JP4510809B2 - 光学的に活性なフェニルグリシデートを調製するための、立体選択的な化学酵素的方法 - Google Patents

光学的に活性なフェニルグリシデートを調製するための、立体選択的な化学酵素的方法 Download PDF

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Description

本発明は、光学活性なトランスアルキルフェニルグリシデートを、効率的に化学酵素的に調製するための新規な方法に関する。特に本発明は、トランスアルキルフェニルグリシデートの2種の鏡像異性体、すなわち式(7)および式(8)で示される、アルキル(2S,3R)−フェニルグリシデートおよびアルキル(2R,3S)−フェニルグリシデートのそれぞれを、化学酵素的に合成する新規な方法を開示する。
式(7)および式(8)で示される、光学的に活性なアルキル(2S,3R)−フェニルグリシデートおよびアルキル(2R,3S)−フェニルグリシデートは、N−ベンゾイル−(2R,3S)−3−フェニルイソセリン(タキソール側鎖)を合成するために使用される重要な中間体である。パクリタキセル、すなわちタキソールは、タイヘイヨウイチイ(Taxus brevifolia)の樹皮から単離され(Wani et al, J Am Chem Soc.93,2325-71971)、様々な種類のガンの治療に承認されている(Holmes et al, J Natl.Cancer Inst.83,1797-1805,1991)。
Figure 0004510809
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タキソールは、もっとも効果が期待される抗ガン剤の一つであるが、天然での産出量が非常に低い(40−165mg/kg)ことが、その生産の主な障害である。幸いなことに、タキソールと構造が近く、比較的高濃度で産生(約1g/kg)される10−デアセチルバッカチン−IIIが、ヨーロッパイチイ(Taxus baccata)の新鮮な葉から容易に単離することができることが見いだされた。パクリタキセルは、10−デアセチルバッカチン−IIIと比べて1000倍の効力を有するが、その高活性はN−ベンゾイル−(2R,3S)−3−フェニルイソセリン部分を含むC−13側鎖に由来することも報告されている(Wani et al, J Am Chem Soc.93,2325-71971)。
Figure 0004510809
したがって、N−ベンゾイル−(2R,3S)−3−フェニルイソセリンを合成するために重要なキラル前駆体である、式(7)および式(8)で示される光学活性な(2S,3R)および(2R,3S)−フェニルグリシデートを合成することは、鏡像異性体純度の高いイソセリン鎖を合成するための、実用的で効率的な経路を開発する上で非常に重要である。
不斉合成法による以外に、生化学的方法または化学酵素的方法によって、キラルな中間体を調製する報告が数多くある。これらの報告のほとんどは、酵素加水分解に関連するもの(H.Honig et al, Tetrahedron 46,3841-3850,1990;Peter G.M Wuts et al,Tetrahedron Asymmetry 11,2117-2123,2000)、またはエステル交換反応によるもの(Ching-Shih Chen et al, J.Org.Chem.58,1287-1289,1993;Ching-Shih Chen et al, ロードアイランド州高等教育理事会に付与された米国特許第6,020,174号;Marco Villa et al, Zambon Group S.p.Aに付与された米国特許第6,187,936号;Tanebe、特開平06−078790)、またはラセミ体2−ハロ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエートの速度論的分割もしくはアゼチジノン類の分割(C.J Sih et al, J.Org.Chem.58,1068-1075,1993; R.N.Patel et al, J.American Oil Chemists Society,73,1363-1375,1996;R.A.Holton et al, 国際公開第2001029245号、Bristol-Myers Squibbに付与された欧州特許第1222305号;R.N.Patel et al, Biotechnology and Applied Biochemistry,20,23-33,1994)に関している。
これらの文献をレビューすると、xが臭素またはヨウ素基を表し、R’がC−1〜C−5アルキル基を表すラセミ体 2−ハロ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエートを、速度論的に分割するための従来技術がないことが明らかである。したがって、所望の(2S,3R)および(2R,3S)−フェニルグリシデートを、速度論的分割経路を経て調製するために、ブロモヒドリンおよびヨードヒドリンを使用することは本質的に知られておらず、文献に報告されたこともなく、すなわちタキソール側鎖前駆体の合成技術として知られていなかった。
したがって本発明は、(2S,3R)および(2R,3S)−フェニルグリシデートの調製において、リパーゼを利用して、xおよびR’が上記の通り定義されるハロヒドリン中間体を速度論的に分割することを開示する。
[発明の目的]
