトース、並びに所望により、マンノースおよび/またはN−アセチルマンノサミンもまた含んでなる、哺乳動物細胞用培地を提供する。フルクトース、ガラクトース、およびマンノースは、各々、各約0.1mM〜各約40mM、所望により、各約0.5mM〜各約20mM、各約1.0mM〜各約10mM、または各約1mM〜各約5mMで存在することも可能である。フルクトース、ガラクトース、およびマンノースは、同じ濃度または異なる濃度で存在することも可能である。N−アセチルマンノサミンは少なくとも約0.8ミリモラー(mM)、所望により少なくとも約2mM、少なくとも約3mM、少なくとも約4mM、少なくとも約5mM、少なくとも約10mM、または少なくとも約20mMの濃度で存在することも可能である。
さらに、本発明は、各約0.1mM〜各約40mM、所望により、各約0.5mM〜各約20mM、各約1.0mM〜各約10mM、または各約1mM〜各約5mMの濃度で存在することも可能である、フルクトース、ガラクトース、および所望によりマンノースを含んでなる、哺乳動物細胞用の培地を含む。フルクトース、ガラクトース、およびマンノースは、同じ濃度または異なる濃度で存在することも可能である。
1つの側面において、本発明は、哺乳動物細胞を培養する方法であって、タンパク質を産生するよう遺伝子操作されている哺乳動物細胞を、培養物中で増殖させ、そして培養物にN−アセチルマンノサミン、ガラクトース、および所望により、フルクトースおよび/またはマンノースもまた添加することを含んでなる、前記方法を提供する。別の側面において、本発明は、タンパク質を産生するよう遺伝子操作されている哺乳動物細胞を、N−アセチルマンノサミンを含んでなる培地中、37℃未満の温度で培養する方法を提供する。遺伝子操作された細胞の1つの種類は、該タンパク質をコードする組換えベクターで形質転換されている細胞である。該タンパク質は、強いウイルスプロモーター(例えばサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターまたはシミアンウイルス40(SV40)プロモーターいずれか)の調節下で、または誘導性プロモーター(例えばメタロチオネイン・プロモーターまたは例えばGossenおよびBujard(1992)Proc. Natl. Acad. Sci. 89:5547−51に記載されるようなテトラサイクリン応答性プロモーター)の調節下で、発現させることも可能である。典型的には、細胞は、該タンパク質を天然には発現しないか、または非常に低レベルでしか該タンパク質を発現しない(遺伝子操作の非存在下)。
タンパク質は、一般的に、少なくとも長さ10アミノ酸、所望により、少なくとも長さ15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、または200アミノ酸のポリペプチドであると理解される。本発明の方法および培地を用いて産生されるタンパク質は、分泌タンパク質であることも可能である。
本発明の方法および培地を用いて、ほぼいかなるタンパク質のシアル酸付加を増加させることも可能であり、そして、本発明の方法および培地は、発現が例えばウイルスプロモーターなどの強いプロモーターの調節下にあるポリペプチド、および/またはアデノウイルス三分割(tripartite)リーダー要素を有するメッセージ上にコードされるポリペプチドには、特に好適である。タンパク質産生に使用可能な有用な発現ベクターの例が、国際出願WO 01/27299、およびpDC409ベクターを記載するMcMahanら(1991), EMBO J. 10:2821に開示される。
一般的に、本発明の方法は、組換えポリペプチド産生を誘導するのに有用である。本発明の方法および培地を用いて産生可能なタンパク質には、以下のタンパク質の1つのすべてまたは一部と同一かまたは実質的に類似のアミノ酸配列を含んでなるものが含まれる:Flt3リガンド(WO 94/28391に記載されるようなもの)、CD40リガンド(米国特許第6,087,329号に記載されるようなもの)、エリスロポエチン、トロンボポエチン、カルシトニン、レプチン、IL−2、アンギオポエチン−2(本明細書に援用される、Maisonpierreら(1997), Science 277(5322):55−60に記載されるようなもの)、Fasリガンド、NF−カッパBの受容体活性化因子のリガンド(WO 01/36637に記載されるようなRANKL)、腫瘍壊死因子(TNF)関連アポトーシス誘導リガンド(WO 97/01633に記載されるようなTRAIL)、胸腺間質由来リンホポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(豪州特許第588819号に記載されるようなGM−CSF)、肥満細胞増殖因子、幹細胞増殖因子(本明細書に援用される、米国特許第6,204,363号に記載される)、上皮増殖因子、ケラチン生成細胞増殖因子、巨核球(megakaryote)増殖および発生因子、RANTES、成長ホルモン、インスリン、インスリノトロピン、インスリン様増殖因子、副甲状腺ホルモン、αインターフェロン、γインターフェロン、およびコンセンサス・インターフェロンを含むインターフェロン類(どちらも本明細書に援用される、米国特許第4,695,623号および第4,897,471号に記載されるようなもの)、神経増殖因子、脳由来神経栄養因子、シナプトタグミン様タンパク質(SLP1〜5)、ニューロトロフィン−3、グルカゴン、インターロイキン1〜18、コロニー刺激因子類、リンホトキシン−β、腫瘍壊死因子(TNF)、白血病阻害因子、オンコスタチン−M、並びに細胞表面分子ELKおよびHekの多様なリガンド(eph関連キナーゼのリガンド、またはLERKSなど)。本発明の方法にしたがって産生可能なタンパク質の説明は、例えば、すべて本明細書に援用される、Human Cytokines:Handbook for Basic and Clinical Reseach, Vol.II(AggarwalおよびGutterman監修, Blackwell Sciences, マサチューセッツ州ケンブリッジ, 1988);Growth Factors:A Practical Approach(McKayおよびLeigh監修, Oxford University Press Inc., ニューヨーク, 1993);およびThe Cytokine Handbook(A.W. Thompson監修, Academic Press, カリフォルニア州サンディエゴ, 1991)に見出すことも可能である。
