JP4506708B2 - 希土類磁石の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、希土類磁石及びその製造方法に関する。
希土類元素を含む希土類磁石は、優れた磁力を有するため広範な用途に適用されている。この希土類磁石は、主成分として酸化されやすい希土類元素を含有していることから耐食性が低い傾向にあり、磁気特性を有する磁石素体の表面に保護層が設けられた構成とされることが一般的である。
希土類磁石の保護層としては、従来、樹脂層が広く知られている。しかしながら、近年、希土類磁石は、ハイブリッド自動車の駆動用モーターや発電機といった自動車用のモーターに適用されることも多くなっており、これらの用途に適用された場合、樹脂層等の従来の保護層では、高温高湿環境によって剥離やふくれが生じ、十分な耐食性が得られないことが多かった。
このような高温高湿環境での剥離やふくれを低減するため、磁石素体の表面に所定の下地処理を施した後に保護層を設けた希土類磁石が知られている。下地処理としては、例えば、磁石素体表面の化成処理が知られている。化成処理は、磁石素体の溶解とともに、当該素体の表面上に不溶性塩を形成させる処理である。しかし、化成処理においては、磁石素体における主相よりも粒界部分の方が溶解され易いため、磁石素体にその表面から深さ方向への空孔が形成されることがあった。このような空孔が形成されると、この部分から磁石素体内部に腐食性の成分が浸入してしまい、これによって磁石素体が劣化する場合がある。
そこで、下地処理としては、金属イオンを含む処理液中に磁石素体を浸漬させ、その表面上に金属イオンに由来する金属元素の化合物を沈着させる処理が知られている(特許文献1参照)。このような方法によれば、磁石素体を溶解することなく表面上に金属化合物層を形成することができ、上記の化成処理のような空孔の形成が少なくなる。
特開2000−199074号公報
しかしながら、上記特許文献1のような、金属化合物の沈着による磁石素体の下地処理が施された希土類磁石であっても、保護層の磁石素体に対する密着性が十分でなく、保護層の剥離等を十分に低減するのは未だ困難な傾向にあった。
そこで、本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、十分な耐食性を有しており、しかも保護層の剥離が少ない希土類磁石及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の希土類磁石は、少なくとも希土類元素を含む金属元素を含有する磁石素体と、この磁石素体の表面に分散して付着した無機粒子と、磁石素体の表面上に無機粒子を覆うように形成された保護層とを備えることを特徴とする。
本発明の希土類磁石においては、磁石素体の表面上に、当該表面上に分散して付着した無機粒子を介して保護層が形成されている。このため、本発明の希土類磁石においては、磁石素体の表面上に直接、又は、下地処理の層を介して保護層が形成された場合と比べて、保護層の磁石素体側への接触部分の面積が大きく、保護層の密着性が良好となっている。また、保護層と磁石素体との接触界面に応力が加わったとしても、この応力は磁石素体表面に分散して付着した無機粒子の部分で緩和され得る。これらにより、本発明の希土類磁石は、保護層の剥離が極めて生じ難いものとなる。
上記本発明の希土類磁石において、磁石素体表面上に付着した無機粒子は、磁石素体に含まれる金属元素のうちの少なくとも一種と同じ金属元素の化合物を含むと好ましい。こうすれば、磁石素体と無機粒子とが同じ金属元素を含むこととなり、両者の密着性がより良好となる。その結果、無機粒子の磁石素体からの剥離も極めて生じ難くなり、これにより保護層の剥離が一層低減されるようになる。
より具体的には、無機粒子は、Fe、Co、Al及びCuからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属元素を含むことが好ましく、これらの金属元素の化合物を含むとより好ましい。これらの金属元素を含む無機粒子は、酸性の水溶液等に対しても溶解し難いため、このような無機粒子を保護層と磁石素体との界面に有することで、希土類磁石の耐食性が更に向上する。
さらに、保護層は、樹脂層であると更に好ましい。樹脂層は、柔軟であるため、無機粒子が付着した磁石素体の凹凸表面に良好に密着することができる。また、保護層が樹脂層であれば、磁石素体と保護層との界面に生じた応力も、この柔軟な樹脂層によって良好に緩和され得る。その結果、保護層の磁石素体からの剥離が一層生じ難くなる。