本発明の主な目的は、xが臭素またはヨウ素であって、R’がC−1〜C−5アルキル基である式(2)で示されるトランスアルキル2−ハロ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエートのラセミ前駆体を、化学酵素的手法を用いて分割することにより、式(7)および(8)で示される、光学活性なアルキル(2S,3R)および(2R,3S)−フェニルグリシデートを合成することである。ブロモおよびヨードヒドリン中間体を利用する利点は、それらがほぼ定量的な収率で容易に調製されうる点、および結晶形態で得られる点である。さらに、これらの化合物は、酸および塩基触媒により、ほぼ定量的な収率で、容易に対応するエポキシド(グリシデート)に変換することができる。さらに、アスペルギルスニガー(Aspergillus niger)由来のリパーゼを利用すると、トランスアルキル2−ハロ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエートの分割が容易になる。
[発明の概要]
本発明は、光学活性なトランスアルキルフェニルグリシデートを効率的に調製する、新規な化学酵素的方法に関する。特に本発明は、トランスアルキルフェニルグリシデートの2つの鏡像異性体である、式(7)および(8)で示されるアルキル(2S,3R)−フェニルグリシデートおよびアルキル(2R,3S)−フェニルグリシデートのそれぞれを、化学酵素的に合成するための新規な方法を開示する。
これらの合成法は、R’がC−1〜C−5アルキル基を表す式(1)で示されるアルキルシンナメートを、共ハロゲン化反応(cohalogenationreaction)させて、xがBrまたはIである式(2)で示されるトランス2−ハロ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエートを得るステップ;次いで、式(2)で示されるハロヒドリンを、xおよびR’が上記と同様である式(3)で示されるアルキルアシレートに転化するステップ;次いで、式(3)で示されるアルキル2−ハロ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエートのアシル誘導体を、アスペルギルスニガー由来のリパーゼの粗乾燥粉末とともに、有機溶媒の存在下で、緩衝水相中でインキュベートするステップ;その後、加水分解されたハロヒドリンである式(4)で示されるアルキル(2R,3R)2−ハロ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエート、および加水分解されていないエステルである式(5)で示されるアルキル(2S,3S)2−ハロ−3−アシルオキシ−3−フェニルプロパノエートを、従来法により混合物から分離するステップ;必要に応じて、式(5)で示される光学的に活性なアシル誘導体を、アスペルギルスニガー由来のリパーゼの粗乾燥粉末とともに、有機溶媒の存在下で、緩衝水相中で再度インキュベートして、鏡像体純度をさらに向上させるステップ;式(5)で示される光学的に活性な生成物を、酸と反応させて、式(6)で示される光学的に活性なアルキル(2S,3S)2−ハロ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエートとするステップ;最終的に、式(4)および(6)の化合物のそれぞれを、有機相または水相中でアルカリ処理して、式(7)および(8)で示される、光学的に活性なアルキル(2S,3R)−フェニルグリシデートおよびアルキル(2R,3S)−フェニルグリシデートとするステップを含む。
上記のxおよびR’であるトランスアルキル2−ハロ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエートを、速度論的に分割するために、アスペルギルスニガー由来のリパーゼを使用することは従来知られていない。かつ、式(4)および(6)で示されるトランスアルキル2−ハロ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエートの、分割エステル体を環化させるために、酸触媒反応に続いて塩基触媒反応させるステップも同様であり、その合成の分野で報告されていない。
[発明の詳細な説明]
したがって本発明は、光学的に活性な鏡像異性体形態のトランスアルキルフェニルグリシデートである、式(7)および(8)で示されるアルキル(2S,3R)−フェニルグリシデートおよびアルキル(2R,3S)−フェニルグリシデートをそれぞれ、立体選択的に化学酵素的に合成する方法に関するが、前記方法は以下のステップa〜gを含む。
Figure 0004510809
a.式(1)に対応するアルキルシンナメートから、xが臭素またはヨウ素であり、R’がC−1〜C−5アルキル基である式(2)で示されるハロヒドリンを、ハロゲン化剤の作用によるハロゲン化により得るステップ;
Figure 0004510809
b.式(2)で示されるハロヒドリンを、塩基の存在下でアシル無水物を用いてアシル化し、式(3)で示されるトランスアルキル3−アシルオキシ−2−ハロ−3−フェニルプロパノエートとするステップ;
Figure 0004510809
c.式(3)で示されるトランスアルキル3−アシルオキシ−2−ハロ−3−フェニルプロパノエートを、リパーゼの乾燥粉末とともに、10〜40℃の温度範囲で30〜55時間、必要に応じて有機媒体を含む緩衝水相中でインキュベートして、式(4)で示される加水分解されたアルキル(2R,3R)−2−ハロ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエート、および式(5)で示される加水分解されていないアルキル(2S,3S)−3−アシルオキシ−2−ハロ−3−フェニルプロパノエートを得る反応を容易にするステップ;
