JP4508516B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子及び表示装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子及び表示装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(以下有機ELとも略記する)素子および表示装置に関するものである。詳しくいえば、本発明は発光輝度に優れ、長寿命な有機エレクトロルミネッセンス素子、および該有機エレクトロルミネッセンス素子を有する表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
発光型の電子ディスプレイデバイスとして、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)がある。ELDの構成要素としては、無機エレクトロルミネッセンス素子や有機エレクトロルミネッセンス素子が挙げられる。無機エレクトロルミネッセンス素子は平面型光源として使用されてきたが、発光素子を駆動させるためには交流の高電圧が必要である。有機エレクトロルミネッセンス素子は、発光する化合物を含有する発光層を、陰極と陽極で挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光する素子であり、数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であり、さらに、自己発光型であるために視野角に富み、視認性が高く、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から注目されている。
【0003】
しかしながら、今後の実用化に向けた有機EL素子においては、さらに低消費電力で効率よく高輝度に発光する有機EL素子の開発が望まれている。
【0004】
有機EL素子において、ドーパントとして利用されている分子はいずれも蛍光量子収率が高いが、エキサイプレックスを作りやすいため、発光のホスト化合物としての利用ができなかった。
【0005】
一方、有機ELにおいて、励起一重項からの発光を用いる場合、一重項励起子と三重項励起子の生成比が1:3であるため発光性励起種の生成確率が25%であることと、光の取り出し効率が約20%であるため、外部取り出し量子効率(ηext)の限界は5%とされていた。しかし、プリンストン大から励起三重項からの燐光発光を用いる有機EL素子の報告がされて以来(M.A.Baldoet al.,Nature、395巻、151〜154ページ(1998年))、室温で燐光を示す材料の研究が活発になってきている(例えば、M.A.Baldo et al.,Nature、403巻、17号、750〜753ページ(2000年)、米国特許6,097,147号など)。励起三重項を使用すると、内部量子効率の上限が100%となるため、励起一重項の場合に比べて原理的に発光効率が4倍となり、冷陰極管とほぼ同等の性能が得られ照明用にも応用可能であり注目されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高輝度で長寿命な有機エレクトロルミネッセンス素子、および本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた高輝度で長寿命な表示装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成された。
【0008】
1.芳香族炭化水素およびその誘導体と、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンから選ばれる少なくとも1種との包接錯体、及びイリジウム、白金、または、オスミウム錯体の少なくともいずれか一つを含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
但し、芳香族炭化水素とは、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、デカシクレン、フルオランテン、ジフェニルベンゾフルオランテン、ペンタセン、ヘキサセン、アセナフテン、ピレン、アズレン、ペリレン、ナフトール、フェノール、ジフェニルリン酸塩、ルブレン、クリセン、トリフェニレン、コロネン、キナクリドン、ポリ(p−フェニレンビニレン)である。芳香族炭化水素の誘導体とは、上記芳香族炭化水素にさらに置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキルが置換されたものである。
【0009】
2.芳香族炭化水素およびその誘導体と、α−シクロデキストリンの誘導体、β−シクロデキストリンの誘導体及びγ−シクロデキストリンの誘導体から選ばれる少なくとも1種との包接錯体、及びイリジウム、白金、または、オスミウム錯体の少なくともいずれか一つを含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