また、本発明の希土類磁石の製造方法は、上記本発明の希土類磁石を好適に製造するための方法であって、少なくとも希土類元素を含む金属元素を含有する磁石素体を、金属イオンを含む第1の処理液に浸漬する工程と、第1の処理液から引き上げた後、第1の処理液が付着した状態の磁石素体の表面に、第1の処理液とは異なるpHを有する第2の処理液を接触させて、当該表面上に第1の処理液に含まれる金属イオンに由来する金属元素の化合物からなる無機粒子を析出させる工程と、磁石素体の表面上に、無機粒子を覆うように保護層を形成する工程とを有することを特徴とする。
上記本発明の製造方法においては、磁石素体に対し、金属イオンを含む第1の処理液を接触させた後、表面に付着した第1の処理液中の金属イオンが化合物として析出し得るpHを有する第2の処理液を更に接触させることによって、磁石素体の表面上に無機粒子が分散した状態で形成される。このように、本発明の製造方法によれば、2種の処理液を接触させることで、磁石素体の表面上に無機粒子を付着させることができ、簡便に希土類磁石を製造することができる。
ここで、上記特許文献1の下地処理の方法は、処理液中で金属イオンに由来する金属元素の化合物の沈殿を生じさせることにより、磁石素体への金属化合物の沈着を行うものであった。しかし、かかる方法では、処理液中に均一に沈殿が生じることから、一度用いた処理液は再び用いることができず、量産性の面では不十分であった。これに対し、本発明の希土類磁石の製造方法においては、磁石素体に第1の処理液を付着させた後に第2の処理液を接触させることによって、第1の処理液中の金属イオンに由来する化合物を析出させていることから、これらの一連の工程において処理液の成分の変化が生じ難い。したがって、本発明の製造方法は、第1及び第2の処理液を繰り返し用いることができ、量産性の観点からも優れている。
上記本発明の希土類磁石の製造方法においては、第1の処理液に含まれる金属イオンは、磁石素体に含まれる金属元素のうちの少なくとも一種と同じ金属元素のイオンであると好ましい。これにより、磁石素体の表面に、磁石素体に含まれるものと同種の金属元素の化合物からなる無機粒子が形成されることとなり、磁石素体と無機粒子との密着性が良好となる。また、保護層としては、樹脂層を形成することが好ましい。樹脂層からなる保護層は、柔軟であり、磁石素体との間で応力が発生してもこれを良好に緩和することができる。
本発明によれば、十分な耐食性を有しており、且つ、保護層の剥離が少ない希土類磁石及びその製造方法を提供することが可能となる。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の好適な実施形態に係る希土類磁石を示す斜視図である。また、図2は、図1に示す希土類磁石のII−II線に沿う断面構成を模式的に示す図である。さらに、図3は、図1に示す希土類磁石の表面近傍領域の断面構成を拡大して示す模式図である。図示されるように、希土類磁石1は、磁石素体2と、その表面上に分散して付着した無機粒子6と、磁石素体2の表面上に、無機粒子6を覆うように形成された保護層4とから構成されるものである。
磁石素体2は、希土類元素を含有する永久磁石である。この場合、希土類元素とは、長周期型周期表の第3族に属するスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)及びランタノイド元素のことをいう。なお、ランタノイド元素には、例えば、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビニウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)等が含まれる。
磁石素体2の構成材料としては、上記希土類元素と、希土類元素以外の遷移元素とを組み合わせて含有させたものが例示できる。この場合、希土類元素としては、Nd、Sm、Dy、Pr、Ho及びTbからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素が好ましく、これらの元素に加え、La、Ce、Gd、Er、Eu、Tm、Yb及びYからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を更に含むものであるとより好適である。
また、希土類元素以外の遷移元素としては、鉄(Fe)、コバルト(Co)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)及びタングステン(W)からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素が好ましく、Fe及び/又はCoがより好ましい。
磁石素体2の構成材料としては、特に、R−Fe−B系の構成材料が好ましい。磁石素体2がR−Fe−B系のものであると、優れた磁石特性が得られるほか、保護層4の形成による耐食性向上効果がより良好に得られるようになる。