Figure 0004510809
d.式(4)で示される加水分解されたアルキル(2R,3R)−2−ハロ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエート、および式(5)で示される加水分解されていないアルキル(2S,3S)−3−アシルオキシ−2−ハロ−3−フェニルプロパノエートを、従来のクロマトグラフィー法により分離するステップ;
e.式(5)で示される光学的に活性な加水分解されていないフェニルプロパノエートを、アスペルギルスニガー由来のリパーゼの粗乾燥粉末とともに、有機溶媒の存在下で緩衝水相中でインキュベートして、その鏡像体純度をさらに向上させるステップ;
f.式(5)で示される光学的に活性な生成物を、酸と反応させて、式(6)で示される光学的に活性なアルキル(2S,3S)2−ハロ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエートとするステップ;および
Figure 0004510809
g.式(4)および(6)で示される化合物のそれぞれを、有機相中または水相中でのアルカリ処理により環化させて、エポキシド環の形成を導き、式(7)および(8)で示される光学的に活性なアルキル(2S,3R)−フェニルグリシデートおよびアルキル(2R,3S)−フェニルグリシデートとするステップ。
前記方法のステップ「a」における、式(1)で示されるアルキルシンナメートから、式(2)で示されるハロヒドリンへの、ハロヒドリン調製法の好ましい実施形態において、ハロゲン化剤は、N−ブロモスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミドなどのN−ハロスクシンイミドであるか、または臭素酸ナトリウム、過ヨウ素酸、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、ヨウ素、臭素から選択される。より好ましくは、水相中または混合水性有機相中において、臭素酸ナトリウムにより臭素ヒドロキシル化するか、または過ヨウ素酸によりヨウ素ヒドロキシル化する。有機溶媒はアセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリルなどの水混和性溶媒から選択されうる。
他の実施形態において、ハロヒドリンは、0〜60℃の範囲、より好ましくは30〜40℃の範囲の温度で調製される。
式(2)で示される化合物を、式(3)で示されるアシレートに変換するステップ「b」のさらに他の実施形態において、アシル化剤は、無水酢酸、無水プロピオン酸および無水酪酸などのアシル無水物、またはそれらに対応するアシルクロライドから選択されるが、もっとも好ましくは無水酢酸である。ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、より好ましくはDMAPなどの塩基の存在下で、アシル化剤を用いることができる。
式(3)で示される化合物を速度論的に分割するプロセスであるステップ「c」は、さらに他の実施形態において、緩衝水相のみ、または加水分解反応を促進する共溶媒としての有機媒体が存在する緩衝水相のいずれかの中で、アスペルギルスニガー由来の粗リパーゼ酵素(AS AMANO)の存在下で、式(3)で示される化合物をインキュベートすることにより実施される。緩衝液のpHは、好ましく5−7.5、より好ましくは6−7.5、最も好ましくは7に調整される。
さらに他の実施形態において、反応温度は10〜40℃に調整されるが、より好ましくは20〜35℃、最も好ましくは30℃に調整される。
さらに他の実施形態において、インキュベーション時間は約48時間である。
他の特徴において、好ましい水相は水、リン酸緩衝液(0.1M〜0.2M)、または酢酸緩衝液であり、最も好ましい水相はリン酸緩衝液(0.1M)である。10〜90%の割合で加えられる好ましい共溶媒は、ヘキサン、トルエン、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノールなどであるが、トルエン、アセトンおよびアセトニトリルがより好ましく、アセトニトリルが最も好ましい。
他の実施形態において、前記方法のステップ「d」の、加水分解反応の終了後における、式(4)で示される加水分解されたアルコールと、式(5)で示される加水分解されていないエステルの分離は、従来のクロマトグラフ法であるシリカゲルカラムのカラムクロマトグラフィーにより行われうる。
さらに他の実施形態において、式(4)で示される化合物(加水分解されたエステル)を、塩基触媒により、式(7)で示されるアルキル(2S,3R)−フェニルグリシデートに変換するプロセスであるステップ「e」は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの無機塩基、または有機塩基を用いて実施される。有機塩基は、トリエチルアミン、ピペリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ−7−セン(DBU)などから選択され、最も好ましい塩基はDBUである。
さらに他の実施形態において、式(5)で示される化合物であるアルキル(2S,3S)−3−アシルオキシ−2−ハロ−3−フェニルプロパノエート(加水分解されていないエステル)を、酸触媒により、まず式(6)で示されるアルキル(2S,3S)−2−ハロ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエートに変換するプロセスであるステップ「f」は、塩酸、硫酸などの鉱酸;トリフルオロ酢酸、三フッ化ホウ素(BF)などの有機またはルイス酸を用いて、ジエチルエーテル、メタノール、アセトンなどの有機溶媒中で実施される。好ましい酸性条件は1N、2Nおよび5NのHClであり、メタノール中の2NのHClが最も好ましい。最後に式(8)のアルキル(2R,3S)−フェニルグリシデートへの変換は、ステップ「e」の説明で記載された塩基により行われる。
