JP4510809B2 - 光学的に活性なフェニルグリシデートを調製するための、立体選択的な化学酵素的方法 - Google Patents
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Description
本発明の主な目的は、xが臭素またはヨウ素であって、R’がC−1〜C−5アルキル基である式(2)で示されるトランスアルキル2−ハロ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエートのラセミ前駆体を、化学酵素的手法を用いて分割することにより、式(7)および(8)で示される、光学活性なアルキル(2S,3R)および(2R,3S)−フェニルグリシデートを合成することである。ブロモおよびヨードヒドリン中間体を利用する利点は、それらがほぼ定量的な収率で容易に調製されうる点、および結晶形態で得られる点である。さらに、これらの化合物は、酸および塩基触媒により、ほぼ定量的な収率で、容易に対応するエポキシド(グリシデート)に変換することができる。さらに、アスペルギルスニガー(Aspergillus niger)由来のリパーゼを利用すると、トランスアルキル2−ハロ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエートの分割が容易になる。
本発明は、光学活性なトランスアルキルフェニルグリシデートを効率的に調製する、新規な化学酵素的方法に関する。特に本発明は、トランスアルキルフェニルグリシデートの2つの鏡像異性体である、式(7)および(8)で示されるアルキル(2S,3R)−フェニルグリシデートおよびアルキル(2R,3S)−フェニルグリシデートのそれぞれを、化学酵素的に合成するための新規な方法を開示する。
したがって本発明は、光学的に活性な鏡像異性体形態のトランスアルキルフェニルグリシデートである、式(7)および(8)で示されるアルキル(2S,3R)−フェニルグリシデートおよびアルキル(2R,3S)−フェニルグリシデートをそれぞれ、立体選択的に化学酵素的に合成する方法に関するが、前記方法は以下のステップa〜gを含む。
e.式(5)で示される光学的に活性な加水分解されていないフェニルプロパノエートを、アスペルギルスニガー由来のリパーゼの粗乾燥粉末とともに、有機溶媒の存在下で緩衝水相中でインキュベートして、その鏡像体純度をさらに向上させるステップ;
f.式(5)で示される光学的に活性な生成物を、酸と反応させて、式(6)で示される光学的に活性なアルキル(2S,3S)2−ハロ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエートとするステップ;および
x=BrかつR’=CH3である式(2)で示される、(±)−メチル2−ブロモ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエートの合成
臭素酸カリウム(4g、24mmol)を40mlの水に溶解し、2MのH2SO4でpHを1〜2に調整した。得られた溶液に、40mlのアセトニトリルに溶解されたメチルシンナメート(3g、20mmol)を加えた。得られた混合物に、攪拌下40℃で、1Mの重亜硫酸ナトリウム溶液(50ml中に5.2g)を2時間かけて加えた。反応混合物を、反応が完了するまでの36時間(TLCでモニターした)、さらに攪拌した。得られた溶液を酢酸エチルで抽出処理(3×100ml)し、合わせた有機層を亜硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。内容物を真空で濃縮して得られた粗生成物を、結晶化(ベンゼン:ヘキサン、1:1)により精製して、式(2)で示される化合物を得た。融点63℃(収率70%)であった。
1H NMR(CDCl3)δ:7.37(5H,s,Ar−H)、5.08(1H,d,J=8.25Hz,CH−OH)、4.38(1H,d,J=8.24Hz,CH−Br)、3.80(3H,s,COOCH 3)
x=BrかつR’=C2H5である式(2)で示される(±)−エチル2−ブロモ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエートの合成
エチルシンナメート(3.26g、20mmol)、臭素酸カリウム(4g、24mmol)を用いて、ステップ「a」の実施例(i)に記載の手順に従って調製した。融点76−77℃、収量3.7g(70%)であった。
1H NMR(CDCl3)δ:7.38(5H,s,Ar−H)、5.08(1H,d,J=8.29Hz,CH−OH)、4.54(1H,d,J=8.28Hz,CH−Br)、4.25(2H,q,J=7.11Hz,CH 2)、1.25(3H,t,J=7.12Hz,CH 3)