R−Fe−B系の磁石素体2は、実質的に正方晶系の結晶構造の主相を有し、この主相の粒界部分に希土類元素の配合割合が高い希土類リッチ相、及びホウ素原子の配合割合が高いホウ素リッチ相を有する構造となっている。これらの希土類リッチ相及びホウ素リッチ相は磁性を有していない非磁性相である。このような非磁性相は通常、磁石構成材料中に0.5〜50体積%含有されている。また、主相の粒径は、通常1〜100μm程度である。
このようなR−Fe−B系の構成材料においては、希土類元素の含有量が8〜40原子%であると好ましい。希土類元素の含有量が8原子%未満である場合、主相の結晶構造がα鉄とほぼ同じ結晶構造となり、保磁力(iHc)が小さくなる傾向にある。一方、40原子%を超えると希土類リッチ相が過度に形成されてしまい、残留磁束密度(Br)が小さくなる傾向にある。
また、Feの含有量は42〜90原子%であると好ましい。Feの含有量が42原子%未満であると残留磁束密度が小さくなり、また、90原子%を超えると保磁力が小さくなる傾向にある。さらに、Bの含有量は2〜28原子%であると好ましい。Bの含有量が2原子%未満であると菱面体構造が形成されやすく、これにより保磁力が小さくなる傾向にある。また、28原子%を超えると、ホウ素リッチ相が過度に形成されて、これにより残留磁束密度が小さくなる傾向にある。
上述した構成材料においては、R−Fe−B系におけるFeの一部が、Coで置換されていてもよい。このようにFeの一部をCoで置換すると、磁気特性を低下させることなく温度特性を向上させることができる。この場合、Coの置換量は、Feの含有量よりも大きくならない程度とすることが望ましい。Co含有量がFe含有量を超えると、磁石素体2の磁気特性が低下する傾向にある。
また上記構成材料におけるBの一部は、炭素(C)、リン(P)、硫黄(S)又は銅(Cu)等の元素により置換されていてもよい。このようにBの一部を置換することによって、磁石素体の製造が容易となるほか、製造コストの低減も図れるようになる。このとき、これらの元素の置換量は、磁気特性に実質的に影響しない量とすることが望ましく、構成原子総量に対して4原子%以下とすることが好ましい。
さらに、保磁力の向上や製造コストの低減等を図る観点から、磁石素体2は、上記元素に加え、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ビスマス(Bi)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、ジルコニウム(Zr)、ニッケル(Ni)、ケイ素(Si)、ガリウム(Ga)、銅(Cu)、ハフニウム(Hf)等を更に含有していてもよい。なかでも、磁石素体2は、Al及びCuを更に含むと好適である。これらの含有量も磁気特性に影響を及ぼさない範囲とすることが好ましく、構成原子総量に対して10原子%以下とすることが好ましい。また、その他、不可避的に混入する成分としては、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)、カルシウム(Ca)等が考えられ、これらは構成原子総量に対して3原子%程度以下の量で含有されていても構わない。
無機粒子6は、磁石素体2の表面に直接付着しており、この無機粒子6と磁石素体2の間には他の層等は介在していない。無機粒子6は、金属元素の化合物から主に構成されるものである。かかる無機粒子6は、単一の粒子から構成される一次粒子であってもよく、複数の粒子が凝集した2次粒子等であってもよい。また、無機粒子6は、磁石素体2の全面において個々に分散している必要はなく、部分的に凝集して層を形成していてもよい。
無機粒子6を構成する金属元素の化合物としては、金属元素の酸化物又は水酸化物が挙げられる。この金属元素としては、金属酸化物や水酸化物の粒子を形成し得るものであれば特に制限されず適用できる。なかでも、Fe、Co、Al又はCuの酸化物又は水酸化物は、酸性から中性領域の溶液等に対して安定であり、希土類磁石1の耐食性を向上させる観点から特に好適である。なお、無機粒子6は、これを主として構成している金属元素の化合物のほか、同じ金属の単体や、他の金属の単体又は化合物を組み合わせて含有していてもよい。
また、無機粒子6は、磁石素体2に含まれる金属元素のうちの少なくとも一種と同じ金属元素を含むと好ましく、この金属元素の化合物を含むとより好ましい。例えば、磁石素体2が、Fe、Co、Al、Cu等を含む場合、無機粒子6は、これらの金属元素のうちの少なくとも一種を含むと好ましく、複数種を組み合わせて含んでいてもよい。
なお、磁石素体2は、その表面形状が必ずしも平坦ではなく表面から深さ方向への孔(表面空孔)を有していることがある。この場合、無機粒子6は、特に磁石素体2の表面空孔の部分に多く付着していると好ましい。磁石素体2の腐食は、通常、表面空孔から内部に腐食性の成分が侵入することによって進行し易い傾向にある。これに対し、上記のように表面空孔部分に無機粒子6が多く付着することで、この表面空孔部分からの腐食性成分の浸入が生じ難くなり、その結果、磁石素体2の腐食が大幅に抑制されるようになる。