本発明を、以下の実施例を参照して説明する。これらの実施例により、本発明の範囲が制限されると解釈されるべきではない。
ステップ「a」
実施例(i)
x=BrかつR’=CHである式(2)で示される、(±)−メチル2−ブロモ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエートの合成
臭素酸カリウム(4g、24mmol)を40mlの水に溶解し、2MのHSOでpHを1〜2に調整した。得られた溶液に、40mlのアセトニトリルに溶解されたメチルシンナメート(3g、20mmol)を加えた。得られた混合物に、攪拌下40℃で、1Mの重亜硫酸ナトリウム溶液(50ml中に5.2g)を2時間かけて加えた。反応混合物を、反応が完了するまでの36時間(TLCでモニターした)、さらに攪拌した。得られた溶液を酢酸エチルで抽出処理(3×100ml)し、合わせた有機層を亜硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。内容物を真空で濃縮して得られた粗生成物を、結晶化(ベンゼン:ヘキサン、1:1)により精製して、式(2)で示される化合物を得た。融点63℃(収率70%)であった。
H NMR(CDCl)δ:7.37(5H,s,Ar−)、5.08(1H,d,J=8.25Hz,C−OH)、4.38(1H,d,J=8.24Hz,C−Br)、3.80(3H,s,COOC
実施例(ii)
x=BrかつR’=Cである式(2)で示される(±)−エチル2−ブロモ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエートの合成
エチルシンナメート(3.26g、20mmol)、臭素酸カリウム(4g、24mmol)を用いて、ステップ「a」の実施例(i)に記載の手順に従って調製した。融点76−77℃、収量3.7g(70%)であった。
H NMR(CDCl)δ:7.38(5H,s,Ar−)、5.08(1H,d,J=8.29Hz,C−OH)、4.54(1H,d,J=8.28Hz,C−Br)、4.25(2H,q,J=7.11Hz,C )、1.25(3H,t,J=7.12Hz,C
実施例(iii)
x=IかつR’=CHである式2で示される(±)−メチル3−ヒドロキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエートの合成
メチルシンナメート(3g、20mmol)、HIO・2HO(5.2g、24mmol)、12mlの水、および40mlのアセトニトリルからなる懸濁液に、攪拌下30℃で、1Mの重亜硫酸ナトリウム溶液(50ml中5.2g)を、3〜4時間かけて加えた。反応混合物を、反応が完了するまでの36時間(TLCでモニターする)、さらに攪拌した。得られた溶液を酢酸エチルで抽出処理(3×50ml)し、合わせた有機層を亜硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。内容物を真空で濃縮して得られた粗生成物を、結晶化(ベンゼン:ヘキサン、1:1)により精製して、式(2)で示される化合物を得た。融点63℃、収量3g(65%)であった。
H NMR(CDCl)δ:7.35(5H,s,Ar−)、5.05(1H,d,J=8.42Hz,C−OH)、4.55(1H,d,J=8.43Hz,C−Br)、3.75(3H,s,C
実施例(iv)
x=IかつR’=Cである式(2)で示される(±)−エチル3−ヒドロキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエートの合成
エチルシンナメート(3.26g、20mmol)、HIO・2HO(5.2g、24mmol)を用いて、ステップ「a」の実施例(iii)に記載の手順に従って調製した。収量4g(77%)、融点79℃であった。
H NMR(CDCl)δ:7.38(5H,s,Ar−)、5.05(1H,d,J=8.29Hz,C−OH)、4.55(1H,d,J=8.29Hz,C−Br)、4.25(2H,q,J=7.11Hz,C )、1.25(3H,t,J=7.12Hz、CH
ステップ「b」
実施例(i)
x=BrかつR’=CHである式(3)で示される(±)−メチル3−アセトキシ−2−ブロモ−3−フェニルプロパノエートの合成
10mlの乾燥ジクロロメタンに、式(2)で示される化合物(2.59g、10mmol)、無水酢酸(12mmol)、およびジメチルN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(触媒量)を溶解させた溶液を、一晩室温に保った。反応混合物を氷冷水に注ぎ、ジクロロメタン(3×100ml)で抽出処理した。有機層を洗浄し、乾燥し、蒸発させて得られた式(3)で示される化合物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン;3:97)で精製した。収率90−95%、融点56℃であった。
H NMR(CDCl)δ:7.45(5H,s,Ar−)、6.23(1H,d,J=10.00Hz,C−OAc)、4.58(1H,d,J=10.00Hz,C−Br)、3.83(3H,s,COOC )、2.03(3H,s,OCOC
実施例(ii)