本発明の方法および培地を用いて産生可能なさらなるタンパク質には、上述のタンパク質いずれかの受容体のアミノ酸配列のすべてまたは一部を含んでなるタンパク質、上述のタンパク質いずれかのこうした受容体に対するアンタゴニスト、および/またはこうした受容体またはアンタゴニストに実質的に類似のタンパク質が含まれる。これらの受容体およびアンタゴニストには:腫瘍壊死因子受容体の両方の型(米国特許第5,395,760号および米国特許第5,610,279号に記載されるような、p55およびp75と称されるTNFR)、インターロイキン−1(IL−1)受容体(I型およびII型:すべて本明細書に援用される欧州特許第0 460 846号、米国特許第4,968,607号、および米国特許第5,767,064号に記載される)、IL−1受容体アンタゴニスト(本明細書に援用される米国特許第6,337,072号に記載されるものなど)、IL−1アンタゴニストまたは阻害剤(すべて本明細書に援用される米国特許第5,981,713号、第6,096,728号、および第5,075,222号、第5,767,064号に記載されるものなど)、IL−2受容体、IL−4受容体(欧州特許第0 367 566号および米国特許第5,856,296号に記載されるようなもの)、IL−15受容体、IL−17受容体、IL−18受容体、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子受容体、顆粒球コロニー刺激因子受容体、オンコスタチン−Mおよび白血病阻害因子の受容体、NF−カッパBの受容体活性化因子(WO 01/36637および米国特許第6,271,349号に記載されるRANK)、オステオプロテジェリン(例えば、本明細書に援用される米国特許第6,015,938号に記載される)、TRAIL受容体(TRAIL受容体1、2、3、および4を含む)、およびFasまたはアポトーシス誘導受容体(AIR)などの、死ドメインを含んでなる受容体が含まれる。
本発明の方法および培地を用いて産生可能なさらなるタンパク質には、分化抗原(CDタンパク質と称される)またはそれらのリガンドのアミノ酸配列のすべてまたは一部を含んでなるタンパク質、あるいはこれらのいずれかに実質的に類似のタンパク質が含まれる。こうした抗原は、Leukocyte Typing VI(Proceedings of the VIth International Workshop and Conference, Kishimoto, Kikutaniら監修, 日本・神戸, 1996)に開示される。続くワークショップに、類似のCDタンパク質が開示される。こうした抗原の例には、CD22、CD27、CD30、CD39、CD40、およびそのリガンド(CD27リガンド、CD30リガンド等)が含まれる。CD抗原のいくつかは、41BBおよびOX40も含む、TNF受容体ファミリーのメンバーである。リガンドは、41BBリガンドおよびOX40リガンドがそうであるように、しばしば、TNFファミリーのメンバーである。したがって、本発明を用いて、TNFおよびTNFRファミリーのメンバーを産生することもまた可能である。
本発明の方法および培地を用いて、酵素的に活性であるタンパク質またはそのリガンドを産生することもまた可能である。例には、以下のタンパク質またはそのリガンドの1つのすべてまたは一部を含んでなるタンパク質、あるいはこれらの1つに実質的に類似のタンパク質が含まれる:メタロプロテイナーゼ−ディスインテグリンファミリーメンバー、多様なキナーゼ、グルコセレブロシダーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター、因子VIII、因子IX、アポリポタンパク質E、アポリポタンパク質A−I、グロビン類、IL−2アンタゴニスト、アルファ−1アンチトリプシン、TNF−アルファ変換酵素、上述の酵素いずれかのリガンド、並びに多くの他の酵素およびそのリガンド。
本発明の方法および培地を用いて、国際出願WO 01/83525およびWO 00/24782に記載されるものなど、in vitroで特定の標的タンパク質に結合し、そしてその活性を修飾するよう選択されたキメラタンパク質、および抗体またはその部分、およびキメラ抗体、すなわち1以上のネズミ可変抗体免疫グロブリンドメインにカップリングしたヒト定常抗体免疫グロブリンドメインを有する抗体、その断片、または実質的に類似のタンパク質を産生することもまた可能である。本発明の方法を用いて、抗体および細胞傷害性物質または発光物質を含んでなるコンジュゲートを産生することもまた可能である。こうした物質には:メイタンシン誘導体(DM1など);エンテロトキシン(ブドウ球菌属(Staphlyococcal)エンテロトキシンなど);ヨウ素同位体(ヨウ素−125など);テクニウム同位体(Tc−99mなど);シアニン蛍光色素(Cy5.5.18など);およびリボソーム不活性化タンパク質(ボーガニン(bouganin)、ゲロニン、またはサポリン−S6など)が含まれる。