JP2004342484A - 有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置及び表示装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置及び表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高い発光輝度と発光効率を示し、かつ半減寿命の長い有機エレクトロルミネッセンス素子及びそれを用いた表示装置、照明装置を提供する。
【解決手段】陰極と陽極との間にリン光性化合物を含有する発光層を少なくとも1層有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、下記一般式1で表される繰り返し単位を少なくとも一つ含む重合体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化1】
Figure 2004342484

〔式中、Aは、アルキル基、アリール基、もしくはヘテロ環基を表す。R、Rは、各々独立に、アルキル基、アリール基、もしくはシアノ基を表す。Z、Zは、各々独立に、芳香環を形成する原子群、もしくは複素芳香環を形成する原子群を表す。〕
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子及びそれを用いた照明装置、表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、発光型の電子ディスプレイデバイスとして、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)がある。ELDの構成要素としては、無機エレクトロルミネッセンス素子や有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子とも略記する)が挙げられる。無機エレクトロルミネッセンス素子は、平面型光源として使用されてきたが、発光素子を駆動させるためには交流の高電圧が必要である。
【0003】
一方、有機エレクトロルミネッセンス素子は、発光する化合物を含有する発光層を、陰極と陽極で挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光する素子であり、数V〜数10V程度の電圧で発光が可能であり、更に、自己発光型であるために視野角に富み、視認性が高く、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から注目されている。
【0004】
将来の実用化に向けた有機EL素子の開発としては、更に低消費電力で効率よく、高輝度に発光する有機EL素子が望まれており、例えば、スチルベン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、またはトリススチリルアリーレン誘導体に、微量の蛍光体をドープし、発光輝度の向上、素子の長寿命化を達成する技術(例えば、特許文献1参照。)、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体をホスト化合物として、これに微量の蛍光体をドープした有機発光層を有する素子(例えば、特許文献2参照。)、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム錯体をホスト化合物として、これにキナクリドン系色素をドープした有機発光層を有する素子(例えば、特許文献3参照。)等が知られている。
【0005】
上記文献に開示されている技術では、励起一重項からの発光を用いる場合、一重項励起子と三重項励起子の生成比が1:3であるため、発光性励起種の生成確率が25%であることと、光の取り出し効率が約20%であるため、外部取り出し量子効率(ηext)の限界は5%とされている。
【0006】
一方、プリンストン大より、励起三重項からの燐光発光を用いる有機EL素子の報告(例えば、非特許文献1参照。)がされて以来、室温で燐光を示す材料の研究が活発になってきている(例えば、非特許文献2及び特許文献4参照。)。
【0007】
励起三重項を使用すると、内部量子効率の上限が100%となるため、励起一重項の場合に比べて原理的に発光効率が4倍となり、冷陰極管とほぼ同等の性能が得られ照明用にも応用可能であり注目されている。
【0008】
一方、有機EL素子の発光輝度と発光寿命の向上のために、発光層と陰極の間に、発光層からの正孔の移動を制限する正孔ブロック層を設けることが提案されている。この正孔ブロック層により、正孔を発光層中に効率よく蓄積することによって、電子との再結合確率を向上させ、発光の高効率化を達成することができる。正孔ブロック材料としてフェナントロリン誘導体やトリアゾール誘導体の単独使用が有効であると報告されている(特許文献5及び特許文献6参照)。また、ある特定のアルミニウム錯体を正孔ブロック層に使用して、長寿命な有機EL素子を実現している(特許文献7参照)。
【0009】
このように正孔ブロック層の導入により、燐光性化合物を使用した有機EL素子では緑色では内部量子効率としてほぼ100%、寿命についても2万時間が達成されている(非特許文献3参照)が、発光輝度については、まだ改善の余地が残っている。
【0010】
また、青〜青緑色の燐光性化合物をドーパントとして用いた場合、CBPのようなカルバゾール誘導体をホスト化合物として使用した例があるが、その外部取り出し量子効率が6%と、不十分な結果であり(非特許文献4参照)、改良の余地が残っている。青色に関しては、蛍光性化合物からの発光を利用したものであるが、カルバゾール誘導体の分子の真中のビアリール部位に連結基を導入して、青色の色純度に優れ、長寿命な有機EL素子が作成されている(例えば、特許文献8参照)。さらに、前記化合物に加えて、特定の五配位の金属錯体を正孔阻止層に使用、リン光性化合物をドーパントとして使用した場合に、更なる長寿命化が達成されている(例えば、特許文献9参照)。
【0011】
さらに、他にもカルバゾール誘導体を用いた有機EL素子が作製されている(例えば、特許文献10〜16)。しかしながら、上記特許に記載のカルバゾール誘導体は、実用化に耐えうる発光効率と耐熱性を有するまでには至っていない。今後の実用化に向けた有機EL素子では、更に、低消費電力で効率よく高輝度に発光し、さらに長寿命である有機EL素子の開発が望まれている。
【0012】
【特許文献1】
特許第3093796号明細書
【0013】
【特許文献2】
特開昭63−264692号公報
【0014】
【特許文献3】
特開平3−255190号公報
【0015】
【特許文献4】
米国特許第6,097,147号明細書
【0016】
【特許文献5】
特開平8−109373号公報
【0017】
【特許文献6】
特開平10−233284号公報
【0018】
【特許文献7】
特開2001−284056号公報
【0019】
【特許文献8】
特開2000−21572号公報
【0020】
【特許文献9】
特開2002−8860号公報
【0021】
【特許文献10】
特開2002−203663号公報
【0022】
【特許文献11】
特開平8−3547号公報
【0023】
【特許文献12】
特開平8−143861号公報
【0024】
【特許文献13】
特開平8−143862号公報
【0025】
【特許文献14】
特開平9−249876号公報
【0026】
【特許文献15】
特開平11−144866号公報
【0027】
【特許文献16】
特開平11−144867号公報
【0028】
【非特許文献1】
M.A.Baldo et al.,nature、395巻、151−154ページ(1998年)
【0029】
【非特許文献2】
M.A.Baldo et al.,nature、403巻、17号、750−753ページ(2000年)
【0030】
【非特許文献3】