x=IかつR’=CH3である式2で示される(±)−メチル3−ヒドロキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエートの合成
メチルシンナメート(3g、20mmol)、HIO4・2H2O(5.2g、24mmol)、12mlの水、および40mlのアセトニトリルからなる懸濁液に、攪拌下30℃で、1Mの重亜硫酸ナトリウム溶液(50ml中5.2g)を、3〜4時間かけて加えた。反応混合物を、反応が完了するまでの36時間(TLCでモニターする)、さらに攪拌した。得られた溶液を酢酸エチルで抽出処理(3×50ml)し、合わせた有機層を亜硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。内容物を真空で濃縮して得られた粗生成物を、結晶化(ベンゼン:ヘキサン、1:1)により精製して、式(2)で示される化合物を得た。融点63℃、収量3g(65%)であった。
1H NMR(CDCl3)δ:7.35(5H,s,Ar−H)、5.05(1H,d,J=8.42Hz,CH−OH)、4.55(1H,d,J=8.43Hz,CH−Br)、3.75(3H,s,CH 3)
x=IかつR’=C2H5である式(2)で示される(±)−エチル3−ヒドロキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエートの合成
エチルシンナメート(3.26g、20mmol)、HIO4・2H2O(5.2g、24mmol)を用いて、ステップ「a」の実施例(iii)に記載の手順に従って調製した。収量4g(77%)、融点79℃であった。
1H NMR(CDCl3)δ:7.38(5H,s,Ar−H)、5.05(1H,d,J=8.29Hz,CH−OH)、4.55(1H,d,J=8.29Hz,CH−Br)、4.25(2H,q,J=7.11Hz,CH 2)、1.25(3H,t,J=7.12Hz、CH2CH 3)
x=BrかつR’=CH3である式(3)で示される(±)−メチル3−アセトキシ−2−ブロモ−3−フェニルプロパノエートの合成
10mlの乾燥ジクロロメタンに、式(2)で示される化合物(2.59g、10mmol)、無水酢酸(12mmol)、およびジメチルN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(触媒量)を溶解させた溶液を、一晩室温に保った。反応混合物を氷冷水に注ぎ、ジクロロメタン(3×100ml)で抽出処理した。有機層を洗浄し、乾燥し、蒸発させて得られた式(3)で示される化合物を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン;3:97)で精製した。収率90−95%、融点56℃であった。
1H NMR(CDCl3)δ:7.45(5H,s,Ar−H)、6.23(1H,d,J=10.00Hz,CH−OAc)、4.58(1H,d,J=10.00Hz,CH−Br)、3.83(3H,s,COOCH 3)、2.03(3H,s,OCOCH 3)
x=BrかつR’=C2H5である式(3)で示される(±)−エチル3−アセトキシ−2−ブロモ−3−フェニルプロパノエートの合成
ステップ「b」の実施例(i)に記載の手順に従って、式(2)で示される化合物(2.73g、10mmol)、無水酢酸(12mmol)、およびN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(触媒量)を用いて調製した。収率は90−95%であった。
1H NMR(CDCl3)δ:7.50(5H,s,Ar−H)、6.23(1H,d,J=10.50Hz,CH−OAc)、4.53(1H,d,J=10.50Hz,CH−Br)、4.33(2H,q,J=7.11Hz,CH 2)、2.06(3H,s,OCOCH 3)、1.33(3H,t,J=7.12Hz,CH2CH 3)
x=IかつR’=CH3である式(3)で示される(±)−メチル3−アセトキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエートの合成
ステップ「b」の実施例(i)に記載の手順に従って、式(2)で示される化合物(3.06g、10mmol)、無水酢酸(12mmol)、およびN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(触媒量)を用いて調製した。収率は90−95%、融点58℃であった。
