JP4509462B2 - 毛髪化粧料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラーリング、ドライヤー乾燥等による毛髪ダメージを補修し、髪色の鮮明さや毛髪のツヤを改善する効果に優れる毛髪化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、毛髪のカラーリングの流行に伴い、毛髪はぱさつきやツヤの消失などのダメージを受けやすくなっている。これらは、化学的要因による毛髪内部の空洞化が原因であるとされている。
【0003】
傷んだ毛髪のツヤや色の鮮明さを改善するために、リンス、コンディショナー、トリートメント等の毛髪化粧料には、オルガノポリシロキサンオキシアルキレン共重合体、アクリル樹脂等の種々の成分が配合されている。
【0004】
しかし、これらは、毛髪表面又はその近傍にあるキューティクルに作用して光学的性質を改善するもので、その効果は一時的であって十分ではなかった。また、十分な効果の得られる量を配合すると、油性残留感やベタツキ感が生ずるという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、毛髪ダメージを補修し、髪色の鮮明さや毛髪のツヤを改善する効果に優れ、使用感も良好な毛髪化粧料を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、有機カルボン酸と特定の有機溶剤にフェノキシエタノールを併用することにより、毛髪内部に発生した空洞を修復又はその発生を抑止し、ツヤ、髪色の鮮明さ等の光学的性質を改善する効果に優れた毛髪化粧料が得られることを見出した。
【0007】
すなわち本発明は、次の成分(A)〜(E)
(A) 乳酸及びリンゴ酸から選ばれる有機カルボン酸又はその塩
(B) フェノキシエタノール 0.1〜0.4重量%
(C) ベンジルアルコール、2-ベンジルオキシエタノール、ジプロピレングリコール及びポリプロピレングリコール400から選ばれる、25℃におけるオクタノール−水−分配係数(logP)が−1〜2である有機溶剤 0.5〜20重量%
(D) カチオン界面活性剤 0.1〜20重量%
(E) 高級アルコール 0.1〜30重量%
を含有し、成分(B)と成分(C)の含有重量比が1:100〜1:1であり、pH(5重量%水溶液)が1〜6であるヘアリンス、ヘアコンディショナー及びヘアトリートメントから選ばれる毛髪化粧料を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
成分(A)の有機カルボン酸としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、ポリカルボン酸等が挙げられ、特にヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸が好ましく、また炭素数6以下のものが好ましい。ヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、オキシ酪酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等が挙げられ、ジカルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等が挙げられる。なかでもα-ヒドロキシカルボン酸、特に乳酸、リンゴ酸が好ましい。また、これら有機カルボン酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩;トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。
【0009】
有機カルボン酸又はその塩は2種以上を併用してもよく、またその含有量は、本発明の毛髪洗浄剤中の0.01〜50重量%が好ましく、更には0.1〜10重量%、特に0.5〜2重量%が好ましい。
【0010】
本発明の毛髪化粧料は、成分(C)として、25℃におけるオクタノール−水−分配係数(logP)が、−1〜2である有機溶剤を含有することを要する。ここで、logPとは、オクタノール相と水相の間での物質の分配を表す尺度であって下式で定義されるものをいい、ケミカルレビューズ,71巻,6号(1971)にその計算値の例が記載されている。なお、本発明では、25℃において、化審法化学物質改訂第4版 「化学物質の分配係数(1-オクタノール/水)測定法について<その1>」(化学工業日報社刊)記載の方法で測定した値をいう。
【0011】
logP=log([物質]Octanol/[物質]Water
〔式中、[物質]Octanolは1-オクタノール相中の物質のモル濃度を、[物質]Waterは水相中の物質のモル濃度を示す。〕
【0012】
成分(C)のlogPは、毛髪内部の空洞を消失させる観点から、−1〜2であることが必要であり、ベンジルアルコール(25℃におけるlogP=1.1;以下同様)、2-ベンジルオキシエタノール(1.2)、ジプロピレングリコール(-0.7)及びポリプロピレングリコール400(0.9)から選ばれる。なかでも2-ベンジルオキシエタノール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール400が好ましい。
【0013】
これらの成分(C)は、2種以上を併用してもよく、その含有量は、本発明の毛髪化粧料の0.5〜20重量%であり、1〜10重量%が好ましい。
【0014】
成分(B)であるフェノキシエタノールは、補修効果の更なる促進の点から、成分(C)の含有量と一定の量比で使用される。すなわち、成分(B)と成分(C)の含有重量比は、1:100〜1:1の範囲とする
【0015】
