以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
図1は、本発明の実施の形態の1つにおける文書管理システムの全体概要を示す図である。図1を参照して、文書管理システム1は、ネットワーク30にそれぞれ接続された、コンピュータ400と、コンピュータ400から出力されるプリントデータを用紙10にプリントするプリンタ100と、プリンタ100により画像が形成された用紙10Aからイベントの発生を指示するためのタブレット300とを含む。
図では、コンピュータ400、プリンタ100、タブレット300をそれぞれ1台の場合を示しているが、これらは、単数であっても複数であっても良い。
コンピュータ400は、一般的なパーソナルコンピュータである。そのハード構成は周知であるので、ここでは説明を繰返さない。コンピュータ400には、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)401が装着される。CD−ROM401に記録された文書管理プログラムは、CD−ROMドライブ等により読取られてハードディスクに一旦格納される。さらにハードディスクからランダムアクセスメモリ(RAM)に読出されてCPU(Central Processing Unit)により実行される。コンピュータ400では、文書作成プログラム、作図プログラム、表計算プログラム、画像編集プログラム、描画プログラム等のプリントデータを生成する種々のアプリケーションプログラムが実行される。ユーザがコンピュータ400を操作して、これらのアプリケーションプログラムをコンピュータ400に実行させ、電子データであるプリントデータを生成させる。そして、コンピュータ400で生成されたプリントデータを出力する指示を与えれば、後述する情報管理プログラムが実行される。
用紙10は、プリンタ100により画像形成される記録媒体である。用紙10は、IC(Integrated circuit)タグ11を含む。ICタグ11は、それが付された用紙と他の用紙とを識別するためのユニークな識別情報を記憶する記憶装置と、後述するICタグリーダと無線で通信可能な通信装置とを含んでいる。たとえば、ミューチップなどの半導体装置を用いることができる。用紙10にはICタグ11が付されているので、複写機等で用紙10に形成された画像を光学的に読取って複写する際に、識別情報が同時に複写されない。したがって、識別情報から用紙10を特定することができる。
プリンタ100は、画像形成装置であり、コンピュータ400から出力されるプリントジョブに従って、用紙10に画像を形成する。用紙10Aは、用紙10に画像20が形成された状態を示している。プリンタ100は、ICタグリーダ101を含む。ICタグリーダ101は、給紙された用紙10に付されたICタグ11と無線で通信して、ICタグ11の記憶装置に記憶された識別情報を取得する。したがって、用紙10の識別情報と、その用紙10に画像を形成するために用いたプリントジョブとを関連付けることが可能である。この関連付けは、コンピュータ400で行われる。具体的には、コンピュータ400は、プリンタ100にプリントジョブを送信した後に、そのプリントジョブに従って画像を形成した用紙10の識別番号をプリンタ100から受信し、受信した識別番号をプリントジョブに対応する電子データと関連付ける。これについては後で詳細に説明する。
タブレット300は、用紙10を用いてイベントを発生させるためのユーザインターフェースである。タブレット300は、座標入力装置303とICタグリーダ310とを含む。座標入力装置303は、ユーザが用紙10をその上に載置して、ペン304で用紙10上の任意の位置を指定すると、その指定された用紙10上の位置情報が入力される。ICタグリーダ310は、プリンタ100に備えられたICタグリーダ101と同様に、座標入力装置303に載置された用紙10に付されたICタグ11と無線で通信して、ICタグ11の記憶装置に記憶された識別情報を取得する。また、タブレット300は、共通イベント発生ボタンを有する。タブレット300は、取得した識別情報、共通イベントまたは用紙10上の位置情報を、コンピュータ400に送信する。これにより、イベントが発生して、コンピュータ400では、この発生したイベントに応じた処理が実行される。これについては、後で詳細に説明する。
ネットワーク30は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネットまたは一般公衆回線であり、有線または無線を問わない。また、ここではネットワーク30で、コンピュータ400と、プリンタ100と、タブレット300とを接続した例を示すが、これらはシリアル回線またはパラレル回線を用いて接続するようにしてもよい。
なお、コンピュータ400で実行される文書管理プログラムは、CD−ROM401に記憶されて流通する例を示したが、他の記録媒体、たとえば、フレキシブルディスク、カセットテープ、ハードディスク、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、ICカード(メモリカードを含む)、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable and Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)などの半導体メモリ等の固定的にプログラムを担持する媒体でもよい。
さらに、文書管理プログラムは、記録媒体を介してではなく、ネットワーク30を通じて他のコンピュータから提供されてもよい。
また、ここでいうプログラムは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む概念である。
本実施の形態における文書管理システム1では、コンピュータ400は、情報管理装置として機能する。コンピュータ400は、電子データとその電子データがプリントされる用紙10に付された識別情報とを関連付けて記憶する。また、コンピュータは、識別情報および電子データに関連付けて付加情報を記憶する。この付加情報は、イベントに対応した動作を定義する。イベントに対応した動作とは、用紙10にプリントされた電子データに関連する処理として、電子データを他の用紙に所定のジョブモードでプリントする複製処理、電子データを他のコンピュータに送信する転送処理、電子データが更新された場合に更新後の電子データを他の用紙に所定のジョブモードでプリントする更新処理とを含む。これら、複製、転送および更新の処理は、用紙10の位置に関連しない共通イベントに対応付けられる。イベントの発生は、上述した、タブレットから入力される。