1H NMR(CDCl3)δ:7.40(5H,s,Ar−H)、6.15(1H,d,J=10.75Hz,CH−OAc)、4.62(1H,d,J=10.75Hz,CH−Br)、3.17(3H,s,COOCH 2)、2.00(3H,s,CH 3)
x=IかつR’=C2H5である式(3)で示される(±)−エチル3−アセトキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエートの合成
ステップ「b」の実施例(i)に記載の手順に従って、式(2)で示される化合物(3.19g、10mmol)、無水酢酸(12mmol)、およびN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(触媒量)から調製した。収率は90−95%であった。
1H NMR(CDCl3)δ:7.50(5H,s,Ar−H)、6.15(1H,d,J=10.50Hz,CH−OAc)、4.62(1H,d,J=10.50Hz,CH−Br)、4.25(2H,q,J=7.11Hz,COOCH 2)、2.06(3H,s,OCOCH 3)、1.25(3H,t,J=7.12Hz,CH2CH 3)
x=BrかつR’=CH3である式(4)で示される(−)−メチル(2R,3R)−2−ブロモ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエートの、速度論的分割による調製
x=BrかつR’=CH3である式(3)で示される(±)−メチル3−アセトキシ−2−ブロモ−3−フェニルプロパノエート(800mg)を、リン酸緩衝液(16ml、0.1M、pH7.0)、およびトルエン(1.6ml)の二相系溶媒に加えた。得られた溶液を継続的に攪拌しながら、これにアスペルギルスニガー由来のリパーゼの粗乾燥粉末(Amano AS、400mg、12−15単位/mg)を、0.5N水酸化ナトリウム溶液の添加によりpHを7.0に保ちながら添加した。反応の間、温度を30℃に維持した。6時間ごとにTLCおよびHPLCで反応の進行を確認した。反応終了後(48時間、転化率約43%)、混合物を10,000〜15,000gで遠心分離することにより反応を停止させ、酵素および懸濁粒子を除去した。透明な溶液および遠心分離された塊をそれぞれ、酢酸エチル(3×20ml)で抽出処理した。有機層を合わせ、それを水で洗浄した。次いで、合わせた溶媒層を乾燥し、減圧下で蒸発させて、加水分解されたアルコールおよび加水分解されていないエステルを含む混合物を得た。得られた混合物を、ヘキサン:酢酸エチル(97:3)を溶離液とするシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより分離して、鏡像異性体純度(EE)92%、および[ ]D 25−19.7°(c,1,CHCl3)を有する、式(4)で示される(−)−メチル(2R,3R)−2−ブロモ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエート(250mg、85%);ならびに鏡像異性体純度(EE)70%(キラルHPLC)、および[ ]D 25+36.4°(c,1,CHCl3)を有する、加水分解されていないエステルである式(5)で示される(+)−メチル(2S,3S)−3−アセトキシ−2−ブロモ−3−フェニルプロパノエート(378mg、83%)を、それぞれ得た。
x=BrかつR’=C2H5である式(4)で示される(−)−エチル(2R,3R)−2−ブロモ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエートの、速度論的分割による調製
ステップ「c」の実施例(i)に記載の手順に従って、式(3)で示される(±)−エチル3−アセトキシ−2−ブロモ−3−フェニルプロパノエート(800mg)、リン酸緩衝液(16ml、0.1M、pH 7.0)、トルエン(1.6ml)、およびアスペルギルスニガー由来のリパーゼの粗乾燥粉末(Amano AS、400mg、12−15単位/mg)を用いて調製した。48時間後(転化率45%)に、鏡像異性体純度(EE)86%、および[ ]D 25−14.8°(c,1,CHCl3)を有する加水分解されたアルコール(256mg、82%);ならびに鏡像異性体純度(EE)73%(キラルHPLC)および[ ]D 25+37.5°(c,1,CHCl3)を有する加水分解されていないエステルである式(5)で示される(+)−エチル(2S,3S)−3−アセトキシ−2−ブロモ−3−フェニルプロパノエート(375mg、85%)を、それぞれ得た。