本発明の方法および培地を用いて産生可能な、抗体、in vitro選択キメラタンパク質、あるいは抗体/サイトトキシン・コンジュゲートまたは抗体/発光団コンジュゲートの例には、限定されるわけではないが、上述のタンパク質および/または以下の抗原のいずれかを含むタンパク質のいずれか1つまたは組み合わせいずれかを認識するものが含まれる:CD2、CD3、CD4、CD8、CD11a、CD14、CD18、CD20、CD22、CD23、CD25、CD33、CD40、CD44、CD52、CD80(B7.1)、CD86(B7.2)、CD147、IL−1α、IL−1β、IL−2、IL−3、IL−7、IL−4、IL−5、IL−8、IL−10、IL−2受容体、IL−4受容体、IL−6受容体、IL−13受容体、IL−18受容体サブユニット、PDGF−βおよびその類似体(米国特許第5,272,064号および第5,149,792号に記載されるものなど)、VEGF、TGF、TGF−β2、TGF−β1、EGF受容体(米国特許第6,235,883B1号に記載されるものを含む)、VEGF受容体、肝細胞増殖因子、オステオプロテジェリン・リガンド、インターフェロン・ガンマ、Bリンパ球刺激因子(BlyS、BAFF、THANK、TALL−1、およびzTNF4としても知られる;DoおよびChen−Kiang(2002), Cytokine Growth Factor Rev. 13(1):19−25を参照されたい)、C5補体、IgE、腫瘍抗原CA125、腫瘍抗原MUC1、PEM抗原、LCG(肺癌に関連して発現される遺伝子産物)、HER−2、腫瘍関連糖タンパク質TAG−72、SK−1抗原、結腸癌および/または膵臓癌患者の血清に上昇したレベルで存在する腫瘍関連エピトープ、乳癌、結腸癌、扁平上皮癌、前立腺癌、膵臓癌、肺癌、および/または腎臓癌細胞上、並びに/あるいは黒色腫、神経膠腫、または神経芽細胞腫細胞、腫瘍の壊死中心上で発現される癌関連エピトープまたはタンパク質、インテグリン・アルファ4ベータ7、インテグリンVLA−4、B2インテグリン類、TRAIL受容体1、2、3、および4、RANK、RANKリガンド、TNF−α、接着分子VAP−1、上皮細胞接着分子(EpCAM)、細胞間接着分子−3(ICAM−3)、ロイコインテグリン(leukointegrin)アドヘシン、血小板糖タンパク質gpIIb/IIIa、心臓ミオシン重鎖、副甲状腺ホルモン、rNAPc2(因子VIIa組織因子の阻害剤)、MHC I、癌胎児抗原(CEA)、アルファ−フェトプロテイン(AFP)、腫瘍壊死因子(TNF)、CTLA−4(細胞傷害性Tリンパ球関連抗原)、Fc−γ−1受容体、HLA−DR10ベータ、HLA−DR抗原、L−セレクチン、IFN−γ、呼吸器合胞体ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、ストレプトコッカス・ムタンス(Streptococcus mutans)、および黄色ブドウ球菌(Staphlycoccus aureus)。
本発明の方法および培地を用いて、抗イディオタイプ抗体であるタンパク質、あるいは実質的に類似のタンパク質のすべてまたは一部を生産することもまた可能であり、これらには:腫瘍抗原gp72を標的とする抗体;ガングリオシドGD3に対する抗体;ガングリオシドGD2に対する抗体;またはこれらに実質的に類似の抗体に対する抗イディオタイプ抗体が含まれる。
本発明の方法および培地を用いて、上述のタンパク質または実質的に類似のタンパク質いずれかを含んでなる組換え融合タンパク質を産生することもまた可能である。例えば、本発明の方法および培地を用いて、上述のタンパク質の1つに加えて、ロイシンジッパー、コイルドコイル、抗体のFc部分などの多量体化ドメインを含んでなる組換え融合タンパク質、または実質的に類似のタンパク質を産生することも可能である。例えば、WO 94/10308;Lovejoyら(1993), Science 259:1288−1293;Harburyら(1993), Science 262:1401−05;Harburyら(1994), Nature 371:80−83;Hakanssonら(1999), Structure 7:255−64を参照されたい。こうした組換え融合タンパク質の中に特に含まれるのは、TNFRまたはRANKの少なくとも部分を抗体のFc部分に融合させたタンパク質(TNFR:FcまたはRANK:Fc)である。TNFR:Fcは、米国特許第5,395,760号の図2Aのアミノ酸1〜163、1〜185、または1〜235に実質的に類似のアミノ酸配列を含む、TNFRの細胞外ドメインに融合した抗体のFc部分を含んでなる。RANK:Fcは、WO 01/36637に記載される。
本発明を実施するのに適した細胞には、タンパク質をグリコシル化可能ないかなる細胞株も含まれ、好ましくは、タンパク質を発現するよう遺伝子操作されている哺乳動物細胞株が含まれるが、本発明を用いて、非組換えタンパク質を産生することもまた可能である。好ましくは、細胞は均質な細胞株である。多くの適切な細胞株が当該技術分野に知られる。例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、VERO細胞、BHK細胞、Cos細胞、MDCK細胞、293細胞、3T3細胞、骨髄腫細胞(例えばNSO細胞、NS1細胞)、またはWI38細胞を使用することも可能である。抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を用いて、本発明を実施することもまた可能である。上述の細胞由来の細胞株もまた、本発明を実施するのに適している。
特に好ましい細胞は、CHO細胞であり、この細胞は、組換えタンパク質、例えばサイトカイン、凝固因子、および抗体を産生するのに広く用いられている(Braselら(1996), Blood 88:2004−2012;Kaufmanら(1988), J. Biol Chem 263:6352−6362;McKinnonら(1991), J Mol Endocrinol 6:231−239;Woodら(1990), J. Immunol. 145:3011−3016)。DXB11またはDG−44などのジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)欠損突然変異細胞株(Urlaubら(1980), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216−4220)は、これらの細胞において、効率的なDHFR選択可能および増幅可能遺伝子発現系が、高レベルの組換えタンパク質発現を可能にするため、有用である(Kaufman(1990), Meth. Enzymol. 185:527−566)。さらに、これらの細胞は、接着培養物または懸濁培養物として操作するのが容易であり、そして比較的優れた遺伝子安定性を示す。CHO細胞およびこれらで発現される組換えタンパク質は、広範に性質決定されており、そして監督官庁によって臨床的商業的な製造における使用に関して認可されてきている。