但し、芳香族炭化水素とは、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、デカシクレン、フルオランテン、ジフェニルベンゾフルオランテン、ペンタセン、ヘキサセン、アセナフテン、ピレン、アズレン、ペリレン、ナフトール、フェノール、ジフェニルリン酸塩、ルブレン、クリセン、トリフェニレン、コロネン、キナクリドン、ポリ(p−フェニレンビニレン)である。芳香族炭化水素の誘導体とは、上記芳香族炭化水素にさらに置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキルが置換されたものである。また、α−シクロデキストリンの誘導体、β−シクロデキストリンの誘導体及びγ−シクロデキストリンの誘導体とは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンのグルコース残基の少なくともその一部がヒドロキシアルキル、アルキル、グリコシル、アミノ、アミド、ヒドロキシアリール、アリール、スルホニル、アシル、カルボキシメチルで置換されたもの、エピクロルヒドリンや多価グリシジルエーテルなどの架橋剤にて高分子化したもの、グルコース、マルトースなどの分岐側鎖を有するもの、及びトリアリールアミンを部分構造に有するものである。
【0018】
有機エレクトロルミネッセンス素子の前記包接錯体を含有する層が、溶液中で作用させて塗布溶液とし、この塗布溶液を塗布して形成した層であることを特徴とする前記1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0019】
.前記1〜のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有することを特徴とする表示装置。
【0020】
本発明を更に詳しく説明する。シクロデキストリン類、シクロデキストリン誘導体については、『シクロデキストリン:基礎と応用』(上野昭彦編集、産業図書、1995年)に詳しい。
【0021】
有機ELの発光材料では、平面性の高い分子の中には、蛍光量子収率は高いが、エキサイプレックスを作りやすいものがある。これらの化合物は、ホスト化合物からのエネルギー移動で発光するいわゆるドーパントとしてのみ使用が可能であった。ところが、本発明のように、これらの化合物をシクロデキストリン類、シクロデキストリン誘導体に包接させれば、エキサイプレックスを形成しなくなるため、ホスト化合物としての使用が可能となり、発光効率の向上に寄与できる。また、このような包接錯体は熱安定性も向上し、有機EL素子の長寿命化にも寄与できる。
【0022】
さらに、シクロデキストリン誘導体の部分構造が正孔輸送能、または、電子輸送能を有するものであれば、その包接錯体はキャリア輸送と発光を兼ね備えた機能性分子となるため、素子構成もより簡略化でき、素子作製が容易になるという長所を有する。
【0023】
一方、燐光発光は通常77Kの低温でしか観測不能と考えられていたが、近年室温で燐光発光を観測できる化合物が見出されてからは、多くの化合物がイリジウム錯体系など重金属錯体を中心に合成検討されている(例えば、S.Lamansky et al.,J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304ページ、2001年)。また、R.A.Femiaら、浜井の報告(例えば、J.Phys.Chem.の第89巻、1897ページ(1985年)、Bull.Chem.Soc.第71巻、1549ページ(1998年)等)によると、シクロデキストリン類、シクロデキストリン誘導体の包接錯体は、室温でのりん光発光が観測されている。このりん光発光を利用することにより、発光効率の向上に寄与できる。
【0024】
本発明のシクロデキストリン類、シクロデキストリン誘導体は具体的には、下記の一般式(A)で表される複数個のグルコースからなる環状化合物が挙げられる。
【0025】
【化1】
Figure 0004508516
【0026】
一般式(A)において、シクロデキストリン類の場合、RはOH基、シクロデキストリン誘導体の場合は、OH基が化学的に修飾された基の場合を表す。nは3以上の整数を表す。好ましくは、nは6以上12以下である。
【0027】
本発明においてシクロデキストリン類は、3個以上12個以下のグルコース、好ましくは6〜8個のグルコースが環状に結合した化合物であり、化学的に修飾されていない非誘導のものである。本発明において用いられるシクロデキストリン類は、有機化合物を包接可能なものであればよく、例えばα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン(それぞれ、グルコースが6、7、8個環状に結合したもの)のいずれか1種若しくは2種以上が用いられ、溶液中で有機化合物との包接錯体が得られるものが好ましく選択される。
【0028】
本発明において、シクロデキストリン誘導体は、上記一般式(A)において、化学的に修飾されたRは、具体的には、ヒドロキシアルキル化シクロデキストリン類、アルキル化シクロデキストリン類、グリコシル化シクロデキストリン類、アミノ化シクロデキストリン類、アミド化シクロデキストリン類、ヒドロキシアリール化シクロデキストリン類、アリール化シクロデキストリン類、スルホニル化シクロデキストリン、アシル化シクロデキストリン、カルボキシメチル化シクロデキストリン類など、グルコース残基の少なくともその一部をヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシイソブチル、ジエチルアミノエチル、トリメチルアンモニオプロピルなどの親水性官能基にて化学修飾したシクロデキストリン誘導体、エピクロルヒドリンや多価グリシジルエーテルなどの架橋剤にて高分子化したシクロデキストリン類ポリマー、グルコース、マルトースなどの分岐側鎖を有する分岐シクロデキストリン類を挙げることができる。
【0029】