x=BrかつR’=Cである式(3)で示される(±)−エチル3−アセトキシ−2−ブロモ−3−フェニルプロパノエートの合成
ステップ「b」の実施例(i)に記載の手順に従って、式(2)で示される化合物(2.73g、10mmol)、無水酢酸(12mmol)、およびN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(触媒量)を用いて調製した。収率は90−95%であった。
H NMR(CDCl)δ:7.50(5H,s,Ar−)、6.23(1H,d,J=10.50Hz,C−OAc)、4.53(1H,d,J=10.50Hz,C−Br)、4.33(2H,q,J=7.11Hz,C )、2.06(3H,s,OCOC )、1.33(3H,t,J=7.12Hz,CH
実施例(iii)
x=IかつR’=CHである式(3)で示される(±)−メチル3−アセトキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエートの合成
ステップ「b」の実施例(i)に記載の手順に従って、式(2)で示される化合物(3.06g、10mmol)、無水酢酸(12mmol)、およびN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(触媒量)を用いて調製した。収率は90−95%、融点58℃であった。
H NMR(CDCl)δ:7.40(5H,s,Ar−)、6.15(1H,d,J=10.75Hz,C−OAc)、4.62(1H,d,J=10.75Hz,C−Br)、3.17(3H,s,COOC )、2.00(3H,s,C
実施例(iv)
x=IかつR’=Cである式(3)で示される(±)−エチル3−アセトキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエートの合成
ステップ「b」の実施例(i)に記載の手順に従って、式(2)で示される化合物(3.19g、10mmol)、無水酢酸(12mmol)、およびN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(触媒量)から調製した。収率は90−95%であった。
H NMR(CDCl)δ:7.50(5H,s,Ar−)、6.15(1H,d,J=10.50Hz,C−OAc)、4.62(1H,d,J=10.50Hz,C−Br)、4.25(2H,q,J=7.11Hz,COOC )、2.06(3H,s,OCOC )、1.25(3H,t,J=7.12Hz,CH
ステップ「c」
実施例(i)
x=BrかつR’=CHである式(4)で示される(−)−メチル(2R,3R)−2−ブロモ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエートの、速度論的分割による調製
x=BrかつR’=CHである式(3)で示される(±)−メチル3−アセトキシ−2−ブロモ−3−フェニルプロパノエート(800mg)を、リン酸緩衝液(16ml、0.1M、pH7.0)、およびトルエン(1.6ml)の二相系溶媒に加えた。得られた溶液を継続的に攪拌しながら、これにアスペルギルスニガー由来のリパーゼの粗乾燥粉末(Amano AS、400mg、12−15単位/mg)を、0.5N水酸化ナトリウム溶液の添加によりpHを7.0に保ちながら添加した。反応の間、温度を30℃に維持した。6時間ごとにTLCおよびHPLCで反応の進行を確認した。反応終了後(48時間、転化率約43%)、混合物を10,000〜15,000gで遠心分離することにより反応を停止させ、酵素および懸濁粒子を除去した。透明な溶液および遠心分離された塊をそれぞれ、酢酸エチル(3×20ml)で抽出処理した。有機層を合わせ、それを水で洗浄した。次いで、合わせた溶媒層を乾燥し、減圧下で蒸発させて、加水分解されたアルコールおよび加水分解されていないエステルを含む混合物を得た。得られた混合物を、ヘキサン:酢酸エチル(97:3)を溶離液とするシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより分離して、鏡像異性体純度(EE)92%、および[ ] 25−19.7°(c,1,CHCl)を有する、式(4)で示される(−)−メチル(2R,3R)−2−ブロモ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエート(250mg、85%);ならびに鏡像異性体純度(EE)70%(キラルHPLC)、および[ ] 25+36.4°(c,1,CHCl)を有する、加水分解されていないエステルである式(5)で示される(+)−メチル(2S,3S)−3−アセトキシ−2−ブロモ−3−フェニルプロパノエート(378mg、83%)を、それぞれ得た。
実施例(ii)
x=BrかつR’=Cである式(4)で示される(−)−エチル(2R,3R)−2−ブロモ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエートの、速度論的分割による調製
ステップ「c」の実施例(i)に記載の手順に従って、式(3)で示される(±)−エチル3−アセトキシ−2−ブロモ−3−フェニルプロパノエート(800mg)、リン酸緩衝液(16ml、0.1M、pH 7.0)、トルエン(1.6ml)、およびアスペルギルスニガー由来のリパーゼの粗乾燥粉末(Amano AS、400mg、12−15単位/mg)を用いて調製した。48時間後(転化率45%)に、鏡像異性体純度(EE)86%、および[ ] 25−14.8°(c,1,CHCl)を有する加水分解されたアルコール(256mg、82%);ならびに鏡像異性体純度(EE)73%(キラルHPLC)および[ ] 25+37.5°(c,1,CHCl)を有する加水分解されていないエステルである式(5)で示される(+)−エチル(2S,3S)−3−アセトキシ−2−ブロモ−3−フェニルプロパノエート(375mg、85%)を、それぞれ得た。