本発明にしたがって、抗体または組換えタンパク質であることも可能な、目的のタンパク質の産生を促進する条件下で哺乳動物宿主細胞を培養する。哺乳動物細胞培養用の基本的な細胞培地処方(formulation)は、当該技術分野に周知である。例えば、Freshney, Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Technique, p.69−84, Wiley−Liss(1987)を参照されたい。当業者は、これらの基本的培地処方に、培養しようとする宿主細胞の必要性に応じて、アミノ酸、塩、糖、ビタミン、ホルモン、増殖因子、緩衝剤、抗生物質、脂質、微量元素等の構成要素を添加するであろう。当業者はまた、細胞増殖、細胞生存度、および/または特定の培養細胞における組換えタンパク質産生を最大にするために開発された、多くの個別化培地処方の1つの使用を選択することも可能である。本発明記載の方法を、商業的に入手可能な細胞培地と組み合わせて用いるか、または特定の細胞株で使用するために個別に配合された細胞培地と組み合わせて用いることも可能である。培地は、血清および/またはタンパク質を含有することもまたしないことも可能である。適切な商業的培地には、とりわけ、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションまたはJRH Biosciencesとともに他の製造供給元から得ることも可能な、RPMI 1641培地、ダルベッコの修飾イーグル培地、最少必須培地イーグル、F−12K培地およびF12培地、マッコイの5A培地、レイボビッツのL−15培地、およびEX−CELLTM300シリーズ(JRH Biosciences、米国カンザス州レネクサから入手可能)などの血清不含培地、が含まれる。
当業者はまた、細胞増殖、細胞生存度、および/または特定の培養宿主細胞における組換えポリペプチド産生を最大にするために開発された、多くの個別化培地処方の1つの使用を選択することも可能である。本発明記載の方法を、商業的に入手可能な細胞培地と組み合わせて用いるか、または特定の細胞株で使用するために個別に配合された細胞培地と組み合わせて用いることも可能である。例えば、ポリペプチド産生増加を支持することも可能な強化培地は、例えば1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8の比、あるいは1:15までの比またはそれより高い比で組み合わされた、例えばDMEM培地およびハムのF12培地などの、2以上の商業的培地の混合物を含んでなることも可能である。あるいは、またはさらに、培地は、アミノ酸またはペプトンなどの栄養素の添加によって強化することも可能であり、そして/または培地(または以下に記載するものを例外としたその構成要素の大部分)を、通常の推奨される濃度より高い濃度で、例えば2X、3X、4X、5X、6X、7X、8X、またはそれより高い濃度で用いることも可能である。本明細書において、「1X」は、標準濃度を意味し、「2X」は、標準濃度の2倍を意味する、などである。これらの態様のいずれにおいても、塩など、モル浸透圧濃度に実質的に影響を及ぼしうる培地構成要素の濃度を、培地の浸透圧モル濃度が許容しうる範囲の外に属するように増加させることは不可能である。したがって、培地は、1Xでのみ存在可能な塩以外、すべての構成要素に関して、例えば8Xであることも可能である。強化培地は、血清不含および/またはタンパク質不含であることも可能である。この背景において、「タンパク質不含」は、インスリンまたはインスリン様増殖因子などの、少なくとも15アミノ酸のタンパク質を含まないことを意味する。「タンパク質不含」培地は、一般的に用いられる培地添加剤である、ペプトン(酵母、ダイズ(soy)、または他の供給源由来)に見られるものなどの加水分解タンパク質を含有することも可能である。さらに、培養物が維持される間、培地に定期的に補充して、例えばビタミン、アミノ酸、および代謝前駆体など、枯渇しうる培地構成要素を補給することも可能である。当該技術分野に知られるように、異なる培地および温度は、異なる細胞株に対して、いくぶん異なる影響を有する可能性もあり、そして同じ培地および温度が、すべての細胞株には適さない可能性もある。
本発明の方法は、組換えタンパク質産生を誘導するのに有用である。組換えタンパク質は、遺伝子操作プロセスによって産生されるタンパク質である。用語「遺伝子操作」は、細胞に望ましいタンパク質の発現を改変させるように、組換えポリヌクレオチド分子に細胞を感染させるか、該分子で細胞をトランスフェクションするか、形質転換するか、または細胞に該分子を形質導入することを指す。いくつかの態様において、こうした組換えポリヌクレオチド分子は、適切な制御配列に機能可能であるように連結した目的のタンパク質をコードする核酸を含んでなり、こうした制御配列は、目的のタンパク質をコードする核酸を挿入する「発現ベクター」の一部である。