シクロデキストリン誘導体として好ましくは、次に示すような正孔輸送能、または、電子輸送能を有するような部分構造を有する化合物で置換されている場合である。より好ましくは、トリアリールアミンを部分構造を有するものである。
【0030】
【化2】
Figure 0004508516
【0031】
【化3】
Figure 0004508516
【0032】
式中、L1、L2、L3、L4、L5、L6は連結基を示す。L1、L2、L3、L4、L5、L6で表される連結基は、具体的に例えば(1)〜(14)で表されるものが挙げられるがこれらに限定されない。この時、*は6位の炭素原子との結合部位を表す。*と6位の炭素原子の間にさらに連結基が導入されていてもよく、具体的には、アルキル基等が挙げられる。
【0033】
【化4】
Figure 0004508516
【0034】
【化5】
Figure 0004508516
【0035】
ここでは、β−シクロデキストリンの例を示したが、α,γ−シクロデキストリン、または、α,β,γ−シクロデキストリン誘導体も同様である。また、連結部位についても、6位どおしで連結されている場合をしめしたが、2、3位どおし、また、2、3、6位が互いに異なるものどおしで連結しても良い。
【0036】
本発明のシクロデキストリン類、シクロデキストリン誘導体の中で好ましくは、β−シクロデキストリンまたはその誘導体である。さらに、好ましくは、シクロデキストリン類、シクロデキストリン誘導体の分子構造の一部がハロゲン置換されているものである。
【0037】
2が具体的に、(2)の場合の合成例を示す
乾燥β−シクロデキストリンを4.0g、下記化合物(1−1)の1.5gを無水ピリジン100mlに溶解し、窒素雰囲気下60℃で加熱攪拌した。10分後に不溶物が析出したため、1時間後反応液を室温に戻し、減圧濃縮によりピリジンを完全に留去した。得られたオイル状の物質を少量の水に溶かし、カラムクロマトグラフィーで精製し、目的物0.68gを得た。
【0038】
【化6】
Figure 0004508516
【0039】
ここでシクロデキストリン類、シクロデキストリン誘導体は、その空孔に有機化合物を吸着し包接する作用機能を有する。本発明では、シクロデキストリン類(ホスト)に包接される化合物(ゲスト)は、有機化合物である。
【0040】
本発明においては、シクロデキストリン類による包接錯体及びシクロデキストリン誘導体による包接錯体のいずれか1種若しくは2種以上が用いられる。
【0041】
有機化合物を包接させる方法として具体的には、シクロデキストリン類、シクロデキストリン誘導体(ホスト)溶液に有機化合物(ゲスト)を添加混合し、いずれの温度でも可能であるが、好ましくは20〜60℃で撹拌混合する。包接は、シクロデキストリン類、シクロデキストリン誘導体が溶解していなくとも、長時間有機化合物と混合撹拌することで実現できるが、シクロデキストリン類、シクロデキストリン誘導体が完全に溶解しているときが最も収率、効率よく包接できる。
【0042】
撹拌にはプロペラ式のアジテーターからホモミキサー、ニーダー、自動乳鉢などを用いることができる。撹拌条件は、用いる撹拌機器設備の種類や用いるシクロデキストリン類、シクロデキストリン誘導体の溶液の濃度や温度によって異なり、好ましくは50〜10,000rpmで均一な乳液あるいは澄明な溶液となる条件を選ぶのが好都合である。
【0043】
包接反応時間は0.25〜24時間であり、短時間で包接を完了させたいときは、せん断力や撹拌力の強いホモミキサー等を用いて1,000〜16,000rpmで0.25〜8時間、包接に長時間時間をかけてもよい場合には、せん断力や撹拌力の弱いアジテーターやニーダーを用いて50〜1,000rpmで2〜24時間という具合に、用いる原料の特性、包接を行うときの溶液粘度や撹拌機の能力に適した条件を選ぶことができる。
【0044】
本発明の有機EL素子において、シクロデキストリン類、または、シクロデキストリン誘導体に包接させる有機化合物としては、任意の有機化合物が用いられる。好ましい有機化合物は、溶液状態で蛍光量子収率が高い蛍光性有機化合物である。ここで、蛍光量子収率は10%以上、特に30%以上が好ましい。また、芳香族炭化水素およびその誘導体も好ましい。
【0045】
ゲストとして蛍光量子収率が高い蛍光性有機分子は、例えばクマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素などが挙げられる。
【0046】
また、芳香族炭化水素およびその誘導体としては、ナフタレン、1−シアノナフタレン、2−メチルナフタレン、2−クロロナフタレン、アントラセン、デカシクレン、フルオランテン、ジフェニルベンゾフルオランテン、ペンタセン、ヘキサセン、アセナフテン、ピレン、ピレンスルホン酸ナトリウム、アセナフテン、アズレン、ペリレン、6−ブロモ−2−ナフトール、クロロフェノール、ジフェニルリン酸塩、ルブレン、クリセン、トリフェニレン、コロネン、キナクリドン、及びその誘導体、がある。これらの化合物は、さらに置換基が置換されたものでも良く、好ましくは、ハロゲン置換体である。
【0047】
シクロデキストリンの狭い穴の中に2つの異なった分子が入ると、2つの分子の間に働く力は広い空間を自由に動きまわれるときよりも強くなる。通常、シクロデキストリン1分子の穴の中に1分子の化合物が入るが、この1:1の包接錯体自身が2つくっついた2:2包接錯体(シクロデキストリン2分子がくっついていて、その穴の中に2分子の他の化合物が入っているもの)ができる。
【0048】
溶液中のシクロデキストリンの包接現象は、主に分光学的に調べることができる。例えば、吸収スペクトル、蛍光スペクトル、燐光スペクトル、NMRスペクトル、CDスペクトルなどで調べることができる。