実施例(iii)
x=IかつR’=CHである式(4)で示される(−)−メチル(2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエートの、速度論的分割による調製
ステップ「c」の実施例(i)に記載の手順に従って、式(3)で示される(±)−メチル3−アセトキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエート(800mg)、リン酸緩衝液(16ml、0.1M、pH 7.0)、トルエン(1.6ml)、およびアスペルギルスニガー由来のリパーゼの粗乾燥粉末(Amano AS、400mg、12−15単位/mg)を用いて調製した。36時間後(転化率44%)に、鏡像異性体純度(EE)94%、および[ ] 250.0°(c,1,CHCl)、[ ] 25−3.0°(c,1,MeOH)を有する加水分解されたアルコール(274mg、88%);ならびに鏡像異性体純度(EE)76%(キラルHPLC)、および[ ] 25+48.0°(c,1,CHCl)を有する加水分解されていないエステルである式(5)で示される(+)−メチル(2S,3S)−3−アセトキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエート(415mg、92%)を、それぞれ得た。
実施例(iv)
x=IかつR’=Cである式(4)で示される(−)−エチル(2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエートの、速度論的分割による調製
ステップ「c」の実施例(i)に記載の手順に従って、式(3)で示される(±)−エチル3−アセトキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエート(800mg)、リン酸緩衝液(16ml、0.1M、pH 7.0)、トルエン(1.6ml)、およびアスペルギルスニガー由来のリパーゼの粗乾燥粉末(Amano AS、400mg、12−15単位/mg)を用いて調製した。40時間後(転化率40%)に、鏡像異性体純度(EE)95%、および[ ] 25−9.3°(c,1,CHCl)を有する加水分解されたアルコール(250mg、88%);ならびに鏡像異性体純度(EE)60%(キラルHPLC)、および[ ] 25+36.0°(c,1,CHCl)を有する加水分解されていないエステルである式(5)で示される(+)−エチル(2S,3S)−3−アセトキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエート(440mg、91%)を、それぞれ得た。
実施例(v)
x=BrかつR’=CHである式(5)で示される(+)−メチル(2S,3S)−3−アセトキシ−2−ブロモ−3−フェニルプロパノエートの、速度論的二段階分割(double kinetic resolution)による調製
ステップ「c」の実施例(i)に記載の手順に従って、光学的に活性な式(5)で示される(+)−メチル(2S,3S)−3−アセトキシ−2−ブロモ−3−フェニルプロパノエート(EE 70%、350mg)、リン酸緩衝液(7ml、0.1M、pH 7.0)、トルエン(0.7ml)、およびアスペルギルスニガー由来のリパーゼの粗乾燥粉末(Amano AS、100mg、12−15単位/mg)を用いて調製した。反応終了後(72時間)に分割された非加水分解エステル(290mg)は、99%を超える鏡像体過剰率(EE)(キラルHPLC)、および[ ] 25+52.0°(c,1,CHCl)を有することを確認した。
実施例(vi)
速度論的二段階分割による、x=BrかつR’=Cである式(5)で示される(+)−エチル(2S,3S)−3−アセトキシ−2−ブロモ−3−フェニルプロパノエートの調製
ステップ「c」の実施例(i)に記載の手順に従って、光学的に活性な式(3)で示されるエチル(2S,3S)−3−アセトキシ−2−ブロモ−3−フェニルプロパノエート(EE 73%、350mg)、リン酸緩衝液(7ml、0.1M、pH 7.0)、トルエン(0.7ml)、およびアスペルギルスニガー由来のリパーゼの粗乾燥粉末(Amano AS、100mg、12−15単位/mg)から調製した。65時間後に分割された非加水分解エステル(290mg)は、98%の鏡像体過剰率(EE)(キラルHPLC)、および[ ] 25+50.5°(c,1,CHCl)を有することを確認した。
実施例(vii)
速度論的二段階分割による、x=IかつR’=CHである式(5)で示される(+)−メチル(2S,3S)−3−アセトキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエートの調製
ステップ「c」の実施例(i)に記載の手順に従って、光学的に活性な式(3)で示されるメチル(2S,3S)−3−アセトキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエート(EE 76%、350mg)、リン酸緩衝液(7ml、0.1M、pH 7.0)、トルエン(0.7ml)、およびアスペルギルスニガー由来のリパーゼの粗乾燥粉末(Amano AS、100mg、12−15単位/mg)から調製した。調製された式(5)で示される非加水分解エステル(300mg)は、94%の鏡像体過剰率(EE)(キラルHPLC)、および[ ] 25+59.0°(c,1,CHCl)を有することを確認した。