第62回応用物理学会学術講演会予稿集12−a−M7、パイオニア技術情報誌、第11巻、第1号
【0031】
【非特許文献4】
第62回応用物理学会学術講演会予稿集12−a−M8
【0032】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高い発光輝度と発光効率を示し、かつ長寿命である有機エレクトロルミネッセンス素子及びそれを用いた照明装置、表示装置を提供することである。
【0033】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
【0034】
(1) 陰極と陽極との間にリン光性化合物を含有する発光層を少なくとも1層有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記一般式1で表される繰り返し単位を少なくとも一つ含む重合体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0035】
(2) 陰極と陽極との間にリン光性化合物を含有する発光層を少なくとも1層有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記一般式2で表される繰り返し単位を少なくとも一つ含む重合体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0036】
(3) 前記発光層に前記重合体を含有することを特徴とする(1)又は(2)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0037】
(4) 前記陽極と前記発光層とに隣接する有機層を設け、該有機層にポリジオキシチオフェン類を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0038】
(5) 前記重合体の数平均分子量が500〜300000であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0039】
(6) 発光が白色であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0040】
(7) (1)〜(6)のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする表示装置。
【0041】
(8) (1)〜(6)のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする照明装置。
【0042】
(9) (8)に記載の照明装置と、表示手段として液晶素子と、を備えたことを特徴とする表示装置。
【0043】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者等は、鋭意検討の結果、陰極と陽極の間にリン光性化合物を含有する発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記一般式1で表される繰り返し単位を少なくとも一つ含む重合体を含有させることにより、高い発光輝度と高い発光効率を示し、かつ長寿命である有機エレクトロルミネッセンス素子とすることができることを見出した。
【0044】
即ち本発明者等は、カルバゾール骨格を有し、かつ該カルバゾール部分が非共役の4置換メチレンを介して繰り返し単位となる主鎖型オリゴマーまたはポリマーを有機EL素子のいずれかの層中に含有させることにより、キャリア輸送性と膜物性の向上の両立が計れることを見出し、これにより、高い発光輝度と高い発光効率を示し、かつ長寿命である有機エレクトロルミネッセンス素子とすることができることを見出した。
【0045】
一般式1において、Aは置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基、または置換又は未置換のヘテロ環基を表す。その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、フェニル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基、ピリジル基等が挙げられ、これらは更に置換基で置換されていても良い。置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)、シアノ基、アリール基(フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基、1−ナフトキシ基等)、ジアリールアミノ基(ジフェニルアミノ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基、トリルチオ基等)等が挙げられる。
【0046】
一般式1において、R、Rは、各々独立に、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、もしくはシアノ基を表す。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、トリフルオロメチル基等があげられ、アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基、等が挙げられ、これらは置換基で置換されていても良い。置換基としては、Aの説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。また、RとRが互いに結合して環を形成しても良い。
【0047】
一般式1において、Z、Zは、各々独立に、芳香環を形成する原子群、もしくは複素芳香環を形成する原子群を表す。Z、Zはベンゼン環を形成する原子群であることが特に好ましい。
【0048】
本発明において、一般式1で表される繰り返し単位を有する重合体は、ホモポリマーでも、他の複数のモノマーとの共重合体であってもよい。共重合するモノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル誘導体、メタクリル酸エステル誘導体、アクリルアミド誘導体、スチレン誘導体等が挙げられる。一般式1で表される繰り返し単位を有する重合体が共重合体である場合には、一般式1で表される繰り返し単位が0.1〜95モル%含まれる共重合体であることが好ましく、25〜75モル%であることがより好ましい。これにより、より高い発光輝度と発光効率を示し、かつさらに長寿命とすることができる。
【0049】
本発明においては、一般式1で表される繰り返し単位を有する重合体は、前記一般式2で表される繰り返し単位を有する重合体であることが好ましく、これにより、より一層高い発光輝度と発光効率を示し、かつさらに長寿命である有機EL素子とすることができる。
【0050】
なお、一般式2のA、R、Rは、一般式1で説明したA、R、Rと同じである。
【0051】
以下に、本発明に係る重合体の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0052】
【化3】
Figure 2004342484
【0053】
【化4】
Figure 2004342484
【0054】
【化5】
Figure 2004342484
【0055】
【化6】
Figure 2004342484
【0056】
【化7】
Figure 2004342484
【0057】
【化8】
Figure 2004342484
【0058】
【化9】
Figure 2004342484
【0059】
【化10】
Figure 2004342484
【0060】
【化11】
Figure 2004342484
【0061】
【化12】
Figure 2004342484
【0062】
【化13】
Figure 2004342484
【0063】
【化14】
Figure 2004342484
【0064】
【化15】
Figure 2004342484
【0065】
【化16】