【0049】
本発明の有機EL素子には、中心金属がオスミウム、イリジウム、または、白金の錯体系化合物が含有されていても良い。これらの化合物は、りん光性化合物であり、本発明のシクロデキストリン類、または、シクロデキストリン誘導体と有機化合物の包接錯体をホストとした時のドーパントとして機能する場合に、有機EL素子の発光効率の向上に最も寄与できると考えられる。以下に、本発明で用いられる中心金属がオスミウム、イリジウム、または、白金の錯体系化合物の具体例を示すが、これに限定されるものではない。
【0050】
【化7】
Figure 0004508516
【0051】
【化8】
Figure 0004508516
【0052】
【化9】
Figure 0004508516
【0053】
一方、本発明の有機EL素子において、発光層は溶液中で作用させて塗布溶液とし、この塗布溶液を塗布して形成した層となる、塗布方式による素子作製が望ましい。
【0054】
本発明の有機EL素子は、必要に応じ発光層の他に、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、陽極バッファー層および陰極バッファー層等を有し、陰極と陽極で狭持された構造をとる。
【0055】
具体的には、
(i)陽極/発光層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(iii)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極などの構造がある。
【0056】
本発明の化合物は、いずれの層中に含有されていてもかまわないが、発光層に含有されていることが好ましい。
【0057】
上記発光層は、電極または電子注入層、電子輸送層、正孔注入層、正孔輸送層から注入されてくる電子および正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であっても良い。
【0058】
発光材料は、発光性能の他に、正孔注入能、正孔輸送機能や電子注入能、電子輸送機能を併せ持っていても良く、正孔注入材料、正孔輸送材料や電子注入材料、電子輸送材料の殆どが、発光材料としても使用できる。
【0059】
この発光層は、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、ディップコート法、LB法、インクジェット法などの公知の薄膜化法により製膜して形成することができる。好ましくは、スピンコート法、キャスト法、ディップコート法である。発光層としての膜厚は、特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲で選ばれる。この発光層は、これらの発光材料一種又は二種以上からなる一層構造であってもよいし、あるいは、同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
【0060】
また、この発光層は、特開昭57−51781号公報に記載されているように、樹脂などの結着材と共に上記発光材料を溶剤に溶かして溶液としたのち、これをスピンコート法などにより薄膜化して形成することができる。このようにして形成された発光層の膜厚については、特に制限はなく、状況に応じて適宜選択することができるが、通常は5nm〜5μmの範囲である。
【0061】
次に、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、および電子輸送層について説明する。
【0062】
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有し、この正孔注入層、正孔輸送層を陽極と発光層の間に介在させることにより、より低い電界で多くの正孔が発光層に注入され、そのうえ、発光層に陰極、陰極バッファー層又は電子注入層、電子輸送層より注入された電子は、発光層と正孔注入層、正孔輸送層の界面に存在する電子の障壁により、発光層内の界面に累積され発光効率が向上するなど発光性能の優れた素子となる。この正孔注入層、正孔輸送層の材料(以下、正孔注入材料、正孔輸送材料という)については、前記の好ましい性質を有するものであれば特に制限はなく、従来、光導伝材料において、正孔の電荷注入輸送材料として慣用されているものやEL素子の正孔注入層、正孔輸送層に使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
【0063】
上記正孔注入材料、正孔輸送材料は、正孔の注入もしくは輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。この正孔注入材料、正孔輸送材料としては、例えばカルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、芳香族第三級アミン化合物(例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、トリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等)、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、ポルフィリン系化合物、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、ポリシラン系化合物、ポリチオフェン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、または、(置換)ポリチオフェンーポリスチレンスルホン酸混合物等の導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマーなどが挙げられる。正孔注入材料、正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、特に(置換)ポリチオフェンーポリスチレンスルホン酸混合物等の導電性高分子オリゴマーを用いることが好ましい。