x=IかつR’=CH3である式(4)で示される(−)−メチル(2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエートの、速度論的分割による調製
ステップ「c」の実施例(i)に記載の手順に従って、式(3)で示される(±)−メチル3−アセトキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエート(800mg)、リン酸緩衝液(16ml、0.1M、pH 7.0)、トルエン(1.6ml)、およびアスペルギルスニガー由来のリパーゼの粗乾燥粉末(Amano AS、400mg、12−15単位/mg)を用いて調製した。36時間後(転化率44%)に、鏡像異性体純度(EE)94%、および[ ]D 250.0°(c,1,CHCl3)、[ ]D 25−3.0°(c,1,MeOH)を有する加水分解されたアルコール(274mg、88%);ならびに鏡像異性体純度(EE)76%(キラルHPLC)、および[ ]D 25+48.0°(c,1,CHCl3)を有する加水分解されていないエステルである式(5)で示される(+)−メチル(2S,3S)−3−アセトキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエート(415mg、92%)を、それぞれ得た。
x=IかつR’=C2H5である式(4)で示される(−)−エチル(2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエートの、速度論的分割による調製
ステップ「c」の実施例(i)に記載の手順に従って、式(3)で示される(±)−エチル3−アセトキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエート(800mg)、リン酸緩衝液(16ml、0.1M、pH 7.0)、トルエン(1.6ml)、およびアスペルギルスニガー由来のリパーゼの粗乾燥粉末(Amano AS、400mg、12−15単位/mg)を用いて調製した。40時間後(転化率40%)に、鏡像異性体純度(EE)95%、および[ ]D 25−9.3°(c,1,CHCl3)を有する加水分解されたアルコール(250mg、88%);ならびに鏡像異性体純度(EE)60%(キラルHPLC)、および[ ]D 25+36.0°(c,1,CHCl3)を有する加水分解されていないエステルである式(5)で示される(+)−エチル(2S,3S)−3−アセトキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエート(440mg、91%)を、それぞれ得た。
x=BrかつR’=CH3である式(5)で示される(+)−メチル(2S,3S)−3−アセトキシ−2−ブロモ−3−フェニルプロパノエートの、速度論的二段階分割(double kinetic resolution)による調製
ステップ「c」の実施例(i)に記載の手順に従って、光学的に活性な式(5)で示される(+)−メチル(2S,3S)−3−アセトキシ−2−ブロモ−3−フェニルプロパノエート(EE 70%、350mg)、リン酸緩衝液(7ml、0.1M、pH 7.0)、トルエン(0.7ml)、およびアスペルギルスニガー由来のリパーゼの粗乾燥粉末(Amano AS、100mg、12−15単位/mg)を用いて調製した。反応終了後(72時間)に分割された非加水分解エステル(290mg)は、99%を超える鏡像体過剰率(EE)(キラルHPLC)、および[ ]D 25+52.0°(c,1,CHCl3)を有することを確認した。
速度論的二段階分割による、x=BrかつR’=C2H5である式(5)で示される(+)−エチル(2S,3S)−3−アセトキシ−2−ブロモ−3−フェニルプロパノエートの調製
ステップ「c」の実施例(i)に記載の手順に従って、光学的に活性な式(3)で示されるエチル(2S,3S)−3−アセトキシ−2−ブロモ−3−フェニルプロパノエート(EE 73%、350mg)、リン酸緩衝液(7ml、0.1M、pH 7.0)、トルエン(0.7ml)、およびアスペルギルスニガー由来のリパーゼの粗乾燥粉末(Amano AS、100mg、12−15単位/mg)から調製した。65時間後に分割された非加水分解エステル(290mg)は、98%の鏡像体過剰率(EE)(キラルHPLC)、および[ ]D 25+50.5°(c,1,CHCl3)を有することを確認した。
速度論的二段階分割による、x=IかつR’=CH3である式(5)で示される(+)−メチル(2S,3S)−3−アセトキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエートの調製
