JP4508201B2 - 雨滴検知装置 - Google Patents

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本発明は、車両用ワイパ自動制御装置又は建物用窓自動開閉装置などに用いて好適な雨滴検知装置に関する。
一般に、車両用ワイパ自動制御装置又は建物用窓自動開閉装置などに用いられる雨滴検知装置は、窓ガラスに向けて光を照射する発光素子(例えば発光ダイオードLED)と、窓ガラスの反射光を受光し電気信号に変換する光電変換素子(例えばフォトダイオードPD)と、光電変換素子の出力値(厳密には、光電変換素子に接続された検波・増幅回路の出力値)と雨判定のための閾値とを比較し晴雨を判定する演算処理回路とを備えて構成され、窓ガラスに付着した雨滴状態に応じてワイパの払拭動作モードや窓ガラスの開閉動作などを制御するようにしている。
しかし、発光素子の発光量及び光電変換素子の出力値は温度によって変化するため、光電変換素子の温度特性により誤判定をし、晴れ時にもかかわらずワイパを作動させたり、開放状態の窓ガラスを閉じてしまうなどといった誤動作が発生する。
そこで、従来から、光電変換素子の出力の温度特性を補償するために、受光増幅部のゲインや参照電圧を補正するようにした雨滴検知装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−326186号公報
しかし、上記のような従来の雨滴検知装置によると、発光側では発光量制御回路が必要となり、また、受光側では温度補正回路が必要となるため、コスト高になるという問題があった。
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決し、温度補償用の特別な回路を設けることなく低コストで誤動作を防止することができる雨滴検知装置を提供することを目的とする。
請求項1に係る雨滴検知装置は、光を照射する発光素子と、前記発光素子からの光を受光し受光量に応じた電気信号を出力する光電変換素子と、該光電変換素子の過去の出力値と現在の出力値とに基づいて出力変化量を演算し、該出力変化量と所定の閾値とを比較することにより晴雨を判定する演算処理回路とを備える雨滴検知装置において、前記発光素子及び前記光電変換素子を取巻く環境温度を検知するための温度検出手段を備え、前記演算処理回路は、晴れ判定時に、前記環境温度の上昇割合が所定値以上であると判断したとき、前記閾値を所定量だけ増大させることを特徴とする。
請求項1に係る雨滴検知装置によると、発光素子及び光電変換素子を取巻く環境温度が急速に変化した場合、雨判定のための閾値は所定量だけ変化するようになる。つまり、環境温度が急速に変化した場合、変化前の閾値をそのまま用いて雨判定を行うと温度変化により変化した出力値によって晴れ時にもかかわらず降雨時と誤判定する場合が生じるが、所定量だけ変化させた閾値を用いることにより降雨時との誤判定を防止することが可能になる。そして、このような雨判定のための閾値の更新は、ソフトウエアによって簡単に実行することができるため、従来のような温度補償用の特別な回路を設けなくて済み低コストで誤動作を防止することができる。また、雨滴検知装置を車両用ワイパ自動制御装置に用いた場合、雨判定のための閾値の更新は晴れ時に限って行なわれ、降雨時には従前からの閾値が用いられるため、降雨時のワイパの払拭動作は従前と同様に行なわれ、払拭フィーリングの低下を招かない。
請求項2に係る雨滴検知装置は、透明板材に光を照射する発光素子と、前記透明板材からの反射光を受光し受光量に応じた電気信号を出力する光電変換素子と、該光電変換素子の過去の出力値と現在の出力値とに基づいて出力変化量を演算し、該出力変化量と所定の閾値とを比較することにより晴雨を判定する演算処理回路とを備える雨滴検知装置において、前記発光素子及び前記光電変換素子を取巻く環境温度を検知するための温度検出手段を備え、前記演算処理回路は、晴れ判定時に、前記環境温度の上昇割合が所定値以上であると判断したとき、前記閾値を増大させ、該増大後の閾値と、前記過去の出力値と前記現在の出力値とに基づいて演算した出力変化量とを、比較することにより晴雨を判定することを特徴とする。
請求項2に係る雨滴検知装置は、請求項1に係る雨滴検知装置と同様、温度補償用の特別な回路を設けることなく低コストで誤動作を防止することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る雨滴検知装置が組み込まれた雨滴対応装置としてのワイパ自動制御装置のブロック図、図2は、雨滴検知装置の構造図をそれぞれ示す。