Figure 2004342484
【0066】
【化17】
Figure 2004342484
【0067】
【化18】
Figure 2004342484
【0068】
【化19】
Figure 2004342484
【0069】
【化20】
Figure 2004342484
【0070】
【化21】
Figure 2004342484
【0071】
【化22】
Figure 2004342484
【0072】
【化23】
Figure 2004342484
【0073】
【化24】
Figure 2004342484
【0074】
【化25】
Figure 2004342484
【0075】
【化26】
Figure 2004342484
【0076】
【化27】
Figure 2004342484
【0077】
上記の重合体は、一般的には下式のようにカルバゾール誘導体とケトンの酸触媒存在下の縮合反応で製造することができ、例えば、米国特許、第4,624,999号や同4,631,323号に開示されている方法や、Macromolecules,1999年,32巻,4849−4854項等に記載されている方法に従って行うことができる。
【0078】
【化28】
Figure 2004342484
【0079】
本発明に係る重合体は、前述したように単一の成分からなるホモポリマーであっても良いし、多成分からなる共重合体であっても良い。また特定の可溶溶媒中でモノマーを重合させて得られた重合体をそのまま、あるいは必要に応じて精製したのちに使用しても良い。
【0080】
本発明に係る重合体は、有機EL素子のいずれの層に含有されていてもよいが、リン光性化合物を含有する発光層に含有されることが特に好ましい。これにより、より一層高い発光輝度と発光効率を示し、かつさらに長寿命である有機EL素子とすることができる。
【0081】
本発明に係る重合体の数平均分子量は500〜300000であることが好ましく、これにより、より一層高い発光輝度と発光効率を示し、かつさらに長寿命である有機EL素子とすることができる。なお、数平均分子量は、GPCで測定した値である。
【0082】
本発明に係る重合体を含有する有機層を形成する場合には、本発明に係る重合体を溶媒中に溶解し、塗布、キャスティング、ディッピング等により基板上に所望の有機層を形成することができる。
【0083】
これらの溶媒としては、特に限定されるものではなく、公知の材料のものから好適なものを選択して用いることができる。具体的には、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、酢酸、メチルセロソルブ、エチレングリコール、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン及びこれらの混合溶媒などを材料により使い分ければよい。
【0084】
本発明の有機EL素子は、陽極と発光層とに隣接するように有機層を設け、その有機層にポリジオキシチオフェン類を含有させておくことが好ましい。これにより、より一層高い発光輝度と発光効率を示し、かつさらに長寿命である有機EL素子とすることができる。
【0085】
ポリジオキシチオフェン類は、好ましくはポリアニオンの存在下でカチオン帯電していて、一般式3で表される構造単位を含有するものである。
【0086】
【化29】
Figure 2004342484
【0087】
一般式3において、AおよびAは、各々独立に置換又は未置換の炭素数1〜14のアルキル基を表すか、あるいは一緒になって置換又は未置換の炭素数1〜14のアルキレンを形成しており、そしてnは、2から10,000、好ましくは5から5000の整数を表す。
【0088】
ポリジオキシチオフェン類には、特に好ましくはPEDOTーPESS膜(ポリエチレンジオキシチオフェンーポリスチレンスルホン酸ドープ体)が挙げられる。
【0089】
次に本発明の有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0090】
I:陽極/発光層/陰極
II:陽極/発光層/電子輸送層/陰極
III:陽極/陽極バッファー層/発光層/陰極
IV:陽極/陽極バッファー層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
V:陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
VI:陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
VII:陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
VIII:陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
《陽極》
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
【0091】
《陰極》
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜1000nm、好ましくは50nm〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が、透明または半透明であれば、発光輝度が向上し好都合である。
【0092】
次に、本発明の有機EL素子の構成層として用いられる、注入層、正孔輸送層、電子輸送層等について説明する。
【0093】
《注入層:電子注入層、正孔注入層》
注入層は、必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、上記のごとく陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
【0094】
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日 エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
【0095】
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。なかでも、ポリジオキシチオフェン類を用いたものが好ましく、これにより、より一層高い発光輝度と発光効率を示し、かつさらに長寿命である有機EL素子とすることができる。また、陽極バッファー層は、陽極と発光層との間にあり、陰極と発光層とに隣接するように設けられていることが好ましい。これにより、より一層高い発光輝度と発光効率を示し、かつさらに長寿命である有機EL素子とすることができる。
【0096】
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。
【0097】
上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるが、その膜厚は0.1nm〜100nmの範囲が好ましい。
【0098】
阻止層は、上記のごとく、有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号、同11−204359号、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日 エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
【0099】
《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層であり、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
【0100】