ステップ「c」の実施例(i)に記載の手順に従って、光学的に活性な式(3)で示されるメチル(2S,3S)−3−アセトキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエート(EE 76%、350mg)、リン酸緩衝液(7ml、0.1M、pH 7.0)、トルエン(0.7ml)、およびアスペルギルスニガー由来のリパーゼの粗乾燥粉末(Amano AS、100mg、12−15単位/mg)から調製した。調製された式(5)で示される非加水分解エステル(300mg)は、94%の鏡像体過剰率(EE)(キラルHPLC)、および[ ]D 25+59.0°(c,1,CHCl3)を有することを確認した。
速度論的二段階分割による、x=IかつR’=C2H5である式(5)で示される(+)−エチル(2S,3S)−3−アセトキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエートの調製
光学的に活性な式(3)で示されるメチル(2S,3S)−3−アセトキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエート(EE 60%、350mg)、リン酸緩衝液(7ml、0.1M、pH 7.0)、トルエン(0.7ml)、およびアスペルギルスニガー由来のリパーゼの粗乾燥粉末Amano AS(100mg、12−15単位/mg)から調製した。調製された非加水分解エステル(315mg)(72時間)は、73%の鏡像体過剰率(EE)(キラルHPLC)、および[ ]D 25+43.5°(c,1,CHCl3)を有することを確認した。
速度論的分割による、共溶媒アセトニトリル存在下での、x=IかつR’=CH3である式(4)で示される(−)−メチル(2R,3R)−2−ヨード−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエートの調製
式(3)で示される(±)−メチル3−アセトキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエート(200mg)を、リン酸緩衝液(3.6ml、0.1M、pH 7.0)、およびアセトニトリル(0.4ml)の二相系中に添加した。得られた溶液を継続的に攪拌しながら、これにアスペルギルスニガー由来のリパーゼの粗乾燥粉末(Amano AS、100mg、12−15単位/mg)を、0.5N水酸化ナトリウム溶液の添加によりpHを7.0に保ちながら加えた。反応の間、温度を30℃に保った。6時間ごとに反応の進行を確認した。反応終了後(9時間、転化率約43%)、混合物を10,000〜15,000gで遠心分離することにより反応を停止させ、酵素および懸濁粒子を除去した。透明な溶液および遠心分離された塊をそれぞれ、酢酸エチル(3×30ml)で抽出処理した。有機層を合わせ、水で洗浄した。次いで、合わせた溶媒層を乾燥し、減圧下で蒸発させて、加水分解されたアルコール、および加水分解されていないエステルを含む混合物を得た。これを、ヘキサン:酢酸エチル(97:3)を溶離液とするシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより分離して、鏡像異性体純度(EE)92%を有する式(4)で示されるメチル(2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエート(65mg、85%);およびキラルHPLCにより測定した鏡像体純度(EE)62%を有する加水分解されていないエステルである式(5)で示されるメチル(2S,3S)−3−アセトキシ−2−ヨード−3−フェニルプロパノエート(92mg、77%)をそれぞれ得た。
R’=CH3である式(7)で示される(+)−メチル(2S、3R)−フェニルグリシデートの調製
0.2mlの1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ−7−セン(DBU)を、光学的に活性な式(4)で示されるハロヒドリン(200mg)をメタノール(4ml)に溶解した溶液に、20℃で5分間かけて加えた。減圧下で溶媒を除去し、反応混合物を10mlの水に希釈した。酢酸エチルで抽出処理し、溶媒を除去して、式(7)で示される化合物を得た。回収量は98mg、[ ]D 25+155.0°(c,1,CHCl3)であった。
R’=CH3である式(6)で示される(+)−メチル(2S、3S)−2−ハロ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエートの調製