図1において、1は、透明板材としての自動車の窓ガラス例えばフロントウインド、2は、フロントウインド1に付着した雨滴を払拭する操作部材としてのワイパ、3は、ワイパ2を駆動する操作部材駆動装置としてのワイパ駆動装置、6は、フロントウインド1に付着した雨滴を検出しワイパ駆動装置3にワイパ自動制御信号を送信する雨滴検知装置を表している。
ワイパ自動制御装置への電源供給は、バッテリ30からイグニッションスイッチ31を介して行なわれ、雨滴検知装置6内のCPU12、ワイパ駆動装置3内のワイパモータ4等に配電される。
ワイパ駆動装置3は、ワイパ2を駆動するワイパモータ4と、ワイパモータ4に駆動電流を供給するワイパモータ駆動回路5と、ワイパ2の動作モードを決定するために操作されるワイパスイッチ7とから構成されている。ワイパスイッチ7は、停止(OFF)、オート(AUTO)、Lo及びHiからなる4つの動作位置を有しており、オートが選択されたとき、ワイパ2は雨滴検知装置6により自動制御される。なお、ワイパスイッチ7は、少なくとも雨滴検知装置6を作動させるためのスイッチを有しておればよく、上記4つの動作位置を全て有する必要はない。
雨滴検知装置6は、フロントウインド1上の雨滴を光学的に検出するために、フロントウインド1に光(赤外線又は可視光)を照射する発光素子(発光ダイオードLED)8と、フロントウインド1からの反射光を受光し電気信号に変換する光電変換素子(フォトダイオードPD)9とを備えている。LED8にはLED駆動回路13が接続されており、LED駆動回路13は、CPU12からの発光タイミング制御信号及び駆動電流制御信号に従ってLED8をパルス駆動する。PD9には検波・増幅回路14が接続されており、検波・増幅回路14は、PD9の出力信号を検波、増幅してCPU12に出力する。なお、LED8及びPD9はそれぞれ複数個装着し、雨滴検知範囲の拡大を図るようにしてもよい。
CPU12は、検波・増幅回路14の出力値及び所定の手続を経て記憶された過去の検波・増幅回路14の出力値に基づいて発光量に対する受光量の低下率等を演算、記憶し、演算された低下率と所定の閾値とを比較して晴雨を判定する判定機能等を有しており、判定結果に基づいてワイパモータ駆動回路5にワイパ制御信号を送信する。ここで、所定の手続を経て記憶された過去の検波・増幅回路14の出力値とは、雨滴がフロントウインド1に付着していない状態つまり晴れ時の出力値であり、雨滴がフロントウインド1に付着している状態つまり降雨時の出力値は除外される。この出力値は、出力値自体が雨滴以外のガラスの汚れや傷及び素子の劣化等で変動するため、常に一定周期で更新される出力値であり、換言すると、経年変化を補正した出力値である。CPU12は、上記閾値、出力値等や、ワイパ自動制御等を実行するための所定の処理手順が記憶されるRAM24及びROM25を備えている。
雨滴検知装置6は、必要に応じて、プリズム23の結露を防止するためのヒータ20と、ヒータ20に駆動電流を供給するヒータ回路21と、プリズム23(図2)の温度を検知するための温度検出手段としてのプリズム温度センサ22を備えている。CPU12は、プリズム温度センサ22からの温度信号に応じてヒータ回路21にヒータ制御信号を送信し、ヒータ20への通電を制御する。また、CPU12は、プリズム温度センサ22からの温度信号に応じて受光量の低下率の温度補正を行う場合もある。なお、プリズム温度センサ22の代わりに温度検出部10を利用し、回路温度からプリズム温度を推測することで、プリズム温度センサ22を省略するようにしてもよい。
さらに、雨滴検知装置6には、図2に示すように、LED8及びPD9を支持するベース部17と、LED駆動回路12(図1)及び検波・増幅回路14(図1)を有する回路基板15とが設けられている。これらLED8、PD9、ベース部17及び回路基板15は、センサケース16内に固定配置され、センサケース16はカバー11内に固定されている。雨滴検知装置6は、プリズム23を光透過性の透明接着剤を用いてフロントウインド1の車室内側壁面1bに固着することによってフロントウインド1に取り付けられている。この雨滴検知装置6の取付位置は、フロントウインド1においてワイパ2の作動範囲つまりワイパ払拭範囲内であって、運転者の前方視界を妨げない部位とされる。LED8とPD9との位置関係は、LED8からフロントウインド1に照射された光がフロントウインド1で反射されてPD9に入射するようフロントウインド1に対して斜め方向に向き合うように設定されている。