本発明の毛髪化粧料には、成分(D)のカチオン界面活性剤のほか、通常の毛髪化粧料に用いられるアニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤を使用することができる。
【0016】
アニオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸アルキルエステル塩、スルホサクシネート系界面活性剤、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、グリセライド硫酸塩、アミドエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミドエーテル硫酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンフェニルエーテルリン酸エステル塩、グリセライドリン酸エステル塩、アミノ酸系界面活性剤、脂肪酸塩、アシル化サルコシン塩、ポリオキシアルキレン(ヒドロキシ)アルキルエーテルカルボン酸塩、アミドカルボン酸、アミドエーテルカルボン酸塩、アルキル(ヒドロキシ)エーテルカルボン酸塩、アルカンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩エステル塩、アシル化イセチオン酸塩、タウレート系界面活性剤などが挙げられる。
【0017】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル系、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル系、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル系、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル系、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル系、モノグリセライド系、ソルビタン脂肪酸エステル系などが挙げられる。
【0018】
両性界面活性剤としては、酢酸ベタイン系、アミド酢酸ベタイン系、スルホベタイン系、アミドスルホベタイン系、イミダゾリウムベタイン系、アミノ酸系、アミドアミン系、ホスホベタイン系、アルキルアミンオキシド、アミドアミンオキシド等が挙げられる。
【0019】
成分(D)のカチオン性界面活性剤としては、例えば次の一般式(1)、(2)で表される第4級アンモニウム塩、一般式(3)で表される3級アミン等が挙げられる。
【0020】
【化1】
Figure 0004509462
【0021】
〔式中、R1、R2、R3及びR4のうち、少なくとも1個は、総炭素数8〜28の、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルカノイルアミノ基又はアルケノイルアミノ基が置換していてもよいアルキル基又はアルケニル基を示し、残余はベンジル基、炭素数1〜5のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基又は合計付加モル数10以下のポリオキシエチレン基を示し、Z-はハロゲン化物イオン又は有機アニオンを示す。〕
【0022】
【化2】
Figure 0004509462
【0023】
〔式中、R5及びR6のうち、少なくとも一方は、総炭素数8〜28のアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルカノイルアミノ基又はアルケノイルアミノ基が置換していてもよいアルキル基又はアルケニル基を示し、他方はベンジル基、炭素数1〜5のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示し、R7及びR8は炭素数2〜3のアルキレン基を示し、Z-は前記と同じ意味を示し、m及びnは1〜20の整数を示す。〕
【0024】
-としては特に塩化物イオンが好ましい。
【0025】
【化3】
Figure 0004509462
【0026】
〔式中、R9は総炭素数8〜35の、−O−、−CONH−、−OCO−又は−COO−で分断されていてもよく、また水酸基が置換していてもよい直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R10及びR11は、炭素数1〜22のアルキル基、アルケニル基又はヒドロキシアルキル基を示す。〕
【0027】
成分(D)のカチオン界面活性剤は、2種以上を併用してもよく、またその含有量は、ヘアコンディショニング剤の場合、0.1〜20重量%が好ましく、更には0.5〜10重量%、特に1〜5重量%が好ましい。
【0028】
本発明の毛髪化粧料には、更に、コンディショニング効果向上のため、成分(E)として、高級アルコールを配合することができる。高級アルコールとしては、炭素数12〜22のアルキル基を有するもの、特に炭素数16〜22のアルキル基を有するものが好ましく、またこのアルキル基は直鎖アルキル基であるのが好ましい。高級アルコールの好ましい具体例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられ、特にベヘニルアルコールが好ましい。
【0029】
成分(E)の高級アルコールは、2種以上を併用してもよく、またその含有量は、本発明の毛髪化粧料の0.1〜30重量%が好ましく、更には0.5〜20重量%、特に1〜10重量%が好ましい。
【0030】