また、イベントに対応した処理は、電子データの複製、転送、更新とは別の処理を含めることができる。たとえば、別の電子データの表示またはプリント等、コンピュータ400で実行可能な処理を含む。これらの処理は、用紙10の位置に関連する位置イベントに対応付けられる。
図2は、タブレットとそれによる位置イベントの指示を説明するための図である。図2(A)は、タブレットの平面図を示す。上述したようにタブレット300は、イベントを発生させるためのユーザインターフェースである。図2(A)を参照してタブレット300は、その上面に座標入力装置303と、共通イベント発生ボタン302A,302B,302Cと、表示部301と、ICタグリーダ310とを含む。
このタブレット300を用いて、イベントを発生させるには、まず、電子データがプリントされて画像20が形成された用紙10Aを、座標入力装置303の上に搭載する。これにより、座標入力装置303の裏面に設けられたICタグリーダ310が、用紙10Aに付されたICタグリーダ11と通信して、ICタグリーダ310で用紙10Aに与えられた識別番号が取得される。
次に、共通イベント発生ボタン302A,302B,302Cの押下、または、ペン304で用紙10A上の任意の位置を指示する。共通イベント発生ボタン302Aは、複製イベントを発生させるためのボタンである。共通イベント発生ボタン302Bは、転送イベントを発生させるためのボタンである。共通イベント発生ボタン302Cは、更新イベントを発生させるためのボタンである。共通イベントの発生により、複製、転送、または更新の3つの予め定められた動作のいずれかがコンピュータ400で実行される。この動作は、コンピュータ400に記憶された付加情報で予め定義される。
ペン304を用いた用紙10A上の任意の位置の指示は、位置イベントを発生させる。この位置イベントは、用紙10Aの予め定められた位置に対応して予め定められたコンピュータ400の動作である。用紙10Aの位置およびその位置に対応する動作は、コンピュータ400に記憶された付加情報で予め定義される。
表示部301は、たとえば液晶表示装置であり、イベントの実行結果を表示する。
図2(B)は、付加情報で予め定義される用紙10Aの位置の一例を示す図である。図2(B)を参照して、用紙10Aに5つの領域21A〜21Eが定義される例を示している。5つの領域21A〜21Eそれぞれには、異なる位置イベントを定義することが可能である。たとえば、領域21A内の任意の位置がペン304で指示されると、その領域21Aに対応付けられている動作がコンピュータ400で実行される。したがって、領域21A〜21Eと、電子データとは所定の関連付けがされていることが望ましい。タブレット300での用紙10Aにおける位置の指定は、ユーザが用紙10Aにプリントされた画像20を見て行う。このため、画像20からイベントをユーザが知ることができるとよい。したがって、画像20は、5つの領域21A〜21Eそれぞれで異なる画像であることが好ましい。これにより、ユーザが画像20中の5つの画像のうちいずれかを選択することができるため、ユーザは、発生させる位置イベントを画像20から認識することができる。
タブレット300は、ICタグリーダ310で取得した識別情報と、共通イベント発生ボタン302A,302B,302Cの押下、または、座標入力装置303で検出されたペン304の指示位置(座標)とを、コンピュータ400に送信する。
図3は、電子データと付加情報との関係を説明するための図である。図3では、説明のため共通イベントのみを示している。位置イベントについても、共通イベントと同様であるので、ここでは説明を繰返さない。
図3(A)では、仕様書A版を担当部署の担当者と関連部署の担当者とに配付するために、仕様書A版の内容を保存したファイル名が「ファイルA.aaa」の電子データを、プリントして2部の用紙10Aを出力する例を示している。仕様書A版は、担当部署から正式に関連部署に発行されるものであるが、その後最終版が発行される前に数度の更新が予定される版である。このため、担当部署の担当者に配布される用紙10Aに対して、付加情報は、用紙10Aの識別情報と電子データと関連付けられており、複製、転送および更新の全ての共通イベントの実行を許可する動作を記述したものとされる。関連部署の担当者に配布される用紙10Aに対して、付加情報は、用紙10Aの識別情報と電子データと関連付けられており、複製、転送を不許可とした動作と、更新を1度だけ許可する動作とを記述したものとされる。
これにより、担当部署の担当者は、用紙10Aを用いて、タブレット300から複製、転送および更新の全てのイベントに対応する動作を、コンピュータ400に実行させることができる。これに対して、関連部署の担当者は、用紙10Aを用いて、タブレット300から複製および転送のイベントに対応する動作を、コンピュータ400に実行させることはできず、更新のイベントに対応する動作をコンピュータ400に1度だけ実行させることができる。また、関連部署の担当者が、用紙10Aを用いて、更新のイベントに対応する動作をコンピュータ400に実行させると、更新を不許可とするように付加情報が変更される。このため、2回目の更新イベントを発生させたとしても、更新イベントが不許可とされているので、更新イベントに対応する動作がコンピュータ400では実行されない。
このように、用紙10Aの識別情報ごとに付加情報を関連付けることにより、同じ電子データに基づき同じ画像が形成された2つの用紙10Aがプリントされても、その用紙10Aを配付する人に応じて、イベントに対応する動作を異ならせることができる。また、イベントの発生に伴い、そのイベントに対応する動作の実行後に、付加情報が変更される。このため、イベントに対応した動作が実行されるという事情の変化に応じて、付加情報を変更することができる。
用紙10Aが複数枚からなる場合には、各用紙それぞれの識別情報に電子データと付加情報とが関連付けられ、イベントに対応する動作の実行後には、すべての用紙の識別情報関連する付加情報が変更される。