プリズム23は、LED8からの光が確実にPD9に入射するようにLED8の光を屈折させるとともに、車室外からの日射や街路灯などの外乱光がPD9に入射するのを防止する機能を有している。プリズム23は、中央部に板状部23aを有しており、板状部23aの両側には、LED8及びPD9と対面するようにレンズ23bが形成されている。晴れ時、LED8から出射された光は、図2図示矢印で示すように、プリズム23を経由してフロントウインド1の車室外側壁面1aで全反射され、次に板状部23aで全反射され、次に再度車室外側壁面1aで全反射された後PD9に入射される。一方、降雨時、LED8から出射された光は、フロントウインド1上に付着した雨滴Rによって散乱し車室外側壁面1aで全反射されなくなり、PD9の受光量は減少するようになる。したがって、この受光量の減少に基づいて晴雨を判定することが可能となり、CPU12では、例えば過去の検波・増幅回路14の出力値に対する現在の検波・増幅回路14の出力値の低下率から晴雨を判定する処理を行う。ここで、低下率は、
低下率=(現在の出力値−雨滴付着ない状態の出力値)/(雨滴付着ない状態
の出力値)
で表される。なお、プリズム23とPD9との間には、必要に応じて可視光カット用のフィルタ19が設置されている。
図3は、雨滴検知装置6の温度特性図を示す。図3に示すように、雨滴検知装置6は、温度が上昇するに従って出力値つまり検波・増幅回路14の出力値が低下してゆくことが分かる。このような出力値の低下現象は、フロントウインド1に雨滴が付着することによって出力値が低下するのと似た現象であるため、CPU12において、雨滴がフロントウインド1に付着していない晴れ時であっても降雨時であると誤って判断し、ワイパ2を誤動作させる場合が発生する。
演算処理回路としてのCPU12では、このような出力値の温度特性によるワイパ2の誤動作を防止するために、次のような雨判定のための閾値の変更を行う。
図4に示すフローチャートは、雨判定のための閾値の変更に関する処理を表している。
図4において、CPU12は、まず、晴れ時の出力更新間隔つまり晴れ時の出力値の更新時間間隔をBに設定し(ステップS11)、次に、雨滴検出中か否かつまり降雨時か否かを判断する(ステップS12)。ここで、雨滴検出中か否かの判断は、上述した出力値の低下率が予め定めた閾値以上か否かを判断することによって行なわれる。
雨滴検出中でないつまり晴れ時のときは、温度検出手段10又は22からの温度信号に基づいて所定時間内における温度上昇が所定温度範囲内か否か、例えば、30秒間の温度上昇が2℃以上か否かを判断する(ステップS13)。30秒間の温度上昇が2℃未満である場合には、雨判定閾値つまり雨判定のための閾値をBに設定し(ステップS14)、次の処理(ステップS15)に移行する。一方、30秒間の温度上昇が2℃以上である場合には、雨判定閾値をBよりも大きなAに設定し(ステップS16)、次の処理(ステップS15)に移行する。
一方、雨滴検出中であるつまり降雨時のときは、次の処理(ステップS15)に移行する。なお、上記A及びBは、雨滴検知装置6に使用される各種素子の特性に応じて決定される。
図5は、他の実施形態に係る雨滴検知装置の構造図を示す。
図5に示す雨滴検知装置6は、LED8、PD9、並びに、LED駆動回路13(図1)及び検波・増幅回路14(図1)を有する回路基板15を備えている。これらLED8、PD9及び回路基板15は、センサケース16内に固定配置され、センサケース16はカバー11内に固定され、シリコンシート41を介してフロントウインド1の車室内側壁面1bに密着され、ストッパー42と固定用金具43とにより固定されている。この雨滴検知装置6の取付位置は、フロントウインド1においてワイパ2の作動範囲つまりワイパ払拭範囲内であって、運転者の前方視界を妨げない部位とされる。LED8とPD9との位置関係は、LED8からフロントウインド1に照射された光がフロントウインド1で反射されてPD9に入射するようフロントウインド1に対して斜め方向に向き合うように設定されている。