【0064】
さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
【0065】
また、p型−Si、p型−SiCなどの無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。この正孔注入層、正孔輸送層は、上記正孔注入材料、正孔輸送材料を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、ディップコート法、インクジェット法LB法などの公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔注入層、正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度である。この正孔注入層、正孔輸送層は、上記材料の一種又は二種以上からなる一層構造であってもよく、同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。さらに、必要に応じて用いられる電子注入層、電子輸送層は、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
【0066】
この電子注入層、電子輸送層に用いられる材料(以下、電子注入材料、電子輸送材料という)の例としては、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレンなどの複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体などが挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子注入材料、電子輸送材料として用いることができる。
【0067】
さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
【0068】
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えばトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)など、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子注入材料、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基などで置換されているものも、電子注入材料、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として用いられるジスチリルピラジン誘導体も、電子注入材料、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様に、n型−Si、n型−SiCなどの無機半導体も電子注入材料、電子輸送材料として用いることができる。
【0069】
この電子注入層、電子輸送層は、上記化合物を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、ディップコート法、LB法、インクジェット法などの公知の薄膜化法により製膜して形成することができる。電子注入層、電子輸送層としての膜厚は、特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲で選ばれる。この電子注入層、電子輸送層は、これらの電子注入材料、電子輸送材料一種又は二種以上からなる一層構造であってもよいし、あるいは、同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
【0070】
さらに、陽極と発光層または正孔注入層の間、および、陰極と発光層または電子注入層との間にはバッファー層(電極界面層)を存在させてもよい。
【0071】
バッファー層とは、駆動電圧低下や発光効率向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日 エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(第123頁〜第166頁)に詳細に記載されており、陽極バッファー層と陰極バッファー層とがある。
【0072】
陽極バッファー層は、特開平9−45479号、同9−260062号、同8−288069号等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
【0073】
陰極バッファー層は、特開平6−325871号、同9−17574号、同10−74586号等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウム、酸化リチウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。
【0074】
特に、本発明の有機EL素子において、陰極バッファー層が存在した場合、駆動電圧低下や発光効率向上が大きく得られた。