さらに、本発明の毛髪化粧料には、目的に応じて、上記成分に加えて、毛髪化粧料に常用されている他の成分や添加剤を含有せしめることができる。このような成分としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー等の増粘剤;炭化水素油、エステル油等の油剤;1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、タンパク加水分解液等の保湿剤;高重合PEG、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム等のコンディショニング剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の可溶化剤;パラベン等の防腐剤;サリチル酸、トリクロサン、ピロクトンオラミン等の殺菌剤;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のpH調整剤;エデト酸塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸等の金属イオン封鎖剤;パラメトキシケイ皮酸-2-エチルヘキシル、オキシベンゾン、パラジメチルアミノ安息香酸-2-エチルヘキシル等の紫外線吸収剤;ジブチルヒドロキシトルエン、酢酸トコフェロール等の酸化防止剤;そのた動植物由来の抽出エキス、色素などを挙げることができる。
【0031】
本発明の毛髪化粧料は、水溶液、エタノール溶液、エマルション、サスペンション、ゲル、液晶、固形、エアゾール等の所望の形態にすることができ、ヘアリンス、ヘアコンディショナー及びヘアトリートメントから選ばれる洗い流して使用する剤型として好適である。
【0032】
本発明の毛髪化粧料のpH(5重量%水溶液)は、1〜6が好ましく、更には2〜5、特に3〜4が好ましい。
【0033】
【実施例】
以下に示す実施例のうち、「実施例4」は参考例であって、特許請求の範囲に包含されるものではない。
実施例1〜3,比較例1〜3
表1に示すヘアコンディショナーを調製し、これらで処理した毛髪について、毛髪内部の空洞消失率の測定、並びに乾燥後の毛髪のツヤの改善、髪色の鮮やかさについての評価を行った。これらの結果を表1に示す。
【0034】
(イ)毛髪内部の空洞消失率
カラーリングによりダメージの発生している毛束0.5gをプレーンシャンプー(ポリオキシエチレン(2.5)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム及びジエタノールアミドで調製)1gで洗浄し、軽く水を切った後、ヘアコンディショナー1gを塗布し、35℃で15分間放置した。次いで毛束を流水で15秒間濯いだ後、タオルドライし、1分間ドライヤーで熱風乾燥した(なお、この毛髪処理は、ヘアコンディショナーを日常1週間の連続使用した場合に相当する)。この毛髪処理を合計4回繰り返した後、処理後における毛髪内部の空洞の消失率又は発生率を求めた。
【0035】
・空洞の測定
簡易型実体顕微鏡〔WIDE STAND MICRO,PEAK社製(10倍)〕を用い、毛髪の根元方向斜め(毛髪軸と光源からの光の照射軸との角度15〜60度)から光を照射し、毛髪軸と光の照射軸と同一平面で、かつ毛髪軸に対し垂直方向から毛髪を観察した。この方法により、観察の妨げになる毛髪表面での正反射光を除くことができ、空洞ができた毛髪はメデュラ部の多孔質構造のみが毛髪中心部に白っぽく筋状に観察される(フレグランス・ジャーナル,6号,11頁,2000年)。処理前にメデュラ部の白っぽく筋状に観察される空洞部の長さの全長を測定した。処理後に同様の測定をして処理前後の空洞の存在率から、空洞の消失率又は発生率を求めた。
【0036】
(ロ)毛髪のツヤ改善、髪色の鮮やかさの評価方法
毛束20gをプレーンシャンプー(ポリオキシエチレン(2.5)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム及びジエタノールアミドにて調製)でよく洗浄した後、軽く水を切り、ヘアコンディショナー2gを塗付する。その後、6L/分の40℃流水で30秒間すすぎ、タオルドライした後に、ドライヤーの温風で、2〜3分間充分に乾燥させた。
パネラー5名により、次の基準に従って官能評価を行い、評価点の平均値を求めた。
【0037】
・ツヤの改善(乾燥後)
4:顕著なツヤの改善がみられる
3:ツヤの改善がみられる
2:ややツヤの改善がみられる
1:ツヤの改善がみられない
0:ツヤがなくなった
【0038】
・髪色の鮮やかさ(乾燥後)
4:髪色が非常に鮮やかで色味が濃い
3:髪色が鮮やか
2:やや髪色が鮮やか
1:髪色が白っぽい
0:色味がくすんで白っぽい
【0039】
【表1】
Figure 0004509462
【0040】
実施例4
下記に示すヘアーシャンプー(pH3.7)を調製した。
Figure 0004509462
【0041】
実施例5
下記に示すヘアコンディショナー(pH3.0)を調製した。
Figure 0004509462
【0042】
【発明の効果】
本発明の毛髪化粧料は、カラーリング、ドライヤー乾燥等による毛髪ダメージを補修し、髪色の鮮明さや毛髪のツヤを改善する効果に優れる。

Claims (1)

  1. 次の成分(A)〜(E)
    (A) 乳酸及びリンゴ酸から選ばれる有機カルボン酸又はその塩
    (B) フェノキシエタノール 0.1〜0.4重量%
    (C) ベンジルアルコール、2-ベンジルオキシエタノール、ジプロピレングリコール及びポリプロピレングリコール400から選ばれる、25℃におけるオクタノール−水−分配係数(logP)が−1〜2である有機溶剤 0.5〜20重量%
    (D) カチオン界面活性剤 0.1〜20重量%
    (E) 高級アルコール 0.1〜30重量%
    を含有し、成分(B)と成分(C)の含有重量比が1:100〜1:1であり、pH(5重量%水溶液)が1〜6であるヘアリンス、ヘアコンディショナー及びヘアトリートメントから選ばれる毛髪化粧料。
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