JP4507407B2 - 被切断材のクランプ機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は被切断材のクランプ機構に関し、更に詳細には、長尺の被切断材における後端部近傍を切断するに際して、いわゆる「端曲がり」を生じないように該被切断材をクランプし得る機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば製鋼所等の機械設備において、条鋼圧延機から連続的に圧延されて到来する長尺の棒鋼や型鋼等の条鋼は、該条鋼のパスラインの下流側に配設した切断ステーションで所要寸法長毎に切断される。すなわち図4は、長尺の被切断材である条鋼10を切断手段12により所要長に切断するステーション14を平面状態で示すもので、この切断ステーション14は、該条鋼10が長手方向に搬送されるパスラインPLを挟んで平行に対向し合う第1支持壁16および第2支持壁18を備えている。第1支持壁16の外側には回転砥石に代表される第1の切断手段12が配設され、この第1回転砥石12は、常には第1支持壁16の外方に退避して前記条鋼10の切断を待機すると共に、適時の切断指令を受けて該第1支持壁16の所定部位に形成した間隙16aを介して該第1支持壁16の内側へ交差的に進入可能となっている。
【0003】
同じく第2支持壁18の外側には、第2の切断手段としての第2回転砥石20が配設され、該第2回転砥石20は、常には第2支持壁18の外方に退避して前記条鋼10の切断を待機すると共に、適時の切断指令を受けて該第2支持壁18の所定部位に形成した間隙18aを介して該第2支持壁18の内側へ交差的に進入可能となっている。なお第1切断手段12および第2切断手段20は、パスラインPLを挟んで整列するよう対向配置されている。これら切断手段12,20を構成する各回転砥石は、例えば厚み10mm,直径1m程度の円板状砥石で構成され、何れも対応のモータ22,24により駆動される。また両切断手段12,20は何れも図示しない進退機構に搭載され、前記パスラインPLを直交する形で進入および退避が可能になっている。なお、第1切断手段12の外に第2切断手段20を設けた理由は、▲1▼一方の切断手段を稼働させている間に他方の切断手段のカッタを交換し得ること、および▲2▼1基が故障しても予備の切断手段に切換えることで、切断作業に中断を来さないようにするためである。
【0004】
また図4において、第1支持壁16の外側でかつ第1回転砥石12がパスラインPLへ進入する経路より上流側となる位置に、例えば油圧駆動の第1シリンダ26が該支持壁18に対して直交的に配設されている。この第1シリンダ26から延出するピストンロッド28の自由端には第1クランプ手段30が設けられ、従って該第1クランプ手段30は、前記パスラインPLへの第1回転砥石12の進入路より上流側を進退自在に移動可能となっている。ここで第1クランプ手段30は、実質的に前記ピストンロッド28の自由端に設けたブロック状の拡大頭部であって、前記第1シリンダ26を正付勢することで前進動作が行なわれ、該パスラインPLへ上流側から到来した条鋼10を第2支持壁18の内壁にクランプし得るようになっている。
【0005】
同様に、第1支持壁16の外側でかつ第1回転砥石12がパスラインPLへ進入する経路より下流側となる位置に、第2シリンダ32が直交的に配設されている。この第2シリンダ32から延出するピストンロッド34の自由端には第2クランプ手段36が設けられ、従って該第2クランプ手段36は、前記パスラインPLにおける第1回転砥石12の進入路より下流側を進退自在に移動可能となっている。この第2クランプ手段36も、実質的にピストンロッド34の自由端に設けたブロック状の拡大頭部であって、前記第2シリンダ32を正付勢することで前進動作が行なわれ、該パスラインPLへ上流側から到来した条鋼10を第2支持壁18の内壁にクランプ可能となっている。
【0006】