正孔阻止層は、正孔輸送層から移動してくる正孔を陰極に到達するのを阻止する役割と、陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送することができる化合物により形成される。正孔阻止層を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、及び正孔を効率的に発光層内に閉じこめるために、発光層のイオン化ポテンシャルより大きいイオン化ポテンシャルの値を有するか、発光層のバンドギャップより大きいバンドギャップを有することが好ましい。正孔阻止材料としては、スチリル化合物、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ボロン誘導体の少なくとも1種を用いることも本発明の効果を得るうえで有効である。
【0101】
その他の化合物例として、特開2003−31367号、同2003−31368号、特許第2721441号等に記載の例示化合物が挙げられる。
【0102】
一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層であり、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
【0103】
《発光層》
本発明に係る発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
【0104】
本発明においては、発光層に使用される発光材料にリン光性化合物を含有している。これにより、より発光効率の高い有機EL素子とすることができる。
【0105】
本発明においてリン光性化合物は、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物である。リン光量子収率は好ましくは0.1以上である。
【0106】
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に用いられるリン光性化合物は、任意の溶媒の何れかにおいて上記リン光量子収率が達成されればよい。
【0107】
リン光性化合物の発光は、原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光性化合物に移動させることでリン光性化合物からの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つはリン光性化合物がキャリアトラップとなり、リン光性化合物上でキャリアの再結合が起こりリン光性化合物からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、リン光性化合物の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
【0108】
リン光性化合物は、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。
【0109】
本発明で用いられるリン光性化合物としては、好ましくは元素の周期律表で8族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくは、イリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
【0110】
以下に、本発明で用いられるリン光性化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。これらの化合物は、例えば、Inorg.Chem.40巻、1704〜1711に記載の方法等により合成できる。
【0111】
【化30】
Figure 2004342484
【0112】
【化31】
Figure 2004342484
【0113】
【化32】
Figure 2004342484
【0114】
【化33】
Figure 2004342484
【0115】
本発明においては、リン光性化合物のリン光発光極大波長としては特に制限されるものではなく、原理的には、中心金属、配位子、配位子の置換基等を選択することで得られる発光波長を変化させることができるが、リン光性化合物のリン光発光波長が380〜480nmにリン光発光の極大波長を有することが好ましい。このような青色リン光発光の有機EL素子や、白色リン光発光の有機EL素子で、より高い発光輝度を示し、かつ、より半減寿命の長い有機エレクトロルミネッセンス素子とすることができる。
【0116】
また、発光層には、リン光性化合物の他にホスト化合物を含有してもよい。
本発明においてホスト化合物は、発光層に含有される化合物のうちで室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.01未満の化合物である。
【0117】
本発明においては、前述したように本発明に係る重合体を発光層に含有させるのが特に好ましい。これにより、より一層高い発光輝度と発光効率を示し、かつ、より一層半減寿命の長い有機エレクトロルミネッセンス素子とすることができる。
【0118】
さらに、公知のホスト化合物を複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種もちいることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、リン光性化合物を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。リン光性化合物の種類、ドープ量を調整することで白色発光が可能であり、照明装置、バックライトへの応用もできる。
【0119】
これらの公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、かつ、発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。
【0120】
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が挙げられる。
【0121】
特開2001−257076、特開2002−308855、特開2001−313179、特開2002−319491、特開2001−357977、特開2002−334786、特開2002−8860、特開2002−334787、特開2002−15871、特開2002−334788、特開2002−43056、特開2002−334789、特開2002−75645、特開2002−338579、特開2002−105445、特開2002−343568、特開2002−141173、特開2002−352957、特開2002−203683、特開2002−363227、特開2002−231453、特開2003−3165、特開2002−234888、特開2003−27048、特開2002−255934、特開2002−260861、特開2002−280183、特開2002−299060、特開2002−302516、特開2002−305083、特開2002−305084、特開2002−308837等。
【0122】
また、発光層は、ホスト化合物としてさらに蛍光極大波長を有するホスト化合物を含有していてもよい。この場合、他のホスト化合物とリン光性化合物から蛍光性化合物へのエネルギー移動で、有機EL素子としての電界発光は蛍光極大波長を有する他のホスト化合物からの発光も得られる。蛍光極大波長を有するホスト化合物として好ましいのは、溶液状態で蛍光量子収率が高いものである。ここで、蛍光量子収率は10%以上、特に30%以上が好ましい。具体的な蛍光極大波長を有するホスト化合物としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素等が挙げられる。蛍光量子収率は、前記第4版実験化学講座7の分光IIの362頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定することができる。
【0123】
本明細書の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−1000(ミノルタ製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