一例として、図4に、無機粒子6が付着した状態の磁石素体2の表面の走査型電子顕微鏡写真を示す。図4中、白い粒状の付着物が無機粒子6であり、中央付近に形成された窪み部分が磁石素体2の表面空孔である。同図に示されるように、磁石素体2の表面には、無機粒子6が分散して付着しており、特に、表面空孔の内部に無機粒子6が多く付着している。
保護層4としては、通常希土類磁石の表面を保護する層として形成されるものであれば特に制限なく適用できる。たとえば、塗装や蒸着重合法により形成した樹脂層、めっきや気相法により形成した金属層、塗布法や気相法により形成した無機層等が挙げられる。なかでも、樹脂層は、無機粒子6が付着した磁石素体2の表面を良好に覆うことができるほか、磁石素体2と樹脂層との界面に応力が加わった場合でもこれを良好に緩和することができ、磁石素体2からの剥離を生じ難いため、特に好ましい。
樹脂層としては、熱硬化性樹脂からなる層又は熱可塑性樹脂からなる層の両方が適用できる。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、エポキシメラミン樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリパラキシリレン樹脂、ポリ尿素樹脂、エポキシシリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂等が挙げられる。また、熱可塑性樹脂としては、アクリル酸、エチレン、スチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物を原料とするビニル樹脂が挙げられる。
金属層としては、例えば、Ni、Ni−P、Cu、Zn、Cr、Sn、Al又はこれらからなる複数の層を組み合わせたものが例示できる。また、無機層としては、アルカリ珪酸塩、SiO、Al等の酸化物、TiN、AlN等の窒化物等からなるものが挙げられる。
次に、上記構成を有する希土類磁石1の好適な製造方法について説明する。
まず、磁石素体2は、粉末冶金法により製造することができる。この方法においては、まず、鋳造法やストリップキャスト法等の公知の合金製造プロセスにより所望の組成を有する合金を作製する。次に、この合金をジョークラッシャー、ブラウンミル、スタンプミル等の粗粉砕機を用いて10〜100μmの粒径となるように粉砕する。その後、更にジェットミル、アトライター等の微粉砕機により0.5〜5μmの粒径となるようにする。こうして得られた粉末を、好ましくは600kA/m以上の磁場強度を有する磁場のなかで、0.5〜5t/cmの圧力で成形する。
その後、得られた成形体を、好ましくは不活性ガス雰囲気又は真空下中、1000〜1200℃で0.5〜10時間焼結させた後に急冷する。さらに、この焼結体に、不活性ガス雰囲気又は真空中、500〜900℃で1〜5時間の熱処理を施し、必要に応じて焼結体を所望の形状(実用形状)に加工することにより、磁石素体2が得られる。
このようにして磁石素体2を製造した後、得られた磁石素体2に対しては、後述の第1及び第2の処理液による処理を行う前に、酸洗浄を施してもよい。酸洗浄で使用する酸としては、硝酸が好ましい。通常、鋼材等にメッキ処理を施す場合、塩酸、硫酸等の酸化性を有しない非酸化性の酸が用いられることが多い。しかし、本実施形態での磁石素体2のように希土類元素を含む場合には、これらの酸を用いて処理を行うと、酸により発生する水素が磁石素体2の表面に吸蔵され易く、吸蔵部位が脆化して多量の粉状未溶解物が発生する場合がある。この粉状未溶解物は、表面処理後の面粗れ、欠陥および密着不良を引き起こすおそれがある。このため、上述したような非酸化性の酸は、本実施形態においては酸洗浄処理液に含有させないことが好ましい。したがって、酸洗浄においては、水素の発生が少ない酸化性を有する酸、例えば硝酸を用いることが好ましい。
このような酸洗浄による磁石素体2の表面の溶解量は、表面から平均厚みで5μm以上、好ましくは10〜15μmとするのが好適である。こうすれば、磁石素体2の表面の加工による変質層や酸化層をほぼ完全に除去することができ、後述する保護層4等を良好に形成することができる。
酸洗浄に用いられる硝酸の濃度は、好ましくは1規定以下、特に好ましくは0.5規定以下である。硝酸濃度が高すぎると、磁石素体2の溶解速度が極めて速く、溶解量の制御が困難となり、特にバレル処理のような大量処理でばらつきが大きくなって、製品の寸法精度の維持が困難となる傾向がある。また、硝酸濃度が低すぎると、溶解量が不足する傾向がある。このため、硝酸濃度は1規定以下とすることが好ましく、特に0.5〜0.05規定とすることが好ましい。また、処理終了時のFeの溶解量は、1〜10g/l程度とする。