すなわち前記第1シリンダ26および第2シリンダ32は、常には逆付勢されて対応の第1クランプ手段30および第2クランプ手段36を第1支持壁16の外方へ退避させている。そして前記パスラインPLへ長尺の条鋼10が上流側から送り込まれ、その供給動作が停止したタイミングで両シリンダ26,32を同期的に正付勢することで、図4に示すように該条鋼10は前進動作した両クランプ手段30,36により第2支持壁18の内側へ強制的に押し付けられ、確実なクランプがなされる。
【0007】
このクランプがなされた後に、第1支持壁16の外側に退避している第1回転砥石12に切断指令を与えれば、該回転砥石10は回転しつつ該第1支持壁16の間隙16aから内側へ交差的に進入し、これにより前記条鋼10の切断がなされる。この場合に前記条鋼10は、切断予定部位を挟む上流側および下流側の2個所を第1クランプ手段30および第2クランプ手段36でクランプされているので、該条鋼10に得られる切断面の状態は極めて良好であり、切断部近傍の曲がりや切断時の振動現象(ビビリ)は生じない。
【0008】
【発明が解決すべき課題】
ところで長尺の条鋼10における被切断部位が、該条鋼10の端末付近に位置している場合は、前記2つのクランプ手段30,36による両側クランプが不可能で、第2クランプ手段36によるクランプしかなし得ない場合がある。例えば図5に示す如く、前記条鋼10の切断予定部位を第1および第2回転砥石12,20の進入軌跡に臨ませた際に、該条鋼10における切断予定部位の下流側は第2クランプ手段36でクランプし得るが、前記切断予定部位の上流側は第1クランプ手段30から外れてしまって、該第1クランプ手段30によるクランプをなし得ない場合がある。
【0009】
このように条鋼10を片側クランプした場合において、何等かの事情により第1回転砥石12が使用不能のときは、第2支持壁18の外側に待機している第2回転砥石20を使用することになる。すなわち図5に示すように、第2クランプ手段36による片側クランプ状態で、第2回転砥石20を第2支持壁18の内側へ前進させて条鋼10の切断を行なうと、該条鋼10のクランプがなされなかった切断端近傍には、第2支持壁18から離反する方向へのバイアス力が加わって該切断端の曲がり(端曲がり)を生じてしまう。このように条鋼10における最終の切断端に端曲がりを生ずると、当該条鋼10は規格外製品となってしまう。また第2回転砥石20による条鋼10の切断中は、該条鋼10の上流側がクランプされずフリー状態となっているために、振動現象(ビビリ)を生じて設備を損傷する等の欠点も指摘される。
【0010】
【発明の目的】
本発明は、前述した課題を好適に解決するために提案されたものであって、長尺の被切断材における後端部近傍を切断するに際して、いわゆる「端曲がり」を生ずることがなく、また切断時の端部振動に起因する設備の損傷も有効に抑制し得る被切断材のクランプ機構を提供することを目的とする。
【0011】
【発明を解決するための手段】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため本発明は、長尺の被切断材が通過するパスラインを挟んで平行に対向させた第1支持壁および第2支持壁と、
常には第1支持壁の外側に退避して前記被切断材の切断を待機し、所要の切断指令を受けて該第1支持壁の内側へ交差的に進入する第1切断手段と、
常には第2支持壁の外側に退避して前記被切断材の切断を待機し、所要の切断指令を受けて該第2支持壁の内側へ交差的に進入する第2切断手段と、
前記パスラインにおける前記第1切断手段の進入路より上流側を進退自在に移動可能であって、前進動作により該パスラインに位置する被切断材を第2支持壁の内壁にクランプする第1クランプ手段と、
前記パスラインにおける前記第1切断手段の進入路より下流側を進退自在に移動可能であって、前進動作により該パスラインに位置する被切断材を第2支持壁の内壁にクランプする第2クランプ手段とからなるクランプ機構において、
前記第2クランプ手段に、その後退動作に際して前記パスライン中の被切断材を前記第1支持壁の内壁にクランプし得る補助部材を配設し、