【0124】
発光層は、上記化合物を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜化法により製膜して形成することができるが、好ましくはスピンコート法である。発光層としての膜厚は特に制限はないが、通常は5nm〜5μm、好ましくは5nm〜200nmの範囲で選ばれる。この発光層は、これらのリン光性化合物やホスト化合物が1種または2種以上からなる一層構造であってもよいし、あるいは、同一組成または異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
【0125】
《正孔輸送層》
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層、電子輸送層は単層もしくは複数層設けることができる。
【0126】
正孔輸送材料としては、特に制限はなく、従来、光導伝材料において、正孔の電荷注入輸送材料として慣用されているものやEL素子の正孔注入層、正孔輸送層に使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
【0127】
正孔輸送材料は、正孔の注入もしくは輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
【0128】
正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第三級アミン化合物を用いることが好ましい。
【0129】
芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノフェニル;N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1’−ビフェニル〕−4,4’−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N’,N’−テトラ−p−トリル−4,4’−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル;N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル;4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4’−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4’−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、さらには、米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4’−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4’,4’’−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
【0130】
更に、これらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
【0131】
また、p型−Si,p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
【0132】
また、本発明においては正孔輸送層の正孔輸送材料は415nm以下に蛍光極大波長を有することが好ましい。すなわち、正孔輸送材料は、正孔輸送能を有しつつかつ、発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tgである化合物が好ましい。
【0133】
この正孔輸送層は、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5〜5000nm程度である。この正孔輸送層は、上記材料の一種または二種以上からなる一層構造であってもよい。
【0134】
《電子輸送層》
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層もしくは複数層設けることができる。
【0135】
従来、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、この電子輸送層に用いられる材料(以下、電子輸送材料という)の例としては、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体などが挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。
【0136】
さらに、電子輸送層は、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
【0137】
更に、これらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
【0138】
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えばトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)など、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基などで置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様に、n型−Si、n型−SiCなどの無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
【0139】
電子輸送層に用いられる好ましい化合物は、415nm以下に蛍光極大波長を有することが好ましい。すなわち、電子輸送層に用いられる化合物は、電子輸送能を有しつつかつ、発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tgである化合物が好ましい。
【0140】
この電子輸送層は、上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5〜5000nm程度である。この電子輸送層は、上記材料の一種または二種以上からなる一層構造であってもよい。
【0141】
《基体(基板、基材、支持体等ともいう)》
本発明の有機EL素子に用いることができる基体としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また、透明のものであれば特に制限はないが、好ましく用いられる基板としては例えばガラス、石英、光透過性樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい基体は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
【0142】
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。
【0143】
樹脂フィルムの表面には、無機物もしくは有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよい。
【0144】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の発光の室温における外部取り出し効率は、1%以上であることが好ましく、より好ましくは2%以上である。ここに、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
【0145】
また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用してもよい。