酸洗浄後、磁石素体2の表面に付着した未溶解物や残留酸成分を除去するため、磁石素体2に対して更に洗浄、好ましくは超音波を使用した洗浄を行ってもよい。この超音波洗浄は、磁石素体2の表面に錆を発生させる塩素イオンが極めて少ない純水中で行うのが好ましい。さらに、かかる洗浄の前後及び上記処理液による処理の各過程において、必要に応じて水洗を行ってもよい。
次いで、磁石素体2を、金属イオンを含む第1の処理液に浸漬する。第1の処理液としては、金属イオンを含む水溶液が好ましく、例えば、金属元素の化合物を水に溶解させた溶液や、金属を酸性や塩基性の水溶液中に溶解させた溶液が例示できる。金属元素の化合物としては、硝酸塩、硫酸塩、塩化物等の金属塩、ケイ酸塩、アルミン酸塩、モリブデン酸塩、バナジン酸塩等のオキソ酸塩、金属酸化物、金属水酸化物等が挙げられる。第1の処理液は、複数種の金属イオンを含有していてもよく、この場合、金属イオンとしては、金属元素の化合物を溶解してなるものと、金属を溶解してなるものとの両方が含まれていてもよい。
第1の処理液は、これに含まれる金属イオンが安定に存在できるpHを有するものであり、このpHは、金属イオンの性質に応じて酸性領域、塩基性領域とされる。ただし、金属イオンは、酸性領域のpHで安定に存在し、中性付近で水酸化物等の化合物として析出するものが多いことから、第1の処理液は、酸性を有する水溶液であると好ましい。具体的には、pH0〜6の水溶液が好ましく、pH1〜5の水溶液がより好ましい。
この第1の処理液は、磁石素体2に含まれる金属元素と同種の金属元素のイオンを含んでいると好ましい。こうすれば、後述する第2の処理液を接触させる工程で、磁石素体2と同種の金属元素の化合物を含む無機粒子6が析出することになる。磁石素体2と同種の金属元素のイオンを含む第1の処理液は、例えば、磁石素体2を酸性水溶液に浸漬し、これによって磁石素体2の一部を溶解させることで好適に得られる。この場合、磁石素体2としては、希土類磁石1の製造に用いるものを用いてもよく、第1の処理液の調製用に別途準備したものを用いてもよい。
磁石素体2を溶解するための酸性水溶液としては、pH0〜6の水溶液が好ましく、pH1〜5の水溶液がより好ましい。このような酸性水溶液としては、特に限定されないが、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸や、リンゴ酸、マロン酸、クエン酸、コハク酸等の有機酸を含む水溶液が適用できる。
また、上述した酸洗浄の工程において、磁石素体2を洗浄した後の酸も、磁石素体2から溶解した金属元素のイオンを含むことから、第1の処理液として用いることができる。このように第1の処理液として酸洗浄後の酸を用いる場合、例えば、磁石素体2を、酸洗浄後にいったん引き上げて水洗等を行った後に、酸洗浄後の酸に再度浸漬させることで、金属イオンを含む第1の処理液を磁石素体2の表面に付着させることができる。また、酸洗浄後、磁石素体2の表面に、当該磁石素体2から溶解した金属イオンを含む酸が十分に付着している場合は、磁石素体2の洗浄(水洗等)を行わずにそのまま後述する第2の処理液を接触させる工程を実施してもよい。この場合、酸洗浄が第1の処理液への浸漬の工程を兼ねることになる。
第1の処理液中の好適な金属イオンの濃度は、金属イオンの種類や第2の処理液のpHによっても異なるが、1×10−7〜1mol/Lであると好ましく、1×10−7〜0.1mol/Lであるとより好ましい。金属イオンの濃度が1×10−7mol/L未満であると、磁石素体2に付着する金属イオンの量が不十分となり、無機粒子6が十分に形成され難くなる傾向にある。一方、1mol/Lを超えると、磁石素体2表面に過剰な金属イオンが付着し、金属イオンに由来する金属元素が無機粒子6ではなく層を形成してしまうおそれがある。
その後、第1の処理液が付着した状態の磁石素体2の表面に、第1の処理液とは異なるpHを有する第2の処理液を接触させる。これにより、磁石素体2表面に付着した第1の処理液中の金属イオンに由来する金属元素の化合物を含む無機粒子6が、磁石素体2の表面に析出する。金属イオンに由来する金属元素の化合物としては、酸化物や水酸化物が挙げられ、特に、水酸化物が好ましい。このように、第2の処理液は、第1の処理液中の金属イオンが化合物として析出し得るpHを有する。
第2の処理液の好適なpHは、例えば、析出する化合物が水酸化物である場合、水酸化物の溶解度積及びモノヒドロキソ錯体の生成定数から求めることができる。具体的には、下記式(1)にしたがって算出することができる。
Figure 0004506708