目的のタンパク質を発現するよう細胞および/または細胞株を遺伝子操作する方法およびベクターが当業者に周知であり;例えば、多様な技術がCurrent Protocols in Molecular Biology, Ausubelら監修(Wiley & Sons, ニューヨーク, 1988, および四半期の改訂);Sambrookら, Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Laboratory Press, 1989);およびKaufman, R.J., Large Scale Mammalian Cell Culture, 1990, pp.15−69に例示される。陽イオン性脂質試薬、LIPOFECTAMINETM、LIPOFECTAMINETM−2000、またはLIPOFECTAMINETM−PLUS(Invitrogenから購入可能)などの商業的に入手可能な試薬を用いたさらなるプロトコルを用いて、細胞をトランスフェクションすることも可能である。Felgnerら(1987), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:7413−7417。さらに、エレクトロポレーションまたは核酸でコーティングされた微粒子銃での照射を用い、Sambrookら(1989), Molecular Cloning:A Laboratory Manual, 第2版, Vol.1−3, Cold Spring Harbor Laboratory Press、およびFitzpatrick−McElligott(1992), Biotechnology(NY)10(9):1036−40におけるものなどの方法を用いて、細胞をトランスフェクションすることも可能である。遺伝子操作技術には、限定されるわけではないが、発現ベクター、標的化相同組換えおよび遺伝子活性化(例えばChappelに対する米国特許第5,272,071号を参照されたい)による細胞の形質転換、および操作した転写因子によるトランス活性化(例えばSegalら(1999), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96(6):2758−63を参照されたい)が含まれる。
組換え細胞の同定を容易にするため、選択可能マーカーをコードする遺伝子が、しばしば用いられ、そしてしたがって、しばしば発現ベクター中に含まれる。形質転換体の選択は、例えばジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)選択スキームまたは細胞傷害性薬剤に対する耐性などの方法を用いて行うことも可能である。Kaufmanら(1990), Meth. in Enzymology 185:487−511。DHFR選択に適した宿主株は、例えば、DHFRが欠損したCHO株DX−B11であることも可能である。UrlaubおよびChasin(1980), Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216−4220。選択可能マーカーの他の例には、G418およびハイグロマイシンBなどの抗生物質への耐性を与えるものが含まれる。
制御配列は、典型的には、哺乳動物、微生物、ウイルス、および/または昆虫遺伝子由来である。制御配列の例には、転写プロモーター、オペレーター、およびエンハンサー、リボソーム結合部位(例えばKozak(1991), J. Biol. Chem. 266:19867−19870を参照されたい)、転写終結および翻訳終結を調節可能な配列、ポリアデニル化シグナル(例えばMcLauchlanら(1988), Nucleic Acids Res. 16:5323−33)、並びにマトリックスおよび足場付着部位(Phi−Vanら(1988), Mol. Cell. Biol. 10:2302−07;Stiefら(1989), Nature 341:342−35;Boniferら(1990), EMBO J. 9:2843−48を参照されたい)が含まれる。ヌクレオチド配列は、制御配列が、タンパク質コード配列に機能的に関連するならば、機能可能であるように連結されている。こうした配列は、これらがタンパク質コード配列に機能上関連するならばシスにまたはトランスに存在することも可能である。したがって、プロモーターヌクレオチド配列は、該プロモーターヌクレオチド配列が、タンパク質コード配列の転写を調節するならば、該タンパク質コード配列に機能可能であるように連結されている。プロモーターなどの、発現を制御可能な多くの配列は、シスで存在する際にその効果を発揮するが、これは常に当てはまるわけではない。例えば、トランスで存在する非コードRNAは、遺伝子発現を下方制御するかまたは増進することも可能である。例えばStorz(2002), Science 296:1260−63を参照されたい。
通常用いられるプロモーター配列およびエンハンサー配列は、ポリオーマウイルス、アデノウイルス2、シミアンウイルス40(SV40)、およびヒト・サイトメガロウイルス(CMV)由来である。例えば、ヒトCMV極初期遺伝子1のプロモーター/エンハンサーを使用することも可能である。例えば、Pattersonら(1994), Applied Microbiol. Biotechnol. 40:691−98を参照されたい。SV40ウイルスゲノム由来のDNA配列、例えばSV40起点、初期および後期プロモーター、エンハンサー、スプライシング、およびポリアデニル化部位を用いて、哺乳動物宿主細胞における構造遺伝子配列の発現のための他の遺伝要素を提供することも可能である。ウイルス初期および後期プロモーターは、どちらもウイルス複製起点をも含有しうる断片として容易にウイルスゲノムから得られるため、特に有用である(Fiersら, Nature 273:113, 1978;Kaufman(1990), Meth. in Enzymol. 185:487−511)。SV40ウイルス複製起点部位に位置するHindIII部位からBglI部位に渡るおよそ250bpの配列が含まれていれば、より小さいまたはより大きいSV40断片を使用することもまた可能である。
適切な天然または異種シグナルペプチド(リーダー配列)をコードする配列を発現ベクターに取り込んで、組換えタンパク質の細胞外分泌を促進することも可能である。シグナルペプチドまたはリーダーの選択は、組換えタンパク質を産生しようとする宿主細胞の種類に応じる。哺乳動物宿主細胞で機能するシグナルペプチドの例には、米国特許第4,965,195号に記載されるインターロイキン−7(IL−7)のシグナル配列、Cosmanら, Nature 312:768, 1984に記載されるインターロイキン−2受容体のシグナル配列;欧州特許第367,566号に記載されるインターロイキン−4受容体シグナルペプチド;米国特許第4,968,607号に記載されるI型インターロイキン−1受容体シグナルペプチド;および欧州特許第460,846号に記載されるII型インターロイキン−1受容体シグナルペプチドが含まれる。