【0075】
上記バッファー層はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるが、その膜厚は0.1〜100nmの範囲が好ましい。
【0076】
さらに上記基本構成層の他に必要に応じてその他の機能を有する層を積層してもよく、例えば特開平11−204258号、同11−204359号、および「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日 エヌ・ティー・エス社発行)」の第237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層などのような機能層を有していても良い。
【0077】
次に有機EL素子の電極について説明する。有機EL素子の電極は、陰極と陽極からなる。
【0078】
この有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAuなどの金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnOなどの導電性透明材料が挙げられる。
【0079】
上記陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10nm〜200nmの範囲で選ばれる。
【0080】
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム/カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属などが挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化などに対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えばマグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、リチウム/アルミニウム混合物などが好適である。
【0081】
更に本発明の有機EL素子に用いる陰極としては、アルミニウム合金が好ましく、特にアルミニウム含有量が90質量%以上100質量%未満であることが好ましく、最も好ましくは95質量%以上100質量%未満である。これにより、有機EL素子の発光寿命や、最高到達輝度を非常に向上させることができる。
【0082】
上記陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜1μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光を透過させるため、有機EL素子の陽極又は陰極のいずれか一方が、透明又は半透明であれば発光効率が向上し好都合である。
【0083】
本発明の有機EL素子に好ましく用いられる基板は、ガラス、プラスチックなどの種類には特に限定はなく、また、透明のものであれば特に制限はない。本発明のエレクトロルミネッセンス素子に好ましく用いられる基板としては例えばガラス、石英、光透過性プラスチックフィルムを挙げることができる。
【0084】
光透過性プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。
【0085】
次に、該有機EL素子を作製する好適な例を説明する。例として、前記の陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極からなるEL素子の作製法について説明すると、まず適当な基板上に、所望の電極物質、例えば陽極用物質からなる薄膜を、1μm以下、好ましくは10〜200nmの範囲の膜厚になるように、蒸着やスパッタリングなどの方法により形成させ、陽極を作製する。次に、この上に陽極バッファー層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、陰極バッファー層の材料からなる薄膜を形成させる。
【0086】
この有機薄膜層の薄膜化の方法としては、前記の如くスピンコート法、キャスト法、ディップコート法、蒸着法、インクジェット法などがあるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくいなどの点から、スピンコート法が特に好ましい。さらに層ごとに異なる製膜法を適用しても良い。製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は、使用する化合物の種類、分子堆積膜の目的とする結晶構造、会合構造などにより異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度10-6〜10-2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、膜厚5nm〜5μmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
【0087】
これらの層の形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を、1μm以下好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば蒸着やスパッタリングなどの方法により形成させ、陰極を設けることにより、所望のEL素子が得られる。この有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施してもかまわないが、その際には作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