前記被切断材の後端部が第1クランプ手段のクランプ位置から外れる場合は、前記第2クランプ手段の前記補助部材を後退動作させて該被切断材を第1支持壁の内壁にクランプした後、前記第2切断手段を第2支持壁の内側へ交差的に進入させて該被切断材の切断を行なうよう構成したことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に本発明に係る被切断材のクランプ機構について、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。なお、図4および図5に関して説明した既出の部材と同一または同等の部材については、同じ参照符号で指示してその説明は省略する。
【0013】
図1および図2は、本発明に係るクランプ機構の好適な実施例の縦断側面図である。また図3は、実施例に係るクランプ機構の平面図であって、このクランプ機構は図4に示した構成と基本的に同一になっている。実施例に係るクランプ機構には、前記パスラインPLの下流側に位置する第2クランプ手段36の端部近傍に補助部材38が直立的に設けられ、図1に示すように、該第2クランプ手段36を後退動作させた際に、パスラインPL中の条鋼10を第1支持壁16の内壁に対し押付けてクランプし得るようになっている。この補助部材38は、例えば直方体状の鋼片からなり、ピストンロッド34の先端に設けた第2クランプ手段36の上面に、溶接その他ボルト締め等の固定手段により固着されて上方へ所定寸法だけ突出するようになっている。なお他方の第1クランプ手段30にも、同様の補助部材40を設けておけば一層好適であって、このときは後述の如く、条鋼10を第1支持壁16に対してクランプするモードを常態的に採用し得る利点がある。
【0014】
すなわち従前の第2クランプ手段36は、ピストンロッド34の先端に設けたブロック状の拡大頭部であったから、該ピストンロッド34を前進移動させて前記条鋼10を第2支持壁18に対してクランプし得るのみであって、該ピストンロッド34を後退移動させた際には何等の仕事もなし得なかった。しかるに本実施例では、第2クランプ手段36の端部近傍(端部上面)に補助部材38を直立的に設け、全体としてL字形をなすよう構成したので、図2に示すように該第2クランプ手段36を前進動作させた際は、今迄通りパスラインPL中の条鋼10を第2支持壁18へ押付けてクランプすることができる。逆に前記第2クランプ手段36を後退移動させると、このクランプ手段36と一体的に後退する補助部材38の移動軌跡中に前記条鋼10が存在するときは、図1および図3に示すように、該補助部材38により該条鋼10が捕捉されて第1支持壁16の内壁にクランプされるものである。
【0015】
次に、このように構成した実施例のクランプ機構の動作につき説明する。図3において、第1回転砥石12は第1支持壁16の外側にあり、また第2回転砥石20は第2支持壁18の外側にあって、条鋼10の切断を夫々待機しているものとする。パスラインPL中に送り込まれた条鋼10は、順次所定寸法に切断されて行く。しかるに図3に示す如く、条鋼10の最終切断予定部は第1および第2回転砥石12,20の進入経路に位置しているが、該条鋼10の後端部は前記第1クランプ手段30によるクランプ位置から外れてしまっている場合がある。
【0016】
そこで前記制御回路から第2クランプ手段36のシリンダ32に制御信号を与え、該シリンダ32を逆付勢することによって、第2クランプ手段36を後退移動させる。これにより第2クランプ手段36に設けた補助部材38も後退動作を行ない、該補助部材38はパスラインPL中の条鋼10の下流側を捕捉して第1支持壁16の側へ引き寄せた後、図1に示すように該第1支持壁16の内壁に確実にクランプする。この補助部材38により条鋼10を第1支持壁16にクランプした状態を、図示しないセンサ等により検出し、前記制御回路から待機中にある第2回転砥石20に切断指令を与える。前記指令により第2回転砥石20は第2支持壁18の内側へ交差的に進入移動し、第1支持壁16にクランプされている条鋼10をその切断予定部位において切断する。
【0017】