プリズム23は、図2図示のプリズム23と形状は相違しているが、LED8からの光が確実にPD9に入射するようにLED8の光を屈折させるとともに、車室外からの日射や街路灯などの外乱光がPD9に入射するのを防止する機能を有している。晴れ時、LED8から出射された光は、図5図示矢印で示すように、プリズム23を経由してフロントウインド1の車室外側壁面1aで全反射され、PD9に入射される。一方、雨天時、LED8から出射された光は、フロントウインド1上に付着した雨滴Rによって散乱し車室外側壁面1aで全反射されなくなり、PD9の受光量は減少するようになる。
以上説明したように、本実施形態に係る雨滴検知装置は、晴れ判定時に、発光素子8及び光電変換素子9を取巻く環境温度の上昇割合が所定値以上のとき、雨判定のための閾値を所定量だけ変化させるようにしている。具体的には、本実施形態に係る雨滴検知装置は、透明板材1に光を照射する発光素子8と、透明板材1からの反射光を受光し受光量に応じた電気信号を出力する光電変換素子9と、光電変換素子9の過去の出力値と現在の出力値とに基づいて出力変化量を演算し、出力変化量と所定の閾値とを比較することにより晴雨を判定する演算処理回路12とを備える雨滴検知装置6において、発光素子8及び光電変換素子9を取巻く環境温度を検知するための温度検出手段10又は22を備え、演算処理回路12は、晴れ判定時に、環境温度の上昇割合が所定値以上であると判断したとき、閾値を増大させ、増大後の閾値と、過去の出力値と現在の出力値とに基づいて演算した出力変化量とを、比較することにより晴雨を判定するよう構成される。
この雨滴検知装置によると、発光素子8及び光電変換素子9を取巻く環境温度が急速に変化した場合、雨判定のための閾値は所定量だけ変化するようになる。つまり、環境温度が急速に変化した場合、変化前の閾値をそのまま用いて雨判定を行うと温度変化により変化した出力値によって晴れ時にもかかわらず降雨時と誤判定する場合が生じるが、所定量だけ変化させた閾値を用いることにより降雨時との誤判定を防止することが可能になる。そして、このような雨判定のための閾値の更新は、ソフトウエアによって簡単に実行することができるため、従来のような温度補償用の特別な回路を設けなくて済み低コストで誤動作を防止することができる。また、雨滴検知装置を車両用ワイパ自動制御装置に用いた場合、雨判定のための閾値の更新は晴れ時に限って行なわれ、降雨時には従前からの閾値が用いられるため、降雨時のワイパ2の払拭動作は従前と同様に行なわれ、払拭フィーリングの低下を招かない。
本発明の一実施形態に係る雨滴検知装置が組み込まれた雨滴対応装置としてのワイパ自動制御装置のブロック図である。 雨滴検知装置の構造図である。 出力値の温度特性図である。 CPUによる雨滴状態判定のための閾値の変更に関する処理のフローチャートである。 他の実施形態に係る雨滴検知装置の構造図である。
符号の説明
1 窓ガラス(透明板材)
6 雨滴検知装置
8 発光素子
9 光電変換素子
12 演算処理回路
10,22 温度検出手段

Claims (2)

  1. 光を照射する発光素子と、前記発光素子からの光を受光し受光量に応じた電気信号を出力する光電変換素子と、該光電変換素子の過去の出力値と現在の出力値とに基づいて出力変化量を演算し、該出力変化量と所定の閾値とを比較することにより晴雨を判定する演算処理回路とを備える雨滴検知装置において、
    前記発光素子及び前記光電変換素子を取巻く環境温度を検知するための温度検出手段を備え、
    前記演算処理回路は、晴れ判定時に、前記環境温度の上昇割合が所定値以上であると判断したとき、前記閾値を所定量だけ増大させることを特徴とする雨滴検知装置。
  2. 透明板材に光を照射する発光素子と、前記透明板材からの反射光を受光し受光量に応じた電気信号を出力する光電変換素子と、該光電変換素子の過去の出力値と現在の出力値とに基づいて出力変化量を演算し、該出力変化量と所定の閾値とを比較することにより晴雨を判定する演算処理回路とを備える雨滴検知装置において、
    前記発光素子及び前記光電変換素子を取巻く環境温度を検知するための温度検出手段を備え、
    前記演算処理回路は、晴れ判定時に、前記環境温度の上昇割合が所定値以上であると判断したとき、前記閾値を増大させ、該増大後の閾値と、前記過去の出力値と前記現在の出力値とに基づいて演算した出力変化量とを、比較することにより晴雨を判定する
    ことを特徴とする雨滴検知装置。
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