哺乳動物発現ベクターからの異種遺伝子の発現を改善することが示された、さらなる調節配列には、CHO細胞由来の発現増大配列要素(EASE)(Morrisら, Animal Cell Technology中, pp.529−534(1997);米国特許第6,312,951B1号;米国特許第6,027,915号;米国特許第6,309,841B1号)並びにアデノウイルス2由来の三分割リーダー(TPL)およびVA遺伝子RNA(Gingerasら(1982), J. Biol. Chem. 257:13475−13491)などの要素が含まれる。ウイルス起源の内部リボソーム進入部位(IRES)配列によって、二シストロン性mRNAが効率的に翻訳されることが可能になる(OhおよびSarnow(1993), Current Opinion in Genetics and Development 3:295−300;Rameshら(1996), Nucleic Acids Research 24:2697−2700)。選択可能マーカー(例えばDHFR)遺伝子が続く、二シストロン性mRNAの一部としての異種cDNAの発現は、宿主のトランスフェクション可能性および異種cDNAの発現を改善することが示されてきている(Kaufmanら(1990), Methods in Enzymol. 185:487−511)。二シストロン性mRNAを使用する典型的な発現ベクターは、Mosserら, Biotechniques 22:150−161(1997)に記載されるpTR−DC/GFP、およびMorrisら, Animal Cell Technology中, pp.529−534(1997)に記載されるp2A5Iである。
タンパク質産生に使用可能な有用な発現ベクターの例は、WO 01/27299に開示されるもの、およびMcMahanら(1991), EMBO J. 10:2821に記載されるpDC409ベクターである。別の有用な高発現ベクター、pCAVNOTがMosleyら(1989), Cell 59:335−348に記載されている。哺乳動物宿主細胞において用いるための他の発現ベクターを、OkayamaおよびBerg(Mol. Cell. Biol. 3:280(1983))に開示されるように構築することも可能である。C127ネズミ乳腺上皮細胞における哺乳動物cDNAの安定した高レベル発現に有用な系を、実質的にCosmanら(Mol. Immunol. 23:935(1986))に記載されるように構築することも可能である。Cosmanら(1984), Nature 312:768に記載される有用な高発現ベクター、PMLSV N1/N4はATCC 39890として寄託されている。さらなる有用な哺乳動物発現ベクターが、欧州特許第A 0 367 566号およびWO 01/27299に記載される。ベクターはレトロウイルス由来であることも可能である。天然シグナル配列の代わりに、米国特許第4,965,195号に記載されるIL−7のシグナル配列;Cosmanら(Nature 312:768(1984))に記載されるIL−2受容体のシグナル配列;欧州特許第367,566号に記載されるIL−4シグナルペプチド;米国特許第4,968,607号に記載されるI型IL−1受容体シグナルペプチド;および欧州特許第460,846号に記載されるII型IL−1受容体シグナルペプチドなどの、異種シグナル配列を付加することも可能である。
哺乳動物細胞に適した培養条件が当該技術分野に知られる。例えばAnimal cell culture:A Practical Approach, D. Rickwood監修, Oxford University Press, ニューヨーク(1992)を参照されたい。哺乳動物細胞を、懸濁中で、または固体支持体に付着させながら、培養することも可能である。さらに、哺乳動物細胞を、例えば、流動層バイオリアクター、中空糸バイオリアクター、充填層バイオリアクター、繊維層(fibrous bed)バイオリアクター、ローラーボトル、振盪フラスコ、または攪拌タンク・バイオリアクター中で、マイクロキャリアーを伴いまたは伴わずに培養してもよく、そしてバッチ培養、流加培養、連続培養、半連続培養、または灌流培養方式で、操作することも可能である。
本発明の方法および培地を、他の方法および培地添加剤、特にタンパク質の産生またはシアル酸付加を増加させるものと組み合わせることも可能である。例えば、約29℃〜約40℃、所望により約29℃〜約37℃、約29℃〜約36℃、約29℃〜約35℃、または約30℃〜約33℃の温度で細胞を増殖させることも可能である。さらに、N−アセチルマンノサミン、ガラクトース、フルクトース、およびマンノース以外の物質を培地に添加することも可能である。こうした物質には、限定されるわけではないが、ヒストン・デアセチラーゼ阻害剤、ブチレート、トリコスタチン、カフェイン、およびヘキサメチレン・ビスアセトアミドが含まれる。
本発明にしたがった方法を用いて、単相および多相培養法両方において、タンパク質の力価および/またはシアル酸付加を増加させることも可能である。単相法では、細胞を培養環境に接種して、そして単一産生相中、開示した方法および培地を使用する。多段階法では、細胞を2以上の別個の相で培養する。例えば、細胞をまず、細胞増殖および生存度を最大にする環境条件下の増殖相で培養し、次いで、タンパク質の産生および/またはシアル酸付加を増加させる条件下の産生相に移すことも可能である。多相法において、少なくとも産生相中、本発明にしたがった方法および培地を使用する。