図3(B)は、仕様書A’版を担当部署の担当者に配布するために、仕様書A’版の内容を保存したファイル名が「ファイルB.aaa」の電子データを、プリントした用紙10Aを出力する例を示している。仕様書A’版は、担当部署内の担当者に発行されるものであるが、その後最終版が発行される前に数度の更新が予定される版である。このため、担当部署の担当者に配布される用紙10Aに対して、付加情報は、用紙10Aの識別情報と電子データと関連付けられており、複製、転送を不許可とした動作と、更新を許可する動作とを記述したものとして定義される。付加情報には、更新イベントに対応する動作として更新後のファイル名を含む。この付加情報で定義される更新後のファイル名は、ファイル名が「ファイルB.aaa」の電子データが更新される毎に変更される。このため、ファイルの更新という事情の変化に応じて、付加情報を変更することができる。
用紙10Aが複数枚からなる場合には、各用紙それぞれの識別情報に電子データと付加情報とが関連付けられ、電子データの更新に伴って、すべての用紙それぞれの識別情報に関連付けられた付加情報の全てが変更される。
図3(C)は、仕様書B版を担当部署の担当者と、関連部署の担当者と、販売会社の担当者とに配付するために、仕様書B版の内容を保存したファイル名が「ファイルC.aaa」の電子データを、プリントした用紙10Aを3つ出力する例を示している。仕様書B版は、担当部署から最終版として発行されるものである。このため、その発行後に更新されることはない。発行とは、「ファイルC.aaa」の電子データを最初にプリントして配付することが相当する。このため、担当部署の担当者に配布される用紙10Aに対して、付加情報は、用紙10Aの識別情報と電子データと関連付けられており、複製、転送の共通イベントの実行を許可する動作と、更新の共通イベントを不許可とした動作とが記述されたものとされる。また、関連部署の担当者に配布される用紙10Aに対して、付加情報は、用紙10Aの識別情報と電子データと関連付けられており、複製の共通イベントの実行を許可する動作と、転送および更新の共通イベントを不許可とした動作とが記述されたものとされる。さらに、販売会社の担当者に配布される用紙10Aに対して、付加情報は、用紙10Aの識別情報と電子データと関連付けられており、複製、転送および更新の全ての共通イベントの実行を不許可とした動作を記述したものとされる。
これにより、担当部署の担当者は、用紙10Aを用いて、タブレット300から複製、転送のイベントに対応する動作を、コンピュータ400に実行させることができるが、更新のイベントに対応する動作をコンピュータ400に実行させることはできない。また、関連部署の担当者は、用紙10Aを用いて、タブレット300から複製のイベントに対応する動作を、コンピュータ400に実行させることができるが、転送および更新のイベントに対応する動作をコンピュータ400に実行させることはできない。さらに販売会社の担当者は、用紙10Aを用いて、タブレット300から複製、転送および更新の全てのイベントに対応する動作を、コンピュータ400に実行させることができない。
このように、用紙10Aの識別情報ごとに付加情報を関連付けることにより、同じ電子データに基づき同じ画像が形成された3つの用紙10Aがプリントされても、その用紙10Aを配付する人に応じて、イベントに対応する動作を異ならせることができる。
用紙10Aが複数枚からなる場合には、各用紙それぞれの識別情報に電子データと付加情報とが関連付けられる。
図4は、図3(A)に示した例において生成される付加情報を示す。ここでは、「ファイルA.aaa」を、プリントジョブAでプリントする指示が出されたとし、その結果、3枚の用紙に画像が形成されるものとする。図4(A)では、担当部署の担当者に配布される用紙10Aがプリントされる際に記憶される付加情報と、関連部署の担当者に配布される用紙10Aがプリントされる際に記憶される付加情報とが示される。
図4(A)を参照して、担当部署の担当者に配布される用紙10Aがプリントされる際に記憶される付加情報は、用紙の識別情報と、仕様書A版の内容を保存した電子データを示すファイル名「ファイルA.aaa」と、配付先を示す「担当部署」と、頁番号と関連付けられており、共通イベントの動作、および位置イベントの動作を記述する情報である。3つの識別情報「1001」、「1002」、「1003」に関連付けられる、ファイル名「ファイルA.aaa」と、配付先を示す「担当部署」と、共通イベントの動作、および位置イベントの動作は、すべて同じである。関連付けられる頁番号が異なるのみである。したがって、3つの識別情報「1001」、「1002」、「1003」のいずれかが付された用紙を用いて、イベントを発生させたとしても、イベントに対する動作は同じであるので、同じ動作がコンピュータで実行されることになる。
共通イベントの動作の詳細は、複製イベントに対して「ジョブモードA」が定義されており、転送イベントに対して「送信先アドレス」が定義されており、更新イベントに対して「更新ファイル名/ジョブモードA」が定義されている。複製イベントには「ジョブモードA」が定義されているので、複製イベントが発生した場合には、「ファイルA.aaa」の電子データがプリンタ100からジョブモードAでプリント出力される。転送イベントには「送信先アドレス」が定義されているので、転送イベントが発生した場合には、「ファイルA.aaa」の電子データが「送信先アドレス」に電子メールなどの通信手段で送信される。更新イベントには「更新ファイル名/ジョブモードA」が定義されているので、更新イベントが発生した場合には、「更新ファイル名」の電子データがプリンタ100からジョブモードAでプリント出力される。更新ファイル名は、この付加情報が記憶された当初は記憶されておらず、「ファイルA.aaa」の電子データが更新された時点で、更新後のファイル名が更新ファイル名として記憶される。したがって、付加情報は、更新ファイルが生成された時点で変更される。「ファイルA.aaa」の電子データが未だ更新されておらず、更新ファイル名が記憶されていない場合には、更新イベントが発生したとしても、プリント出力するファイルが存在しないため、更新イベントに対応する動作は実行されない。