このとき図3から判明するように、条鋼10は第1支持壁16にクランプされており、かつ第2回転砥石20は第2支持壁18の側から前進して該条鋼10に向かうので、その切断時に該条鋼10を第1支持壁16から離反させる如き前記バイアス力は全く作用しない。すなわち第2回転砥石20は、条鋼10を第1支持壁16に対して押付ける方向に切断するものであるから、前述した端曲がりを生ずることがなく、従って該条鋼10が規格外製品として跳ね出される畏れが好適に回避される。また条鋼10は、第2回転砥石20により第1支持壁16に押付けられた状態で切断されるために、該条鋼10に振動現象(ビビリ)を生ずることがなく、設備損傷の原因になるという欠点も解消される。更に、従来は条鋼10を専ら第2支持壁18に対しクランプした状態でのみ該条鋼10の切断が行なわれていたため、この第2支持壁18の摩耗・損傷が第1支持壁16に比して大きかったが、本実施例によれば必要に応じて第1支持壁16に対するクランプおよび第2支持壁18に対するクランプを選択し得るので、一方の支持壁だけや搬送ローラ(図示せず)の偏った部位だけが片減りするということがない。
【0018】
【発明の効果】
以上に説明した如く、本発明に係る被切断材のクランプ機構によれば、長尺の被切断材における後端部近傍を切断するに際して、いわゆる「端曲がり」を生ずることがなく、また切断時の端部振動に伴なって生ずる設備の損傷も有効に抑制し得る、等の有益な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施例に係る被切断材のクランプ機構の縦断側面図であって、第2クランプ手段に設けた補助部材により被切断材を第1支持壁にクランプした状態を示している。
【図2】図1と同じ被切断材のクランプ機構の縦断側面図であって、第2クランプ手段に設けた補助部材により被切断材を第2支持壁にクランプした状態を示している。
【図3】図1に示した実施例に係るクランプ機構の平面図である。
【図4】長尺の被切断材を回転砥石により切断するステーションの概略構成を示す平面図である。
【図5】図4に示す切断ステーションにおいて、被切断材の後端部を片側クランプした状態を示す概略平面図である。
【符号の説明】
10 被切断材(条鋼)
12 第1切断手段(回転砥石)
16 第1支持壁
18 第2支持壁
20 第2切断手段(回転砥石)
30 第1クランプ手段
36 第2クランプ手段
38 補助部材
Claims (3)
- 長尺の被切断材(10)が通過するパスライン(PL)を挟んで平行に対向させた第1支持壁(16)および第2支持壁(18)と、
常には第1支持壁(16)の外側に退避して前記被切断材(10)の切断を待機し、所要の切断指令を受けて該第1支持壁(16)の内側へ交差的に進入する第1切断手段(12)と、
常には第2支持壁(18)の外側に退避して前記被切断材(10)の切断を待機し、所要の切断指令を受けて該第2支持壁(18)の内側へ交差的に進入する第2切断手段(20)と、
前記パスライン(PL)における前記第1切断手段(12)の進入路より上流側を進退自在に移動可能であって、前進動作により該パスライン(PL)に位置する被切断材(10)を第2支持壁(18)の内壁にクランプする第1クランプ手段(30)と、
前記パスライン(PL)における前記第1切断手段(12)の進入路より下流側を進退自在に移動可能であって、前進動作により該パスライン(PL)に位置する被切断材(10)を第2支持壁(18)の内壁にクランプする第2クランプ手段(36)とからなるクランプ機構において、
前記第2クランプ手段(36)に、その後退動作に際して前記パスライン(PL)中の被切断材(10)を前記第1支持壁(16)の内壁にクランプし得る補助部材(38)を配設し、
前記被切断材(10)の後端部が第1クランプ手段(30)のクランプ位置から外れる場合は、前記第2クランプ手段(36)の前記補助部材(38)を後退動作させて該被切断材(10)を第1支持壁(16)の内壁にクランプした後、前記第2切断手段(20)を第2支持壁(18)の内側へ交差的に進入させて該被切断材(10)の切断を行なうよう構成したことを特徴とする被切断材のクランプ機構。 - 前記補助部材(38)は、第2クランプ手段(36)の端部近傍に立設させたクランプ片である請求項1記載の被切断材のクランプ機構。
- 前記第2切断手段(20)は、前記第1切断手段(12)と前記パスライン(PL)を挟んで整列的に対向している請求項1記載の被切断材のクランプ機構。
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