以下に示す実施例は、包括的であることまたは本発明の範囲を限定することを意図しない。当業者は、上記解説を考慮して、修飾および変型が可能であることを理解するであろうし、そしてこうした修飾および変型は、本発明の範囲内であることが意図される。上記および下記両方の、本明細書に引用される参考文献はすべて、本明細書に完全に援用される。
(実施例1)
多様な糖およびその組み合わせがTNFR:Fcのシアル酸付加を誘導する能力の比較
以下の実験を行って、細胞培地に添加された、どの炭水化物または炭水化物の組み合わせが、細胞により産生されるTNFR:Fcの最大のシアル酸付加を誘導することが可能であるかを決定した。細胞培養物により産生されるTNFR:Fcが、陰イオン交換カラムから高塩濃度でのみ溶出する割合を測定することによって、シアル酸付加の相対的な度合いを決定した。より多くのシアル酸を含むタンパク質は、陰イオン交換カラムからの溶出に、より高い塩濃度を必要とするため、これは、シアル酸付加の度合いのおおまかな測定値を提供する。
INTRALIPIDSTM(水中の分画ダイズ油および分画卵リン脂質の無菌エマルジョン)、インスリン様増殖因子−I、およびブチレートを含み、そして添加される炭水化物をまったく含まない(「対照」と標示)か、または図2に示す炭水化物添加剤を各々4mMの濃度で含む、血清不含培地30mlを含有する12フラスコ各々に、TNFR:Fcを産生するよう遺伝子操作されたCHO細胞株、約2.0x10細胞を接種した。1分あたり150回転で振盪しながら、培養物を30℃で7日間インキュベーションした。増殖7日後に培地からTNFR:Fcを採取し、そしてプロテインAアフィニティークロマトグラフィーによって前精製した。その後、280ナノメートルの吸光度を測定することによって、精製したTNFR:Fcタンパク質濃度を決定した。20mMイミダゾール、pH6.2に希釈することによって、TNFR:Fcタンパク質の濃度を約0.25mg/mlに調整した。
陰イオン交換カラム(直径4.6mmおよび高さ50mm)に以下のように流した。0.25mg/mlダイズ・トリプシン阻害剤および0.5mg/mlラクトアルブミン(どちらもSigma−Aldrich Corporation、米国ミズーリ州セントルイスから得た)を含有する2つの対照タンパク質の混合物を用いて、実験試料を流す前および流した後両方で、カラムを較正した。この混合物の200μlまでの試料をカラムに適用し、そして20mMイミダゾール、pH6.2(緩衝液A)および20mMイミダゾール、0.7M NaCl、pH6.2(緩衝液B)間の直線勾配を、0.8ml/分の速度でカラムに流した。22.1分で勾配は完了し、そしてカラムは100%緩衝液Bを含有した。280ナノメートルの吸光度を監視することによってタンパク質溶出を決定し、そして時間(装填時間に比較した時間)に対するこれらの測定値のグラフを、カラムから溶出したタンパク質として、自動的に記録した。ラクトアルブミンはダイズ・トリプシン阻害剤より前に溶出した(15.4分に比較して、約11.2分)。作業工程の間に、0.2ml 2M NaClを注入し、その後、緩衝液Aおよび緩衝液Bの交互の洗浄を2セット行い、その後、緩衝液Aで最後の洗浄を行うことによって、カラムを清浄にした。
TNFR:Fcの200μlまでの体積(約0.25mg/ml)を陰イオン交換カラムに装填し、そして上に説明するように、直線勾配をカラムに流した。ダイズ・トリプシン阻害剤の後に溶出するTNFR:Fcピークの部分は、高塩で溶出すると見なされた。曲線下の総面積と、ダイズ・トリプシン阻害剤の後に溶出する曲線下の面積を比較することによって、高塩で溶出するTNFR:Fcの割合を決定した。各場合で、別個の実験において、マンノース、フルクトース、ガラクトース、またはN−アセチルマンノサミンを含まずに増殖させた細胞培養物に産生されたTNFR:Fcのバッチからの同様の割合と、この数字を比較した。
結果を図2に示す。添加される糖を含まない本実験由来の対照培養物は、100%よりごくわずかしか高くない事実によって、TNFR:Fcのシアル酸付加は、バッチ間でほぼ一定でありうることが示される。これらのデータはまた、N−アセチルマンノサミン、フルクトース、マンノース、およびガラクトース(各4mMの濃度)中で増殖させた培養物が、試験したあらゆる組み合わせのTNFR:Fcシアル酸付加のうち、最高レベルを生じたことも示す。さらに、糖の以下の組み合わせで増殖させた培養物由来のTNFR:Fcもまた、シアル酸付加の増加を示した:(1)ガラクトースのみ;(2)フルクトースおよびガラクトース;(3)フルクトース、ガラクトース、およびマンノース;並びに(4)N−アセチルマンノサミンおよびガラクトース。
(実施例2)
N−アセチルマンノサミンおよび糖の最適濃度を決定するための、応答曲面のサンプリング
本実験を行って、TNFR:Fcのシアル酸付加を増加させるための、増殖培地中のN−アセチルマンノサミンおよびフルクトース、マンノース、並びにガラクトースの最適濃度を決定した。本実験はまた、最低濃度のN−アセチルマンノサミンで、TNFR:Fcの最大のシアル酸付加を達成する組み合わせを決定することも目指す。
INTRALIPIDSTM(水中の分画ダイズ油および分画卵リン脂質の無菌エマルジョン)、インスリン様増殖因子−I、およびブチレートを含み、図3に示す培地添加剤を含む、すなわち、多様な濃度のN−アセチルマンノサミンおよび/または等モル量のフルクトース、ガラクトース、およびマンノースを含有する糖カクテルを含む、血清不含培地30mlを含有する13フラスコ各々に、実施例1で用いたのと同じCHO細胞株、約2.0x10細胞を接種した。