位置イベントの動作の詳細は、位置と動作とが複数定義されている。位置は、用紙10A中の矩形領域を、その領域の左上の頂点の座標と右下の頂点の座標で定義している。左上の頂点座標(100,300)と右下の頂点座標(300,500)の位置に対応する動作は、「ファイルXを出力」であり、ファイル名が「ファイルX」の電子データを、出力する動作が定義される。他の位置イベントは、左上の頂点座標(600,200)と右下の頂点座標(900,500)の位置に対応する動作を「項目Aのカウント値加算」であり、例えば仕様書Aを閲覧した回数を示すカウント値を項目Aとすれば、そのカウント値をインクリメントする動作が定義される。
なお、ここでは、位置イベントを2つ定義した付加情報を示したが、位置イベントの数はこれに限定されず、1つあるいは複数を定義することができる。
関連部署の担当者に配布される用紙10Aがプリントされる際に記憶される付加情報は、用紙の識別情報と、仕様書A版の内容を保存した電子データを示すファイル名「ファイルA.aaa」と、配付先を示す「関連部署」と、頁番号と関連付けられており、共通イベントの動作、および位置イベントの動作を記述する情報である。3つの識別情報「1011」、「1012」、「1013」に関連付けられる、ファイル名「ファイルA.aaa」と、配付先を示す「担当部署」と、共通イベントの動作、および位置イベントの動作は、すべて同じである。関連付けられる頁番号が異なるのみである。したがって、3つの識別情報「1011」、「1012」、「1013」のいずれかが付された用紙を用いて、イベントを発生させたとしても、イベントに対する動作は同じであるので、同じ動作がコンピュータで実行されることになる。
共通イベントの動作の詳細は、複製イベントに対して「不許可」が定義されており、転送イベントに対して「不許可」が定義されており、更新イベントに対して「更新ファイル名/ジョブモードA/1回のみ」が定義されている。複製イベントには「不許可」が定義されているので、複製イベントが発生したとしても「ファイルA.aaa」の電子データはプリンタ100からプリント出力されない。転送イベントには「不許可」が定義されているので、転送イベントが発生しても「ファイルA.aaa」の電子データは送信されない。更新イベントには「更新ファイル名/ジョブモードA/1回のみ」が定義されているので、更新イベントが発生した場合には、「更新ファイル名」の電子データがプリンタ100から1回だけジョブモードAでプリント出力される。更新イベントが発生して、更新イベントに対応する動作、すなわち、「更新ファイル名」の電子データがプリンタ100からジョブモードAでプリント出力されると、更新イベントにに対して「不許可」が定義されるように、付加情報が変更される。
図4(B)は、付加情報が変更された後の付加情報を示す図である。このように、付加情報は、イベントの発生によるイベントに対応した動作の実行に応答して、変更される。変更される付加情報は、更新イベントに同じ動作が記述されている付加情報の全てである。このため、識別情報が「1011」、「1012」、「1013」と関連付けられた全ての不可情報が変更される。
なお、ここでは、更新イベントが発生して、動作が実行された後に、付加情報が変更される場合を説明したが、他のイベントの発生に伴う動作が実行された後に、付加情報を変更するようにしてもよい。さらに、あるイベント、たとえば複製イベントの発生に伴う動作が実行された後に、他のイベント、たとえば更新イベントにに対応する動作を変更するように付加情報を変更してもよい。
なお、更新ファイル名が記憶されていない場合には、上述したのと同様に、更新イベントが発生したとしても、プリント出力するファイルが存在しないため、更新イベントに対応する動作は実行されない。
また、付加情報は、ジョブモードが変更されることによっても変更される。図4(B)では、ジョブモードAからジョブモードBに変更された場合を例に示している。ここでのジョブモードAは、「ファイルA.aaa」を片面プリントするモードであり、ジョブモードBは、「ファイルA.aaa」を両面プリントするジョブモードである。また、ジョブモードBは、章分けするジョブモード、バインドするジョブモードなどとすることができる。変更される付加情報は、更新イベントに同じ動作が記述されている付加情報の全てである。このため、識別情報が「1011」、「1012」、「1013」と関連付けられた全ての付加情報が変更される。
関連部署の担当者に配布される用紙10Aがプリントされる際に記憶される付加情報の位置イベントは、担当部署の担当者に配布される用紙10Aがプリントされる際に記憶される付加情報の位置イベントと同じである。用紙10Aに画像形成される画像は、担当部署に配付されるものと、関連部署に配付されるものとで同じである。したがって、位置イベントの位置は両用紙10Aで同となる。ここでは、位置イベントに対応する動作を、担当部署に配付されるものと、関連部署に配付されるものと同じにしたが、異なる動作を定義するようにすることもできる。
図5は、図3(B)に示した例において生成される付加情報を示す。ここでは、仕様書A’版の内容を保存したファイル名が「ファイルB.aaa」の電子データをジョブモードAでプリントする指示が出されたとし、その結果、3枚の用紙に画像が形成されるものとする。図5(A)では、担当部署の担当者に配布される用紙10Aがプリントされる際に記憶される付加情報が示される。
図5(A)を参照して、担当部署の担当者に配布される用紙10Aがプリントされる際に記憶される付加情報は、用紙の識別情報と、ファイル名「ファイルB.aaa」と、配付先を示す「担当部署」と、頁番号と関連付けられており、共通イベントの動作、および位置イベントの動作を記述する情報である。3つの識別情報「2001」、「2002」、「2003」に関連付けられる、ファイル名「ファイルB.aaa」と、配付先を示す「担当部署」と、共通イベントの動作、および位置イベントの動作は、すべて同じである。関連付けられる頁番号が異なるのみである。したがって、3つの識別情報「2001」、「2002」、「2003」のいずれかが付された用紙を用いて、イベントを発生させたとしても、イベントに対する動作は同じであるので、同じ動作がコンピュータで実行されることになる。