本発明の多色表示装置は少なくとも2種類の異なる発光極大波長を有する有機EL素子からなるが、有機EL素子を作製する好適な例を説明する。
【0146】
《有機EL素子の作製方法》
本発明の有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/陽極バッファー層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極からなる有機EL素子の作製法について説明する。
【0147】
まず適当な基体上に、所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる層を、1μm以下、好ましくは10nm〜200nmの膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陽極を作製する。次に、この上に素子材料である陽極バッファー層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層の有機化合物薄膜を形成させる。
【0148】
この有機化合物薄膜の薄膜化の方法としては、前記の如くスピンコート法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、印刷法等があるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法またはスピンコート法が特に好ましい。さらに層ごとに異なる製膜法を適用してもよい。製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は、使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度10−6Pa〜10−2Pa、蒸着速度0.01nm〜50nm/秒、基板温度−50℃〜300℃、膜厚0.1nm〜5μmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
【0149】
これらの層の形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を、1μm以下好ましくは50nm〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより、所望の有機EL素子が得られる。この有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施してもかまわない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
【0150】
本発明の表示装置は、発光層形成時のみシャドーマスクを設け、他層は共通として、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で層を形成することができる。
【0151】
また作製順序を逆にして、各層を作製することも可能である。
このようにして得られた表示装置に、直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると、発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。さらに、交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
【0152】
本発明の表示装置は、本発明の有機EL素子を用いており、表示デバイス、ディスプレー、各種発光光源として用いることができる。表示デバイス、ディスプレーにおいて、青、赤、緑発光の3種の有機EL素子を用いることにより、フルカラーの表示が可能となる。
【0153】
表示デバイス、ディスプレーとしてはテレビ、パソコン、モバイル機器、AV機器、文字放送表示、自動車内の情報表示等が挙げられる。特に静止画像や動画像を再生する表示装置として使用してもよく、動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリックス(パッシブマトリックス)方式でもアクティブマトリックス方式でもどちらでもよい。
【0154】
本発明の照明装置は、本発明の有機EL素子を用いており、家庭用照明、車内照明、時計のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではない。また、液晶表示装置等のバックライトとしても用いることができる。
【0155】
また、本発明に係る有機EL素子に共振器構造を持たせた有機EL素子として用いてもよい。
【0156】
このような共振器構造を有した有機EL素子の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより、上記用途に使用してもよい。
【0157】
本発明の有機EL素子は、前述したように照明用や露光光源のような1種のランプとして使用してもよいし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用してもよい。動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでもよい。または、異なる発光色を有する本発明の有機EL素子を3種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。または、一色の発光色、例えば白色発光をカラーフィルターを用いてBGRにし、フルカラー化することも可能である。さらに、有機ELの発光色を色変換フィルターを用いて他色に変換しフルカラー化することも可能であるが、その場合、有機EL発光のλmaxは480nm以下であることが好ましい。
【0158】
本発明の有機EL素子から構成される表示装置の一例を図面に基づいて以下に説明する。
【0159】
図1は、有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。有機EL素子の発光により画像情報の表示を行う、例えば、携帯電話等のディスプレイの模式図である。
【0160】
ディスプレイ1は、複数の画素を有する表示部A、画像情報に基づいて表示部Aの画像走査を行う制御部B等からなる。
【0161】
制御部Bは、表示部Aと電気的に接続され、複数の画素それぞれに外部からの画像情報に基づいて走査信号と画像データ信号を送り、走査信号により走査線毎の画素が画像データ信号に応じて順次発光して画像走査を行って画像情報を表示部Aに表示する。
【0162】
図2は、表示部Aの模式図である。
表示部Aは基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と、複数の画素3等とを有する。表示部Aの主要な部材の説明を以下に行う。図2においては、画素3の発光した光が、白矢印方向(下方向)へ取り出される場合を示している。
【0163】
配線部の走査線5及び複数のデータ線6は、それぞれ導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示せず)。
【0164】
画素3は、走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素を、適宜、同一基板上に並置することによって、フルカラー表示が可能となる。
【0165】
次に、画素の発光プロセスを説明する。
図3は、画素の模式図である。
【0166】
画素は、有機EL素子10、スイッチングトランジスタ11、駆動トランジスタ12、コンデンサ13等を備えている。複数の画素に有機EL素子10として、赤色、緑色、青色発光の有機EL素子を用い、これらを同一基板上に並置することでフルカラー表示を行うことができる。
【0167】
図3において、制御部Bからデータ線6を介してスイッチングトランジスタ11のドレインに画像データ信号が印加される。そして、制御部Bから走査線5を介してスイッチングトランジスタ11のゲートに走査信号が印加されると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオンし、ドレインに印加された画像データ信号がコンデンサ13と駆動トランジスタ12のゲートに伝達される。