【0088】
また作製順序を逆にして、陰極、陰極バッファー層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、陽極バッファー層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られたEL素子に、直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧5〜40V程度を印加すると、発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。さらに、交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
【0089】
本発明の有機EL素子は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用しても良いし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用しても良い。動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでも良い。また、異なる発光色を有する本発明の有機EL素子を2種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。
【0090】
【実施例】
参考例1
陽極としてガラス上にITOを150nm成膜した基板(NHテクノグラス社製:NA−45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。この透明支持基板に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS)を2000rpm、60秒でスピンコー卜法により50nm成膜した後、110℃にて1時間真空乾燥し、正孔注入層を作製した。
【0091】
この上に、ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)プレカーサー溶液を1000rpm、20秒でスピンコー卜法により40nm成膜した後、150℃で2時間真空乾燥し、発光層を作製した。
【0092】
次いで、基板を真空装置内に固定し、槽内を1×10-4Pa以下まで減圧した後、LiFを0.5nm、次いでAlを100nm蒸着し、電子注入層および陰極とした。これを比較用の有機EL素子1−1を作製した。
【0093】
上記において、発光層のPPVを表1にしめす化合物に置き換えた以外は全く同じ方法で、参考の有機EL素子1−2〜1−16、1−19を作製した。
【0094】
1−17、1−18を作製する場合は、上記において、発光層のPPVを表1にしめす化合物に置き換えた以外に、PEDOT/PSSの層を省略した。
【0095】
包接錯体を作製する場合は、0.01mol/lのホスト化合物(シクロデキストリン類、または、シクロデキストリン誘導体)に、1×10-6mol/lのゲスト化合物をジメチルホルムアミドと水の1:1の混合溶液に溶解し、室温で1時間攪拌して作製した。
【0096】
有機EL素子1−1から1−19について、発光輝度と発光寿命を測定した。発光輝度は、ミノルタ製CS−1000で最高輝度を測定した。また、発光寿命は素子を窒素ガス雰囲気中にて寿命試験を行ない、初期輝度100cd/m2の半減期とした。発光輝度、及び、発光寿命のいずれも有機EL素子No.1−1の発光寿命を100とした時の有機EL素子試料それぞれの発光輝度、発光寿命の比の値(相対値)を表1に示す。
【0097】
【表1】
Figure 0004508516
【0098】
【化10】
Figure 0004508516
【0099】
表1から明らかなように、本発明の化合物を発光層に用いたエレクトロルミネッセンス素子は、発光輝度が高く、長寿命なことから、有機EL素子として非常に有用であることが判明した。ホストがβ−シクロデキストリン誘導体で最も効果が大きい。また、ホスト化合物、及び/または、ゲスト化合物がハロゲン置換されている場合に良好な性能を示していることが分かる。最も良好なのは、シクロデキストリンに正孔輸送性、または、電子輸送性の部分構造が含まれている場合である。
【0100】
実施例2
陽極としてガラス上にITOを150nm成膜した基板(NHテクノグラス社製:NA−45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。この透明支持基板に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS)を2000rpm、60秒でスピンコー卜法により50nm成膜した後、110℃にて1時間真空乾燥し、正孔注入層を作製した。
【0101】
次に、正孔輸送材料であるポリビニルカルバゾール(PVK)に電子輸送性材料として2−(4′−テルト−ブチルフェニル)−5−(4′−ビフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(TAZ)を30質量%の割合で、β−シクロデキストリンを10質量%の割合で添加した。さらに、イリジウム錯体Ir−1を3質量%の割合でドーピングし、ジメチルホルムアミドに溶解させた。この溶液を、上記正孔注入層上にスピンコー卜法により100nm成膜し、50℃にて1時間真空乾燥し、発光層とした。
【0102】