共通イベントの動作の詳細は、複製イベントに対して「不許可」が定義されており、転送イベントに対して「不許可」が定義されており、更新イベントに対して「最新の更新ファイル名/ジョブモードA」が定義されている。複製イベントには「不許可」が定義されているので、複製イベントが発生した場合には、「ファイルB.aaa」の電子データがプリンタ100からプリント出力されない。転送イベントには「不許可」が定義されているので、転送イベントが発生した場合には、「ファイルB.aaa」の電子データは送信されない。更新イベントには「最新の更新ファイル名/ジョブモードA」が定義されているので、更新イベントが発生した場合には、「最新の更新ファイル名」の電子データがプリンタ100からジョブモードAでプリント出力される。更新ファイル名は、この付加情報が記憶された当初は記憶されておらず、「ファイルA.aaa」の電子データが更新された時点で、更新後のファイル名が更新ファイル名として記憶される。また、この更新は、1回に限らず複数回行われることもあるので、最新の更新ファイルのファイル名が定義される。したがって、付加情報は、最新の更新ファイルが生成されるごとに変更される。
位置イベントの動作の詳細は、位置と動作とが定義されている。左上の頂点座標(200,500)と右下の頂点座標(500,800)の位置に対応する動作は、「ファイルXを出力」であり、ファイル名が「ファイルX」の電子データを、出力する動作が定義される。
付加情報は、ジョブモードが変更されることによっても変更される。図5(B)では、ジョブモードAからジョブモードBに変更された場合を例に示している。ここでのジョブモードAは、「ファイルB.aaa」を片面プリントするモードであり、ジョブモードBは、「ファイルB.aaa」を両面プリントするジョブモードである。また、ジョブモードBは、章分けするジョブモード、バインドするジョブモードなどとすることができる。変更される付加情報は、更新イベントに同じ動作が記述されている付加情報の全てである。このため、識別情報が「2001」、「2002」、「2003」と関連付けられた全ての付加情報が変更される。
図6は、図3(C)に示した例において生成される付加情報を示す。ここでは、仕様書B版の内容を保存したファイル名が「ファイルC.aaa」の電子データをジョブモードAでプリントする指示が出されたとし、その結果、3枚の用紙に画像が形成されるものとする。図6(A)では、担当部署の担当者に配布される用紙10Aがプリントされる際に記憶される付加情報と、関連部署の担当者に配布される用紙10Aがプリントされる際に記憶される付加情報と、販売会社の担当者に配布される用紙10Aがプリントされる際に記憶される付加情報とが示される。
図6(A)を参照して、担当部署の担当者に配布される用紙10Aがプリントされる際に記憶される付加情報は、用紙の識別情報と、ファイル名「ファイルC.aaa」と、配付先を示す「担当部署」と、頁番号と関連付けられており、共通イベントの動作、および位置イベントの動作を記述する情報である。3つの識別情報「2001」、「2002」、「2003」に関連付けられる、ファイル名「ファイルB.aaa」と、配付先を示す「担当部署」と、共通イベントの動作、および位置イベントの動作は、すべて同じである。関連付けられる頁番号が異なるのみである。したがって、3つの識別情報「3001」、「3002」、「3003」のいずれかが付された用紙を用いて、イベントを発生させたとしても、イベントに対する動作は同じであるので、同じ動作がコンピュータで実行されることになる。
共通イベントの動作の詳細は、複製イベントに対して「ジョブモードA」が定義されており、転送イベントに対して「送信先アドレス」が定義されており、更新イベントに対して「不許可」が定義されている。複製イベントには「ジョブモードA」が定義されているので、複製イベントが発生した場合には、「ファイルC.aaa」の電子データがプリンタ100からジョブモードAでプリント出力される。転送イベントには「送信先アドレス」が定義されているので、転送イベントが発生した場合には、「ファイルC.aaa」の電子データが「送信先アドレス」に電子メールなどの通信手段で送信される。更新イベントには「不許可」が定義されているので、更新イベントが発生した場合には、何も実行されない。位置イベントの動作の詳細は、図4で説明したのと同様であるのでここでは説明を繰返さない。
関連部署担当部署の担当者に配布される用紙10Aがプリントされる際に記憶される付加情報は、用紙の識別情報と、ファイル名「ファイルC.aaa」と、配付先を示す「関連部署」と、頁番号と関連付けられており、共通イベントの動作、および位置イベントの動作を記述する情報である。3つの識別情報「3011」、「3012」、「3013」に関連付けられる、ファイル名「ファイルC.aaa」と、配付先を示す「関連部署」と、共通イベントの動作、および位置イベントの動作は、すべて同じである。関連付けられる頁番号が異なるのみである。したがって、3つの識別情報「3011」、「3012」、「3013」のいずれかが付された用紙を用いて、イベントを発生させたとしても、イベントに対する動作は同じであるので、同じ動作がコンピュータで実行されることになる。
共通イベントの動作の詳細は、複製イベントに対して「ジョブモードA/2003/12/31まで」が定義されており、転送イベントに対して「不許可」が定義されており、更新イベントに対して「不許可」が定義されている。複製イベントには「ジョブモードA」が定義されているが、期限が2003/12/31までとされている。したがって、複製イベントが発生した場合には、その発生日が2003年12月31日までであれば、「ファイルC.aaa」の電子データがプリンタ100からジョブモードAでプリント出力されるが、2004年1月1日以降はプリント出力されない。付加情報は、2004年1月1日になった時点で、識別情報が「3011」、「3012」、「3013」に関連して記憶されている複製イベントの動作が「不許可」に変更される。転送イベントには「不許可」が定義されているので、転送イベントが発生しても「ファイルC.aaa」の電子データは送信されない。更新イベントには「不許可」が定義されているので、更新イベントが発生した場合には、何も実行されない。位置イベントの動作の詳細は、図4で説明したのと同様であるのでここでは説明を繰返さない。