式(5)で示されるアルキル(2S,3S)−3−アセトキシ−2−ハロ−3−フェニルプロパノエート(200mg)を、4mlのメタノールに溶解した。得られた溶液に、0.2mlの2N HClを加えた。反応混合物を、式(5)で示される化合物が、式(6)で示される化合物に完全に転化するまで、室温で24時間攪拌した。過剰な溶媒を蒸発させ、反応混合物を10mlの水で希釈し、酢酸エチルで抽出処理して溶媒を除去して、式(6)で示される化合物を得た。回収量は150mgであった。
R’=CH3である式(8)で示される(−)−メチル(2R,3S)−フェニルグリシデートの調製
化合物7のステップ「f」の実施例(i)に記載の手順に従って、式(6)で示される化合物から調製した。[ ]D 25−153.0°(c,1,CHCl3)であった。
Claims (15)
- 光学的に活性な鏡像異性体形態のトランスアルキルフェニルグリシデートである、式(7)および(8)で示されるアルキル(2S,3R)−フェニルグリシデートおよびアルキル(2R,3S)−フェニルグリシデートをそれぞれ、立体選択的に化学酵素的に合成する方法であって、
e.式(5)で示される光学的に活性な加水分解されていないフェニルプロパノエートを、アスペルギルスニガー由来の粗リパーゼ酵素(リパーゼ AS AMANO(登録商標))の粗乾燥粉末とともに、有機溶媒の存在下で緩衝水相中でインキュベートして、鏡像体純度をさらに向上させるステップと、
f.式(5)で示される光学的に活性な生成物を、酸と反応させて、式(6)で示される光学的に活性なアルキル(2S,3S)2−ハロ−3−ヒドロキシ−3−フェニルプロパノエートとするステップと、
とを含む方法。 - 式(2)で示されるトランスハロヒドリンの調製に用いられる前記ハロゲン化剤は、N−ブロモスクシンイミドもしくはN−ヨードスクシンイミドを含むN−ハロスクシンイミドであるか、または臭素酸ナトリウム、過ヨウ素酸、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、ヨウ素および臭素からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記ハロヒドロキシル化は、水相中または有機相もしくは水性有機相中で行われ、有機相がアセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミドまたはメタノールを含む水混和性溶媒から選択される、請求項2に記載の方法。
- 前記ハロヒドロキシル化は、0〜60℃の間の温度で行われる、請求項3に記載の方法。
- 前記塩基は、ピリジンおよびN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
- ステップcまたはステップeにおける前記アスペルギルスニガー由来の粗リパーゼ酵素(リパーゼ AS AMANO(登録商標))は、速度論的分割を実施するために使用される、請求項1に記載の方法。
- ステップcにおける前記緩衝水相は、pH5〜7.5のリン酸緩衝液である、請求項1に記載の方法。
- 前記立体特異的加水分解は、10〜90%の濃度の有機共溶媒の存在下で行われ、有機共溶媒は、ヘキサン、トルエン、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メタノールまたはエタノールを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記立体特異的加水分解は、およそ30℃の温度で実施される、請求項1に記載の方法。
- 前記インキュベーションする時間が約48時間である、請求項1に記載の方法。
- 光学的に活性な式(7)で示されるグリシデートへの環化反応は、有機塩基、または水酸化ナトリウムもしくは炭酸ナトリウムを含む無機塩基の存在下で行われる、請求項1に記載の方法。
- 前記有機塩基は、トリエチルアミン、ピペリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ−7−セン(DBU)から選択される、請求項11に記載の方法。
- ステップfは、塩酸もしくは硫酸、またはトリフルオロ酢酸もしくは三フッ化ホウ素(BF3)を含む、無機酸または有機酸の存在下で行われる、請求項1に記載の方法。
- 製造された式(7)で示される化合物は、86〜95%の範囲の鏡像体過剰率を有する、請求項1に記載の方法。
- 製造された式(8)で示される化合物は、60〜99.5%の範囲の鏡像体過剰率を有する、請求項1に記載の方法。
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