次いで、基板を真空装置内に固定し、槽内を1×10-4Pa以下まで減圧した後、LiFを0.5nm、次いでAlを100nm蒸着し、電子注入層および陰極とした。この有機EL素子を2−1とした。
【0103】
上記において、発光層のβ−シクロデキストリンを表1の1−5、1−12に記載の包接化合物に置き換えた以外は全く同じ方法で本発明の有機EL素子2−2、2−3を作製した。次に、上記において、発光層のβ−シクロデキストリンを表1の1−17、1−18に記載の包接化合物に置き換え、さらに、PVKを省略して、本発明の有機EL素子2−4、2−5を作製した。上記において、発光層のβ−シクロデキストリンを表1の1−19に記載の包接化合物に置き換えPVKでなく、TAZを省略した場合を、本発明の有機EL素子2−6とした。有機EL素子2−1から2−6について、発光輝度と発光寿命を測定した。
【0104】
発光輝度は、ミノルタ製CS−1000で最高輝度を測定した。また、発光寿命は素子を窒素ガス雰囲気中にて寿命試験を行ない、初期輝度100cd/m2の半減期とした。有機EL素子No.1−5の発光輝度、及び、発光寿命をそれぞれ100とした時の相対比較した結果を表2に示す。発色光は緑色であった。
【0105】
【表2】
Figure 0004508516
【0106】
表2から分かるように、イリジウム錯体の導入により大きな効果が見られた。イリジウム錯体をIr−9またはIr−10に代えた以外は、有機EL素子2−1〜2−6と同様にして作製した有機EL素子においても同様の効果が得られた。なお、Ir−10を用いた素子からは青色の発光が、Ir−9を用いた素子からは赤色の発光が得られた。
【0107】
実施例3
実施例2で作製したそれぞれ赤色、緑色、青色発光有機エレクトロルミネッセンス素子を同一基板上に並置し、アクティブマトリクス方式フルカラー表示装置を作製した。
【0108】
該フルカラー表示装置を駆動することにより、輝度の高い鮮明なフルカラー動画表示が得られた。
【0109】
【発明の効果】
本発明により、高輝度で長寿命な有機エレクトロルミネッセンス素子、および本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた高輝度で長寿命な表示装置を提供することができた。

Claims (4)

  1. 芳香族炭化水素およびその誘導体と、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンから選ばれる少なくとも1種との包接錯体、及びイリジウム、白金、または、オスミウム錯体の少なくともいずれか一つを含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    但し、芳香族炭化水素とは、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、デカシクレン、フルオランテン、ジフェニルベンゾフルオランテン、ペンタセン、ヘキサセン、アセナフテン、ピレン、アズレン、ペリレン、ナフトール、フェノール、ジフェニルリン酸塩、ルブレン、クリセン、トリフェニレン、コロネン、キナクリドン、ポリ(p−フェニレンビニレン)である。芳香族炭化水素の誘導体とは、上記芳香族炭化水素にさらに置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキルが置換されたものである。
  2. 芳香族炭化水素およびその誘導体と、α−シクロデキストリンの誘導体、β−シクロデキストリンの誘導体及びγ−シクロデキストリンの誘導体から選ばれる少なくとも1種との包接錯体、及びイリジウム、白金、または、オスミウム錯体の少なくともいずれか一つを含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    但し、芳香族炭化水素とは、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、デカシクレン、フルオランテン、ジフェニルベンゾフルオランテン、ペンタセン、ヘキサセン、アセナフテン、ピレン、アズレン、ペリレン、ナフトール、フェノール、ジフェニルリン酸塩、ルブレン、クリセン、トリフェニレン、コロネン、キナクリドン、ポリ(p−フェニレンビニレン)である。芳香族炭化水素の誘導体とは、上記芳香族炭化水素にさらに置換基として、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキルが置換されたものである。また、α−シクロデキストリンの誘導体、β−シクロデキストリンの誘導体及びγ−シクロデキストリンの誘導体とは、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンのグルコース残基の少なくともその一部がヒドロキシアルキル、アルキル、グリコシル、アミノ、アミド、ヒドロキシアリール、アリール、スルホニル、アシル、カルボキシメチルで置換されたもの、エピクロルヒドリンや多価グリシジルエーテルなどの架橋剤にて高分子化したもの、グルコース、マルトースなどの分岐側鎖を有するもの、及びトリアリールアミンを部分構造に有するものである。
  3. 有機エレクトロルミネッセンス素子の前記包接錯体を含有する層が、溶液中で作用させて塗布溶液とし、この塗布溶液を塗布して形成した層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を有することを特徴とする表示装置
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