販売会社の担当者に配布される用紙10Aがプリントされる際に記憶される付加情報は、用紙の識別情報と、ファイル名「ファイルC.aaa」と、配付先を示す「販売会社」と、頁番号と関連付けられており、共通イベントの動作、および位置イベントの動作を記述する情報である。3つの識別情報「3021」、「3022」、「3023」に関連付けられる、ファイル名「ファイルC.aaa」と、配付先を示す「販売会社」と、共通イベントの動作、および位置イベントの動作は、すべて同じである。関連付けられる頁番号が異なるのみである。したがって、3つの識別情報「3021」、「3022」、「3023」のいずれかが付された用紙を用いて、イベントを発生させたとしても、イベントに対する動作は同じであるので、同じ動作がコンピュータで実行されることになる。
共通イベントの動作の詳細は、複製イベント、転送イベント、更新イベントの全てに対して「不許可」が定義されている。複製イベントには「不許可」が定義されているので、「ファイルC.aaa」の電子データはプリンタ100からプリント出力されない。転送イベントには「不許可」が定義されているので、転送イベントが発生しても「ファイルC.aaa」の電子データは送信されない。更新イベントには「不許可」が定義されているので、更新イベントが発生した場合には、何も実行されない。位置イベントの動作の詳細は、図4で説明したのと同様であるのでここでは説明を繰返さない。
付加情報は、ジョブモードが変更されることによっても変更される。図6(B)では、ジョブモードAからジョブモードBに変更された場合を例に示している。ここでのジョブモードAは、「ファイルC.aaa」を片面プリントするモードであり、ジョブモードBは、「ファイルC.aaa」を両面プリントするジョブモードである。また、ジョブモードBは、章分けするジョブモード、バインドするジョブモードなどとすることができる。変更される付加情報は、更新イベントに同じ動作が記述されている付加情報の全てである。このため、識別情報が「3001」、「3002」、「3003」と関連付けられた全ての付加情報が変更される。また、2003年12月31日以前であれば、識別情報が「3011」、「3012」、「3013」と関連付けられた全ての付加情報の複製イベントに対応する動作が変更される。
図7は、本実施の形態における文書管理システムで実行される処理の付加情報生成処理の流れを示すフローチャートである。図7では、右側にコンピュータ400で実行される付加情報生成処理の流れを示し、左側にプリンタ100で実行されるプリント処理の流れを示す。図を参照して、コンピュータ400において、ユーザがファイルを作成、変更、または更新するためにファイルを開いたことが検出される(ステップS01)。ここで開かれたファイルが、電子データである。そして、プリント指示が検出される(ステップS02)。このプリント指示には、ジョブモードの設定を含む。プリント指示が検出されると、イベント指示の入力が受付けられる(ステップS03)。イベント指示の入力は、図4〜図5で説明した付加情報の入力をいう。上述したように、付加情報は、イベントとそのイベントに対応した動作を定義した情報であり、イベントには共通イベントと位置イベントとがある。このためイベント指示は、共通イベントに対して、複製、転送および更新の各イベントごとの動作を含み、位置イベントに対して、位置とその位置に対応する動作を含む。これらのイベント指示を入力するための画面が、コンピュータ400のディスプレイに表示されて、ユーザの入力が受付けられる。なお、イベントとそのイベントに対応する動作に予め定められたものを用いる場合には、このイベント指示を省略することができる。
そして、ステップS01で開かれた電子データがプリントデータに変換されて、変換されたプリントデータと、ステップS02で設定入力されたジョブモードとを含むジョブデータがプリンタ100に送信される(ステップS04)。ここでは説明のため片面プリントのジョブモードが設定されたとする。
プリンタ100では、コンピュータ400からプリントデータを受信する(ステップS11)。そして、ジョブモードの変更がユーザから入力されたか否かが判断される(ステップS12)。プリンタ100は、コンピュータ400から受信した片面プリントのジョブモードが設定されるが、ユーザがそのジョブモードとは異なるジョブモードでプリントを望む場合がある。このため、ユーザがジョブモードを変更すると、その変更後のジョブモードがコンピュータ400に送信される(ステップS13)。
コンピュータ400から変更されたジョブモードを受信すると(ステップS05)、ステップS06においてステップS02で入力されたイベント指示を変更する。変更されたジョブモードを受信しない場合には、ステップS06をスキップしてステップS07に進む。
一方、プリンタ100は、変更されたジョブモードでプリントするのであるが、その前に、画像を形成する予定の用紙10の識別情報をICタグ11から読取る(ステップS14)。そして、用紙10にステップS11で受信したジョブモードに含まれるプリントデータをプリントする(ステップS15)。プリントが完了すると、ステップS14で読取った識別情報をコンピュータ400に返信する(ステップS16)。そして、次にプリントするべきプリントデータが存在するか否かが判断され(ステップS17)、存在する場合にはステップS14に戻り上述した処理を繰返し、存在しない場合には処理を終了する。
コンピュータ400では、プリンタ100から識別情報を受信するまで待機状態となっており、識別情報を受信する(ステップS07)。そして、ステップS03で入力されたイベント指示から、ステップS06でイベント指示が変更されている場合には変更されたイベント指示から付加情報を生成し、ステップS07で受信した受信した識別情報と、ステップS01で開かれた電子データと関連付けてハードディスク等の記憶装置に記憶する(ステップS08)。そして、電子データに基づいて次のプリントがプリンタ100でなされるか否かを判断し(ステップS09)、次のプリントがあると判断した場合にはステップS07に戻り、ステップS08の処理を繰返し実行する。その後、プリンタでのプリントが終了したと判断すると、ステップS01で開いたファイルを閉じて処理を終了する(ステップS10)。