培地添加剤濃度の組み合わせを選択して、応答曲面をサンプリングした。例えばOebergおよびDeming, Chemical Eng. Process, April, 2000:53−59を参照されたい。2つ組培養物5つを用いて、図3の中心点のデータを生じ、そして8つの他の培養物は各々、図3の8つの軸方向の点の1つのデータを生じた。1分あたり150回転で振盪しながら、30℃で7日間増殖させた後、培地からTNFR:Fcを採取し、そしてプロテインAアフィニティークロマトグラフィーによって前精製した。組換えタンパク質1モルあたりのN−アセチルノイラミン酸(NANA)のモル数を以下のように決定した。プロテインAアフィニティークロマトグラフィー後、280ナノメートルの吸光度を読み取ることによって、TNFR:Fcの濃度を測定し、そしてリン酸緩衝生理食塩水に希釈することによって、タンパク質濃度を1mg/mlに調整した。シアリダーゼ(米国カリフォルニア州ナバトのGlyko, Inc.から得た)を、2xインキュベーション緩衝液(200mM酢酸ナトリウム、pH5.0)中、1mU/μl(1ユニットは、pH5および37℃で、1分あたりに1μmolのNANAを切断するのに必要な酵素量)に希釈した。TNFR:Fcおよびシアリダーゼ(各10μl)を混合し、そして37℃で4時間インキュベーションした。その後、30μlの水を添加することによって、混合物をTNFR:Fc 0.2mg/mlに希釈した。高性能陰イオン交換クロマトグラフィーを用い、パルスアンペロメトリック検出を用いて流出を監視して、遊離したシアル酸を検出し、そして定量化した。パルスアンペロメトリック検出は、クリーニングパルス(電極を汚してそして正確な読み取りを妨げる解析物を除去する)とともに、NANAを検出するのに適したポテンシャルの検出パルスを撒き散らす電極を利用する。例えば米国ミズーリ州セントルイスのSigma−Aldrich Corporationなどの商業的供給元から購入した、既知の量のNANAを用いて、実験試料を測定する前および測定した後、両方で、この系を較正した。高性能陰イオン交換クロマトグラフィーおよびパルスアンペロメトリック検出を行う系を、米国カリフォルニア州サニーベールのDionex Corporationから購入した。
図3に示す結果は、データの統計解析およびグラフ提示用のコンピュータソフトウェア(JMP(登録商標)、SAS Institute、米国ノースカロライナ州ケリーから入手可能)を用いてプロットされた。最高レベルのTNFR:Fcシアル酸付加は、各3mMのフルクトース、ガラクトース、およびマンノース、並びに5mMをわずかに越えるN−アセチルマンノサミンで観察された。しかし、3mMのフルクトース、ガラクトース、およびマンノースを、3mMよりわずかに少ないN−アセチルマンノサミンを含有する培養物に添加すると、シアル酸付加のレベルは、約5mMのN−アセチルマンノサミンを用いた際に見られるものとほぼ同等であった。
図1は、糖タンパク質のシアル酸付加につながる代謝経路ネットを示す。CorfieldおよびSchauer(1979), Biol. Cellulaire 35:213−26;GuおよびWang(1998), Biotechnol. and Bioeng. 58(6):642−48。本発明で使用する分子を四角で囲む。点線を含んでなる矢印に隣接するマイナス記号によって、負のフィードバックを示す。 図2は、示した添加剤を含む培地中で増殖させた培養物によって、抗体のFc領域に融合させた腫瘍壊死因子受容体の細胞外領域(米国特許第5,395,760号に記載されるTNFR:Fc)が産生される際の、陰イオン交換カラム上のTNFR:Fcの高塩溶出の割合を比較する。すべての試料は、添加剤を含まずに増殖させた培養物に産生されるもの(「対照」と標示)を含めて、別個の実験において、培地添加剤を含まずに増殖させた培養物に産生されるTNFR:Fcの単一バッチに比較される。 図3は、JMPコンピュータソフトウェア(本明細書に記載)を用いて作成した等高線プロットであり、示した濃度のN−アセチルマンノサミンおよび糖(フルクトース、ガラクトース、およびマンノース)を含む培地中で増殖させた培養細胞により産生されるTNFR:Fc 1モルあたりのN−アセチルノイラミン酸(NANA)モル数を示す(太字で示し、そしてこの実験でサンプリングした各々のデータポイントの隣に四角で囲み、そして各々の等高線の一部となるように標識付けした)。

Claims (11)

  1. ガラクトースおよびN−アセチルマンノサミンを含む、CHO細胞を培養するための培地
  2. フルクトースをさらに含む、請求項1に記載の培地。
  3. マンノースをさらに含む、請求項2に記載の培地。
  4. ガラクトース、マンノースおよびフルクトースの濃度は、各々1mM〜10mMである、請求項3に記載の培地。
  5. ガラクトース、マンノースおよびフルクトースの濃度は、各々1.5mM〜4.5mMである、請求項4に記載の培地。
  6. N−アセチルマンノサミンの濃度は、少なくとも0.8mMである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の培地。
  7. 前記培地は、無血清である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の培地。
  8. 前記CHO細胞は、分泌された組み換えタンパク質を生成する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の培地。
  9. マンノース、フルクトース、ガラクトースおよびN−アセチルマンノサミンを含むCHO細胞を培養するための培地であって、
    フルクトースの濃度は、1.0mM〜5.0mMであり、
    ガラクトースの濃度は、1.0mM〜5.0mMであり、
    マンノースの濃度は、1.0mM〜5.0mMであり、および
    N−アセチルマンノサミンの濃度は、少なくとも0.8mMである、
    培地。
  10. タンパク質中のシアル酸の濃度を増大させる方法であって、該方法は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の培地中で該タンパク質を生成するCHO細胞を培養する工程を包含する、方法。
  11. 前記CHO細胞は、29℃〜36℃の温度で培養される、請求項10に記載の方法。
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