【0168】
画像データ信号の伝達により、コンデンサ13が画像データ信号の電位に応じて充電されるとともに、駆動トランジスタ12の駆動がオンする。駆動トランジスタ12は、ドレインが電源ライン7に接続され、ソースが有機EL素子10の電極に接続されており、ゲートに印加された画像データ信号の電位に応じて電源ライン7から有機EL素子10に電流が供給される。
【0169】
制御部Bの順次走査により走査信号が次の走査線5に移ると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフする。しかし、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフしてもコンデンサ13は充電された画像データ信号の電位を保持するので、駆動トランジスタ12の駆動はオン状態が保たれて、次の走査信号の印加が行われるまで有機EL素子10の発光が継続する。順次走査により次に走査信号が印加されたとき、走査信号に同期した次の画像データ信号の電位に応じて駆動トランジスタ12が駆動して有機EL素子10が発光する。
【0170】
すなわち、有機EL素子10の発光は、複数の画素それぞれの有機EL素子10に対して、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタ11と駆動トランジスタ12を設けて、複数の画素3それぞれの有機EL素子10の発光を行っている。このような発光方法をアクティブマトリクス方式と呼んでいる。
【0171】
ここで、有機EL素子10の発光は、複数の階調電位を持つ多値の画像データ信号による複数の階調の発光でもよいし、2値の画像データ信号による所定の発光量のオン、オフでもよい。
【0172】
また、コンデンサ13の電位の保持は、次の走査信号の印加まで継続して保持してもよいし、次の走査信号が印加される直前に放電させてもよい。
【0173】
本発明においては、上述したアクティブマトリクス方式に限らず、走査信号が走査されたときのみデータ信号に応じて有機EL素子を発光させるパッシブマトリクス方式の発光駆動でもよい。
【0174】
図4は、パッシブマトリクス方式による表示装置の模式図である。図4において、複数の走査線5と複数の画像データ線6が画素3を挟んで対向して格子状に設けられている。
【0175】
順次走査により走査線5の走査信号が印加されたとき、印加された走査線5に接続している画素3が画像データ信号に応じて発光する。パッシブマトリクス方式では画素3にアクティブ素子がなく、製造コストの低減が計れる。
【0176】
【実施例】
実施例1
〈重合体の合成〉
米国特許4,624,999号に従って、以下に挙げる重合体を合成した。数平均分子量は、GPCにより測定した。
【0177】
【表1】
Figure 2004342484
【0178】
〈有機EL素子1−1〜1−9の作製〉
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウムチンオキシド)を100nm成膜した基板(NHテクノグラス社製NA−45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行なった。
【0179】
この透明支持基板上に、PVKを30mgとIr−1の1.8mgをジクロロベンゼン1mlに溶解させ、1000rpm、5secの条件下、膜厚100nmとなるようにスピンコートして、60度で1時間真空乾燥し、発光層とした。
【0180】
この透明支持基板を、市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方、モリブデン製抵抗加熱ボートに、フッ化リチウム、アルミニウムを入れ真空蒸着装置に取付けた。
【0181】
次いで、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、フッ化リチウム0.5nm、アルミニウム110nmの膜厚となるように蒸着して陰極を形成して、有機EL素子1−1とした。
【0182】
上記の有機EL素子1−1の製造方法において、発光層に用いたPVKを表2に記載の重合体に変更した以外は有機EL素子1−1の製造方法と同様にして、有機EL素子1−2〜1−9を作製した。
【0183】
【化34】
Figure 2004342484
【0184】
なお、※は連結部、nは1以上の整数を表す。
〈有機EL素子1−1〜1−9の評価〉
得られた有機EL素子1−1〜1−9について下記に示す評価を行った。結果を表2に示す。
【0185】
(発光輝度、発光効率、半減寿命)
有機EL素子1−1〜1−9の各々の素子を、温度23度、乾燥窒素ガス雰囲気下で2.5mA/cmの電流を供給した時の発光輝度(cd/m)、発光効率(lm/W)及び発光輝度の半減する時間である半減寿命を測定した。ここで、発光輝度の測定などにはCS−1000(ミノルタ製)を用いた。
【0186】
なお、表2の発光輝度、発光効率、半減寿命の評価結果は、有機EL素子1−1の測定値を100とした時の相対値で表した。
【0187】
【表2】
Figure 2004342484
【0188】
表2より明らかなように、本発明の有機EL素子は、発光輝度、発光効率及び半減寿命のいずれにおいても非常に優れていることがわかった。
【0189】
同様にして、有機EL素子1−1〜1−9の発光層に用いたIr−1をIr−6に変更して有機EL素子1−1R〜1−9Rを作製し、同様に評価してみたが、本発明の有機EL素子は、発光輝度、発光効率及び半減寿命のいずれにおいても非常に優れていることがわかった。
【0190】
実施例2
〈有機EL素子2−1〜2−8の作製〉
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウムチンオキシド)を100nm成膜した基板(NHテクノグラス社製NA−45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行なった。この透明支持基板上にPEDOT/PESS溶液(ポリエチレンジオキシチオフェン−ポリスルフォン酸ドープ体;バイエル製baytron)を膜厚約100nmでスピンコートした後、真空加熱乾燥した。この上にPC−1を30mg、Ir−1を1.5mg、2−(4−ビフェニルイル)−6−(4−t−ブチルフェニル)1,3,4−オキサジアゾール2mgをジクロロメタン2mlに溶解し、その溶液をスピンコートすることで膜厚100nmの発光層を得た。
【0191】
さらに、この透明支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方、モリブデン製抵抗加熱ボートに、マグネシウム、銀を入れ真空蒸着装置に取付けた。次いで、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、マグネシウム及び銀を10:1で共蒸着して膜厚110nmの陰極を形成した。最後にガラス封止をし、有機EL素子2−1を作製した。
【0192】
上記の有機EL素子2−1の製造方法において、発光層に用いたPC−1を表3に記載の重合体に変更した以外は有機EL素子2−1の製造方法と同様にして、有機EL素子2−2〜2−8を作製した。
〈有機EL素子2−1〜2−8の評価〉
得られた有機EL素子2−1〜2−8の評価を実施例1と同様の評価法で評価した。結果を表3に示す。
【0193】
なお、表3の発光輝度、発光効率、半減寿命の評価結果は、有機EL素子2−1の測定値を100とした時の相対値で表した。
【0194】
【表3】
Figure 2004342484
【0195】
表3より明らかなように、本発明の有機EL素子は、発光輝度、発光効率及び半減寿命のいずれにおいても非常に優れていることがわかった。