このように、付加情報は、プリンタ100によりプリントが生成されるごとに生成されて記憶される。また、付加情報は、用紙10の識別情報に関連付けた情報であるため、プリントジョブごとに、異なる付加情報を生成して記憶しておくことができる。
図8は、本実施の形態における文書管理システムで実行されるイベント処理の流れを示すフローチャートである。図では、右側にタブレット300で実行される処理の流れを示し、左側にコンピュータ400で実行される処理の流れを示している。図8を参照して、ユーザがタブレット300の座標入力装置上に用紙10Aを載置すると、タブレット300のICタグリーダ310により用紙10AのICタグ11から識別情報が読取られる(ステップS31)。そして、読取られた識別情報がコンピュータ400に送信される(ステップS32)。
コンピュータ400では、識別情報を受信する(ステップS21)。前述した付加情報生成処理で、生成して記憶しておいた付加情報を検索して、受信した識別情報に関連付けられた付加情報を抽出する(ステップS22)。
一方、タブレットでは、イベント指示が受付けられる(ステップS33)。イベント指示とは、共通イベント発生ボタン302A,302B,302Cの押下、または、ペン304で用紙10A上の任意の位置を指示する、ユーザの指示である。共通イベント発生ボタン302A,302B,302Cの押下が検出された場合(ステップS34でYES)には、複製、転送または更新のいずれかの共通イベントが指示された判断し、ステップS36に進む。そうでない場合(ステップS34でNO)には、ペン304による用紙10A上の任意の位置の指示を検出する(ステップS35)。そして、共通イベントが指示された場合にはその旨を、位置イベントが指示された場合には指示された位置情報をコンピュータ400に送信する(ステップS36)。
コンピュータ400では、タブレットから送信されてくるイベント指示を受信し、イベントを解析する(ステップS23)。イベントの解析とは、受信されたイベント指示に対応する動作を、ステップS22で抽出された付加情報から決定する処理である。そして、決定された動作を実行することによりイベント指示に対応する動作が実行される(イベント実行処理:ステップS24)。
そして、ステップS24におけるイベント実行処理に応じて、必要な場合には、付加情報を変更する(ステップS25)。
図9は、図8のステップS25で実行される付加情報変更処理の流れを示すフローチャートである。この付加情報変更処理は、イベント実行処理に応じて実行される。ここでは説明のため図4(A)に示した付加情報が記憶されており、識別番号「1011」の用紙で更新イベントが発生した場合を例に説明する。図9を参照して、図8のステップS24で実行されるイベントに対応する動作が、更新イベントまたは複製イベントであるかが判断される(ステップS41)。真の場合にはステップS42へ進み、偽の場合にはステップS46に進む。ここでは、更新イベントが発生しているのでステップS42へ進む。
ステップS42では、付加情報には、更新イベントに対応する動作として、「ファイルA.aaa」をジョブモードAでプリントする動作が記述されているので、ファイル名が「ファイルA.aaa」の電子データを変換したプリントデータとジョブモードAとを含むプリントジョブをプリンタ100に送信する(ステップS42)。これに応じて、プリンタ100では、図7に示したステップS11〜ステップS17の処理が実行される。
ステップS43では、プリンタ100から変更後のジョブモードが受信されたことにより、ジョブモードが変更されたと判断し(ステップS43)、ステップS44に進む。変更後のジョブモードが受信されない場合にはステップS46に進む。
ステップS44では、ファイル名が「ファイルA.aaa」の電子データを含む付加情報を抽出する。ここでは、識別番号「1001」、「1002」、「1003」、「1011」、「1012」、「1013」に関連付けられた6つの付加情報が抽出される。そして、抽出された付加情報に記述されたイベントに対応する動作のうち、ジョブモードを含む動作の全てが変更される。具体的には、識別番号「1001」、「1002」、「1003」それぞれに関連付けられた複製イベントに対応する動作および更新イベントに対応する動作と、識別番号「1011」、「1012」、「1013」それぞれに関連付けられた更新イベントに対応する動作が、ジョブモードBに変更される。これにより、その後の発生するこれらのイベントに対しては、ファイル名が「ファイルA.aaa」の電子データは、ジョブモードBでプリントされることになる。
ステップS46では、回数制限があるか否かが判断される。回数制限がある場合にはステップS47へ進み、そうでない場合には処理を終了する。ここでは、識別番号「0011」の用紙で更新イベントが発生しており、この更新イベントに対応する動作として「更新ファイル名/ジョブモードA/1回のみ」が記述されているので、回数制限があると判断し、ステップS47へ進む。
ステップS47では、その実行されたイベントに対応する動作を「不許可」に変更する。このとき変更の対象となる付加情報は、図8のステップS22で抽出した付加情報だけでなく、変更される動作と同一の動作が記述された他の付加情報も変更される。具体的には、識別番号「1012」「1013」に関連付けられた付加情報が抽出され、それらの更新イベントに対応する動作が「不許可」に変更される。
このように、本実施の形態における文書管理システム1においては、イベントに対応した動作が実行されることに応じて付加情報を変更するため、用紙10に電子データをプリントした時点後に、イベントが発生するといった事情に対応することができる。また、付加情報の変更は、プリントジョブ単位に行われるので、同じプリントジョブでプリントされた用紙では、その全てでイベントが発生するといった事情に対応することができる。