実施例(viii)
速度論的二段階分割による、x=IかつR’=Cである式(5)で示される(+)−エチル(2S,3S)−3−アセトキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエートの調製
光学的に活性な式(3)で示されるメチル(2S,3S)−3−アセトキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエート(EE 60%、350mg)、リン酸緩衝液(7ml、0.1M、pH 7.0)、トルエン(0.7ml)、およびアスペルギルスニガー由来のリパーゼの粗乾燥粉末Amano AS(100mg、12−15単位/mg)から調製した。調製された非加水分解エステル(315mg)(72時間)は、73%の鏡像体過剰率(EE)(キラルHPLC)、および[ ] 25+43.5°(c,1,CHCl)を有することを確認した。
実施例(ix)
速度論的分割による、共溶媒アセトニトリル存在下での、x=IかつR’=CHである式(4)で示される(−)−メチル(2R,3R)−2−ヨード−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエートの調製
式(3)で示される(±)−メチル3−アセトキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエート(200mg)を、リン酸緩衝液(3.6ml、0.1M、pH 7.0)、およびアセトニトリル(0.4ml)の二相系中に添加した。得られた溶液を継続的に攪拌しながら、これにアスペルギルスニガー由来のリパーゼの粗乾燥粉末(Amano AS、100mg、12−15単位/mg)を、0.5N水酸化ナトリウム溶液の添加によりpHを7.0に保ちながら加えた。反応の間、温度を30℃に保った。6時間ごとに反応の進行を確認した。反応終了後(9時間、転化率約43%)、混合物を10,000〜15,000gで遠心分離することにより反応を停止させ、酵素および懸濁粒子を除去した。透明な溶液および遠心分離された塊をそれぞれ、酢酸エチル(3×30ml)で抽出処理した。有機層を合わせ、水で洗浄した。次いで、合わせた溶媒層を乾燥し、減圧下で蒸発させて、加水分解されたアルコール、および加水分解されていないエステルを含む混合物を得た。これを、ヘキサン:酢酸エチル(97:3)を溶離液とするシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより分離して、鏡像異性体純度(EE)92%を有する式(4)で示されるメチル(2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエート(65mg、85%);およびキラルHPLCにより測定した鏡像体純度(EE)62%を有する加水分解されていないエステルである式(5)で示されるメチル(2S,3S)−3−アセトキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエート(92mg、77%)をそれぞれ得た。
ステップ「e」
実施例(i)
R’=CHである式(7)で示される(+)−メチル(2S、3R)−フェニルグリシデートの調製
0.2mlの1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ−7−セン(DBU)を、光学的に活性な式(4)で示されるハロヒドリン(200mg)をメタノール(4ml)に溶解した溶液に、20℃で5分間かけて加えた。減圧下で溶媒を除去し、反応混合物を10mlの水に希釈した。酢酸エチルで抽出処理し、溶媒を除去して、式(7)で示される化合物を得た。回収量は98mg、[ ] 25+155.0°(c,1,CHCl)であった。
ステップ「f」
実施例(i)
R’=CHである式(6)で示される(+)−メチル(2S、3S)−2−ハロ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエートの調製
式(5)で示されるアルキル(2S,3S)−3−アセトキシ−2−ハロ−3−フェニルプロパノエート(200mg)を、4mlのメタノールに溶解した。得られた溶液に、0.2mlの2N HClを加えた。反応混合物を、式(5)で示される化合物が、式(6)で示される化合物に完全に転化するまで、室温で24時間攪拌した。過剰な溶媒を蒸発させ、反応混合物を10mlの水で希釈し、酢酸エチルで抽出処理して溶媒を除去して、式(6)で示される化合物を得た。回収量は150mgであった。
実施例(ii)
R’=CHである式(8)で示される(−)−メチル(2R,3S)−フェニルグリシデートの調製
化合物7のステップ「f」の実施例(i)に記載の手順に従って、式(6)で示される化合物から調製した。[ ] 25−153.0°(c,1,CHCl)であった。

Claims (15)

  1. 光学的に活性な鏡像異性体形態のトランスアルキルフェニルグリシデートである、式(7)および(8)で示されるアルキル(2S,3R)−フェニルグリシデートおよびアルキル(2R,3S)−フェニルグリシデートをそれぞれ、立体選択的に化学酵素的に合成する方法であって、
    Figure 0004510809
    a.式(1)で示されるアルキルシンナメートを、ハロゲン化剤の作用によりハロヒドロキシル化して、式(2)で示されるハロヒドリンを得るステップ(xは臭素またはヨウ素を表し、R’はC−1〜C−2のアルキル基を表す)と、
    Figure 0004510809