ただし、S0=KS0/K (KS0:水酸化物の溶解度積、K:水のイオン積、n:金属イオンの価数)であり、は[M(OH)(z−1)+]×[H]/[Mz+]で表されるモノヒドロキソ錯体の生成定数であり、Cは金属イオン濃度である。
上記式(1)によれば、例えば、第1の処理液中に0.1mol/Lの濃度で含まれる金属イオンが水酸化物として析出するpHは、Al3+の場合3.1であり、Co2+の場合7.3であり、Cu2+の場合4.6であり、Dy3+の場合5.7であり、Fe2+の場合7.3であり、Nd3+の場合6.4であり、Ni2+の場合7.2であり、Zn2+の場合6.0であり、Zr4+の場合3.1である。したがって、第1の処理液中にこれらの金属イオンが0.1mol/L含まれている場合は、第2の処理液として、上記よりも高いpHを有するものを用いることで、各金属イオンに由来する金属元素の水酸化物を析出させることができる。
第2の処理液としては、例えば、中性領域の場合、イオン交換水や純水等の水が好適である。また、酸性や塩基性領域の場合、水に酸や塩基を適宜添加することで好適なpHに調整されたものを用いることができる。後者のように酸性又は塩基性領域とする場合は、第2の処理液を、特定のpH領域で緩衝作用を有する溶液とすると、pH変動を少なくして安定的に無機粒子6を析出できるようになるため、さらに好ましい。
第1の処理液が付着した磁石素体2に、第2の処理液を接触させる方法としては、磁石素体2を第2の処理液中に浸漬する浸漬法や、磁石素体2に処理液を噴霧するスプレー法が挙げられる。なかでも、磁石素体2の全面に処理液を簡便に付着させ得る浸漬法が好適である。また、第2の処理液が水である場合は、第1の処理液が付着した磁石素体2を流水洗浄することによっても、無機粒子6を析出させることができる。
以上のように、磁石素体2に対して第1の処理液及び第2の処理液による処理を順に行うことにより、磁石素体2の表面上に、無機粒子6が分散した状態で析出する。かかる方法によって、第1の処理液中の金属イオンに由来する金属化合物の層ではなく、無機粒子6が形成されるメカニズムについては、必ずしも明らかではないものの、以下のように推測される。
すなわち、第1の処理液から引き上げた状態では、磁石素体2に第1の処理液が付着しており、付着した第1の処理液中には金属イオンが分散された状態で存在している。次いで、例えば、この磁石素体2を第2の処理液中に浸漬させた場合、上記の金属イオンは磁石素体2近傍の第2の処理液中に分散されて存在することとなる。このように分散された金属イオンはその場で化合物を生成するため、これによって粒子状の化合物が形成される。そして、このようにして生成した粒子が、磁石表面2に付着することで、無機粒子6が分散して付着した磁石素体2が得られる。
このような無機粒子6の形成工程においては、例えば、磁石素体2がその表面に深さ方向への孔(表面空孔)を有している場合、第1の処理液から磁石素体2を引き上げた際に、この表面空孔部分に金属イオンが多く残留し易い傾向にある。そのため、第2の処理液の接触後には、この表面空孔部分に平坦な表面部分よりも多くの無機粒子6が析出することになる。磁石素体2の表面空孔は、上述の如く、当該素体2の腐食の起点となり易いものである。したがって、本実施形態の製造方法によれば、かかる表面空孔部分に多くの無機粒子6を形成することができ、特に優れた耐食性を有する希土類磁石1を得ることができる。
その後、表面に無機粒子6が付着した磁石素体2に対し、適宜、水洗や乾燥を行った後、この磁石素体2の表面上に、無機粒子6を覆うように保護層4を形成する。こうして、図1〜3に示す構造を有する希土類磁石1が得られる。
保護層4は、例えば、樹脂層の場合、上述した樹脂を溶媒に溶解して塗布液を調製し、これをディップコート法、ディップスピンコート法、スプレーコート法等により磁石素体2の表面に塗布した後、焼き付けたり乾燥させたりすることで形成することができる。また、樹脂層を形成するためのモノマーを気化させて磁石素体表面に蒸着すると同時に重合させる、いわゆる重合蒸着法によっても、樹脂層の形成が可能である。
金属層は、磁石素体2に対して電気めっき、無電解めっき等を施すことにより形成することができる。その他、イオンプレーティング法、スパッタ法、蒸着法等の気相法も適用できる。また、無機層は、水ガラス等のアルカリ珪酸塩溶液や金属アルコキシド溶液を磁石素体2の表面に塗布した後、焼き付けや乾燥等を行うことで形成することができるほか、イオンプレーティング法、CVD法等の気相法を用いても形成することができる。
上述した実施形態の希土類磁石1は、磁石素体2の表面上に、当該磁石素体2の表面に分散して付着した無機粒子6を介して保護層4が形成された構成を有する。かかる構成を有する希土類磁石1は、磁石素体2上に直接保護層4が設けられたものに比して、磁石素体2と保護層4との密着性が良好である。また、希土類磁石1は、磁石素体2の表面上に水等の腐食性の成分に対して安定な無機粒子6を多数有していることから、腐食性の成分が保護層4を通り抜けた場合であっても、磁石素体2の腐食が進行し難いものである。