図10は、第2の付加情報変更処理の流れを示すフローチャートである。第2の付加情報変更処理は、イベントの発生とは関係なく付加情報を変更する処理である。ここでは、図4に示す付加情報が記憶されており、ファイル名が「ファイルA.aaa」の電子データが更新されて、ファイル名が「ファイルA'.aaa」とされた場合を例に説明する。図10を参照して、コンピュータ400でファイル名が「ファイルA.aaa」のファイルが開かれたことが検出される(ステップS51)。そして、そのファイルが修正されたことが検出されると(ステップS52)、ファイルが更新されたものと判断し、付加情報を検索して、更新前のファイルを含む付加情報が抽出される。ここでは、識別番号「1001」、「1002」、「1003」、「1011」、「1012」、「1013」に関連付けられた6つの付加情報が抽出される。そして、抽出された付加情報の更新ファイル名に、更新後のファイルの名称「ファイルA’.aaa」が記憶される(ステップS53)。これにより、付加情報が変更される。そして、開いたファイルを閉じ(ステップS54)、処理を終了する。
このため、ファイルの変更に応じて、そのファイルに関連する付加情報が変更される。
図11は、第3の付加情報変更処理の流れを示すフローチャートである。第3の付加情報変更処理もまた、イベントに対応する動作とは関係なく実行される処理である。ここでは、図6(A)に示した付加情報が記憶されており、現在の年月日が2004年1月1日であるとして説明する。図を参照して、図7のステップS06で生成され、記憶された付加情報が順に読み出される(ステップS61)。そして、読み出した付加情報に定義されている動作のうち、期間制限されている動作があるか否かが判断される(ステップS62)。ある場合にはステップS63に進み、そうでない場合は処理を終了する。ここでは、識別番号が「3011」、「3012」、「3013」に関連付けられた付加情報が抽出され、ステップS63へ進む。
ステップS63では、期間が満了しているか否かが判断され、満了している場合にはステップS64へ進み、そうでない場合は処理を終了する。ここでは、付加情報に記述されている期限が「2003/12/31」で、現在の年月日が2004年1月1日であるので、期間が満了していると判断して、ステップS64に進む。
ステップS64では、期間が満了している動作を「不許可」に変更する(ステップS64)。このように期間制限されている付加情報は、時間の経過に伴って変更される。
図12は、第4の付加情報変更処理の流れを示すフローチャートである。第4の付加情報変更処理もまた、イベントに対応する動作とは関係なく実行される処理である。図12を参照して、第4の付加情報変更処理では、付加情報を変更する内容を含む入力が検出されたか否かが判断され(ステップS71)、入力された場合にはステップS72へ進み、そうでない場合は処理を終了する。ステップS72では、変更内容の対象となる付加情報に関連するファイルを、所有するユーザであるか否かが判断される(ステップS72)。そのファイルの所有ではなく、そのファイルを管理する権限を有するユーザとしてもよい。ファイルの所有者と判断された場合には、ステップS73に進み、そうでない場合には処理を終了する。
ステップS73では、ステップS71における変更を受付け、その変更内容に従って付加情報を変更する。
以上説明したように本実施の形態における文書管理システム1は、用紙を識別するための識別情報に関連付けて、イベントに対応した動作を記述した付加情報が記憶されるので、記録媒体ごとに異なる動作をイベントに対応付けることができる。また、指定されたジョブモードの変更が受信された場合、付加情報に記述されたジョブモードを変更されたジョブモードに変更するので、ジョブモードが変更された後は、変更後のジョブモードでプリントされる。このため、用紙をトリガーとして、事情の変化に対応した動作を実行させることができる。
また、プリントジョブが複数の用紙にプリントするものである場合には、複数の用紙それぞれの識別情報に関連付けて、同一の付加情報が記憶される。このため、プリントジョブ単位で同じ付加情報となるので、複数の記録媒体のいずれか1つをトリガーにして同一の動作を実行させることができる。たとえば、複数枚あるうちの1枚の用紙から、複数枚を複写することができる。
また、付加情報は、複数のイベントそれぞれに対応して動作が記述されるので、1つの用紙をトリガとして、複数の動作を実行させることができる。また、用紙の位置に依存する位置イベントと、位置に依存しない共通イベントとを含むので、複数のイベントのうちから所望のイベントを容易に指定することができる。
また、識別情報が用紙に付されたICタグに記憶されるので、用紙を確実に識別することができる。
また、イベントの検出に応じて、用紙の識別情報に関連して記憶されている付加情報が読出され、付加情報に記述されているイベントのうち、イベントに対応した動作が実行されるので、イベントを容易に実行することができる。
なお、本実施の形態においては、コンピュータ400とプリンタ100とを別体のもととして説明したが、これらを一体としたプリンタであってもよい。また、プリンタ100と、タブレット300とを別体のもととして説明したが、これらを一体としたプリンタであってもよい。さらに、コンピュータ400と、プリンタ100と、タブレット300とを一体としたプリンタであってもよい。
また、本実施の形態においては、図4〜図6に示した付加情報は、識別情報、電子データ、配布先に関連付けたものとしたが、付加情報は少なくとも識別情報と関連付けられていればよい。電子データは、複製イベント、転送イベントに応じて用いられるが、この電子データを、イベントに対応する動作に含めるようにすればよい。
また、用紙10の識別情報を、用紙10に付されたICタグ11に記録するようにしたが、このICタグ11に代えて、識別情報を、可視光を反射しないインクで画像形成された画像としてもよい。可視光を反射しなければ、用紙10Aを複写機で複写しても識別情報を表す画像は複製されないからである。この場合には、プリンタに可視光を反射しないインクで画像形成する機能を付加し、IDタグリーダに代えて、スキャナで識別情報が表された画像を識別するようにすればよい。この場合には、用紙10にICタグ11を付す必要はなく、また、IDダグリーダは不用である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 文書管理システム、11 ICタグ、30 ネットワーク、100 プリンタ、101,310 ICタグリーダ、101 プリンタ、300 タブレット、301 表示部、303 座標入力装置、304 ペン、400 コンピュータ、302A,302B,302C 共通イベント発生ボタン。