    b.式(2)で示されるハロヒドリンを、塩基の存在下で無水酢酸を用いてアセチル化して、式(3)で示されるトランスアルキル3−アセトキシ−2−ハロ−3−フェニルプロパノエートとするステップと、
    Figure 0004510809
    c.式(3)で示されるトランスアルキル3−アセトキシ−2−ハロ−3−フェニルプロパノエートを、アスペルギルスニガー由来の粗リパーゼ酵素(リパーゼ AS AMANO(登録商標))の乾燥粉末とともに、10〜40℃の温度範囲で30〜55時間、有機媒体を任意に含む緩衝水相中でインキュベートして立体特異的加水分解させ、式(4)で示される加水分解されたアルキル(2R,3R)−2−ハロ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエート、および式(5)で示される加水分解されていないアルキル(2S,3S)−3−アセトキシ−2−ハロ−3−フェニルプロパノエートを得る反応を容易にするステップと、
    Figure 0004510809
    d.式(4)で示される加水分解されたアルキル(2R,3R)−2−ハロ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエート、および式(5)で示される加水分解されていないアルキル(2S,3S)−3−アセトキシ−2−ハロ−3−フェニルプロパノエートをクロマトグラフィー法により分離するステップと、
    e.式(5)で示される光学的に活性な加水分解されていないフェニルプロパノエートを、アスペルギルスニガー由来の粗リパーゼ酵素(リパーゼ AS AMANO(登録商標))の粗乾燥粉末とともに、有機溶媒の存在下で緩衝水相中でインキュベートして、鏡像体純度をさらに向上させるステップと、
    f.式(5)で示される光学的に活性な生成物を、酸と反応させて、式(6)で示される光学的に活性なアルキル(2S,3S)2−ハロ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエートとするステップと、
    Figure 0004510809
    g.式(4)および(6)で示される化合物をそれぞれ、有機相または水相中でアルカリ処理により環化させてエポキシド環を形成させて、光学的に活性な式(7)および(8)で示されるアルキル(2S,3R)−フェニルグリシデートおよびアルキル(2R,3S)−フェニルグリシデートとするステップ
    とを含む方法。
  2. 式(2)で示されるトランスハロヒドリンの調製に用いられる前記ハロゲン化剤は、N−ブロモスクシンイミドもしくはN−ヨードスクシンイミドを含むN−ハロスクシンイミドであるか、または臭素酸ナトリウム、過ヨウ素酸、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、ヨウ素および臭素からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ハロヒドロキシル化は、水相中または有機相もしくは水性有機相中で行われ、有機相がアセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミドまたはメタノールを含む水混和性溶媒から選択される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記ハロヒドロキシル化は、0〜60℃の間の温度で行われる、請求項3に記載の方法。
  5. 前記塩基は、ピリジンおよびN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  6. ステップcまたはステップeにおける前記アスペルギルスニガー由来の粗リパーゼ酵素(リパーゼ AS AMANO(登録商標))は、速度論的分割を実施するために使用される、請求項1に記載の方法。
  7. ステップcにおける前記緩衝水相は、pH5〜7.5のリン酸緩衝液である、請求項1に記載の方法。
  8. 前記立体特異的加水分解は、10〜90%の濃度の有機共溶媒の存在下で行われ、有機共溶媒は、ヘキサン、トルエン、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メタノールまたはエタノールを含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記立体特異的加水分解は、およそ30℃の温度で実施される、請求項1に記載の方法。
  10. 前記インキュベーションする時間が約48時間である、請求項1に記載の方法。
  11. 光学的に活性な式(7)で示されるグリシデートへの環化反応は、有機塩基、または水酸化ナトリウムもしくは炭酸ナトリウムを含む無機塩基の存在下で行われる、請求項1に記載の方法。
  12. 前記有機塩基は、トリエチルアミン、ピペリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ−7−セン(DBU)から選択される、請求項11に記載の方法。
  13. ステップfは、塩酸もしくは硫酸、またはトリフルオロ酢酸もしくは三フッ化ホウ素(BF)を含む無機酸または有機酸の存在下で行われる、請求項1に記載の方法。
  14. 製造された式(7)で示される化合物は、86〜95%の範囲の鏡像体過剰率を有する、請求項1に記載の方法。
  15. 製造された式(8)で示される化合物は、60〜99.5%の範囲の鏡像体過剰率を有する、請求項1に記載の方法。
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