さらに、希土類磁石1では、無機粒子6が磁石素体2の表面上に分散して付着していることから、磁石素体2と保護層4との間に応力が生じた場合であっても、かかる応力はこの無機粒子6の部分で十分に緩和され得る。したがって、従来、磁石素体と保護層との間に化成処理層や金属化合物層等の下地処理層を形成した場合は、この下地処理層と保護層との熱膨張係数の差等によってこれらの間に応力が発生し、これによって保護層の剥離等が生じ易くなっていたのに対し、本実施形態の希土類磁石1では保護層4の剥離が極めて生じ難くなる。
さらにまた、上述した実施形態の製造方法によれば、磁石素体2の製造後、第1の処理液への浸漬、及び、第2の処理液の接触という2段階の工程で容易に無機粒子6を析出させることができることから、希土類磁石1を簡便に製造することができる。特に、第1の処理液として酸性を有するものを用い、第2の処理液として水を用いる場合は、磁石素体2を第1の処理液に浸漬した後に通常の水洗を行えばよいことから、無機粒子6を極めて容易に形成させることができる。
さらに、本実施形態の製造方法においては、第1及び第2の処理液による一連の処理において、これらの処理液の成分が変化することが極めて少ないため、第1及び第2の処理液は繰り返し使用することが可能である。したがって、本実施形態の製造方法は、希土類磁石1を量産する上でも好適な方法となり得る。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[希土類磁石の製造]
(実施例1)
まず、粉末冶金法により、組成が27.6Nd−4.9Dy−0.5Co−0.4Al−0.07Cu−1.0B−残部Fe(数字は重量百分率を表す)である鋳塊を作製し、これを粗粉砕した。その後、不活性ガスによるジェットミル粉砕を行って、平均粒径約3.5μmの微粉末を得た。得られた微粉末を金型内に充填し、磁場中で成形した。次いで、真空中で焼結後、熱処理を施して焼結体を得た。得られた焼結体を20mm×10mm×2mmの寸法に切り出し加工し、磁石素体を得た。
次に、この磁石素体を、第1の処理液中に浸漬した後、引き上げた。この第1の処理液は、同様の磁石素体を0.4mol/Lの硝酸に溶解させることにより得られたものである。第1の処理液は、ICP分析法で分析した結果、Bを44ppm、Alを27ppm、Feを4400ppm、Coを25ppm、Cuを4.9ppm、Ndを1500ppm、Dyを240ppmそれぞれ含有していた。
次いで、第1の処理液が付着した状態の磁石素体を、第2の処理液であるpH7のイオン交換水に浸漬した。これにより、磁石素体の表面上に、第1の処理液に含まれていた金属イオンに由来する金属化合物の粒子が分散して析出した。それから、磁石素体を水洗した後、乾燥させた。
この乾燥後の磁石素体の表面を、レーザーアブレーション−ICP質量分析装置(LA−ICP−MS)により分析した結果、磁石素体の表面近傍には、Al、Cu、Coを含む化合物が高濃度で析出していることが確認された。また、磁石素体の表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、微粒子が分散して形成されていることが確認された。
その後、この磁石素体の表面に、スプレー塗装によりエポキシ樹脂塗料を塗布した後、180℃で30分加熱してこれを硬化させ、磁石素体の表面上に厚さ10μmのエポキシ樹脂からなる樹脂層を形成させた。これにより、実施例1の希土類磁石を完成させた。
(実施例2)
まず、実施例1と同様にして磁石素体を形成した。得られた磁石素体に対し、2%HNO水溶液中に2分間浸漬する酸洗浄を行った後、超音波洗浄を行った。次に、この磁石素体を、硝酸鉄(III)を0.01mol/Lとなるようにイオン交換水に溶解させて得られた第1の処理液中に浸漬した後、引き上げた。
それから、第1の処理液が付着した状態の磁石素体を、第2の処理液であるpH7のイオン交換水に浸漬した。これにより、磁石素体の表面上に、第1の処理液に含まれていた鉄に由来する鉄化合物の粒子が分散して析出した。それから、磁石素体を水洗した後、乾燥させた。
この乾燥後の磁石素体の表面を、LA−ICP−MSにより分析した結果、磁石素体の表面近傍には、Feの化合物が高濃度で析出していることが確認された。また、磁石素体の表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、微粒子が分散して形成されていることが確認された。
そして、この磁石素体の表面上に、実施例1と同様に樹脂層を形成させて、実施例2の希土類磁石を完成させた。
(比較例1)