【0196】
実施例3
〈有機EL素子3−1〜3−8の作製〉
陽極として100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上にITO(インジウムチンオキシド)を100nm成膜した基板(NHテクノグラス社製NA−45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行なった。この透明支持基板上にPEDOT/PESS溶液(ポリエチレンジオキシチオフェン−ポリスルフォン酸ドープ体;バイエル製baytron)を膜厚約100nmでスピンコートした後、真空加熱乾燥した。この上にPC−1を20mgと、Ir−12を1.0mgとをテトラヒドロフラン2mlに溶解し、その溶液をスピンコートすることで膜厚100nmの発光層を得た。
【0197】
さらに、この透明支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方、モリブデン製抵抗加熱ボートに、バソキュプロイン(BC)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)、リチウム、アルミニウムを入れ真空蒸着装置に取付けた。次いで、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、正孔阻止層としてBCを10nm蒸着させ、さらにその上に電子輸送層としてAlqを20nm蒸着させた。さらにこの上にリチウム及びアルミニウムを6:1で共蒸着して膜厚110nmの陰極を形成した。最後にガラス封止をして有機EL素子3−1を作製した。
【0198】
上記の有機EL素子3−1の製造方法において、発光層に用いたPC−1を表4に記載の重合体に変更した以外は有機EL素子3−1の製造方法と同様にして、有機EL素子3−2〜3−8を作製した。
【0199】
上記で使用した化合物の構造を以下に示す。
【0200】
【化35】
Figure 2004342484
【0201】
〈有機EL素子3−1〜3−8の評価〉
得られた有機EL素子3−1〜3−8の評価を実施例1と同様の評価法で評価した。結果を表4に示す。
【0202】
なお、表4の発光輝度、発光効率の評価結果は、有機EL素子3−1の測定値を100とした時の相対値で表した。
【0203】
【表4】
Figure 2004342484
【0204】
表4より明らかなように、本発明の有機EL素子は、発光輝度及び発光効率のいずれにおいても非常に優れていることがわかった。
【0205】
実施例4
《フルカラー表示装置の作製》
(青色発光有機EL素子の作製)
実施例3で作製した有機EL素子3−3を用いた。
【0206】
(緑色発光有機EL素子の作製)
実施例1で作製した有機EL素子1−3を用いた。
【0207】
(赤色発光有機EL素子の作製)
実施例1で作製した有機EL素子1−3Rを用いた。
【0208】
上記で作製した赤色、緑色及び青色発光有機EL素子を、同一基板上に並置し、図1に記載の形態を有するアクティブマトリクス方式フルカラー表示装置を作製し、図2には、作製した前記表示装置の表示部Aの模式図のみを示した。即ち、同一基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と、並置した複数の画素3(発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素等)とを有し、配線部の走査線5及び複数のデータ線6はそれぞれ導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示せず)。前記複数の画素3は、それぞれの発光色に対応した有機EL素子、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタと駆動トランジスタそれぞれが設けられたアクティブマトリクス方式で駆動されており、走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。この様に各赤、緑、青の画素を適宜、並置することによって、フルカラー表示装置を作製した。
【0209】
該フルカラー表示装置を駆動することにより、輝度が高く、高発光効率であり、長寿命なフルカラー動画表示が得られることを確認することができた。
【0210】
【発明の効果】
本発明により、高い発光輝度と発光効率を示し、かつ半減寿命の長い有機エレクトロルミネッセンス素子及びそれを用いた表示装置、照明装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。
【図2】表示部Aの模式図である。
【図3】画素の模式図である。
【図4】パッシブマトリクス方式による表示装置の模式図である。
【符号の説明】
1 ディスプレイ
3 画素
5 走査線
6 データ線
7 電源ライン
10 有機EL素子
11 スイッチングトランジスタ
12 駆動トランジスタ
13 コンデンサ
A 表示部
B 制御部

Claims (9)

  1. 陰極と陽極との間にリン光性化合物を含有する発光層を少なくとも1層有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、下記一般式1で表される繰り返し単位を少なくとも一つ含む重合体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2004342484
    〔式中、Aは、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基、もしくは置換又は未置換のヘテロ環基を表す。R、Rは、各々独立に、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、もしくはシアノ基を表し、RとRとが互いに結合して環を形成しても良い。Z、Zは、各々独立に、芳香環を形成する原子群、もしくは複素芳香環を形成する原子群を表す。〕
  2. 陰極と陽極との間にリン光性化合物を含有する発光層を少なくとも1層有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、下記一般式2で表される繰り返し単位を少なくとも一つ含む重合体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2004342484
    〔式中、Aは、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基、もしくは置換又は未置換のヘテロ環基を表す。R、Rは、各々独立に、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、もしくはシアノ基を表し、RとRとが互いに結合して環を形成しても良い。〕
  3. 前記発光層に前記重合体を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記陽極と前記発光層とに隣接する有機層を設け、該有機層にポリジオキシチオフェン類を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記重合体の数平均分子量が500〜300000であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 発光が白色であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする表示装置。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えたことを特徴とする照明装置。
  9. 請求項8に記載の照明装置と、表示手段として液晶素子と、を備えたことを特徴とする表示装置。
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