まず、実施例1と同様にして磁石素体を得た。得られた磁石素体に対し、2%HNO水溶液中に2分間浸漬する酸洗浄を行った後、超音波洗浄を行った。それから、この磁石素体の表面上に、実施例1と同様にして樹脂層を形成させた。これにより比較例1の希土類磁石を完成させた。
(比較例2)
まず、実施例1と同様にして磁石素体を形成した。得られた磁石素体に対し、2%HNO水溶液中に2分間浸漬する酸洗浄を行った後、超音波洗浄を行った。それから、この磁石素体を、リン酸濃度が0.07mol/Lであるリン酸水溶液に浸漬して、磁石素体表面に化成処理を施し、当該表面上に化成処理層を形成させた。化成処理の条件は、60℃、pH3(NaOHで調製)、5分間とした。
そして、この磁石素体の表面上に、実施例1と同様に樹脂層を形成させた。これにより、比較例2の希土類磁石を完成させた。
[特性評価]
(PCT試験)
実施例1〜2及び比較例1〜2の希土類磁石に対し、120℃、0.2MPa、100%RH、100時間の条件でそれぞれプレッシャー・クッカー・テスト(PCT試験)を行い、試験後の外観(保護層の剥離の有無)を観察するとともに、試験前に対する試験後の重量の減少量を測定した。また、PCT試験後の各希土類磁石について、JIS K5600(1999年)に規定される碁盤面テープ試験に準拠し、保護層に当該層を貫通する切り傷を碁盤目状につけ、この上に粘着テープを張った後に剥離したときの、保護層の剥離の有無を評価する試験を行った。得られた結果をまとめて表1に示す。
なお、表1中、保護層の剥離の評価は、A:剥離なし、B:角部のみで一部剥離、C:角部及び角部以外の部分で剥離、に従って記載した。また、テープ試験の評価は、JISK5600に準拠する分類に従って行った。当該評価においては、剥離が全く見られなかった分類0から、大部分が剥離を生じていた分類5までの6段階の評価がなされ、数字が小さいほど剥離が少ないことを表している。
Figure 0004506708
表1より、実施例1〜2の希土類磁石は、PCT試験後の保護層の剥離がなく、碁盤目テープ試験でも保護層の剥離が見られなかったことから、磁石素体と保護層との密着性が良好であることが確認された。また、実施例1〜2の希土類磁石は、PCT試験後の重量減少も見られなかったことから、高温高湿条件での劣化が小さく、優れた耐食性を有していることが判明した。
(塩水噴霧試験)
実施例1及び比較例1の希土類磁石に対し、それぞれ塩水噴霧試験を行った。すなわち、希土類磁石の樹脂層にクロスカットを入れた後、JIS K5600−7−1に準拠して、5%の塩水を用い、35℃で96時間の条件で塩水噴霧試験を実施した。その結果、実施例1の希土類磁石では、クロスカット部のみで錆が発生したのに対し、比較例1の希土類磁石では、クロスカット部から内部への腐食が進行し、樹脂層のふくれが確認された。これより、実施例1の希土類磁石は、比較例1のものに比して、保護層と磁石素体との密着性が極めて優れていることが判明した。
好適な実施形態に係る希土類磁石を示す図である。 図1に示す希土類磁石のII−II線に沿う断面構成を模式的に示す図である。 図1に示す希土類磁石の表面近傍領域の断面構成を拡大して示す模式図である。 無機粒子6が付着した状態の磁石素体2の表面の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。
符号の説明
1…希土類磁石、2…磁石素体、4…保護層、6…無機粒子。

Claims (4)

  1. 少なくとも希土類元素を含む金属元素を含有する磁石素体を、金属イオンを含む第1の処理液に浸漬する工程と、
    前記第1の処理液から引き上げた後、前記第1の処理液が付着した状態の前記磁石素体の表面に、前記第1の処理液とは異なるpHを有する第2の処理液を接触させて、当該表面上に前記第1の処理液に含まれる前記金属イオンに由来する金属元素の化合物を含む無機粒子を析出させる工程と、
    前記磁石素体の表面上に、前記無機粒子を覆うように保護層を形成する工程と、
    を有することを特徴とする希土類磁石の製造方法。
  2. 前記第1の処理液に含まれる金属イオンは、前記磁石素体に含まれる金属元素のうちの少なくとも一種と同じ金属元素のイオンである、ことを特徴とする請求項記載の希土類磁石の製造方法。
  3. 前記保護層は、樹脂層である、ことを特徴とする請求項1又は2記載の希土類磁石の製造方法。
  4. 前記第1の処理液に浸漬する工程の前に、前記磁石素体を酸により酸洗浄する工程を有しており、
    前記第1の処理液として、前記磁石素体を酸洗浄した後の前記酸を用いる、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の希土類磁石の製造方法。
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